～会議室～

「新宿区 会社員殺害事件 捜査本部」

中園参事官「えーっ、被害者は、都内のＩＴ企業に勤務する会社員、狩野剣太３３歳。
三日前に新宿区内の公園において、頭から血を流して死亡しているのが発見された。
死因は、頭部強打による脳挫傷。額に鈍器で殴られたような傷があることから、何者かによって殴られた後、転倒して死亡したものと思われる」

三浦「…おい伊丹、刑事部長がピヨってるぞ」カチャカチャ

伊丹「へっ、いい気味だ。ほっとけほっとけ」カチャカチャ

内村刑事部長「伊丹！声が聞こえたが、何か報告したいことでもあるのかっ」

伊丹「いえ！何もありませんっ」

内村刑事部長「馬鹿もんっ！会議に集中しろ！…ったく」カチャカチャ

～特命係の部屋～

角田課長「…お前またセインランスかよぉ。しかも相変わらずのハプル装備」カチャカチャ

米沢「この組み合わせが好きなもので。…ちなみに、顔が似ているというので、鑑識課ではマモルボッカと呼ばれております」カチャカチャ

亀山「お待たせしました～」

右京「遅れて、申し訳ありません」

角田課長「遅いよぉ～。もう２人で３回はクエスト行っちゃったぜ？」

米沢「レギオス装備を身にまとった角田課長が振るうハンマー、マトラカアルグルは非常に強力です。さすがベテランハンター」

亀山「課長も、なんだかんだ言ってやり込んでるんじゃないですか～！このこのっ」ツンツン

角田課長「いやぁ、部下とのコミュニケーションに必要なんだよぉ～エヘヘ」

右京「亀山くん、僕たちも準備をしますよ」

角田課長「…そういやぁ、あの狩野剣太が殺されたんだってな」

亀山「有名人だったんですか？狩野剣太って」

米沢「彼は、『関東一の名狩人』と呼ばれるほどのモンハンプレイヤーでした。僕も以前、イベントでご一緒させて頂いたことがあります」

角田課長「それとな、狩野が勤め先の社長と作った、『猟友会』っていうモンハンサークルが大人気でさ。政財界のお偉いさんや、有名芸能人とも一狩り行ってたらしいぜ」

右京「興味深いですねぇ」

角田課長「はぁーっ…遺体から財布が抜き取られていたらしいから、物取りの犯行だろうなぁ。かわいそうに」カチャカチャ

米沢「ところで、今日はどのクエストに？」

亀山「上位にあがるため、オストガロアに挑みますっ。その後は、二つ名持ちモンスター紅兜アオアシラ！」

右京「…その前に、残ったクエストをこなしてしまいましょうか。勲章も貰えますしねぇ」

角田課長「よぉしっ！じゃあ俺が貼ろう！孤島に現れたブラキディオスからだ！」

～捜査一課～

伊丹「おい！例の事件の犯人、見つけたぞっ！」

芹沢「早っ！」カチャカチャ

三浦「一体誰なんだ？」カチャカチャ

伊丹「萩取鉄人、２６歳。きのう強盗致傷の容疑で逮捕された野郎だ。事件当日も、犯行現場近くで目撃されている」

三浦「よぉし、さっそく取り調べだ。芹沢！ＤＳしまって行くぞ！」パタン

芹沢「うっす」パタン

～特命係の部屋～

ブラキディオス「zzzzzz......zzzzzzzz.....」

米沢「どうやら、おねむのようですな」

右京「亀山くん、僕が大タル爆弾Ｇを仕掛けるので、君はペイントボールで起爆してください」ドン

亀山「はいよっ」

右京「最後に、もう一つ…」ドン

亀山「あっ！二個置くんすかっ！？」ポイッ

ドカーーーーーーンッ

［右京が力尽きました］
［メインターゲットを達成しました ］

右京「………」プルプル

