1: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 10:53:59.20 ID:b5K2wpw3
ほのか「えっ……?アルパカも?」

アルパカ「占いで出てたんや。このグループは九人になったとき未来が開けるって」

2: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 10:54:35.96 ID:b5K2wpw3
……え?

今、目の前で起きているこの状況は?

私の理解は、追い付かなかった。

私が言おうとしたことを、そっくりそのまま、

そこに突如現れた毛玉……アルパカが言った。

アルパカ「だからつけたん。九人の歌の女神、μ’sって」



それは違う!それは私!

私がどんな思いで……!




のぞみ「ちょっと待って!みんな、おかしい!それはウチが」

ほのか「じゃああの名前付けてくれたのってアルパカだったんですか!?」

ことり「ほええええ!?」

アルパカ「うふふ」

えり「ア、ルパカ……まったく、あきれるわ」

スタスタ……

うみ「どこへ?」

えり「決まってるでしょ。……練習よ!」

3: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 10:55:24.26 ID:b5K2wpw3
誰も私を見ない。まるで、最初からアルパカと話していたように。

会話は、当たり前のように続く。

……そもそもなんでアルパカ?



のぞみ「まってよみんな……」



訳が分からない。みんな私をおいて、屋上へ向かった。

追わなきゃ。

……追わなきゃ!



えり「だめよ!全然!動きが硬い!!!」

はなよ「わっ!……ごめんなさい」

まき「あの人全然変わらないわ」

ほのか「いいんだよ。これで」

猫「なんでー!こんなに柔らかくなったんですよ!」

えり「まだまだよ、そんなんじゃ」

猫「なんでにゃー」



のぞみ「みんな!もう悪い冗談はよして!!!」



?「無駄だよ」

4: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 10:56:54.12 ID:b5K2wpw3
何分かぶりに、誰かが私の問いに応えた。

のぞみ「だ、だれ!?」

?「りんもいろいろ試してみたけど、ダメだった」

のぞみ「りん・・・?りんちゃん?」

りん「そうだよ。今あそこにいる猫・・・りんがいるべきだった場所」

のぞみ「猫?」

猫「いくにゃー」

のぞみ「ほんとや猫がいる」

りん「あなたもこっち側に来ちゃったから、気づけるんだね」

のぞみ「こっち側?・・・いったいなにを」

りん「ある日気が付いたら、みんなあの猫を猫って呼び始めた。そして、ほんとうのりんは、だれにも気づいてもらえない」

のぞみ「どうしていままであの中に猫がいることに何の違和感も……」

りん「りんはずっとずっとみんなの傍にいたよ」

のぞみ「そんな……」

りん「みてもらったほうが早いよね」

そういうとりんちゃんは、休憩に入って話してる途中のえりちをいきなり殴った。

スパァン!

のぞみ「ちょ・・・りんちゃん何を!」

えり「じゃあ・・・改めてよろしく」

猫「生徒会長が入ってくれたら百人力にゃ!」

アルパカ「ふふ。これでも意外と抜けてるとこあるんよ。えりちも」



アルパカにえりちの何がわかるん!!!?

いや、それ以前にどうして何事もないように会話が続くの……?

5: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 10:58:58.14 ID:b5K2wpw3
ことり「ええ~そうなんですか?そうはみえないです」



なんなの?なんなのこれは……恐怖。吐き気すらしてくる。

りん「ね。わかった?」

のぞみ「わ、わかんないよ」

りん「りんはついさっきも副会長をわしわししてたよ」

のぞみ「嘘……ぜんぜんそんなのわからんかった。そもそもウチはさっきまであの猫のことを……」

りん「そういうことだよ」

のぞみ「なんなんこれ!なんなん……なんなの!?」

りん「落ち着いて。あなたはいいほうなんだよ」

のぞみ「りんちゃんはずっと一人ぼっちで……?」

りん「うん」

のぞみ「誰にも気づいてもらえないのに、ずっとみんなの傍に?」

りん「うん。ずっと、ずっと叫んでた。ここだよって」

6: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 10:59:24.71 ID:b5K2wpw3
りん「ちがうよ、りんはここだよ!!!って」

のぞみ「・・・そんな」

それは……余りにも……

想像しがたい孤独だった。

のぞみ「ごめんねりんちゃん」

りん「え……?」

私は、気が付いたらりんちゃんを抱き寄せていた。

この子は……ずっと一人で。

のぞみ「ごめんね・・・でももう大丈夫」



のぞみ「ちゃんと、りんちゃんの声、聞こえてるから……」
 
のぞみ「ウチには聞こえてるから」

りん「うん、うん……!」

どれほどの孤独だっただろう。

その少女は、ただ、自分の言葉に返事があることに涙していた。

8: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 11:02:53.79 ID:b5K2wpw3
続きます。またのちほど

13: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 11:56:55.23 ID:b5K2wpw3
りん「りんたち、死んじゃったのかな?」

のぞみ「それは違う。なぜか存在を認識されていないだけのはず」

りん「???」

のぞみ「事実、物理的に干渉することはできてるんよ」

りん「難しいよ……」

のぞみ「さっき、りんちゃんはえりちに触ってたやろ?」

りん「それが、なに?」

のぞみ「なんとかなるかも、ってこと」



そのあとも、なんの変わり映えもなく、練習は続く。



のぞみ「イカレとる・・・」

りん「どうにかなるって、どうするの?」

のぞみ「とりあえず、できることとできないことを確認しよか」

りん「にゃ?」

14: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 11:58:00.48 ID:b5K2wpw3
ず、さっきのりんちゃんのビンタで、誰かに直接接触できることはわかった。

しかし、なぜか当人および周囲の人間はそれを認識できない……

なら次は。



のぞみ「間接的には、認識されるかも」



フェンスをおもっきり叩いてみる。

ガチャンガシャン!



うみ「はい、ワンツーワンツー」

りん「だめみたいだよ……」



じゃあ次。



のぞみ「みんなのカバンから荷物を出してみよ」

ガサゴソ

のぞみ「さすがにこれは気が付くはず」

うみ「はい、五分休憩です」



みんなは、だまって散らばった荷物を拾い集める。

誰一人そのことに触れず。



のぞみ「悪い夢でもみてるん……?」



その光景は、あまりにも気味が悪かった。

どうしようもなく、気味が悪かった。

15: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 11:58:39.68 ID:b5K2wpw3
はなよ「さっきのステップ、ちょっとできるようなったかも」

猫「さすが!すごいかよちん」

アルパカ「ウチらも負けてられんね、えりち」

えり「そうね」

のぞみ「なんやもう笑えてくる。なんで当然のようにみんな猫やアルパカと会話してるん?」

りん「ねえ、もう……」

のぞみ「なんでアレ、喋るん?いみわからん」

りん「無駄だよ……」

のぞみ「りんちゃん、つまずいたらどうする?」

りん「……」

のぞみ「笑ってみよ。笑顔で」



りんちゃんを安心させるため、私は精いっぱいの笑顔をつくる。

ああ、そっか。もうつくろうとしなきゃ笑顔にならないんだ。

……それに安心させたいのは自分自身も同じ。

それでも、そう。辛いときは無理してでも笑おう。大丈夫。

まだ、手段はある。

16: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 12:11:05.78 ID:b5K2wpw3
放課後、校舎からでていくみんな。

ほのか「でね!……」

はなよ「そうなんですかぁ!?」

にこ「ったく、それで?」

アハハハハハ



談笑しているうち一人をりんちゃんと二人がかりでおさえる。



まき「……」

ズリズリ



みんなとまきちゃんとの距離がどんどん広がる。これなら!



まき「もう!やめてよ!」

りん「えっ!まきちゃん!りんのことわかるの!?」

まき「なにそれ!いみわかんない!」

りん「まき、ちゃん……?」

まき「なっ!べ、別に!」

のぞみ「これは」



そこにいるはずのない人と、まきちゃんは会話を続けていた。

腕の力が抜ける……。

17: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 12:11:28.47 ID:b5K2wpw3
のぞみ「あ、ああ……あ」



まきちゃんは、一人で隣にいるはずの誰かと話しながら歩いていった。

例えるなら、ハプニングやアクシデントがあっても台本通りに続けるように。

なら、この世界は舞台?この世界には台本があるとでもいうの?



のぞみ「おそろしい……こんな」

りん「だからのぞみ先輩」

のぞみ「これは今までのとは訳が違う」

りん「のぞみ先輩?」

のぞみ「これじゃまるで、あらかじめ全てが決まっている……?」
 
のぞみ「そこでまきちゃんたちがする会話はすでに決められている……そうでなきゃあんなんありえん」

りんちゃん「りん、そういうのわからないって!」



そうはいっても、深刻さは伝わったらしく、りんちゃんは涙目だった。

のぞみ「ウチらは、とんでもないものを見てしまったみたいよ。世界の根幹のような何かを」

りん「こんかん?」

のぞみ「簡単にいえば運命。過去現在未来においてすべての事象はあらかじめ定められているのかもしれない」

だとしたら……

18: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 12:11:52.83 ID:b5K2wpw3
りん「運命?りんたちがこうなっちゃったのも運命で、もうどうしようもないってこと……?」

のぞみ「いや。運命がルールなら、私たちはイレギュラーなのかもしれない」

のぞみ「ルールから外れた存在。大丈夫……希望を捨てちゃだめよ」

りん「……うん」

のぞみ「りんちゃんは、あの猫に接触したことはある?」

りん「ううん。りんは猫アレルギーだから、あれには近づけないの」

のぞみ「そう……」

19: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 12:12:32.67 ID:b5K2wpw3
アルパカ「ただいま」

ガチャ

のぞみ「おかえり」

アルパカ「……」

のぞみ「あなたと二人きりになるタイミングを待ってた」

アルパカ「……」

のぞみ「ウチは一人暮らしやから……。あなたがほんにウチに成り代わってるんなら」



私は、自分の家にアルパカが帰ってくるのを先回りして待っていた。

……。今の、字面にするととんでもないんんだろうなあ。



のぞみ「必ずここに帰ってくる思ってな」

アルパカ「……」

のぞみ「だまってないでなんとかいいなさい。屋上の練習の時、チラッとこっち見とったのウチは見逃さなかった」

アルパカ「……」

のぞみ「……」

アルパカ「無駄よ」

のぞみ「……!」

20: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 12:12:56.75 ID:b5K2wpw3
アルパカ「どうあがいても、東條のぞみは・・・ウチ」

のぞみ「違う!東条のぞみは私!」

アルパカ「ウチは私、なんて言わんよ。あなたは誰?」

のぞみ「気安くその言葉づかいで私を語らないで!その言葉は……」

アルパカ「わかってる」

のぞみ「!」

アルパカ「ぜんぶわかってるんよ。あなたのことは」

のぞみ「あなたはいったい……」

アルパカ「初めにいったやろ?無駄よ、って。すべては大いなる意思の」

のぞみ「大いなる意思?」

アルパカ「おっとぉ口滑ってもうた。いかんなあ。とにかく、あなた一人でどうにかできる範疇じゃないんよ」

のぞみ「……わかった」

アルパカ「そう。じゃあ、ウチの家から出て行って」

のぞみ「最後に言わせてもらう」

アルパカ「なあに?」

のぞみ「どうあがいても、アルパカよ……あなたは」

21: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 12:13:20.88 ID:b5K2wpw3
りん「どうだった?」

