1: 短編3本立て 2011/11/27(日) 12:38:48.02 ID:sJM53n6T0
~結衣のマンション~
京子「ねぇ、結衣」
結衣「何?」
京子「明日は日曜じゃん?隣町の祭りまでちょっと遠出しない?」ネッ
結衣「明日?えらく急だな」
京子からの突然の誘いは今に始まったことじゃないが、心構えの時間くらい用意してほしい。
京子「お母さんに許可はもらってるし、結衣の浴衣もここに用意してるよ?」ホラ
結衣「返事はYES前提か」ハア
京子「でも実際、行きたいと思ってるでしょ?」ニヤニヤ
私の行動予定と性格を熟知しているこいつは、意見を聞く必要性を感じないらしい。
まぁ、京子の誘いを理由なく断るなんて、私にはできないけれど。
京子「ねぇ、結衣」
結衣「何?」
京子「明日は日曜じゃん?隣町の祭りまでちょっと遠出しない?」ネッ
結衣「明日?えらく急だな」
京子からの突然の誘いは今に始まったことじゃないが、心構えの時間くらい用意してほしい。
京子「お母さんに許可はもらってるし、結衣の浴衣もここに用意してるよ?」ホラ
結衣「返事はYES前提か」ハア
京子「でも実際、行きたいと思ってるでしょ?」ニヤニヤ
私の行動予定と性格を熟知しているこいつは、意見を聞く必要性を感じないらしい。
まぁ、京子の誘いを理由なく断るなんて、私にはできないけれど。
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 12:42:18.37 ID:sJM53n6T0
結衣「……いくけど」
腹の底まで知れた相手というのは、便利に思うときもあれば、ちょっと悔しくもなる。
それはお互い様というやつだろうから、仕方ないか。
京子「だと思った、やったー!」パァ
結衣「今日は明日に備えて、早めに寝るぞ」
京子「はーい!」
結衣「歯磨きいくよ」
京子「ラジャ!」
まぁ、はしゃぐ京子の姿が可愛いから、許してあげてもいいか。
腹の底まで知れた相手というのは、便利に思うときもあれば、ちょっと悔しくもなる。
それはお互い様というやつだろうから、仕方ないか。
京子「だと思った、やったー!」パァ
結衣「今日は明日に備えて、早めに寝るぞ」
京子「はーい!」
結衣「歯磨きいくよ」
京子「ラジャ!」
まぁ、はしゃぐ京子の姿が可愛いから、許してあげてもいいか。
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 12:44:56.40 ID:sJM53n6T0
~翌朝~
京子。
京子「………」zzz
京子、起きて。
京子「ん……」
朝は早く起こせって、京子が言ったんだぞ?
京子「むにゃ……」
京子ったら ユサユサ
京子「ん……」ゴロン
結衣「起きないと、ちゅーするぞ」ボソッ
京子「んー………へっ?」パチクリ
京子「のわぁっ!」ガバッ
京子。
京子「………」zzz
京子、起きて。
京子「ん……」
朝は早く起こせって、京子が言ったんだぞ?
京子「むにゃ……」
京子ったら ユサユサ
京子「ん……」ゴロン
結衣「起きないと、ちゅーするぞ」ボソッ
京子「んー………へっ?」パチクリ
京子「のわぁっ!」ガバッ
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 12:47:29.14 ID:sJM53n6T0
結衣「おはよう」
京子「あ……おおはよう結衣、いま、なんか…」
結衣「何?」
京子「あっ、いや夢……かな」フゥ
結衣「よくわからないけど人騒がせだな」
京子「いやぁ、ごめん」アハハ
京子は案外ちょろかったりする。
たまにはイタズラをやり返しても罰は当たるまい。
京子「あ……おおはよう結衣、いま、なんか…」
結衣「何?」
京子「あっ、いや夢……かな」フゥ
結衣「よくわからないけど人騒がせだな」
京子「いやぁ、ごめん」アハハ
京子は案外ちょろかったりする。
たまにはイタズラをやり返しても罰は当たるまい。
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 12:50:41.28 ID:sJM53n6T0
結衣「朝は食パンとコーヒーでいい?」ハイ
京子「ありがと」
京子「いただきます」
京子「」モグモグ
結衣「そういえば、移動手段はバスでいいの?」
京子「んぐ、ひゅぐひぃちゅ」モグモグ
結衣「飲み込んでから喋りなよ」
京子「」ゴクン
京子は礼儀作法もある程度出来るくせに、私の前ではめちゃくちゃだ。
無意識に私を姉のような存在として捉えて、甘えているのかもしれない。
京子「ありがと」
京子「いただきます」
京子「」モグモグ
結衣「そういえば、移動手段はバスでいいの?」
京子「んぐ、ひゅぐひぃちゅ」モグモグ
結衣「飲み込んでから喋りなよ」
京子「」ゴクン
京子は礼儀作法もある程度出来るくせに、私の前ではめちゃくちゃだ。
無意識に私を姉のような存在として捉えて、甘えているのかもしれない。
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 12:53:31.55 ID:sJM53n6T0
京子「けほっ…」トントン
京子「調べてみて、電車よりもバスの方が行き来には便利だと思って」
結衣「まぁ、お祭り関係で便数も増えてるか」
京子「バス停の場所は、よく覚えてないんだけどね」テヘッ
結衣「……下調べはしっかりやりなさい」
京子「いやぁ、ごめんごめん」
……私も、京子を妹のような目で見ていない、とは言い切れない。
この想いは分析すればするほど深みに嵌って、不安定になるものだから。
幼馴染、親友、家族、姉妹、そのどれもが当て嵌って、きっとどれも正解ではない。
私と京子、ずっと一緒にいるけれど、まだまだ私たちの関係は分からないことだらけだ。
京子「調べてみて、電車よりもバスの方が行き来には便利だと思って」
結衣「まぁ、お祭り関係で便数も増えてるか」
京子「バス停の場所は、よく覚えてないんだけどね」テヘッ
結衣「……下調べはしっかりやりなさい」
京子「いやぁ、ごめんごめん」
……私も、京子を妹のような目で見ていない、とは言い切れない。
この想いは分析すればするほど深みに嵌って、不安定になるものだから。
幼馴染、親友、家族、姉妹、そのどれもが当て嵌って、きっとどれも正解ではない。
私と京子、ずっと一緒にいるけれど、まだまだ私たちの関係は分からないことだらけだ。
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 12:56:10.93 ID:sJM53n6T0
~お昼過ぎ~
京子「結衣、すごく可愛いなぁ」
結衣「そんなことは、ない」
京子「照れなくても」
結衣「照れてない」プィ
京子「私の見立て通り、美人さんだよ?」
出かけるにあたって、黒を基調とした梅模様の浴衣を着させられた。
正直、こんな格好は断固辞退したいところだが、京子の悲しげな瞳に負けてしまった。
京子はずるい、京子は本当にずるい。
京子「結衣、すごく可愛いなぁ」
結衣「そんなことは、ない」
京子「照れなくても」
結衣「照れてない」プィ
京子「私の見立て通り、美人さんだよ?」
出かけるにあたって、黒を基調とした梅模様の浴衣を着させられた。
正直、こんな格好は断固辞退したいところだが、京子の悲しげな瞳に負けてしまった。
京子はずるい、京子は本当にずるい。
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 12:59:12.53 ID:sJM53n6T0
結衣「京子も早くそれ着なよ」ジトー
京子「ん……」
結衣「京子?」
京子「えっとさぁ」モジモジ
京子「浴衣の着付けってどうやったっけ?」アハハ
私の着替えをじっと見ていたのは、そういうことか。
単なるセクハラかと思っていた。
結衣「貸して」
京子「ほい」
結衣「とりあえず服を脱いで」
京子「結衣の ……」ポッ
結衣「アホか」ベシッ
京子「ん……」
結衣「京子?」
京子「えっとさぁ」モジモジ
京子「浴衣の着付けってどうやったっけ?」アハハ
私の着替えをじっと見ていたのは、そういうことか。
単なるセクハラかと思っていた。
結衣「貸して」
京子「ほい」
結衣「とりあえず服を脱いで」
京子「結衣の ……」ポッ
結衣「アホか」ベシッ
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 13:02:21.95 ID:sJM53n6T0
京子「ちょっとくらい乗ってくれたっていいじゃんかー」ムゥ
結衣「分かったから、さっさと服脱げ」
京子「鬼畜は嫌だよぉ……結衣ぃ……」シクシク
結衣「無理やりひっぺがされたいと?」
京子「あっ脱ぎます、脱ぎますから、無理やりはやめて」アタフタ
相変わらず調子のいいことだ。
けれど、それでこそ京子なのかも。
結衣「………」シュル
京子「………」ドキドキ
結衣「………」キュッ
京子「……出来た?」ワクワク
結衣「出来た」ポンッ
結衣「分かったから、さっさと服脱げ」
京子「鬼畜は嫌だよぉ……結衣ぃ……」シクシク
結衣「無理やりひっぺがされたいと?」
京子「あっ脱ぎます、脱ぎますから、無理やりはやめて」アタフタ
相変わらず調子のいいことだ。
けれど、それでこそ京子なのかも。
結衣「………」シュル
京子「………」ドキドキ
結衣「………」キュッ
京子「……出来た?」ワクワク
結衣「出来た」ポンッ
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 13:05:16.94 ID:sJM53n6T0
京子「どうよ、京子ちゃんのセクシーな浴衣姿は」キラーン
結衣「可愛いよ」
京子「……ッそっか」ドキドキ
結衣「何照れてんの?」クスッ
京子「うっさい、うすらとんかち」フンッ
結衣「本当に似合っているよ、京子」
京子「あ、ありがと……」
京子の浴衣は、淡い水色を基調として、その中で水玉や鯉が鮮やかに踊る。
それは京子の印象を、儚く、美しいものに変えていて。
見た目だけなら、深窓のご令嬢を偽れるかもしれないと思った。
結衣「可愛いよ」
京子「……ッそっか」ドキドキ
結衣「何照れてんの?」クスッ
京子「うっさい、うすらとんかち」フンッ
結衣「本当に似合っているよ、京子」
京子「あ、ありがと……」
京子の浴衣は、淡い水色を基調として、その中で水玉や鯉が鮮やかに踊る。
それは京子の印象を、儚く、美しいものに変えていて。
見た目だけなら、深窓のご令嬢を偽れるかもしれないと思った。
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 13:09:09.80 ID:sJM53n6T0
結衣「簪はどれがいい?」
京子「えっと、これ」
結衣「……これ、私が贈ったチャチな安物だけどいいの?」
京子「だからこそ、それがいいの」ニコッ
結衣「……そっか」
京子の優しい微笑みを見ていると、何だか心が安らいで、泣きたくなる。
込み上げる想いは、喜びでも、怒りでも、哀しみでも、楽しみでも、どれでもなくって。
欠けた何かが満たされていくような、そんな不思議なものなのだ。
結衣「結ってあげる」
京子「頼んだ」
私はショートヘアだから簪はいらないけれど、髪の長い京子には必要なものだ。
京子の艷やかな髪を彩ることができるなら、この簪も本望だろう。
そんなセンチメンタルなことを思った。
京子「えっと、これ」
結衣「……これ、私が贈ったチャチな安物だけどいいの?」
京子「だからこそ、それがいいの」ニコッ
結衣「……そっか」
京子の優しい微笑みを見ていると、何だか心が安らいで、泣きたくなる。
込み上げる想いは、喜びでも、怒りでも、哀しみでも、楽しみでも、どれでもなくって。
欠けた何かが満たされていくような、そんな不思議なものなのだ。
結衣「結ってあげる」
京子「頼んだ」
私はショートヘアだから簪はいらないけれど、髪の長い京子には必要なものだ。
京子の艷やかな髪を彩ることができるなら、この簪も本望だろう。
そんなセンチメンタルなことを思った。
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 13:13:13.24 ID:sJM53n6T0
~バスの中~
京子「結衣、海沿いだぞ、海が見える!」
結衣「落ち着きなよ」
バスに乗ってからの京子は、少し興奮気味だ。
浴衣を着て、いつもと違う街に遊びに出るのだから、気持ちは分からないでもない。
京子「ワクワクするなぁ」
結衣「そうだな」
京子「いっぱい楽しもうな、結衣」ニコニコ
結衣「…うん」ニコッ
