2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/16(土) 00:02:08.92 ID:70P13vtAO
籍を入れて1年。
遅まきながら新婚旅行に行った。
いつかの仕事で行ったベトナムに2泊してきた。
「あんたがプロデューサーだった頃からと2人で来たかったんだ! 来れてよかったよ。また来ようね!」
帰りの飛行機で笑いながらそう言ってくれた。
また必ず連れてこようと思う。
遅まきながら新婚旅行に行った。
いつかの仕事で行ったベトナムに2泊してきた。
「あんたがプロデューサーだった頃からと2人で来たかったんだ! 来れてよかったよ。また来ようね!」
帰りの飛行機で笑いながらそう言ってくれた。
また必ず連れてこようと思う。
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/16(土) 00:02:40.73 ID:70P13vtAO
籍を入れて3年。
体調不良を訴えたので病院に連れていったところ、妊娠が発覚した。
帰る途中「アタシが人の親とか実感ないなー」と笑いながら言っていた。
正直な話、俺にだってそんな実感ない。けど、こいつとなら大丈夫だと思う。一緒に親になっていこう。
体調不良を訴えたので病院に連れていったところ、妊娠が発覚した。
帰る途中「アタシが人の親とか実感ないなー」と笑いながら言っていた。
正直な話、俺にだってそんな実感ない。けど、こいつとなら大丈夫だと思う。一緒に親になっていこう。
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/16(土) 00:05:39.67 ID:/Abg2RmxO
籍を入れて5年。
「子供は私が預かるから、結婚記念日くらいゆっくりしておいでヨ!」と言ってくれた嫁の友人の言葉に甘え、2人きりで飲むことにした。
バーのカウンターで飲んでいると、隣に座った親父が話しかけてきた。
自称芸能関係者らしいその親父は妻に「もう一度ステージに立たせてやろう」と大げさな態度で言ってきた。
これまで俺の仕事場に連れて行ったりもしたが、引退後の妻を元アイドルと見抜いた相手はこの親父が初めてだった。
少しは信じてみてもいいかもしれないと思ってしまった。
「子供は私が預かるから、結婚記念日くらいゆっくりしておいでヨ!」と言ってくれた嫁の友人の言葉に甘え、2人きりで飲むことにした。
バーのカウンターで飲んでいると、隣に座った親父が話しかけてきた。
自称芸能関係者らしいその親父は妻に「もう一度ステージに立たせてやろう」と大げさな態度で言ってきた。
これまで俺の仕事場に連れて行ったりもしたが、引退後の妻を元アイドルと見抜いた相手はこの親父が初めてだった。
少しは信じてみてもいいかもしれないと思ってしまった。
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/16(土) 00:06:42.81 ID:/Abg2RmxO
籍を入れて10年。
子供が小学校に入学した。
「そろそろ二人目欲しいねえ」なんてことを冗談みたいに言ってきた。
「お前の仕事に差し支えるだろ」
そういうと妻はあっさり「その時はまた引退するだけだよ。流石に子供ができたら黒井社長も許してくれるでしょ」と言ってのけた。
……もっと頑張って稼がないとなと思わされた。
籍を入れて15年。
「流石に少し子供のことを考えた方がいいんじゃないですか? ……正直、昔の私を思い出すようで見ていられないです」」 妻の友人にそう言われ、俺たちは深く反省した。
確かに収入的には俺より妻の方が圧倒的に多く、俺が働く必要はどこにもない。
俺は子供のそばにいることにした。
子供が小学校に入学した。
「そろそろ二人目欲しいねえ」なんてことを冗談みたいに言ってきた。
「お前の仕事に差し支えるだろ」
そういうと妻はあっさり「その時はまた引退するだけだよ。流石に子供ができたら黒井社長も許してくれるでしょ」と言ってのけた。
……もっと頑張って稼がないとなと思わされた。
籍を入れて15年。
「流石に少し子供のことを考えた方がいいんじゃないですか? ……正直、昔の私を思い出すようで見ていられないです」」 妻の友人にそう言われ、俺たちは深く反省した。
確かに収入的には俺より妻の方が圧倒的に多く、俺が働く必要はどこにもない。
俺は子供のそばにいることにした。
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/16(土) 00:07:15.97 ID:/Abg2RmxO
籍を入れて15年。
「流石に少し子供のことを考えた方がいいんじゃないですか? ……正直、昔の私を思い出すようで見ていられないです」」 妻の友人にそう言われ、俺たちは深く反省した。
確かに収入的には俺より妻の方が圧倒的に多く、俺が働く必要はどこにもない。
俺は仕事を辞め、子供のそばにいることにした。
「流石に少し子供のことを考えた方がいいんじゃないですか? ……正直、昔の私を思い出すようで見ていられないです」」 妻の友人にそう言われ、俺たちは深く反省した。
確かに収入的には俺より妻の方が圧倒的に多く、俺が働く必要はどこにもない。
俺は仕事を辞め、子供のそばにいることにした。
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/16(土) 00:07:43.30 ID:/Abg2RmxO
籍を入れて25年。
子供が就職し、家を出ていった。
20年近く久々に2人きりになった。
長い間芸能界に身を置いていた妻は実年齢上に若く他の同世代と比べても可愛い。
遊びたい盛りの年に子供ができ、これまで遊べなかった分、これから2人でたくさん思い出を作ろうと約束した。
子供が就職し、家を出ていった。
