1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 02:50:08.06 ID:KMJFxDFpo
友「ならどうして、ここにいるわけ?」

女「……?」

友「いや、なんでこっちがおかしいみたいになってんの」

女「……いつも一緒に、食べてる」

友「いやまぁ、そうだけどさ……普通は付き合い始めって言ったらこう」

『先輩、あーん』『うん、おいしいよ。ありがとう』『キャッキャッ』

友「とかやるのが定番なんじゃ?」

女「……」

友「……」

女「……きゃっきゃっ」

友「悪かった、結構くるものがあるからやめてくれ」

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2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 02:53:25.46 ID:KMJFxDFpo
女「……そういうもの、なのかな」

友「そういうもんなんじゃないかね」

友(よく知らんけど……)

女「……明日から頑張って、みる」

友「おう、その調子その調子」

女「……ありがと、ね」

友「いや、感謝されるほどの事は言ってないって」

女「……そう?」

友「そうそう」

女「……」

友(こんな調子で大丈夫なのかね……いや、それは言うまい)

3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 03:06:50.01 ID:KMJFxDFpo
女「……先輩」

先輩「ん、どうかしましたか?」

女「……あーん」

先輩「あーん……?」

女「……」

先輩「……」

友「……オイ」

女「……?」

友「口を開けさせておいて、何をボーッと見てるんだ」

女「……どれをあげたらいいかなって、思って」

友「んなもんどれでもいいんだよ!」

女「……どれでも……どれ、でも……?」

友「……」

4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 03:18:11.60 ID:KMJFxDFpo
先輩「……ぷっ、あははっ」

女「……せん、ぱい?」

先輩「おっと、失礼……あなた達の漫才が面白くて、つい」

友(この人、こんな感じで笑うんだな……)

先輩「改めて、いただいてもよろしいですか?」

女「……あ、えと」

先輩「その卵焼き、おいしそうですね」

女「……どうぞ」

先輩「もぐもぐ……うん、おいしい」

先輩「それでは、こちらからも……はい、あーん」

女「……?」

女「……あーん……ぱく」

先輩「どうですか?購買のカレーパンは」

女「もむもむ……おいしい、です」

女「……んぐ」

5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 03:23:46.93 ID:KMJFxDFpo
女「……もう一口、いいですか?」

先輩「ふふ、もう一口と言わず全部どうぞ」

女「……そんな、悪いです」

先輩「それでは、もう二口ほどそちらのお弁当をいただいても?」

女「……もう二口と言わず、どうぞ」

先輩「それは少し私が得をし過ぎではないでしょうか?」

女「……元からその、つもりで」

先輩「後日お礼を考えておきます、楽しみにしておいてください」

女「……?」


友(……高校に上がってすぐに『恋がしてみたい』なんて突然言うからどうなるかと思ってたが)

友(心配することなんて全くなかったみたいだな)

友(……こうなる事は分かりきってたことだろ、何を今さらざわざわしてるんだ)

6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 03:27:44.01 ID:KMJFxDFpo
女「……」

クイ クイ

友「ん、どした」

女「……だい、じょうぶ?」

友「大丈夫って……何が」

女「……顔色、よくない」

友「気のせいだっての」

女「……カレーパン、食べる?」

友「別に腹が減ってるわけじゃ……」

友「……貰うよ、ありがとう」

女「……にこ」

友「先輩、いただきます」

先輩「それは差し上げたものですので。どうぞどうぞ」

友(……うめぇ)

17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 01:57:59.28 ID:IQMUorgBo
友(あー、疲れた……補欠なんだから、ここまで走らせんでも……)

友「……ん?」

女「……」

友「帰宅部がなにしてんだ、こんな所で」

女「……先輩を、待ってる」

友「……あぁ、生徒会だっけか」

女「……コク」

友(こんな時間までやってのか、生徒会って)

女「……」

友「一緒に帰ろうとか、約束してるのか?」

女「……あ」

友「おいおい……」

19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 02:15:04.83 ID:IQMUorgBo
女「……」

友「……先輩の事、好きになってきたか?」

女「……?」

友「いや、こうして待ってるじゃん」

女「……まだ、よく分からない」

友「よく分からない?」

女「……うん」

女「……よく分からない、から」

女「……いつもと同じこと、してみようかと」

友「……ふぅん」

友(昨日みたいな事になるくらいなら、先に帰っちまおうかな……)

