ことり「穂乃果ちゃん？」

穂乃果「まだあれを忘れてるよ」

花陽「あれって？」

穂乃果「そう……」

　
穂乃果「おみくじだよ！」

　
海未「そういえば」

凛「すっかり忘れてたにゃ」

真姫「おみくじねぇ。どうでもいいわ」

花陽「あれっ、真姫ちゃんおみくじ引かないの？」

真姫「別に、私おみくじとか興味ないし」

ことり「えぇー、引こうよぉ」

海未「こらこら、ことり。強制はいけません」

ことり「んぅ～」

真姫「まっ、みんなが引くとこだけは見届けるわ」

花陽「なんかフェアじゃないような……」

凛「真姫ちゃんはおみくじを引くのが怖いのかな？」

真姫「は？」

凛「『大凶引いたらどーしよ。笑われるぅ』『大凶。そんなの認められないわぁ、でっしょー』とか思ってるにゃ」

真姫「なっ、この賢い真姫ちゃんが大凶なんか引くワケないでしょ！」

凛「じゃあ凛達と一緒におみくじ引くよね？」

真姫「いいわよ引いてあげるわよ！」

凛「よーしっ、決まりだにゃ！」

　
ことり「なんて言うか……」

海未「単純ですね」

穂乃果「真姫ちゃんだからね」

花陽「あ、あははは……」

◆

　
穂乃果「みんな、引いた？」

海未「後は私だけです」

真姫「ねぇ、開けていい？」

穂乃果「みんな一斉に開けるから待って」

ことり「大吉だったらいいねっ」

花陽「うん！」

海未「引きましたよ」

穂乃果「よーし、じゃあ」

　

　
「せーのっ！！」

凛「凛は小吉」

花陽「わ、私も小吉」

ことり「私もだよっ」

花陽「三人お揃いだね」

穂乃果「吉だ！」

真姫「ふふーん。私は大吉よ」

凛「真姫ちゃんすごーい」

真姫「賢い真姫ちゃんにかかれば、大吉を引くくらい楽勝よ」

花陽「さすが真姫ちゃん」

穂乃果「あと海未ちゃんだけだ……」

海未「ふっ、ふふっ」

穂乃果「う、海未ちゃん？」

ことり「ど、どうしたの？」

海未「ふふっ、見てくださいよ。これ」

真姫「ん？」

花陽「どれどれ……」

凛「にゃっ！？　これは……」

　
大　凶

　
穂乃果「あちゃー」

海未「最悪です……」

ことり「ま、まぁまぁ所詮はおみくじだから、あんまり気にするのは」

花陽「病気、寝坊をする」

真姫「勝負事、顔に出ることはやめるべし」

凛「出会い人、自称若い女性」

真姫「その他もろもろマイナス」

穂乃果「総括、出会い人がアドバイスをくれるかも」

海未「良くないことばっかりじゃないですかぁ！？」

真姫「大凶だから仕方ないわね」

穂乃果「でも、ことりちゃんの言う通り、そんなに気にすることないよ」

花陽「うん。海未ちゃん規則正しいから寝坊することはないだろうし」

海未「穂乃果じゃあるまいし、それに寝坊は病気なんですか？」

穂乃果「酷い！」

真姫「だけど海未はババ抜きをやると顔に出やすくてわかりやすいのよね」

海未「ぐっ……」

凛「出会いの……自称若い女性って？」

ことり「自称若いだから、おばさんなんじゃないかな？　かなり痛い部類の」

海未「そうなのですか？」

穂乃果「しかもその人がアドバイスくれるかもって」

海未「曖昧すぎです……それに出会い人ではなく、待ち人なのでは？」

真姫「ねぇ、そろそろ帰らない？」

ことり「もう二時だね」

凛「そろそろ眠く……」

花陽「ふわぁ～」

穂乃果「んじゃ、おみくじ結んでかえ……」

海未「あっ、私は先に帰ります」

ことり「おみくじ結ばないの？」

海未「いえ、大凶を引いたせいかどっと疲れが」

穂乃果「じゃあ、さっさと結んで」

海未「大丈夫です。ひとりで帰れますから」

ことり「そう……車には気をつけてね」

海未「はい」

ﾌﾗﾌﾗ～

真姫「大丈夫なの？」

穂乃果「た、多分……ねっ？」

　

　