20年近く久々に2人きりになった。
長い間芸能界に身を置いていた妻は実年齢上に若く他の同世代と比べても可愛い。
遊びたい盛りの年に子供ができ、これまで遊べなかった分、これから2人でたくさん思い出を作ろうと約束した。
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/16(土) 00:08:13.03 ID:/Abg2RmxO
籍を入れて30年。
久しぶりに帰ってきた子供から「結婚する」と報告された。すでに妊娠3ヶ月らしい。
「結婚かあ……アタシらに似て早かったね」
笑いながら言う妻に思わず苦笑した。
籍を入れて40年。
定年にはまだ早いが、体調を崩すことが多かったことなどを考慮して、少し早く定年することになった。
妻の稼いだ貯金と俺の収入の貯蓄も合わせて充分にやっていける。
会社を出たあと、妻と2人で社長の墓前に手を合わせに言った。
「社長のおかげでアタシたち、これまでやっていけたよ」
ピースをしながらそう報告する恵美は、めずらしく涙声だった。
恵美の泣き顔を、久しぶりに見たと思った。
久しぶりに帰ってきた子供から「結婚する」と報告された。すでに妊娠3ヶ月らしい。
「結婚かあ……アタシらに似て早かったね」
笑いながら言う妻に思わず苦笑した。
籍を入れて40年。
定年にはまだ早いが、体調を崩すことが多かったことなどを考慮して、少し早く定年することになった。
妻の稼いだ貯金と俺の収入の貯蓄も合わせて充分にやっていける。
会社を出たあと、妻と2人で社長の墓前に手を合わせに言った。
「社長のおかげでアタシたち、これまでやっていけたよ」
ピースをしながらそう報告する恵美は、めずらしく涙声だった。
恵美の泣き顔を、久しぶりに見たと思った。
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/16(土) 00:08:47.60 ID:/Abg2RmxO
籍を入れて50年。
仕事をやめてからの習慣にしていウォーキング中、立ちくらみを起こして倒れた。
救急車を呼んで病院で検査を受けたところ、身体の色んな部分にガタが来ていることを知った。
幸いガンにはなっていない。
少しずつ生活を改善する必要があると実感した。
籍を入れ55年。
恐れていたことが判明した。
末期のガンで、あと3年も生きられたらいいほうらしい。
若い頃無茶苦茶した反動がここになって返ってきたと思った。
とは言っても、俺もとうに還暦を迎えた身、むしろ長く持った身だろう。
仕事をやめてからの習慣にしていウォーキング中、立ちくらみを起こして倒れた。
救急車を呼んで病院で検査を受けたところ、身体の色んな部分にガタが来ていることを知った。
幸いガンにはなっていない。
少しずつ生活を改善する必要があると実感した。
籍を入れ55年。
恐れていたことが判明した。
末期のガンで、あと3年も生きられたらいいほうらしい。
若い頃無茶苦茶した反動がここになって返ってきたと思った。
とは言っても、俺もとうに還暦を迎えた身、むしろ長く持った身だろう。
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/16(土) 00:09:40.38 ID:/Abg2RmxO
朝から騒がしかった。
妻の友人や孫たち、子供の声が聞こえる。
視界がぼやけて誰が誰だか判別もつかない。
でも、これは本能的に理解できた。
籍を入れて60年。
これまで連れ添ってきた妻と別れる時が来た。
長い長い、人生だった。
お前と過ごせて、本当によかった。
辛いこともたくさんあったけど、後悔は決してしていない。
いい人生だったと、胸を張って誇ることができる。
「……恵美」
最後の力を振り絞って、愛する人の名前を呼ぶ。
「聞こえた! 聞こえたよ! パパ! ねえパパしっかりして!」
ああ……その呼び方懐かしいな……子供が出来てからお前に名前で呼ばれることなんてなかったもんなあ……
「恵美……ありがとう……」
ありがとう。
出会ってくれてありがとう。
信じてくれてありがとう。
ここまで一緒にいてくれありがとう。
こんな俺を、愛してくれてありがとう。
お前のおかげで、いい人生だった。
妻の友人や孫たち、子供の声が聞こえる。
視界がぼやけて誰が誰だか判別もつかない。
でも、これは本能的に理解できた。
籍を入れて60年。
これまで連れ添ってきた妻と別れる時が来た。
長い長い、人生だった。
お前と過ごせて、本当によかった。
辛いこともたくさんあったけど、後悔は決してしていない。
いい人生だったと、胸を張って誇ることができる。
「……恵美」
最後の力を振り絞って、愛する人の名前を呼ぶ。
「聞こえた! 聞こえたよ! パパ! ねえパパしっかりして!」
ああ……その呼び方懐かしいな……子供が出来てからお前に名前で呼ばれることなんてなかったもんなあ……
「恵美……ありがとう……」
ありがとう。
出会ってくれてありがとう。
信じてくれてありがとう。
ここまで一緒にいてくれありがとう。
こんな俺を、愛してくれてありがとう。
お前のおかげで、いい人生だった。
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/16(土) 00:11:11.21 ID:/Abg2RmxO
終わりです
遅刻してごめん!恵美、誕生日おめでとう!
恵美に出会えて、毎日が幸せに満ちています。
今日のライブも、全力で応援するからな!
本当に本当に、生まれてきてくれてありがとう!
遅刻してごめん!恵美、誕生日おめでとう!
恵美に出会えて、毎日が幸せに満ちています。
今日のライブも、全力で応援するからな!
本当に本当に、生まれてきてくれてありがとう!
引用元: ・【ミリマス】恵美「遥かな年月」
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