20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 02:22:30.77 ID:IQMUorgBo
女「……あ」

友「む?」

先輩「……おやおや」

先輩「記憶違いでなければ、あなたは帰宅部だったはずですが」

女「……はい」

友(間が悪いな、言い出しづらくなった)

先輩「……ふむ少しお手を拝借」

女「……?」

友「……じー」

21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 02:23:38.67 ID:IQMUorgBo
>>18
確かにそうとも読めますね……日本語って難しい
疑問形じゃない方がよかったかもしれない

23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 02:36:56.58 ID:IQMUorgBo
先輩「結構待っていたんですね、こんなに冷たくなって」

女「……ご、ごめんなさい」

先輩「謝って欲しかったわけでは無くて……」

先輩「……そうだ、毎日は難しいと思いますが」

女「……携帯?」

先輩「私のメールアドレスです。後でメールを送っておいてください。次から時間があるときはこちらからメールしますので」

女「……はい」

友(二人が話しているうちに……っ)

友「……っ」

女「……?」

友(ガッチリ袖がホールドされて……)

友「せ、折角の先輩と二人きりじゃないか。お邪魔虫は……」

先輩「ん、私は別に構いませんよ」

友「……」

24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 02:46:34.43 ID:IQMUorgBo
女「……」

先輩「……」

友「……」

友(……な、何か喋ったりしないのか?)

女「……」ふらっ

友「あ、あぶ……」

先輩「おっと、危ないですよ」

女「……あ、ありがとうございます」

先輩「いえいえ」

友(……やっぱムリにでも帰ればよかったか)

25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 02:54:58.25 ID:IQMUorgBo
女「……私は、ここで」

先輩「ほう、ここがあなたの家でしたか。覚えておきますね」

女「……また、明日」

友「おう、また明日」


友「……」

先輩「……」

友「先輩の家、こっちの方向なんですか」

先輩「いえ、完全に逆方向ですが」

友「ならなんで……」

先輩「そもそも最初から逆方向ですから、ご心配なく」

友「いや、そうじゃなくて……」

先輩「本音を言えば、少し二人でお話がしたかったんです」

友「……」

先輩「そう怖い顔しないでください、変な意味はないですから」

26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 02:55:27.65 ID:IQMUorgBo
続く

33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 20:09:55.19 ID:IQMUorgBo
友「……」

先輩「……」

友「……話がしたいんじゃ、なかったんですか」

先輩「ん、あぁ。そうでしたね」

先輩「あの人、後輩さんの好きな食べ物をお聞きしてもよろしいですか?」

友「……へ?」

先輩「何か問題がありましたか?」

友「いえ、別に問題は……いちご大福、ですけど」

先輩「ほう、いちご大福ですか。覚えておきましょう」

友(……わざわざ二人きりにならないと聞けない事か?)

34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 20:31:33.06 ID:IQMUorgBo
友「……今度はこちらから、いいですか」

先輩「はい、どうぞ」

友「あいつの方から、告白したんですよね」

先輩「そうですね、あの人から聞きましたか」

友(……あの人って言い方、なんだかな)

友「なんで承諾したんですか?初対面に等しかったと思うんですけど」

先輩「見た目で即決でした」

友「……じとー」

先輩「あの人の容姿ならそれでも変ではないと思いますが?」

友「……まぁ、そうですけど」

先輩「でしょう?ふふ」

友「……」

35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 20:39:44.27 ID:IQMUorgBo
先輩「まぁ、冗談はここまでにしておいて」

友(冗談か本気か判別付かん人だ)

先輩「と言っても、半分は冗談じゃないんですが」

友「どっちだよ!」

友「……あ」

先輩「構いませんよ、普段の口調で。その方が話しやすいのでしたら」

友「そういうわけには……」

先輩「おや、残念。もっと親しみを持っていただいて結構ですけど」

友「……話の続き、してください」

先輩「はいはい」

36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 20:52:28.18 ID:IQMUorgBo
先輩「あなた達から見れば、私の方は初対面だったと思いますが」

先輩「私の方は、よくあなた方を見かけていたんですよ」

友「そうなんですか?」

先輩「立ち入り禁止の屋上へ向かうための踊り場は、生徒会室のある階の踊り場でもありますから」

友(あそこ、下から見えてたのか)

先輩「最初は注意しようかと思っていたのですが、談笑しているお邪魔をしては悪いなと」

友(それでいいのか生徒会長)

