雪穂「あー、お姉ちゃんまた壊してる」


穂乃果「えへへ…」



雪穂「えへへじゃないよ、もー！」

雪穂「…」


これが私の、お姉ちゃん
私たち家族しか知らないその実態


「物を壊すことに快感を憶える」


穂乃果「～♪｣ｻｯｻｯ



あれは小学生の時

私達姉妹は家で遊んでいた


雪穂「リカちゃんアタック！！」

穂乃果「ぐわー！」


当時ハマっていたのは
リカちゃん人形を駆使したバトル

ルールなんてないし、そもそもリカちゃん人形とはそういう遊び方をするので無いと思うが
結構、楽しかった


雪穂「おりゃりゃーー！！！」
穂乃果「…」

…突然だった

姉は突然豹変した


リカちゃん人形を両手で持ったかと思うと


穂乃果「…んっ！｣ﾊﾞｷｯ

雪穂「」


真っ二つにしてしまった
私は、ただ唖然としていた

雪穂「」

ポカンと口を開けた私など露知らず
姉は、真っ二つのリカちゃん人形を

穂乃果「っ！！｣ﾊﾞｷｯ ﾊﾞｷｯ


更に分裂させていった

何が起きたのかやっと把握した私は

雪穂「お姉ちゃん！！壊しちゃダメ！」

姉を叱った

…今思えば、壊す姉の姿を見て泣かなかった私は、中々に強い子だったと思う
姉の壊す姿には迫力があった


叱られた姉は唐突に暴れる腕を停止させ
こう言った

穂乃果「ごめんなさい」

私は、仕事の終わった両親に報告した

「お姉ちゃんが人形を壊した」


一瞬の沈黙

ほのママ「…お父さん」

ほのパパ「…｣ｺｸﾘ

ほのママ「…雪穂、あっちでお話ししよっか」

雪穂「…？」




「あっち」で両親は私に、
姉の事を告げた

簡単に言えば
「お姉ちゃんは物を壊すのが好き」
「あまり怒らないであげて」
「あの子はちゃんと謝るから」

それから私は、何度も姉が壊す瞬間を、姉が謝る瞬間を目撃した

分かったのは、姉はなるべく制限しているということ
抑えすぎると爆発してしまうこと
壊しているとき、とても嬉しそうなこと


一度だけ聞いてみたことがある


雪穂「なんで壊すの？」


こう返された


穂乃果「楽しいよ！」

………………………………………………………………………


1.2.3.4‼︎

1.2……


ﾊﾟﾝﾊﾟﾝ！


海未「はい、お疲れ様です」

海未「各自整理体操して解散ですよー」


穂乃果「疲れたよぉ～！」

にこ「あんた中々頑張ってるものね」

穂乃果「だってあそこのステップ難しくて…綺麗に合わせられなくなっちゃうから」


希「疲れ切った体にはこれが効くんよ…ワシワシワシ～～！！！」

ﾓﾐﾓﾐ


穂乃果「ひぃぃぃぃぃっ！///」


真姫「体操しなさいよ」

穂乃果「海未ちゃーん！！ことりちゃーん！！かえろーー！！！」

海未「そんな大声出さなくても聞こえますよ、部室内ですし」

ことり「帰ろっかー」

穂乃果「じゃあねみんなー！」


凛「ばいばーい！」

花陽「じゃあね～」

絵里「ハラショ～」

希「ハラショーて」



ｶﾞﾁｬﾘ

ﾊﾞﾀﾝ

ﾃｸﾃｸ

穂乃果「明日は休みだねぇ」

海未「そうですねぇ」

ことり「二人は何するの？」

穂乃果「ん～～…分かんない！」

海未「私も未定ですね」

ことり「…海未ちゃんのお家、泊まれる？」

穂乃果「！！！！！！」

穂乃果「行きたい行きたい！！！」

海未「むむ」

海未「帰ったら聞いてみますね」

海未「また連絡します」

穂乃果「わーい！！」

ことり「ふふふ」

ｶﾞﾁｬﾝ


穂乃果「ただいま～～！！」

雪穂「お帰りー」

ほのママ「お帰りなさい」



ﾄﾞﾀﾄﾞﾀ


ｶﾞﾁｬﾝ


穂乃果「お布団ダイブ！！」


ﾎﾞﾌｯ

穂乃果「ふぃ～…」

ﾋﾟﾛﾘ♪

穂乃果「お」

海未:OKです

海未:お風呂どうしますか？

穂乃果:海未ちゃんと入る！！

海未:なるほど

ことり:ごめんなさい！

ことり:明日急に予定が入っちゃって…

ことり:いけません（ ; ; ）

穂乃果:ええ！？

海未:なんと




ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ

穂乃果「ん」

ﾋﾟ!