のぞみ「会話はできた」

りん「アルパカと!?」

のぞみ「うん・。ウチらはまだ完全に世界から切り離されたわけじゃない」

りん「何か分かった?」

のぞみ「一つわかったことは……あのアルパカは中二病やね」

りん「それってつまりのぞみ先輩が中二びょ……にゃ、にゃ~」

のぞみ「寝床や食料はどうしてるん?」

りん「……だって、だれにも気付かれないんだよ?」



私たちはお店やレストランから勝手に食べ物を持ち去った。

……こうするほかに方法がなかった。

この状況で、私たちは物を買うことすらできなかった。

寝床も、ホテルの空き部屋を勝手に使った。

心のどこかで、誰かに気づかれる事を願いながら……

34: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 16:37:55.60 ID:b5K2wpw3
りん「のぞみちゃん、起きるにゃー!」

のぞみ「ん……」

星空りんの朝は早い。

のぞみ「うん……今何時?」

りん「十二時半にゃ」

前言撤回。星空りんに朝は無い。

のぞみ「……てもうそんな時間なん!?どうしよ!学校」

あ……

りん「えっと」

のぞみ「そやったね……。学校にはアルパカが行くんやった」

りん「猫もね」

……

のぞみ「ぷっ!」

りん「あはははは!」

一日経って、ずいぶん頭も心も整理がついたようだった。

根拠のない楽観ができるほどには。

りん「よっぽど疲れてたんだね、こんな時間まで」

35: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 16:38:56.63 ID:b5K2wpw3
りん「学校には行かないの?」

のぞみ「いっても空しいだけ」

りん「……そうだね」

のぞみ「りんちゃんは、すごいね。一人の時は行ってたんでしょ?」

りん「やっぱりみんなに会いたいから」

のぞみ「……やっぱり、いこか?」

りん「ううん。今はのぞみちゃんがいてくれて心強い」

りん「一人じゃ諦めてたけど、もしかしたら……そう思えてるよ」

のぞみ「本当に・・・?」

りん「何も答えてくれない七人より、話しかけてくれる一人の方がいいにゃ!」

のぞみ「そうやね……そのとおりやね」

りん「今日はどうする?なにする?」

のぞみ「とりあえず、りんちゃんの一日の行動パターンを聞かせて。ウチのも今書き出すから」

りん「どうして?」

のぞみ「アルパカと猫の動きを予測するのに、これ以上の情報はないやろ?」

36: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 17:03:42.27 ID:b5K2wpw3
猫「じゃあね!かよちん!」

はなよ「うん!バイバイ猫ちゃん」

猫「~♪」

りん「猫ちゃん。りんのかよちんを返して!」

猫「~♪」

りん「ふう……その制服のスカート、ぜーんぜんお似合いじゃないにゃー!」

猫「……!!!」

りん「ぜーんぜんにゃ」

猫「あなたに言われたくない!!!」

りん「ふーん」

猫「……ぬぬっ」

りん「猫アレルギーの癖に猫なんておかしいにゃ!」

猫「猫は猫じゃないにゃ!猫は星空りんにゃ!あなたはだれにゃ!」

りん「あなたこそだれにゃ!」

猫「だれにゃ!」

りん「だれにゃ!」

猫「あなたはりんじゃない!」

りん「あなたがりんじゃない!」

猫「だれにゃ!」

りん「だれにゃ!」

猫「だ、れ……あれ……?」

りん「あれ?りんは……だれ?」

37: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 17:04:20.54 ID:b5K2wpw3
猫「?」

りん「?」

猫「あああああ!りんて何!?だれ!?」

りん「私は、だれ」

のぞみ「あかん、どっちもいい感じにアイデンティティが崩壊してる……でもチャンスやね!」

私は物陰から身をだし、猫を網で捕獲。りんちゃんの肩を揺さぶる。

のぞみ「しっかりして!あなたは星空りんよ!りんちゃん!」

りん「あ、ああ!のぞみちゃん。りんはりんでいいんだっけ?」

のぞみ「そうよ」

りん「そうだ、なんか気持ち悪くなっちゃった。えへへ」

のぞみ「それにごめんね、トラウマえぐるような事させて……」

りん「いいんだよ……しょうがないよ」

のぞみ「でもおかげで、ほら」

猫「まんまとやられたにゃ……」

りん「取り調べではかつ丼じゃなく猫まんまを所望かにゃ?」

のぞみ「さあ。観念するんや。猫ちゃん」

りん「にゃあ!!!それ以上近づけちゃダメ!」

のぞみ「ああ、ごめんね」

38: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 17:04:51.24 ID:b5K2wpw3
りん「さて、猫ちゃん、りんの居場所を返して」

猫「返すもなにも、ここは猫の居場所にゃ」

りん「そこは私の場所でしょ!」

猫「わかってないにゃ」

のぞみ「なにがわかってないって?」

猫「なにもかもだよ」

のぞみ「そう思う?」

猫「ふん」

のぞみ「……大いなる意思、だっけ?」

猫「!!?」

のぞみ「何にも知らないと思った?」

猫「どどどどこでそれを!?」

のぞみ「さあ……でも、大方もう割れてるんよ?隠すだけ無駄」

猫「ぬぬぬ……」

りん「のぞみちゃん?」

40: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 17:05:55.59 ID:b5K2wpw3
猫「ふん。わかったところで、あなたたちには何にもできないよ!」

りん「そんなことない!」

猫「星空りんは猫にゃ!」

りん「またそんなこと!」

のぞみ「大いなる意思、なんて変な呼び方やよねえ」

猫「猫だって恥ずかしいよ!でもそう呼べってう……」

?「猫ちゃん、そこまでだよ」

のぞみ「だれや!?」

あたりを見渡しても……誰もいない?

バサバサバサ!

のぞりん「!」

突然飛び立つ鳥に気を取られている内に、猫には逃げられてしまった。

のぞみ「もうちょっとで聞き出せそうやったんやけどな」

りん「さっきの声、どこかで聞いたような……」

41: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 17:16:28.14 ID:b5K2wpw3
たいした収穫もなく、ホテルに戻る。

りん「また捕まえればいいよ!」

のぞみ「いや、向こうも警戒したはず……もう難しいやろうね」

りん「そっか……」

のぞみ「それに、あの声はいったい」

りん「なぞは深まるばかりだね。」

のぞみ「まあ、ポジティブにいこか。りんちゃん」

りん「うん!のぞみちゃん」

のぞみ「そういえば、いつの間にかのぞみちゃん。って呼んでくれるよになったね」

りん「えっ?ごめんなさい……嫌だった?」

不安そうに、こちらをうかがってくる目。

そしてなんとも言えない上目使い。

のぞみ「もーう!そんなわけないやん!嬉しいんよ!」

42: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 17:16:52.43 ID:b5K2wpw3
この感情は言葉だけでは伝えきれない。

りんちゃんの不安を取り除くためにも、正確に強く伝えなければ。

ペターン

りん「にゃ!?や、やめてのぞみちゃん!くすぐぅ……あはははは」

思うところがないわけではないけど、とりあえずわしわししてみた。

りん「はあっ、はあ、はあ……お返しにゃ」

バイーン

のぞみ「あっ……」

りん「……今度は精神攻撃なんて」

のぞみ「自分からやったんやん!?」

りん「あ、そういえば大いなる石?だっけ?それはなに?」

のぞみ「ウチもしらんよ」

りん「えっでも」

のぞみ「アルパカがが言ってただけ。ちょっとした駆け引きよ。な……」

中身がりんちゃんみたいな猫だし、上手くいくと思ったんだけどな。

そう言おうとして口を閉じた。

りん「すごいなあ。のぞみちゃんは。きっとりんなら引っかかっちゃうよ」

49: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 22:47:24.74 ID:b5K2wpw3
夢を見た。……気がする。

よく覚えていないけど……

荒廃した世界。すべてが乾ききった世界。

そこで私は泣いていた。

そのうち私の涙も乾いていって……

誰かの笑顔の裏には、誰かの涙がある。

そんな夢。



ほのか「えええええ!先輩禁止?」

えり「前から、ちょっと気になっていたの」

μ’sのみんなは合宿に行くことになった。

りん「りんも一緒に行きたかったにゃ」

のぞみ「そうやね・・・」

とは言っても、私たちもちゃんとついて着ている。

でも、そうだね。一緒に行きたかったね……本当の意味で。

りん「でも、りんはもう一足お先に先輩禁止できてるよ!」

50: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 22:48:13.76 ID:b5K2wpw3
りん「わー!カレーおいしそう!」

ほのか「にこちゃん料理上手だよねー!」

にこ「ふっふーん」

りん「あれ?りんの分は?もー、みんなひどいにゃー」



えり「じゃあ、寝る場所を決めましょう」

りん「わー!おふとんひろーい!りん、ふとんここー!」

ほのか「私ここー!」

りん「えっ待ってよほのかちゃん!そこはりんのだって……」

にこ「えー!そこはにこでしょ!」

猫「猫はかよちんのとーなり!」

りん「あっ……かよちん……」



アルパカ「まきちゃんなーにすーるのー」

まき「うええ!?」

はなよ「ちょ……超音速枕……」

ワーワーワー!!!

りん「あっ!やったなあ!この!この!」

ワーワーワー!

