1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/27(土) 23:41:08.233 ID:m9cmh4iw0.net
男(作曲中)「うーん……ここ半音上げた方がしっくりくるかなあ……」

男「試しに聴いてみよ」

隣の部屋の妹「ほらやっぱりなwww語尾に^ ^つけてやがるwwwおっさん出会い厨ワンパターンすぎwww」

男「あー……妹うるさいな。注意しに行くか」

ガチャ

男「おい妹!お前静かにしろ!」

妹「え?うるさかった?ごめんごめんwww」

男「ったく……また出会い厨釣りやってんのか?」

妹「釣りじゃねーしwww男を吟味してるだけだからwww」

妹「Skypeちゃんねるに『JK2です お話したいなー(*´﹃`*)』って書き込むだけで50人ぐらいから申請くるからなwww」

妹「まじでちょろすぎwww」ポテチぼりぼり

男「うわあ……」

妹「でもほんときもいやつ多すぎるんだよねマジで。好青年来ないかなー」

男「……」

男(こいつ女子高生とは思えないな。女なんて裏ではこんなもんなのか?)

男(しかしこいつの被害者たちは可哀想だ)

3: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/27(土) 23:43:10.870 ID:m9cmh4iw0.net
大学

友「はあ……」

男「どうしたどうした。何か悩みでもあるのか?」

友「俺さ。恋しちゃったんだ」

男「多分、気付いてないでしょ?」

友「いや歌の話じゃなくて。まじで、恋した」

男「誰に?」

友「それがさあ……引くなよ?」

男「引かねーよ言ってみな」

友「顔も知らない女子高生なんだ」

男「どゆこと?」

友「昨日スカイプちゃんねるってとこにID書き込んでた女の子とチャットして、好きになった」

男「はあ!?」

男(てかなんか嫌な予感するぞ)

7: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/27(土) 23:46:03.546 ID:m9cmh4iw0.net
男「相手のアカウント見せろ」

友「これだよ」

男「」

男(早速妹の被害者はけーーーーん!!)

男「つかお前、チャットしただけで好きになるとかどんだけだよ!ウブかよ!」

友「ウ、ウブで悪かったな!こちとら童貞だい!」

男「大体、顔だって可愛いかどうか分からないぞ?アイコンはゆるふわ二次元絵だが、こういう奴に限ってブサイクだったりする」

友「ブサイクでもいいよ。俺はこの娘の内面に惚れたのさ」

男「メンヘラかも知れないぞ!?」

友「メンヘラ大歓迎だ」

男「……」

友「なあ。協力してくれ」

男「協力?」

友「ああ。俺、この娘と会ってデートしたいんだ」

男「デデデデデデ、デートォ!!??」

友「無理かな」

男「いや、無理ではないが……うーん……」

友「なんだよ」

10: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/27(土) 23:50:01.384 ID:m9cmh4iw0.net
男「その娘いい子なのか?」

友「めっちゃいい子だよ。趣味も合うし、会話も弾むし」

男(会話ってお前それただのチャットじゃねーか……)

友「頼むよお。親友だろお?」

男「……分かったよ。協力する」

友「さすが男!」

男(親友の頼みとあっちゃあ、断れないよな……)

男「早速だが講義を始めるぞ」

友「お願いします!」

11: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/27(土) 23:54:14.781 ID:m9cmh4iw0.net
男「まず第一ステージ『チャット』についてだな。」