ことり<もしもし穂乃果ちゃん

穂乃果「ことりちゃん来れないの！？」

ことり<ふふふ、実はいけるんです

穂乃果「えっ」

ことり<穂乃果ちゃん、海未ちゃんの事好きでしょ？もうずっと

ことり<だからお泊りで…二人がそういう関係になってくれたらなあって…そろそろ

穂乃果「も～ことりちゃん//」

ことり<見ててもどかしいよ海未ちゃんと穂乃果ちゃん

穂乃果「…じゃあ、頑張る//」

穂乃果「ことりちゃん来ないのは寂しいけど、うん、ありがとう！」

ことり<ファイト！

ことり<ばいばーい

穂乃果<ばいばい！


ﾋﾟ！

…………………………………………………………………………


穂乃果「じゃあ、行ってきます！」

雪穂「いってらーしゃーい」



ﾊﾞﾀﾝ



ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ


ｶﾞﾗﾗﾗﾗ


海未「いらっしゃい、穂乃果」

穂乃果「お邪魔します、海未ちゃん」


ﾋﾟｼｬｯ

穂乃果「海未ちゃん何して遊ぼう」

海未「どうしましょうね」

穂乃果「…」

海未「…」


ｼｰﾝ


穂乃果「あっ、えっと、ポッキーゲーム！」

海未「…あれですか、やめておきましょう」

穂乃果「えー！」

海未「だってあれは…ねぇ…？//」

穂乃果「…ほら、ポッキー、持ってきてるから//」

海未「//」





ﾊﾟｸｯ


ﾊﾟｸﾊﾟｸﾊﾟｸﾊﾟｸ


穂乃果「…」

海未「…」




ﾁｭｯ

穂乃果「…」

穂乃果「あ…//」

海未「…//」


穂乃果「えっと…その」


穂乃果「うぅぅぅ…」

海未「…」



海未「好きです、穂乃果」

穂乃果「！！！！！」

穂乃果「先に言われちゃった…//」


穂乃果「穂乃果も…大好きです！」


海未「あぁ…なんか恥ずかしいです…！」

穂乃果「穂乃果も一緒だよ//」


海未「…」

穂乃果「…」

ｼｰﾝ


海未「お、お風呂、えっと一緒に…？」

穂乃果「うん…うん//」


海未「…向かいましょうか」


ﾃｸﾃｸ

ｶﾞﾗﾗﾗﾗ

穂乃果「広いなぁ、海未ちゃん家のお風呂」

海未「そうですかね」

穂乃果「お背中流しまーす」

海未「お願いします」


ｼﾞｬｰ

穂乃果「洗ってあげるね」

ｺﾞｼｺﾞｼ


穂乃果「前向いてー」


ｺﾞｼｺﾞｼ


穂乃果「流すね～｣ｼﾞｬｰ



海未「私もやってあげます」

ｺﾞｼｺﾞｼ




ﾁｬﾎﾟﾝ…

ｶﾞﾗﾗﾗﾗ


穂乃果「ふぃ～、良いお湯だったー！」


海未「やはりお風呂は気持ちが良いですね」

海未「…結局、いつもと変わりませんでしたね」

穂乃果「ん？」

海未「その…なんというか…//」

穂乃果「海未ちゃんってそういうのに興味あったり…するの//」


海未「だって…好きな人が裸で…なのにのほほんと背中を流し合うって…」

穂乃果「面白いね、なんか」

海未「えっと、私たちは、付き合うってことですよね？」

穂乃果「うん！」

海未「一緒に出かけたりですか？」

穂乃果「うん」

