1: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:29:56.47 ID:OF1TmHq5.net
「穂乃果ちゃん、今日はどこか寄って帰る?」
「うん、にこちゃんの家に取りに行かなきゃいけないものがあるんだ」
「あー、あれね」
「では、そこに寄ってから帰りましょうか」
「だったら、今日は別々ね」
「真姫ちゃん、かよちん、アイス食べて帰ろうよ!」
「凛ちゃん、お小遣い大丈夫……?」
「雪歩はどうするの?」
「亜里沙はどうしたい?」
2: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:30:47.45 ID:OF1TmHq5.net
「じゃ、私たちは先に帰るねー! いこ! 三人とも!」
「うん!」
「いこう!」
「では、また明日」
「うん! ばいばーい!」
「またねー」
「また明日」
「お姉ちゃん、帰りはいつ頃になる?」
「んー、七時までには帰るよ、雪歩」
「わかった、じゃあね」ファサ
「うん!」
3: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:31:41.94 ID:OF1TmHq5.net
「ところで、にこの家に何か忘れたのですか?」
「うん、この間遊びに行った時にねー」
「この間って、にこちゃんがお休みの時の?」
「うん!」
「だからあの日は家にいなかったんですね」
「そういうこと!」
4: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:32:42.74 ID:OF1TmHq5.net
「あ、バスきてる!」
「私たちも乗りまーす!」タタッ
「あ、穂乃果! 突然走り出すと危ないですよ!」
「海ちゃん! 遅れちゃうよ!」タタッ
「あぁ、もう……ことりまで!」タタッ
「突然走ると怪我しちゃうよー」タタッ
「じゃあ、にこちゃんの家まで!」
………………
………
…
5: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:33:09.58 ID:OF1TmHq5.net
【にこのマンション】
「久しぶりですね……」
「そういえば海ちゃんはしばらく来てないんだっけ?」
「そうですねー……最近はあまり」
「そっかぁー……あ! 二人とも先行かないでよぉー!」タタッ
「早く帰らないと日が沈んじゃうよ」
「それもそうだけど……」
「にこの迷惑になってはいけませんし、早めに帰りましょう」
6: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:33:36.44 ID:OF1TmHq5.net
「ふんふふふーん、エレベーター♪」ポチッ
「ご機嫌だね」
「そう?」
「うん、目に見えて……」
「はは、ですねー」
「海ちゃん?」
「はい?」
「なんか様子がおかしかったから……どうかした?」
「いいえ、何でもありません」
「そ、よかった」
ピンポ-ン
7: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:34:13.29 ID:OF1TmHq5.net
「降りてきたー♪」タタンッ
「やっぱりご機嫌だよ」クスクス
「えへへー」
「そんなに良いものを置いてきたのですか?」
「ふふ、まあね」
ガコンッ
『ちょっとまってー!』
「あれ、一人乗ってないのに扉閉じちゃった」ポチッ
ウィ-ン
「もう……焦ったよ……」
8: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:34:53.83 ID:OF1TmHq5.net
「えっとー、にこちゃんの部屋は……」
「はい、六階!」ポチッ
「あ、押しちゃった?」
「え?」
「そちらで押すと、車椅子の方用なので、少し遅くなる、と以前話していましたね」
「あー、そうなんだ、ごめん」
「ま、両方押せば中くらいの速さになるよ!」ポチッ
「そんな簡単には……」ピトッ
「うおっ」ビクッ
10: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:35:19.46 ID:OF1TmHq5.net
「え、ど、どうかした?」
「いや、手冷たいなーって」ギュッ
「そうかな?」ギュッ
「うん、冷え性みたい」
「冷え性だもん」
「なぜエレベーターの中で握手を……」
「えへへ、流れ?」パッ