バスの揺れ方で、人生の意味が解かった気がする日曜日。
やっぱり私という存在は、この人と共にあって初めて成り立つのだろう。
京子「結衣、海沿いだぞ、海が見える!」
結衣「落ち着きなよ」
バスに乗ってからの京子は、少し興奮気味だ。
浴衣を着て、いつもと違う街に遊びに出るのだから、気持ちは分からないでもない。
京子「ワクワクするなぁ」
結衣「そうだな」
京子「いっぱい楽しもうな、結衣」ニコニコ
結衣「…うん」ニコッ
バスの揺れ方で、人生の意味が解かった気がする日曜日。
やっぱり私という存在は、この人と共にあって初めて成り立つのだろう。
20: 速攻バレてワロタ 2011/11/27(日) 13:16:23.21 ID:sJM53n6T0
~隣町~
京子「着いたー」
結衣「京子が迷子になると困るから、手をだして」
京子「へいへい、繋げばいいんでしょ」ポン
結衣「よろしい」ギュ
私たちの関係が何であれ、貴方はきっと運命の人だから、離さないようにこの手を握る。
これはきっと単なる好きじゃない、もっと根源的な何かが、君を求めているんだ。
私はまるで、全てを貪ることを企む、そんな狡猾な獣のようだから。
京子「本格的なお祭りまで数時間ちょっとあるし、探検しようか」
結衣「あては?」
京子「無論ない!」
結衣「だと思った」ハァ
計画するのはいいけど、何とか責任を持ってくれないものかと小一時間。
京子「着いたー」
結衣「京子が迷子になると困るから、手をだして」
京子「へいへい、繋げばいいんでしょ」ポン
結衣「よろしい」ギュ
私たちの関係が何であれ、貴方はきっと運命の人だから、離さないようにこの手を握る。
これはきっと単なる好きじゃない、もっと根源的な何かが、君を求めているんだ。
私はまるで、全てを貪ることを企む、そんな狡猾な獣のようだから。
京子「本格的なお祭りまで数時間ちょっとあるし、探検しようか」
結衣「あては?」
京子「無論ない!」
結衣「だと思った」ハァ
計画するのはいいけど、何とか責任を持ってくれないものかと小一時間。
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 13:19:06.35 ID:sJM53n6T0
京子「だって、計画を思いついたの昨日だし、時間なかったもん」ショボン
結衣「縮尺地図、私がポーチに入れて持ってきてあるよ」ガサッ
京子「流石、結衣」ヨッ
結衣「京子は信用ならないからね」パラッ
京子「うぅ、幼馴染にあっさりと衝撃的事実を明かされたよ……」ヨヨヨ
結衣「泣き真似はいいから」スタスタ
京子「あぁ、結衣のいけずぅ」
結衣「ほら、どこに行きたいの?」
京子「あっ、じゃあこことか…」
結衣「了解」
君の笑顔は素敵だから、特別に許してあげよう。
君の泣き顔は、演技でも見たくはないから。
結衣「縮尺地図、私がポーチに入れて持ってきてあるよ」ガサッ
京子「流石、結衣」ヨッ
結衣「京子は信用ならないからね」パラッ
京子「うぅ、幼馴染にあっさりと衝撃的事実を明かされたよ……」ヨヨヨ
結衣「泣き真似はいいから」スタスタ
京子「あぁ、結衣のいけずぅ」
結衣「ほら、どこに行きたいの?」
京子「あっ、じゃあこことか…」
結衣「了解」
君の笑顔は素敵だから、特別に許してあげよう。
君の泣き顔は、演技でも見たくはないから。
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 13:23:11.78 ID:sJM53n6T0
~繁華街~
結衣「あと一時間くらいで、お祭りも本格的に始まるかな」
京子「それじゃ、祭り近くの商店街でのんびりするか」
結衣「あっ、そろそろコンビニで飲み物買っておく?」
京子「そういや割高だもんね、お祭りのジュース」ハハ
イラッシャイマセー
結衣「屋台は味が濃いから、お茶がいいかな」ウーン
京子「あえて、ビールとか」
結衣「この前飲んで不味いって残しただろ」ハァ
京子「今なら飲める気がする!」メラメラ
その調子でハーブティーをねだって、結局残したのはどちら様だ。
結衣「あと一時間くらいで、お祭りも本格的に始まるかな」
京子「それじゃ、祭り近くの商店街でのんびりするか」
結衣「あっ、そろそろコンビニで飲み物買っておく?」
京子「そういや割高だもんね、お祭りのジュース」ハハ
イラッシャイマセー
結衣「屋台は味が濃いから、お茶がいいかな」ウーン
京子「あえて、ビールとか」
結衣「この前飲んで不味いって残しただろ」ハァ
京子「今なら飲める気がする!」メラメラ
その調子でハーブティーをねだって、結局残したのはどちら様だ。
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 13:26:20.95 ID:sJM53n6T0
結衣「京子の分のお茶、このメーカーでいい?」ヒョイ
京子「あ、どうも」イヤー
結衣「どういたしまして」ハイハイ
京子「……って人の話はスルーしないでちゃんと聞けー!」
結衣「ビールなんてそもそも年齢確認でアウトだ、馬鹿野郎」
京子「ぐっ、バカって言った方がバカなんだからな!」
結衣「じゃあ京子も馬鹿だな」
京子「oh……」
愛はコンビニでも買えるけれど、それは大切なものだから、もう少し一緒に探してみようよ。
はしゃぐ君を見ていると、私はそう思えるんだ。
京子「あ、どうも」イヤー
結衣「どういたしまして」ハイハイ
京子「……って人の話はスルーしないでちゃんと聞けー!」
結衣「ビールなんてそもそも年齢確認でアウトだ、馬鹿野郎」
京子「ぐっ、バカって言った方がバカなんだからな!」
結衣「じゃあ京子も馬鹿だな」
京子「oh……」
愛はコンビニでも買えるけれど、それは大切なものだから、もう少し一緒に探してみようよ。
はしゃぐ君を見ていると、私はそう思えるんだ。
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 13:29:14.32 ID:sJM53n6T0
~商店街~
京子「おお、この店の下着、すっごい……」
結衣「私たちにはまだ早いって……」ソワソワ
こういう空間はどうにも落ち着かない。
ファッションや可愛い下着に興味はあるけど、実際に来るのは恥ずかしい。
京子「この黒の下着をつけた京子ちゃんとかどうよ?」ジャーン
結衣「いろいろと足りてないね」フッ
京子「こいつぅ……自分があるからって生意気だぞぉー!」ムニムニ
結衣「おい、どこ触って、ちょ、ちょっと、んっ…」ビクッ
京子「結衣の無駄な脂肪なんてこうしてやる」ムニムニ
結衣「あ、やめっ……このっ、いいかげんにしろ!」ボカッ
京子「」キュー
京子「おお、この店の下着、すっごい……」
結衣「私たちにはまだ早いって……」ソワソワ
こういう空間はどうにも落ち着かない。
ファッションや可愛い下着に興味はあるけど、実際に来るのは恥ずかしい。
京子「この黒の下着をつけた京子ちゃんとかどうよ?」ジャーン
結衣「いろいろと足りてないね」フッ
京子「こいつぅ……自分があるからって生意気だぞぉー!」ムニムニ
結衣「おい、どこ触って、ちょ、ちょっと、んっ…」ビクッ
京子「結衣の無駄な脂肪なんてこうしてやる」ムニムニ
結衣「あ、やめっ……このっ、いいかげんにしろ!」ボカッ
京子「」キュー
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 13:31:55.67 ID:sJM53n6T0
結衣「浴衣がちょっと崩れただろうが」プンプン
京子「申し訳ありません」
結衣「もう無理やり触ったりするなよ」
京子「あい」
結衣「それから、そんなものをプレゼントには絶対にするなよ」
京子「イエスマム」
結衣「京子は突飛なことを思いつくから、信用できないな」ジトー
京子「むぅぅ~」ウルウル
結衣「へそ曲げてないで、機嫌直してよ」ヤレヤレ
京子「申し訳ありません」
結衣「もう無理やり触ったりするなよ」
京子「あい」
結衣「それから、そんなものをプレゼントには絶対にするなよ」
京子「イエスマム」
結衣「京子は突飛なことを思いつくから、信用できないな」ジトー
京子「むぅぅ~」ウルウル
結衣「へそ曲げてないで、機嫌直してよ」ヤレヤレ
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 13:35:17.61 ID:sJM53n6T0
パーン パーン
結衣「ほら、祭り開始の合図だ」
京子「おぉぉ」パァ
京子「早く、結衣、早く」グイグイ
さっきまでの調子はどこへやら、目を爛々と輝かせて、慌てて店を出ようとする。
結衣「そんなに急かすと危ないって」パタパタ
京子「大丈夫、大丈夫」
結衣「仕方ないなぁ」クスッ
変な下着の話に夢がはじけて笑う、そんな寄り道だってありだろう。
この扉を開けたら走ろうか、遥か地球の果てまでも、どこまでも。
悪あがきになっても、呼吸をしながら君を乗せていくからさ。
結衣「ほら、祭り開始の合図だ」
京子「おぉぉ」パァ
京子「早く、結衣、早く」グイグイ
さっきまでの調子はどこへやら、目を爛々と輝かせて、慌てて店を出ようとする。
結衣「そんなに急かすと危ないって」パタパタ
京子「大丈夫、大丈夫」
結衣「仕方ないなぁ」クスッ
変な下着の話に夢がはじけて笑う、そんな寄り道だってありだろう。
この扉を開けたら走ろうか、遥か地球の果てまでも、どこまでも。
悪あがきになっても、呼吸をしながら君を乗せていくからさ。
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 13:38:22.45 ID:sJM53n6T0
~お祭り~
京子「お祭りの雰囲気っていいね!」
結衣「分かってると思うけど、まずは神社にお参りするよ」
京子「はーい」
結衣「参拝方法は覚えてる?」
京子「もち、二礼二拍手一礼」
結衣「その前に手を洗って口も濯ぐ」
京子「おぅ、ジーザス」
結衣「お前も私も神道だろ」
京子「そうでした」エヘッ
会釈しながら鳥居から入る、真ん中は神の通り道だから通らない、そんな風に決まりがある。
せっかく日本に生まれ落ちたのだから、それくらいは守っておきたい。
京子「お祭りの雰囲気っていいね!」
結衣「分かってると思うけど、まずは神社にお参りするよ」
京子「はーい」
結衣「参拝方法は覚えてる?」
京子「もち、二礼二拍手一礼」
結衣「その前に手を洗って口も濯ぐ」
京子「おぅ、ジーザス」
結衣「お前も私も神道だろ」
京子「そうでした」エヘッ
会釈しながら鳥居から入る、真ん中は神の通り道だから通らない、そんな風に決まりがある。
せっかく日本に生まれ落ちたのだから、それくらいは守っておきたい。
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 13:41:34.67 ID:sJM53n6T0
~神社~
結衣「」パン、パン
京子「………」
結衣「……これでいいかな」フゥ
京子「結衣は、何をお願いしたの?」
結衣「即物的なお願いは避けたから、多分京子の期待には沿えないよ」
京子「年寄り臭いぞ、この頑固ものめ」
そもそも、神に願うには、それなりの代償や苦労が必要なのがセオリーで。
ふらりと立ち寄った余所者の願いを、わざわざ聞いてくれる殊勝な神はいないだろう。
少なくとも私なら、門前払いにするだろう。
……それでも、
結衣「」パン、パン
京子「………」
結衣「……これでいいかな」フゥ
京子「結衣は、何をお願いしたの?」
結衣「即物的なお願いは避けたから、多分京子の期待には沿えないよ」
京子「年寄り臭いぞ、この頑固ものめ」
そもそも、神に願うには、それなりの代償や苦労が必要なのがセオリーで。
ふらりと立ち寄った余所者の願いを、わざわざ聞いてくれる殊勝な神はいないだろう。
少なくとも私なら、門前払いにするだろう。
……それでも、
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 13:44:40.66 ID:sJM53n6T0
結衣「……それでも、あえて願うなら」
結衣「好きな人の傍をずっと離れないでいられる、そんな絶対の勇気が欲しい、かな」
京子「ん?」キョトン
京子「離れませんように、じゃダメなの?」
結衣「神様におんぶに抱っこなんて、性に合わないし」ダメッ
京子「というか好きな人って、誰?」モジモジ
結衣「さあね」
京子「むー」ムスッ
私には君が必要なんだ、君さえいればそれでいい。
無料のユートピアなんて、あえて汚れた靴で通り過ぎてやろうよ。
私達自身の手で見つけたいから、この関係の行くべき道を。