海未「いつもと変わりませんね」

穂乃果「ふふふ、でも手を繋いだりするよ」

穂乃果「道端で…キスとかしたり//」

海未「//」

穂乃果「お布団ダイブー！！！」

ﾎﾞﾌｯ


海未「毎回それやりますね」

穂乃果「これ凄く気持ちいいんだよ！！」

穂乃果「海未ちゃんもやってみようよ」


海未「えぇ？」

海未「…お布団、ダイブ」

ﾎﾞｽﾝ


海未「…なるほど」

穂乃果「ね？」

海未「はい」



穂乃果「…」

海未「…」

穂乃果「キスとか…いいですか//」

海未「どうぞ//」


…………………………………………………………………………

海未「そろそろ寝ましょうか」

穂乃果「そうだね」

海未「電気、消しますね」


ｶﾁｶﾁ


海未「おやすみなさい」

穂乃果「おやすみなさい」






海未「…zzz」












穂乃果「…｣ﾊﾞｯ

ﾃｸﾃｸ


穂乃果「…」


ｶﾞｻｺﾞｿ


穂乃果「…！」

穂乃果「…｣ﾆﾀｧ





ﾋﾞﾘﾋﾞﾘ


ﾋﾞﾘｯ

穂乃果「ふふ」



ﾋﾞﾘｯﾋﾞﾘﾋﾞﾘ

………………………………………………………………………


海未「んっ…」

穂乃果「…海未ちゃん｣ﾕｻﾕｻ


海未「穂乃果…珍しいですね早く起きるなんて「ごめんなさい」


海未「え？」

穂乃果「海未ちゃん、見て、これ｣ｻｯ


海未「ん？…！！！！！」

海未「どういうことですか…？」

海未「写真…」

穂乃果「ごめんなさい｣ﾍﾟｺﾘ


海未「えっと…」

穂乃果「大事なものだよね？家族との写真」


海未「…はい、とても大切なものです」

海未「なぜ…」


穂乃果「…｣ﾆﾀﾆﾀ


海未「穂乃果、説明をお願いします」

穂乃果「大事な物を穂乃果の手の届く場所に置いたら」

穂乃果「壊れちゃうよ」


海未「…穂乃果」


穂乃果「…海未ちゃんの物を壊すのが」

穂乃果「一番楽しい！｣ﾆﾀｧ

穂乃果「海未ちゃんの思いが詰まってるほど楽しい！！」


海未「ちょっと待ってください、頭が…」


穂乃果「…海未ちゃん、これが」

穂乃果「穂乃果なの」

穂乃果「ごめんね…ごめん…｣ｼｸｼｸ


海未「…嫌なことでもあったのですか？」

穂乃果「違うの！！！」

穂乃果「毎日楽しいことばっかだよ」

穂乃果「嫌なことなんて生徒会の仕事と授業くらい」

穂乃果「穂乃果は壊したいの」

穂乃果「海未ちゃんなら、打ち明けてもいいかなって」

穂乃果「穂乃果の家族と、海未ちゃんにだけなら、穂乃果のこと…」

穂乃果「海未ちゃん、穂乃果のこと、嫌いになっちゃった？」


海未「…すみません」

海未「少し頭が追いつかなくて…考えさせてください」

穂乃果「ここにいてもいい？」

海未「ちょっとだけ…離れてもらってもいいですか」

穂乃果「…うん」


ｶﾞﾗﾗ

ﾋﾟｼｬ

ｶﾞﾗﾗ


海未「穂乃果、入ってください」

穂乃果「うん」


ﾋﾟｼｬｯ



海未「…改めまして」

海未「私は、穂乃果が好きです」

穂乃果「ありがとう」

海未「…穂乃果は、物を壊すのが好きってことですか」