「まったく穂乃果ちゃんは……」
「ここだよ」
「え? なにが?」
「……なんでもない」
「???」
11: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:35:47.51 ID:OF1TmHq5.net
ガ ゴ ン ッッッ
「「!!!」」ビクッ
ガ ダ ン …………
「え……なに?」
「エレベーター……止まったの?」
「ここ、四階と五階の間だよ」
「そんな……出られないよ!」
「どうしよ、閉じ込められちゃった……!」
「落ち着いてください、とりあえず、連絡を……」ピタッ
「海ちゃん?」
「……おかしいですね、非常連絡ボタンが使えません」ポチポチ
「ほんとだ、光も消えてる」
「他は全然普通なのに……」
12: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:36:57.07 ID:OF1TmHq5.net
ガ ゴ ン ッッッ
「うおっ」ビクッ
「動き出した……」
「動き出しましたね……」
「なんだったんだろう……って、あれ?」
「……これ」
「下に降りてますね……」
「どういうこと……?」
13: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:37:21.74 ID:OF1TmHq5.net
ザ ュ ッッ
「ひっ」ビクッ
「……なに、今の音」
「さ、さあ……」
「でも、止まったみたいだよ」
「ここ、二階」
「二階、だね」
「どうする、降りる?」
「うーん、また止まったら怖いし、降りよっか」
「だよね、次は本当にでられないかもしれないし」
「もう、怖いこと言わないでよー!」
「はは、ごめんごめん」
15: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:38:52.86 ID:OF1TmHq5.net
「ここから階段かぁ……」タタンッ
「穂乃果、さっきまでのご機嫌はどこへ?」クスクス
「そりゃ、アクシデントが持って行ってしまったのさ」
「何ですかそれ」クスクス
「その通りだよー!」
「階段、エレベーターの間反対なんだね」
「廊下の東側はエレベーター、西側は階段」
「意識したことなかったよー」
16: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:39:34.01 ID:OF1TmHq5.net
「……あれ?」ピタッ
17: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:40:09.29 ID:OF1TmHq5.net
穂乃果「…………」
「穂乃果ちゃん?」
「どうかした?」
穂乃果「いや、なんでも……」
穂乃果(何か、おかしい……)
穂乃果(何というか……空気? というか、なにか……)
「早くいこ?」
「そうですよ、エレベーターは使わないんですから」
「何故か口を開けたままだしね」
穂乃果「…………」
穂乃果(なにか……なにかが……)チラッ
穂乃果「!!!」
18: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:40:42.99 ID:OF1TmHq5.net
穂乃果(空が……赤い……!)
穂乃果(赤い、というか……印鑑の朱肉を空にベタベタと塗りたくりまくった、みたいな……!)
穂乃果(それに、よく見たら窓の外の風景も、全部……)
穂乃果(道路も、電柱も、看板も、車も、ゴミも、バス停も、全部……インクをぶちまけたような……)
「穂乃果ちゃん?」
「行きますよ?」
穂乃果「あ、うん、すぐ、行くよ……」クルッ
穂乃果(エレベーター……だけは、普通……)
穂乃果「…………」
穂乃果(おかしい、おかしいよ、そんなの……だって、光なら窓から入ってきてるから、エレベーターの中にも赤い光は入るはず、なのに……!)
19: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:41:10.53 ID:OF1TmHq5.net
ザ ュ ッッ……
穂乃果「うぁっ」ビクッ
ガタンッ……
穂乃果(あっ、エレベーターが閉まる……!)
ゥイイイイイン……
穂乃果(閉まって、いく……)
穂乃果「…………」
穂乃果「……みんな、エレベーターに戻ろう!」ダダッ
「えっ……?」
「穂乃果……?」
穂乃果(とにかく、ここにいちゃまずい気がする……!)