亀山「あの、爆弾は一個で充分じゃ…」

右京「確かにっ、爆弾は一つで充分ですっ！しかしっ、だからといって離れる前に起爆して良い理由にはならないんですよっ！！」プルプル

角田課長「ま、まあまあ。…ん？どうした、お前ら」

大木・小松「実は…」ゴニョゴニョ

角田課長「なんだとぉ！？犯人が見つかった？！」

～取り調べ室～

バンッ

伊丹「お前が殺したんだろっ！！」

萩取「だからやってねぇっつってんだろ！！」

三浦「お前のギルドカードを見せてもらったぞ。ハンマーの使用回数は断トツの９８９回…」

伊丹「ハンマー好きが高じて鈍器を使った事件を起こしたっ！…違うか！！」バーーンッ

～廊下～

亀山「大丈夫ですかね…あいつら」

右京「あれがゲーム脳というものでしょうか」

～車内～

亀山「それじゃ、まずどこに向かいます？」

右京「とりあえず、亡くなった狩野さんのお宅へ」

ブーーーーーーーン

～狩野家～

狩野弓子「…ここが主人の部屋です。ご自由にご覧になってください。」

亀山「お邪魔しま～す」

右京「モンハンのフィギュアだらけですねぇ。…まず、このパソコンを調べてみましょうか。君はそちらのＰＳＰと３ＤＳをお願いします」

・・・・・・・・・・・・・・・

亀山「…右京さん！このＭＨＰ２Ｇ、悪魔ネコだらけですよ！ＭＨＸには改造装備とクエストがたくさん…！」

右京「どうやら、このパソコンで作っていたようですねぇ。おや、このメールは…」

～都内某ＩＴ企業～

半田「…今クエストの最中なんですが、私に何かご用ですか？」カチャカチャ

右京「ええ。亡くなった狩野さんのことで」

亀山「半田社長と狩野さんは、『猟友会』というサークルを作るほど親密な狩友だったとか」

半田「確かに。殺されたと聞いて、ショックでした…」

右京「その狩野さんが、不正データの作成に手を染めていたことはご存じでしたか？」

半田「いや。まさかあいつが、そんなことをしていたなんて…」カチャカチャ

亀山「…そうだ、半田社長。今近所でモンハンのイベントが開催中です。そちらでお話ししませんか？その方が話も弾むでしょうし」

半田「…そうですね。わかりました」

右京「あぁ半田さん、少し気になったのですが、どうして３ＤＳを二台お持ちで？個人的に、そちらの四大メインモンスターをあしらった３ＤＳが、とても気になるのですが」

半田「そっちは壊れたので…。そんなことより、早くイベントに行きましょう」

右京「では、亀山くん。先に半田さんを案内してください。僕は寄り道をしてから合流します」

翌日

～特命係の部屋～

右京「…彼は何がしたかったのでしょうねぇ」

亀山「意外にあっけなかったですね、オストガロア」

小野田官房長「あのね、オストガロアは下位では本気を出さないの」

亀山「官房長！」

右京「これはこれは。急なお越しで」

小野田官房長「そんなことより君たち、狩野剣太の事件を追ってるんだって？」

右京「お耳が早いですねぇ…」

小野田官房長「彼と半田社長が作ったモンハンサークル、『猟友会』のことは勿論知ってるよね」

亀山「政財界の大物が、たくさんいるとか…」

小野田官房長「そ、警察幹部もね」

右京「…それが何か」

小野田官房長「もうわかると思うけど、あまり首をつっこむとしっぺ返しを食らうよ。なにしろ相手は、金冠サイズのＧ級ばかりだからね。…じゃ、僕はこの辺で。あ、それと、暇な時は狩りに誘ってよ」スタスタ

