1: 名無しで叶える物語(地震なし)@\(^o^)/ 2016/02/21(日) 17:58:45.71 ID:vHBQa5q8.net
凛「実はさ、なんやかんやあって穂乃果ちゃんと剣道することになっちゃって」

凛「でも冷静に考えたら凛、剣道なんかしたことなくってさ」

凛「で! 海未ちゃん、剣道出来るんでしょ?教えて!」

海未「…まあ、教えるのは構いませんが…なぜ穂乃果と?」

凛「内緒」

海未「…まあ、いいでしょう。じゃあ、放課後、時間ありますか?」

海未「私の家に来てください」

4: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/02/21(日) 18:03:57.00 ID:vHBQa5q8.net
海未家


凛「これが剣道着かぁ」

海未「ふふ、初めてですよね、着るの…えっと、凛だと…これくらいですかね」

凛「防具!」

海未「これがなければ始まりませんからね……まずは、このたれをつけて……で、胴を。強く縛ってください」

凛「おおっー、なんか安心感がある」

海未「次は、これです」

凛「布?」

海未「これを頭に被せてから、面を被るんです」

海未「最初のうちは、うまく出来なくてだんだん、布がたれてきて前が見えなくなるんですよね」

凛「こんな感じ?」キュッ

海未「はい、では面を……」

7: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/02/21(日) 18:07:29.63 ID:vHBQa5q8.net
海未「どうです?」

凛「なんか息苦しいにゃ…」

海未「慣れないと、変な感じですよね。さっ、外してください」

凛「え」

海未「…というより、そのままじっとしててください…」グイッ

凛「あ…」スルンッ

海未「このように、ちゃんと結べていないと、簡単にとれてしまいます。気をつけてくださいね……それじゃ、基本的な動作から始めましょうか」

海未「すり足、知ってます?」

凛「さきいか?」

海未「まじめに」

凛「はい」テヘッ

12: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/02/21(日) 18:12:30.06 ID:vHBQa5q8.net
海未「すり足っていうのは、剣道における移動法ですね。右足を前に、左足を後ろにして、拳一つ分くらい開きます……そうそう、それくらいです。そして、左足のかかとを少しあげます」

凛「こう?」

海未「はい、オッケーです。…それで、凛。そこからどうやって移動すると思います?」

凛「すり足って言うんだから、こう、すすすっ、といくの??」

海未「その通りです!」

~~

海未「…すり足は、だいぶなれてきましたね」

凛「うん、ちょっと違和感あるけどね」

13: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/02/21(日) 18:18:02.96 ID:vHBQa5q8.net
海未「では、竹刀、持ってみましょうか」

凛「おおっー」

海未「どうです?」

凛「軽いんだね」

海未「ええ、なので、余計な力は入れない事が大事です」

凛「ほほっー」

海未「すぶり、してみましょうか。これは『正面すぶり』と言って、一番基本的な動きです」

凛「…?正面いがいがあるの?」

17: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/02/21(日) 18:33:39.58 ID:BSSL0sw8.net
海未「ええ、他にも、『上下すぶり』、『左右すぶり』、『跳躍すぶり』…まあ、これらは覚えていて欲しいですね」

凛「ほへー…」

20: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/02/21(日) 18:41:53.70 ID:BSSL0sw8.net
※しばらく庭で

凛「こう?」ブゥンッブゥンッ

海未「ええと、そうですね」ピトッ

海未「上げて、振り下ろす瞬間、ぞうきんを逆手でしぼるように、ギュッとするんです」

海未「そうすると、綺麗に竹刀を振ることができます。実際に試合の時にも、一本に繋がります」

凛「へ~…」

21: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/02/21(日) 18:47:55.61 ID:BSSL0sw8.net
~~

凛「……」ビッビッ

海未「いい感じですね、飲み込みが早いです」

凛「でっしょー?」

海未「…では、もう一度、防具を着てください」



海未「では、まずは面です。好きなように、その場から私に面を打ってみてください」

凛「うん」

バコンッ、バションッ

海未「はい、では、なにか気づきましたか?」

凛「…まっすぐ当たんない」

23: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/02/21(日) 19:12:52.36 ID:BSSL0sw8.net
海未「しぼるのを忘れていますよ。それと、肘をしっかり伸ばしてください……これは、しぼりをしっかりすれば、肘も自然と伸びますよ」

凛「ほほう」

バシンッ!バシンッ!

海未「そうです!うまいですよ、凛」

凛「ふふん」

海未「後は踏み込みながら、打てれば完璧ですね」

海未「先ほど教えた、跳躍すぶり、あれをすり足から前に打ち出す感じです…実際にわたしがやってみましょう」

26: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/02/21(日) 19:24:56.17 ID:BSSL0sw8.net


海未「…とまあ、こんな感じです、どうです?