結衣「好きな人の傍をずっと離れないでいられる、そんな絶対の勇気が欲しい、かな」
京子「ん?」キョトン
京子「離れませんように、じゃダメなの?」
結衣「神様におんぶに抱っこなんて、性に合わないし」ダメッ
京子「というか好きな人って、誰?」モジモジ
結衣「さあね」
京子「むー」ムスッ
私には君が必要なんだ、君さえいればそれでいい。
無料のユートピアなんて、あえて汚れた靴で通り過ぎてやろうよ。
私達自身の手で見つけたいから、この関係の行くべき道を。
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 13:47:48.19 ID:sJM53n6T0
京子「おみくじ大吉だし!」
結衣「私は末吉」
京子「仕方ない、私の幸運を分けてやろう」エッヘン
結衣「不可分なものをどうやって分けるんだよ」
京子「いつも一緒にいれば、半分こじゃん?」エヘヘ
結衣「……そっか」フフッ
投げたボールが望み通りに対岸に届いた日。
もらいあくびした後の涙目で茜空を見た日。
悲しい話は絶えないけれど、それでも二人一緒に輝く明日を目指していよう。
それが許されるなら、きっとそれだけで幸せだ。
結衣「私は末吉」
京子「仕方ない、私の幸運を分けてやろう」エッヘン
結衣「不可分なものをどうやって分けるんだよ」
京子「いつも一緒にいれば、半分こじゃん?」エヘヘ
結衣「……そっか」フフッ
投げたボールが望み通りに対岸に届いた日。
もらいあくびした後の涙目で茜空を見た日。
悲しい話は絶えないけれど、それでも二人一緒に輝く明日を目指していよう。
それが許されるなら、きっとそれだけで幸せだ。
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 13:50:23.11 ID:sJM53n6T0
京子「しかし、こういう厳かな空気っていいね」
結衣「京子の場合、半刻もしないうちに飽きる、に百円」
京子「何たる言い草、本当に挑戦して百円を請求するぞぉー」
結衣「やれるものならやってみなよ」
京子「……ごめんなさい、正直そろそろお祭りに参加したいです」
結衣「素直でよろしい」
京子「ってなわけで夜店いこっ」ニコッ
結衣「はいはい、お嬢様の仰せのままに」クスッ
京子は自由奔放で、誰にも縛られなくて、まるで空を飛ぶ鳥のようだ。
その姿に少し寂しくなるけれど、私という宿り木の下で羽を休めてくれるのなら、それでいい。
無理やりこの手で捕まえることもできるけれど、それでは鳥は弱ってしまうだろうから。
結衣「京子の場合、半刻もしないうちに飽きる、に百円」
京子「何たる言い草、本当に挑戦して百円を請求するぞぉー」
結衣「やれるものならやってみなよ」
京子「……ごめんなさい、正直そろそろお祭りに参加したいです」
結衣「素直でよろしい」
京子「ってなわけで夜店いこっ」ニコッ
結衣「はいはい、お嬢様の仰せのままに」クスッ
京子は自由奔放で、誰にも縛られなくて、まるで空を飛ぶ鳥のようだ。
その姿に少し寂しくなるけれど、私という宿り木の下で羽を休めてくれるのなら、それでいい。
無理やりこの手で捕まえることもできるけれど、それでは鳥は弱ってしまうだろうから。
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 13:53:11.01 ID:sJM53n6T0
京子「いっくぞー」
結衣「わかったわかった」
走る、遥かこの地球の果てまで。
恥ずかしくても、まるで駄目でも、格好つけていこう。
私には君が必要だけれど、君の前では情けない姿なんて見せたくないもの。
いつか君が躓いたときには、その隣で手を差し伸べるから。
ふらつきながら、迷いながら、二人で一緒に答えを見つけよう。
結衣「わかったわかった」
走る、遥かこの地球の果てまで。
恥ずかしくても、まるで駄目でも、格好つけていこう。
私には君が必要だけれど、君の前では情けない姿なんて見せたくないもの。
いつか君が躓いたときには、その隣で手を差し伸べるから。
ふらつきながら、迷いながら、二人で一緒に答えを見つけよう。
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 13:56:14.70 ID:sJM53n6T0
~お祭りの屋台~
京子「まずは何にしよっかなー」
京子「あれ?結衣?」キョロキョロ
アリヤシター
結衣「」モグモグ
京子「ちょっと結衣、なに抜け駆けして食ってんのさ!」ガシッ
結衣「ベビーカステラだけど」モグモグ
京子「いや、ほら、そういう問題じゃなくて」
結衣「あーん」ホレ
京子「へっ?」
京子「まずは何にしよっかなー」
京子「あれ?結衣?」キョロキョロ
アリヤシター
結衣「」モグモグ
京子「ちょっと結衣、なに抜け駆けして食ってんのさ!」ガシッ
結衣「ベビーカステラだけど」モグモグ
京子「いや、ほら、そういう問題じゃなくて」
結衣「あーん」ホレ
京子「へっ?」
42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 13:58:24.38 ID:sJM53n6T0
結衣「欲しいんじゃなかったのか?」コテン
京子「あ、あーん」パクッ
結衣「美味しいか?」
京子「う、うん」モジモジ
結衣「たこ焼きも買って半分こするか」スミマセーン
オジョウチャンカワイイネー
京子「………」
京子「うぅぅ、結衣のばかぁ……」ガックリ
サービスシチャウヨー
結衣「」ウマウマ
京子「しかも、あんなおっさんに媚びて……」イラッ
京子「私にもよこせー!」ウガー
京子「あ、あーん」パクッ
結衣「美味しいか?」
京子「う、うん」モジモジ
結衣「たこ焼きも買って半分こするか」スミマセーン
オジョウチャンカワイイネー
京子「………」
京子「うぅぅ、結衣のばかぁ……」ガックリ
サービスシチャウヨー
結衣「」ウマウマ
京子「しかも、あんなおっさんに媚びて……」イラッ
京子「私にもよこせー!」ウガー
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 14:01:48.23 ID:sJM53n6T0
京子「これから何しよっか」
結衣「何するの?」モグモグ
京子「うーん、射的でもやってみる?」
結衣「取れる気がしない」モグモグ
京子「じゃあ、くじとか」
結衣「当たりくじは事前に抜いてるから無駄」モグモグ
京子「きっ、金魚掬い……とか?」
結衣「死骸の処理が大変だろ」モグモグ
京子「……つーか、することねぇ!」
結衣「かき氷食べる?」ハイ
京子「…うん」パクッ
結衣「何するの?」モグモグ
京子「うーん、射的でもやってみる?」
結衣「取れる気がしない」モグモグ
京子「じゃあ、くじとか」
結衣「当たりくじは事前に抜いてるから無駄」モグモグ
京子「きっ、金魚掬い……とか?」
結衣「死骸の処理が大変だろ」モグモグ
京子「……つーか、することねぇ!」
結衣「かき氷食べる?」ハイ
京子「…うん」パクッ
44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 14:06:20.42 ID:sJM53n6T0
京子「………」ズーン
食べ物を好きなだけ楽しんでいたら、京子がちょっと落ち込んでいた。
予想外に遊べるものが少ないことと、私がそれに乗り気でないことが原因かな。
結衣「京子」
京子「なあに?結衣」ウフフー
結衣「……お祭りを純粋に楽しむことは、できなくなったかもしれないけどさ」
結衣「私は、京子と手を握って、こうして歩いていられるだけで、」
結衣「すごく楽しいよ」ニコッ
京子「ばっ、恥ずかしいセリフは禁止!」
結衣「京子の顔、真っ赤」クスクス
京子「違うし、これは人混みの影響だから!」プィ
そういうことにしてあげよう。
食べ物を好きなだけ楽しんでいたら、京子がちょっと落ち込んでいた。
予想外に遊べるものが少ないことと、私がそれに乗り気でないことが原因かな。
結衣「京子」
京子「なあに?結衣」ウフフー
結衣「……お祭りを純粋に楽しむことは、できなくなったかもしれないけどさ」
結衣「私は、京子と手を握って、こうして歩いていられるだけで、」
結衣「すごく楽しいよ」ニコッ
京子「ばっ、恥ずかしいセリフは禁止!」
結衣「京子の顔、真っ赤」クスクス
京子「違うし、これは人混みの影響だから!」プィ
そういうことにしてあげよう。
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 14:09:46.37 ID:sJM53n6T0
結衣「あのくじ引きのはずれのおもちゃ、可愛いな」
京子「ああ、うにみたいなやつね」
結衣「ちょっと一回やってみよう」ウン
京子「どうせやるなら、一等を狙いなよ」ジトー
結衣「京子はどうする?」
京子「私もやる!」ニパッ
京子のご機嫌なんて、春の天候のようにコロコロ変わる。
私にかかれば、それを自由に操作するなんてお茶の子さいさいだ。
結衣「なんかよくわからないのが当たった」
京子「はずれた」
結衣「別に要らないし、はずれと取り替えてもらおうか」
京子「私のはずれあげるから、もったいないことしちゃダメ!」
こういうものは順位が高くても、いらないものもあると思うけど。
京子「ああ、うにみたいなやつね」
結衣「ちょっと一回やってみよう」ウン
京子「どうせやるなら、一等を狙いなよ」ジトー
結衣「京子はどうする?」
京子「私もやる!」ニパッ
京子のご機嫌なんて、春の天候のようにコロコロ変わる。
私にかかれば、それを自由に操作するなんてお茶の子さいさいだ。
結衣「なんかよくわからないのが当たった」
京子「はずれた」
結衣「別に要らないし、はずれと取り替えてもらおうか」
京子「私のはずれあげるから、もったいないことしちゃダメ!」
こういうものは順位が高くても、いらないものもあると思うけど。
48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 14:12:17.98 ID:sJM53n6T0
結衣「そろそろ花火のための席取りしようか」
京子「もうどこもいっぱいじゃない?」
結衣「神社の裏手に、寂れたベンチがあった」
京子「マジで!?」
先のことは常に考えて、行動するものだ。
結衣「たぶん、皆神社なんて忘れてるから、空いてると思う」
京子「結衣ー何してるの!早く行くぞー!」
結衣「人の話を聞け」
そそっかしいにも程がある。
京子「もうどこもいっぱいじゃない?」
結衣「神社の裏手に、寂れたベンチがあった」
京子「マジで!?」
先のことは常に考えて、行動するものだ。
結衣「たぶん、皆神社なんて忘れてるから、空いてると思う」
京子「結衣ー何してるの!早く行くぞー!」
結衣「人の話を聞け」
そそっかしいにも程がある。
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 14:15:25.81 ID:sJM53n6T0
~お祭りの花火~
ドーン ドドーン
京子「綺麗な花火だね」
結衣「そうだな」
大輪の花が、次々と夜の空に咲く。
咲いては散って、咲いては散って、それを繰り返しているだけなのに、綺麗だと思う。
京子「………」
結衣「………」
花火は金属固有の燃焼反応の色を利用したもので、それを工夫して芸術に仕立て上げる。
まぁ、打ち上げて均等に光を散らすのが難しくても、所詮は理科の実験と大して変わらない。
それでも、何故かこうして心動かされるのは、
私たちに感性や文化が、脈々と受け継がれてきたからなのかもしれない。
ドーン ドドーン
京子「綺麗な花火だね」
結衣「そうだな」
大輪の花が、次々と夜の空に咲く。
咲いては散って、咲いては散って、それを繰り返しているだけなのに、綺麗だと思う。
京子「………」
結衣「………」
花火は金属固有の燃焼反応の色を利用したもので、それを工夫して芸術に仕立て上げる。
まぁ、打ち上げて均等に光を散らすのが難しくても、所詮は理科の実験と大して変わらない。
それでも、何故かこうして心動かされるのは、
私たちに感性や文化が、脈々と受け継がれてきたからなのかもしれない。
51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 14:20:01.25 ID:sJM53n6T0
京子「……記念に、一緒に写真を撮ろっか」
結衣「それもいいね」
京子「このカメラなら、花火もしっかり写るんだぞっ!」ジャーン
結衣「楽しみにしてる」
京子「私と結衣の大切な思い出が、また増えたね」エヘヘ
ああ神様、この人となら、このままどこまでも一緒にいける。