亀山「忠告…ですかね」

右京「警告とも取れますねぇ」

～刑事部長室～

中園参事官「貴様ら、狩野剣太の事件を勝手に調べているそうだなっ」

内村刑事部長「あの事件は捜査一課が容疑者を取り調べ中だ。お前らは手を出すな」

右京「しかし」

中園参事官「口答えするなぁっ！！」

内村刑事部長「とにかく、このクエスt…事件には今後一切関わるな。わかったら下がれ」

右京「…失礼します」
亀山「失礼しま～す」ガチャ

～廊下～

亀山「やっぱり、圧力か…。で、どうします？」

右京「やるべきことをやるだけですよ。…もしもし。米沢さん、例の件で…」

～都内某ＩＴ企業～

半田「おやおや、これは特命係のお二人。どうです？一緒に狩りでも」カチャカチャ

右京「それも結構ですが、狩野さんのお話を」

半田「またですか…」

亀山「率直に言いますっ。…狩野さんを殺したのはあなたですね？半田社長」

半田「な、何を馬鹿なことを！」パタンッ

右京「狩野さんのパソコンを調べたところ、あなたと不正データをやり取りしたメールが出てきました」

半田「………っ！」

亀山「不正データを作成して配信する。それが『猟友会』でのあなたと狩野さんの役割だった…」

右京「各界の大物が集うモンハンサークル『猟友会』。その実態は、不正データで遊ぶ悪質なチート集団だったわけです」

半田「………」

右京「あなたが亀山くんとモンハンのイベントに出かけている間、あなたのパソコンと３ＤＳを調べさせていただきました。…まるで、不正データの倉庫ではありませんかっ」

半田「…確かに、『猟友会』はチートプレイ倶楽部です。しかし、だからといって狩野殺害の証拠には…！」

亀山「狩野さんの額に傷がありました。鈍器で殴られたような…。そうですよね？米沢さん」

米沢「ええ。形状を調べたところ、３ＤＳの角と見事に一致しました」スタスタ

右京「半田さん。あなたの３ＤＳを、調べさせていただけますか…？」

半田「そ、それは…」

右京「最初に出会った時から、僕はずっと疑問に感じていました。熱狂的な狩人であるはずのあなたが、大事な新品であるＭＨＸ仕様の３ＤＳを壊して、普通の３ＤＳでプレイしていらっしゃる。何か余程の事情があったのではないかと」

半田「…………」

亀山「…半田社長っ！！」

半田「…あ、あいつが、猟友会のチートプレイを、内部告発しようとしたんだ！」

～事件当日～

狩野「社長！やっぱり俺…晒しスレに全て書き込みます…！実名と証拠付きで…」

半田「馬鹿野郎！何考えてるんだ！『我 等 狩 友 永 久 超 絶 不 滅』…。それが猟友会の信念だろっ！」

狩野「俺はみんなを普通のハンターに戻したいんですよっ！もう、止めないでくださいっ…」

半田「…きっさまぁ！！」ゴツン

狩野「うっ」ヨロッ

ゴチンッ

半田「はっ……！」

右京「…そしてあなたは、強盗の仕業に見せかけるため、狩野さんの財布を抜き取った」

半田「狩野が…私たち狩友を裏切ることが、どうしても許せなかった…！」

亀山「…てめぇっ！狩友ってのはな！一緒にチートプレイをするお友達のことじゃねぇんだよっ！！」ガシッ

右京「亀山くんっ！……半田社長。あなたは狩野さんが裏切ったとおっしゃいましたね。…しかしっ、あなたも不正データの作成によってっ、モンスターハンターというコンテンツを裏切ったんですよっ！！」プルプル

