1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 01:17:04.810 ID:8yRUnuoz0
<自宅>

朝、7時過ぎになると、いつも幼馴染が起こしにくる。



ブス幼馴染「起っきろーっ!」ユサユサ

男「…………」



この幼馴染、ブスである。

3: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 01:22:08.458 ID:8yRUnuoz0
ブス幼馴染「朝食作ってきたからね、食べるでしょ?」

男「うん」



幼馴染が笑うたび、彼女のガタガタで黄ばんだ歯並びが俺の気力を萎えさせる。

4: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 01:25:15.151 ID:8yRUnuoz0
ブス幼馴染「ほら、あーんしてっ!」

男「あーん」



特にひどいのが口臭だ。

幼馴染がしゃべるたび、この世のものとは思えぬ刺激臭が、俺の鼻に突き刺さる。

6: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 01:28:17.222 ID:8yRUnuoz0
ブス幼馴染「それじゃ、学校行こっか」

男「うん」



ニキビとそばかすまみれの顔面に、亀裂のようなえくぼを作って、幼馴染が微笑む。

俺は先ほど食わせられたトーストをあやうく吐き出しそうになった。

7: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 01:32:12.457 ID:8yRUnuoz0
俺たちが登校していると――



ブス近所のお姉さん「あら、男君、幼馴染ちゃん、おはよう!」

ブス幼馴染「おはようございます!」

男「おはようございます」



けばけばしい厚化粧をした、近所のお姉さんと出会った。

猛獣のような犬歯と、血のように真っ赤な長い舌を持つ彼女は、どう見ても妖怪である。

俺はあまり目を合わせないようにして、学校へ急ぐ。

8: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 01:35:11.375 ID:8yRUnuoz0
<学校>

自分の机でぼんやりしていると、眼鏡をかけた女の子が話しかけてきた。



ブス眼鏡「お、おはよ、男君」

男「おはよ」



もちろん、ブスである。

眼鏡を外したら美人、などというどんでん返しはありえない。

9: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 01:38:23.977 ID:8yRUnuoz0
ブス眼鏡「こないだ、私が貸してあげた本……どうだった?」

男「面白かったよ」



ちびまる子ちゃんに「みぎわさん」というキャラクターがいるのはご存じだろうか。

この女の子はあれを300倍ぐらいブスにした外見だと思ってくれればよい。

こいつに比べれば、みぎわさんは天使である。

11: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 01:41:42.661 ID:8yRUnuoz0
ブス眼鏡「よかったー! つまらないっていわれたらどうしようかと思った!」

男「大丈夫だって」



霧吹きのようにツバを飛ばしながら、眼鏡をかけた娘がまくし立てる。

ちなみにこの子に借りた本は、ところどころ濡れたような跡があった。

おそらく、こんな風に本にもツバを飛ばしまくっていたのだろう。

14: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 01:44:24.870 ID:8yRUnuoz0
すると――



ブス短髪「ちょっとちょっと、あたしも混ぜてよ!」



陸上部所属のボーイッシュなブスがやってきた。

カマキリのような輪郭に加え、凄まじい出っ歯であり、前歯の長さが3センチぐらいある。

15: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 01:47:20.792 ID:8yRUnuoz0
ブス短髪「あたし、こないだの大会で優勝しちゃったんだ!」スルッ

男「へぇー」



ブスが自慢の足を見せつけながら、武勇伝を語る。

その足にはアマゾンの密林さながらの剛毛が生い茂っていた。

男性ホルモンでも打ってるんだろうか。それとも男性なんじゃなかろうか。

17: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 01:50:12.611 ID:8yRUnuoz0
ブス短髪「しっかも、やっと100メートル12秒を切ったんだよ! すごいでしょ!」

男「すごいね」



俺がこのボーイッシュブスを直視できるのも、だいたい12秒前後が限界だ。

いい勝負である。

20: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 01:54:09.109 ID:8yRUnuoz0
ブス幼馴染「一時間目は数学だね。ちゃんと予習してる?」

ブス眼鏡「また、貸してあげたい本があるの……」

ブス短髪「次の大会でもきっと優勝してみせるっ!」

男「ハハハ」



ブスどもがツバを飛ばし、臭い息を吐きながら、好き勝手にくっちゃべっている。

俺はただただ愛想笑いを浮かべる。

23: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 01:57:14.428 ID:8yRUnuoz0
ブス委員長「ちょっとあなたたち! そろそろ授業の時間よ!」ファサ…



