1: よいこ 2015/02/19(木) 22:39:46.37 ID:Dz7cLisc0
あの名作の、あの人物を主人公にしてみました。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1424353186

2: よいこ 2015/02/19(木) 22:42:13.50 ID:Dz7cLisc0
足立透「………」


3: よいこ 2015/02/19(木) 22:51:41.35 ID:Dz7cLisc0
足立「ハァ…」

足立「なんだよ、ちょっとした仕事のミスで……」

足立「せっかく都会の警察庁でエリートになるはずが……」

足立「まさか左遷とか、ありえねーって……」

足立「……稲葉市かぁ、どんなとこだろ」


5: よいこ 2015/02/19(木) 23:02:11.88 ID:Dz7cLisc0
~足立透・八十稲葉警察勤務、初日~



足立「だあ~、もう」



足立「初日からガス欠とか、マジかよ……」



足立「まずはガソスタ寄らなくちゃ……」



足立「すいませ~ん、ハイオク満タンでお願いできますかぁ?」


7: よいこ 2015/02/19(木) 23:19:32.50 ID:Dz7cLisc0
ガソスタ店員「はーい、ハイオク満タンッスね」



足立「お願いします」



ガソスタ店員「はい。…お兄さん、ここ初めての人?」



足立「あ、はい。警察署に…」



ガソスタ店員「へぇ~!警察の、…道とかわかります?」



足立「あっ…」



ガソスタ店員「それなら、~を…に行って…」



足立「あっ、どうも、ありがとうございます」



ガソスタ店員「いえいえ♪…都会から来たんですか?」



足立「え?あ、そうです…」



ガソスタ店員「な~んもないっショ、ココ」



足立「え?あぁ、ははは…」



ガソスタ店員「狭い町なんで、またお会いできると思います。どうぞ、ウチをごひいきに!」スッ



足立(…握手?)



足立「ど、どうも…」スッ



ガシッ


9: よいこ 2015/02/19(木) 23:42:45.19 ID:Dz7cLisc0
~稲葉市警察署内~



堂島遼太郎「よくきたな」



足立「あ、はい、今来ました…」



堂島「堂島だ。今日からおまえの面倒をみるように言われてる」



足立「はい、よろしくお願いします」



堂島「しかし…」



足立「はい」



堂島「初日から五分遅刻とはいい度胸だな」



足立「あ、はぁ…」



堂島「お前のいた都会と比べりゃちゃちな田舎町だが、ナメてもらっちゃこまる」



足立「はあ、スミマセン…」



堂島「いいか、五分ありゃ……で~~が…」



足立(出世とは無縁のノンキャリで、現場主義のたたきあげ…)



足立(〈捜査は足で稼ぐ〉がモットーの昔ながらの刑事…)



足立(合わないタイプだ…)


10: よいこ 2015/02/19(木) 23:48:30.55 ID:Dz7cLisc0
~午後・署内にて~



足立「ハア…」



堂島「おっ、ここにいたか」



足立「あっ、堂島さん」



堂島「足立…」



足立「え、ええと…」



堂島「今晩、ウチにメシでもくるか?」



足立「え?」



堂島「まだ、コッチに慣れてないだろ?」


11: よいこ 2015/02/20(金) 00:07:23.18 ID:e2981y6J0
~夜・堂島宅~



堂島「もう寝てるが、一人娘がいるんだ」



堂島「奈々子っていってな。俺に似合わず、よくできた子だ」



足立「へぇ~…」



堂島「…お前も都会じゃ色々あったらしいが、ここは狭い田舎町だ」



堂島「助け合って生きてる分、人の絆は深くて固い」



堂島「お前も、ここを自分の家だと思ってくれて構わん」



堂島「これから、よろしくな」



足立「や、あぁ~、ははは。よろしくお願いします」



堂島「おう。んじゃ、一杯…んぐ、んぐ……っぷぁー!うめぇ!」



足立「……」


12: よいこ 2015/02/20(金) 00:17:28.41 ID:e2981y6J0
~そして、勤務の日々~



足立[足で稼ぐ聞き込み]



足立[張り込み調査や、夫婦喧嘩の仲裁まで…]



足立[時々、捜査中に堂島さんと飲んだコーヒー]



足立[奈々子ちゃんともよく遊んだげるかなぁ]



足立[仕事帰りに、時々堂島さんとお酒を飲んだりして]



足立[他の大人が見たらなんていうんだろう]



足立[僕はこんな日々に―]



足立[少し、暖かいものを感じていた]


15: よいこ 2015/02/20(金) 00:33:37.17 ID:e2981y6J0
~とある勤務終了・足立帰宅途中にて~



足立「ハア…」



足立「早く地域の店名とか、覚えなきゃかなぁ…」



足立「捜査にさしつかえ―」



ドシッ



足立「おわわ!?」



???「……ッ」



足立「あぁ、ご、ごめんね」



足立(女の子とぶつかっちゃったよ…)



少女「…ん、平気」



足立「よ、よかったぁ」



足立(ってうわあ、カワイイ娘だなあ)



足立(…青い帽子に、あんま田舎で見ないタイプだ)



少女「…ねぇ」



足立「ん?」



少女「―自分が何者か、考えたこと…ある?」



足立「―へ?」



少女「…もう行くね」



足立「あっ…」



足立(…?)