りん「この!このっ……!」

ポロポロ

りん「みんな、りんのこと……狙ってよ……」

ポロポロ

りん「どうして……」

のぞみ「りんちゃん……外でよっか?」

51: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 22:48:38.54 ID:b5K2wpw3
のぞみ「綺麗な星空やねえ……」

りん「……」

のぞみ「……」

りん「猫が近くにいたから、ちょっと目が腫れぼったいや」

のぞみ「うん」

りん「かゆいし」

のぞみ「それもアレルギー?」

りん「ううん。蚊に刺されたみたい」

のぞみ「そっか」

りん「ねえのぞみちゃん」

のぞみ「なあに?」

りん「もしもこのまま戻れなかったら……」

のぞみ「……」

りん「やりたい放題、やっちゃえるにゃ!お菓子勝手に食べても、高級レストランの料理勝手に食べても」

りん「勝手に飛行機のって海外行っても、遊園地の乗り物のっても……」

りん「誰にわしわししても、何しても気づかれないよ」

のぞみ「……最後のは、魅力的やね」

りん「でしょ!できないことなんてなにもないんだよ!」

のぞみ「一つのことを除いて、やね」

りん「……」

のぞみ「みんなとアイドルを……μ’sをすることは絶対にできない」

りん「それは」

のぞみ「それに、わしわしの醍醐味はやられた側のリアクションや」

りん「それは……」

のぞみ「今日はもう寝よ?」

りん「……うん」

52: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 22:49:21.32 ID:b5K2wpw3
夜明け。

アルパカ「お、早起きは三文の徳。お日様からたっぷりパワーもらおうか」

まき「どういうつもり?」

海の辺りを歩いていたら、アルパカとまきちゃんをみつけた。

……つまり本来私とまきちゃんが二人きりで話すはずだったことを、客観的に。

アルパカ「あ、ちょっと話し過ぎちゃったかも。みんなには秘密ね」

まき「……めんどくさい人ね。アルパカ」

アルパカ「あ、言われちゃった」

のぞみ「せっかくの名シーンが台無しやね」

りん「のぞみちゃん自分で言ってるにゃー」

のぞみ「ああ、りんちゃん。おはよ」

りん「おはよー」

のぞみ「……なんだか、やりきれないね」

53: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 22:50:38.14 ID:b5K2wpw3
合宿も終わり、私たちはまた戻ってきた。

りん「またホテルかあ」

のぞみ「そうやね……」

?「おかえり」

のぞりん「えっ!?」

?「……」

りん「た、たまたまだよねーびっくりしたにゃー」

のぞみ「おかしいなあ……空室のはずなんやけど。ていうかこの人は誰におかえりって」

?「あなたたちにだよ?」

のぞみ「……だれ?」

りん「の、のぞみちゃん」

?「ふふ、そっか。あなたたちは私を認識できるけど特定はできない」

のぞみ「なんやって?」

?「なんでもないよ。私はただ、忠告に来たの」

のぞみ「あなたが、元凶なの……?」

?「元凶?どうしてそう思うの?」

りん「あなた、猫に逃げられたときの声と同じ」

?「なんのこと?忠告に来ただけだよ。さっきも言ったのに」

54: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/23(火) 22:51:09.59 ID:b5K2wpw3
のぞみ「……」

?「あなたたちがやっていることは無駄だよ。歴史が物語ってる。それとも……まだ経験が必要かな?」

のぞみ「何が言いたいん?」

?「割り切って、今の自分を楽しんじゃえばいいんだよ」

?「りんちゃんはもう気づいてるんでしょ?なんでもやりたい放題なんだよ?」

りん「りんは……」

?「事実こうして、こーんな高級な一室に泊まれるのはどうして?」

のぞりん「……」

?「ごめんね。困らせるつもりじゃなかったの。ただ気がついて欲しくて。じゃあ私は行くね」

スタスタスタ……

のぞみ「待って」

?「なぁに?」

のぞみ「あなたは何を知っているの?」

?「さあ。カードに聞いてみたらどうかな?」

のぞみ「ふふ。面白いこと言うやん。最後にもう一つ。……私たち、どこかで会った?」

?「さあ……。でも会ったことがあるとして、あなたは覚えてないんでしょ?」

スタスタ……バタン

60: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/24(水) 11:35:35.48 ID:2UH5zW8H
正体不明からの忠告後も私たちは諦めなかった。

来る日も来る日も新しい仮説を立てては、

……無駄であることを実証した。

正直に言えば、怖かった。

超常現象やオカルトの類……スピリチュアルなこと。

そんなことが自分の身に降りかかってしまったんだと、そう思っていた。

自然現象なら、だれも悪くなんかない。ただ運がなかったんだと……

でも……



私たちは大きな図書館に行って、あらゆる方面から調べた。

科学、オカルト、歴史、神話……

でも、もともとその手の知識のある私には身になるものはなかった。

ペラペラ

りん「どう?のぞみちゃん」

首を横に振る。りんちゃんは?

りん「りんもだめだよ」

のぞみ「……考えたんやけど」

りん「なに?」

61: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/24(水) 11:35:58.64 ID:2UH5zW8H
のぞみ「私たちはなにか、大きな見落としや勘違いをしている気がする」

りん「どういうこと?」

のぞみ「まだわからないんやけど……何かずっと引っかかってるん」

りん「そうなのかな?りんも考えてみるね」

のぞみ「うん。それとは別なんやけど、実証しようのない仮説がある」

りん「えっ?」

のぞみ「確かめようがないうえに一般に云われてるものとはちょっと違うから、今まで黙ってたんやけど」

りん「なに?その仮説って」

のぞみ「ドッペルゲンガーって聞いたことある?」

りん「りん知ってるよ!本人そっくりな人がいつの間にか本人に成り代わっちゃう……あ」

のぞみ「どうも、話が似てるやろ?」

りん「でも、アルパカと猫だよ?」

のぞみ「そう。似てるとはお世辞でも言えない」

りん「それに成り代わられちゃった本人は……その」

のぞみ「そう。ウチらは生きてる。いろいろと違う点があるから口にはしなかった」

りん「ドッペルガンゲー」

のぞみ「ドッペルゲンガーやって」

りん「でも、ゲッペルドンガーだとして」

のぞみ「ドッペルゲンガーやって」

りん「今まで猫やアルパカがいた場所には、また別の何かがいないかな?」

62: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/24(水) 11:36:56.09 ID:2UH5zW8H
私たちは学校へ向かった。

りん「学校久しぶりだね」

のぞみ「りんちゃんに言われるまで気づかなかった。今アルパカ小屋はどうなってるんや?」

スタスタ

のぞみ「これは」

りん「アルパカが……一匹しかいない」

のぞみ「代わりにアルパカをやってる何かもおらんとは」

りん「どうなってるんだろう?アルパカは最初から一匹しかいないことになってる?」

のぞみ「聞く手段はないからね……」

りん「かよちんの飼育記録なら」

のぞみ「それや!」

キーンコーンカーンコーン

はなよ「わあ!今日も猫ちゃんのお弁当おいしそうだね!」

まき「はなよのは今日も白いわね……」

猫「猫お腹ぺこぺこにゃ!」

りん「ちょっとごめんねーかよちん」

ガサゴソ

りん「あったにゃ!」

64: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/24(水) 11:41:46.84 ID:2UH5zW8H
のぞみ「どれどれ?」

りん「あ!まきちゃんのお弁当おいしそうにゃ!ちょっともらっちゃお!」

パク

りん「ん~!おいしいにゃー!」

まきちゃんは、りんちゃんが食べてしまった本来弁当があったところに箸を付ける。

……そして箸だけを口に運びガシガシしていた。……りんちゃん。

のぞみ「いいやん!じゃあウチは猫ちゃんのを」

猫「あげないにゃ」

のぞみ「あれ?いいん?」

猫「無駄にゃ。猫があなたたちと話そうが殴り合おうが、かよちんたちは認識できないにゃ」

はなよ「ああ、今日もつやつやな白米、幸せです」

のぞみ「まあ今はそんなこといいんよ。どれどれ」

パラッ

りん「……」

のぞみ「……」

りん「そういうことなんだね」

65: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/24(水) 11:42:34.61 ID:2UH5zW8H
のぞみ「ウチがアルパカに存在を奪われる前までは確かにアルパカは二匹とある。でも」

りん「その日を境に、アルパカは一匹になってる」

のぞみ「記録までは変えられてないんや」

りん「どうすればそれに気付かせることができるんだろ……」

のぞみ「でも、ここに突破口がある気がする!」

りん「とりあえずこの超高性能最新デジカメにおさめたにゃ!」

のぞみ「ありがとうね、はなよちゃん」

74: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/24(水) 17:30:17.36 ID:2UH5zW8H
猫「無駄にゃ無駄にゃ」

まき「えっ?なに?猫」

猫「えっ?」

はなよ「えっ?」

りん「えっ?」

のぞみ「えっ?」

まき「なにか言わなかった?」

猫「なんでもないにゃ」

のぞみ「もしかして、会話は認識してないけど猫の声は認識してる?」

猫「……」

りん「急に黙ったね」

のぞみ「まあ当然と言えば当然なんかなあ?ややこしいなあ」

りん「じゃあ、この猫を八つ裂きにしてみるとか」

猫「ビクゥ!」

のぞみ「やめといたほうがいいね。みんなはりんちゃんが突然八つ裂きになったと思うんよ」

りん「何それ怖いよ……。冗談だにゃー!」

のぞみ「じゃあ、ウチらは用も済んだし帰るよ、猫ちゃん」

おもいっきり猫ちゃんをくすぐってみる。

猫「に、にゃはははははは!!!」

はなよ「!?」

まき「猫がこわれた!」

のぞみ「なるほど……。ほな」

りん「もう!のぞみちゃん!やめてよ、りんが変だと思われる!」

75: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/24(水) 17:31:28.58 ID:2UH5zW8H
ホテルに戻り、情報を整理する。

のぞみ「この飼育記録の決定的な矛盾……」

りん「なんとかして、みんなにそれを気づかせることができれば事態は好転するかも?」

のぞみ「ウチらは意識には一切干渉できない……けど」

のぞみ「ウチらが見えてる何かがウチらに反応すると、それは認識するみたいやね。だからって特に有効なことはできんけど」

りん「とりあえず、他に使えそうな記録は残ってないかにゃ?」

のぞみ「……」

りん「……」

のぞみ「そうや、生徒会で撮った部活紹介のビデオ!」

りん「多分、丁度その頃りんは猫に盗られたんだ」

のぞみ「少なくとも、あのビデオには少し私も映ってる!それをみればみんなきっと」

のぞみ「そうだよ!私がアルパカじゃないことに気づいてくれる!」

りん「あれ、のぞみちゃん普通に喋ってるにゃ~」

のぞみ「あっ、……問題は、どうやってそれをみせるかやね」

やってしまった。つい興奮しすぎて普通に喋っちゃったやん。

りん「うーん、どうすれば……」

私たちはああでもない、こうでもない、と話しているうち……

いつの間にか、眠りに落ちていた。

76: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/24(水) 17:32:13.38 ID:2UH5zW8H
夢を見た。……気がする。また……?あのつづき?

