絵里｢じゃあ私達は折角の元日なのに、特に予定も無い暇人二人組ってことね｣ﾌﾌｯ

ことり｢暇人じゃないよぉ～、これから一人で初詣行こうって思ってたんだもん！｣ﾌﾟｸｩ

絵里｢ああ、ごめんなさい。けど、それなら私と目的は一緒じゃない｣

ことり｢え？絵里ちゃんも初詣行こうとしてたの？｣

絵里｢さっき言ったでしょ？希達に断られただけで
、元々初詣には行くつもりだったのよ｣

ことり｢そうだったんだ……じゃあ｣

絵里｢ええ。ことりさえ良かったらなんだけど、一緒に初詣行かない？｣

ことり｢うんっ、いいよ～｣

絵里｢ふふっ、ありがとっ｣

ことり｢では、エスコートお願いしますっ♪｣ｽｯ

絵里｢エスコートって……手繋ぐの？まあ、確かに神田明神は人多いから迷子になると大変だし……｣ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

絵里｢かと言って、手を繋いでる所見られて誰かに勘違いされるのも……｣ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

ことり｢あ、ご、ごめんねっ！そうだよね……やっぱり変だよね……｣ｻｻｯ

絵里｢いえ！別にそういう訳じゃ……ただ、スクールアイドルとして、スキャンダルになりそうな事はどうかと思っただけで！｣ｱｾｱｾ

ことり｢うん……ごめんなさい……｣ｼｭﾝ

絵里｢……｣





……ｷﾞｭｯ



ことり｢ふぇっ！？｣

絵里｢少し恥ずかしいけれど……エスコートなら仕方ないわよね？ええ、仕方ないわ｣

ことり｢絵里ちゃん……｣

絵里｢ん、んんっ！……とにかく、迷子にだけはならないでね？｣

ことり｢はいっ♪｣

――――――

ことり｢ふええぇ……絵里ちゃ～ん……｣ｸﾞｽｯ

ことり｢絵里ちゃぁん……どこなのぉ……｣ｷｮﾛｷｮﾛ



ﾜｲﾜｲｶﾞﾔｶﾞﾔ……




ことり｢ど、どうしよ～……迷子になっちゃった……｣

ことり｢人がいっぱいで捜そうにも捜せないし……｣


ﾄﾞﾝｯ


ことり｢やんっ！ご、ごめんなさい！｣ﾍﾟｺｯ

ことり｢うぅ……｣ﾄﾎﾞﾄﾎﾞ

｢あれ？ことりちゃん？｣




ことり｢？｣ｸﾙｯ

希｢おっ、やっぱりことりちゃんやん！｣

ことり｢希……ちゃん？｣

希｢ん～？うん、のんちゃんやよ～♪｣ﾌﾘﾌﾘ

ことり｢……｣ｼﾞﾜｯ

希｢ことりちゃ――｣

ことり｢うわああぁ～ん！！希ちゃぁ～ん！！｣ﾀﾞｷｯ

希｢うおっとと！｣ｶﾞｼｯ

希｢……急にどうしたん？｣

ことり｢迷子になりました……｣ｸﾞｽｯ

希｢迷子……って事は、誰か親戚のちっちゃい子が？｣

ことり｢……｣ﾌﾙﾌﾙ

希｢うーん……じゃあ、穂乃果ちゃん？って流石に高校生にもなって迷子はないかぁ｣ﾌﾌｯ

ことり｢……ごめんなさい｣

希｢何が？｣

ことり｢高校生にもなって迷子になっちゃってごめんなさぁ～～い！｣

希｢…………え？｣

希｢も、もしかして……ことりちゃんの言っとる迷子って……｣

ことり｢はい……ことりです……｣ｼｮﾎﾞﾝ

希｢あ、ああ……それはまあ、何と言うか……ごめんな？｣

ことり｢絵里ちゃんとはぐれちゃった……｣

希｢エリチ？……そういえば、初詣に行くって言っとったね｣

希｢ホントはウチも誘われてたんやけど、見ての通り今日は巫女さんのバイトやから｣

ことり｢助けてください、希ちゃん！｣

希｢と言うか、何でまたエリチと一緒に？｣

ことり｢ことりも……絵里ちゃんと同じで、穂乃果ちゃんと海未ちゃんに初詣断られちゃったから｣

希｢で、一人もん同士が偶然出会って一緒に行く事になったと｣

ことり｢そうなの……それでね？人が多いから迷子にならない様に、絵里ちゃんと手繋いでたんだけど……｣

希｢なになに～？手繋ぐなんてカップルみたいやん｣ﾆﾔﾆﾔ

