海未｢はい、もうすぐことりの誕生日ですよね？｣

海未｢なので、なにか欲しいものがあれば事前に言っておいていただけると……｣

ことり｢うぅ～ん……何でもいいの？｣

海未｢そうですね、私に用意できる範囲のものでしたら何でも｣

ことり｢じゃあねぇ……海未ちゃん！｣ｷﾞｭ-

海未｢あの、真面目に考えてください｣

ことり｢真面目だよ？｣

海未｢私が欲しいって……わ、私は既にことりと……付き合っているではありませんか///｣ｶｱｧ

ことり｢うんっ、だからデートしよ？｣

海未｢で、デートですか？｣

ことり｢誕生日プレゼント、何でもいいんだよね？｣

海未｢ええ、まあ構いませんが……デートなら既に――｣

ことり｢それでいいのっ♪いつも通りで｣

ことり｢だから、ことりの欲しい誕生日プレゼントはね……｣






ことり｢海未ちゃんとふたりっきりの時間です、な～んて///｣

海未｢……こ、ことり///｣

ことり｢えへへっ///｣

海未｢もうっ……｣

ことり｢……どう、かな？｣

海未｢……はい、二人で共に過ごしましょう｣ｷﾞｭ…

ことり｢うんっ♪｣ｷﾞｭ-

――――――

――誕生日当日 南家


ﾋﾟﾝﾎﾟ-ﾝ…

ｶﾞﾁｬ


ことり｢おはよっ、海未ちゃん♪｣

海未｢おはようございます、ことり｣

ことり｢今日は一杯楽しもうね！｣

海未｢ええ、勿論です｣ﾆｺｯ

海未｢しかし、何も予定を決めていませんが……どうします？｣

ことり｢あの、ね？実はことり……これ｣


ｽｯ

海未｢これは？いつものバッグと違いますね？｣

ことり｢う、うん……お弁当……入ってるから｣

海未｢お弁当？ことりの手作りですか？｣

ことり｢……｣ｺｸｯ

海未｢なんと、それは楽しみですねっ ｣

ことり｢で、でも！あんまり自信ないの……｣

海未｢何故ですか？｣

ことり｢お菓子作りは得意だけど、お料理はそんなに……｣ｼｭﾝ

海未｢……｣ｸｽｯ

海未｢大丈夫です、顔を上げてください｣ｽｯ

ことり｢ふぇ？｣

海未｢ことり――｣ｼﾞｯ




海未｢貴方の作ったお弁当が美味しくないはずがありませんよ｣ﾆｺ

ことり｢……うぅ///｣

海未｢是非、私に食べさせてください｣

ことり｢///｣ｶｱｧ

海未｢どうでしょうか？｣

ことり｢//////｣ｺｸｺｸｯ

海未｢ふふっ、ありがとうございます｣

海未｢では、今日のデートは無理してお出かけせずに、のんびりお散歩にでもしますか？｣

ことり｢海未ちゃんはそれでいいの？｣

海未｢構いませんよ、折角のいいお天気ですしね｣

海未｢それに――ことりと一緒なら私は何でも楽しいです｣

ことり｢……｣

海未｢ことり？｣

ことり｢今日の海未ちゃん何だか変……｣ｼﾞｯ

海未｢変？｣

ことり｢いつもより、かっこいいもん……｣

海未｢まあ……今日はことりの誕生日ですからね、私だって今日ぐらい恥ずかしがらずに振る舞います｣

海未｢こんな私は、お嫌いですか？｣

ことり｢ううん……｣ｷﾞｭｯ





ことり｢……大好き｣ﾎﾟﾌｯ

海未｢私もことりの事、大好きです｣ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ



海未｢ことり……｣ ｼﾞ-

ことり｢海未ちゃん……｣ｼﾞ-

ｺﾝｺﾝｯ




ことうみ『！？』ﾋﾞｸｯ

｢いつまで家の前でイチャついているつもりかしら～？｣

海未｢り、りり理事長！？｣

ことり｢お、おかあさんっ！？見てたの！？｣

ことり母｢あら、見せつけてたんじゃないの？｣

ことり｢そんなわけないでしょっ！｣

ことり母｢そんなに怒らなくてもいいじゃないの～｣ﾆﾔﾆﾔ

ことり｢～～！｣