乾ききってしまった世界。

水面に映る自分の姿もない。

いや、そのとき私は私の姿を見てはいけない。

そうしたら、私はすべてを理解してしまうから。

土竜は鳥には憧れない。だって、見たことがないから。

……なったことがないから。

そんな夢。



明くる日も私たちは奔走した。

必ず元に戻れると信じて、ひたすらに。

……だんだん、今の状況に慣れてきてしまってきたかもしれない。

完全無欠の透明人間。

見えざる手がイタズラをするのは、気が付いて欲しいからなのかもしれない。

そして、それは自身が透明であることを再確認する。

77: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/24(水) 17:33:02.84 ID:2UH5zW8H
のぞみ「ただいま」

りん「そろそろこのホテル飽きたにゃ」

?「じゃあ、お引越しすればいいんじゃない?」

のぞみ「またあなた」

りん「何の用!」

?「りんちゃん、のぞみちゃん」

のぞみ「やっぱり、どうしてウチらの名前を?」

?「無駄だから諦めなよって言ったのに、全然諦めないんだね」

りん「無駄じゃないよ!猫とアルパカがアップルハンガーなんでしょ!」

のぞみ「ドッペルゲンガーやって」

?「あっぷるはんがー?おいしそうだね。おかし?」

のぞみ「いやいやいや」

?「とにかくね、私もあなたたちをみていると辛いの」

78: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/24(水) 17:33:27.94 ID:2UH5zW8H
?「いずれ自分たちで気が付くと思うけど……そのまえに私が気づかせてあげられたら、って」

のぞみ「どうしてそんなことを?」

?「もう、いつのことかも思い出せないの」

りん「なにがにゃ!」

?「……。私はあなたたちなんかより、ずっと前から……ううん」

りん「まさか……あなたも?」

?「っふふ!そうだよ。あなたたち諦め悪いみたいだから教えてあげます」

?「私もあなたたちみたいにいろいろ試してみたんだよ。でも、だめだった」

りん「それは、それは一人ぼっちでやった結果でしょ?みんなで力を合わせればもしかしたら……」

?「みんな?みんなってだれ?だれも私に気づかないのに!!!」

激情。

長い孤独は人を人たらしめる要素を奪う。

感情を希薄にする。尊厳、自信、希望……それらを削ぎ取っていく。

そしてそれは、ひとたび出会うことで爆発する。

……かつての私がそうだった。

この少女もまた犠牲者なんだ。

この少女もまた助けを求めているんだ。

79: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/24(水) 17:34:02.89 ID:2UH5zW8H
のぞみ「もしかして、いや。やっぱりそうなんやね」

りん「え?」

のぞみ「あなたも……μ’sのメンバーなんやね?」

?「……」

のぞみ「ごめんね……思い出せなくて」

?「……」

りん「そんな!?でもどうして?のぞみちゃんはりんのこと」

?「りんちゃんは、自分から教えたでしょ」

りん「じゃあ、じゃああなたも教えてよ!」

?「いやだよ……私は」

りん「な、なんで……?」

この子は、思い出してほしいんだ。

思い出せ、私!それが不可能じゃないってことをこの子に教えてあげられれば!

思い出せ……!

私よりも、りんちゃんよりもずっと前から、この子は違う何かに成り代わられた。

必ずあるはず……思い出せ!!!記憶の中の違和感を!その何かを……!

80: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/24(水) 17:34:36.53 ID:2UH5zW8H
えりち……

意地っ張りで素直になれなくて……何かのために自分を犠牲にしてしまう。

でも、不器用なだけで本当は誰より繊細。


ほのかちゃん……

私たちに希望を見せてくれた子。でもいつもどこか無理してて、

助けてあげなきゃ、応援しなきゃ、そう思わせてくれる。


にこっち……

ウチとおんなじ、一人の寂しさを知ってる、強い子。

その強さのせいで失ってしまう子。



まきちゃん……

この子も孤独を知っている。でもウチと違って唯我独尊。

だからこそ誰より友達思い。素直になれないんが玉にキズやね。



はなよちゃん……

引っ込み思案で、いつもついウジウジしちゃう。

そのぶんいざと言うときの勇気は人一倍で、心に熱いものを持ってる。



うみちゃん……

恥ずかしがり屋の照れ屋さん。そのうえ頑張り屋さん。

でもウチは知ってるんよ。だれよりも感情が豊かなところ。



ことりちゃん……

小っちゃくて、羽が生えててくちばしは黄色。

とさかがチャーミングな小鳥。

81: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/24(水) 17:35:00.60 ID:2UH5zW8H
ん……?

なんでμ’sに小鳥がいるん!?そうかやっとわかった!この子は……

りん「待ってよことりちゃん!!!」

私よりはやく、りんちゃんが叫んだ。

ことり「えっ……」

のぞみ「ことりちゃん、無駄なんかじゃないよ」

ことり「どうしてぇ……?私の名前……わかるの?」

のぞみ「長いこと一人で、心が摩耗してしまったんやね」

りん「ことりちゃん、奇跡は絶対に起きないから奇跡なんだよ」

ことり「……?」ポロポロ

りん「だから、これは必然」

ことり「りんちゃん、のぞみちゃん……ごめんなさい私」

ことり「諦めたはずなのに……気づいてもらいたくて……」

のぞみ「泣いてもいいんやで。空はずっと、青いままやから」

ことり「うわああああああああん」

簡単なことだった。ことりちゃんを心を溶かすのは。

人から忘れられ消えゆくものを救う術はただ一つ。

思い出すこと。

そう、それだけ。

85: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/24(水) 19:38:55.45 ID:2UH5zW8H
ことり「で、そのアップルハンガーってどんなおかしなんだったっけ?」

りん「違うよことりちゃん、トリプルバーガーはおかしじゃなくて」

のぞみ「わざとやね。しつこいんやない?」

ことり「えへへ、そうだったぁ。そのゲッペルドンガー?」

りん「それはもう前にりんが言ったにゃ」

のぞみ「いい加減にしないとわしわしやよ?」

ことりん「……」

ことり「で、そのドッペルゲンガーっていうのが?」

りん「そう。ドッペルゲンガーのせいかもって仮説で」

ことり「ドッペルゲンガーがゲジュタルト崩壊しちゃいそう」

りん「そのゲジュタルトってどんなおかしなんだにゃ?」

ことり「違うよりんちゃん、ゲジュタルトはおかしじゃなくて」

86: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/24(水) 19:39:19.59 ID:2UH5zW8H
のぞみ「コホン、望みは二つ。一つは記録までは変わっていないということ」

りん「これはかよちんの飼育記録のおかげでわかったことだね」

のぞみ「もう一つは、いままで気に留めてなかったことでも、なにか違和感があるはずだと自覚できれば……」

りん「気づくことができる。これは今さっきのぞみちゃんとりんが実証したことだよね」

ことり「なるほどぉ」サクサク

りん「あっ!ことりちゃんそのマカロンどこで!?」

ことり「よかったら……食べる?」

りん「わーい」サクサク

のぞみ「もう二人とも!!!ウチにもちょーだい!」サクサク


この夜、こうして私たちは再び出会った。

そしてサクサクはいつまでも鳴りやまなかった。

ことりちゃんのおやつが、尽きることはなかった。サクサク

87: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/24(水) 19:39:42.24 ID:2UH5zW8H
……

……

……こ

……

……猫、聞こえますか。

……

猫「うん。聞こえてるよ」

……アルパカは?

アルパカ「聞こえとるよ」

……小鳥?

小鳥「はい!」

……現在確認できている全員に聞こえているようですね。

現状はどうですか?

小鳥「アルパカを最後に、兆候は見られないよ」

……そうですか。こちらはもう少しかかりそうです。

……も、あなたたちの本当の……をし……が……

アルパカ「心配いらんよ」

いつかまた……で……ことを願います。

……

……

……

88: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/24(水) 19:40:25.67 ID:2UH5zW8H
朝日が窓から射す。

のぞみ「んん……」

ぼうっ、としたまま体を起こす。

傍らには、りんちゃんとことりちゃん。

これは喜ばしいことなのかな?

仲間が増えた?

被害者が増えた?

私より、りんちゃんよりも前からことりちゃんは……

あれ、そういえばことりちゃんは最初からのぞみちゃんって言ってたっけ。

ことり「ふぁあ。おはよう……のぞみちゃん」

のぞみ「はいおはよ。……ことりちゃん、もしかして合宿に来てた?」

ことり「え……うん。こっそり」

のぞみ「道理で」

ことり「あ、先輩禁止のことだね。変かな?」

のぞみ「いいや。なんだかんだ言ってことりちゃんも割り切れてなかったんやな、て」

合宿……もとに戻ったらまたみんなで行きたいなあ。

ふと、振り返る。

……あのりんちゃんは見ていて辛かった。痛々しかった。

あれ?

……!!!

ウチはとんでもないことを見逃していた!!!

そうか!だとしたら……!

89: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/24(水) 19:40:51.48 ID:2UH5zW8H
のぞみ「さて、今日のミーティングです」

りん「はい!」

ことり「はい!」

のぞみ「ウチらの当面の目的は、μ’sのみんなに違和感を与えることです」

りん「どうやって?」

のぞみ「私たちが成り代わられる以前の記録をどうにかしてみんなにみせます」

のぞみ「小鳥、猫、アルパカ。以下ドッペルゲンガーのドッペルからとってコピーとします」

のぞみ「コピーに成り代わられた時点でウチらは一般人には一切認識されません」

のぞみ「しかし、コピー達はウチらを認識できます。最初ウチはこれをコピーだから、と思ってん」

のぞみ「でも、そうじゃない。よく思い返してみて」

ことり「……えーと」

りん「むー」

のぞみ「コピー以外にもウチらを認識してるものがいる」

90: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/24(水) 19:41:17.36 ID:2UH5zW8H
ことり「ごめんなさい。わからないよ」

りん「りんも……」

のぞみ「ウチらはとんでもないもんを見逃してたんよ、りんちゃん」

りん「にゃ?」

のぞみ「合宿の時を思い返して。りんちゃん言ったよね?」

のぞみ「蚊に刺された。って」

りん「え?うん」

ことり「あ……!!!」

のぞみ「そう。蚊に刺されたいうことは、蚊はウチらを認識してるゆうことやん」

りん「そ、そうか!」

のぞみ「小鳥、アルパカ、猫、蚊……」

りん「そっかそっか!コピーだからりんたちがわかるんじゃなくて」

ことり「動物だから?」

のぞみ「ざっくり言えばそのとおり。逆に言えば……」

のぞみ「たぶんウチらを認識できないのは、人間だけや」

100: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/24(水) 23:22:24.34 ID:2UH5zW8H
お付き合いいただきありがとうございます。
続きはまた明日投下させていただきます

108: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/25(木) 10:25:41.52 ID:Ban2uDDz
ウチとことりちゃんで、猫カフェに来てみた。

りんちゃんは命にかかわるので別行動。

ことり「やんやん!かーわいいっ!」

のぞみ「癒されるなあ」

やっぱり。猫は私たちに反応している。

りんちゃんのコピー猫はコピーだからじゃなく、猫だから私たちが見えるという仮説は正しかった。

ことり「お手っ!」

客「あの猫、だれもいないところでなにしてるのかしら?」

そして、私たちに反応してる猫を、周囲は認識できる。

……間違いない。

全ては運命で決められていて、会話も決まっていて……

でも私たちはそのルールから外れている。

私たちは、運命を変えられる!

