1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2023/12/04(月) 22:54:13.75 ID:6Pd4JEq9O
「あァン? お前ェ、女だったのかァ……?」
マズイマズイマズイマズイ。バレた。とうとうこの日が来てしまった。あれだけバレないように気をつけて日々を過ごしてきたのに。
女であることを隠し学園に通い、"婚約者"である悪役貴族の目を欺いてきた『僕』のこれまでの努力が水の泡だ。そんなの、イヤだ。
「ていうか、てめェ……写真で見た許嫁……」
「は、はあ? なにを言ってるのさ。僕は正真正銘、男だよ。変な言いがかりはよしてくれ。さては君、欲求不満なんじゃないの?」
慌てて否定するあまり、口を滑らせた。悪役貴族に対する侮辱。1番やってはいけないタブー。失言に気づいた時にはもう遅かった。
「あァ……そうだなァ。たしかに近頃は欲求不満かもしンねェなァ。なンだったら、てめェで解消してやろうかァ? あァン!?」
もうなんなのこの人。怖すぎる。泣きそう。
「待ちたまえ。さすがに見過ごせないな」
「あァん? チッ……優等生のお出ましかァ」
颯爽と現れたのは僕のクラスの委員長。純白の制服とマントを靡かせ、僕を背に庇い、悪役貴族に立ち向かう。よかったー助かった。
「あなたが欲求不満なら、恋人である私に解消する義務がある。浮気は絶対に許さない」
んん? なんだこの状況は。どういうご関係?
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1701698053
マズイマズイマズイマズイ。バレた。とうとうこの日が来てしまった。あれだけバレないように気をつけて日々を過ごしてきたのに。
女であることを隠し学園に通い、"婚約者"である悪役貴族の目を欺いてきた『僕』のこれまでの努力が水の泡だ。そんなの、イヤだ。
「ていうか、てめェ……写真で見た許嫁……」
「は、はあ? なにを言ってるのさ。僕は正真正銘、男だよ。変な言いがかりはよしてくれ。さては君、欲求不満なんじゃないの?」
慌てて否定するあまり、口を滑らせた。悪役貴族に対する侮辱。1番やってはいけないタブー。失言に気づいた時にはもう遅かった。
「あァ……そうだなァ。たしかに近頃は欲求不満かもしンねェなァ。なンだったら、てめェで解消してやろうかァ? あァン!?」
もうなんなのこの人。怖すぎる。泣きそう。
「待ちたまえ。さすがに見過ごせないな」
「あァん? チッ……優等生のお出ましかァ」
颯爽と現れたのは僕のクラスの委員長。純白の制服とマントを靡かせ、僕を背に庇い、悪役貴族に立ち向かう。よかったー助かった。
「あなたが欲求不満なら、恋人である私に解消する義務がある。浮気は絶対に許さない」
んん? なんだこの状況は。どういうご関係?
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2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2023/12/04(月) 22:58:12.31 ID:6Pd4JEq9O
「ケッ……一度抱いたくらいで恋人気取りかァ? てめェなンざ、俺とは釣り合わねェよ」
「だから私は努力している。成績だってあなたに次いで学年次席だし毎日お弁当だって作っている。あなたは食べてくれないけど」
「炭が詰まった弁当なンざ食えるかァ!!」
「口ではそう言いつつも、あなたはその炭を花壇に撒いて、私の好きなお花の肥料にしてくれる。そんな優しいあなたを、私は……」
「勘違いすンじゃねェ! あの花は俺の許嫁が好きな花なンだよ!! まさかその許嫁が同じ学園に通ってるとは思わなかったがなァ」
「なに? ま、まさか! 君が彼の許嫁……?」
「ヒトチガイデスヨー?」
もうなんなのこの状況。修羅場ってやつだろうか。別に束縛するつもりはないから好きに恋愛して、僕との婚約を解消して貰いたい。
「やれやれ。これでは私はとんだ道化だな。浮気相手は私のほうだったとは……覚悟は出来てる。後は煮るなり焼くなり好きに……」
「ちょっと待てェ……魔が差して抱いちまったのは俺の落ち度だ。すまん……悪かった」
どうでもいいっての。ほっといてくれない?
「彼もこう言ってることだし、私が言うのもなんだが……許してやってはくれないか?」
「は?」
なに言ってんのこの女。虫が良すぎない?