この地球のはるか遠くまで、どこまでも行けそうな気がしてくるんだ。
結衣「それもいいね」
京子「このカメラなら、花火もしっかり写るんだぞっ!」ジャーン
結衣「楽しみにしてる」
京子「私と結衣の大切な思い出が、また増えたね」エヘヘ
ああ神様、この人となら、このままどこまでも一緒にいける。
この地球のはるか遠くまで、どこまでも行けそうな気がしてくるんだ。
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 14:22:20.85 ID:sJM53n6T0
~花火終了~
結衣「そろそろ帰ろうか」
京子「うん」
いつか本当の自分を君にさらけ出せるように、転んだときは、二人で立ち上がれるように。
また、君の手をそっと握りしめる。
結衣「京子」
京子「何?結衣」
結衣「いつも、ありがとう」
傍にいてくれて、ありがとう。
結衣「そろそろ帰ろうか」
京子「うん」
いつか本当の自分を君にさらけ出せるように、転んだときは、二人で立ち上がれるように。
また、君の手をそっと握りしめる。
結衣「京子」
京子「何?結衣」
結衣「いつも、ありがとう」
傍にいてくれて、ありがとう。
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 14:25:03.47 ID:sJM53n6T0
少し照れくさいけれど、 私には京子が必要で。
そんなことはとっくに分かっていたけれど、今回は新しく見つけたこともある。
カタチさえも不確定なこの想いだけれど、
それでも、貴方が好き。
そんなことはとっくに分かっていたけれど、今回は新しく見つけたこともある。
カタチさえも不確定なこの想いだけれど、
それでも、貴方が好き。
56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 14:28:29.89 ID:sJM53n6T0
京子「どっ、どうしたの?急に」モジモジ
結衣「たまには、悪くないって思ってさ」
京子「そっか!」パァァ
京子「こちらこそ、付き合ってくれてありがとう!」ニコッ
結衣「……なんか照れくさいな」
京子「まぁまぁ、たまにはいいじゃん!」
結衣「……帰るよ」
京子「照れてる結衣、可愛い」
結衣「うっさい」スタスタ
京子「あっ、まってよー」
だから、私たちの行く末を見守っていてください、神様。
その結末は、どんなものよりも眩しくて、綺麗なものになるだろうから。
おわり
結衣「たまには、悪くないって思ってさ」
京子「そっか!」パァァ
京子「こちらこそ、付き合ってくれてありがとう!」ニコッ
結衣「……なんか照れくさいな」
京子「まぁまぁ、たまにはいいじゃん!」
結衣「……帰るよ」
京子「照れてる結衣、可愛い」
結衣「うっさい」スタスタ
京子「あっ、まってよー」
だから、私たちの行く末を見守っていてください、神様。
その結末は、どんなものよりも眩しくて、綺麗なものになるだろうから。
おわり
58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 14:31:12.58 ID:sJM53n6T0
2本目
ちなつ「雨上がりのその後に」
ちなつ「雨上がりのその後に」
60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 14:33:49.48 ID:sJM53n6T0
~ごらく部~
ちなつ「まだ降ってますね」
結衣「そうだね」
降り始めから三十分ほど経ったけれども、しとしとと降り続く雨は未だ止まない。
ちなつ「………」
結衣「………」
先日に梅雨入りしただけあって、最近は雨続きだ。
今日の天気予報は快晴だったのにご覧の有様で、TVに八つ当たりの一つでもしたくなる。
ちなつ「………」
結衣「………」
現在、部室に結衣先輩と二人きりになっている。
普段ならはしゃいでいるところだが、この天気とあっては、会話も途絶えて沈黙がちになる。
ちなつ「まだ降ってますね」
結衣「そうだね」
降り始めから三十分ほど経ったけれども、しとしとと降り続く雨は未だ止まない。
ちなつ「………」
結衣「………」
先日に梅雨入りしただけあって、最近は雨続きだ。
今日の天気予報は快晴だったのにご覧の有様で、TVに八つ当たりの一つでもしたくなる。
ちなつ「………」
結衣「………」
現在、部室に結衣先輩と二人きりになっている。
普段ならはしゃいでいるところだが、この天気とあっては、会話も途絶えて沈黙がちになる。
63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 14:36:11.05 ID:sJM53n6T0
ちなつ「………」
結衣「………」
ちなつ「いい音ですね、コンクリートとは違って、音が柔らかくて」
結衣「確かに、土の臭いも仄かにして、趣深いね」
耳を優しく叩く音は、いつもの状況では体験できない貴重なものでもある。
空気がじめじめしているのは気に食わないが、それでも発想の転換で少しでも楽しみたい。
後ろ向きなコトばかり考えては気が滅入る、前向きでいるのが私のスタンスなのだ。
ちなつ「雨、止みそうにないです」
結衣「天気予報も、案外嘘つきなものだから」
ちなつ「………」
結衣「………」
ゆったりとしたテンポで会話をしながら、お茶を少しずつ飲む。
時間の流れがいつもより緩やかで、こういう静かな空気も悪くない。
結衣「………」
ちなつ「いい音ですね、コンクリートとは違って、音が柔らかくて」
結衣「確かに、土の臭いも仄かにして、趣深いね」
耳を優しく叩く音は、いつもの状況では体験できない貴重なものでもある。
空気がじめじめしているのは気に食わないが、それでも発想の転換で少しでも楽しみたい。
後ろ向きなコトばかり考えては気が滅入る、前向きでいるのが私のスタンスなのだ。
ちなつ「雨、止みそうにないです」
結衣「天気予報も、案外嘘つきなものだから」
ちなつ「………」
結衣「………」
ゆったりとしたテンポで会話をしながら、お茶を少しずつ飲む。
時間の流れがいつもより緩やかで、こういう静かな空気も悪くない。
65: 気にしないでよろし 2011/11/27(日) 14:38:30.34 ID:sJM53n6T0
結衣「このジャスミン茶、すごく美味しい」
ちなつ「お口にあって良かったです」
今日は冷ましたジャスミン茶を用意してみたけれど、どうやら正解だったようだ。
茶葉自体がジャスミンの花の香りを吸着しているため、冷めても花の香りがするのが特徴だ。
雨の日には、何となく渋みよりも甘味を堪能したくなるのは、私だけだろうか。
ちなつ「………」
結衣「………」
ちなつ「……置き傘、もう一本くらいしておけばよかったかな」ハァ
結衣「次は私が全員分、用意しておくよ」
置き傘は一本しかなくて、そしてそれを使って京子先輩は出かけた。
……涙目なあかりちゃんを引っ張って。
ちなつ「お口にあって良かったです」
今日は冷ましたジャスミン茶を用意してみたけれど、どうやら正解だったようだ。
茶葉自体がジャスミンの花の香りを吸着しているため、冷めても花の香りがするのが特徴だ。
雨の日には、何となく渋みよりも甘味を堪能したくなるのは、私だけだろうか。
ちなつ「………」
結衣「………」
ちなつ「……置き傘、もう一本くらいしておけばよかったかな」ハァ
結衣「次は私が全員分、用意しておくよ」
置き傘は一本しかなくて、そしてそれを使って京子先輩は出かけた。
……涙目なあかりちゃんを引っ張って。
66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 14:41:30.16 ID:sJM53n6T0
ちなつ「京子先輩とあかりちゃん、大丈夫でしょうか」
結衣「京子は濡れることも気にせずに、雨の中をダッシュしている気がする」
傘一本でも雨は防げるが、京子先輩が身を寄せ合って使っているとは思えない。
想像するだけでも、あかりちゃんの悲鳴が実際に聞こえてくるようだ。
ちなつ「何もお茶菓子のために、こんな天気の中、買出しに行かなくても……」
結衣「京子はともかく、あかりはそう思ってるだろうね」ハァ
京子先輩は、お茶菓子を求めてスーパーへ向かった。
止める隙すらないほど、鮮やかにあかりちゃんを連れ去って。
結衣「京子は濡れることも気にせずに、雨の中をダッシュしている気がする」
傘一本でも雨は防げるが、京子先輩が身を寄せ合って使っているとは思えない。
想像するだけでも、あかりちゃんの悲鳴が実際に聞こえてくるようだ。
ちなつ「何もお茶菓子のために、こんな天気の中、買出しに行かなくても……」
結衣「京子はともかく、あかりはそう思ってるだろうね」ハァ
京子先輩は、お茶菓子を求めてスーパーへ向かった。
止める隙すらないほど、鮮やかにあかりちゃんを連れ去って。
67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 14:43:58.71 ID:sJM53n6T0
ちなつ「結衣先輩とのんびりできることは嬉しいですけど、風邪を引かないか心配です」
結衣「ちなつちゃんも、京子の前でその優しさを見せてあげればいいのに」
ちなつ「いやです、あの人はすぐに調子に乗っちゃいますから!」プンプン
結衣先輩の優しい瞳がこそばゆくて、つい反発してしまった。
今の言葉は単に、そう、風邪を移されると厄介だから警戒している、そういう意味合いなのだ。
自分が優しいなんて決して思わないし、優しさを自負する人間なんて虫酸が走るだけだ。
ちなつ「まぁ、あかりちゃんに無茶苦茶なことはしないと、信用はしてますけど」プィ
結衣「あれで、あかりには気を使ってるからね」アハハ
京子先輩はあかりちゃんをいじる時も、まぁ一応限度を考えているようだ。
あえてスルーしてツッコミをさせてあげたり、逆に話題を振ってあげたりと、
少々過保護な嫌いがある。
コロコロと表情を変えるあかりちゃんが面白いから、という理由な気もするけれど……。
結衣「ちなつちゃんも、京子の前でその優しさを見せてあげればいいのに」
ちなつ「いやです、あの人はすぐに調子に乗っちゃいますから!」プンプン
結衣先輩の優しい瞳がこそばゆくて、つい反発してしまった。
今の言葉は単に、そう、風邪を移されると厄介だから警戒している、そういう意味合いなのだ。
自分が優しいなんて決して思わないし、優しさを自負する人間なんて虫酸が走るだけだ。
ちなつ「まぁ、あかりちゃんに無茶苦茶なことはしないと、信用はしてますけど」プィ
結衣「あれで、あかりには気を使ってるからね」アハハ
京子先輩はあかりちゃんをいじる時も、まぁ一応限度を考えているようだ。
あえてスルーしてツッコミをさせてあげたり、逆に話題を振ってあげたりと、
少々過保護な嫌いがある。
コロコロと表情を変えるあかりちゃんが面白いから、という理由な気もするけれど……。
69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 14:46:42.90 ID:sJM53n6T0
ちなつ「………」
結衣「………」
ちなつ「不思議な関係です」
ちなつ「引っ張っているのは京子先輩に見えて、精神的な支えはあかりちゃんの方、なんて」
結衣「……京子はああ見えて、臆病な子だから」
まぁ、何となく脆そうな人ではある。
結衣先輩の保護下にいる限り、変な輩に目を付けられることはないだろうけど。
きっと京子先輩も、本来は心穏やかな優しい人なのだろう、絶対に口に出して言わないが。
ちなつ「臆病な割に、いろいろな人にちょっかい出すのはどういう理由なんでしょうね」ハァ
結衣「あれで対象は選んでいるはず……多分」
ちなつ「本能でかぎわけているんですかね、大丈夫な人を」
結衣「たまに調子に乗って失敗してるけどね」クスクス
結衣「………」
ちなつ「不思議な関係です」
ちなつ「引っ張っているのは京子先輩に見えて、精神的な支えはあかりちゃんの方、なんて」
結衣「……京子はああ見えて、臆病な子だから」
まぁ、何となく脆そうな人ではある。
結衣先輩の保護下にいる限り、変な輩に目を付けられることはないだろうけど。
きっと京子先輩も、本来は心穏やかな優しい人なのだろう、絶対に口に出して言わないが。
ちなつ「臆病な割に、いろいろな人にちょっかい出すのはどういう理由なんでしょうね」ハァ
結衣「あれで対象は選んでいるはず……多分」
ちなつ「本能でかぎわけているんですかね、大丈夫な人を」
結衣「たまに調子に乗って失敗してるけどね」クスクス