穂乃果(急いでエレベーターに……!)タタッ
ガゴンッ
20: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:41:37.84 ID:OF1TmHq5.net
穂乃果「はぁ、はぁ、……」ゼェゼェ
穂乃果(何とか間に合った……)
穂乃果(……にしても、さっきの赤い世界は、いったい何なの)
穂乃果「ねぇ、みん……」ピタッ
穂乃果「…………」
穂乃果「みんなは……?」
ザ ュ ッッ……
………………
………
21: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:42:05.64 ID:OF1TmHq5.net
〈にこのマンション、一階〉
ピンポ-ン
穂乃果「…………」スタッ
穂乃果「…………」
穂乃果(他のみんなは……どこに)
穂乃果(電話してみよう……)ススッ
穂乃果「…………」prrrr…
穂乃果「…………」オカケニナッタデン…
穂乃果「……だめ、誰も出ない」
穂乃果「…………」
穂乃果「……階段登って、探してみよう」ゴクリ
………………
………
22: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:42:35.23 ID:OF1TmHq5.net
〈ほむら〉
穂乃果「……ただいまー」ガララ
穂乃果(結局、何回も降りたり登ったりしてみたけど、みんなには出会えなかった)
穂乃果(エレベーターも……怖かったけど、確かめても誰もいなかった)
ほの母「あら、おかえりー」
穂乃果「……あ、お母さん、その前髪いいね」
ほの母「え?」
穂乃果「……気分悪いから、部屋にいるね」
ほの母「わ、わかったわ……」
穂乃果(さっきのは……一体)
23: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:43:01.25 ID:OF1TmHq5.net
穂乃果「はぁ……」ポフンッ
穂乃果「…………」
穂乃果(とりあえず、気分が悪かったからバスは使わずに、歩きで帰ってきた)
穂乃果(途中で道に迷っちゃった……一人で帰るのなんて久しぶりだったからな、普段はみんなに頼っちゃってるのかな)
穂乃果「……みんな」ポツリ
雪穂「お姉ちゃーん?」ガララ
穂乃果「あ、雪歩……って」ズキッ
雪穂「どうしたの、元気ないじゃん」
穂乃果「ちょっとね……というか、その髪」
雪穂「え、気づいた?」
穂乃果「そりゃ……だいぶ短くしたねー」
雪穂「えへへ、目に入って邪魔だったからさ」
穂乃果「なるほどね……」
24: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:43:36.21 ID:OF1TmHq5.net
雪穂「……どうかした?」
穂乃果「え?」
雪穂「なんかいつものお姉ちゃんと違うみたい」
穂乃果「……さすが雪歩」
穂乃果「あのね、みんなとはぐれて、会えないまま帰ってきちゃったの」
雪穂「みんなって……海未さん、ことりさん……」
穂乃果「そそ、三人でね」
穂乃果「どうしよう……」
雪穂「連絡したの?」
穂乃果「それが……でないの」
雪穂「おかしいね……」
25: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:44:01.24 ID:OF1TmHq5.net
雪穂「私からLINEしてみるね」スッ
穂乃果「ライン?」
雪穂「うん、LINE」
穂乃果「最近の若者はメールをオシャレに呼ぶんだね……」
雪穂「はぁ?」
雪穂「LINEはLINEだよ」
穂乃果「???」
雪穂「……お姉ちゃん、本気?」
穂乃果「うん、本気、だけど……」
雪穂「…………」
26: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:44:36.22 ID:OF1TmHq5.net
雪穂「……スタンプって何か、説明できる?」
穂乃果「え? スタンプ?」
雪穂「うん、説明してみて」
穂乃果「ど、どうして……」
雪穂「いいから!」
穂乃果「!」ビクッ
雪穂「……ごめん、強く言いすぎた」
穂乃果「……あの、紙とかに……決まった絵柄を、ポン、と押すだけで、描ける……というか、押せる、あれ?」
雪穂「…………」
雪穂「……お姉ちゃん、これ、LINEっていうの」スマホスッ
穂乃果「……なに? このアプケ」
雪穂「アプケ?」
穂乃果「うん、アプケ」
27: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:45:10.31 ID:OF1TmHq5.net
雪穂「……ま、いいや、で、お姉ちゃん、そのスマホは」
穂乃果「あ、私の?」
雪穂「うん、ちょっと貸してくれない?」
穂乃果「いいけど……はい」ポン
雪穂「どうも」
雪穂「パスワードは、0803、だった……」ブブッ
雪穂「あれ?」
穂乃果「なに言ってるの雪歩、パスワードは0804だよ?」
28: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:45:44.98 ID:OF1TmHq5.net
穂乃果「私の誕生日だって、いつも言ってるじゃん」
雪穂「いや、お姉ちゃんの誕生日は、八月三日だよ……」
穂乃果「なに言ってるの、四日だよ」
雪穂「三日だよ」
穂乃果「四日だってば」
雪穂「……どうだか」
穂乃果「なにその言い方」
雪穂「はいはい、すみません」