先輩「まぁ、そういう訳でして。突然告白された時はもちろん驚きましたけど」

友「……」

先輩「まだ何か、ご不満が?」

友「……別に、元からご不満なんて」

友(あいつがご不満ないなら、口を挟む事でもないし)

37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 21:04:07.13 ID:IQMUorgBo
友「先輩」

先輩「はい?」

友「家、ここなんで」

先輩「あぁ、ではここでお別れですね」

友「……先輩」

先輩「はい?」

友「あいつの事、好きですか?」

先輩「……あなたのご期待に添えるかは分かりませんが、好きですよ」

友「……」

先輩「では、また学校で」



友「……ご期待ってなんだよ、クソッ」

39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 01:30:05.55 ID:8tceBaYho
友(……先輩もあいつが好きで、あいつも先輩が好きで)

友(それをあいつが望んだなら、それでいい……はずなのに)

友(なんでこんなにモヤモヤしてるんだろうか)

友「……ふぅ」

友(恋がしてみたい、なら……)

友(……バカみてぇ、さっさと寝ちまおう)

40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 01:42:49.03 ID:8tceBaYho
友「……ふわーぁ」

友(結局、全然眠れなかった……)

女「……欠伸、おっきい」

友「ん、あぁ……少し、寝不足で」

女「……大丈夫?」

友(お前と先輩のせいだ、なんて言ったらどんな反応するんだろう?)

女「……?」

友(……なんて、バカな事考えてないで)

友「たまたま寝付きが悪かっただけだ、そんなに心配するな」

女「……そう?」

友「うむ」

女「……あ」

友「ん?」

女「……先輩、走ってる」

友(体育の時間被ってたのか)

41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 01:57:13.57 ID:8tceBaYho
女「……先輩、足速い」

友「あぁ、ぶっちぎりだな……」

女「……じー」

友(あの横顔は誰が見てもかっこいいわな……)

女「……」

友「声援でも、送ってやれば?」

女「……んー」

友「『先輩がんばれー』とかさ」

女「……せんぱい、がんばれー」

友(そんな小さな声じゃ聞こえ……)


先輩「……――」


女「……先輩、手振ってる」

友「……振替してあげれば?」

女「……ん」

友(ほんと、完璧でヤになるね)

友(……こんな事考えてる自分は、もっとヤだけどさ)

42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 02:16:36.11 ID:8tceBaYho
先輩「……おや」

女「……?」

先輩「どうも、先程ぶりですね」

女「……ぶりです」

先輩「今日は御一人ですか?」

女「……一緒が、よかったですか?」

先輩「いえ、そんなことはないですよ」

女「……そう、ですか?」

先輩「ただ、珍しい事もあるものだなと思いまして」

女「……」

先輩「……」

先輩(……少し嘘を付いて申し訳ありません。こういう時は一緒の方が助かります)

43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 02:35:05.27 ID:8tceBaYho
女「……先輩」

先輩「はい、なんでしょう」

女「……難しいかお、してます」

先輩「そうですか?そうだとしたら、無意識です。気にしないでください」

女「……じー」

先輩(私の事よりも、気にすることがあると思うのですが)

女「……」

先輩(ふふ、しばらくはお付き合いしましょう)

友「……じー」

先輩(その方が面白そうですし)

46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 18:46:39.55 ID:8tceBaYho
女「……あ、おかえり」

友「おう、ただいま」

先輩「おかえりなさい」

友「……どうも」

女「……大丈夫?」

友「だから大袈裟だって」

先輩「何があったか、お聞きしても?」

女「……急に、貧血で倒れちゃって」

先輩「おや、それは大変ですね」

友(誰のせいだと……って、完全に八つ当たりだなそれは)

女「……ほんとに、大丈夫?」

友「ガキじゃねーんだから、いちいちそんなに近寄らんでよろしい」

47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 18:53:51.87 ID:8tceBaYho
先輩「……さて、それでは私はこの辺で」

友「え?」

女「……?」

先輩「どうもお邪魔虫なようですし」

女「……そんな事、ないですよ」

友「そうですよ、この場合むしろお邪魔虫なのは……」

女「……」

友「むっ……」

先輩「おや」

女「……虫なんて、ここにはいません」

友(久々に見たな、コイツが眉をひそめるところ)

先輩「……」

48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 18:56:19.57 ID:8tceBaYho
先輩「すいません、語弊を生む言い方をしてしまいましたね」

