1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/15(火) 18:21:30.77 ID:EuJ6Vqzs0
いろは「むー、先輩。可愛い後輩にその言い草は酷くないですかー?」ムスーッ

八幡「お前のは狙い過ぎなんだよ」

いろは「えーそんなことないですよー?」

八幡「それだよそれ。そのわざとらしい上目遣いやめろ」

いろは「…………」

八幡「…………」

いろは「…………チッ」

八幡「!?」

4: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/15(火) 18:36:31.98 ID:EuJ6Vqzs0
いろは「というか今日は先輩にお願いがあって来たんでしたー」

八幡「断る」

いろは「ちょっ、せめて話だけでも聞いてから返事してくださいよぉー」

八幡「お前からは面倒事の臭いしかしない」

いろは「そんなこと言わずにー」グイグイ

八幡「お、おい、馬鹿やめろお前服引っ張るな伸びる伸びる!」

いろは「じゃあ話聞いてください」

八幡「仕方ねえな……」

8: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/15(火) 18:49:53.76 ID:EuJ6Vqzs0
いろは「じゃ、先輩取り敢えず生徒会室に来てください」

八幡「は? ここで話せばいいだろ」

いろは「いえいえ結構事情が込み入ってて、一口に説明するのは難しいと思うんです。生徒会室ならお茶も出せますしー」

八幡「いや、別にいらねえからここでいいよ」

八幡(やべー、今のがお茶じゃなくてMAXコーヒーだったら靡いてたわー。っつか生徒会って一色以外のメンバーもいるのに顔出せるわけないだろぼっち舐めるなよ)

いろは「でもずっと立ち話するのは先輩に悪いですしー」

八幡「いやだから俺は別に構わないって」

いろは「そんなこと言わずにさあさあ! さあさあ!」グイグイ

八幡「おい押すな押すな! 視線集めてるから!」

いろは「じゃあきびきび歩いてください先輩!」

9: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/15(火) 18:53:29.20 ID:EuJ6Vqzs0
――生徒会室

いろは「はい、先輩どうぞ」コトリ

八幡「あ、ああ、サンキュ。……ってか生徒会室にティーカップなんてあったのな」

いろは「私の私物ですー」

八幡「備品じゃねえのかよ」

いろは「ええ、落ち着きたいときなんかにあると良いかと思ったので」

材木座「うむ、美味なり」

いろは「ん?」

材木座「んん??」

11: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/15(火) 19:00:28.41 ID:EuJ6Vqzs0
いろは「は? あなた誰です? ってか先輩はどこに」

材木座「我が半身八幡なら、ほら、そこにおるだろう」スッ

いろは「え……え、そんな、あれって……」

謎のデブが指さす先には肉塊。確かに、今朝副会長の肉塊を並べた時よりも一つ数が多いような……

いろは「そんな、嘘ですよ、だって先輩は今まで、たった今まで私とおしゃべりしていたのに……!」

材木座「生徒会長といえどやはり新米、我が 凍結する時空《フリーズ ドライ》 の前には無力、か……」

いろは「せ、先輩、どっきりなんですよね、冗談なんですよね、先輩、先輩、先輩、先輩っ、返事してくださいよ先輩ぃぃいいい」ポロポロ

材木座「ふん、すでに自我を失いかけている……か。ならば、我の手で一思いにその息の根を止めてやることにしよう……!!」

ブンッ

振りかぶるデブ。いろはは差し迫っている自身の危機に気づかない。
ただ最愛の先輩の肉塊を手で抱き涙をこぼすのみである。

13: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/15(火) 19:08:28.21 ID:EuJ6Vqzs0
ガキィィィイイイインン

材木座の手刀がいろはの首を切り離す直前、突然脇から差し込まれた西洋剣によって、材木座の攻撃はすんでのところで防がれる。
とはいえデブの全力をだした衝撃はすさまじく、反作用により弾かれた西洋剣がいろはの首を刈った。

材木座「な、何奴っ!?」

雪乃「ふふふ、私は悪を挫き弱気を助ける性義の味方ッ! ゆきのん仮面なのだけれどッ!!」

材木座「ゆ、ゆきのん仮面だと……!? よもや第十三因子保有者の一人がこのような辺鄙な土地に来るなど……有り得んっ!」

デブは別にゆきのん仮面など知らなかったが、場の空気を壊さないために話を合わせた。第十三因子ってなんだよ。

雪乃「怪人材……材津! ここであなたの命は終わりなのだけれどっ」ヒュンッ

一閃。
次の瞬間には生徒会室の肉塊がまた一つ増えていた。


雪乃「またつまらないものを切ってしまったわ……」

15: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/15(火) 19:18:26.28 ID:EuJ6Vqzs0
雪乃「きれいね……」

生徒会室の窓から外を眺めるゆきのん仮面。
外にはたくさんの生徒が笑いあいながら下校している。彼女はこの光景を守りたいがために日々戦っているのだ。

ぽたっ、ぽたっ

雪乃「…………っ!」

なぜだろうか、気が付いたら頬を伝った涙がいくつも床に零れ落ちていた。

雪乃「疲れてる、のかしらね……」

性義の味方業は過酷である。いつ怪人との戦闘に駆り出されるかもわからず、まとまった休みなどもうここ数年取っていない。
仕事に邁進し、精神を削って成績を上げる日々。同僚の戦果も恨めしく、後輩には厳しく当たってきた。
何より大切なのは昇進で、ほかのことはすべて二の次。

気が付いたら誰かを救うことなどどうでもよくなっていた。
困っている誰かを助けたい。そんな想いから始めた仕事のはずなのに。

雪乃「ああ、ああああ、ああ、ああああああ」

思わず身震いする。
今回は無事に怪人を狩れ、一般人を守ることが出来た。だが次は?
大切なものが分からなくなっている自分に、誰かを守ることはできるのか?

19: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/15(火) 19:26:10.72 ID:EuJ6Vqzs0
雪乃「……よし」

ゆきのん仮面は決意した。
一旦しっかりと休養しよう、と。

今の自分は初心を忘れ、枕営業と怪人退治に精を出すだけの機械と化してしまっている。
自分を見直さねばならない時期なのだ。

雪乃「そうと決まれば会社にお休みをいただこうかしら……」

懐から出した電話機で本部――彼女の勤める性義の味方派遣会社に連絡する。
思い立ったら、即行動のゆきのん仮面であるから、0の番号が回転して戻ってくるのが酷くじれったい。

……ようやく繋がった。

雪乃「あの、ゆきのん仮面ですが……あ、由比ヶ浜社長ですか? 実はしばらくお休みを頂きたいのですが……」


こうしてゆきのん仮面は自分を再度捉え直すため、頂戴した長期休暇を活用して札幌へ自分探しの旅へ出たのだった。

終わり

引用元: いろは「せんぱーいっ」八幡「あざといあざとい」