雪穂「えっと、080、4……あ、開いた」
穂乃果「ほらみれ」
雪穂「……やっぱり、おかしい」
穂乃果「え?」
29: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:46:10.64 ID:OF1TmHq5.net
雪穂「私のはWi-Fi繋がってるのに……圏外になってる」
穂乃果「あれ、ほんとだ」
雪穂「だから電話がつながらなかったんだよ」
穂乃果「なるほど」
雪穂「それに、このアプリたち……」
雪穂「見たことない……」
穂乃果「……ねぇ、さっきからアプリアプリ、って、なに?」
穂乃果「アプケのこと?」
雪穂「いや、お姉ちゃんこそ、変な言い方しないでよ」
雪穂「アプリケーションを略して、アプリだよ」
穂乃果「いや、アプケでしょ、昨日までそう言ってたじゃん」
雪穂「それはこっちのセリフだよ」
30: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:46:49.89 ID:OF1TmHq5.net
雪穂「…………」
穂乃果「…………」
穂乃果・雪穂「「おかしい」」
雪穂「……お姉ちゃん、変なものでも食べた?」
穂乃果「奇遇だね、私もそう言おうと思ってた」
雪穂「……いつものお姉ちゃんなら、そんな軽口は叩かない」
穂乃果「私も、雪穂がそんなに強く出るなんて思ってなかったよ」
雪穂「……お姉ちゃん、今日なにがあったか、落ち着いて話してもらえる?」
穂乃果「……うん、私もそうしようと思ってた」
雪穂「じゃあ、お願い」
穂乃果「えっとね……」
………………
………
31: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:47:42.64 ID:OF1TmHq5.net
………
………………
穂乃果「……で、エレベーターから降りたら」
雪穂「違和感が始まった、と」
穂乃果「そういうこと」
雪穂「…………」
雪穂「明日の朝一番、ことりさんと海未さん呼ぼう」
穂乃果「明日学校だよ?」
雪穂「なに言ってるの、土曜日でしょ」
穂乃果「いや、土曜日も午前は……」
雪穂「……とりあえず、呼んどくね」
………………
………
32: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:48:13.65 ID:OF1TmHq5.net
………
………………
次の日
ことり「ほ、穂乃果ちゃん、雪穂ちゃんから話は聞いたけど……」
海未「どういうこと?」
穂乃果「二人は、覚えてない?」
海未「ううん、今日の帰りは私、先に帰っちゃったから……」
雪穂「……既に話が違う」
ことり「……???」
穂乃果「どういうこと……?」
33: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:48:42.57 ID:OF1TmHq5.net
ことり「た、単純に、考えれば、なんだけど……」
海未「ん?」
穂乃果「?」
ことり「穂乃果ちゃん、い、別の世界に来ちゃったんじゃ……」
穂乃果「別の世界ぃ?」
雪穂「……私もそう思ってた」
穂乃果「そんな、少年漫画みたいな」
雪穂「こっちの世界じゃ、ライトノベルのジャンルだよ」
雪穂「ちょっと違うけど」
穂乃果「……ライトノベル?」
穂乃果「……なにそれ」
35: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:49:09.31 ID:OF1TmHq5.net
ことり「???」
海未「穂乃果ちゃん……?」
穂乃果「……え?」
雪穂「ついでに言っちゃうと、ここではバスより地下鉄だし」
穂乃果「地下鉄……?」
穂乃果「そんな、ファンタジーじゃあるまいし、人が立ってる下に電車が走るわけないじゃん」
ことり「え、えっと……」
海未「これは……」
雪穂「…………」
37: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:49:45.37 ID:OF1TmHq5.net
ことり「ほ、穂乃果ちゃん、あの……」
穂乃果「あ、そうそう、二人はどうしちゃったの?」
ことり「えっ……?」
海未「??」
雪穂「?」
穂乃果「だってほら、いつもと口調違うじゃん」
穂乃果「海ちゃんなんて、敬語外しちゃってるし」
海未「け、敬語?」
海未「私はいつもこうだよ?」
ことり「ど、どうしちゃったの……?」
穂乃果「え」
雪穂「お姉ちゃん、二人は昔からこうだよ」
40: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:51:30.76 ID:OF1TmHq5.net
雪穂「あ」
海未「?」
雪穂「ってことは……」
ことり「どうしたの?」
穂乃果「…………」
雪穂「ねえ、お姉ちゃん」
雪穂「昨日、私が髪切ったってこと、気づいてくれたよね」
穂乃果「……うん、それだけ切ればね」
雪穂「……私の、昨日までの髪の長さは、どれくらいだった?」
穂乃果「…………」
穂乃果「……背中の真ん中辺りまでの、ロングヘア」
ことり「えっ」
海未「???」
雪穂「…………」
41: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:52:17.82 ID:OF1TmHq5.net
海未「……こ、これはいよいよ、本当に」
ことり「別の世界から来たんじゃ……」
穂乃果「え」
雪穂「……濃厚だね」