ザッザッザッ

伊丹「半田一。狩野剣太殺害の容疑で逮捕する」

芹沢「手を出してください」ガチャッ

三浦「警部どの。あとは我々におまかせを」

半田「…杉下さん。私が作った不正データ、消して頂けませんか」

右京「これは重要な証拠です。今ここで、僕が消すわけにはいきません。それに…」

半田「……？」

右京「…これは、あなた自身の手で葬り去るべき、モンスターなのですよ」

半田「………」

伊丹「…さ、行こうか」スタスタ

～花の里～

亀山「半田社長は捕まりましたけど、結局、猟友会のチーターたちはそのままっすね…」

小野田官房長「いや、今回の事件を受けて、猟友会は解散するらしいよ。さすがに死人が出ちゃったからね。…杉下。お前の狩魂は今回も暴走したね」

右京「一人の狩人として、やるべきことをやったまでです」

亀山「ま、とにかくこれで、ひと段落したわけだ」

右京「何を言ってるんですか亀山くん。僕たちの最大の敵は、まだ倒されていませんよ」

亀山「最大の敵？」

小野田官房長「僕も参加しちゃおうかな」パカッ

紅兜アオアシラ「「グワァアウォオン！！」」

亀山「こいつが、二つ名持ちモンスター…」

右京「これほど大きいとは…」

小野田官房長「Lv.1とはいえ、彼の強さは上位級だよ。心して戦ってね」ガシャコン

右京「アルバレストにゲリョス装備…昔と変わりませんねぇ」

小野田官房長「ガルルガ装備にバーンエッジ。…お前だって昔のままじゃない」

亀山「ちなみに俺は、レウス装備とレッドウインg」

紅兜アオアシラ「「グワァァァァ！！」」バシッ

亀山「いってーな…げっ！こんなに」

小野田官房長「ごっそり削られたでしょ。剣士だから助かったけど、ガンナーだったら今の技で即死ですよ」

右京「……っ！！」ブンッ

ガキン

紅兜アオアシラ「「グルルル…」」

小野田官房長「そうそう、肉質も硬化してるから、尻も切れないよ」

右京「…なるほど。どうやら想像以上の強さのようですねぇ」

小野田官房長「僕も苦手だけどね、地道に戦うしかないでしょ」ガシャッ バキュイィン

ガシッ

右京「…僕としたことがっ」

右京：モンスターに拘束されています！！

小野田官房長「やれやれ、大苦戦じゃないの」バキュイィン バキュイィン

紅兜アオアシラ「「グワァッ」」ヨロッ

右京「官房長、助かりましたっ」

紅兜アオアシラ「「グウォォォンッ！！」」ブゥン

小野田官房長「おっと」ゴロン

右京「…亀山くん。紅兜アオアシラの動きを見て気づきました。彼の出す技は、攻撃力が高い代わりに動作が単調です。つまり…」

亀山「動作を見切れば、勝てるっ…！」

右京「ええ。『たかがアオアシラ』という意識は捨てて、本気で戦いますよ」シュッ シュッ シュッ シャキーン

亀山「はいっ！！」ブンッ

小野田官房長「じゃあ僕も、本気出して火薬装填しよ」ガチャコン チュイーン

１５分後

紅兜アオアシラ「「グワァウォオン！！」」ガシッ

小野田官房長「…あら、今度は僕が捕まっちゃった」

亀山「オラっ！地衝斬！！」ズヴァアアン

右京「亀山くんっ！肩をお借りしますよっ！」ドンッ ピョイーーン

ズバンッ

紅兜アオアシラ「グワァウォオン…」バタン

右京「何とか…倒せたようですね」

小野田官房長「なかなか楽しいでしょ。二つ名持ちモンスター。…あれ、冷奴頼んだのに来ないな」

たまき「…あ、すみません。つい夢中になってて」カチャカチャ

亀山「たまきさんも、モンハンっすか！？」

たまき「えぇ、ちょうど装備縛りで燼滅刃ディノバルドLv.10のタイムアタックに挑戦してたんです」

右京・亀山・小野田「」

翌日

～特命係の部屋～

亀山「ついに俺たちも、上位ハンターかぁ！」

右京「えぇ。しかし、オストガロアとの決着はついていませんし、まだ登場していないモンスターも数多くいます。これからですよ、本当の戦いは」

亀山「わかってますよ！とりあえず上位装備を整えましょうっ！」

右京「そうですね。…では、まずこのクエストから」


終わり