穂乃果「…うん」

海未「だから、写真をバラバラに？」

穂乃果「…うん」

海未「初めてではないですよね？」

穂乃果「小さい時からずっとやってきてるよ」

海未「私の物を壊すのは？」

穂乃果「今日、やっとできたんだよ」

穂乃果「ずっと我慢してたの」

海未「そうですか…」

海未「私は、穂乃果の事を好きと言いました」

海未「それは、穂乃果の全てが好きだという意味です」


穂乃果「はい」


海未「だから…その」

海未「私が知らない穂乃果も、好きです」

海未「壊したことには怒ります」

海未「…ですが、気持ちは変わりませんよ」


海未「好きです、ずっと」


穂乃果「！！！！！」


穂乃果「海未ちゃぁぁぁぁぁん！！！｣ﾀﾞｷｯ


海未「ふふ」


ｷﾞｭｯ



………………………………………………………

穂乃果「海未ちゃん、どこか出かけよう」

海未「そうですねぇ」


海未「もうすぐお昼になりますし」

海未「ランチにでも」

穂乃果「わーい！！」





ﾃｸﾃｸ



穂乃果「あっ！あそこ美味しそう」

海未「入りましょうか」




穂乃果「いただきまーす！！」

海未「いただきます」



穂乃果「次はどこに行こう？」

海未「そうですねぇ…」

ｳｨｰﾝ

ｶﾞﾁｯ


穂乃果「摑んだ！！」


ｳｨｰﾝ

ﾎﾟｽｯ

穂乃果「やったー！！！取れたよ海未ちゃん！」

海未「すごいです穂乃果！」

ﾎﾟｽｯ


穂乃果「！！！！」

穂乃果「海未ちゃんもう一個落ちた！！」

海未「凄いです！！！！！」





海未「ちっちゃくて可愛いぬいぐるみですね」

海未「"大事"にします｣ｷﾞｭｯ

穂乃果｢｣ｿﾞｸｯ


穂乃果「鞄に付ける？」

穂乃果「お揃いにしようよ！」

海未「鞄に…大丈夫ですかね？」

穂乃果「何も言われないよ！」

海未「そうですか…じゃあ…お揃いで」

穂乃果「わーい！！」

穂乃果「もう暗くなっちゃった…」

海未「時間は早いですねぇ」

海未「…帰りますか」

穂乃果「うん」


ﾃｸﾃｸ


穂乃果「穂乃果、変だけど、好き？」

海未「ええ、好きですよ」

海未「…壊したら、ちゃんと言ってください」

海未「ちゃんと、謝ってくださいね」

穂乃果「…！」

穂乃果「うん！！」



ﾃｸﾃｸ




「帰りました」
「ただいまー！！」
「あらあら二人とも、可愛いぬいぐるみ…」

………………………………………………………………

海未「忘れ物はないですか？」

穂乃果「うん！…多分」


海未「ふふっ、あったら連絡しますね」

穂乃果「お願いします！」

海未「…送っていきましょうか？」


穂乃果「大丈夫！」

海未「そうですか、分かりました」



海未「…さよなら！」

穂乃果「ばいばい！」



穂乃果「お邪魔しました！」


ｶﾞﾗﾗﾗﾗ

ﾋﾟｼｬｯ






「ただいまー！！！」
「おかえりお姉ちゃん、うわなにそれ！！可愛い！！」
「へへー、これね、海未ちゃんとお揃いなの//」
「お姉ちゃん顔がふやけてるよ」
「ふぇっ！？」