　
海未（早く家に帰って睡眠アタックです）

海未「……ｸﾞｩ」

◇

　
海未「はぁー」

海未（やっと新年会が終わりました）

海未（それにしても寝坊してしまうとは不覚です！）

海未（おかげで恥をかきました）

海未（やはり寝るのが遅かったのがダメだったのでしょうか）

海未「……」

海未（そういえば初詣で引いたおみくじに……）

　
－－病気、寝坊をする

　
海未「まさか……」

海未（いえ、偶然……そういえば）

海未（さっきババ抜きした時に……）

　
海未『わぁ！』ﾊﾟｱｯ

ﾋｮｲ

海未『あぁぁぁぁぁぁ！』

　
海未（思い出したくありませんが全敗です）

海未（これって……）

　
－－勝負事、顔に出ることはやめるべし

　
海未（おみくじの通りです）

海未「……」

海未「おや？」

海未（おみくじがあります）

海未（あぁ、そういえば結ばずに帰りましたね）

海未「……」

海未（ちょっと出かけますか）

◆

　
海未（んー。にしても、相変わらずの人出ですねぇ）

海未（まぁ、おみくじ結ぶだけですしそんなに時間はかからないでしょう）

　
「あら、海未ちゃんじゃない？」

　
海未「はい？」

「あけましておめでとう」

海未「あっ、はい。あけましておめでとうございます……」

海未（この着物を来たなんとなく、ことりに似た人……）

海未「り、理事長ですか？」

理事長「そうでーす」

海未（なんかやけにテンションが）

理事長「海未ちゃんひとり？」

海未「は、はい。ちょっと用がありまして」

理事長「そういえばことり達と一緒に初詣行ったわよね？」

海未「行きましたけど、その時引いたおみくじを結ばずに帰ったので結びに」

理事長「おみくじねぇ……私も後で引こうかしら」

海未「理事長もお一人なんですか？」

理事長「えぇ、ひとり詣でよ……ねぇそれよりこの着物どぉ？」

海未「どぉ、とは？」

理事長「似合う？」

海未「え、えぇもちろん」

理事長「やっぱりよねぇ。これだと若い娘に混じっても問題ないわよねぇ……あっ、まだ若かったわ」

海未（自分で若いって……）

　
－－出会い人、自称若い女性

－－総括、出会い人がアドバイスをくれるかも

　
海未（まさかおみくじの通りに……）

海未（ということは私は理事長からアドバイスを貰うことに……）

海未（考えすぎでしょうか）

　
ことり『自称若いだから、おばさんなんじゃないかな？　かなり痛い部類の』

　
海未（ことり。親の悪口はいけませんよ）

理事長「ねぇ海未ちゃん。私と一緒に参拝しましょうか？」

海未「えっ、私は既に参拝を」

理事長「気にしない、気にしない。今日くらい神様も大目に見てくれるわ」

海未「ちょ、理事長ぉ」

理事長「今の私は理事長ではなく、ことりのお母さんよ」

海未「うっ」

理事長「ということで理事長禁止」

海未「はい……では参りましょうか、おば様」

理事長「よろしい」

海未（ははは……はぁ）

◇

　
理事長「やっと順番ね」

海未「そうですね。ではおさい銭を……えいっ」

理事長「ほいっ」

ﾊﾟﾝﾊﾟﾝ

理事長「……」

海未「……」

理事長「何をお願いしたの？」

海未「えっと、健康第一をです」

理事長「夢がないわね」

海未「こういうのは現実的なお願いでないと」

理事長「何よ。私は神様にμ'sのセンターで踊れるようお願いしたわ」

海未「えぇー！？」

理事長「そんなに驚くことかしら？」

海未「流石にそれは……」

理事長「別にいいでしょ。罰が当たるワケじゃないし」

海未（罰が当たるどころか神様ひっくり返りますよ）

理事長「まっ、冗談だけどね」

海未「ですよねー」

理事長「本当は『一年楽しく過ごせたらいいな』と願ったわ」

海未「おば様らしいです」

理事長「でしょー」

海未「願い、叶うといいですね」

理事長「そうね」

◆

　
理事長「海未ちゃん。お守り買ってあげましょうか？」

海未「えっと、それはさすがに悪いような……」

理事長「いいのよ。私とことりの分を買うついでだから」

海未「そうですか？　では、健康祈願でお願いします」

理事長「じゃあ家内安全、学業成就、健康祈願のお守りを下さい」

　
理事長「はい。どうぞ」