71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 14:50:02.87 ID:sJM53n6T0
ちなつ「調子に乗って羽目を外すくらいが、あの人らしいですよ」フフッ
京子先輩のノリに慣れると、今更大人しくされてもこちらが困る。
ちょっとくらいやんちゃな方が、女の子は可愛いというものだ。
結衣「……ちなつちゃんはいい子だね」ニコッ
ちなつ「へっ、そ、そうですか?」テレテレ
結衣先輩に褒められるとくすぐったくて、柄にもなくご機嫌になってしまう。
この有様を見た京子先輩やあかりちゃんからは、腹黒のそしりを受けたけれど。
まぁ実際に腹黒なのだから、返す言葉もない。
結衣「こっちにおいで」ポンポン
結衣「膝枕してあげるから」
ちなつ「はい!」トテトテ
これは普段いい子にしていたチーナへのご褒美ですか。
そうですか、ありがとうございます。
京子先輩のノリに慣れると、今更大人しくされてもこちらが困る。
ちょっとくらいやんちゃな方が、女の子は可愛いというものだ。
結衣「……ちなつちゃんはいい子だね」ニコッ
ちなつ「へっ、そ、そうですか?」テレテレ
結衣先輩に褒められるとくすぐったくて、柄にもなくご機嫌になってしまう。
この有様を見た京子先輩やあかりちゃんからは、腹黒のそしりを受けたけれど。
まぁ実際に腹黒なのだから、返す言葉もない。
結衣「こっちにおいで」ポンポン
結衣「膝枕してあげるから」
ちなつ「はい!」トテトテ
これは普段いい子にしていたチーナへのご褒美ですか。
そうですか、ありがとうございます。
72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 14:52:30.61 ID:sJM53n6T0
ちなつ「し、失礼します」ゴロン
結衣「よしよし」ナデナデ
ちなつ「ぁ……」
結衣先輩に髪を撫でてもらえて、とても気持ちいい。
結衣先輩の太もも、服越しでもすべすべな気がするなぁ。
ちなつ「んんっ……」
始めは固まっていた体も、しばらく撫でられているとリラックスして。
いつの間にか、結衣先輩の太ももに頬を擦りつけていた始末である。
結衣「ちなつちゃんは猫に似ているなぁ」ナデナデ
ちなつ「…そうですかぁ?」トローン
結衣「よしよし」ナデナデ
ちなつ「ぁ……」
結衣先輩に髪を撫でてもらえて、とても気持ちいい。
結衣先輩の太もも、服越しでもすべすべな気がするなぁ。
ちなつ「んんっ……」
始めは固まっていた体も、しばらく撫でられているとリラックスして。
いつの間にか、結衣先輩の太ももに頬を擦りつけていた始末である。
結衣「ちなつちゃんは猫に似ているなぁ」ナデナデ
ちなつ「…そうですかぁ?」トローン
73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 14:55:06.90 ID:sJM53n6T0
結衣「そうやって、気持ちよくて喉を鳴らしそうなところとか」クスッ
ちなつ「これは結衣先輩だけ、ですから…ぁっ……」カァ///
流石にちょっと恥ずかしくなってきた。
盛りの付いたメス猫じゃないんだから、しっかり意識を保ちたい。
結衣「美味しいお茶をいつもありがとう」ナデナデ
ちなつ「喜んでもらえてなりよりです……」ゴロゴロ
結衣「いつもお疲れ様、感謝してるよ」ナデナデ
結衣先輩の言葉に、胸が暖かくなる。
マッチ売りの少女の見た幻覚もかくやというレベルじゃないかな、これ。
ちなつ「その言葉だけで、チーナは幸せです……」エヘヘ
何かもう、ずっと梅雨でもいいかも。
ちなつ「これは結衣先輩だけ、ですから…ぁっ……」カァ///
流石にちょっと恥ずかしくなってきた。
盛りの付いたメス猫じゃないんだから、しっかり意識を保ちたい。
結衣「美味しいお茶をいつもありがとう」ナデナデ
ちなつ「喜んでもらえてなりよりです……」ゴロゴロ
結衣「いつもお疲れ様、感謝してるよ」ナデナデ
結衣先輩の言葉に、胸が暖かくなる。
マッチ売りの少女の見た幻覚もかくやというレベルじゃないかな、これ。
ちなつ「その言葉だけで、チーナは幸せです……」エヘヘ
何かもう、ずっと梅雨でもいいかも。
74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 14:58:52.27 ID:sJM53n6T0
結衣「雨、止んだね」
そんなこんなでいちゃいちゃしている間に、雨は上がった。
ちなつ「雨上がりの虹が見えたらいいですね」
虹は大気中の水滴がプリズムの役割を果たすことで現れる。
つまり、光の屈折を引き起こしやすい雨上がり後は、虹を観察できる可能性が高くなるのだ。
結衣「体を動かしたいし、虹を探しに行こうか」
ちなつ「はい!」パァァ
結衣先輩と外にお散歩まで出来るなんて、今日はラッキーだ。
傍にいられなくても、振り向いてもらえなくても、
こうしてのんびりと一緒にいられるならば、ただそれだけで私は満足なのだ。
結衣「どこがいいかなぁ」ウーン
ちなつ「花壇で綺麗な空気でも吸いませんか?」
結衣「それ、いいね」ウン
そんなこんなでいちゃいちゃしている間に、雨は上がった。
ちなつ「雨上がりの虹が見えたらいいですね」
虹は大気中の水滴がプリズムの役割を果たすことで現れる。
つまり、光の屈折を引き起こしやすい雨上がり後は、虹を観察できる可能性が高くなるのだ。
結衣「体を動かしたいし、虹を探しに行こうか」
ちなつ「はい!」パァァ
結衣先輩と外にお散歩まで出来るなんて、今日はラッキーだ。
傍にいられなくても、振り向いてもらえなくても、
こうしてのんびりと一緒にいられるならば、ただそれだけで私は満足なのだ。
結衣「どこがいいかなぁ」ウーン
ちなつ「花壇で綺麗な空気でも吸いませんか?」
結衣「それ、いいね」ウン
76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 15:01:30.78 ID:sJM53n6T0
ガラッ
雨が空気中の埃や塵を叩き落としたようで、外に出た私たちを清浄な風が迎える。
湿度はどうしようもないが、それでも太陽に照らされた地面はいつもより綺麗に見えて。
気分も爽やか、気力も満タンである。
結衣「水溜まりが出来てるから、注意してね」
ちなつ「はい」
水溜まりは天空を映す鏡のようで、まるで空が地面に落ちてきたみたいだ。
それはウユニ塩湖のように透き通ってはいないけれど、私にはこれくらいが丁度いい。
結衣「開放的な気分」ンー
ちなつ「雨もいいですけど、やっぱり晴れが一番ですね」
ありふれた幸せを、景色を、青春を、謳歌していたい。
雨が空気中の埃や塵を叩き落としたようで、外に出た私たちを清浄な風が迎える。
湿度はどうしようもないが、それでも太陽に照らされた地面はいつもより綺麗に見えて。
気分も爽やか、気力も満タンである。
結衣「水溜まりが出来てるから、注意してね」
ちなつ「はい」
水溜まりは天空を映す鏡のようで、まるで空が地面に落ちてきたみたいだ。
それはウユニ塩湖のように透き通ってはいないけれど、私にはこれくらいが丁度いい。
結衣「開放的な気分」ンー
ちなつ「雨もいいですけど、やっぱり晴れが一番ですね」
ありふれた幸せを、景色を、青春を、謳歌していたい。
78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 15:03:49.15 ID:sJM53n6T0
~花壇~
雨上がりの花壇は、いい匂いだけれど、カオスなくらい色々な匂いが混ざっている。
落ち葉、木、土、花、空気、水、といったくらいだろうか?
これだけの匂いが混じれば喧嘩しそうなものだが、けれども匂いというのは基本的に足し算で。
例えば一種類だけでは不快な臭いも、混ぜてしまえばいいアクセントになることもあるそうだ。
ちなつ「………」スゥー
ちなつ「………」フゥ
胸いっぱいに吸い込んだ新鮮な空気は、頭をすっきりと爽快にさせてくれる。
ちなつ「結衣先輩~!こっちです」
結衣「元気一杯だね、ちなつちゃん」
ちなつ「今までのんびりしていて、体に体力が有り余ってますから」エヘヘ
結衣「見せたいものって、やっぱりこの…」
雨上がりの花壇は、いい匂いだけれど、カオスなくらい色々な匂いが混ざっている。
落ち葉、木、土、花、空気、水、といったくらいだろうか?
これだけの匂いが混じれば喧嘩しそうなものだが、けれども匂いというのは基本的に足し算で。
例えば一種類だけでは不快な臭いも、混ぜてしまえばいいアクセントになることもあるそうだ。
ちなつ「………」スゥー
ちなつ「………」フゥ
胸いっぱいに吸い込んだ新鮮な空気は、頭をすっきりと爽快にさせてくれる。
ちなつ「結衣先輩~!こっちです」
結衣「元気一杯だね、ちなつちゃん」
ちなつ「今までのんびりしていて、体に体力が有り余ってますから」エヘヘ
結衣「見せたいものって、やっぱりこの…」
79: 早く特売に行きたいから 2011/11/27(日) 15:06:23.27 ID:sJM53n6T0
ちなつ「はい、ピンクの紫陽花です!」ジャーン
紫陽花は雨の中でこそ上品に輝くと言われる、そんな珍しい花だ。
でも私は、雨が上がったあとの紫陽花が一番魅力的だと思う。
結衣「綺麗……」ワァ
雨の中では寂しそうに項垂れているように見える紫陽花。
けれども雨が上がった後の紫陽花は、
まるで待ち焦がれていた夜明けのような、海中から見上げた空の眩しさのような、
そんな説明し難い美しさを持っているのだ。
ちなつ「お気に召していただけて幸いです」エヘッ
とにかく、紫陽花についた雨の雫に光が反射して、それはそれは綺麗なのだ。
好きな花を結衣先輩と一緒に見て、感動を共有したい、そう思ってここに付き合ってもらった。
紫陽花は雨の中でこそ上品に輝くと言われる、そんな珍しい花だ。
でも私は、雨が上がったあとの紫陽花が一番魅力的だと思う。
結衣「綺麗……」ワァ
雨の中では寂しそうに項垂れているように見える紫陽花。
けれども雨が上がった後の紫陽花は、
まるで待ち焦がれていた夜明けのような、海中から見上げた空の眩しさのような、
そんな説明し難い美しさを持っているのだ。
ちなつ「お気に召していただけて幸いです」エヘッ
とにかく、紫陽花についた雨の雫に光が反射して、それはそれは綺麗なのだ。
好きな花を結衣先輩と一緒に見て、感動を共有したい、そう思ってここに付き合ってもらった。
82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 15:09:15.76 ID:sJM53n6T0
結衣「確か、紫陽花は土によって色が変わる、だったかな」
ちなつ「流石結衣先輩、博識です」ポッ
紫陽花の色は土壌の酸性度に影響を受けていて、土を調整することで色をある程度左右できる。
酸性なら青に、アルカリ性なら赤になると言われているから、ここの土はアルカリ性なのかもしれない。
結衣「たまたま園芸の本で読んだだけ、買い被りだよ」クスッ
またまた、ご謙遜を。
意外と結衣先輩は女の子らしい知識を沢山持っている。
ちなつ「でも、こんなに綺麗なのに、花言葉は移り気、高慢なんて酷いのばっかりなんです」
ちなつ「もっとも私みたいな女にはお似合い、そう言えるかもしれませんが」ショボン
ちなつ「流石結衣先輩、博識です」ポッ
紫陽花の色は土壌の酸性度に影響を受けていて、土を調整することで色をある程度左右できる。
酸性なら青に、アルカリ性なら赤になると言われているから、ここの土はアルカリ性なのかもしれない。
結衣「たまたま園芸の本で読んだだけ、買い被りだよ」クスッ
またまた、ご謙遜を。
意外と結衣先輩は女の子らしい知識を沢山持っている。
ちなつ「でも、こんなに綺麗なのに、花言葉は移り気、高慢なんて酷いのばっかりなんです」
ちなつ「もっとも私みたいな女にはお似合い、そう言えるかもしれませんが」ショボン
83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 15:12:02.47 ID:sJM53n6T0
結衣「それはどうかな?」
結衣「紫陽花には、ひたむきな愛情という花言葉もあるんだよ」
結衣「だから私は、ちなつちゃんによく似合う、素敵な花だと思うよ」ニコッ
ちなつ「結衣先輩……」
どうして結衣先輩は、こんなに私に優しくしてくれるのだろう。
これでは、期待してしまいそうになってしまうじゃないですか。
結衣先輩は私のことを好いてくれるのではないか、そんな夢を。
結衣「咲き始めから色を変えていくから移り気、なんて言うけれど」
結衣「それはきっと心変わりじゃなくて、精一杯美しくあろうと努力しているんだよ」