男「いいか?ある程度仲良くなるまでは下ネタは絶対使うな」

友「あぶね。昨日使おうと思ってたけど怖くなってやめたんだ」

男「その判断は正しい。いいか?下ネタは使うなよ。下ネタを使っていいタイミングは俺が判断する」

友「え?というと、チャット内容は男も全部チェックするの?」

男「当たり前だろ。協力すると言ったからには全力でサポートするからな俺は」

友「心の友よ……」

男「それから、がっつかないこと。これ大事」

友「がっつかない、か」

男「そうだ。がっつくな。大半の男はこれが出来てない。だから相手にうざがられるんだよ」

男「それから、チャットの量だが、少しの会話を毎日やれ」

友「毎日か。でも少しでいいのか?」

男「ああ。いいか?お前はその娘一人しか相手がいないのかもしれんがな、相手は50人ぐらいの男とチャットしてんだよ」

男「適当に対応するだけで精一杯だ。だから最初のうちから長くやってると相手が『面倒くさい』って思っちゃうんだよ」

男「だから最初はほどほどに。これは優しさだよ」

男「少しのチャットでも毎日続けてたら相手の記憶にも残る。英単語覚えるのと一緒」

17: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/27(土) 23:58:13.960 ID:m9cmh4iw0.net
友「でも毎日、どんな会話の切り出し方すればいいんだ?」

男「おはよう、とか挨拶系で十分。変化球で『ぬるぽ』って手もあるが」

友「え?でもそれ相手がねらーじゃないと使えないんじゃ」

男「あ……(妹がねらーなの知っててつい……)まあ、相手がねらーだって分かったらの話だな」

男「あと、『通話しよ』は絶対にこっちから言うな。意地でも言うな」

友「なんで?」

男「お前はこの娘に恋をしてんだよな。長期戦になっても別にいいんだろ?」

友「もち」

男「んじゃあこっちからは極力言わない方がいいな。さっきも言ったが、がっつかないことだ」

男「あいつは『通話しよ』ってしつこく言ってくるやつ大嫌いみたいだしな」

友「あいつ?」

男「あーいや、何でもない」

男「それから、チャットの内容だが、できるだけノリを大切にしろ」

友「ノリ?」

男「おう。その場のノリ。辛気臭い話とか真面目すぎる話は最初の内はしないで、まずは冗談言い合って草でも生やしといた方がいい」

男「早い内からそういう『雰囲気』を作ることが大事」

男「真面目な話はある程度日にちが経ってからでも遅くない」

男(相手が女子高生の場合はこれが正しいはずだ……)

友「ほうほう」

21: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 00:01:05.942 ID:4Jq/Wq150.net
男「とりあえず、こんな感じかな」

友「なんでそんな細かいアドバイスできるんだ男は?」

男「うんまあ……いろいろとあったから……」

男(以前から妹の生の意見を嫌と言うほど聞いてるしな……)

友「ふうん……。第2ステージは?」

男「それはお前が第2ステージに上がれそうな時に話す。とにかく今は第一ステージに専念しろ」

友「よし……待ってろよ妹!」

男(俺の妹だって知ったら腰抜かすだろうな……)

男(まあ友は俺の妹見たことないからいいけど……)

25: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 00:04:18.091 ID:4Jq/Wq150.net
 

自宅

俺「ただいまっちゃみるくはあまにがーい」

妹「おかえりなさいころきゃらめるたまにたべたい」

男「わかる」

妹「帰ってくるの早いね。今日クレヨンしんちゃん休みだよ」

男「またかよ……。それより昨日のスカイプのやつどうなった?」

妹「あーあれ?とにかく生理的に無理なのはブロックしたから今残ってるのは10人ぐらい」

男「どんな奴いるのか見してよwww」

妹「しゃーねーなー」

男(友……友……お、いた。)

男(生理的に無理ではないってだけだが、とりあえず一次選考は突破したみたいで良かった……ライバルは10人ぐらいか……)

26: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 00:07:16.263 ID:4Jq/Wq150.net
一ヶ月後 大学

友「男。昨日のチャットチェックお願い」

男「うん」

友「昨日は二人でお題出し合ってお絵描き大会してたんだけどさ。女ちゃんすごい絵上手いんだよ。もう俺驚いちゃってさー」

男「……すごいな。もう何も言うことないよ。めっちゃ楽しくやってるじゃん」

友「だろ?俺ってチャットの才能があるかもー」

男「こら自惚れるな。でもかなりいい線いってると思うな」

男(妹に探り入れてみるか……)