凛「うーん…慣れたけど……」バンッ!

凛「足の裏がじんじんする…」

海未「それはもうしかたありません。…それも慣れるしか」

凛「そっか」

海未「踏み込みは大事ですからね、しっかりやりましょう」



凛「メーンっ!」バシンッ!

海未「そうです、いいですよ、凛」

27: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/02/21(日) 19:29:47.28 ID:BSSL0sw8.net
海未「小手もやりましょうか………いやしかし相手は穂乃果……いろいろ教えるより、一点に集中させた方がいいのかも……?」

凛「海未ちゃん?」

海未「……いや、やっぱり教えましょう」


海未「凛、小手はわかりますか――」

――
――
――

海未「……これで、一通り、教えましたかね」

凛「こんなに細かい事があったんだね、剣道って」

海未「ええ…」

凛「ふふん、もうこれなら穂乃果ちゃんに勝てるんじゃない?」ブンブン

海未「……どうでしょうね」

34: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/02/21(日) 20:34:43.58 ID:BSSL0sw8.net
~数日後~

凛「メーンっ!コテーェィッ!」バシンッ!

海未「…!いいです、今のとても良かったですよ!!」

凛「ありがと」フウッ

海未(……なかなかいいです。本当に飲み込みが早いです)

海未(教えがいもあります…!)

海未「凛、一つステップアップしましょうか」

凛「…というと?」

海未「かかり稽古、というんですが…一分間、止まることなく、技を打ち込み続けるというものです」

凛「ふむふむ」

海未「私が小手をあけたら小手を。胴をみせたら胴を。何もしなければ面を」

海未「小手面打ちでもいいです」

凛「なるほど、わかったにゃ」

40: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/02/21(日) 21:26:45.77 ID:vHBQa5q8.net
※今からあら

海未「はい、では、開始!」

ピッー!

凛「メェェッーーンッ!」バシンッ!

凛「コテッ、メンッッ!!」

バシンッ!ボコンゥ!

バシンッ!

凛(はあ、はあ、今何秒……!まだ20秒しか経ってないっ!)

海未「声っ!」

凛「う、うおあああああああああああああ!!!」バシンッ!

海未「ペースが遅くなってきましたよ、声も小さくなってますよっ!!」

凛「はあ、あっ、うっ……!」バシンッ…

42: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/02/21(日) 21:35:39.91 ID:vHBQa5q8.net
凛(きつ、きつい……!)ハアハア

海未「……凛、何をしているのです」

凛「え…」

海未「常に動き続けなさい!!」

凛「ひっ……!」ビクッ

凛「ぐ……う、ああああああああああああ!!!」

~~

凛「はあ、はあ、はあ、はあはあ………!」フラフラ

海未「…はい、いいでしょう……。では、今日はこれで終わりにしましょうか。凛、面を……」

凛「…」フラッ

バタンッ

海未「……っ!!」ハッ

海未「凛っ!!」

~~

44: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/02/21(日) 21:39:53.62 ID:vHBQa5q8.net
~~~~………

凛「…………」

…ワタシハ、ナンテコトヲ……

凛「……ん、んん……」

凛(…膝枕?)

海未「……無理をさせすぎてしまった…私のせいです……凛…」ポロポロッ

凛(……海未ちゃん…なんで泣いてんの……?)

凛(凛がだらしないから悪いのに……)

海未(……始めたばかりの、その上女の子の凛に、あれはハードどころではなかった……もっと凛の事を考えていれば、こんな事には……)

凛「……うみ、ちゃん?」

海未「あ……」

46: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/02/21(日) 21:54:26.20 ID:vHBQa5q8.net
海未「…ごめんなさい、凛」

海未「……私が凛の事、もっとちゃんと見てあげていたら、こんな事には……」

凛「……ううん、大丈夫だよ、凛、平気」

海未「…だけど」

凛「」

48: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/02/21(日) 21:58:55.12 ID:vHBQa5q8.net
凛「海未ちゃんは凛に一生懸命教えてくれてる。それでいいじゃん」

海未「……」

凛「…そりゃ、きびしっ!とは思ったけど、それはそれで楽しいなって思ったんだ」

海未「……」

凛「だから海未ちゃん、泣かないで。海未ちゃんは何も悪くないから」

海未「……」ポムッ

凛「にゃ…」

海未「……情けないですね、私は」

海未「あなたがこんなに頑張ってるいるのに、うじうじして……」

50: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/02/21(日) 22:12:06.04 ID:vHBQa5q8.net
凛「……」

海未「…すみません、もう大丈夫です」

海未「…明日から、また頑張りましょう!凛!」

凛「うん!」

~~
数日後


海未「……うん、かなりいいです。最近始めたばかりとは思えませんね…」

凛「海未ちゃんの教え方がいいからだよ~」

海未「そんなこと言っても、練習はゆるくなりませんよ」

凛「まさか!穂乃果ちゃんに勝つためだもん!もっともっとしなきゃ!」

海未「…あの、凛。最初も訊きましたが、やはり穂乃果と剣道をする理由は……」

凛「内緒」

海未「……まあ、いいです。…では、地稽古、しますよ」

63: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/02/22(月) 07:00:07.73 ID:hpz7fCNR.net
~~
そして、その日がやってきた。
~~

穂乃果「……ふふ」

凛「…負けないよ」

穂乃果「それはこっちのセリフ」

凛「…勝ったら、海未ちゃんと」

