本田「城之内んトコは家がボンビーだから複数積みできねーしな」

杏子「良かったじゃない。これでライブに行けるチャンスが増えるわね」

遊戯「たはは…あんまり褒められた手じゃないケドね」

闇遊戯（だが相棒、何か妙だぜ）

遊戯「あ、その場のノリで成仏しかけたけどやっぱりファイナルライブを見届けるまでは残るって言って還ってきたもう一人のボク！」

闇遊戯（あの海馬が、シリアル目的でこんな大会を主催するだろうか。オレにはどうもひっかかるんだ）

遊戯「確かに…ただシリアルが欲しいだけなら、海馬くんならお金の力でどうとでも出来そうだよね」

闇遊戯（……）


城之内「オッシャア！俄然燃えてきた！ やってやるぜぇ！」

翌日　童実野町時計広場


通行人「何だい今日は…さっきから腕や足や背中や頭にヘンなものを付けた連中を見かけるが…」

デュエライバーA「通行人はどいてた方がいいぜ！」ｼﾞｬﾗｼﾞｬﾗ

デュエライバーB「今日この街は戦場と化すんだからよ！」ｼﾞｬﾗｼﾞｬﾗ

デュエライバーC「愛が重いぜ…」ｼﾞｬﾗｼﾞｬﾗｼﾞｬﾗﾘ


モクバ「ウヒョー！ 兄サマの思惑どおり、全国からDueliverどもがワンサカ集まって来たみたいだぜい！」

海馬「ククク…シリアル目当ての浅ましきハイエナどもめ。精々オレの築いた舞台の上で踊るがいい」

海馬「（サイフも心も）貧しきライバーたちよ。ライブの始まりだ…」

闇遊戯「城之内くん、おそいな…」

孔雀舞「オース！遊戯！」

闇遊戯「舞。ファンミ以来だな」

孔雀舞「いよいよね――！大会集合場所の時計塔に強豪が次々と集まって来るわ！」

闇遊戯「ああ。さっきからライバー特有の殺気ってやつを感じるぜ」

孔雀舞「インセクター羽蛾にダイナソー竜崎、梶木漁太、ゴースト骨塚。ま、ここら辺は常連よね」

孔雀舞「自称サイキックライバーのエスパー絽場に……ゲッ、バンデッド・キースがいる。あいつは要注意ネ」

闇遊戯（キース…イベントの度に様々な手段を駆使して取り巻きたちと席の買い占めに転売、
　　　　　果ては当日会場で他参加者の金品の盗難までやらかすことからついた渾名が“盗賊”）