女「……?」

先輩「そろそろメンバーも集まっている頃でしょうし、生徒会室へ向かおうかと思いまして」

女「……あ。す、すいません」

先輩「いえいえ、見たことの無い顔が見れて満足です」

女「……あぅ」

先輩「それでは、また」

女「……はい、また」

友「……」

49: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 19:56:13.24 ID:8tceBaYho
友「そろそろ離してくれないか?」

女「……だめ」

友「本当に大丈夫だって」

女「……ほんとに、ほんと?」

友「ほんとにほんと」

女「……そっか」

友(……そんな顔、するなよ)

友(そんな顔、されると……)

女「……い、いたいよ」

友「っと……わ、悪い」

女「……じー」

友「あはは、は」

52: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 21:07:19.92 ID:8tceBaYho
先輩「……おや」

友「あ、先輩」

先輩「これまた珍しいですね、お一人ですか?」

友「……別にいつも一緒にいるわけじゃ、ありませんし」

先輩「確かに、それもそうですね」

友「先輩こそ、なんでこんな所に一人でいるんですか」

先輩「その理由はあなたにも分かっているのでは?」

友(……そういや、居残りさせられるとかなんとか言ってたっけ)

友「そういう事なら、ごゆっくり……」

先輩「あぁ、暇だ。待ってる間、凄く暇だなぁ」

友「……」

先輩「……」

53: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 21:19:59.27 ID:8tceBaYho
先輩「いやぁ、助かりました。優しい後輩を持って嬉しいです」

友(適当に切り上げて帰ろ……出来ればあいつが来る前に)

先輩「難しい顔をしてますね、あの人が心配していましたよ」

友(……そんな話までしてるのか、あいつ)

友「まぁ、色々と」

先輩「……色々と、ですか?」

友「そりゃまぁ、色々と」

先輩「ふむ、なるほど……」

54: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 21:35:13.74 ID:8tceBaYho
友「……なんかやたらと突っかかって来ません?先輩」

先輩「そうですか?こちらからすると、逆の意見ですが」

友「……そりゃすいませんでした」

先輩「いえいえ、お構いなく。あなたの事も好きですから」

友「……は?」

先輩「おっと、また語弊を生みそうな言い方をしてしまいました。これは人として、みたいな方の意味です」

友「いやまぁ、そりゃ……そうでしょ」

先輩「いやー、しかし寒いなぁ」

友(な、何を考えてるんだこの人は……)

55: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 21:52:41.62 ID:8tceBaYho
友「……先輩は、本当にあいつの事が好きなんですか?」

先輩「そうじゃなきゃ、こうして寒空の待ち合わせなんてしないと思いますけど」

友「……」

先輩「そう言えばこの前もそんな事を聞かれましたね、どうしてそんなに気になさるのでしょうか?」

友「そ、それは……」

先輩「……じー」

友「……ぐ」

先輩「答えにくいようなら質問を変えましょうか。もし仮に好きじゃない、と答えたら……」

先輩「あなたはどうするつもりなんですか?」

友「……」

56: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 22:08:09.97 ID:8tceBaYho
友「……別れさせます」

先輩「親友のために、ですか?」

友「……」

友(親友の、ために……そうだ、そう。親友、のため)

先輩「そうですか、それなら心配いりませんよ」

友(親友の、ため?)


友「……先輩」

先輩「はい、なんでしょうか」

友「失礼を承知で、申し上げます」

先輩「もったいぶらずどうぞ?」


友「あいつと、別れてください」

60: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 14:41:48.18 ID:1yysNqJeo
先輩「……」

友「突然おかしい事を言っている事は分かっています、ですが……」

先輩「いいですよ」

友「……え」

先輩「そこまで言われてしまっては仕方ありません。どうやら私はあなたの御眼鏡にかなう人間ではなかったようだ」

友「そんな、あっさりと……」

先輩「別れてくださいと言ったのはどこのどなたですか?」

友「え、その……」

先輩「じゃあ、やっぱりこのままで行きましょうか」

友(今ならまだ……)

友「……だ、ダメです……わ、私の方があいつの事、好きですからっ!」

友「……あ」

61: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 14:43:12.18 ID:1yysNqJeo
先輩「……」

