1: ◆fe7a0XTmiE 2015/10/08(木) 22:35:06.718 ID:cMBQewWvM
シャロ「んー! おいしい!」

チノ「……」

シャロ「これも! それもおいしいわ!」

チノ「……」

シャロ「チノちゃんも水ばっかり飲んでないで食べればいいのに」

チノ(こんな高い店……。二人分も出す余裕なんてありません……)

シャロ「ダイエットなんてしたら、
   その枯れ枝みたいな身体がもっと貧相になっちゃうわよ。
   ……んー! それにしてもこの店の料理はおいしいわ!」

3: ◆fe7a0XTmiE 2015/10/08(木) 22:37:09.590 ID:cMBQewWvM
シャロ「あー、おいしかった! ごちそうさま」

チノ「……」

シャロ「じゃあいつもみたいにお会計お願いね。チノちゃん」

チノ「……」

シャロ「この調子でまた明日も頼むわ。じゃあね~」

チノ(シャロさんの分だけで3800円……。私の一週間分の食費が……)

5: ◆fe7a0XTmiE 2015/10/08(木) 22:39:27.017 ID:cMBQewWvM
~ラビットハウス~

ココア「チノちゃん。何か悩みでもあるの?」

チノ「……」

ココア「どんどんやつれていってるように見えるけど」

チノ「……」

ココア「私はチノちゃんのお姉ちゃんなんだから。
   遠慮なんてしないで何でも相談してね」

チノ「……」

7: ◆fe7a0XTmiE 2015/10/08(木) 22:42:01.616 ID:cMBQewWvM
ココア「うん……。チノちゃん悩んでるみたいなの。
   でも、私には何も言ってくれなくて……。
   リゼちゃんなら何か知ってるかと思って、電話したんだけど」

リゼ『そうか……。私もチノの様子がおかしいのは気付いていたが……』

ココア「あのね、リゼちゃん。私明日、チノちゃんのあとをつけてみようと思うの」

リゼ『ココア』

ココア「……なぁに。リゼちゃんが止めたって私は」

リゼ『私も行く』

ココア「え」

リゼ『チノとの付き合いは私も長い。私も心配なんだ』

ココア「リゼちゃん……」

8: ◆fe7a0XTmiE 2015/10/08(木) 22:44:09.688 ID:cMBQewWvM
~翌日~

シャロ「やっと見つけた! 今日はここにしましょう」

チノ(昨日よりも高いお店……)

シャロ「おいしいって巷で評判なのよ。ああ、今から楽しみだわ~」

チノ(また……私の食費が……)

シャロ「何してるのよ。早く入るわよ」

チノ「……」

9: ◆fe7a0XTmiE 2015/10/08(木) 22:46:32.969 ID:cMBQewWvM
シャロ「あー、おいしかった。じゃあ、いつもみたいに支払いよろしくね」

チノ「……」

シャロ「何オドオドしてるのよ。早く」

ココア「ちょっとシャロちゃん!? 何してるの!」

リゼ「シャロ! 全部見させてもらったぞ!」

シャロ「ココアに……リゼしぇんぱいっ!? なななななんでこんなところに……」

ココア「こんな高いお店のお会計をチノちゃんに任せるなんて……!」

リゼ「どういうことなのか説明してもらおうか!」

10: ◆fe7a0XTmiE 2015/10/08(木) 22:49:03.646 ID:cMBQewWvM
シャロ「ち、違うのよ! これはチノちゃんが進んでやってくれてることなの!」

チノ「……」

ココア「そんなわけないでしょ!? チノちゃんこんなに痩せちゃってるのに!」

リゼ「そうだぞ! チノも何か言ってやれ!」

チノ「……」

シャロ「ほら、チノちゃんだって何も言わないじゃないの!
   食事をご馳走してくれるのは、私に対する日頃の感謝の気持ちなのよ!」

11: ◆fe7a0XTmiE 2015/10/08(木) 22:51:29.601 ID:cMBQewWvM
ココア「チノちゃん! 何か言ってやりなよ!」

リゼ「チノ! 嫌なものは嫌だと言わないとダメだぞ!」

チノ(言いたい……。私だって言いたい……)