闇遊戯「バンデッド・キース。出禁を喰らったんじゃなかったのか」

キース「ああん…？ 遊戯か。なぁに、潜り込む方法ならいくらでもあんだよ」

闇遊戯「相変わらずか。貴様もμ’ｓを愛するライバーの端くれなら、これからは正々堂々と勝負するんだな」

キース「正々堂々だぁ～？カーッ、笑わせんな」

キース「遊戯よぉ、テメーもこんな大会に出場するくらいだ、何としても最後のμ’ｓに会いてえんだろ？」

キース「だったらやせ我慢しねーで、正々堂々なんて衣は脱ぎ捨てちまいなー！そうすりゃ当選通知なんて向こうからやって来らぁ！」

キース「こんな感じによ！」ﾊﾞｯ

闇遊戯・舞「！」

舞（ジャケットの裏に大量のBDが！）

キース「ククク…最後にものを言うのは結局は“コレ”の差よ」

闇遊戯「キース…この大会ではBD（未開封品に限る）は四十枚までしか持ち込めないルールがあるハズだぜ」

キース「言ってんだろ。オレは正規の参加者じゃねーのさ。だからこーいうのも許されんだよ」

舞「チッ、汚いやつ…！」

キース「覚えときな…オレはどんな手を使ってもファイナルライブに行くぜ！ハハハハ…！」

闇遊戯「バンデッド・キース！」

キース「ン…」

闇遊戯「ここではラブライバーとしてのプライドがルールだ。覚えておくんだな」

キース「笑わせんなガキが…ククク…」

闇遊戯（キース、ライバーとしての誇りを捨て去ったお前のような人種をオレは真のライバーとは認めない…！）

ダイナソー竜崎「遊戯！舞！また会（お）うたな！」

舞「あら竜崎～！」

ダイナソー竜崎「けっ、お前ら。5thでの借りはキッチリ返……ん？ 誰やお前」

エスパー絽場「ピ、ピ、ピ、のんたんのスピリチュアルの波動を感じる…それらはボクの魂に浸透しやがて一つになる…」

エスパー絽場「今1stシングルのんたんの魂と交信中――『記憶にある限り、抽選でハズレを引いたことがないツワモノなんだから！」

エスパー絽場「ライブのチケットだって絶対にケッコーイイトコ引いちゃうし、コアラのマーチは絶対レア！』――交信終了」

エスパー絽場「この時空、この空間でラッキーガールのんたんと一体化したボクが当選することは宇宙の法則となる。ピ、ピ、ピ、絶・対・イっ・ちゃ・う…」

ダイナソー竜崎「（なんやこいつ頭おかしいんか…）まあええ、どんなやつもワイのダイナソーデッキ（恐竜検定3級）で踏み潰したるわ！」

梶木漁太「ガハハ！ な～にが恐竜にエスパーじゃい！そんな米粒、ワシの海未デッキでひと飲みじゃあ！」

ダイナソー竜崎「何やと！デカさじゃワイのえみつんも負けとらんで！！」

エスパー絽場「だからのんたんはデブじゃないって何度も言ってるだろっ！」


竜崎・絽場・梶木「「「やいのやいのやいの」」」


舞「行こ…（推しメンの押し付け合いは）疲れる…」

闇遊戯「だな」

イシズ「遊戯」

闇遊戯「！…イシュタール姉弟」

イシズ「お久しぶりですね」

闇遊戯「アンタたちもここに…エジプトからはるばる来日したのか。流石だな」

闇マリク「ククク…当然だぜぇ。これから血生臭い千年の闘いが始まろうってんだ。そんな楽しいショーにオレを仲間外れにしてほしくないねぇ」

舞（ゲーッ、コイツ！ 対戦相手に散々嫌がらせして喜ぶ拷問デッキの使い手じゃないの。コイツとはもう二度と闘りたくないワ…）

闇遊戯「本来のマリクはどうした？」

イシズ「あの子は…ファイナルライブの告知を聞いて以来、また心の奥底に引き籠ってしまったのです。現実を受け入れるには、今しばらく時間が必要かと」

闇マリク「それでオレが代わりに出てきてやったってワケだぁ！ ケハハッ！！」

