1: 名無しさん@おーぷん 2015/11/19(木)16:55:54 ID:Nlu
悪党「ああ約束しよう」
父「くっ・・・本当だな?」
悪党「ああ」
父「うぅ・・・絶対だな?」
悪党「ああ」
父「はぁ・・・はぁ・・・」
悪党「はやくしろ」
父「ちょっ、ちょっとまって!急がせないで!」
悪党「こっちも暇じゃないんだ」
父「心の準備が」
悪党「5分前にも聞いた」
父「体の準備が」
悪党「それはもっと前にしとけよ」
父「くっ・・・」
父「逆上がりが出来たら本当に娘を返してくれるんだろうな?」
父「くっ・・・本当だな?」
悪党「ああ」
父「うぅ・・・絶対だな?」
悪党「ああ」
父「はぁ・・・はぁ・・・」
悪党「はやくしろ」
父「ちょっ、ちょっとまって!急がせないで!」
悪党「こっちも暇じゃないんだ」
父「心の準備が」
悪党「5分前にも聞いた」
父「体の準備が」
悪党「それはもっと前にしとけよ」
父「くっ・・・」
父「逆上がりが出来たら本当に娘を返してくれるんだろうな?」
3: 名無しさん@おーぷん 2015/11/19(木)17:00:21 ID:Nlu
悪党「何回も説明しただろ」
父「ああ・・・聞いたよ」
悪党「一ヶ月前に連絡したよな?」
父「ああ・・・LINEで」
悪党「それで今日って言ったよな?」
父「ああ・・・覚えてた」
悪党「じゃあ何でお腹に贅肉ついたままなの」
父「・・・」
悪党「・・・」
父「あ・・・あと一ヶ月まt」
悪党「駄目」
父「ああ・・・聞いたよ」
悪党「一ヶ月前に連絡したよな?」
父「ああ・・・LINEで」
悪党「それで今日って言ったよな?」
父「ああ・・・覚えてた」
悪党「じゃあ何でお腹に贅肉ついたままなの」
父「・・・」
悪党「・・・」
父「あ・・・あと一ヶ月まt」
悪党「駄目」
4: 名無しさん@おーぷん 2015/11/19(木)17:03:46 ID:Nlu
父「くそ!なんて悪党だ!」
悪党「えー・・・悪党だけども」
父「娘よすまない」
悪党「見捨てんなよ」
父「ワシの力が足りないばかりに・・・」
悪党「足りないのは我慢だろ・・・」
父「妻を亡くして独り身で育てた大事な娘!」
悪党「その娘よりおやつのドーナッツが大事だったのかよ」
父「うん」
悪党「そこは否定しろ!」
悪党「えー・・・悪党だけども」
父「娘よすまない」
悪党「見捨てんなよ」
父「ワシの力が足りないばかりに・・・」
悪党「足りないのは我慢だろ・・・」
父「妻を亡くして独り身で育てた大事な娘!」
悪党「その娘よりおやつのドーナッツが大事だったのかよ」
父「うん」
悪党「そこは否定しろ!」
6: 名無しさん@おーぷん 2015/11/19(木)17:10:16 ID:Nlu
父「だって普通はもっとアレじゃん!」
悪党「アレ?」
父「『娘を返して欲しくばお前の命を捧げろ・・・』」
悪党「映画とかではそうだな」
父「『娘を助けたくば5000万用意しろ』」
悪党「リアルではそうだな」
父「『その言葉が聞きたかった・・・』」
悪党「え!今のブラックジャックなの!?」
父「普通娘の危機って言ったらドラマチックなものだろ?」
悪党「まあ一般的にはそうだな」
父「まさかこんな体育テストみたいな試練がくるなんて思わなかったから・・・」
悪党「だからおやつ抜かなかったと」
父「うん」
悪党「アレ?」
父「『娘を返して欲しくばお前の命を捧げろ・・・』」
悪党「映画とかではそうだな」
父「『娘を助けたくば5000万用意しろ』」
悪党「リアルではそうだな」