ブス幼馴染「あ、ごめん!」



クラス委員長がやってきた。

成績優秀で、クラスの誰よりも厳格、一流大学に合格間違いなしといわれる才女だ。

ただし、ブスである。

26: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 02:00:26.908 ID:8yRUnuoz0
ブス委員長「あなたも、あなたよ!」

ブス委員長「女性にちやほやされていい気になってないで」

ブス委員長「彼女たちに席に戻れって注意しなきゃダメじゃない!」ビシッ

男「ごめん」



太い眉毛とたるんだ二重あごを力ませて、人差し指を突きつけ、俺を叱る委員長。

その指先をよく見ると、爪の間には黒いカスがみっちりと溜まっていた。

28: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 02:03:14.717 ID:8yRUnuoz0
ブス委員長「ま、その優しさが……あなたのいいところでもあるんだけど……」ファサ…

男「ありがとう」



長い黒髪をかき上げつつ、委員長がデレた。

黒髪からは大量のフケがまき散らされ、粉雪のようなありさまになった。

30: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 02:07:14.541 ID:8yRUnuoz0
授業が始まった。



ブスギャル「ねーねー、教科書見せてくんない? 忘れちゃって」

男「いいよ」



隣の席に座っているギャルに、俺は快く教科書を見せた。

体臭とドギツイ香水の匂いが混ざった、独特の臭みが俺の鼻を破壊しにかかる。

31: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 02:10:28.444 ID:8yRUnuoz0
ブスギャル「アンタってチョーやさしーよねーっ!」

男「そんなことないよ」



このギャルはいわゆるガングロである。

ただし、焼き加減を完全に失敗しており、肌は荒野のようにボロボロで、

肌年齢は素人目にもすでに老人のそれと同等だと判断できる。

33: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 02:13:19.455 ID:8yRUnuoz0
ブスギャル「教科書がよく見えなーい!」グイッ

男「近いよ」



わざとらしく体を密着させてくるギャル。

それに伴い、ギャルの顔面から剥がれ落ちた黒い垢が、俺の教科書に降り注ぐ。

35: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 02:16:15.478 ID:8yRUnuoz0
ブスギャル「アンタってホントかわいーね! ウブなんだからーっ! キャハハハッ!」

男「そんなことないって」



口裂け女の出来損ないのような表情で、ギャルが笑う。

彼女の笑い声は、黒板をひっかいた時に生じるあの音と同じ効力を持つ。

俺は自分の全身が鳥肌まみれになってるのを感じていた。

37: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 02:19:23.451 ID:8yRUnuoz0
ブス教師「コラ、なにをしゃべっている!」



ブスギャル「きゃっ!」

男「すみません、先生」



厳しい口調で、ブスな先生が俺たちを注意する。

シミと小ジワまみれの顔をさらに歪ませたその顔は、閻魔大王顔負けの迫力であった。

38: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 02:23:51.024 ID:8yRUnuoz0
ブス教師「男! 前に出て、この問題を解いてみろ!」

男「やってみます」



ちなみにこの先生、いい年をしてミニスカートである。しかも、なぜか教室でハイヒール。

丸太のようにぶっとい足をどうにか支えているハイヒールに、俺は同情と親近感を覚えた。

40: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 02:28:09.979 ID:8yRUnuoz0
ブス教師「全然ちがう! どうやら復習の必要があるようだな!」

男「すみません」



口で教えれば済むところを、この先生はわざわざ俺の背中に胸を押しつけ、

俺をマリオネットにするような形で教示を始めた。

背中に伝わるヘドロのような感触に、俺は体温が2、3℃下がるような錯覚を味わった。

41: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 02:31:18.086 ID:8yRUnuoz0
ようやく授業が終わり、昼休み。俺の周囲に、わらわらとブスが群がってくる。



ブス幼馴染「ほら、あーんして」

ブス眼鏡「あ、ずるいですよ……幼馴染さんばっかり」

ブス短髪「あたしだって、男にあーんしたいのに!」

ブス委員長「いえいえ、私こそがやるべきよ」ファサ…

ブスギャル「アタシもやるーっ!」



俺に「あーん」させる権利をめぐって、ブスどもが醜くののしり合う。

昼休みが終わる頃には、俺の顔はツバと垢とフケまみれになっていた。

43: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 02:35:22.347 ID:8yRUnuoz0
放課後、ようやく一人になれたところに友人がやってきた。