闇遊戯「……」

闇マリク「遊戯ぃ…オレの力を主人格サマと同じと思うなよ。人格交代を果たした時にやつのヌルいデッキは大幅に改良済みでね」

闇マリク「今度のオレのデッキのテーマは“不死”！ 《死者蘇生》をサルベージして、何度でも太陽神《穂ルアクティ》が蘇るように構築してある…」

闇遊戯「フッ、どうやら表も裏も根ッコの部分は変わらねーようだな」

闇マリク「なぁにぃ…？」

闇遊戯「不死だの伝説だの永遠だの、自分たちに耳触りの良い美麗字句でμ’ｓを飾り立てるのもいいがよ…」

闇遊戯「いい加減そーいうの忘れて純粋に楽しめよ。最後のワンマンライブだぜ」

闇マリク「！」ﾄﾞｸﾝｯ

表マリク「うっ、うわあああああああ！！！！」

イシズ「マリク！」

表マリク「嫌だぁあああ！！！ これが最後だなんて、信じたくないいい！！！」

闇マリク（ち……お前は表に出てくる必要はない…！引っ込んでろ！）


闇遊戯「やれやれ…」

舞「最後だし悔いの残らぬよう精一杯楽しもうって思うほど、余計最後ってトコを意識しちゃう。難しいわよネ」

闇遊戯「まあな。オレもこの前危うく冥界の入口を跨ぎかけたから、人のことは言えねーんだが」

闇マリク「ハァハァ…クソが」

イシズ「マリク…いえ、マリクの内なる闇（解散を認めたくない気持ち）が生み出した邪悪なる心よ」

イシズ「私はお前を闇に葬り去り、弟を取り戻す…！」

イシズ（そのためにも、、私は必ずライブのチケットを手に入れる…！ そしてマリクを心の闇から解放する！）

イシズ（未来透視の力を持つこの千年アイテム…千年タウクの力を使ってでも）

闇マリク（でも…絶望の未来しか見えないんだろう、姉上サマ…ククッ）

イシズ（……）


舞「ところでさー、城之内のやつは何やってるワケ？」

城之内「やいやい！ いきなりデュエル挑んできやがって、テメーら一体何モンだ！」

レアハンター「我らネオグルーズ、貴様のシリアルは頂く」

城之内（グールズ…レアハンターどもの残党か！ 悪党はぶっ潰してやるぜ！）


レアハンター「私のターン、《強欲で貪欲なサムデイ》を発動。デッキトップから五枚をめくり二枚を手札に加える。山札をシャッフルしモンスターをセット、ターン終了」

城之内「俺のターン！ いけ！《キューティー・パンサー・ウォリアー》で守備モンスターを攻撃！ 撃破！」

レアハンター「私のターン、《小鳥（てんし）の施し》で三枚ドローし、二枚を墓地に。モンスターを守備表示でエンド」

城之内（さっきから手札の補充と入れ替えばっかでまったく攻めて来やがらねえ、チキン野郎が！）

城之内「アレ、前もこんなことあったような…」

城之内「まあいい、《真紅眼の黒笑愛（レッドアイズ・ブラックニコ）》召喚！！ 矢澤ファイヤー！！」

レアハンター「私のターン、ドロー」


レアハンター「フフ…私の勝ちだ」

城之内「なに…！？」

.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　魔神 -恵クゾディア- 召喚！！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　
《封印されし者の右足》 《封印されし者の右腕》 《封印されしえみつん》 《封印されし者の左腕》 《封印されし者の左足》
　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　バーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン☆