17: よいこ 2015/02/20(金) 01:08:59.43 ID:e2981y6J0
~その日の夜・足立宅~



足立[この町に来てから一か月]



足立[『深夜0時のテレビに、自分の運命の相手が映る』]



足立[『マヨナカテレビ』という噂が、八十稲葉で流れていた]



足立「あ~…」



足立「やることないなぁ…テレビ見るくらいしか」



ピッ



TVアナウンサー『…で、この子犬のコボルトちゃんは、ニ足歩行で綱渡りができるんです!』



コボルト飼い主『はい!すごいでしょう?』



アナ『才能に恵まれてるんですねぇ~』



飼い主『はい。こんなことできるのは、うちの子くらいですよ!』



足立「………」



ブツッ…



足立「…はぁ」



足立「…おぉ、もう深夜の12時じゃん。明日も早いしそろそろ…」



ザザッ…



足立「…ん?」



足立「テレビに砂嵐…?電源切ったよな…?」



ザー…



足立「…え!?コレ……」



足立「山野真由美アナウンサーだよな?」



足立「……マヨナカテレビ?」



足立「ど、どうなってるんだ……!?」



ズプッ…



足立「あっ…!?」



足立「テレビの中に、手が入ッ―」



ヌププ……



足立「…ハハッ」



足立「…アハハハハ…!」



足立「なんだよこれ♪すごい…すごいよ―」



ピrrrr…



足立「ッ!?」



足立「…あ、堂島さんから電話か」



足立「…いいトコだったのに、空気読まないな、堂島さんは」


19: よいこ 2015/02/20(金) 11:55:40.17 ID:e2981y6J0
~数日後・ある捜査にて、八十稲葉商店街~



足立「…で、アッチが『だいだら.』で、『愛屋』に『四六商店』」



足立「どうでもいいよ~こんなの」



足立「…あ、そうだ。一応、堂島さんに確認いれとくか」



ピrrrr…



堂島【もしもし?】



足立「あ、堂島さん?いやぁ、例の件なんですけど」



足立「頭脳派の僕なりに考えたんですけど、やっぱ―」



堂島【あー…すまんな、足立。今日じゃなくてもいいか?】



足立「あ、スミマセン。休日ですもんね」



堂島【あぁ…それに今、親戚の子も来てるしな】



足立「はぁ」



堂島【アネキ夫婦の息子なんだが…日用品やらなにやら、買うもんがあって】



堂島【また後日よろしく頼むわ】



足立「あー、はい。それじゃ」



ピッ…



足立「……」



足立「…親戚の子、ね」


20: よいこ 2015/02/20(金) 12:25:11.70 ID:e2981y6J0
~数日後・八十稲葉警察署内にて~



足立「警護…ですか?」



足立の上司「そうだ。山野真由美のな。不倫騒動の」



足立「…不倫?」



足立の上司「知らなかったか…ホレ、この記事」



~議員秘書N氏・愛の密会~



~お相手はあの人気アナウンサー!?~



上司「今彼女は天城屋に宿泊してるんだが…」



上司「マスコミが押し寄せて、ちょっとした騒動になってる」



上司「そこで、警察で身辺警護を引き受けることになったんだが…」



上司「お前、明日から入れるか?」



足立「あ、えーと…堂島さんは?」



上司「聞いてないのか?家の用事で有給とってる」



足立(あー…そういえば、そんなんあったな)



足立「分かりました。明日から入ります」



上司「頼んだぞ」


21: よいこ 2015/02/20(金) 12:33:08.89 ID:e2981y6J0
~身辺警護当日・天城屋旅館~



足立「……」



足立(噂になぞらえるなら)



足立(マヨナカテレビ…映った山野アナ…)



足立(僕の…運命の相手…?)



足立(不倫なんて…そんなこと…)



足立「聞くだけ聞いてみる…か」



足立「うん…聞くだけなら…」


22: よいこ 2015/02/20(金) 12:40:54.86 ID:e2981y6J0
~天城屋・ロビー~



山野真由美「…誰よ、アナタ」



足立「ニュースとかでやってるの、本当ですか?」



足立「貴女が不倫してるとか…ウソですよね、あんなの」



山野「アナタに関係ないでしょ…!?」



足立(うーわ…否定しないんだ)



足立(目ェかけてやってたのに…こんなくだらない女だったなんて)



山野「ひ、人を呼ぶわよ!?」


23: よいこ 2015/02/20(金) 12:45:57.76 ID:e2981y6J0
足立[あーうるさい。うるさいうるさい、黙れ]



足立[…アンタさぁ、一回怖い思いとかして、頭冷やしたほうがいいよ]



山野[な…何をするき…?イ、イヤ…!]