28: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 00:10:31.361 ID:4Jq/Wq150.net
自宅

男「おかえりんぎのバター炒め無性に食べたい」

妹「ただいマルマルモリモリ全部おどれるのちょっとしたとくぎ~」

男「お前あれどうなった?スカイプのやつ」

妹「あーあれ?」

男「今何人ぐらいいるん?」

妹「5人かな……一人以外は通話も一回はしたよ」

男「へえ……通話って何話すんだ?」

妹「んーいろいろだけど……人によって違うし」

男「気になるww詳しく聞かせてよ」

妹「えーなんでお前にんなこと話さなきゃなんねーんだよー」

男「頼むよ」

妹「ったく、しゃーねーなー」

29: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 00:13:29.089 ID:4Jq/Wq150.net
妹「まず一人目は年下中3の男の子」

妹「パズドラが大好きで、通話中もパズドラの話ばっかりするのがちょっとめんどくさかった」

妹「私もやってるから話はできるけど。でも声はショタっぽくて可愛かったwww」

男「ほうほう」

妹「二人目。年上40代の紳士なおっさんサラリーマン」

男「そんな歳上もいるのか」

妹「うん。アメリカに出張したりするんだよこの人。すごくない?」

男「すごいすごい」

妹「アメリカの写真とか送ってもらったりして楽しかったな。通話したけど英語堪能ですげえって思ったww優しいしいい人なんだけど年上すぎて話が合わないことが多いww」

男「なるほどなあ」

30: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 00:16:51.320 ID:4Jq/Wq150.net
妹「三人目。同い年の女の子」

男「あ、そっか女の子もいるのか」

妹「そりゃいるよwwやっぱ同性はいいね!ドラマとか見ながら二人で実況してるwww家族ゲームめっちゃ面白いわwww」

男「へえ。つぎつぎ」

妹「四人目。高校三年男。一学年先輩」

妹「基本受験勉強で忙しいみたいだからそんなに頻繁にチャットとかできないけど、歳が近いから話も合うし、勉強とか教えて貰える。」

男「通話で?」

妹「うん。頼りになる先輩って感じだわ」

男「なるほど。それで五人目は……(友か)」

31: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 00:19:46.753 ID:4Jq/Wq150.net
妹「五人目。男と同じ大学2年20歳男。とにかく面白い人って感じ」

妹「この人もねらーらしいから二人で一緒に考えた釣りスレ立てたりして楽しんでたわww」

妹「あと絵も好きだから描いたの見せ合ったり」

妹「でもこの人とは通話一回もしてないんだよね。普通最低でも一週間ぐらいしたら『通話しよ』とか言うんだけど、この人はそういうの全く言わない」

妹「ちょっとびっくりしたな。スカイプちゃんねるにこんなふわふわしてる人もいるんだって思った。てか通話とかはしたくないのかな?」

男(思ってたよりは好感触かな……)

男「通話誘ってみれば?」

妹「通話?」

男「うん。案外普通に通話してくれるかもよ」

妹「んーまあいいけど。多分断られそう」

男(よし、いいぞ。事は上手く進んでる)

妹「あ、でもドラとクレしん見てからね。実況板ヲチしないと」

男「おけ」

32: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 00:22:24.349 ID:4Jq/Wq150.net
男の部屋

男「もしもし?友か?」

友「男どうした?」

男「今から第2ステージの講義を始める。よく聞けよ」

友「え?急だな?今夜通話誘えばいいのか?」

男「いやお前からは誘わなくていいからな。多分あっちから誘いくるから」

友「なんでそんなこと男に分かるのさ」

男「男のカンだよ。講義始めるぞ」

男「まず、聞き上手になれ」

友「基本聞き手にまわるのか?」

男「そうだ。話す3割、聞く7割ぐらい。女は大抵自分語りとか好きだから語らせてあげるんだ」

男(あいつは特にそういう節があるしなあ……)