結衣「だから、紫陽花はちなつちゃんみたいな努力家なんだろうね」
ちなつ「あうぅ……///」モジモジ
結衣「紫陽花には、ひたむきな愛情という花言葉もあるんだよ」
結衣「だから私は、ちなつちゃんによく似合う、素敵な花だと思うよ」ニコッ
ちなつ「結衣先輩……」
どうして結衣先輩は、こんなに私に優しくしてくれるのだろう。
これでは、期待してしまいそうになってしまうじゃないですか。
結衣先輩は私のことを好いてくれるのではないか、そんな夢を。
結衣「咲き始めから色を変えていくから移り気、なんて言うけれど」
結衣「それはきっと心変わりじゃなくて、精一杯美しくあろうと努力しているんだよ」
結衣「だから、紫陽花はちなつちゃんみたいな努力家なんだろうね」
ちなつ「あうぅ……///」モジモジ
86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 15:14:20.25 ID:sJM53n6T0
真っ赤になったまま、言葉も発せないくらい顔がにやけて、どうしよう。
微笑む結衣先輩がすごく素敵で、胸がドキドキして苦しい。
でも、結衣先輩に何か返事を返さないと、何か、えぇと……。
ちなつ「……ゆ、結衣先輩は、梅の花みたいに綺麗な人です」ボソッ
結衣「何か言った?」
ちなつ「な、なんでもありませんからっ」アタフタ
何を口走っているのだろう、私は。
ちなつ「そろそろ部室に戻りましょうか」
結衣「京子も戻ってきてるかもね」
綺麗な空気も、紫陽花も、もう十分過ぎる程に堪能した。
これ以上、こんな空気を味わっていると、私の心臓が先に参ってしまう。
微笑む結衣先輩がすごく素敵で、胸がドキドキして苦しい。
でも、結衣先輩に何か返事を返さないと、何か、えぇと……。
ちなつ「……ゆ、結衣先輩は、梅の花みたいに綺麗な人です」ボソッ
結衣「何か言った?」
ちなつ「な、なんでもありませんからっ」アタフタ
何を口走っているのだろう、私は。
ちなつ「そろそろ部室に戻りましょうか」
結衣「京子も戻ってきてるかもね」
綺麗な空気も、紫陽花も、もう十分過ぎる程に堪能した。
これ以上、こんな空気を味わっていると、私の心臓が先に参ってしまう。
87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 15:16:55.62 ID:sJM53n6T0
空は晴れて、本日は快晴。
雨は上がり、太陽が雲を割って顔をのぞかせた。
ちなつ「あっ……」
結衣「……綺麗な虹だね」
いつの間にか、私たちの頭上には虹が出ていて。
空に架かる七色の虹は、おとぎ話にでも出てきそうなくらい幻想的だ。
結衣「……さっきの雨、狐の嫁入りだったのかな」
ちなつ「じゃあ、この虹は急な雨のお詫び、みたいなものかもしれないですね」クスッ
結衣「何だかロマンチックだね」
慕うものに恩恵を、裏切りに牙を。
お稲荷さんはどちらかというと、人に近い性質を持っていると思う。
敬われて、又恐れられてもいるのは、その不安定さが人の心のそれだからじゃないかな。
雨は上がり、太陽が雲を割って顔をのぞかせた。
ちなつ「あっ……」
結衣「……綺麗な虹だね」
いつの間にか、私たちの頭上には虹が出ていて。
空に架かる七色の虹は、おとぎ話にでも出てきそうなくらい幻想的だ。
結衣「……さっきの雨、狐の嫁入りだったのかな」
ちなつ「じゃあ、この虹は急な雨のお詫び、みたいなものかもしれないですね」クスッ
結衣「何だかロマンチックだね」
慕うものに恩恵を、裏切りに牙を。
お稲荷さんはどちらかというと、人に近い性質を持っていると思う。
敬われて、又恐れられてもいるのは、その不安定さが人の心のそれだからじゃないかな。
89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 15:19:07.13 ID:sJM53n6T0
ちなつ「めぐり合わせに、感謝ですね」
この素晴らしい景色を見せてくれた全てに、感謝したい。
結衣先輩との出会いをくれた全てに、感謝したい。
それが偶然でも、必然でも、気まぐれでも、親切でも、オカルトでも、自然現象でも、何であろうとも。
単にひねくれて考える人であるよりも、その方がきっと、よっぽどいい。
この素晴らしい景色を見せてくれた全てに、感謝したい。
結衣先輩との出会いをくれた全てに、感謝したい。
それが偶然でも、必然でも、気まぐれでも、親切でも、オカルトでも、自然現象でも、何であろうとも。
単にひねくれて考える人であるよりも、その方がきっと、よっぽどいい。
90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 15:21:40.17 ID:sJM53n6T0
結衣「手を繋いで帰ろうか」
ちなつ「はい!」
結衣先輩の差し出した手をそっと握る。
今はただ、このままを楽しんでいたい。
この想いを秘めていられる限り、結衣先輩の隣で。
おわり
ちなつ「はい!」
結衣先輩の差し出した手をそっと握る。
今はただ、このままを楽しんでいたい。
この想いを秘めていられる限り、結衣先輩の隣で。
おわり
105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 15:56:30.29 ID:sJM53n6T0
慌てて割れ物踏んで血溜り出来てワロタ痛い
三本目
綾乃「夕暮れ空とココロの色」
三本目
綾乃「夕暮れ空とココロの色」
106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 15:58:34.24 ID:sJM53n6T0
色には不思議な力がある。
その不思議さを実感するために、少し身近な例を挙げてみよう。
Q. 提灯が基本的に赤色なのはどうして?
A. それが一番人目を引き付けるから。
Q. 青色が食欲を減退させるのはなぜ?
A. 自然界に青の生物は殆どいないから。
Q. 黄色が警戒色に使われるのはなぜ?
A. 黄色には危険な生物が多く、おまけに遠くから判別しやすい。
このように色彩の効果とその影響は、誰しもが日常で体験している。
されど、その影響の大きさを理解できる人は、そうはいない。
その不思議さを実感するために、少し身近な例を挙げてみよう。
Q. 提灯が基本的に赤色なのはどうして?
A. それが一番人目を引き付けるから。
Q. 青色が食欲を減退させるのはなぜ?
A. 自然界に青の生物は殆どいないから。
Q. 黄色が警戒色に使われるのはなぜ?
A. 黄色には危険な生物が多く、おまけに遠くから判別しやすい。
このように色彩の効果とその影響は、誰しもが日常で体験している。
されど、その影響の大きさを理解できる人は、そうはいない。
108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:00:36.00 ID:sJM53n6T0
私たちの身体に影響する、そんな例もある。
赤系統は気分を盛り上げて、青系統は落ち着きを与える。
お洒落なカフェや装飾品の売り場に、暖色の柔らかい光が多いのは、そういう影響だ。
これは有名な話だが、部屋の色のコーディネイトは体感温度すら左右するのだ。
また、私たちは色自体に意味を求めたりもする。
白は純真を、紫は気品を、赤は情熱を、緑は安らぎを。
色自体が概念を内包し、その色を持つものの性質にすら影響を与えている。
時の権力者や宗教が、色に特別の権威を持たせて意味づけをしてきたのは、
そんな色の持つ力に着目したからであろう。
赤系統は気分を盛り上げて、青系統は落ち着きを与える。
お洒落なカフェや装飾品の売り場に、暖色の柔らかい光が多いのは、そういう影響だ。
これは有名な話だが、部屋の色のコーディネイトは体感温度すら左右するのだ。
また、私たちは色自体に意味を求めたりもする。
白は純真を、紫は気品を、赤は情熱を、緑は安らぎを。
色自体が概念を内包し、その色を持つものの性質にすら影響を与えている。
時の権力者や宗教が、色に特別の権威を持たせて意味づけをしてきたのは、
そんな色の持つ力に着目したからであろう。
110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:02:36.50 ID:sJM53n6T0
色の効果や解釈は多様で、とても把握しきれるものではない。
私達には、色のない世界なんて想像もできないのに。
形のない感情すらも、色として表すことができるという。
それならば、心のカタチも色として表せるのだろうか。
私の揺れる、この恋心も。
私達には、色のない世界なんて想像もできないのに。
形のない感情すらも、色として表すことができるという。
それならば、心のカタチも色として表せるのだろうか。
私の揺れる、この恋心も。
111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:04:37.47 ID:sJM53n6T0
~生徒会室前廊下~
綾乃「またこんなに書類仕事が……」ハァ
綾乃「たまにはやり甲斐のあることがしたいわ」
創作物のような強権を行使する生徒会、そんなものがそうそうあるはずもなく。
私たちにできるのは、時代遅れな校則の撤廃又は改正の交渉、その程度が精々だ。
綾乃「」ガラッ
京子「お帰り、綾乃」モグモグ
綾乃「って、とっ、歳納京子ーっ!」
京子「おー、どうしたの綾乃?」
綾乃「ああなた何を食べてるの」
京子「プリンだよ?」
楽しみに取っておいたプリンは、歳納京子に食べられていた。
日々の疲れを癒す、私の好物なのに……。
綾乃「またこんなに書類仕事が……」ハァ
綾乃「たまにはやり甲斐のあることがしたいわ」
創作物のような強権を行使する生徒会、そんなものがそうそうあるはずもなく。
私たちにできるのは、時代遅れな校則の撤廃又は改正の交渉、その程度が精々だ。
綾乃「」ガラッ
京子「お帰り、綾乃」モグモグ
綾乃「って、とっ、歳納京子ーっ!」
京子「おー、どうしたの綾乃?」
綾乃「ああなた何を食べてるの」
京子「プリンだよ?」
楽しみに取っておいたプリンは、歳納京子に食べられていた。
日々の疲れを癒す、私の好物なのに……。
112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:06:37.93 ID:sJM53n6T0
綾乃「私の……プリンが……」ガクッ
京子「ごめんごめん、お腹すいちゃって、つい」アハハ
京子「はい、あーん」アーン
綾乃「えっえっ」アタフタ
落ち込んでいる私に、プリンの乗ったスプーンが差し出される。
これは、食べてしまってもいいのだろうか。
京子「あ、他人の食べたスプーンなんて嫌だよね」ヒョイ
京子「うっかりしてた」イヤー
綾乃「あ……」シュン
綾乃「うぅぅ……」シクシク
京子「えっと、そんなに……嫌だった?」
むしろそっちの方が……、なんて口が裂けても言えない。
もっと勇気が出せたなら、この人と触れ合えるのに。
京子「ごめんごめん、お腹すいちゃって、つい」アハハ
京子「はい、あーん」アーン
綾乃「えっえっ」アタフタ
落ち込んでいる私に、プリンの乗ったスプーンが差し出される。
これは、食べてしまってもいいのだろうか。
京子「あ、他人の食べたスプーンなんて嫌だよね」ヒョイ
京子「うっかりしてた」イヤー
綾乃「あ……」シュン
綾乃「うぅぅ……」シクシク
京子「えっと、そんなに……嫌だった?」
むしろそっちの方が……、なんて口が裂けても言えない。
もっと勇気が出せたなら、この人と触れ合えるのに。
113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:08:38.30 ID:sJM53n6T0
綾乃「別に、大した理由じゃないわ」プィ
京子「今度、アイス奢ってあげるからさ、元気だしてよ」ネッ
綾乃「でも、アイスとプリンは別物よ」イジイジ
二重のショックで、私のテンションはダダ下がりだ。
歳納京子の困った顔は可愛いけれど、それでも気分は落ち込んだままだ。
京子「」ウーン
京子「」ピコーン!
京子「綾乃!」
綾乃「何?」シクシク
京子「私がプリンの分も働くよ!」
綾乃「へっ?」
いきなりの発言が飲み込めなくて、少し逡巡する。
京子「今度、アイス奢ってあげるからさ、元気だしてよ」ネッ
綾乃「でも、アイスとプリンは別物よ」イジイジ
二重のショックで、私のテンションはダダ下がりだ。
歳納京子の困った顔は可愛いけれど、それでも気分は落ち込んだままだ。
京子「」ウーン
京子「」ピコーン!