山野[イヤァァァ…!]


24: よいこ 2015/02/20(金) 13:04:57.45 ID:e2981y6J0
足立(…って、できたらなぁ。どんだけいいか)



足立(いや、もういっそ―)



ピrrrr…



足立(おわっ、僕の携帯…!?)



山野「!?」



足立「ちょ、ちょっとスミマセン…」



ピッ



足立「はい、足立です」



堂島【おう、足立】



足立「あ、ど、堂島さん?どうかしました?」



堂島【ん?あぁ、お前が身辺警護って聞いてな…」



堂島【大丈夫か?変なミスだしてないだろうな?】



足立「や、やだなぁ、堂島さん」



足立「僕は大丈夫ですよ」



堂島【そうか。……警護、初めてだろ?】



堂島【仕事に詰まったら、相談してくれていいからな】



足立「あ、やー、はは…。ありがとうございます」



堂島【おう。じゃあな】



ブツッ…



山野「…ねぇ、さっきから、なんなの?」



足立「へ!?やー、あの…」



足立「山野さんの警護は、我々警察がしっかりと―」



山野「そんなの当たり前でしょ!?」



足立「す、スミマセン…」



山野「イライラしてるの!早くどっか行ってくれる!?」



足立「し、失礼しましたぁ~!」


25: よいこ 2015/02/20(金) 13:20:35.11 ID:e2981y6J0
~数日後・深夜12時・足立宅にて~



足立(今日は警護お休み、っと…)



足立(そーいや、明日で山野アナ帰っちゃうんだっけ)



足立(最後にサインのひとつでも…いやいや)



足立「…そういや、マヨナカテレビやってんじゃね?」



ザアー…



足立「おー、やってるやってる」



足立「…でも、なんかよく見えないな」



足立「…なんだろう」



足立「誰か苦しんでる…?みたいな」



ブツッ…



足立「あちゃー…終わっちゃたよ」



足立「…もう寝る、かな」


26: よいこ 2015/02/20(金) 13:43:56.51 ID:e2981y6J0
~とある青い部屋~



足立「…?」



足立「あれ?どこだ、ここ…?」



???「ようこそ、ベルベットルームへ…」



足立「へ?…うわあ!?」



足立「は、鼻の長い…!?」



イゴール「ワタクシはイゴール。…どうぞ、お見知りおきを」



マーガレット「そして私はマーガレットです。それから―」



少女「……」



マーガレット「…マリー?」



マリーと呼ばれた少女「…どうも」



足立(何これ!?え、だって僕、自分の部屋で…!?)



足立(美人のお姉さんと、…は、鼻?と)



足立(あれ?女の子はどこかで…)



イゴール「ここは、お客様の『旅』をお助けする場所…」



イゴール「どれ…では早速」サッ



足立(タロットカード…?)



イゴール「占いは、お好きですかな?」



イゴール「…ほう、これはこれは」



足立「あ、あのー…」



イゴール「お客様には、ある暗示が出ております…」



イゴール「これからお客様の身には、様々な困難が訪れるでしょう…」



マーガレット「―必要な時に、我々はあなた様を手助けいたします」



マーガレット「それから―マリー?」



マリー「ん。…えっと」



マリー「また、会うかも。今日は、バイバイ」



足立「あ、ちょっと―」


27: よいこ 2015/02/20(金) 13:50:14.25 ID:e2981y6J0
~朝・足立宅にて~



足立「…んあ?」



足立「…僕の部屋だ」



足立「…」



足立(ハッキリと覚えてる…)



足立(青い部屋と…それから―)



足立「…っと、イカンイカン。遅刻しちゃうよ」



足立(…何だったんだろうなぁ、あの夢)


28: よいこ 2015/02/20(金) 14:01:41.18 ID:e2981y6J0
~足立出勤~



足立(今日は晩飯どうしよう…)



足立(そういえば、家に大量のキャベツが―)



堂島「―足立ィ!」



足立「おわッ!?…って、堂島さん。おはようございます」



堂島「おう、おはよう。…今、来たとこか?」



足立「え、はい…」



堂島「悪いが、すぐに出かける準備をしてくれ」



足立「え…き、緊急の事件ですか?」



堂島「…山野真由美、覚えてるだろ」



足立「はい」



堂島「彼女が―」



堂島「―彼女の遺体が、今朝発見された」



足立「え―」


29: よいこ 2015/02/20(金) 14:03:41.68 ID:e2981y6J0
~第1話 愚者と始まり~



~第2話へ続く~


引用元: ペルソナ4 the MAGATHU