男「それな、分かる、なるほど、あーね、うんうん、へえ、確かに、そうなんだ、まじか……とにかくこの単語使って相槌打てばいいから」

男「それから相手の意見は否定するなよ。全力で同意しろ」

友「それはなんとなく分かる」

34: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 00:24:53.339 ID:4Jq/Wq150.net
男「とにかく今言えるのはこれだけだ。今日の通話が終わったらすぐに連絡しろ。いいな」

友「りょ」

夜8時

妹「今日のドラマジキチ回だったわwwwwww」

妹「あ、そういえば……」

妹回想(男「通話誘ってみれば?」)

妹「どうしよっかなー……」

妹「……」携帯ポチポチ

38: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 00:27:25.170 ID:4Jq/Wq150.net
友「お、妹ちゃんからチャットきたぞ」

妹『今日のドラ観た?』

友『観たwwwくそわろwwwwww』

妹『なwwwwwwウキウキ輪てwwwwww』

友『あれ完全ドラッグだよなwwwwww』

妹『真面目にやばいよな』

友『俺もあれ欲しいわ』

妹『元からマジキチ定期』

友『(´;ω;`) 』

妹『つしずかちゃんのハンカチ』

友『めっちゃ元気出た』

妹『きめえwwwwww』

友『拙者キモくないでごさるよwwwwwwブフォッwwwwww』

妹『嘘だwwwwww声とかキモそうwwwwww』

友『キモくねーよwwwwww俺イケボって言われるからwwwwww』

妹『じゃあ聞かせてよwwwwww』

友「……ん?これ通話フラグ立ってる?」

40: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 00:30:11.234 ID:4Jq/Wq150.net
友『いいよwwwwww』

妹「お……我ながら誘導上手いな私」

妹「通話かけるか。でも多分キモい声なんだろうなー。面白い人だからいいけど」

通話タイム始め

妹「おーい。友?喋ってみてよw」

友「あかんぼあおいなあいうえお」

妹「初っ端から発声練習するなよwww」

友「墾田永年私財法」

妹「なんなのwww」

友「声に出して読みたい日本語だよ」

妹「意味分からんwww」

妹(あれ?思ったより結構イケボだなあ……)

42: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 00:33:50.297 ID:4Jq/Wq150.net
翌日 大学

男「通話どうだった?」

友「楽しくやれたよ」

男「聞き手に回った?」

友「うん。早い段階から聞き手に回って相手に喋らせてた。学校のクラスメートの愚痴とか多かったなあ」

男「ふうん……ちなみにもう一度確認するが、クラスメートの愚痴なんかを言う奴の内面にお前は惚れたのか?」

友「愚痴ぐらい誰でも言うだろ。いちいちそんなのに目くじら立ててるのかお前は」

男「いや、そういうわけじゃないけどさ。まあいいや、友がいいなら」

男「それで第二ステージの講義の続きを始める」

友「あ、続きあったんだ」

男「まず、二回目の通話をブランクを空けずにすること」

友「ブランクを空けずに?」

男「ああ。もう今夜また通話しろ。ブランクが長ければ長いほど二回目の通話に誘い辛くなる」

友「どうやって誘えばいいかな」

男「もう二回目以降は凝ったことせずに、通話しよ、の一言でいい。ただ、相手が時間なさそうだったら察してやれよ」

友「うん」

45: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 00:37:29.685 ID:4Jq/Wq150.net
男「それからお前はトーク力が乏しいから、お笑い芸人のトークとかを参考にしろ」