京子「綾乃!」
綾乃「何?」シクシク
京子「私がプリンの分も働くよ!」
綾乃「へっ?」
いきなりの発言が飲み込めなくて、少し逡巡する。
114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:10:41.71 ID:sJM53n6T0
京子「今日は生徒会のお仕事を手伝うことにする!」
綾乃「でもあなた、ごらく部は」オロオロ
京子「基本自由参加だし、結衣がいれば大丈夫!」
綾乃「……信頼してるのね」
嬉しいことのはずなのに、どこか面白くない。
胸がチリチリして、燃え上がることなく燻る火が、私の心を焦がす。
京子「まぁ、幼馴染だし」
私の知らない彼女の過去。
それを見てきて、傍で支えてきただろう船見さんが、羨ましくて、妬ましくて。
京子「今日はずっと綾乃の傍にいるよ!」
綾乃「へっ、いいきなりなにを」アワワワ
綾乃「でもあなた、ごらく部は」オロオロ
京子「基本自由参加だし、結衣がいれば大丈夫!」
綾乃「……信頼してるのね」
嬉しいことのはずなのに、どこか面白くない。
胸がチリチリして、燃え上がることなく燻る火が、私の心を焦がす。
京子「まぁ、幼馴染だし」
私の知らない彼女の過去。
それを見てきて、傍で支えてきただろう船見さんが、羨ましくて、妬ましくて。
京子「今日はずっと綾乃の傍にいるよ!」
綾乃「へっ、いいきなりなにを」アワワワ
115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:12:59.09 ID:sJM53n6T0
京子「だめ?」
綾乃「ダメじゃない、けど」カァァ///
子首を傾げる歳納京子が可愛くて、思わず赤面する。
これを計算でやっているのなら、とんだ小悪魔だ。
千歳「………」ウフフ
千歳「………」ボタボタ
千歳「綾乃ちゃん、後はお二人でゆっくりしてなぁ」ニコニコ
綾乃「ちょっと、千歳」ガシッ
二人きりなんて、私が死んでしまう。
生徒会の仕事も溜まっているのだから、千歳を逃す訳にはいかない。
綾乃「ダメじゃない、けど」カァァ///
子首を傾げる歳納京子が可愛くて、思わず赤面する。
これを計算でやっているのなら、とんだ小悪魔だ。
千歳「………」ウフフ
千歳「………」ボタボタ
千歳「綾乃ちゃん、後はお二人でゆっくりしてなぁ」ニコニコ
綾乃「ちょっと、千歳」ガシッ
二人きりなんて、私が死んでしまう。
生徒会の仕事も溜まっているのだから、千歳を逃す訳にはいかない。
116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:17:05.25 ID:sJM53n6T0
千歳「せやかて綾乃ちゃん、これはチャンスや」ヒソヒソ
綾乃「むっ、無理よ」ヒソヒソ
千歳「歳納さんとの共同作業、深まる絆」ヒソヒソ
綾乃「お願いだから、千歳も一緒にいて」ヒソヒソ
今でさえ、心臓の音が、耳から離れないのだ。
五月蝿いほどに脈打って、狂おしいほどに何かを求めていて。
京子「どしたの?」
綾乃「何でもないわ」プィ
京子「うーん、千歳~!」
千歳「ほな、この書類を綾乃ちゃんと整理してもらえるやろか?」
京子「イエッサー」
綾乃「んなっ」
千歳に先手を打たれてしまった。
綾乃「むっ、無理よ」ヒソヒソ
千歳「歳納さんとの共同作業、深まる絆」ヒソヒソ
綾乃「お願いだから、千歳も一緒にいて」ヒソヒソ
今でさえ、心臓の音が、耳から離れないのだ。
五月蝿いほどに脈打って、狂おしいほどに何かを求めていて。
京子「どしたの?」
綾乃「何でもないわ」プィ
京子「うーん、千歳~!」
千歳「ほな、この書類を綾乃ちゃんと整理してもらえるやろか?」
京子「イエッサー」
綾乃「んなっ」
千歳に先手を打たれてしまった。
118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:20:03.59 ID:sJM53n6T0
京子「一緒に頑張ろう、綾乃」ニコニコ
綾乃「そそそそうね」
京子「はい、私が書類を分類するから、ホッチキスは頼むよ」
綾乃「ま、任せなさい」
千歳にしてやられたのは癪だけれど、まぁ、いいか。
こうして歳納京子と一緒にいられると、確かに楽しいから。
千歳「あかん、失血死には注意せんと」ダラダラ
綾乃「ティッシュを五箱用意しておいたわ」ハイ
千歳「堪忍なぁ」ダラダラ
京子「千歳も大変だなー」
あなたの影響でしょうが。
綾乃「そそそそうね」
京子「はい、私が書類を分類するから、ホッチキスは頼むよ」
綾乃「ま、任せなさい」
千歳にしてやられたのは癪だけれど、まぁ、いいか。
こうして歳納京子と一緒にいられると、確かに楽しいから。
千歳「あかん、失血死には注意せんと」ダラダラ
綾乃「ティッシュを五箱用意しておいたわ」ハイ
千歳「堪忍なぁ」ダラダラ
京子「千歳も大変だなー」
あなたの影響でしょうが。
120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:22:47.27 ID:sJM53n6T0
~活動終了~
京子「結構疲れたね」グッタリ
綾乃「今日は特に、明日の分の配布物が大量だったから」
先生にプリントを提出すると、更なる仕事を押し付けられた。
雑用係な生徒会に拒否権があるわけもなく、泣く泣く引き受ける羽目になった。
綾乃「まぁ、だから感謝していなくもないわ」
京子「それって感謝してるってこと?」
綾乃「あぅぅ」
京子「えへへ」
この人の笑顔を見るたびに、私の胸は切なくなって。
どうしようもない感情が、この心を満たす。
京子「結構疲れたね」グッタリ
綾乃「今日は特に、明日の分の配布物が大量だったから」
先生にプリントを提出すると、更なる仕事を押し付けられた。
雑用係な生徒会に拒否権があるわけもなく、泣く泣く引き受ける羽目になった。
綾乃「まぁ、だから感謝していなくもないわ」
京子「それって感謝してるってこと?」
綾乃「あぅぅ」
京子「えへへ」
この人の笑顔を見るたびに、私の胸は切なくなって。
どうしようもない感情が、この心を満たす。
121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:24:58.44 ID:sJM53n6T0
京子「千歳、プリント提出に行ったきり帰ってこないね」
綾乃「どこかで鼻血を吹いて、倒れているのかしら」
千歳はおそらく、気を使っているつもり、なのだろうけど。
夕暮れに染まる生徒会室に、歳納京子と二人きりだ。
京子「二人きりだね」
綾乃「そうね」
歳納京子の顔が、まともに見られない。
ドキドキして、行き場を失った想いが暴走するような気がするから。
京子「綾乃?どうしたの?」
俯いた私の顔を、無邪気にのぞき込んでくる。
京子「綾乃?」
……私を誘惑するこの人に、分からせてやりたい。
チュッ
綾乃「どこかで鼻血を吹いて、倒れているのかしら」
千歳はおそらく、気を使っているつもり、なのだろうけど。
夕暮れに染まる生徒会室に、歳納京子と二人きりだ。
京子「二人きりだね」
綾乃「そうね」
歳納京子の顔が、まともに見られない。
ドキドキして、行き場を失った想いが暴走するような気がするから。
京子「綾乃?どうしたの?」
俯いた私の顔を、無邪気にのぞき込んでくる。
京子「綾乃?」
……私を誘惑するこの人に、分からせてやりたい。
チュッ
123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:27:00.66 ID:sJM53n6T0
京子「ぁ……」
頬を染めて、大人しくなった彼女が可愛くて。
その表情をもっと見たくなる。
京子「あ、あやの?」
上目遣いが可愛いなぁ。
その目は涙で潤んでいて、まるで宝石みたいだ。
京子「ぁぅ……」
もっと、キス、したい。
頬を染めて、大人しくなった彼女が可愛くて。
その表情をもっと見たくなる。
京子「あ、あやの?」
上目遣いが可愛いなぁ。
その目は涙で潤んでいて、まるで宝石みたいだ。
京子「ぁぅ……」
もっと、キス、したい。
124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:29:18.73 ID:sJM53n6T0
京子「………ゃ」
綾乃「……ッ」
何をしているのだろう、今のわたしは。
綾乃「ちがっ、いまのは……」
綾乃「その……ッ」
ガタッ、バタバタ
バタンッ
私は言い訳もできないままに、
歳納京子から逃げだしてしまった。
綾乃「……ッ」
何をしているのだろう、今のわたしは。
綾乃「ちがっ、いまのは……」
綾乃「その……ッ」
ガタッ、バタバタ
バタンッ
私は言い訳もできないままに、
歳納京子から逃げだしてしまった。
125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:31:19.95 ID:sJM53n6T0
綾乃「どうしよう、どうしよう、どうしよう」
キス、してしまった。
だって、あんなに可愛いから。
綾乃「歳納、京子……」
そっと指で触れた唇は、甘くて、熱かった。
キス、してしまった。
だって、あんなに可愛いから。
綾乃「歳納、京子……」
そっと指で触れた唇は、甘くて、熱かった。
126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:33:43.27 ID:sJM53n6T0
~電話~
千歳『綾乃ちゃん、今日はどうやった?』
綾乃「千歳、ごめんなさい」
千歳『どしたん、急に?』
綾乃「放ったらかしで、帰っちゃって……」
千歳『ええよええよ、それより歳納さんの顔が真っ赤になってたんやけど』
千歳『綾乃ちゃん、手を出したりしたん?』
綾乃「……うん」
千歳『』ブシャァァ
綾乃「大丈夫?千歳」
千歳『予想外な、返事やったから』ボタボタ
千歳『綾乃ちゃん、今日はどうやった?』
綾乃「千歳、ごめんなさい」
千歳『どしたん、急に?』
綾乃「放ったらかしで、帰っちゃって……」
千歳『ええよええよ、それより歳納さんの顔が真っ赤になってたんやけど』
千歳『綾乃ちゃん、手を出したりしたん?』
綾乃「……うん」
千歳『』ブシャァァ
綾乃「大丈夫?千歳」
千歳『予想外な、返事やったから』ボタボタ
127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:35:45.00 ID:sJM53n6T0
綾乃「……わたし、歳納京子に無理やりキスしたの」
千歳『せやったん』
綾乃「どうしよう、私、私、」
あのときのキスの意味は、なんだろう?
千歳『……綾乃ちゃんは、つい歳納さんにキス、してしもうたんやね』
綾乃「……私が帰った後、歳納京子はどうしてたの?」
千歳『私が帰ったときは、上の空で外を眺めとったよ』
綾乃「もう、歳納京子に会わせる顔がないわ」ハァ
千歳『せやろか』
綾乃「同性にキスなんてされて、怯えない人はいないでしょ、普通に考えて」
千歳『せやったん』
綾乃「どうしよう、私、私、」
あのときのキスの意味は、なんだろう?