　　　　　　　　　　　　　　
地が裂け震え、天が悲鳴の唸りを上げ、開かれし冥界の扉の向こう側から封印の鎖を引き千切って姿を現したのは、筋骨隆々とした剛力魔神の半身。

そのパワーは無限大。五枚の封印カードを揃えし者に、問答無用で勝利をもたらす戦場の女神。



城之内「どわああああああああああッ！！！！！！」

レアハンター「私の勝ちだ。シリアルは頂いていくぞ」

ドカ！バキ！ボコ☆

城之内「ぐあ…！」

レアハンター「フフ、全国からシリアル持ちのライバーが集うこの大会。まさしく獲物の巣窟。我々がそれを根こそぎ奪い去ってくれる…」



城之内（遊戯…奴らはとんでも…ねえ…連中…だぜ…）



――城之内克也、バトル・シティ開会前に戦闘不能（リタイア）

・
・
・


城之内「ハッ――」


遊戯「城之内くん！」

「城之内！」「目が覚めんだ！」「心配したんだからもー！」


城之内「遊戯…？ みんな…バトル・シティは？」


遊戯「……」


遊戯「城之内くん、大会はもう終わっているんだ…」



城之内が目覚めたのは一月も中旬過ぎの頃だった――

本田「つまりよー、大会はそのマリクってやつが暴れたせいで、途中でご破算になっちまったんだと」

杏子「でもそれまでの間に海馬くんは相当数のシリアルを集めたって話よねー。あと悪名高いキースのやつも」

遊戯「もう一人のボクは考えを変えたみたいで、結局アンティ・ルールで闘わなかったんだ。正々堂々抽選で勝負するって言ってたよ」

獏良「へー、ボクのいない間にそんなことが」

杏子「大体獏良くんは何してたのよ、二ヶ月も学校休んで」

獏良「いやーそれがさぁ、μ’ｓを主役にしたT・R・P・Gのシナリオ書いてたらついつい熱が入っちゃって…」

本田「獏良よぉ、二次創作もいいけど、まずはお前の物語（リアル）を叶えよーぜ」

獏良「完成したらまた皆を招待するよ。今度のは自信作なんだ！」

獏良「中世風の世界観と近代テクノロジーが入り混じった箱庭で、十二体の龍を狩りに行くってシナリオなんだけど…」ﾍﾟﾗﾍﾟﾗ

本田「聞いちゃいねぇ」

城之内「……」

遊戯「城之内くん…」

城之内「遊戯、オレはどうすりゃいいんだ…」

城之内「オレが寝てる間に応募期間は過ぎちまった。一般販売も瞬殺されるだろーよ」

遊戯「城之内くん、うぶ毛の小鳥たちも…」

城之内「いつでも好きなカードを引ける決闘王には分かんねーかもだけどよぉ！ オレにはこのチャンスに賭けるしかなかったんだ！」

遊戯「！……」

杏子「城之内！ アンタねェ…」

城之内「…ワリィ遊戯、八つ当たりしちまって」

本田「オイ城之内、お前大丈夫か？」

城之内「ああ…ちょっと外に出て、頭ァ冷やしてくるわ」

一時間後…


杏子「城之内のやつ、どこ行っちゃったんだろ」

獏良「心配だなぁ。僕の妹みたいに、解散と同時に自殺するんじゃ」

本田「まあアイツはずぶてぇ根性（タマ）してっからな。そんなヤワなやつじゃねーよ」

遊戯（城之内くん…）

ｶﾞﾗｯ

城之内「漢・城之内！ 只今参上ー！」

城之内「みんな、さっきは悪かったな！ もう大丈夫だぜ！」

杏子「城之内あんた…その手に持ってんのって、お金！？ どーしたのよそんな大金」

本田「お前まさかとうとう犯罪に手を…」

城之内「ちげーわい！ オレの魂のカード《レッドアイズ・ブラックドラゴン》（時価数十万）を質に入れてきたのよー！」

城之内「これで軍資金が出来たぜ。オレはネットオークションでの落札に賭ける！」

獏良「じょ、城之内くん…君って人は」

遊戯「ガンバレー！ 城之内くんー！」

そして抽選結果発表後の夜　遊戯の家


城之内「ぬわあああああ！！！ くそーっ！ オレは才能がないのかぁぁぁ！」

杏子「これで二十連敗目ね…」

本田「つーか才能の問題じゃねーだろ、これは」

城之内（どーなってんだ！？ いっつもイイトコでこのK・A・IってIDのヤローが邪魔してきやがる）

城之内（よくよく見れば他のオークションも全部K・A・Iってやつが買い占めてるじゃねーか。軽くン百万は超えてるぜ…？）

獏良「遊戯くん、これってもしかして」ﾋｿﾋｿ

遊戯「うん…」


海馬「ふぅん、苦戦しているようだな。馬の骨」


城之内「か、海馬…！」

海馬「ン…新着か」ﾋﾟｯ

海馬「オレだ。新たに十件…ああそうだ、全部押さえろ。いくら使っても構わん。場合によっては実行部隊（マフィア）を動かせ」

城之内「か、海馬…今の電話…やっぱりお前が」

海馬「凡骨。今日オレがここに来たのは、貴様が無様にも敗北する姿を直接この目で見届けてやるためだ。ククク…」

海馬「このオレが直々に、財力のみに頼った愚かなファン活動というものが如何に脆いか教えてやる…！」

城之内「か、海馬ぁ！ テメーの言えた台詞じゃねーだろーがよぉ！」ﾀﾞｯ

遊戯「ダメだ、城之内くん！」

城之内「海馬ぁ…！ やっぱりテメーは一回ぶちのめさねえとオレの気が済まねえ！」


モクバ「待ってくれ城之内！」

モクバ「兄サマを殴らないでくれ…兄サマがチケットの買占めを行ってるのにはワケがあるんだ」

海馬「モクバ、余計なことを！」

モクバ「兄サマの建設した海馬ランドが、世界中のガキどもに無料で開放されてるのは知ってるよな？」

モクバ「今回も同じなんだ。ラブライブを好きって気持ちは大人にも負けない…けど恵まれねぇ…
　　　　ガキってだけで差別される…そんな子供達（やつら）に兄サマは夢を見させてやろうとしてんだよ！」