友「お笑い芸人の?」

男「そう。通話では相手の女を楽しませることが最重要だ」

男「とりあえずDVD持ってきたから見まくれ」

友「ダウンタウンのガキの使いやあらへんでトーク集……。ダウンタウンってトーク上手いの?」

男「ばっかお前、これ見たら口が裂けても『ダウンタウンってトーク上手いの?』なんて減らず口は叩けないぞ」

友「ふうん……」

男「いいか?まず松本の絶妙な『間』や『リズム』を体に叩き込め。松本は突飛な発想も去ることながら、言い方一つで笑わせていることも多いからな。それを盗め」

友「うん」

男「そして松本以上に注目して欲しいのが浜田」

友「え?松本じゃなくて?」

男「うん。浜田は聞き手に回って、ところどころボケを拾って的確なツッコミをしている。聞き手の見本と言ったところだろう」

友「なるほど」

男「お前が話し手に回った時は松本を、聞き手に回った時は浜田を参考にすればいい。」

男「それにあいつダウンタウン全然知らないからネタパクってもバレないと思う」

友「あいつ?」

男「あーいやいやいやいや!なんでもないよ言い間違い」

友「そうか。これありがと。とにかく頑張ってみるよ!」

男「おう!頑張れ」

49: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 00:40:44.338 ID:4Jq/Wq150.net
翌日 大学

男「通話した?昨日」

友「うん。通話しよって言ったらすんなりOKしてくれた」

男「それはよかった」

友「でもダウンタウンのDVDはかなり役に立ったよ!これめちゃくちゃ面白いな」

男「だろ?今日も違うガキトーク持ってきたから勉強しろよ」

友「もっちろん!」

そして二ヶ月後……

男「友どうだ?順調か?」

友「ああ。結構な頻度で通話してるし、もうかなり打ち解けてると思う」

友「そろそろ会ってみたいかも」

男「会う。か……まあ三ヶ月経ったしな」

友「ああ。俺はどうすればいいだろうか」

男「うーむ……。ここからが本当の難関……」




男「最終ステージ 『デート』だ」

50: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 00:43:58.011 ID:4Jq/Wq150.net
男「では、最終ステージ『デート』についての講義を始める」

友「待ってました」

男「まず、お前から「会おうよ」って絶対言うな。これは『通話』の時と同じだ。いいか絶対言うなよ」

友「なんで?」

男「あいつはそういう奴を『出会い厨』と呼んで馬鹿にする」

友「あいつ?」

男「あ、いや、多分そうだろうなあと思って」

友「なるほど」

男「だから上手く誘導するしかない。それかイベントを使うか」

友「イベント?」

男「ああ。例えばコミケ当日。二人とも会場にいると知ってノリで会うとかな。でもこれはあまりオススメできない」

友「なんで?」

男「その後デートなんてとてもじゃないができないからだ。イベントの最中だからな」

友「あ、そっか……。じゃあ誘導していくしかないのか」

男「誘導しようとして話が飛躍しすぎてもいけないからな」

男「これは長期戦になり得る。それを覚悟するんだ」

友「おう。なんだか燃えてきたぜ!」

52: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 00:46:31.726 ID:4Jq/Wq150.net
自宅

男「おかえりまきトカゲのしっぽが自動販売機の側に落ちてた」

妹「ただいま   ~」

男「あれどうなった?Skypeのやつ。まだ続いてる人いる?」

妹「うん。同い年の女の子と、一年先輩の高3男、20歳大学生男の三人」

男「あれ?二人へってね?」

妹「うん。中学生の男の子はなんか子どもすぎて疲れるし、40代の紳士なおっさんは歳上すぎてこっちの気が引けちゃって」

男「へえ」

妹「高3男先輩も受験間近だからしばらくSkypeやらないみたい……」

男「まじか」

男(となると、女の子と友二人だけ……これはイケるぞ)

男「会ったりしたいって思わないの?」

妹「え?会ったり?」

男「うん」

妹「……」

男「ていうかお前って、いろんな人とネットで仲良くなるけど、1人も会った人いないよな。そういう主義なのか?」

男(そういう主義だとしたら今すぐ友に諦めてもらわないといけないからな)