ことり「海未ちゃんおはよう」

海未「おはようございます、ことり」

ことり「あ、カバンになんか付いてるね」

ことり「可愛いねぇ」

海未「ふふ、でしょう」

ことり「お泊り、楽しかった？」

海未「…//」

ことり「ふふふ」


ﾀｯﾀｯﾀ


穂乃果「お待たせー！」

ことり「おはよう穂乃果ちゃん」

海未「おはようございます」

ことり「…あ」

ことり「お揃いだ！」

穂乃果「へへへ//」


穂乃果「学校、行こっか」


ﾃｸﾃｸ

ｶﾞｻｺﾞｿ


海未「今日もランチパックですか」

穂乃果「うん、今日のは苺コンブ味」

ことり「えぇ…」

海未「美味しそうではないですね」

穂乃果「初めて食べるよ」

ﾋﾞﾘﾋﾞﾘ


穂乃果「いただきまーす」

ﾊﾟｸｯ

ﾓｸﾞﾓｸﾞ

穂乃果「ん～」

ﾓｸﾞﾓｸﾞ

穂乃果「んー…」


ことり「あはは…」

1.2.3.4…


海未「ふぅ、少し休憩しましょうか」

穂乃果「…あ、にこちゃん鍵ちょうだい」

にこ「忘れ物したの？」

穂乃果「うん、タオル忘れちゃって…」

にこ「どうぞ｣ﾁｬﾗ

穂乃果「ありがと！」


ﾃｸﾃｸ






ｶﾞﾁｬ


穂乃果「…」


穂乃果「…｣ﾆﾔｧ



ｻﾞｼｭｯ


ﾌﾞﾁｯ ｻﾞｼｭｯ ﾌﾞﾁｯ



穂乃果「ふふ｣ｻﾞｼｭｯｻﾞｼｭｯ

海未「各自整理体操して終わりですよー」


凛「疲れたにゃ～～…」

花陽「今日は中々ハードだったねぇ」


希「ワシワシや｣ﾓﾐｯ

真姫「ヴェヴェヴェヴェ//！！」


にこ「あんた達体操しなさいよ」


ことり「んしょっ、んしょっ｣ﾉﾋﾞﾉﾋﾞ

海未「先に戻るので鍵もらいますね」

にこ「うん」




ﾃｸﾃｸ

海未「…ん？」


海未(カバンにぬいぐるみが付いてない…)

海未(部活前は確かに…)

海未(…)




ことり「海未ちゃん穂乃果ちゃん、帰ろう」

穂乃果「うん」

穂乃果「海未ちゃーん」


海未「はい、今行きます」


絵里「皆、気をつけて帰りなさいよ」


ｶﾞﾁｬ



ﾊﾞﾀﾝ

ﾃｸﾃｸ


海未(ことりに気づかれなければいいですが…)


穂乃果「それでね～～…」

ことり「…あっ！」

ことり「今日はちょっと早めに帰ってきてねって言われてたんだ！」

ことり「ごめんね、お話明日聞かせてね！」

ことり(二人きりの方がいいよね)

ことり「ばいば～い！！｣ﾋﾟｭｰﾝ


海未「さよなら～～」

穂乃果「ばいばーい！」



海未「…」


穂乃果「…」



穂乃果「ごめんなさい｣ﾍﾟｺﾘ

海未「…」

穂乃果「…」



海未「…楽しかったですか？」




穂乃果「…！」

穂乃果「うん…！！」

穂乃果「海未ちゃんが大事に…大事そうにカバンに付けてたから」

穂乃果「海未ちゃんの思いがこもってたから…」

穂乃果「楽しかった！！！」

穂乃果「えっとね…｣ｶﾞｻｺﾞｿ


穂乃果「これ」


海未(ズタボロ…)


