1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/08(木) 09:11:29.10 ID:y4xisdaM0
ちゅっ

やすな「あっ……」

あぎり「ご満足いただけない?」

やすな「え?いや!というか、あれ!?」

あぎり「では、もう一回やっちゃいますね~」

やすな「ふぇっ!?……むぐぅ、ぷはっ……


おしまい

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/08(木) 09:41:14.92 ID:y4xisdaM0
忍者は忍ぶ者、決して表には出ず裏で暗躍する
日陰に生き、日陰に死ぬ
それが当たり前、それこそが正しいはずなのだけれど

やすな「あ、あぎりさん!」

忍者だって日向に憧れないわけがない
表舞台で、真っ当な生き方をしたいと思うものだ

やすな「ねぇ、あぎりさん。実はですね~」

それに、こんなにまぶしい太陽が近くに居るならば
私はどうやって忍べばいいのだろうか
……たまには私も

あぎり「忍法……」

やすな「あっ、何かやるんですか?」ワクワク

あぎり「忍法やすなさんが私の事を大好きになるの術~」

おしまい

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/08(木) 10:16:13.72 ID:y4xisdaM0
ソーニャ「おい、あんまりやすなをからかってやるなよ」

最近、ソーニャがよくこういうの事を言う
やすなさんが近くに居る時は黙って見ているのに後で、いつも

あぎり「別にからかってなんかいませんよ~?」

忍者という職業柄、人の心の機微に聡い
だからわかった、ソーニャはやすなさんに魅かれている

ソーニャ「ふん、まあいい。ほどほどにな」

いつもやすなさんと一緒に居るくせに
そう心の中で悪態をつく自分に驚く
これは、玩具を取り上げられた苛立ちというよりむしろ……

おしまい

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/08(木) 10:30:26.94 ID:y4xisdaM0
やすな「ソーニャちゃん!私ボーリングの才能あるかも!」

ソーニャ「またか……」

少し前までは二人のやり取りを見ているだけだった
ただ楽しそうだなとは思っていたけれど、それだけ

やすな「じゃあ、ソーニャちゃんもやってみてよ!」

ソーニャ「なんで私が……しょうがないな」

ソーニャの変化に気付いたのはいつだったか
冷酷で、仕事にしか興味のない冷たい人
そんな印象だったあの娘が、変わった
どうして? いいえ、答えはわかってる

あぎり「折部やすなさん、か」

私も少し興味が湧いてきた
近々、二人に接触してみよう

おしまい

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/08(木) 10:50:44.09 ID:y4xisdaM0
あぎり「はい、了解です~」ピッ

やすな「あぎりさん、誰と電話を?」

あぎり「あ、やすなさん。仕事の事でちょっと」

やすな「! し、仕事ってバイトか何かですよね!?」

あぎり「さあ、どうでしょうか~?」

やすな「……! だ、駄目ですよ!」

あぎり「え?」

やすな「あぎりさんってソーニャちゃんと一緒の組織に居るんですよね!」

やすな「そしたら……やっぱりダメダメ!あぎりさんも公正させます!」

あぎり「そう言われましても、衣食住に関わりますので~」

やすな「ぐぅ……!じゃあじゃあ!あぎりさんは私が養います!」

あぎり「…………」ポカーン

やすな「だからあぎりさん、やっちゃだめですよ!」

思えばあの時、私は……

おしまい

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/08(木) 11:14:07.92 ID:y4xisdaM0
あぎり「どうですかぁ、大好きになりました~?」

やすな「ええっ?私もう、何がなんだか……」プシュー

あぎり「おかしいですねえ、完璧だと思ったのに~」

内心、不安でいっぱいだ
殺しをする時は冷静で居られるのに、今は怖くて足が震える

やすな「……あっ」

やすな「あぎりさん……」

どうやら、気付かれたらしい
彼女の優しい目聡さが今は恨めしい

あぎり「これは、違うんですよ?」

声も、震える
拒絶されるのが怖い、彼女の笑顔を見られなくなるのが怖い
でも、もう後戻りは……できない

おしまい

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/08(木) 11:28:13.95 ID:y4xisdaM0
やすな「あぎりさん、もしかして本気で……?」

あぎり「あっ、それは……」

言葉が出てこない
長い沈黙、私の頭は真っ白なまま

やすな「……うん、決めました!」

あぎり「……?」

やすな「あぎりさん、私はあぎりさんの気持ちに応えることはできません」

淡い期待は何処かへ消えて
深い絶望が胸に押し寄せ、瞳に涙が滲む

やすな「あっ!あぎりさん泣かないで!心配しなくても大丈夫!」

やすな「私は今はあぎりさんには応えられません!」

やすな「でもでも、私前に約束しましたよね?」

やすな「もし良ければそのうち一緒に暮らしましょう!」

やすな「一緒に生活している間に、もしあぎりさんを好きになれば……」

おしまい

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/08(木) 11:37:52.64 ID:y4xisdaM0
やすな「あ、あぎりさんこのアイス買っていいですか!?」

あぎり「いいですけど、1つだけですよ~?」

やすな「ぃやっふぃー!」

あれから数年、高校を卒業して働き始めたやすなさんと私は二人でルームシェアをしている
私も殺し屋を辞めてお金が無いので金銭面でもとても嬉しい

やすな「あぎりさん、前より良い笑顔になったよね」

と、よく言われるようになった
それはそうだ、私は今幸せなんだから

あぎり「ねえ、やすなさん。大好きです」

やすな「私も大好きだよ?あ、でも友達として!」

私の恋の決着はまだついていない
ハッピーエンドとはならなかったかもしれない
でも、私の傍らにはいつも太陽が居てくれれる
日向に出た忍者は、少し大胆になるのだ

あぎり「やすなさん、愛しています」チュッ

本当におしまい

引用元: あぎり「忍法やすなさんが私の事を大好きになるの術~」