妹「……い」

男「え?」

妹「怖い……の」

53: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 00:49:16.583 ID:4Jq/Wq150.net
妹「会うのが怖い……会いたいって気持ちはすごいあるし、実際楽しいのかもしれないけど……なんか怖い」

男(意外とまともな一面もあるんだな。ネットで知り合った人と出会う必要なんてまったくないからな)

男(しかし、友の為だ)

男「なるほど……」

妹「今まで仲良くなった人たちも、皆ある日突然『会おうよ』って言ってきて、怖いから何度も断ってたら、皆通話もチャットもしてくれなくなっちゃって……」

男「……」

妹「ただお話して仲良くしたかっただけなのに……」

男「……」

妹「それから男性が信じられなくなった……どうせあんた    したいだけなんでしょって心の中で思っちゃって、そんな自分に嫌気が差して、自己嫌悪。この繰り返し」

男「妹……」

男(こんなに思い詰めていたとは……そりゃ出会い厨なんて大嫌いだわな……)

男(でも友は……あいつは  たいだけの男とは違う……と信じてる)

男(友なら……友なら妹の男性不信を治せるかもしれないな……)

54: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 00:52:23.535 ID:4Jq/Wq150.net
妹「私……リアルではチキンなのに、ネットでしか粋がれなくて、サイテーだよね……」

男「……」

妹「男……」

男「ん?」

妹「私に……協力して欲しい」

男「協力?」

妹「うん。私、殻を破ってみたいの」

男「というと?」

妹「友と会ってみたい。だから、協力して欲しいの。……ダメ?」

男「その一言が聞きたかった」

男「もちろん協力するよ」

妹「男……ありがとう!」

男「ハハハ……妹にありがとうなんて言われたのいつ以来だろ……」

57: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 00:55:26.573 ID:4Jq/Wq150.net
友「ん?女からチャット来たぞ」

妹『ねえねえ。今度会わない?』

友「」

友「チョリソオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」

友「どどどどういうことだ!?なんだ!?これは罠か!?」

友「お、落ち着け……し、深呼吸だ……すう……はあ……」

友「と、とりあえずちょっと落ち着いた……しかしこれは一体……あ!」

友「ま、まさかVIPで安価スレでも立ててるんじゃ……さ、探さないと……」

友「ん?男から電話だ……こんなときになんだ?」

ガチャ

男「友!落ち着け!深呼吸しろ!」

友「もうしたよ!」

男「お前『会おうよ』ってチャットきただろ」

友「なんでお前知ってんだよ」

男「男のカンだ。いいか。これから俺の言う通りに文字を打て」

友「……わ、分かった」

男「いくぞ。『いいね。ドライブしよっか!』……はい打て」

友「おけ」

59: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 00:58:20.578 ID:4Jq/Wq150.net
妹「あれ?今男トイレで誰かと電話してた?」

男「ああちょっと事務連絡があっただけ。返事は返ってきたか?」

妹「うん。『いいね。ドライブしよっか!』って」

男「よし妹。これから俺が言う通りに文字を打て。一字一句間違えるなよ」

妹「うん」

男「『まじ!?ドライブ楽しみwwいつ行く?』」

妹「打った」

男「いいぞ。俺ちょっと玄関の靴揃えてくるから、返事来ても何もかえすんじゃないぞ!」

妹「はーい」

60: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 01:01:31.092 ID:4Jq/Wq150.net
友「もしもし男?『まじ!?ドライブ楽しみwwいつ行く?』だって。どうしよう」

男「お前いつ空いてるんだよ」

友「いつでも暇だけど」

男「大学の講義サボる気かよ……まあいい。じゃあ明日だな」

友「え!?明日!急過ぎない?」

男「急過ぎるくらいでいいんだよこういうのは」

男「よし、『明日行こうぜww』って打て。ダブルは二個な」

友「わ、分かった」

ガチャ

男「あー忙しい忙しい!!」

妹「おーいおとこー!返事返ってきたよー」

男「今行く!」

こんな感じで1人チャットがしばらく行われ、結局、明日名古屋駅に友が車(エスティマ)で妹を迎えに行く。ということになりました。

61: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 01:05:17.793 ID:4Jq/Wq150.net
『デート』(最終ステージ)当日