穂乃果「お家で、綿を詰めなおして、直してくるね」

穂乃果「また、付けて欲しいから」

穂乃果「お揃いがいいから」


海未「…はい、分かりました」

海未「綺麗に直してくれたら、嬉しいです」

穂乃果「うん、元通りにするよ」



ﾃｸﾃｸ

ｶﾞﾗﾗﾗﾗ

海未「帰りました」

海未ママ「あら、おかえりなさい」

海未ママ「ご飯あとちょっとで…「すみません」


ﾀｯﾀｯﾀ

海未ママ「…？」



ｶﾞﾁｬ

ﾊﾞﾀﾝ




海未「…」




海未「うっ…うぅ｣ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ


海未「穂乃果…｣ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

ﾁｸﾁｸ


穂乃果「…」

ﾁｸﾁｸ


穂乃果「…よし、できた！」

穂乃果「んー…ちょっと変だけど…うん」


穂乃果「…｣ﾁﾗｯ


穂乃果「穂乃果のも壊して治そう」


ｻﾞｼｭｯ


穂乃果「ふふっ｣ｻﾞｼｭｯ

海未「おはようございます、ことり」

ことり「おはよう海未ちゃん…あれ？」

ことり「今日はぬいぐるみ、付けてないね」

海未「あぁ、それはですね…「おっはよー！！」


穂乃果「おはよう、海未ちゃんことりちゃん！」

ことり「あっ、おはよう穂乃果ちゃん」

海未「！！！」

海未「…おはようございます」

穂乃果「海未ちゃん、これ…｣ｶﾞｻｺﾞｿ

ｻｯ


海未「…良いですね、綺麗に縫えてます」

穂乃果「えへへ」

ことり(うわぁ縫い跡すごい…何があったんだろう…)



穂乃果「それじゃあ、レッツゴー！！」

ことり「おー！」

ことり「…！」


ことり(穂乃果ちゃんのぬいぐるみも…)

海未「またランチパックですか」

穂乃果「うん、りんごカツオ味」

ことり(ランチパックって魚介類とフルーツの組み合わせばっかだなぁ)