ことり｢……行こっ！海未ちゃん｣ﾀﾞｯ

海未｢ちょっ、ちょっとことり！｣ﾀﾞｯ

ことり母｢気を付けていってらっしゃ～い｣ﾌﾘﾌﾘ


――――――

――公園


ことり｢もうっ、お母さんったら！｣ﾌﾟｸｩ

海未｢まあまあ、落ち着いてください｣ﾖｼﾖｼ

ことり｢せっかく海未ちゃんといい感じだったのに……｣

海未｢じゃあ、今から続きをしますか？｣

ことり｢えっ！？つ、続きって……｣

海未｢言わずとも、わかるでしょう？｣

ことり｢き、ききききすの事……だよ……ね///｣ﾌﾟｼｭ-

海未｢……｣ｸｽｯ

海未｢やはり、私達にはまだ少し早いようです｣

ことり｢ごめんね……｣

海未｢いいえ、謝ることはありませんよ｣

海未｢以前にもお話した通りゆっくり、一歩ずつ進んでいく……私達はそれでいいと思います｣

ことり｢うんっ！｣



海未｢さて、思わず理事長から逃げる形でここに来たわけですけど……｣

ことり｢ことりはここでもいいよ？｣

海未｢では、ここで暫く過ごしましょうか｣

ことり｢でも、また公園だね？｣ｸｽｯ

海未｢そうですね、ことりに告白されたのが公園｣

海未｢私がことりに返事を伝えたのも公園……私達は何かとここに縁があるようです｣ﾌﾌｯ

ことり｢あの時はまだお友達同士だったのに、今は付き合ってるんだよね……何だか夢みたい｣

海未｢……｣ｽｯ


ﾑﾆｯ


ことり｢ふへっ？う、うみひゃん？｣

海未｢……｣ﾑﾆﾑﾆ

ことり｢ひゃ、ひゃめて～……｣



海未｢……ことり、これは夢ですか？｣ﾑﾆﾑﾆ

ことり｢ひゅめじゃない……｣

海未｢ならばそういう事ですよ｣ﾊﾟｯ

ことり｢あぅ……｣ｻｽｻｽ

海未｢……｣ｼﾞ-

ことり｢どうしたの海未ちゃん？手に何か付いてるの？｣




海未｢せいっ！｣ﾑﾆｯ

ことり｢ひゃあ！｣

海未｢……ことりの頬が余りに柔らかかったので、もう一度触りたくなってしまいました｣ﾌﾆﾌﾆ

ことり｢うみひゃぁ～ん……｣

海未｢ふむ、これは素晴らしいさわり心地です。マカロンばかり食べていたらこんなになるのでしょうか？｣ﾑﾆﾑﾆ

ことり｢……う、うみひゃんのえっひぃ///｣

海未｢あ、すみません！そんなつもりで触っていたわけでは！｣ﾊﾟｯ

ことり｢ほっぺた伸びちゃうよぉ……｣ｻｽｻｽ


海未｢……｣ｿ-

ことり｢めっ！｣ﾊﾟｼｯ

海未｢そんなぁ……｣ﾋﾘﾋﾘ

ことり｢恥ずかしいからおしまいです！｣

海未｢どうしてもですか？｣

ことり｢また今度、ね？｣

海未｢うぅ……わかりました｣

ことり｢今日はかっこいい海未ちゃんじゃなかったの？｣ｸｽｯ

海未｢……おっと、そうでしたね。失礼しました｣ﾍﾟｺﾘ

海未｢ではことり、これから何をして過ごしましょう？｣

ことり｢ん～……のんびりしよ？｣

海未｢それはまた普通ですね｣

ことり｢普通が一番だよ～｣

海未｢確かに、違いないです｣

ことり｢でしょ？だから、あそこのベンチに座ろっ｣ﾀｯﾀｯﾀｯ

海未｢ふふっ……まるで子どものようですね｣


――――――

ことり｢いい天気～｣ﾎﾞ-

海未｢はい、とても過ごしやすい気候です｣

海未｢しかし、本当にこのような過ごし方で良かったのですか？｣

ことり｢いいのっ！｣

ことり｢それより海未ちゃん、もっとこっち来て……？｣

海未｢はいはい……｣


ｽｯ


海未｢これでよろしいですか？｣

ことり｢よろしいですっ！｣

ことり｢腕ぎゅってしてもいい？｣

海未｢ええ、構いませんよ｣

ことり｢ぎゅ～♪｣ｷﾞｭ-

海未｢ことりは甘えん坊ですね｣ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ



ことり｢海未ちゃんにだけだよ……｣

海未｢っ！｣ﾄﾞｷｯ

海未｢……もうっ｣ｶﾞﾊﾞｯ

ことり｢わわっ！｣

海未｢それは反則です……｣ｷﾞｭｯ

ことり｢えへへ……海未ちゃんの胸、ドキドキしてる｣

海未｢……言わないでください///｣

ことり｢ねぇ、海未ちゃん｣

ことり｢ことりの胸は……どうなってると思う？｣

海未｢｣ﾋﾟﾄｯ

海未｢……私と同じ、ですかね｣ﾌﾌｯ

ことり｢……正解ですっ｣ｷﾞｭｯ

ﾜｲﾜｲ……ﾜ-ﾜ-……


海未｢人、増えてきましたね｣

ことり｢お休みの日の公園だもん、ちっちゃな子達がいっぱい遊びに来るよ｣

海未｢保護者の方も、結構いらっしゃっているようです｣

ことり｢ことりと海未ちゃん、どんな風に見えてるのかな？｣

海未｢普通に仲のいい友達同士ではないですか？｣

ことり｢それなら嬉しいけど……ちょっと残念｣

海未｢流石に、同性で恋人同士には見られないでしょうね｣

ことり｢やっぱり、変なことなのかなぁ……｣ｼｭﾝ

海未｢大丈夫です、何も変な事ではありません｣

海未｢お互い好きになった人が同性だった。普通の恋愛との違いなんてそれだけなのですから｣

海未｢それに――｣

海未｢以前にもいいましたが、私はことりの事……何があっても放す気はさらさらありませんので、覚悟しておいてくださいね｣ﾆｺｯ

ことり｢海未ちゃぁん……｣ｼﾞ-ﾝ

海未｢ほら、元気を出してください。ことりに悲しい顔は似合いませんよ｣

ことり｢ぅ……｣ｺﾞｼｺﾞｼｯ

ことり｢うんっ！｣ﾆｺｯ



ｸﾞｩ……


ことり｢……ん？｣

海未｢……ぁ///｣ｶｱｧ

海未｢も、申し訳ありません///｣

ことり｢ちょっと早いけど、お昼にしよっか？｣ｸｽｸｽｯ

――――――

ことり｢あんまり期待しないでね？｣

海未｢ことりの手料理に期待するなという方が無理な話ですよ｣

ことり｢うぅ……えーいっ！｣


ﾊﾟｶｯ


海未｢……｣ｼﾞ-

ことり｢……｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

海未｢……あの｣

ことり｢な、何かな！｣

海未｢何故、和食ばかりなのですか？｣

ことり｢えっと……海未ちゃんはやっぱり
、洋食よりも和食の方が食べ慣れてるかなって……思って……｣ﾎﾞｿﾎﾞｿ

海未｢それで私の為にわざわざ……作るのが大変だったでしょう、ありがとうございます｣

ことり｢う、ううん！海未ちゃんが喜んでくれるといいなぁって、思って作ったら全然だったよ！｣

ことり｢それでも、慣れてないから色々失敗はしちゃったけど……残さず食べてくれると嬉しいな｣ｴﾍﾍ

海未｢ことり……｣

海未｢勿論です、ありがたく頂きますね｣

ことり｢それじゃあ……ことりが食べさせてあげる♪｣

海未｢……へっ？｣


――――――

ことり｢はいっ、海未ちゃん♪｣ｱ-ﾝ

海未｢あーん……｣ﾊﾟｸｯ


ﾓｸﾞﾓｸﾞ……


海未｢あの、ことり……普通この場合は逆ではないですか？｣

ことり｢何で？｣ｷｮﾄﾝ

海未｢だって今日はことりの誕生日ですし……｣

ことり｢誕生日だからことりのやりたい事、やってもいいんだよね？｣

海未｢それはまあ……｣

ことり｢ならことりは海未ちゃんにあ～んを続けますっ｣

海未｢ことりがいいなら、別に構いませんが……｣ﾊｧ…

ことり｢海未ちゃん海未ちゃん！次、これ食べて？｣

海未｢これは……至って普通の卵焼きですね｣

ことり｢あ～ん♪｣

海未｢……あむっ｣ﾊﾟｸｯ


ﾓｸﾞﾓｸﾞ……


海未｢……ん？｣

海未｢ほう、出し巻き玉子ですか｣

ことり｢ちゃ、ちゃんと出来てる……？｣