父「『その言葉が聞きたかった・・・』」
悪党「え!今のブラックジャックなの!?」
父「普通娘の危機って言ったらドラマチックなものだろ?」
悪党「まあ一般的にはそうだな」
父「まさかこんな体育テストみたいな試練がくるなんて思わなかったから・・・」
悪党「だからおやつ抜かなかったと」
父「うん」
9: 名無しさん@おーぷん 2015/11/19(木)17:16:38 ID:Nlu
悪党「信じてなかったの?」
父「だって・・・」
悪党「ビデオ送ったよね?」
父「あっ見た見た」
悪党「娘さん映ってただろ?」
父「かわいかったなーいつもワシに見せるより穏やかな顔してた」
悪党「えぇ・・・普段どんだけ酷い目で見られてるんだ・・・」
父「お父さんって10年ぶりくらいに聞けて本当にうれしかった」
悪党「それ助けて欲しくて名前呼んだんだろ」
父「でも昔みたいにパパって呼んで欲しい」
悪党「じゃあ頑張ろうよ」
父「え?何を?」
悪党「逆上がり」
父「あ・・・うん」
父「だって・・・」
悪党「ビデオ送ったよね?」
父「あっ見た見た」
悪党「娘さん映ってただろ?」
父「かわいかったなーいつもワシに見せるより穏やかな顔してた」
悪党「えぇ・・・普段どんだけ酷い目で見られてるんだ・・・」
父「お父さんって10年ぶりくらいに聞けて本当にうれしかった」
悪党「それ助けて欲しくて名前呼んだんだろ」
父「でも昔みたいにパパって呼んで欲しい」
悪党「じゃあ頑張ろうよ」
父「え?何を?」
悪党「逆上がり」
父「あ・・・うん」
10: 名無しさん@おーぷん 2015/11/19(木)17:25:16 ID:Nlu
悪党「一週間前にさ」
父「うん?」
悪党「娘さんの爪送ったよね?」
父「きたきた。加工して今も大事に持ってるよ」
悪党「え?」
父「え?」
悪党「いや何で」
父「何でって子供は家宝だろ!」
悪党「ひくわー」
父「これが娘の形見になるなんて・・・」
悪党「だから勝手に殺すなよ。諦めるなよ」
父「うん?」
悪党「娘さんの爪送ったよね?」
父「きたきた。加工して今も大事に持ってるよ」
悪党「え?」
父「え?」
悪党「いや何で」
父「何でって子供は家宝だろ!」
悪党「ひくわー」
父「これが娘の形見になるなんて・・・」
悪党「だから勝手に殺すなよ。諦めるなよ」
11: 名無しさん@おーぷん 2015/11/19(木)17:30:47 ID:Nlu
父「だって・・・」
悪党「えー逆上がりだよ?頑張れば出来るだろ」
父「いやー・・・」
悪党「その体系見てちょっとやばいかもって思ったけどさ」
父「えへへ」
悪党「でもほら娘さんの為にも挑戦くらいしようよ」
父「猶予は?」
悪党「あー、まあ3回くらい?」
父「もうひとまけ!」
悪党「・・・5回でいいよ」
父「5は縁起悪いよーほら誤解ってなんかほら」
悪党「わかったわかった10回でいいから」
父「お!太っ腹!」
悪党「それはお前だろ・・・」
悪党「えー逆上がりだよ?頑張れば出来るだろ」
父「いやー・・・」
悪党「その体系見てちょっとやばいかもって思ったけどさ」
父「えへへ」
悪党「でもほら娘さんの為にも挑戦くらいしようよ」
父「猶予は?」
悪党「あー、まあ3回くらい?」
父「もうひとまけ!」
悪党「・・・5回でいいよ」
父「5は縁起悪いよーほら誤解ってなんかほら」
悪党「わかったわかった10回でいいから」
父「お!太っ腹!」
悪党「それはお前だろ・・・」
12: 名無しさん@おーぷん 2015/11/19(木)17:40:11 ID:Nlu