ことり｢ふぇ！？べ、別にそういうつもりじゃなくって///｣ｶｱｧ

希｢ことりちゃんも満更ではないと｣

ことり｢もお～！からかわないでよ希ちゃぁ～ん！｣

希｢ふふっ、ごめんごめん｣

ことり｢まったく……｣ﾌﾟﾝﾌﾟﾝ

希｢え～と、話を戻して……迷子にならん様に手繋いだんやけど、結局何で迷子になったん？｣

ことり｢え、えと……ことりが……｣

希｢ことりちゃんが？｣

ことり｢並んでる最中に、かわいいネコさんを見つけちゃって……｣

希｢ああ～、大体わかったわ……そういう事かぁ｣

ことり｢もう～っ！ことりのバカぁ～！｣

希｢今頃、エリチも必死に探しとるやろうねぇ｣

ことり｢希ちゃん！スピリチュアルパワーで絵里ちゃんのいる所教えて！｣

希｢いやいや、スピリチュアルパワーなんかいらんと思うよ？｣

ことり｢ふぇ、何で？｣

希｢ほら、携帯使ったらいいやん｣ｽｯ

ことり｢……あ、そっか｣

希｢灯台下暗し、やね｣ｸｽｯ

希｢じゃあ、ちょっとウチがエリチに連絡取ってみるな？その間ことりちゃんは――｣




ﾆｬ-…




ことり｢あっ！さっきのネコさんだぁ♪にゃんにゃ――｣ﾀﾀｯ

希｢大人しくしているように。くれぐれも、可愛い猫について行ったりしたらいかんよ？｣

ことり｢……｣ﾋﾟﾀｯ

ことり｢にゃんにゃん……｣ｺｸｯ

――――――

絵里｢ことり！｣

ことり｢！｣ﾋﾟｸｯ

ことり｢絵里ちゃぁ～ん！！！｣ﾀﾞｷｯ

絵里｢無事で良かったわ……｣

ことり｢勝手にいなくなっちゃって、ごめんなさい……｣

絵里｢本当よ？私がどれだけ心配した事か……手が離れたと思ったら、次の瞬間には人混みに消えていっちゃったんだもの｣

ことり｢ことりも、振り返ったら絵里ちゃんがいなくなってたの｣

絵里｢猫を追いかけて迷子なんて、ことりらしいと言えばらしいけど……時と場合を考えてね？｣

ことり｢はい……ごめんなさい……｣

絵里｢あっ、別に怒ってるとかじゃないのよ？ことりの事が心配だから、こうやってうるさく言ってるだけで……｣

希｢さっきの電話では、物凄い取り乱してたもんね｣ｸｸｯ

絵里｢希……貴女さっきバイトに戻っていかなかったかしら？｣

希｢いややなぁ、偶然通りかかっただけやって♪｣

絵里｢早く仕事しなさい！｣

希｢はいはい、邪魔者は退散しま～す♪｣



ｽﾀｽﾀ……




絵里｢もうっ……希はいつもいつも人をからかうんだから……｣

ことり｢あの、絵里ちゃん……そんなにことりのこと……｣

絵里｢当たり前でしょ、大事なμ'sのメンバーなんだから。何かあったら大変だもの｣

ことり｢ホントにごめ――｣

ﾋﾟﾄｯ

絵里｢もういいの、謝りすぎよ｣ｸｽｯ

ことり｢でも……｣

絵里｢ことりが無事だったならそれでいいから……ほら、これでこの話はオシマイね｣

絵里｢そんな事より、早くお参り行きましょ？また人が増えてきちゃったわ｣

ことり｢う、ううん！ことりは、いいよ……｣

絵里｢……｣ﾊｧ



ｷﾞｭｯ…



ことり｢え、絵里ちゃんっ！？///｣ｶｱｧ

絵里｢ここまで来て帰るなんて許さないわよ？｣

ことり｢けど、またことり迷惑かけちゃうかも……｣

絵里｢大丈夫よ、今度は絶対離さないから。何があっても｣ﾌﾌｯ

ことり｢///｣ｶｱｧ

絵里｢どうしたの？顔が赤くなってるみたいだけど｣

ことり｢なんか絵里ちゃん……か、かっこいいかも///｣

絵里｢あらそう？ことりにそう言ってもらえるなんて、嬉しいわ｣ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ

ことり｢あうぅ///｣

絵里｢じゃ、行きましょうか？エスコートは私に任せなさい♪｣

ことり｢絵里ちゃん……お、お願いします///｣

おわり

あけおめ、ことえり