ことり｢ことりの家はいっつもお砂糖入れる甘々な玉子焼きだから、お出汁の方は味がわからなくて……｣

ことり｢あ、でもでもちゃんと味見はしたよ！｣

ことり｢だから大丈夫！……とは思うんだけど…………大丈夫、かな？｣

海未｢どれだけ心配してるんですか……｣

ことり｢だってぇ～……｣ｸﾞｽｯ

海未｢そんなに心配なら――｣

海未｢ほら、もう一度自分で食べてみてください｣ｱ-ﾝ

ことり｢あ、あ～ん///｣


ﾊﾟｸｯ


ことり｢もぐもぐ……｣

海未｢美味しいですか？｣

ことり｢やっぱり甘くない……｣

海未｢出し巻きだからそれが普通なんですよ｣

ことり｢けど美味しいよっ｣

海未｢それはことりが料理が上手だからでしょう｣

ことり｢違うよ、そうじゃなくって……｣

ことり｢海未ちゃんが食べさせてくれたから、かな♪｣

海未｢！｣

海未｢……ことり｣

ことり｢なぁに？｣ﾆｺﾆｺ

海未｢可愛すぎます｣

ことり｢ふぇ？｣ｷｮﾄﾝ

海未｢もう一度言います、可愛すぎます｣

ことり｢ええっ！｣

海未｢あまり可愛すぎると、襲いますよ？｣

ことり｢ふええぇっ！？｣ﾋﾞｸｯ

ことり｢こ、ことり、襲われちゃうの……？｣ｳﾙｳﾙ

海未｢冗談です、絶対にそんな事しません｣

海未｢……多分｣

ことり｢多分！？｣

海未｢まあ、ことりの可愛さ次第ですね｣

海未｢もし襲ってしまった時はことりの可愛さに私が耐えきれなくなった時なので、その時は諦めてください｣

ことり｢そ、それも冗談……だよね？｣

海未｢……さて、どうでしょう？｣ﾆｺｯ

ことり｢ぴいぃっ！？｣ﾋﾞｸｩ

――――――

海未｢ごちそうさまでした｣ﾊﾟﾝｯ

ことり｢お口にあったかな？｣

海未｢とても美味しかったです、ちなみにお世辞ではないですよ｣

ことり｢そんなのわかってるよ～海未ちゃんが嘘つくわけないもん♪｣

海未｢お礼というわけではないですが、次のデートの時は、私がお弁当を作ってきますね｣

ことり｢楽しみに待ってるね～｣

海未｢はい、お任せ下さい｣

海未｢……では、私は食後に軽く身体でも動かしましょう｣

海未｢ことりも一緒にどうですか？｣

ことり｢ん～……ことり今日はいいかなぁ｣

ことり｢ちょっと眠いから……｣ｺﾞｼｺﾞｼ

海未｢寝不足なのですか？｣

ことり｢今日のデートが楽しみでつい夜更かししちゃったの｣ｴﾍ

海未｢まったく……｣ｸｽｯ

海未｢眠かったら無理して起きてなくても大丈夫ですからね？｣

ことり｢はぁ～い、いってらっしゃ～い♪｣

海未｢……｣ﾀｯﾀｯﾀｯ



ことり(走ってる海未ちゃんはやっぱりかっこいいなぁ)

ことり(子ども達もお母さん達も皆海未ちゃんの方を見てる……美人だもんね)

ことり(ちっちゃな男の子なんかは海未ちゃんに恋しちゃったかな？)ﾌﾌｯ

ことり(でも残念……海未ちゃんはことりの恋人さんなのですっ！)ﾌﾌﾝ

ことり｢……えへ～｣ﾆﾍﾗ~



海未(ことりは一人で何をしているのでしょう……アイドルにあるまじき顔になっていますよ……)ﾀｯﾀｯﾀｯ

ことり｢……｣ﾆｺﾆｺ



海未(しかし……何度見てもことりは可愛いですね)ﾀｯﾀｯﾀｯ

海未(当然というかなんというか、やはり子どもや保護者達の視線を釘付けにしています)

海未(特に幼い少年等は、優しそうで可愛いらしいことりに恋をしてしまったのではないでしょうか？)

海未(ですが、すみません……優しくて可愛くて、少し小悪魔みたいな所もありますがそれすら愛しく感じさせてしまうことりは私の自慢の恋人なんです)ﾌﾌﾝｯ

海未｢うふっ……うふふ……｣ﾆﾔﾆﾔ



ことり(海未ちゃぁん……顔が大変なことになってるよぉ～！)ｱﾜｱﾜ



周りの親子(何やってんだあの二人……)