穂乃果「いただきまーす！！！」

穂乃果「むんっ｣ﾓｸﾞﾓｸﾞ


穂乃果「…｣ﾓｸﾞﾓｸﾞ


穂乃果「んー…」


ことり「あはは…」

海未「なぜ見るからに微妙そうなのを買うのです…」

1.2.3.4…


海未「休憩ですよー」



穂乃果「あ、にこちゃん、鍵を…」

にこ「また忘れ物したの？」

穂乃果「うん、水分持ってきてなかった」

にこ「…｣ｶﾞｻｺﾞｿ

にこ「はい、どうぞ｣ﾁｬﾗ

穂乃果「ありがとう」


ﾃｸﾃｸ


海未「私も行ってきます」

にこ「はーい」



ﾃｸﾃｸ

ｶﾞﾁｬ

ﾊﾞﾀﾝ

穂乃果「…」

穂乃果「…｣ﾆﾔﾆﾔ

ｿｰｯ





ｶﾞﾁｬ

穂乃果「！！！」

海未「穂乃果」

穂乃果「海未ちゃん…」

穂乃果「ごめんなさい｣ﾍﾟｺﾘ

穂乃果「穂乃果のぬいぐるみも壊しちゃった」

穂乃果「でも、ちゃんと直したよ」



海未「…今」

穂乃果「？」

海未「今、何に手をかけようとしていたのですか」

穂乃果「…」

穂乃果「海未ちゃんの…ぬいぐるみ」




海未「…何故ですか」

穂乃果「だ、だって、海未ちゃん、これを大切そうにしてて「何故ですか！！！！？」

海未「やっぱり…やっぱりわかりません！！」

海未「壊すなら…物を壊したいなら…適当な紙でも破ればいいじゃないですか…！！」

海未「私の大切な物を壊すのが楽しい…？」

海未「穂乃果…うぅっ…あなたは本当に私のこと｣ｼｸｼｸ



海未「好きなんですか！？｣ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

穂乃果「っ…！」

海未「うぅ…｣ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ


穂乃果「」

穂乃果「あ、」

穂乃果「海未ちゃ、」

穂乃果「…」




海未「…ごめんなさい穂乃果、酷いことを言いました｣ｸﾞｽﾝ

穂乃果「…好き」


ﾀﾞｷｯ


穂乃果「海未ちゃん、大好き」

穂乃果「ごめんなさい、ごめんなさい海未ちゃん｣ｷﾞｭｯ

海未「…好きです、穂乃果｣ｷﾞｭｯ





海未「…戻りましょうか」

穂乃果「…」

海未「穂乃果？」


穂乃果「さ、先に、行ってて…」

海未「…え？」

海未「嘘でしょう、穂乃果」

海未「ねぇ穂乃「不安で仕方ないよ」

穂乃果「穂乃果が物を壊すのに、そんなに近くに…大切な物を…おかしいよ」

穂乃果「不安で…楽しくて仕方なくて…」

海未「穂乃「だから」


ﾌﾞﾁｯ

ﾌﾞﾁｯ


ﾌﾞﾁｯ

ﾌﾞﾁｯ


海未「あぁ…」

海未「やめてください…」


穂乃果「ふ、ふふ｣ﾆﾀｧ

ﾌﾞﾁｯ


ﾌﾜｧ


海未「やめてください…嫌ですこんなの…穂乃果ぁ…｣ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ



穂乃果「綿がいっぱい飛んでるよ」

穂乃果「海未ちゃん、ごめんなさい」

穂乃果「ちゃんと、直すから」



穂乃果「ごめんなさい…」

ﾃｸﾃｸ…


凛「あ、戻ってきたにゃ」

希「遅かったなぁ、今から部室行こうとしてたところやん」

海未「すみません…」

穂乃果「ごめんねー」


真姫(海未の目が赤い…追及しないほうが良さそうね)


絵里「…私が指揮とるわね！」

絵里「じゃあ、皆の苦手なあそこのステップやりましょうか」




ﾀﾀﾀﾝ

「花陽、ここはね…」

「なるほど…」


ﾀﾀｯ

「ずれてるにゃー」

「むー」

ｶﾞﾁｬ

ことり「穂乃果ちゃん海未ちゃん、帰ろ？」

穂乃果「うん」

海未「はい」


ことり(なんだか元気がないなぁ…)

ことり(聞くのは…ううん、あとで穂乃果ちゃんにLINEしよう…)







ﾃｸﾃｸ


穂乃果「…でねー」

ことり「へぇ～」

海未「…」

穂乃果「…」

ことり(気まずいよぉ…)