ことり「はい!だっこ」

客「あれ、さっきまでそこにいた猫、どこいったかしら」

そして、現実的にありえないことが起こると認識できなくなる。

ことりちゃんは見えないからって、抱っこしたら猫は浮いて見えるわけではないらしい。

……ずいぶん都合よくできてる。

109: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/25(木) 10:26:08.24 ID:Ban2uDDz
大収穫。なんとなく希望が見えてきた。

ことり「はああ。猫ちゃんかわいかったあ。りんちゃんはどうだった?」

りん「小屋のもう一匹のアルパカもりんに反応してたよ!」

のぞみ「決まりやな」

人間以外ならウチらを認識してる。

これをなんとか利用して記録の矛盾をμ’sのみんなに伝える。

上手くいけば猫とアルパカと小鳥はメンバーじゃないことに気が付くはず。

のぞみ「よし。作戦会議や」

ことり「うん!」

りん「よーし!」

110: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/25(木) 10:26:32.99 ID:Ban2uDDz
……

……

……

……聞こえていますか?

アルパカ「はいよ」

猫「うん」

小鳥「大丈夫だよ」

……全員見つけました。

私は……では動けないので、みなさ……できませんが……

小鳥「しょうがないよ」

……では伝え……

猫「もう少しだね」

アルパカ「うん」

……は……に……です……は……

……

……

……



また、夢を見た。

私が二人いる。

それは別の私ではなくて、原点は同じ。

同じ私。

それが二人。……いや、一人。

私は一人。

視点によって物語はハッピーエンドにもバッドエンドにもなる。

そんな夢。

111: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/25(木) 10:27:21.63 ID:Ban2uDDz
のぞみ「さあ。決戦の日や。覚悟はいい?」

りん「作戦はばっちりにゃ」

ことり「と言っても、別に失敗しちゃっても特に大丈夫だよね?」

のぞみ「まあそうやけど、こちらから仕掛ける数が多くなるほど、向こうは警戒するんよ」

ことり「そっかあ……頑張るね」

りん「いっくにゃー!」

私たちは、再び学校に向かった。



望遠鏡を覗くことりちゃんに確認する。

のぞみ「どう?」

ことり「うん。みんな部室に集まり始めてるよ」

りん「コピーに感づかれちゃダメだよ!」

ことり「それが……」

のぞみ「どうしたん?」

ことり「コピーだけがいないの……」

りん「え!?三匹とも!?」

のぞみ「どこにも?……まさかばれていた?罠かもしれん」

りん「ど、どうするの?」

のぞみ「もう少し様子を見てみよか……」

112: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/25(木) 10:28:03.67 ID:Ban2uDDz
それからしばらく見張っていてもコピーが姿を現すことはなく……

それどころか、そのままみんな屋上へ練習に向かった。

ことり「どうなってるの?」

のぞみ「作戦変更。突入や」

私たちは学校に入り、屋上に向かった。

うみ「しっかりストレッチをしてください。そろそろ疲れが溜まるころです」

えり「そうね。風邪も流行っているみたいだし」

ほのか「みんな大丈夫かなあ?」

にこ「まさか一度に三人ダウンなんてねー」

どういうこと……?猫とアルパカと小鳥が、一度に風邪を引いた?

いや、十中八九それは嘘。なにか他に理由があるはず……

わからないけど、向こうもなにかしら動いているみたい。

なんにしても、これはチャンスかもしれない。

のぞみ「練習が終わってみんなが部室に集まるのを待とう」

りん「それまでに、仕込んでおくんだね」

ことり「私も準備しておく?」

のぞみ「まだ、大丈夫よ」

117: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/25(木) 16:25:25.15 ID:Ban2uDDz
数時間私たちは待機した。

えり「今日はこれくらいにしておきましょう」

はなよ「ふう。お疲れ様でした」

にこ「帰り、お見舞いでも行く?」

うみ「流行病なので、近寄るのは避けた方がいいかと……」

まき「そうね。うつっちゃったら責任感じそうだし」

ほのか「そっかー!そうだよねえ」

そしてようやく練習を終えたみんなは部室に戻るため荷物を片づけ始めた。

のぞみ「よし、そろそろや。ことりちゃん。何かあったら無線で連絡してね」

ことり「はい!じゃあ行ってきます」

りん「こっちはもう仕込んできたよ!」

のぞみ「じゃあウチらも部室に向かおう」

118: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/25(木) 16:26:56.99 ID:Ban2uDDz
では、作戦概要を説明します……

と言っても、やることは簡単。

なにせ私たちは天下無敵の透明人間なんだから。

二匹いるうちの、ちゃんとアルパカをやってるいい子のほうを真アルパカとする。

まず、ことりちゃんがアルパカ小屋の柵を壊す。

道具はいくらでも手に入るからね。幸い。

ことり「っんしょ……」

バキバキ!

真アルパカ「ぱか?」

ことり「ごめんね、はい、これに乗ってね」

次に真アルパカを荷台に乗せて移動する。

この場合周囲は真アルパカが浮いて見えることになってしまう。

つまり真アルパカを認識できない。

ことり「はい、いい子だね。ちょっと我慢してねっ」

ガラガラガラ

真アルパカ「ぱか?」

そして私たちがタイミングを見て無線でことりちゃんに連絡。

のぞみ「今や!ことりちゃん!」

ザザッ

ことり「ラジャー!」

119: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/25(木) 16:27:52.24 ID:Ban2uDDz
荷台で部室に真アルパカ投入。そしたら……

バン!

りん「ほーら、こっちにゃー」

エサで釣って真アルパカを荷台から降ろす。

真アルパカ「ぱか!」

これで真アルパカはもう浮いてみえない。つまり。

ほのか「えええ!?部室にアルパカが入ってきた!!!」

えり「ちょ、ちょっと!だれかなんとかして~!」

うみ「逃げてきたと言うのですか!?いったいどうして」

にこ「ちょっと!!!部品は死守して!」

はなよ「そうです!ここにはかけがえのない財産が……」

ごめんねみんな。すでにその棚には真アルパカのエサが仕込んである。

真アルパカ「ぱかー!」

計算通り。真アルパカが棚に激突する。

にこ「だめ~!!!」

ガッシャーン

……

120: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/25(木) 16:28:15.98 ID:Ban2uDDz
飼育委員「ごめんなさい……なぜか柵が壊れてて」

にこ「いいわよ。あんたたちのせいじゃないじゃない……」

そのあと、先生やらがかけつけてとりあえず事態は収拾した。

ほのか「はあ、部室お掃除しなきゃだねえ」

にこ「もう……散々よ。最悪よ」

えり「にこ……」

ごめんな……にこっち。

はなよ「えと、これはここで、これは……」

まき「はなよ、これはどこにしまうの?」

はなよ「あ、そっちだよ」

うみ「ふう、まったくどうしてこんなことになるのでしょう……」

あとは、見つけてくれるのを願うしかない。

いいえ。絶対に見つけてくれる。

ことり「みんな……気づいて……」

りん「お願いだよ!神様!」

のぞみ「……」

そう……。もし、もしも本当にいるのなら……

助けて神様。

121: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/25(木) 16:29:01.78 ID:Ban2uDDz
うみ「あ、……これは」

うみ「みんな、みてください。懐かしい」

ほのか「あ!ほんとだ!いっぱい出てきたね!」

えり「μ’sの活動記録ね」

はなよ「見てみたいな」

にこ「ちょっと!片づけの途中でしょ!」

まき「にこちゃんはみたくないの?」

にこ「みたいわよ!!!」

ほのか「じゃあ再生するよー!」

131: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/25(木) 22:02:58.04 ID:Ban2uDDz
ほのか「じゃあ再生するよー!」

ガチャ……

「アイセーイ!ヘイ!ヘイ!ヘイ……」

ほのか「講堂のファーストライブだね。懐かしいなあ」

うみ「このころはまだ三人でしたね」

ほのか「……あれ?この子、だれだっけ?」

うみ「はあ?何を寝ぼけているんですか?小鳥ですよ!こと……?」

えり「あら?……なにかおかしくないかしら?」

ほのか「あれ?気のせいだったかな?そっか?これは小鳥ちゃんか?」

にこ「小鳥ってこんなんだったかしら?」

まき「な、なんか気持ち悪いわね……この感じ」

えり「……ちょっと他のも見てみましょう」

132: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/25(木) 22:03:42.60 ID:Ban2uDDz
ガチャ

ビデオ内

ほのか「あ、あの~?」

のぞみ「はい笑ってー!」

ほのか「ええ!?あはは……」

りん「じゃあ、決めポーズ!」

ほのか「うー、じゃあ……ほっ!」

のぞみ「これが、音ノ木坂学院に誕生したμ’sのリーダー……」



現実

うみ「生徒会の取材のときですね」

にこ「あっはっは!ほのか!何よこのポーズ……っぷ、くくっ!」

ほのか「えー!だって急に……」

えり「そうよー。だれ?笑ってだの決めポーズだの言ってるのは」

まき「そりゃあ、あれ?」

はなよ「だ、だれだったっけ?」



ビデオ内

ほのか「しゅ、取材!?……なんてアイドルな響き!」

うみ「ほのかっ!」

ほのか「オッケーだよね?うみちゃん」

小鳥「そうね。断る理由はないかもっ!」

うみ「小鳥!」

134: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/25(木) 22:04:27.05 ID:Ban2uDDz
現実

「!!!?」

ほのか「えええ!?さっきと小鳥ちゃん違くない!?」

まき「なにこれ!?いみわかんない!!!」

うみ「と言うかこれはただの小鳥ではありませんか!?」

はなよ「えぇー!なんでただの小鳥が喋ってるのぉー!?」

にこ「なにがどうなってんの!?」

えり「へ、変だわ……なんなのこれ……」

ほのか「ちょっと待ってよ!!!また知らない人映った!!!」

まき「いい加減にして!なんの悪ふざけでこんな加工……」

はなよ「知らない人なんてとんでもない!猫ちゃんですよ!」

にこ「猫ってこんな人っぽかったかしら?」

はなよ「なにを言ってるんですか!りんちゃんは……」

はなよ「ん?りんちゃん……?」

うみ「りんちゃん???」

ほのか「この人は?」

えり「のぞみよ。私たちはまだμ’sに入る前だけど、生徒会として……」

ほのか「のぞみ???」

えり「ん???」

136: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/25(木) 22:05:29.36 ID:Ban2uDDz
「???」

にこ「ちょ、ちょっと待ちなさいよ……何が何だか……」

ほのか「あ、ああ……私、どうして……!」

まき「い、いみわかんない?いいえ……?」

はなよ「りんちゃん!りんちゃんはどこにいったの!?」

えり「の、のぞみも……ことりも……」

うみ「私たちはいままでいったいなにを……!?」

にこ「のぞみ!りん!ことり!どこいったのよ!?」




のぞみ「ここや!!!みんな!ウチらはみんなここにおる!!!」

りん「か、かよちん!!!りんはここだよ!!!」

ことり「ほのかちゃん……うみちゃん……みんな……気づいて……」



ほのか「大変だ……!」

えり「探さなきゃ!!!三人はいったいどこへ!?」

まき「今日風邪で休んでいるのはいったいなに!?」

はなよ「り、りんちゃん!!!みんな!!!」

うみ「な、なんですか?これは……夢ですか?夢ですね?夢です。夢、夢、夢……」

にこ「全然わからないけど……探しに行くわよ!」

137: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/25(木) 22:06:09.01 ID:Ban2uDDz
ことり「みんな、待って……ここにいるよぉ……うぅ」