雪穂「なんとかしないと」
ことり「元の世界に……戻る」
海未「でも、そうしたらこの世界の穂乃果ちゃんはどこに……?」
雪穂「こういう話なら、入れ替わりで帰ってくるのが定番だよ」
ことり「そ、そんなにうまく行くのかなぁ……」
穂乃果「……でも、それしか、今は」
42: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:52:43.52 ID:OF1TmHq5.net
海未「とっ、とりあえず、マンションに行ってみる?」
雪穂「だね、入り口が同じじゃないとまず戻れないだろうから」
ことり「きょ、協力するよ!」
穂乃果「あ、ありがとう……」
………………
………
43: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:53:13.84 ID:OF1TmHq5.net
〈にこのマンション〉
穂乃果「ここだよ」
ことり「ここが……」
海未「思ったより小さいね」
雪穂「鍵なくても入れるっぽいね」
雪穂「とりあえず、入ってみよう」
穂乃果「うん」
ことり「お、おじゃましまーす」
海未「お邪魔、します」
44: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:53:53.19 ID:OF1TmHq5.net
雪穂「じゃあ、同じ方法になるように……」
穂乃果「ちょ、ちょっと待って?」
ことり「え?」
雪穂「どうかしたの?」
穂乃果「……二年生って、もう一人いなかった?」
海未「え」
ことり「え」
雪穂「……いや」
45: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:54:59.93 ID:OF1TmHq5.net
穂乃果「えっ」
穂乃果「じゃあ、あの……あの子……あれ?」
雪穂「…………」
穂乃果「……名前が思い出せない」
ことり「…………」
海未「……とりあえず、私たち三人だけでやってみよっか」
雪穂「……いや、来るときは四人いたとするなら、私も入ったほうが」
ことり「う、ううん、それは穂乃果ちゃんの記憶の齟齬かもしれないし……」
穂乃果「そ、そんなことない!」
穂乃果「確かに、いたのに……」
ことり「…………」
46: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 19:59:17.47 ID:OF1TmHq5.net
穂乃果「あの子……ほら、あの……」
穂乃果「ええと、冷え性の……」
ことり「え、冷え性なら……」
海未「私、冷え性だよ?」
穂乃果「え?」
雪穂「やっぱり間違いだったんじゃない?」
ことり「そ、そうだよ、もし世界の移動ができるなら、記憶の間違いがっても、おかしくないよ!」
穂乃果「…………」
穂乃果「……そうなの、かなぁ」
海未「……そうじゃなくても、今はいないと仮定するしかないよ」
雪穂「……海未ちゃんの言う通りだね」
48: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 20:00:36.46 ID:OF1TmHq5.net
海未「じゃ、とりあえず試しにやってみよっか」
ことり「だね」
穂乃果「……でも、二人はいいの?」
ことり・海未「「え?」」
穂乃果「だって、もしかしたら、帰ってこれないかもしれないのに……」
ことり「こ、こういう場合は、一度もエレベーターを出なけれいいんだよ」
海未「そうだよ、もし違うところについても、同じようにして帰ればいいんだし」
穂乃果「……ありがとう」
海未「いえいえ」
49: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 20:02:45.66 ID:OF1TmHq5.net
穂乃果「……じゃ、これで」
雪穂「うん、またね」
雪穂「……ちゃんと帰れたら、そっちの私に、『ショートにしても思ってるより寝癖立たないよ』って伝えといて」
穂乃果「ふふ、わかった」
穂乃果「……じゃ」
雪穂「…………」コクン
海未「……よし、いこう」
50: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 20:03:15.05 ID:OF1TmHq5.net
穂乃果「まずは、全員が乗る」スタッ
海未「よし」
ことり「うん」
穂乃果「それから、一度扉を開けて……」ウィ-ン
穂乃果「……閉じる」ウィ-ン
海未「で、両方のボタンで六階を押すんですよね?」ポチッ
ことり「こっちもバッチリ」ポチ
穂乃果「……で、私と海ちゃんが、握手」ギュ
海未「はい」ギュッ
穂乃果「……これで、いいはず」
穂乃果「手を離せば、五階と四階の間に……」
ガ ゴ ン ッッッ
52: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 20:03:56.19 ID:OF1TmHq5.net
ガ ダ ン ……
三人「「!!!」」
海未「ほ、本当にとまった……」
穂乃果(大丈夫、順調……)
ことり「……と、ところでさ」
穂乃果「ん?」
ことり「穂乃果ちゃんの言ってた、にこ、って人、誰なの?」
穂乃果「え」
海未「たしかに……同級生ではいませんよね」
穂乃果「……一個上、なんだけど」
穂乃果(こっちの世界は、もしかしたらμ'sそのものがないのかな……)
53: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 20:04:25.64 ID:OF1TmHq5.net