――――――

ﾀｯﾀｯﾀｯ……


海未｢ふぅ……運動はこれくらいにしてことりの所へ戻りましょうか｣




海未｢すみませんことり、お待たせしました｣

ことり｢……｣

海未｢ことり？｣

ことり｢……みちゃぁ｣ｽ-ｽ-

海未｢ふふっ……寝ていましたか｣

海未｢隣、失礼しますね｣ｽｯ

ことり｢……｣ｺﾃﾝ

海未｢おっと……｣

ことり｢……やらか～い｣ﾑﾆｬﾑﾆｬ

海未｢そんなに私の膝は柔らかいですか……？｣

ﾑﾆﾑﾆ……

海未｢……ふむ、まあことりが喜んでくれているなら良しとしましょう｣

ことり｢……｣ｽ-ｽ-

海未｢そういえば、ことりは今眠っているんですよね……という事はつまり、チャンス｣ｺﾞｸﾘ


ｽｯ……


海未｢せいっ｣

ﾑﾆｯ

海未｢おぉ……やはり柔らかいです｣ﾑﾆﾑﾆ

ことり｢……んぅ｣

海未｢この頬は、触れる者を夢中にさせてしまう魔性の頬ですね｣ﾑﾆﾑﾆ

ことり｢……ひゃぁん｣ﾓｼﾞﾓｼﾞ

海未｢///｣ｶｱｧ

海未｢な、何故でしょう、凄く破廉恥な行為に感じてしまいます｣ﾑﾆﾑﾆ

ことり｢……やぁ｣

海未｢や、辞めておいた方がいいのでしょうか……｣ﾑﾆﾑﾆ

ことり｢……うみちゃ｣ﾑﾆｬﾑﾆｬ

海未｢は、はいっ！！｣ﾋﾞｸｯ

ことり｢すきだよぉ……｣ｷﾞｭｯ

海未｢｣ﾌﾟﾂﾝ

海未｢ことり、最初に謝っておきます。すみません｣

海未｢もう我慢できそうにないです｣

ことり｢……｣ｽ-ｽ-

海未｢私は悪くありません｣

海未｢ことりが可愛すぎるのがダメなんです、恨むなら自分の可愛さを恨んでくださいね｣


ｽｯ……


海未｢んっ……｣ﾁｭｯ

ことり｢んっ……｣

海未｢ささやかですが、私からの誕生日プレゼントです｣ﾌﾌｯ

――――――

ことり｢ん、んんっ……？｣

海未｢やっと起きましたか、おはようございますことり｣

ことり｢おはよぉ……｣ﾎﾟｹ-

海未｢と言ってももう夕方ですけど｣ｸｽｯ

ことり｢うそっ！？｣ﾊﾟﾁｯ

海未｢本当です、空を見てください｣

ことり｢……｣ｿﾗﾐｱｹﾞ


ｶｧ……ｶｧ……


ことり｢カラスさんが鳴いてる……｣

海未｢もう帰りましょう、送ります｣

ことり｢……むうぅ｣ﾌﾟｸｩ

海未｢どうしたのです？｣

ことり｢なんで起こしてくれなかったの！｣

海未｢いえ、気持ちよさそうに眠っていたので邪魔するわけには……｣

ことり｢ことり、もっと海未ちゃんと居たかったのに……｣ｼｭﾝ

海未｢ですが、今日はずっと一日一緒に居ましたよ｣

海未｢ことりが寝ている間も、私はことりの可愛い寝顔が見られて役得でしたし｣

ことり｢へっ？///｣

海未｢とても良い一日でした｣

ことり｢……もうっ、海未ちゃんがそんなに喜んでたらことり、怒れないよ……｣

海未｢私は怒ったことりも好きですけどね｣

ことり｢海未ちゃん！｣ﾌﾟﾝﾌﾟﾝｯ

海未｢ふふっ……｣

海未｢さあ、帰りましょう｣ﾊﾟｯ

ことり｢起こしてくれなかった罰として、この手は家に着くまで離しません！｣ｷﾞｭｯ

海未｢それはありがたい御褒美です｣

ことり｢海未ちゃん変　さんだ……｣

海未｢ことりが好きですので｣

ことり｢……そうやってすぐ好きっていうところも変　さん｣

海未｢それはことりも同じでしょう｣

ことり｢違うもんっ｣ﾌﾟｲｯ

海未｢まあ別に私は変　でも構いません……好きですよことり｣

ことり｢……やっぱり変　さん///｣

海未｢では、少しはまともなことも言っておきましょうか｣

海未｢どのタイミングで言おうかとずっと悩んでいましたが、ここがちょうど良さそうです｣

ことり｢？｣

海未｢ことり――｣



海未｢お誕生日おめでとうございます｣

海未｢これからも、ずっとその可愛い笑顔を私に見せてくださいね｣ﾆｺｯ

ことり｢！｣ﾊﾟｱｧ

ことり｢……うんっ♪ずっと一緒だよ！｣ｷﾞｭ-

ヤマ無し落ち無しでしたがこれでおわりです

やっぱりぴゅあぴゅあなことうみはいいものですね