シャロ「見なさい! チノちゃんはこれでいいのよ!」

チノ(お金なんて出したくないって言いたい……。
  でも言えないんだ……。私は気が弱いから……)

シャロ「これからも私は、この子に食事の世話をしてもらうわ!」

12: ◆fe7a0XTmiE 2015/10/08(木) 22:53:37.356 ID:cMBQewWvM
ココア「チノちゃん!」

リゼ「チノ!」

チノ(そうだ……。私の憧れのあの人の力を借りれば……。
  私があの人になればいいんだ……)

シャロ「ほら! 早くここの支払いも済ませちゃってよ!」

ココア「チノちゃん! 嫌だ、って言いなよ!」

リゼ「チノ! 黙ってたって何も分からないぞ!」

チノ「うおあああああああああああああっ!!!!!!!!!!」

『!?』

14: ◆fe7a0XTmiE 2015/10/08(木) 22:56:51.878 ID:cMBQewWvM
チノ「あっ、あっ、あっ……! あああああああああああああっ!!!!!!!!」

シャロ「な……何よ……!?」

チノ「……」

ココア「チノ……ちゃん……?」

リゼ「チノ……?」

チノ「さぁ、今週もはじまりました! 天才・たけしの元気が出るテレビー!」

15: ◆fe7a0XTmiE 2015/10/08(木) 22:58:55.187 ID:cMBQewWvM
リゼ「チノ……!?」

チノ「おい! アシスタントのオネエちゃん! ちょっと来いよお前は!」

ココア「リゼちゃん……のことじゃないかな……」

リゼ「私……か……?」

チノ「呼んだら早く来いよお前はコノヤロウ!
  いやぁしかし相変わらずデッカイ    ですね。
  でもこれでもまだまだ大きくなってる途中だっていうから驚きです。
  そのうち分裂して自分を増やすつもりらしいですよ」

リゼ「そ、そんなわけがあるか!」

16: ◆fe7a0XTmiE 2015/10/08(木) 23:01:31.569 ID:cMBQewWvM
チノ「って矢追純一が言ってました」

ココア「チノちゃん……。いったいどうしたの……?」

シャロ「矢追……? 誰……?」

チノ「それを横で聞いてた大槻教授が
  『人間が分裂して増えるなんて馬鹿なことがありますか!』なんて言って怒っちゃってね、
  『そんなことがあるなら証明してみなさいよ!』とか言っちゃったりして」

17: ◆fe7a0XTmiE 2015/10/08(木) 23:03:36.884 ID:cMBQewWvM
リゼ「チノ……!」

チノ「で、大槻教授が興奮のあまり口を滑らせて
  『エジプトのミイラだって見つかる前は迷信だなんて言われてたんですよ』
  なんて言っちゃったもんだからさぁ大変。
  隣に座ってた吉村作治が
  『エジプトのミイラとオカルトを同じにしないでいただきたい!」
  ってカンカンに怒っちゃってもうしっちゃかめっちゃか。
  そのうち大槻教授がプラズマになって消滅しちゃって、
  『お前が一番オカルトじゃねぇか!』なんてみんなで突っ込んじゃなったりなんかしてね。
  バカヤロウ!」

シャロ「……」

18: ◆fe7a0XTmiE 2015/10/08(木) 23:05:57.021 ID:cMBQewWvM
チノ「じゃあ早速まいりましょうか!
  アシスタントのオネエちゃん、ちょっとこれ持って」

リゼ「なんだこのフリップ……」

チノ「さぁ、始まりました! 今週のたけしメモー!」

ココア「たけし……?」

チノ「”こんな友達は嫌だ!”」

シャロ「……」

19: ◆fe7a0XTmiE 2015/10/08(木) 23:08:38.075 ID:cMBQewWvM
チノ「『人間じゃない』。なんなんでしょうかね、これは。ちょっと見てみましょう」