のぞみ「そんな……やっと気づいてもらえたのに……まだ見えないんか……?」

りん「まってよお!!!やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ行かないでぇ!!!」



うみ「そう。夢です……深呼吸して、目を開ければほら……あれ!?みんなどこですか!?」



ことり「うみちゃんここだよ嫌だよこっちをみてよ」

ズリズリ

うみ「みんな出て行ったんですね?おいてかないでください!」

ことり「うみちゃん気づいてよここだったらねえうみちゃん」

ズルズル

うみ「待って下さい、みんな……」

ことり「うみちゃん!うみちゃん!うみちゃん、うみちゃん、うみちゃんうみちゃんうみちゃん……」

スルッ……

ことり「……」

私たちは泣き崩れた。

せっかく、私たちがいないことに気が付いてもらったのに。

みんなは私たちが見えなかった。

……まだ、それすら気づいてもらえないほうがよかった。

目の前にいるのに、すぐそばにいるのに、

みんなは私たちの名前を呼んでいる。

私たちを探している。

ここだよ……ここにいるよ……

必死になっているみんなを見るのが、苦しい。

息ができない……まるで……水の中みたい……

っあ……苦しい……くる、し……

141: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/25(木) 23:10:53.54 ID:Ban2uDDz
猫「みんな久しぶり。風邪治ったにゃー!」

アルパカ「ウチももうすっかり」

小鳥「心配かけてごめんなさい」



「……」



猫「どうしたの?みんな」



「……」



小鳥「み、みんな……?こわいよ」



ほのか「あなたたちは、いったい何?」

アルパカ「なにゆうてるん?ほのかちゃん」

まき「もうやめて。この感じ……吐き気がするわ」

猫「ま、まきちゃん?」

はなよ「あなたはだれ!?りんちゃんはどこ!」

猫「か、かよちん……猫はここだよ……」

はなよ「猫じゃなくてりんちゃんはどこですか!?」

猫「ビクッ」

アルパカ「ちょお、みんな……」

えり「私、アルパカ苦手なのよ」

142: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/25(木) 23:11:31.80 ID:Ban2uDDz
アルパカ「え、えりち」

えり「私をえりちって呼ぶのは東條のぞみだけよ」

うみ「ことりも……みんな見当たりません。どこにいったんですか?」

小鳥「うみちゃん私はここに……」

うみ「返答次第ではただでは済ましませんよ」

にこ「そもそもあんたらの存在自体謎なんだけど、今はいいわ。三人を返して」

猫「アルパカ……どういうこと?どうしてみんな……」

アルパカ「……これもμ’sの絆の成せる技……なんかな」

猫「そんな……」

小鳥「みんな……ごめんなさい……」

にこ「謝罪なんかいらないっての!いいからさっさと……」

アルパカ「ごめんな……にこっち、みんな」

ゾロゾロ……

アルパカ「もう手遅れなんよ」

144: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/25(木) 23:13:23.18 ID:Ban2uDDz
夢を見た。

……いや。夢じゃない。

あれはすべて、夢じゃなかった。

まぎれもない現実。

さかのぼった運命の、思い出。



のぞみ「……うっ!」

りん「あ!のぞみちゃん!」

ことり「よかったあ……」

のぞみ「えっと……」

ことり「のぞみちゃん、過呼吸で気を失っちゃったの」

りん「そのまま一日ずっと眠ってたんだよ」

のぞみ「じゃあ……あれはもう昨日?」

りん「……そう」



「……」



絶望。と言えばいいだろうか。

もう、何をどうしたらいいのか……

145: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/25(木) 23:13:56.74 ID:Ban2uDDz
ことり「諦めちゃダメだよね!」

えっ……?

りん「そうにゃそうにゃ」

ことり「私一人じゃどんなに時間をかけてもどうしようもなかったのに」

ことり「二人が助けてくれてから、こんな短期間で事態は変わったんだもん!」

りん「わかるにゃ~」

ことり「いいほうにとらえなきゃ!私たちは、何かを変えられたんだよっ」

ありがとう……

のぞみ「そうやね!さあ、あれからどうなったか、学校覗いてみよか!」

ことり「うん!」

りん「もう放課後になる時間だね」

諦めちゃダメなんだ。

私たちは性懲りもなく、学校に向かう。

懲りてなんか、いられない。

りん「あれっ?みんなが歩いてくるよ?」

ことり「本当だ。今日は練習ないのかな?」

のぞみ「練習返上してウチら探してくれてるんじゃ……」

向こうから歩いてくるみんなは、何かに驚いたような顔をした。

えり「えっ……?の、ぞみ……?」



え?いまなんて?

146: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/25(木) 23:14:26.97 ID:Ban2uDDz
えり「のぞみ!!!ことり!!!りん!!!」

のぞみ「うそ……」

ほのか「あああああ!!!三人とも!!!」



なに?昨日の今日でいったいなにが???



のぞみ「み、みんな……ウチらが見えるん!?」

えり「みえるわよ!!!」

にこ「そりゃもうはっきりと」

はなよ「よかったよおおおおお!」

まき「でも待ってこれって……」

りん「にゃああああ!!!みんなあ!!!」

ことり「うわはああああん」

まき「ちょ、もう!」

しばらく私たちは感動の再会……

いや、再会と言っていいのかわからないんだけど。

とにかく、そういうこと。

147: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/25(木) 23:14:55.90 ID:Ban2uDDz
ことり「……っていうわけなの」

ほのか「そ、そんなことが……!?」

えり「私たちも身をもって実感したじゃない」

りん「え?どういうこと?」

まき「私たちがどうしてあなたたちを見えるようになったと思う?」

のぞみ「まさか……」

にこ「手遅れよ。ここにいるのはみーんなまとめて存在を奪われた」

りん「そんな!!!」

はなよ「ごめんなさい……」

ことり「うみちゃんは……?」

にこ「あの子だけよ。まだ奪われてないのは」

164: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/26(金) 11:11:54.76 ID:+azH/8uh
ほのか「私たちいくら叫んでもうみちゃんには聞こえなくて……」

にこ「もうこの際うみがこっち側来るの待って、みんなで勝手気ままに暮らさない?」

まき「私は反対よ。この状態にどんなリスクがあるかわからないじゃない」

にこ「ぐぬぬ……そうだけど……そうね。私がいないと困る子たちがいる」

はなよ「でもまさか……うみちゃん一人だけなんて大丈夫、かな?」

えり「正直当てにはできないわね」

ことり「うみちゃんはいざってときにはやってくれるよ!」

りん「とりあえず、どうするの?」

のぞみ「みんなまだ混乱してる。私たちの知ってることを全部話して、情報を共有しよ」

それからまる一日を使い、私たちは知りうる限りのことをみんなに話した。

165: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/26(金) 11:13:01.15 ID:+azH/8uh
……

……

……

……準備は整いました。私のところへ……

小鳥「大丈夫なの?」

……きっと、何かが変……ずです。

ペリカン「本当に?私心配だよ」

………………るとは限りません。

いいんです。みん……も、ありが………ざいます。

……

……

……

166: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/26(金) 11:13:55.28 ID:+azH/8uh
ザザ……

はなよ「こちらプランタン2。目標は全員で電車で海に向かう模様」

海?いったい何をしに?

ザザ

のぞみ「こちらリリーホワイト3。了解。こちらも向かう準備をする」

のぞみ「プランタン1、2、3も至急こちらに戻って下さい」

ザザ

ほのか「こちらプランタン1。了解。なお目標は練習後に移動開始をするようです」

ザザ

のぞみ「ではこちらは先回りをしましょう」

にこ「こちらビビ2」

えり「別に私たちは無線じゃないからコードネームは必要ないわよ、にこ」

にこ「なによちょっとやってみたかったのよ!悪い!?」

まき「そもそも無線でもコードネーム使う意味ないと思うんだけど……」

ザザ

ことり「こちらプランタン3.こちらはこのまま海に向かいます」

167: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/26(金) 11:14:54.36 ID:+azH/8uh
ザザ

りん「こちらリリーホワイト2。では、現地で会いましょう。通信終了」

にこ「じゃあ早速行きましょ。ふふ、電車ただ乗りできるなんて……」

まき「小物ね」

にこ「うるさい!」

えり「この体で、電子マネーは使えるのかしら……?」



ことり「現地集合になったよ」

はなよ「じゃあいこっか」

ほのか「うん……」



のぞみ「さてと……」

えり「ま、待ってみんな!カードが反応しないの!改札通れない!!!」

まき「普通にくぐってきなさいよ……だれも気付きゃしないわ」

にこ「ほら、電車きたわよ」

りん「えりちゃん、早く早くー!」

171: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/26(金) 12:41:59.88 ID:+azH/8uh
少々時間をさかのぼる。

……

にこ「謝罪なんかいらないっての!いいからさっさと……」

アルパカ「ごめんな……にこっち、みんな」

ゾロゾロ……

アルパカ「もう手遅れなんよ」



「!!?」



そうして、みんなは存在を奪われた。……うみちゃんを除いて。

うみ「いったいあなたたちは何者なんです!?アルパカに猫に小鳥!意味が分かりません!!!」

ウシ「まあまあ、うみちゃん」

うみ「何言ってるんです!ウシ!幼馴染が小鳥とすり替わっているんですよ!!!」

オオカミ「なにいみわかんないこと言ってるの?うみ」

うみ「オオカミまで急にどうしたんですか!?」

ライオン「きっとうみちゃんも風邪引いてるんじゃない、かな?」

うみ「風邪!?いったい何を……」

イワトビペンギン「そうようみ。悪い夢でも見たんじゃない?」

タコ「そうよ。夢と現実の区別もつかないの?だらしないわねー!」

うみ「夢……?す、すみません頭が重く……疲れているみたいです……」

ウシ「大丈夫?家まで送るよ」

うみ「すみません……大丈夫です」

イワトビペンギン「友情ね。ハラショー」

172: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/26(金) 12:43:59.24 ID:+azH/8uh
……

うみ「はあ……いったい私はどうしてしまったのでしょう……」

バシュ!

うみ「う……集中が」

バシュ!