海未「ありがとうございます」

理事長「それじゃあ、おみくじ引いて来るわね」

理事長「よーし、開けるわよ……それっ」

　
大　吉

　
理事長「きゃっ、見てみて海未ちゃん。大吉よぉー」

海未「お、おば様はしゃぎすぎです！」

理事長「だって去年は大凶だったのよ」

海未「えっ、大凶！？」

理事長「そうよ。運勢何もかも最悪ってあって凹んだわ」

海未「はぁ」

理事長「そういえば海未ちゃん」

海未「はい？」

理事長「海未ちゃんのおみくじはなんだったの？」

海未「私はその……大凶です」

理事長「去年の私と一緒ね」

海未「最悪ですよ。ほんと」

理事長「何が書かれてたの？」

海未「寝坊、勝負事に弱いとかその他マイナスです」

海未（自称若いお姉さんってのは伏せておきましょう）

理事長「それくらいならまだ大丈夫よ」

海未「いえ、寝坊と勝負事は既に的中しました」

海未（自称若いお姉さんも的中してますが）

理事長「あっ、そうなの」

海未「はぁー、運がありませんねぇ」

理事長「ねぇ海未ちゃん」

海未「はい」

理事長「あんまり気にするのもアレだし、とりあえず結びに行きましょうか」

海未「そうですね」

　
ｷｭｯ

理事長「これでよし」

海未（運勢が良くなりますように）

理事長「じゃあ、帰りましょうか」

◇

　
海未「あの、おば様」

理事長「なぁに？」

海未「おば様は去年大凶と言ってましたが、どんなことが書かれていたのですか？」

理事長「詳しくは覚えてないけど、とりあえず色んな方面でマイナスなことばかり」

海未「うわぁ、きついですね」

理事長「えぇ、きついわね。でも、頑張ればプラス方向へ導いてくれるわよ」

海未「頑張れば、かぁ」

理事長「でも今になって思えば、アレはアレで良かったのかもしれないわ」

海未「？」

理事長「私の引いたおみくじの総括にこう書いてあったのよ」

　
理事長「困った時に貴女を助ける女神達が現れるでしょう、と」

　
海未「えっ、女神達って」

理事長「そう。私……いえ、オトノキを守ってくれた９人の女神達……μ'sよ」

海未「こ、こじつけっぽいような気もしますが」

理事長「そうかも知れないけど、学校は貴女達の活躍によって守られたってのは事実よ」

海未（偶然が偶然を呼ぶんですかね？）

ﾀﾞｷｯ

海未「えっ、おば様！」

理事長「あの時は迷惑かけてごめんなさい」

海未「ほぇっ！」

理事長「ですが、本当に感謝しています」

ｷﾞｭｯ

海未「はひぃっ！」

理事長「なぁーんて、ちょっと気が晴れたかしら？」

海未「ふぅぅぅ～」

理事長「あら、ちょっとイッちゃった？」

海未「なっ！？」

理事長「ふふっ、冗談よ」

海未（マズイ、ドキドキが）

理事長「あの交差点でお別れね」

海未「そうですね」

理事長「じゃあお別れ前に、若くて素敵なお姉さんからのアドバイス」

海未「はい？」

理事長「貴女は決してひとりではありません。そこをよく考えるのが悩み解決のポイントです」

海未「あの、意味がよく……」

理事長「μ'sは９人の女神達です。つまり」

海未「つまり……あっ」

　
凛『海未ちゃん』

花陽『どうしたの？』

真姫『何か悩み？』

絵里『それなら』

希『一人で悩まずに』

にこ『ちゃんと相談しなさいよね』

ことり『だって私達』

穂乃果『仲間だもん！』

　
海未「仲間」

理事長「はい。正解です」

海未（そうでした。なんで仲間に相談というのに気づかなかったのでしょう）

理事長「どう、役に立ちそう？」

海未「はい。あと、仲間という言葉で大凶なんてどうでもよくなりました」

理事長「それはよかったわ」

海未「あの、おば様。本日はどうも、ありがとうございました」

理事長「いいのよ。残りの冬休みしっかりエンジョイして、始業式に元気な顔を見せてね」

海未「はい！」

理事長「じゃあね」

海未「さようならぁ」

　

　
私の大凶のおみくじの総括もなんだかんだで的中

これって幸先いいスタートなんでしょうか？

分かりませんけど、本年もよき年でありますように

　

　
おしまい

謹賀新年

理事長一発

皆様、お手を拝借

　
りっじりっじちょ～★

　

　
ありがとうございました