妹「あー……緊張する……」

男「大丈夫だ。いつものお前でいればいいんだよ」

妹「うん……でも……」

男「大丈夫だから……自信持っていけ」

妹「うん……」

男「じゃ、俺はとりあえず離れるよ。アドバイス欲しかったらすぐにLINEか電話しろ」

妹「うん。ありがとう」

男「おう」

男「……しっかし緊張してたなあ妹。まあ無理もないか。こういうの初めてだし」

男「お。友から電話か」

友「今名古屋駅向かってる。うわ~まじ緊張するどうしよう」

男「落ち着け。お前が相手をエスコートするんだ。相手を楽しませろ。それだけだ。大丈夫、お前ならできる」

友「また途中で連絡するよ……そのときもちゃんとアドバイスしてくれよ……」

男「わかってる」

ガチャ

男「ふう~忙しい忙しい」

62: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 01:07:25.730 ID:4Jq/Wq150.net
妹「あ……あのエスティマ……友かな……あ、こっち来た」

窓ウイイイン

友「ああ……えーと……その……」

妹「…………」

妹(は、恥ずかしい…………)

友「妹……だよね?」

妹「う、うん……」

友「よかった。俺友ね。いや、来てくれてありがとう」

妹「は、はい」

友「そんなに緊張しないでwいこいこ」

妹「あ、あの……どこに乗れば……」

友「ああ。助手席に乗って」

妹「りょ、りょうかい……」

バタン

友「テキトーにドライブしよっかー」

妹「うん」

64: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 01:10:59.151 ID:4Jq/Wq150.net
運転中

友(めっちゃ緊張するやばいやばいやばい!胸の鼓動の音聞かれてないだろうなあ)

妹「……」

友(うわなんかこっち横目でめっちゃ見てくるし!やめてよ恥ずかしい緊張する緊張する緊張するう!)

妹「なんか……慣れてるね」

友「え?いやいや、こうやってネットの人と会ったのは初めてで……」

妹「いや、そうじゃなくて、運転」

友「あ、ああ運転か。いやドライブ趣味だからさ。そりゃ慣れるよー」

妹「へえ。なんか秘訣とかあるの?」

友「あるよ。かもしれない運転を心がけるんだよ」

妹「かもしれない運転?」

67: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 01:13:25.308 ID:4Jq/Wq150.net
友「そう。かもしれない運転、じゃあ今日もうこれだけは覚えて帰って。急遽だけど」

妹「え?そんな簡単に覚えられるの?」

友「もちろん!もっとかもしれない運転を心に背負いましょうよ!シートに乗せましょ!トラックに積みましょ!」

妹「トラックに積むのww」

友「ラジエーターに貯めましょ!!」

妹「ラジエーターってww」

友(お、初めて笑ってくれた)

妹「てか、かもしれない運転って教習所で皆習うもんじゃないの?」

友「ところがー、皆のかもしれないはたかだかー、浅はかなんですよ!」

妹「え、そうなの?」

友「そう。例えばあなた、どんなかもしれないを考えながら乗ってるの?」

妹「え……お年寄りが横から出てくるかもしれない!……とか?」

友「あー……それが甘い」

妹「うそ」

友「お年寄りが横から出てくるかもしれない!そんなとこで終わってええの!?」

妹「え!?」

友「じじいかもしれない!」

友「ばばあかもしれない!」

友「和服かもしれない!」

妹「ちょwwwそこまでwww」

妹「でも、じじいが出てくるかもしれない時の運転の仕方なんてあるの?」

友「もちろん!僕は全てのかもしれないを考えてる!ワイパー取れるかもしれない!」

妹「それただの整備不良じゃんwww」

友(これダウンタウンのトークの完全丸パクリだけど、ばれてないよな……)