うみ「狙いが定まりません……」

ウシ「おーい、うみちゃん!」

うみ「ウシ……小鳥も」

うみ「……やはり、私はおかしくなってしまったのでしょうか?」

ウシ「大丈夫だよ、うみちゃん」

小鳥「すぐによくなるから」

うみ「そうでしょうか……」

小鳥「うん……もう、すぐそこだよ……」

うみ「え?」

小鳥「ううん」

174: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/26(金) 12:45:14.11 ID:+azH/8uh
ウシ「ねえ、みんなで海に行こうってことになったんだ」

うみ「海……ですか?」

ウシ「うん。電車のって……きっと気分も晴れるよ」

うみ「私に気を使ってくれているのですか……わかりました」

小鳥「え?弓も持っていくの?」

うみ「念の……いえ、今日は持ち帰るつもりだったので」



ガタンゴトーン

うみ「はあ……」

ウシ「大丈夫だよ、うみちゃん!きっと綺麗な海みたら元気になるって!」

イワトビペンギン「よく広い海をみると悩みがちっぽけに見える、なんて言うわね」

うみ「……そうだといいんですが」

タコ「あんたがそんなんだとこっちが調子狂うのよ」

ガタンゴトーン……

ガタンゴトーン……

177: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/26(金) 13:13:44.52 ID:+azH/8uh
ザブーン

猫「ついたー!!!」

ライオン「いい気持ち……!」

アルパカ「さて、準備は整ったね」

オオカミ「悪いわね、うみ」

うみ「え」



……来ましたね。では……



うみ「な、なに」

ほのか「うみちゃん!!!」

うみ「ほ、ほのか!?ん……はっ!私としたことがまた忘れていたというのですか!?」

ことり「うみちゃん!大丈夫!?」

うみ「みんな……これはいったい!?」

のぞみ「話はあと!今はそれどこやない!!!」

うみ「はあ?なんなんですか……?」

ザザザザザザ

残念なことに、これでμ’sは全員乗っ取られた。

うみちゃんに成り代わろうとしているもの……

大いなる意思。

母なる海。

海そのものが、うみちゃんになろうとしている。

名状し難い。けど……目の前には確かに海という概念が集まっている。

178: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/26(金) 13:14:08.53 ID:+azH/8uh
のぞみ「何が起こってるん?」

アルパカ「やっぱりきてたんやな」

えり「まるで動物園ね」

イワトビペンギン「ハラショー」

まき「物産展の間違いじゃない?」

オオカミ「言ってくれるじゃない」

はなよ「あ、あの」

ライオン「え、えっと」

りん「にゃあ!ネコ科が増えてる!」

猫「余計なお世話だよ」

ことり「久しぶりだね、小鳥さん」

小鳥「そうだね」

にこ「ちょっと!あんたが私の代わり!?冗談じゃないわよ!」

タコ「うるさいわね!ほっといてよ!」

ほのか「なんじゃこりゃ!!!なにをどうすればいいの!?」

ウシ「ファイトだよ!!!」

アルパカ「お願いだから……邪魔せんといて。それがのちのちあなたたちのためにもなるの」

えり「そんなわけないじゃない!!!」

りん「それが大いなる石なの?そうなの!?」

タコ「大いなる意思ってのはあの子がそう呼べって言ってるだけよ。恥ずかしい」

りん「あの子って?」

オオカミ「あーもう、うるさい。目の前にいるのがそれよ」

179: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/26(金) 13:14:32.96 ID:+azH/8uh
目の前にあるのは、海。海が……

海「もうすぐで、またμ’sが結成されるんです」

のぞみ「何言ってるん!?あなたたちはμ’sを壊してる!!!」

アルパカ「誰かの笑顔の裏には、誰かの涙があるんよ」

海「私たちは人の形を取り戻す」

のぞみ「違う!それは私たちの……」

アルパカ「土竜は鳥には憧れない。だって、見たことがないから。なったことがないから。そうでしょ?東條のぞみ」

のぞみ「一度人になったことがあるとでも言うの?」

海「……」

のぞみ「そんなんわけわからん、こんなの認めない!!!」

アルパカ「視点によって物語はハッピーエンドにもバッドエンドにもなる。心配いらないんよ」

180: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/26(金) 13:14:57.14 ID:+azH/8uh
海「私は、園田うみ」

アルパカ「ウチは、東條のぞみ」

猫「りんは、星空りん」

小鳥「私は、南ことり」

ウシ「私は、高坂ほのか」

イワトビペンギン「私は、絢瀬えり」

タコ「私は、矢澤にこ」

オオカミ「私は、西木野まき」

ライオン「私は、小泉はなよ」



「違う!!!!!」

ザザザザザザザザザザザザザザ……



次の瞬間、目に映ったのは……

荒廃した世界。乾ききった世界。

海がうみちゃんに成り代わることで……



この地球上から、海が消えた。

190: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/26(金) 18:30:27.53 ID:+azH/8uh
はなよ「な……なにが……」

えり「そ、そんな」

ほのか「う、海が……ない」



アルパカが私に成り代わった瞬間からアルパカの存在がなかったことになったように……

さっきまでそこにあった海は、消えた。

たぶん太平洋も、大西洋も、インド洋も、すべて。

かつて海があった場所に広がるのは、暗黒。

光の届かない谷底。

水平線はこの世から姿を消した。

海の消滅……

191: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/26(金) 18:31:22.49 ID:+azH/8uh
まき「なによこれ」

りん「は、はは。もうだめだ」

うみ「……」



そしてさらに信じられないことに、コピー達は少しずつ人の形となっていく。



海「九人そろった。これで……未来が開けます」



それら、は少しずつμ’sのみんなの姿になっていく。



ことり「や、やだ……こんなの」

にこ「ちょっと……私たちの体が……!」

のぞみ「これは……」



代わりに、私たちの体が薄くなっていく。

体の向こうの景色が見えるほどに半透明に。

……消える?私たちの存在が……

192: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/26(金) 18:32:04.95 ID:+azH/8uh
小鳥「ううん。消えてなくなるわけじゃないよ」

イワトビペンギン「この世界はすべて一繋がりの環」

ウシ「大丈夫。あなたたちも、未来に戻るだけだから」



待って……

意味が……

ああ、もう声も出ない……みんな……



タコ「悪いわね。でもこれでいいのよ」

ライオン「私たちだって、取り戻したいんです……」

海「……」



もウ目も見エナくなって……イシキガ……

ミンナ……ミンナ……アア



猫「ごめんね」

オオカミ「ごめんなさい」

アルパカ「次は、……」



モウ、キボウハ……ナイノ……?

193: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/26(金) 18:33:57.15 ID:+azH/8uh
ザッ……



うみ「私はさっき成り代わられたばかりですから、まだほんの少し猶予があるようですね」



ウミチャン……!

海「やはり、あなたは……」

うみ「消えゆく運命だとしても……このまま黙って……引き下がれません」

小鳥「矢を……」

うみ「あなたたちの愚行を……私は許しません!!!」

うみちゃんはギリリ、と矢を引き絞り、かつて海だった何かに標準を合わせる。

うみ「一矢報います」

バシュ!

海「ーーーーー?」

するどい矢は、一直線に海を貫いた。



海「あああああ!!!」



私が、見た光景は、そこまで。

そのまま、意識を失う。

207: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/26(金) 22:23:16.70 ID:+azH/8uh
ふと、目が覚める。

……ここは?

さっきと場所が……ここは学校?



私はアルパカ小屋を出て、校舎に入った。

いったい……どうなったの?

階段を上り、教室へ向かってみる。……なんとなく。

……

教室では一人、えりちが黄昏ていた。

あっえりち……!

ガラガラ



えり「あ、あなたたち……」

ほのか「生徒会長……いえ、えり先輩」



ほのかちゃん?みんなも!



えり「練習?それならまず……」

ほのか「μ’sに入ってください!!!」



こ、これは……戻ってる!?

あの日に戻ってる!?

私がアルパカに成り代わられたあの日に……!

どういうわけか、私は過去に戻ってきた。

なら、なら!今私が出ていけばやり直せる!!!

そうだ、すべてやり直せるんだ……!

208: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/26(金) 22:23:43.58 ID:+azH/8uh
ことり「これで、八人……」



いや!



「九人や。ウチを入れて」



やった!言えた!これですべて……全部戻ったんだ!!!



ほのか「えっ……?アルパカも?」

「占いで出てたんやこのグループは九人になったとき未来が開けるって」



私はそう続ける。

これで本当に九人そろって……



のぞみ「ちょっと待って!みんな、おかしい!それはウチが」



……?

そこには、私がいた。

東條のぞみが。

……あれ。なら私はなに?



私は窓に映る自分の姿をみて、すべてを理解する。

ああ。なんということだ。









あのアルパカは私自身だったんだ。

209: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/26(金) 22:24:08.29 ID:+azH/8uh
すべて、理解した。

アルパカの言葉が頭の中でグルグル回る。

「どうあがいても、東條のぞみは・・・ウチ」

「ぜんぶわかってるんよ。あなたのことは」



「お願いだから……邪魔せんといて。それがのちのちあなたたちのためにもなるの」



のぞみ「一度人になったことがあるとでも言うの……?」



「視点によって物語はハッピーエンドにもバッドエンドにもなる。心配いらないんよ」



そうだったのか。

あのコピーたちは全員、ほかでもない本人だったんだ。

コピーではなかった。

すべての元凶は、私たち自身……μ’s。

私たちが元の存在を取り戻そうとしていたんだ。

一度存在を奪われ消えるというバッドエンドを経て、再び集まり存在を取り戻しハッピーエンド。

私たちは……延々それを繰り返しているんだ……

なら、もうなにも心配はいらない。

あとは運命に従えば、同じ結末を迎える。

みんなで元に戻れる。

最初からそう決まっていたんだ。

……私たちの苦労は、まったくの無駄だった。

なら私は今まで見てきたアルパカを演じればいい。

210: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/26(金) 22:24:32.38 ID:+azH/8uh
アルパカ「ただいま」

のぞみ「おかえり」



のぞみ「あなたと二人きりになるタイミングを待ってた」

アルパカ「無駄よ」



アルパカ「どうあがいても、東條のぞみは・・・ウチ」

のぞみ「違う!東条のぞみは私!」

アルパカ「ウチは私、なんて言わんよ。あなたは誰?」

のぞみ「気安くその言葉づかいで私を語らないで!その言葉は……」

アルパカ「ぜんぶわかってるんよ。あなたのことは」

のぞみ「あなたはいったい……」

アルパカ「初めにいったやろ?無駄よ、って。すべては大いなる意思の」

のぞみ「大いなる意思?」

アルパカ「おっとぉ口滑ってもうた。いかんなあ。とにかく、あなた一人でどうにかできる範疇じゃないんよ」

のぞみ「どうあがいても、アルパカよ……あなたは」



私は忠実にアルパカを再現し続けた。……なんの問題もなく。

きっとみんなも気が付いて同じ行動をするはずだ。

212: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/26(金) 22:24:56.67 ID:+azH/8uh
のぞみ「大いなる意思、なんて変な呼び方やよねえ」

猫「猫だって恥ずかしいよ!でもそう呼べってう……」

小鳥「猫ちゃん、そこまでだよ」

のぞみ「だれや!?」

小鳥「バサバサバサ!」

のぞりん「!」

りん「猫ちゃんに逃げられた……」

のぞみ「もうちょっとで聞き出せそうやったんやけどな」

りん「さっきの声、どこかで聞いたような……」



いつか辛い思いをした合宿もちゃんと参加できた。



ほのか「は~。食べた食べた~!」

うみ「いきなり横になるとウシになりますよ」

ほのか「モー。お母さんみたいなこと言わないでよお……」

猫「よーし!じゃあ花火をするにゃー!」

はなよ「そのまえに、ご飯の後片付けしなきゃだめだよ」

小鳥「あっ!それなら私やっとくから言ってきていいよっ」



えり「じゃあ、寝る場所を決めましょう」

ほのか「私ここー!」

にこ「えー!そこはにこでしょ!」

猫「猫はかよちんのとーなり!」

213: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/26(金) 22:25:20.72 ID:+azH/8uh
……今認識されてないりんちゃんたちには悪いけど。

ごめんね、いずれあなたたちの番がくるから。

私たちは順調に、こなしていった。

……なにも問題はない。







本当に?