遊戯「…！」

モクバ「それに兄サマがチケットを奪うのは、前の大会に出てきたような業突く張りどもや、
　　　　金にものを言わせてチケットを手に入れようとする健全でないやつらだけさ」

モクバ「兄サマだって、自分のチケットはちゃんと抽選で手に入れたんだぜ」

海馬「フン、真のデュエライバーならこのくらい出来て当然のこと」

遊戯「海馬くん…」ｷｨｨｨｨﾝ

闇遊戯「海馬。お前のやっていることにも一理あるようだな」

闇遊戯「確かにチケットを手に入れるチャンスは子供・大人問わず全てのライバーに平等であるべきだ。
　　　　　だが、貴様のしていることがそれを歪めているのもまた事実だぜ」

海馬「フッ、平等…ねえ。今回のライブ日程を見て果たして同じことが言えるか？」

海馬「遊戯、人間がそんな幻想（もの）を求める裏で生み出されたのが宗教であり、オカルティズムだ」

海馬「一方で、テクノロジーの発達（ネット売買システム）はこの世に平等など存在しないことを裏付けていく…丁度そこでベソをかいている雑魚のようにな」

城之内「…！」

海馬「城之内。貴様には地面を這い蹲る姿がお似合いだ。立ち上がることすら出来ぬ負け犬めが」

城之内「く…」ｽﾞｷｨｨｨﾝ

海馬「遊戯、オレの言ったことをよくよく考えてみるんだな」

海馬「貴様の説く平等思想は最もなことだが…その挙句がこの現状だと言うことを理解しているのか？」

海馬「結局は強者が弱者を押しのけ栄光を掴む構図に何ら変わりはない…　
　　　それなら、オレがオレの金でこのチケットたちをどうしようと、オレの勝手であろう？」

闇遊戯「……」

海馬「ゆくぞモクバ。随分と時間を無駄にしてしまった」

モクバ「あ、待ってよ兄サマ…！」

.