友(しかし雰囲気が温まってきたようで良かった。こういうのは最初が肝心って男が言ってたからな……)

69: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 01:17:01.365 ID:4Jq/Wq150.net
一時間後 車内

友「音楽でも流す?」

妹「いいね!」

友「なんでも入ってるけど何流そっか」

妹「RADWIMPSとか聴こうよ!」

友「よし!決まり!ほんといいよなRAD!」

妹「うん!曲何が好き!?」

友「ヒキコモリロリンとかダルマグランプリとかDADAとか好きだねー」

妹「DADAわかる!あれめっちゃいいよね!」

友「だよな!気が合うなww今度一緒にLIVEでも行く?」

妹「うん!いこいこ!私まだRADのLIVE一回も行ったことないんだよねー」

友「よっしゃ!決まりだなww」

友(お、おお……次のデートまで漕ぎ着けちゃったよ……やったぜ)

友(いや、ここまでデートが成功するとは思わなかった……もう男の助けも要らないかもしれない……)

71: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 01:19:23.056 ID:4Jq/Wq150.net
一時間後 カラオケ

妹「放て!心に刻んだ夢を 未来さえ置き去りにして!」

……

妹「ふう。疲れたあ」

友「女歌上手いね!びっくりしたよ!」

妹「でしょ!歌は自信あるんだ!」

妹(初めてネットで知り合った人と出会ったけど、意外と楽しい)

妹(今まで、私が勝手に避けてただけだったんだ……)

妹(もう、男の協力は要らないかもしれない……)

73: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 01:22:14.043 ID:4Jq/Wq150.net
作曲中男「うーん……ストリングス加えるかあ……」

男「しかし…………もう夜だぞ。妹、男、どっちからも電話が来ない」

男「あ、友から来たぞ」

友「もしもし男?」

男「あ、お前一度も電話して来なかったけど大丈夫だったのか?」

友「ああ。もう男の協力は要らないかもしれない。今まで協力してくれてありがとう」

男「お、おう」

友「それからさ……部屋の窓の外見てみろよ」

男「え……」

窓ガラガラガラ

男「あ!友の車!」

友「お前の妹ちゃん家まで送ってやったんだ。感謝しな」

男「ありがとう……しかし、妹が俺の妹だって気付かれちゃったな」

友「ばっかお前、そんなもんとっくに気付いてたぞ」

男「え!?そうなん!?」

友「ああ。あんなにあいつあいつ連呼してたれすぐ分かるよ」

男「とほほ……」

友「じゃあ電話切るね。また明日大学で」

男「おう」

ツーツーツー

75: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/28(日) 01:26:34.439 ID:4Jq/Wq150.net
妹「おかえりんごジュースよりオレンジジュースの方が好きな私って異端かもしれないー?」

男「ただいまあまあそういう人いるし異端じゃないかもしれない」

男「デートどうだった?」

妹「純粋に楽しかった!」

男「よかった……」

妹「あの……ありがとね男。男が協力してくれなかったら、私ずっと男性不信だったかも……」

男「礼なら友に言ってやれ。あいつが紳士なデートをしたから、お前は救われたんだ」

妹「うん。明日大学でも友に、感謝してるって言っといて」

男「お前にもばれてるのか……はーい」

一ヶ月後…………

男「しかし、妹と友の件。一件落着してよかったなあ」

男「あの後も二人は順調に交際を続けているし、微笑ましい限りだ」

男「二人とも、もう助けは要らない……か。なんかちょっぴり寂しくなったし、暇になったなあ……」

男「そうだ。この二人の話を元にして2chでSSでも書いてみるか……」

男「スレタイは……と」



妹「うわ出たよおっさん出会い厨wwwまじきめえwww」


引用元: 妹「うわ出たよおっさん出会い厨wwwまじきめえwww」