千歳『……綾乃ちゃんは、つい歳納さんにキス、してしもうたんやね』
綾乃「……私が帰った後、歳納京子はどうしてたの?」
千歳『私が帰ったときは、上の空で外を眺めとったよ』
綾乃「もう、歳納京子に会わせる顔がないわ」ハァ
千歳『せやろか』
綾乃「同性にキスなんてされて、怯えない人はいないでしょ、普通に考えて」
128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:37:52.27 ID:sJM53n6T0
千歳『せやかて綾乃ちゃんは、歳納さんのこと、このまま諦めるん?』
綾乃「だって、私は……」グスッ
千歳『綾乃ちゃん』
千歳『うちは、本当は引っ込み思案でも、』
千歳『それでも、いつも真っ向勝負の綾乃ちゃんが好きやで』
綾乃「……ありがとう、千歳」
千歳『頑張って、綾乃ちゃん』
綾乃「……うん」
綾乃「心配かけて、ごめんね」
千歳『ええんよ、友達やもん』
綾乃「おやすみ、千歳」
千歳『おやすみ、綾乃ちゃん』
ガチャン
綾乃「だって、私は……」グスッ
千歳『綾乃ちゃん』
千歳『うちは、本当は引っ込み思案でも、』
千歳『それでも、いつも真っ向勝負の綾乃ちゃんが好きやで』
綾乃「……ありがとう、千歳」
千歳『頑張って、綾乃ちゃん』
綾乃「……うん」
綾乃「心配かけて、ごめんね」
千歳『ええんよ、友達やもん』
綾乃「おやすみ、千歳」
千歳『おやすみ、綾乃ちゃん』
ガチャン
129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:40:23.47 ID:sJM53n6T0
綾乃「弱気な私は、情けないものね」フフッ
綾乃「伝えなくっちゃ」
結果は望み薄でも、気持ち悪がられるだけでも、怖くても、傷つくだけだとしても、
それでも、逃げるなんてやっぱり嫌だ。
だから、私は会いに行く。
綾乃「伝えなくっちゃ」
結果は望み薄でも、気持ち悪がられるだけでも、怖くても、傷つくだけだとしても、
それでも、逃げるなんてやっぱり嫌だ。
だから、私は会いに行く。
130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:42:25.78 ID:sJM53n6T0
~生徒会室~
綾乃「歳納京子ー!」バーン
歳納京子を、放課後の生徒会室に呼び出した。
皆に申し訳ないけれど、協力をお願いして二人きりにしてもらった。
京子「綾乃……」
すでに歳納京子は私を待っていた、来てくれていた。
沈みゆく夕暮れが、生徒会室を照らす。
綾乃「歳納京子ー!」バーン
歳納京子を、放課後の生徒会室に呼び出した。
皆に申し訳ないけれど、協力をお願いして二人きりにしてもらった。
京子「綾乃……」
すでに歳納京子は私を待っていた、来てくれていた。
沈みゆく夕暮れが、生徒会室を照らす。
131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:44:26.87 ID:sJM53n6T0
綾乃「ああなたに、伝えたいことがあるの」
京子「伝えたい、こと?」
夕暮れに照らされた歳納京子は、綺麗だ。
眩く輝く髪が、煌めく瞳が、私の心を沸き立たせる。
けれど……、
綾乃「キスして、ごめんなさい!」
京子「いや、その……」
綾乃「本当にごめんなさい!」
まずは謝らなければならない。
それが誠意というものだ。
京子「伝えたい、こと?」
夕暮れに照らされた歳納京子は、綺麗だ。
眩く輝く髪が、煌めく瞳が、私の心を沸き立たせる。
けれど……、
綾乃「キスして、ごめんなさい!」
京子「いや、その……」
綾乃「本当にごめんなさい!」
まずは謝らなければならない。
それが誠意というものだ。
132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:46:28.85 ID:sJM53n6T0
京子「えっ、ちょっと」アワアワ
綾乃「私は、私は」
綾乃「貴方のことが好きなの!」
京子「え、えぇぇ」
こんな格好のまま告白してしまった、まぁいいか。
直接、顔を見て告白なんて、恥ずかしいし。
綾乃「貴方のことが好きで、好きで」
綾乃「手伝ってくれたのが嬉しくて」
綾乃「笑うあなたが可愛くて」
綾乃「私の顔を覗き込むあなたが可愛くて」
綾乃「つい、我慢ができなくて、キスしたの」
京子「えっ、あの、……」ワタワタ
綾乃「いつも、あなたに会いたくて」
綾乃「構って欲しくて」
綾乃「言い訳をつくって、ごらく部にお邪魔していたの」
「あ……えっと……その……」モジモジ
綾乃「私は、私は」
綾乃「貴方のことが好きなの!」
京子「え、えぇぇ」
こんな格好のまま告白してしまった、まぁいいか。
直接、顔を見て告白なんて、恥ずかしいし。
綾乃「貴方のことが好きで、好きで」
綾乃「手伝ってくれたのが嬉しくて」
綾乃「笑うあなたが可愛くて」
綾乃「私の顔を覗き込むあなたが可愛くて」
綾乃「つい、我慢ができなくて、キスしたの」
京子「えっ、あの、……」ワタワタ
綾乃「いつも、あなたに会いたくて」
綾乃「構って欲しくて」
綾乃「言い訳をつくって、ごらく部にお邪魔していたの」
「あ……えっと……その……」モジモジ
133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:49:07.54 ID:sJM53n6T0
「女同士で、こんなこと、いけないって分かってる」
「それでも、私は貴方が好き、好きなの!」
これで振られたら、涙でどうしようもなくなるかも。
けれど、胸のつかえが取れたような、すっきりした気分でもある。
京子「はっ話を聞いてよ!」
綾乃「ごっ、ごめんなさい」
怒られてしまった。
ちょっと泣きたい。
京子「顔上げて、それから立っていいから」
綾乃「はい」
膝が痛くなってきたので、有難い。
勇気を出して視界に入れた彼女の顔は、赤くなっているような気がする。
「それでも、私は貴方が好き、好きなの!」
これで振られたら、涙でどうしようもなくなるかも。
けれど、胸のつかえが取れたような、すっきりした気分でもある。
京子「はっ話を聞いてよ!」
綾乃「ごっ、ごめんなさい」
怒られてしまった。
ちょっと泣きたい。
京子「顔上げて、それから立っていいから」
綾乃「はい」
膝が痛くなってきたので、有難い。
勇気を出して視界に入れた彼女の顔は、赤くなっているような気がする。
134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:51:21.99 ID:sJM53n6T0
京子「あのさ、その、ね」
京子「告白が土下座しながら、っていうのはまず問題だと思うんだ」
綾乃「……うん」
京子「じゃあ、普通にしなよ」プンプン
流石に土下座しながらの告白は駄目だったらしい。
少し怒っている歳納京子も、可愛い。
京子「……うぅっ、そんなに見つめないでよ」
綾乃「あなたが魅力的なのがいけないんだから」
京子「そんなことを言われても……」タジタジ
綾乃「……もしあなたが望むなら、二度と近づかないわ」
京子「それは嫌!」
それは、近づくことを許せないほどには嫌われていない、ということだろうか。
それだけで、明確な拒絶を受けなかっただけで、この心は安心する。
京子「告白が土下座しながら、っていうのはまず問題だと思うんだ」
綾乃「……うん」
京子「じゃあ、普通にしなよ」プンプン
流石に土下座しながらの告白は駄目だったらしい。
少し怒っている歳納京子も、可愛い。
京子「……うぅっ、そんなに見つめないでよ」
綾乃「あなたが魅力的なのがいけないんだから」
京子「そんなことを言われても……」タジタジ
綾乃「……もしあなたが望むなら、二度と近づかないわ」
京子「それは嫌!」
それは、近づくことを許せないほどには嫌われていない、ということだろうか。
それだけで、明確な拒絶を受けなかっただけで、この心は安心する。
135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:53:23.47 ID:sJM53n6T0
京子「うーん」
綾乃「やっぱり気持ち悪いかしら……」
京子「そんなことないから」イヤイヤ
綾乃「それでも、嫌だったわよね」
再び口付けをしようとしたときの、拒絶する瞳が、声が、忘れられない。
私の心をズタズタに引き裂いたくらいなのだから。
京子「えっと、その、だから」アタフタ
京子「ああもう、なんていったらいいんだー!」ウガー
京子「……わるくなかった」ボソッ
綾乃「えっ?」
綾乃「やっぱり気持ち悪いかしら……」
京子「そんなことないから」イヤイヤ
綾乃「それでも、嫌だったわよね」
再び口付けをしようとしたときの、拒絶する瞳が、声が、忘れられない。
私の心をズタズタに引き裂いたくらいなのだから。
京子「えっと、その、だから」アタフタ
京子「ああもう、なんていったらいいんだー!」ウガー
京子「……わるくなかった」ボソッ
綾乃「えっ?」
136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:55:27.07 ID:sJM53n6T0
京子「だから、別に悪くはなかったの!」プィ
京子「キスも驚いたけど、平気だったから!」
そっぽ向いて、夕暮れに照らされた横顔は、確かな羞恥に染まっていて。
期待、してもいいのだろうか。
綾乃「そっそれって、つまり」
京子「だからさ」
京子「京子、って呼んで?」
ああ、千歳が鼻血を吹く理由が分かる。
これはやばい。
綾乃「きょっきょきょきょ」
京子「落ち着きなよ」ハァ
名前で呼べなかった。
呆れられてしまった、穴があったら入りたい。
京子「キスも驚いたけど、平気だったから!」
そっぽ向いて、夕暮れに照らされた横顔は、確かな羞恥に染まっていて。
期待、してもいいのだろうか。
綾乃「そっそれって、つまり」
京子「だからさ」
京子「京子、って呼んで?」
ああ、千歳が鼻血を吹く理由が分かる。
これはやばい。
綾乃「きょっきょきょきょ」
京子「落ち着きなよ」ハァ
名前で呼べなかった。
呆れられてしまった、穴があったら入りたい。
137: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:57:32.22 ID:sJM53n6T0
京子「……そのさ、キス、したい?」
綾乃「え、えぇぇぇ!」
京子「えっと、唇はダメだけど、頬っぺたなら……」モジモジ
綾乃「そ、そういうことね、勿論わかってたわ」
京子「……別にどうでもよかった?」
綾乃「そんなことないわよ!」
京子「ないないナイアガラじゃないんだ」フフッ
綾乃「そういう台詞を言う雰囲気じゃないでしょう」ムッ
京子「それもそうだね」クスッ
キス、してもいいのだろうか。
顔が熱くて、心も熱くて、ドキドキが止まらない。
綾乃「え、えぇぇぇ!」
京子「えっと、唇はダメだけど、頬っぺたなら……」モジモジ
綾乃「そ、そういうことね、勿論わかってたわ」
京子「……別にどうでもよかった?」
綾乃「そんなことないわよ!」
京子「ないないナイアガラじゃないんだ」フフッ
綾乃「そういう台詞を言う雰囲気じゃないでしょう」ムッ
京子「それもそうだね」クスッ
キス、してもいいのだろうか。
顔が熱くて、心も熱くて、ドキドキが止まらない。
138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 16:59:59.32 ID:sJM53n6T0
綾乃「………」ドキドキ
京子「………」ドキドキ
綾乃「……目をつむって」
京子「えー、なんで」ブー
綾乃「だって、は、恥ずかしいじゃない」カァァ///
いくら頬と言っても、恥ずかしいものは恥ずかしい。
口付けをじっと見つめられるのは、ちょっと耐えられそうにない。
チュッ
京子「ご馳走様」
綾乃「」
京子「確かに恥ずかしい、かも」エヘヘ
綾乃「」アワワワ
キス、されてしまった、歳納京子にキスされてしまった。
頬っぺたにちゅってキスが、キスがあうぁくぁwせdrftgy
京子「………」ドキドキ
綾乃「……目をつむって」
京子「えー、なんで」ブー
綾乃「だって、は、恥ずかしいじゃない」カァァ///
いくら頬と言っても、恥ずかしいものは恥ずかしい。
口付けをじっと見つめられるのは、ちょっと耐えられそうにない。
チュッ
京子「ご馳走様」
綾乃「」
京子「確かに恥ずかしい、かも」エヘヘ
綾乃「」アワワワ
キス、されてしまった、歳納京子にキスされてしまった。
頬っぺたにちゅってキスが、キスがあうぁくぁwせdrftgy
139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 17:02:00.03 ID:sJM53n6T0
綾乃「」プシュー
京子「綾乃、大丈夫?」
綾乃「とととっと歳納京子の唇が……」ワタワタ
京子「もうっ、綾乃ったら」クスクス
綾乃「だって、歳納京子が…」アワワ
京子「名前、呼んで?」
綾乃「………………京子」
京子「よくできました」ナデナデ
綾乃「うぅぅ~」カァァ///
もう、お嫁にいけない。
京子「綾乃、大丈夫?」
綾乃「とととっと歳納京子の唇が……」ワタワタ
京子「もうっ、綾乃ったら」クスクス
綾乃「だって、歳納京子が…」アワワ
京子「名前、呼んで?」
綾乃「………………京子」
京子「よくできました」ナデナデ
綾乃「うぅぅ~」カァァ///
もう、お嫁にいけない。
140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 17:04:03.71 ID:sJM53n6T0
京子「これからもよろしくね、綾乃」
綾乃「うん」
京子「私も綾乃のことが、好きだから」
綾乃「わ、私も京子のことが好き」
京子「知ってる」ニコッ
ああ、私の心はきっと、夕暮れ色なのだろう。
情熱の赤のように一気に燃え上がるものではないけれど、
あったかくて、切なくて、こうしてあなたを彩る光。
綾乃「うん」
京子「私も綾乃のことが、好きだから」
綾乃「わ、私も京子のことが好き」
京子「知ってる」ニコッ
ああ、私の心はきっと、夕暮れ色なのだろう。
情熱の赤のように一気に燃え上がるものではないけれど、
あったかくて、切なくて、こうしてあなたを彩る光。
141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/27(日) 17:06:04.75 ID:sJM53n6T0
綾乃「夕暮れが、綺麗ね」
京子「綾乃の可憐さが際立っていいね」
綾乃「かっからかうのは禁止よ!」
私の心は変化して、いつかは違うカタチや色になるのかもしれない。
でも、今日という日の、夕暮れの美しさを忘れたりはしない。
好きな人と結ばれた、この日を。
おわり
京子「綾乃の可憐さが際立っていいね」
綾乃「かっからかうのは禁止よ!」
私の心は変化して、いつかは違うカタチや色になるのかもしれない。
でも、今日という日の、夕暮れの美しさを忘れたりはしない。
好きな人と結ばれた、この日を。
おわり
引用元: ・結衣「アイニージュー」
コメントする
このブログにコメントするにはログインが必要です。
さんログアウト
この記事には許可ユーザしかコメントができません。