ガ ゴ ン ッッ
ことり「!」
海未「動き出した……」
ことり「すごい……」
海未「これで成功かな?」
穂乃果「そ、そのはず……」
ジ ュ ッッ
ことり「ひっ……」
海未「また、止まりました……」
穂乃果「あ、あれ……でも、ここ……」
穂乃果「……三階と四階の間だ」
54: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 20:04:57.96 ID:OF1TmHq5.net
穂乃果「とりあえず、降りよう」
海未「だ、大丈夫なの……?」
穂乃果「うん、二人はこのまま帰らなきゃだから、ここでお別れだね」
ことり「……うん」
穂乃果「そっちの穂乃果にもよろしくね」
海未「……無事に、戻ってこられれば」
ことり「…………」
穂乃果「大丈夫だよ、私も戻るんだから」
穂乃果「それじゃ、また!」タタッ
ことり「き、気を付けて!」
海未「元気でねー!」
穂乃果「うん!」タタッ
55: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 20:05:23.91 ID:OF1TmHq5.net
穂乃果「…………」タッタッ
穂乃果(やっぱり、外は真っ赤……)ゾワァ
穂乃果(朱肉を押し付けたような気持ちの悪い空……)
穂乃果(とりあえず、ここは階が違うみたいだから……)
穂乃果(一つ上に上がらないといけないね)
穂乃果「…………」タッタッ
穂乃果「……いや」ピタッ
56: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 20:05:51.64 ID:OF1TmHq5.net
穂乃果(さっき私は、四階にとまったエレベーターから降りて、また同じ四階から乗って、別の世界に行った……)
穂乃果(そして、今は三階のエレベーターから降りた……)
穂乃果「…………」
穂乃果(……ってことは、エレベーターは階によって世界が繋がってるんじゃなくて、一方通行で、同じエレベーターじゃ帰れないってこと……?)
穂乃果「…………」
穂乃果(……だったら、私が今降りた三階のエレベーターも、これから向かう先は……)ピタッ
穂乃果「海未ちゃん!ことりちゃん!」クルッ
海未「えっ?」
ことり「穂乃果ちゃん?」
穂乃果「早く! そこから降りて!」
57: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 20:06:50.10 ID:OF1TmHq5.net
ことり「えぇ……?」
穂乃果「そのエレベーターじゃ、あなた達の世界に帰れない!」
海未「!」
海未「ことりちゃん!」タタッ
ことり「え、え!?」タタッ
穂乃果(よ、よかった、間に合った……けど)
ゥイイイイイイン……
穂乃果(エレベーターが、帰って行っちゃう……)
58: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 20:07:14.24 ID:OF1TmHq5.net
海未「ほ、穂乃果ちゃん……」
ことり「どうしよう……エレベーターが……」
穂乃果「……あのね、よく聞いて」
穂乃果「私は昨日、四階のエレベーターから降りてここにきた後、同じ四階のエレベーターから乗って、あなた達の世界にいった」
海未「!」
ことり「つまり……エレベーターは一方通行ってこと?」
穂乃果「多分、そうだと思う」
海未「だったら……」
穂乃果「うん、二人は一つ上の階のエレベーターなら帰れる」
ことり「……行ってみよう」
59: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 20:07:39.35 ID:OF1TmHq5.net
海未「……それにしても、本当に赤くて薄気味悪いね」
ことり「だね……」
穂乃果「ほんとだよ……あ、あった」
海未「ボタン押したら、ちゃんとくるかな……?」
ことり「えいっ」ポチッ
キュルキュルキュル……
穂乃果(……なんか、錆びたロープを巻いてるみたいな音)
穂乃果(……気味悪い)
ピ ン ポ - ン ……
海未「着いた……」
60: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 20:08:04.80 ID:OF1TmHq5.net
穂乃果「……じゃあ、二人はこれで帰って」
ことり「ほ、穂乃果ちゃんは……」
海未「順番どおりなら、一階上の、五階で帰れるはず……」
穂乃果「うん、それで試してみる」
ことり「……わかった、がんばって」
穂乃果「二人もね」
海未「……じゃ、お元気で」
ことり「またね……ってのは、おかしいかな」
穂乃果「ふふ、会わない方がいいに越したことはないね」
海未「変なの」クスクス
穂乃果「ほんとだよ」クスクス
穂乃果「……それじゃ、さよなら」
ゥイイイイイイン……
62: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 20:14:59.55 ID:OF1TmHq5.net
ザ ュ ッッ ……
穂乃果(エレベーターが下がっていく……)
穂乃果(あの変な音……)
穂乃果(……よし、私も行かなきゃ)
穂乃果(四階で『雪歩』の世界から『雪穂』の世界に行けて、三階で『雪穂』の世界からここに来れた、ってことは……)
穂乃果(きっと、五階なら、『雪歩』の世界に戻れるはず……!)