父「おりゃー!」ペタン
悪党「・・・」
父「うおりゃー!」ペチン
悪党「・・・」
父「どりゃー!」ペニャ
悪党「あのー時間もないから、掛け声はいいからチャレンジしてくれ」
父「え?今3回挑戦したよ?」
悪党「え!?」
父「え?」
悪党「鉄棒に向かって歩いただけだよね?」
父「いやいや、すごい頑張ってたでしょ」
悪党「少しも逆上がってなかったよ」
父「善処しました」
悪党「・・・」
父「うおりゃー!」ペチン
悪党「・・・」
父「どりゃー!」ペニャ
悪党「あのー時間もないから、掛け声はいいからチャレンジしてくれ」
父「え?今3回挑戦したよ?」
悪党「え!?」
父「え?」
悪党「鉄棒に向かって歩いただけだよね?」
父「いやいや、すごい頑張ってたでしょ」
悪党「少しも逆上がってなかったよ」
父「善処しました」
14: 名無しさん@おーぷん 2015/11/19(木)17:45:41 ID:Nlu
悪党「もしかして・・・逆上がり知らない?」
父「ギクッ!」ギクッ!
悪党「声に出てるぞ」
父「そそっそそっそんなわけななないよおおおお~~~」
悪党「最後ソプラノになってるぞ」
父「だって・・・」
悪党「知らないの?」
父「はい・・・」
悪党「はぁ・・・」
父「その体育の授業はいつも休んでて」
悪党「分かった分かった聞いてるとこっちが滅入るから」
父「うぅ・・・」
悪党「俺が手本見せるから!やり方教えるから!」
父「ありがとうございます・・・ぐすん」
父「ギクッ!」ギクッ!
悪党「声に出てるぞ」
父「そそっそそっそんなわけななないよおおおお~~~」
悪党「最後ソプラノになってるぞ」
父「だって・・・」
悪党「知らないの?」
父「はい・・・」
悪党「はぁ・・・」
父「その体育の授業はいつも休んでて」
悪党「分かった分かった聞いてるとこっちが滅入るから」
父「うぅ・・・」
悪党「俺が手本見せるから!やり方教えるから!」
父「ありがとうございます・・・ぐすん」
15: 名無しさん@おーぷん 2015/11/19(木)18:02:06 ID:Nlu
悪党「見てろよ・・・こうやって・・・」
父「ふむふむ」
悪党「こう脇を締めて腰を上げるよう意識して・・・」
父「腰ってこのあたりですか?」サワサワ
悪党「そうだがくすぐったい」
父「すっごい腹筋してますね・・・」
悪党「言っておくがソッチの気はないからな」
父「はい」
悪党「そして・・・回る!」グルン
父「おー」パチパチ
悪党「ふぅ・・・どうだ?出来る気はしたか?」
父「はい!」
悪党「よし!じゃあやってm」
父「動くな」カチリッ
悪党「!?それは・・・俺のリボルバー・・・いつのまに」
父「最後に言い残す事は」
悪党「くっ・・・撃てよ」
父「その言葉が聞きたかった」
fin
父「ふむふむ」
悪党「こう脇を締めて腰を上げるよう意識して・・・」
父「腰ってこのあたりですか?」サワサワ
悪党「そうだがくすぐったい」
父「すっごい腹筋してますね・・・」
悪党「言っておくがソッチの気はないからな」
父「はい」
悪党「そして・・・回る!」グルン
父「おー」パチパチ
悪党「ふぅ・・・どうだ?出来る気はしたか?」
父「はい!」
悪党「よし!じゃあやってm」
父「動くな」カチリッ
悪党「!?それは・・・俺のリボルバー・・・いつのまに」
父「最後に言い残す事は」
悪党「くっ・・・撃てよ」
父「その言葉が聞きたかった」
fin
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