~~~

海未(…そろそろでしょうか)

ガララッ

67: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/02/22(月) 13:59:28.67 ID:hpz7fCNR.net
ガララッ

海未「あ、凛。どうでし……」

凛「……」

海未「…凛?」

凛「…」ポテポテ

海未「…」




凛「……負けちゃった」

68: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/02/22(月) 14:03:42.09 ID:hpz7fCNR.net
海未「……そうでしたか」

凛「うん……」

海未「…まあ、仕方ありませんよ、穂乃果、ああ見えて剣道、出来るんですから」

海未「また、次に勝てれば…」

凛「今日勝ちたかったの!」

凛「勝たないといけなかったのに…」

海未「…」

海未「……そんなに、勝ちたかった理由は」

凛「……うん」

69: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/02/22(月) 14:42:25.41 ID:hpz7fCNR.net
凛「えっと、その……あの」

海未「はい」

凛「…今回勝った方が…その……」

凛「……ゃんと…その」

海未「はい?よく聞こえません…もう少しはっきり…」

凛「……みちゃんと……その、これ、これ、水族館…」

海未「?」




凛「だからっ!海未ちゃんと!!水族館とか行くって話だったのっ!!」

73: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/02/22(月) 15:00:09.53 ID:hpz7fCNR.net
海未「……え?」

凛「……」

凛「…商店街の福引き、穂乃果ちゃんと一緒に引いたの。お互いのレシート合わせたら、1回引けたから」

凛「そしたら、水族館のペアチケット当たって」

凛「……それで、その、二人でいけばいいんじゃないかって、お互いに思ったんだけど」

凛「…海未ちゃん、この間さ」

~~

海未『ラッコって可愛いですよね…昨日のラッコ特集はいいものでした…』

~~

凛「って…」

海未「そ、そんなこと覚えてたんですか…?」

76: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/02/22(月) 15:18:38.25 ID:hpz7fCNR.net
凛「……それで、どっちが海未ちゃんと行くかで話になって……で、勝負して勝った方が、ってなって」

凛「そしたらなんか剣道になった」

海未「…そうだったんですか」

凛「うん…」

海未「……」

凛「……」

海未「……」

凛「…」



海未「あの、なぜ私と…?」

凛「うわぁあああああ!?」

78: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/02/22(月) 15:33:44.09 ID:hpz7fCNR.net
凛「……」

海未「……あの」

凛「…悪い?」

海未「え…」

凛「海未ちゃんと『2人』で水族館に遊びに行きたかった、じゃ、だめなの?」

海未「……!」

凛「…まあ、凛は負けちゃったから、行けないんだけどね……」

海未「…そうですね」

凛「…じゃ、凛、帰るね…」

海未「待ってください」

凛「…なに?」

海未「いえ、なに。1つ約束を残して行きましょう」

80: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/02/22(月) 16:15:46.74 ID:hpz7fCNR.net
凛「…」

海未「明日、私、予定がないので、どこかに行こうかと思ってるんです」

海未「…一人で行くのも、淋しいので。誰か、一緒に行ってくれそうな人、知りませんか?」

凛「……!」

凛「…し、しょうがないなー、海未ちゃんは!」

凛「そんな可哀想な海未ちゃんのために凛が一緒に行ってあげる!」





海未「やっぱりいいです」

凛「嘘ですごめんなさい!調子乗りましたごめんなさい!」

82: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/02/22(月) 16:18:15.03 ID:hpz7fCNR.net
海未「…ふふっ、では、行きますか?」

凛「…うんっ!」



おわる

引用元: 海未「……剣道を?」凛「うん」