ﾃｸﾃｸ

ｶﾞﾗﾗﾗﾗ


海未「帰りました…｣ﾌﾗﾌﾗ

海未ママ「おかえりなさい、やけに疲れてる…」

海未「えぇ…ので今日は晩御飯いりません…」

海未ママ「え」



ﾃｸﾃｸ




ｶﾞﾁｬ



海未「…」



私…私は

私は穂乃果のことが…好きです

そう言いました、全部好きだと言いました

言ったはずです、思っているはずです

ですが




海未「苦しい…苦しいです…！｣ｼｸｼｸ

ﾋﾟﾛﾘ♪


ことり:なにかあったの？


穂乃果「…」



穂乃果:穂乃果がワガママで



穂乃果「…」


穂乃果:海未ちゃんが困っちゃった

あれから、何度も


何度も、私のぬいぐるみは壊されました


流石に直しきれていなくて
最早原型を留めていません


穂乃果のぬいぐるみも私の物と同じペースで壊されていて

歪なぬいぐるみのペアリングが出来てしまいました


私はもう、
これの元の形を思い出せません

あれから何度も何度も海未ちゃんのぬいぐるみを壊しました

壊した後はちゃんと、海未ちゃんにごめんなさいを言いました

その度に海未ちゃんは凄く悲しそうな顔をして

泣いてしまうことだっていっぱいありました

泣く海未ちゃんを見るのは悲しいです

けど、泣く海未ちゃんの物を壊すのは楽しいのです

もう、海未ちゃんの物以外は

壊してもそんなに楽しくなくて

海未ちゃんの大切な物を毎日壊したいのです

だからぬいぐるみを何度も壊せるように
何度も直しました

ぬいぐるみは変なのになっちゃいました

ﾃｸﾃｸ


海未「穂乃果」

穂乃果「？」

海未「愛していますよ」

穂乃果「…//」

穂乃果「穂乃果も…//」



ﾃｸﾃｸ

prrrr


ﾋﾟｯ

海未「穂乃果？どうしたのですか？」

穂乃果<ごめんなさい


海未「…｣ﾋﾟｸｯ

海未「…何を壊したのですか？」






穂乃果<穂乃果の左手


海未「…」

海未「そうですか」

海未「楽しかったですか？」


穂乃果<うん！

穂乃果<いてててて…



海未「病院、行かないといけませんよ」


穂乃果<真姫ちゃんの所行ってくるー

海未「…」



覚悟


この2文字が、私の頭の中をグルグルと回ります



人を愛するということには
覚悟がいるのです

軽く愛してはいけないのです

そしてそれは、愛した後にも…





覚悟を決めましょう
穂乃果を愛するなら
穂乃果のことを尊重するならば

粉砕骨折でした

トンカチで左手を何度も攻撃したそうです


病院の診断では全治に3ヶ月はかかるのと
麻痺の後遺症が残るだろうということです


穂乃果は笑っていました



穂乃果「ふふ、3ヶ月後には直ってるんだね」

踊れない体になりました

もう穂乃果は

μ'sのことはどうでもいいのでしょうか



海未「それでは踊れませんよ」

穂乃果「海未ちゃんがいるから」




どうやら

μ'sのことはもう、


…

1ヶ月も経たない内


穂乃果は、右足を折りました
背中に傷をつけました
耳に穴を開けました
挙げきれません




何度ごめんなさいを聞いたでしょうか
穂乃果は、壊れていきました


愛しています

穂乃果、愛していますよ

穂乃果「ねぇ、海未ちゃん」

海未「なんですか？」


穂乃果「明日は、夜遅くまで起きててね」


海未「…」

prrrrr


海未「もしもし、穂乃果？」

穂乃果「今ね、公園にいるから」


穂乃果「来て欲しい」


海未「わかりました」




愛しています





ｶﾞﾗﾗﾗﾗ

ﾃｸﾃｸ


穂乃果「海未ちゃん、こんばんは｣ﾆｺｯ

海未「穂乃果、こんばんは」


穂乃果「この体、凄く動き辛いんだよ」

海未「そうですか」

穂乃果「…ねぇ海未ちゃん」

海未「？」

穂乃果「ギュってして」

海未「…はい」


ｷﾞｭｯ


穂乃果「ふふふ…｣ﾆﾔﾆﾔ

海未「あったかいですね」

穂乃果「うん、顔がニヤけてきちゃうね」

ｶﾞｻｺﾞｿ



穂乃果「今からね」


海未「はい」


穂乃果「海未ちゃんの大切な物を」


穂乃果「壊すから」

穂乃果「ちゃんと、見ておいてね」


海未「はい、愛しています」


海未「愛していますよ」




穂乃果「…んっ！｣ｻﾞｼｭｯ



穂乃果「ぁ、」



穂乃果「ぅ、っあ｣ﾖﾛﾖﾛ

ｶﾞｻｺﾞｿ


穂乃果｢ﾋｭｩー…、っｽ、ぅｰ｣ﾖﾛﾖﾛ


穂乃果「…ﾝ！｣ｶﾞﾝ‼︎‼︎


穂乃果「、」


ﾌﾗﾌﾗ


ﾊﾞﾀﾝ




海未「愛しています」




穂乃果「ぁｸﾞ」



ﾄﾞﾛﾄﾞﾛ


海未「好きです」

穂乃果｢ｺﾞ、ゴ」


海未「穂乃果、愛していますよ」



穂乃果｢ｳﾐ…ﾁｬ､ｺﾞﾒ､ｯ」



海未「愛しています｣ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ



穂乃果「…ｨ､」





海未「愛しています！！！！！｣ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ




穂乃果「」
















おわり