獏良「相変わらず無茶苦茶なんだか筋が通ってるのか分からない人だね」

闇遊戯（海馬…）



城之内「ちくしょおぉぉぉ～～～！！！」

城之内「オレはなんでこう、バカなんだ！！」

城之内「こうなるって分かってさえいりゃ…せめて静香の分だけでも」

獏良「静香ちゃん…城之内くんの妹さんだよね」

杏子「目の手術をして、もう見える様になったんだよね。元気にしてるの？」

城之内「…あいつの目はまだ見えちゃいない」

闇遊戯・本田・杏子・獏良「！！」

城之内「いや、正確に言えば手術は成功した。けど包帯を外す勇気が出ねーんだとよ」

杏子（城之内は、静香ちゃんのためにチケットを…）

城之内「オレはあいつに約束したんだ。必ずチケットを…光を勝ち取って、最後のライブに連れてってやるって…！」


城之内「だからそん時は、二人で未来に進むμ’ｓの姿を見送ろうって…」


城之内（静香…オレは……兄ちゃんは光ぽっちお前に与えてやれない！！）


城之内「くそっ、くそ…！」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ


城之内（許してくれ静香…！）

「立ち上がれ！ 城之内！」


城之内「…！舞…！」

舞「……」

城之内「け！ 俺のツラ見るんじゃねえ！」ﾌﾟｨ

舞「バーカ、見られたくないなら場所選べって」

舞「…ホラよ！」つハンカチ

城之内「……ン？」

城之内（このハンカチ…すでにぬれてるじゃねぇか…）

舞「アンタの妹さんのことは聞いてたよ…」


舞「城之内…たやすく望みを捨てるなよ」


城之内「……」


舞「その…妹さんへの一粒の涙が…大きな光になるといいな」


城之内「え…あ、このハンカチ、中に何か入って…」


《王の右手の栄光》 バン☆


城之内（これは…！当選通知のカード！）


舞「実は私もズルしちゃってネ。勝手にあんたの名前を借りて応募してたやつが当選したんだよ」

舞「よくよく考えたら野郎の名義なのに、私が使えるワケないよね。だから、それはもう私には必要のないものさ！」


城之内「舞！ お前…」


舞「楽しんでこいよ！ 城之内！」


城之内「……」


城之内「おう！！」



舞…お前なんでオレに…？


バーカ　仲間（ライバー）だからに決まってんだろ………


・
・
・

城之内「じゃーなみんな！ライブで会おうぜ！」

本田「アホ！ 明日学校で会うだろーが！」

杏子「はしゃぎすぎてライブまでに身体壊しなさんなよー！ 私また“城之内死す”なんてナレーションしたくないんだからー！」

獏良「よーし、帰ったらライブまでシナリオの続き書くぞー」

遊戯「みんな、おやすみ！気を付けて帰ってね」

城之内「ああ、サンキューな遊戯！」


城之内「さてと、静香の分をどうすっか考えねーとな。最悪2期5話みたく男装させて…兄妹だし何とかなるよな…」

ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ…

城之内「ン…？」


「久しぶりだなぁ…城之内ぃ」

城之内「テメーはっ！ バンデッド・キー…」

キース「魔法カード発動！ 《バンデッド-盗賊-》！」

城之内（なに…！？）

キース「盗賊カードは相手の手札を見て一枚奪うことが出来るのさ！」

キース「テメーの当選カードは頂くぜ！！」

ドゴオオオオオオオッ☆

城之内「ぐふっ…！」

キース「ヒャハハハッ！！！ かわいそーだから、代わりにこいつをくれてやるぜ！」ﾊﾞｻｯ

城之内（大量の…カード…？）

キース「そいつらはオレが集めたシリアルで抽選したカードたちだ。全部ハズレのクズカードだがよぉ。ハハハ！！！」

城之内「てめぇ…汚ねぇマネして…オレのカードを…」ｶﾞｸｯ

キース「これがオレ流のやり方よ！ ハハハハハ―――！！！」

――

――――

―――――――


キース「さあて、城之内からぶんどった分も合わせてかなりの数が集まったな」

キース「聞けば海馬んトコの御曹司が金に糸目をつけず当選チケットを集めてるって話だ。全部で一体いくらになるかねぇ…ククク」


「お待ちなさい」


キース「ぁん…？」

イシズ「……」

キース「なんだ女、お前もライバーか？」

イシズ「ええ。ですが持っているシリアルは6枚。全て落選したものです」

キース「ケッ、しみったれが。とっとと失せな！」

イシズ「いいえ。このまま帰るわけにはいかぬのです。闇に囚われた弟を助け出すために…」

キース「！？」

イシズ（お許しください…本来真剣勝負の世界において、このような手段を用いることなど断じて許されることではありません）

イシズ（しかし私は鬼となります…！そうでなければ見えぬ地平があるのです！）


イシズ「リバースカードオープン！！ 《現世と冥界の逆転》！！」

イシズ「このカードはライフを1000払い、互いの墓地と山札のカードを全て入れ替える効力を持ちます」


キース「なんだと…！まさか」ﾊﾞｯ


キース（オ～マイガ！オ～マイガァァ～～～～～！！）


キース「うおおおお～」

・
・
・

城之内「どうなってんだ…？」


城之内「キースがばら撒いてった落選カードが、全部当選通知に変わってるじゃねーか！」



この日、ブラコン気味のエジプト人女性（20）が発動した禁止カード（エラッタ前）の効果により、

全国のライバーたちはしばし大混乱に陥るのであった。


おわり