63: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 20:15:32.03 ID:OF1TmHq5.net
穂乃果(えっと、ここが五階だから……)
穂乃果「ボタンを押して……」ポチッ
穂乃果(……これで、帰れるはず)
穂乃果「…………」
穂乃果「…………」
ガ ゴ ン ッッ ……
穂乃果「!」ビクッ
ゾ ュ ッッ ……
穂乃果「…………」
64: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 20:16:20.20 ID:OF1TmHq5.net
ゥイイイイイン……
穂乃果「…………」ゴクリ
穂乃果(これで、帰る……んだよ、ね)スタッ
穂乃果(えっと……一階のボタンは)
穂乃果「…………」ポチッ
穂乃果「…………」
穂乃果(……帰れますように…………!)
………………
………
66: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 20:17:37.88 ID:OF1TmHq5.net
………
………………
「穂乃果ちゃん?」
穂乃果「!!!」ガバッ
「うわっ、びっくりしたぁ」
「部室で寝てたら風邪ひくよ?」
穂乃果「え……ここ」キョロキョロ
穂乃果「にこちゃんのマンションじゃない……?」
「な、何言ってるの?」
67: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 20:18:10.50 ID:OF1TmHq5.net
穂乃果「私……さっきまで、マンションに……」
穂乃果「に……えっと、に……」
「??」
穂乃果「……誰だったっけ?」
「もう、寝ぼけてるの?」
「にこちゃんでしょ?」
穂乃果「あ、そうそう、にこちゃん」
「さっき自分で言ってたじゃん」
穂乃果「は、はは、そうだっけ」
69: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 20:18:47.04 ID:OF1TmHq5.net
「夢でも見てたの?」
穂乃果「うーん、どうなのかな」
「にこちゃんって、矢澤にこちゃんでしょ?」
「だって、にこちゃんのマンション、今年の初めに」
「なくなっちゃってるよ」
70: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 20:24:25.23 ID:OF1TmHq5.net
穂乃果「……え?」
「ほら、にこちゃんお引越ししたでしょ?」
「マンションが解体されるからーって」
穂乃果「ま、マンション、解体って……」
穂乃果「今は……?」
「駐車場になってるよ」
穂乃果「…………」
雪ほ『だね、入り口が同じじゃないとまず戻れないだろうから』
71: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 20:24:53.55 ID:OF1TmHq5.net
穂乃果「……あ、あのさ」
「うん?」
穂乃果「二つ、質問してもいい……?」
「どうぞ?」
穂乃果「……あなた、誰?」
「ひどいなぁ、私たち幼馴染でしょ」
「変なこと言わないでよー」
穂乃果「…………」
穂乃果(しっ……知らない……)
72: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 20:25:48.37 ID:OF1TmHq5.net
穂乃果(そっ……それより、今は……!)
穂乃果「ふっ、二つめ、なんだけど……」
「どうぞ?」
穂乃果「…………」ドクンッ
穂乃果「…………そ、その」ドクンドクン
穂乃果「…………うみちゃんと、ことりちゃんって、知ってる?」
「……誰それ?」
穂乃果「」
穂乃果「ふっ、二つめ、なんだけど……」
「どうぞ?」
穂乃果「…………」ドクンッ
穂乃果「…………そ、その」ドクンドクン
穂乃果「…………うみちゃんと、ことりちゃんって、知ってる?」
「……誰それ?」
穂乃果「」
73: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2016/07/02(土) 20:26:22.92 ID:OF1TmHq5.net
おしまい。
引用元: ・【SS】「エレベーターって怖いよね」
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