友「……――」

先輩「だ、そうですよ?」

友「え……」

女「……ひょこ」

友「な……あ……?」

友「お、お前……ずっとそこに、いたのか?」

女「……ぶるぶる」

先輩「正確に言うと、私が言って待ってもらっていたんですが」

友「なんでそんなことを……」

先輩「そりゃもう、可愛い彼女から相談を受けて協力しない人間はいないでしょ」

友「相談って……うおっと」

女「……ぎゅー」

62: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 14:44:26.18 ID:1yysNqJeo
先輩「まぁ要は、そういう事ですよ」

友「……お前、恋がしてみたいって言ってたじゃんか」

女「……うん」

友「だから先輩と、だったんじゃないのか?私じゃ、ダメだから……」

女「……違った、みたい」

先輩「情けない話ですが、どうやらあなただけでなく両方の御眼鏡にかなわなかったようで」

友「ほんとにいいのか、私で」

女「……あなたが、いい」

友(……こんな簡単な事を、ずっと悩んでたのか私は)

63: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 14:45:13.77 ID:1yysNqJeo
友「……先輩は納得してるんですか、それで」

先輩「納得するもなにも、最初からそういう話でしたし」

女「……ごめんなさい、先輩」

先輩「謝らないでください。十分楽しみましたよ、私は」

先輩「まぁ、強いて言うなら……心変わりしないうちにもう少し進んでおくべきでしたか」

女「……す、進んで……」

友「なんかヤな言い方しますね……」

先輩「ははは、負け惜しみだと思ってください……さて」

先輩「そろそろ本格的に身体が冷えてきましたので私はこの辺で」

友「先輩」

先輩「はい、なんでしょうか」

友「ありがとうございました」

女「……ありがとう、ございました」

先輩「ははは、どうも」

64: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 14:45:45.76 ID:1yysNqJeo
先輩(……ありがとう、ですか)

先輩(嘘でもキスぐらいはしたと言っていた方が、面白い反応が見れたかもしれません)

先輩(この気持ちも恋……の一種なのでしょうか)

先輩「ははは、笑うしかありませんねこれは」

「せ、先輩っ!」

先輩「……?」

「ず、ずっと前から好きでした!付き合ってくださいっ!」

先輩「……ふむ」

先輩「では、キスから始めましょうか」

「え、えぇっ!?」

65: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 14:46:15.05 ID:1yysNqJeo
友(……結局、本心がよく分からない人だった)

女「……寒い」

友「ん、あぁ。私達も急いで帰るか」

女「……ぴと」

友「お、おい……そんなに引っ付くと歩きにくいだろ?」

女「……これからはもっと、引っ付く」

友「しょうがねぇな……」

女「……」

友(結局いつもとほとんど変わらねぇな……)

女「……?」

友(……いや、大きな一歩か)

66: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 14:48:05.29 ID:1yysNqJeo
女「……ねぇ」

友「んあ?」

女「……少し先に、進んでおく?」

友「へ……な、何言ってんだ?」

女「……心変わり、しちゃうかも」

友「な、何言ってんだ!」

女「……じー」

友「……お前、先輩の性格少し移ったか?」

女「……そう?」

友(やれやれ……)

67: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 14:48:35.96 ID:1yysNqJeo
友「むー……」

女「ぁ……ん……」

友「……」

女「……」

友「……こ、これでいいか?」

女「……これが、恋?」

友「ちょ、ちょっと違う気もする……」

68: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 14:49:03.99 ID:1yysNqJeo
友(その後、先輩がやたらとモテているという話題を聞いた)

友(なんだか色んな子に手を出しているとかなんとか……その方向に楽しみとやらを見出したのだろうか)

友(やっぱりあの人は、なんというか苦手だ」

女「……じー」

友「ん、どうした?」

女「……また何か、悩んでる?」

友「んー、悩みってほどではないんだが」

友(もう流石に狙ってくることは無いだろ……ないよな?)

女「……?」

友「なんでもねぇよ、なんでも」

友(まぁ、何度来ても渡さないけど)

女「……ぼー」

友(……少し心配な気がしてきた)

69: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 14:50:28.62 ID:1yysNqJeo
友「な、なぁ……」

女「……?」

友「その……だな」

女「……」

友「……ん、んむ……」

女「……ぺろ」

友「や、やっぱり似てきてないか……?」

女「??」

友(だ、大分心配だ……)

70: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 14:52:36.86 ID:1yysNqJeo
これにて終了です

読んでくださった方には感謝を

よかったら過去作もどうぞ
http://hanami2ki.blog.fc2.com/

引用元: 友「先輩と付き合ってるって言ってなかったっけ?」女「……うん」