友人「よ、よう」

男「おう」

友人「大丈夫か? 日に日に弱ってるような気がするけど……」

男「そうかな」



いつも俺のことを心配してくれてる、優しくて頼れる親友である。

44: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 02:38:30.884 ID:8yRUnuoz0
友人「ところでさ、今日オレんちにこないか?」

男「どうして?」

友人「もしかしたら……お前を助けてあげられるかもしれない」

男「へぇ、ホントかい」

友人「いや……気休めとかじゃねえから! 結構マジな話だから!」



俺は努めて明るく返事をしたつもりだったが、バレバレだったようだ。

47: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 02:42:10.603 ID:8yRUnuoz0
<友人の家>

友人「この本だ」バサッ

男「女神降臨の儀式?」

友人「このとおりに儀式をやって、現れた女神様はどんな願いでも叶えてくれるんだとさ」

男「……」

友人「ダメで元々、やってみないか?」

男「やってみるか」



俺と友人は力を合わせて、女神降臨の儀式を行った。

儀式の難度は高かったが、除夜の鐘の数と同じぐらいチャレンジしたところで、

ようやく儀式が成功した。

すると――

49: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 02:45:15.073 ID:8yRUnuoz0
ブス女神「うっふぅ~ん」ボワンッ

友人「うげえっ!?」

男「……」



虹色の羽衣に身を包んだ、絵に描いたような肥満ブスが現れた。

驚いたが、心のどこかでこの展開を予想していたのも事実だ。

51: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 02:48:37.169 ID:8yRUnuoz0
ブス女神「どんな願いでも一つだけ叶えてあげるわよぉ~ん」

男「……」

男「だったら……」

男「俺を……美女だけが寄りつくようなハーレム体質にして下さい」

友人「よくいった!」



ヒマンブスこと女神の言葉に、すかさず俺は積年の願いを口にした。

54: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 02:51:30.518 ID:8yRUnuoz0
ところが――



ブス女神「無理ね」

友人「な、なんで!?」

男「……」



落胆はさほどなかった。

なんとなく、こうなることは分かっていた。

55: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 02:54:10.449 ID:8yRUnuoz0
ブス女神「あなたのブス吸引力は強すぎるのよ」

ブス女神「どんな願いでもといった直後に情けない話だけど……」

ブス女神「あたしの力でもどうにもならないぐらいだわ」

友人「だったら、美人の恋人が欲しいっていうのは?」

ブス女神「それも無理」

ブス女神「たとえあたしが美女を呼び出しても、彼のブス吸引力で弾かれてしまうわ」

ブス女神「あと、すでに存在してる美女を恋人にしても、同じことね。すぐに破局よ」

友人「そんな……」

56: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 02:59:20.501 ID:8yRUnuoz0
友人「どうにかならないんですか!」

ブス女神「そうねえ……」

ブス女神「たとえば、あなたと絆の強い女性がいたら、その子を恋人にしてあげる……」

ブス女神「ってのはできると思うわ」

ブス女神「絆が強ければ、ブス吸引力をはねのけて恋人関係になれると思うしね」

ブス女神「だけど、そんなのいるわけがないでしょ?」

男「そのとおりです」

友人「だ、だったら……だったらっ!」



この直後、友人は思いもよらない言葉を口にした。

これが俺の運命を変えた。

59: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 03:04:09.662 ID:8yRUnuoz0
……

…………

………………

男「……」

妻「どうしたの? ぼーっとしちゃって」

男「いや……ふと昔を思い出してたんだ」

妻「もしかして、あなたがブスに追い回されてた頃のこと?」

男「うん……」



俺の“ブス吸引力”とやらは、このなかなかの美女といっていい妻を恋人にしてからは、

すっかり消え失せてしまっていた。

61: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/10/24(土) 03:09:25.607 ID:8yRUnuoz0
男「お前があの時、『オレを身も心も女にしろ』って願って恋人になってくれなかったら」

男「俺のブス吸引力は今でもあのままだっただろう」

男「だけど、本当に……後悔してないのか?」

妻「ぜーんぜん」

妻「今から思うと、私ってずっとこうなりたかったのかもって気もしてるしね」

妻「それにあなた、いつまでも昔の思い出に浸ってる場合じゃないわよ」

男「え?」

妻「だって、あなた……お父さんになるんだから」ナデナデ

男「本当か!? やったぁっ!」



かつて俺の親友だった妻のお腹には、新しい生命が宿っていた。






                                 ― おわり ―

引用元: 男「ブスだらけのハーレム」