ココア「チノちゃん……」

チノ「『ごめん待ったー?』なんて言いながら待ち合わせ場所に到着するとね、
  やたら毛むくじゃらで耳が長くてモフモフとしたやつがいてね、
  『お前うさぎじゃねぇか!』なんて言うとぴょんぴょん飛び跳ねていったりして」

リゼ「チノ……」

チノ「で、近づいていくと威嚇されちゃったりなんかして。
  意外と縄張り意識が強いというね。バカヤロウ!」

シャロ「……」

21: ◆fe7a0XTmiE 2015/10/08(木) 23:11:02.968 ID:cMBQewWvM
チノ「ぴょんぴょん飛び跳ねると言えばセルゲイ・ブブカなんてすごいですからね。
  飛び跳ねるのが好き過ぎて、
  オリンピックの棒高跳びで金メダルまで取っちゃってますから」

ココア「チノちゃん……」

チノ「”鳥人ブブカ”とか呼ばれてましたけど、どう見ても鳥には見えないという。
  そのうちブブカ自身も『俺は鳥なのか、人なのか……』って悩み始めちゃって、
  『うー』なんて言いながら頭抱えちゃってね」

リゼ「チノ……」

チノ「そんなある日、ブブカの背中に翼がにょきにょきと生えてきて、
  『やっぱり俺は鳥だったんだ!』とか言いながら家の屋根から飛び降りたりなんかして。
  そのまま地面に激突して病院に搬送されちゃってね。
  よくよく話を聞いてみたら、ドラッグのせいで頭の方がトんじゃっていたという。バカヤロウ!」

シャロ「……」

22: ◆fe7a0XTmiE 2015/10/08(木) 23:14:11.693 ID:cMBQewWvM
チノ「その一報を聞いた、オリンピック協会のお偉いさんがもう怒っちゃって、
  『やいブブカお前コノヤロウ。お前なんて次のオリンピックは出場停止だ』
  なんて言うんだけど、ブブカの方も負けてない。
  『こんなエジプトのミイラみたいな状態でオリンピックなんて出られるかバカヤロウ』
  なんて言い返したりして」

ココア「チノちゃん……」

チノ「で、それを横で聞いてた吉村作治がカンカンに怒っちゃって。
  なんやかんやあって大槻教授がプラズマになって消えてしまうという。そういう話です」

リゼ「何の話だよ!」

23: ◆fe7a0XTmiE 2015/10/08(木) 23:17:08.688 ID:cMBQewWvM
チノ「次ー! 『財布をしまった場所をすぐに忘れる』。最低ですよこんなのは」

ココア「チノちゃん……」

チノ「いざお会計の時になるとわざとらしくポケットまさぐったりなんかしてね、
  『確かここにしまって……あれー? じゃあこっち……あれー?』なんてとぼけちゃったりして」

リゼ「チノ……」

チノ「『ここにも無い。こっちにも無い』とか言いながら一枚ずつ服を脱いでいってね、
  いつのまにか全裸になっちゃってて、
  『ねぇ、ここにお財布挟まってない?』なんて尻の穴広げて見せちゃったりして。
  で、そのままヤラれちゃったりしてね。
  『あー、気持ちいい』だって。バカヤロウ!」

シャロ「……」

25: ◆fe7a0XTmiE 2015/10/08(木) 23:20:30.262 ID:cMBQewWvM
チノ「さぁ、元気が出るテレビー! 今週はここまでー!」

リゼ「チノ! どこへ行くんだ!」

ココア「チノちゃん! お会計がまだだよ!」

リゼ「戻って来い! チノ!」

ココア「チノちゃん……」

リゼ「チノ……」

ココア「……」

リゼ「……」

シャロ「あの……ここの支払いは私がしておくから……」

終わり

引用元: チノ「シャロさんが私にタカることを覚えてしまったようです……」