あの、最後の光景を思い出す。



うみ「私はさっき成り代わられたばかりですから、まだほんの少し猶予があるようですね」

うみ「一矢報います」

海「また……だめなのですか?」

海「あああああ!!!」



大変だ……

このままでは……

うみちゃんが自分で自分を殺してしまう……!

226: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/27(土) 12:52:58.08 ID:KIg2GZzh
……猫、聞こえますか。

……

猫「うん。聞こえてるよ」

アルパカは?

アルパカ「聞こえとるよ」

小鳥?

ことり「はい!」

現在確認できている全員に聞こえているようですね。

現状はどうですか?

小鳥「アルパカを最後に、兆候は見られないよ」

そうですか。こちらはもう少しかかりそうです。

私も、あなたたちの本当の名前を知ってはいるんですが……

なぜか呼ぶことができません。

アルパカ「心配いらんよ」

いつかまたみんなで歌える日が来ることを願います。

猫「しかし海ちゃんは海そのものになったのかあ」

はい。現在地球の表面のおよそ七割が私です。

まさに大いなる意思と呼ぶにふさわしいでしょう。

小鳥「なんで海ちゃんだけそんなことに?」

アルパカ「それはたぶん……ほんとは気づいてるんやろ?海ちゃん」

227: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/27(土) 12:53:41.61 ID:KIg2GZzh
……はい。最後、私は私自身を弓で射てしまった。

しかし、私が私を殺すと、私を殺す私も死にます。

つまり、私は弓を射ることはできません。

このパラドクスが、世界をおかしくしてしまったようです。

世界の修正力を超える矛盾が発生してしまったのです。

それをなんとか修正すべく、世界は空間や時間を無限構造にしてしまった。

まあいわゆるバグのようなことも起こっていますが。

つまり、すべてのことの発端は私にある。



猫「でも、世界がおかしくならなきゃ海ちゃんがそんなことをすることもないにゃ」

小鳥「にわとりとたまごのお話みたいだね……」

私が私を殺した時点で世界は終わり、また始まる。

そしてそのとき私の体はすでに死んでいる。

おそらくそのせいで私は生き物にはなれなかったのでしょう。

228: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/27(土) 12:54:12.86 ID:KIg2GZzh
アルパカ「今はそれより……」

猫「そうだね、海ちゃんを助ける方法を考えなきゃ」

小鳥「なんとかして、海ちゃんがうみちゃんに撃たれないように」

……ありがとうございます。



海ちゃんを救えば海が消滅する。

海ちゃんと世界を天秤にかける……

さらに海ちゃんが人の姿を取り戻すとしても、このままでは死んでしまう運命……

二重苦、四の字固め、八方ふさがり……

いったいなにをどうすれば……

いずれにしても、つまりあのときのアルパカたちの目的は、園田うみを死なせない事だった。

それを私たちは……

悪は、どっちだったんだろう?

229: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/27(土) 12:58:12.47 ID:KIg2GZzh
それから何度も、私たちは海ちゃんと連絡を取った。



……聞こえていますか?

アルパカ「はいよ」

猫「うん」

小鳥「大丈夫だよ」

メンバーを全員見つけました。

私はこのままでは動けないので、みなさんに連れてきてもらうことしかできませんが……

小鳥「しょうがないよ」

それでは伝えます。

猫「もう少しだね」

アルパカ「うん」

タコは……にいるようですライオンは……にいます。……

アルパカ「じゃあ、明日はみんな風邪ってことにして」

猫「みんなを探しに行くにゃ」



このままでは、世界に未来はない。延々と……

「占いで出てたんやこのグループは九人になったとき未来が開けるって」

あの占いはそういう意味だったんだ。

私たちが九人揃わないと、この時間の檻からはでられない。

じゃあどうすれば九人が揃うことができるの?

このままじゃやっぱり前回と同じになってしまう気がする……

いったいどうすれば……

焦る心と裏腹に、着実に終わりが近づいてくる。

230: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/27(土) 13:09:15.29 ID:KIg2GZzh
……準備は整いました。私のところへ集まってください。

小鳥「大丈夫なの?」

大丈夫きっと、何かが変わっているはずです。

アルパカ「本当に?私心配だよ」

また私が矢を射るとは限りません。

いいんです。みんなも、ありがとうざいます。



アルパカ「……待って」

イワトビペンギン「どうしたの?アルパカ」

アルパカ「……一つだけ、方法がある」

ウシ「ねえったら」

のぞパカ「みんなに、話がある。大事な話……」

タコ「……なによ」



……そしてまた、あのとき、が来る。

232: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/27(土) 13:11:48.59 ID:KIg2GZzh
はなよ「な……なにが……」

えり「そ、そんな」

ほのか「う、海が……ない」

アルパカが私に成り代わった瞬間からアルパカの存在がなかったことになったように……

さっきまでそこにあった海は、消えた。

たぶん太平洋も、大西洋も、インド洋も、すべて。

かつて海があった場所に広がるのは、暗黒。

光の届かない谷底。

水平線はこの世から姿を消した。

海の消滅……




まき「なによこれ」

りん「は、はは。もうだめだ」

うみ「……」

233: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/27(土) 13:12:15.88 ID:KIg2GZzh
そしてさらに信じられないことに、コピー達は少しずつ人の形となっていく。



海「九人そろった。これで……未来が開けます」



それら、は少しずつμ’sのみんなの姿になっていく。



ことり「や、やだ……こんなの」

にこ「ちょっと……私たちの体が……!」

のぞみ「これは……」



代わりに、私たちの体が薄くなっていく。

体の向こうの景色が見えるほどに半透明に。

……消える?私たちの存在が……

234: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/27(土) 13:12:43.22 ID:KIg2GZzh
小鳥「ううん。そんなことにはならない」

イワトビペンギン「この世界はすべて一繋がりの環」

ウシ「あなたたちも、私たちも、繋がってる」



待って……

意味が……

ああ、もう声も出ない……みんな……



タコ「悪いわね。でもこれでいいのよ」

ライオン「みんな……」

海「……」



もウ目も見エナくなって……イシキガ……

ミンナ……ミンナ……アア



猫「これでいいんだ……これでいいんだ……」

オオカミ「そう。恐れることなんてないわ」

アルパカ「もう少しやから……」



モウ、キボウハ……ナイノ……?

235: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/27(土) 13:13:26.64 ID:KIg2GZzh
アルパカ「大丈夫。希望はあるよ」



うみ「私はさっき成り代わられたばかりですから、まだほんの少し猶予があるようですね」



ウミチャン……!

海「やはり、あなたは……」

うみ「消えゆく運命だとしても……このまま黙って……引き下がれません」

小鳥「これが、正解なんだよね……」

うみ「あなたたちの愚行を……私は許しません!!!」

うみちゃんはギリリ、と矢を引き絞り、かつて海だった何かに標準を合わせる。

うみ「一矢報います」

バシュ!

海「もう……大丈夫です……」

するどい矢は、一直線に海を貫いた。

……かに見えたが、その体をすり抜けていった。

うみ「そんな……」

もうだめだ……

236: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/27(土) 13:14:14.67 ID:KIg2GZzh
……え?

違う。今度はコピー達が半透明になっていく。

代わりに、私たちに少しずつ実態が戻ってくる。

のぞみ「これは……」




みんなに、話がある。大事な話……

確実にうみちゃんが助かる方法がある。

確実に、九人が揃う方法がある。

アルパカ「最初から、ウチらが消えればよかったんよ」

小鳥「こわいよ……」

イワトビペンギン「大丈夫……」

猫「うぐ……ひっく」

オオカミ「大丈夫……大丈夫……」

ライオン「みんなが、いてくれるから……ふぅ………ふぅ」

タコ「大丈夫……私たちならあそこにいる……!」

ウシ「そうだよ……みんなあそこにちゃんといる」

ウシ「私たちは、消えてなくなるわけじゃない」



コピー達はみんなで手を繋ぎ、涙を流しながら……

「これでいいんだ」

口元がそう動いたような気がした。


フワァ……


跡形もなく、消えていった。

238: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/27(土) 13:15:09.81 ID:KIg2GZzh
ほのか「うみちゃんが偽物をやっつけてくれたんだ!!!」

えり「うみ……!」

にこ「あああうみぃぃ!!!死ぬかと思ったよおおおお」

まき「うみ……ありがとう」

りん「うみちゃんすごいにゃ!!!」

はなよ「よ、よかった……」

ことり「うみちゃん!信じてたよ!!!」

うみ「え……あれ、外れたように見えたんですが……あれ?」

のぞみ「なにはともあれ、一件落着……やね」



こうしてμ’s最大の珍事、成り代わり事件は人知れず幕を閉じた。

海は元通りだし、アルパカも二匹になった。

もう喋る動物たちもいない。

ひとえにうみちゃんの決死の矢のおかげ。

……ということになっている。

239: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/27(土) 13:16:00.66 ID:KIg2GZzh
うみ「さあ!事実上九人になって初めての練習です!」

ほのか「そっか!そうなるのか」

ことり「いろいろややこしいことになってたからね」

えり「よし!みんな気合い入れていきましょう」

にこ「当然よ!ライブも近いんだから!」

のぞみ「きっと今のウチらなら大丈夫よ」

りん「目指せ!ラブライブ優勝!!!」

はなよ「ええぇ!そんな大口、猫ちゃん!」

まき「なに言ってるのライオン。やるからには狙うわよ!」

はなよ「あれ、なんかつい口をついて……ごめんりんちゃん」

まき「私も……はなよ」

ほのか「いっくぞーーー!!!」

「おおーーー!!!」



私たちは、ここにいる。



のぞみ「……スピリチュアルやね」

240: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2014/09/27(土) 13:16:33.47 ID:KIg2GZzh
もしかしたら、今日もどこかで私たちの認識できないことが起こっているかもしれない。

どこかに成り代わろうとするもう一人の自分がいるかもしれない。

例えばほら、あなた。……今、絶対振り返ったらいけないよ?



終劇

引用元: 【ss】アルパカ「九人や。ウチを入れて」