「君が怒るのも無理はない。彼はたしかに良い殿方だ。彼以上の傑物は存在しない。だからこそ、今回のような諍いが生じてしまう。だからどうだろう? 独り占めするのではなく分かち合うというのは? そうするべきだよ」
「いや、僕はそもそもこんな奴いらないよ」
「はぁ~やれやれ。まったく素直じゃないな。君がそんなだから浮気されるんだぞ?」
あーイライラしてきた。殴りたい。心から。
「だから私は努力している。成績だってあなたに次いで学年次席だし毎日お弁当だって作っている。あなたは食べてくれないけど」
「炭が詰まった弁当なンざ食えるかァ!!」
「口ではそう言いつつも、あなたはその炭を花壇に撒いて、私の好きなお花の肥料にしてくれる。そんな優しいあなたを、私は……」
「勘違いすンじゃねェ! あの花は俺の許嫁が好きな花なンだよ!! まさかその許嫁が同じ学園に通ってるとは思わなかったがなァ」
「なに? ま、まさか! 君が彼の許嫁……?」
「ヒトチガイデスヨー?」
もうなんなのこの状況。修羅場ってやつだろうか。別に束縛するつもりはないから好きに恋愛して、僕との婚約を解消して貰いたい。
「やれやれ。これでは私はとんだ道化だな。浮気相手は私のほうだったとは……覚悟は出来てる。後は煮るなり焼くなり好きに……」
「ちょっと待てェ……魔が差して抱いちまったのは俺の落ち度だ。すまん……悪かった」
どうでもいいっての。ほっといてくれない?
「彼もこう言ってることだし、私が言うのもなんだが……許してやってはくれないか?」
「は?」
なに言ってんのこの女。虫が良すぎない?
「君が怒るのも無理はない。彼はたしかに良い殿方だ。彼以上の傑物は存在しない。だからこそ、今回のような諍いが生じてしまう。だからどうだろう? 独り占めするのではなく分かち合うというのは? そうするべきだよ」
「いや、僕はそもそもこんな奴いらないよ」
「はぁ~やれやれ。まったく素直じゃないな。君がそんなだから浮気されるんだぞ?」
あーイライラしてきた。殴りたい。心から。
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2023/12/04(月) 23:03:00.69 ID:6Pd4JEq9O
「おい、お前ェ……そもそもなンで、そンな格好してこの学園に通ってんだァ?」
なんでも何も今みたいな状況に陥りたくないから。確かに僕の婚約者は顔立ちが整ってるので、こうなることは予想の範疇だったし。
「あァン? ほっぺた膨らんでンぞォ?」
触んなし。ツンツンすんなし。ほっとけし。
「チッ……安心しろォ。抱いたつっても最後までしてねェっての。当たり前だろォ?」
「知らないし。興味ないし。あっち行けし」
「やれやれ。本当に素直じゃないね、君は」
うるさいぞ、浮気女。どうせ土壇場になって怖くて腰が引けたんだろ。そもそもお前が僕の婚約者を誘惑したんじゃないのか? 絶対そうだ。そうに決まってる。でも残念でした。
「俺が愛してンのはお前だけだ。ンな当たり前のことなンざ、言わなくてもわかンだろ」
「……バカたれ」
知ってるし。言うなし。照れるし。アホめ。
くそ。だから嫌なんだ。どれだけ嫌っても。
どれだけ距離を置いても一言で落とされる。
「ンな格好してても、てめェはキレイだな」
「っ……もぉ」
最終的に。僕は今宵、悪役貴族に恋をする。
なんでも何も今みたいな状況に陥りたくないから。確かに僕の婚約者は顔立ちが整ってるので、こうなることは予想の範疇だったし。
「あァン? ほっぺた膨らんでンぞォ?」
触んなし。ツンツンすんなし。ほっとけし。
「チッ……安心しろォ。抱いたつっても最後までしてねェっての。当たり前だろォ?」
「知らないし。興味ないし。あっち行けし」
「やれやれ。本当に素直じゃないね、君は」
うるさいぞ、浮気女。どうせ土壇場になって怖くて腰が引けたんだろ。そもそもお前が僕の婚約者を誘惑したんじゃないのか? 絶対そうだ。そうに決まってる。でも残念でした。
「俺が愛してンのはお前だけだ。ンな当たり前のことなンざ、言わなくてもわかンだろ」
「……バカたれ」
知ってるし。言うなし。照れるし。アホめ。
くそ。だから嫌なんだ。どれだけ嫌っても。
どれだけ距離を置いても一言で落とされる。
「ンな格好してても、てめェはキレイだな」
「っ……もぉ」
最終的に。僕は今宵、悪役貴族に恋をする。
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2023/12/04(月) 23:04:33.14 ID:6Pd4JEq9O
「あーあ……振られてしまったか。しかし、私は諦めないぞ。まだ我々は学生の身分。チャンスはいくらでもある……では、またな」
もう来んなし。てゆーか、震え声じゃない?
ちょっと泣いてるし。負けて悔しい癖にさ。
惨めすぎるから慈悲を与えたくなるじゃん。
「委員長。この先の学園生活で僕を守ってくれるなら……こいつの近くに居てもいいよ」
どのみちボディガードは必要だ。卒業するまでに孕まされたら困る。だから委員長が身代わりになってくれたらいい。卒業するまで。
「でも卒業したら……返してね」
「さて……約束は出来かねるな」
まあ、そういうものだろう。約束なんて当てにならない。破られるのが怖いから、僕はこれからも悪役貴族とは距離を置いて過ごす。
【僕は今宵、悪役貴族に恋をする】
FIN
もう来んなし。てゆーか、震え声じゃない?
ちょっと泣いてるし。負けて悔しい癖にさ。
惨めすぎるから慈悲を与えたくなるじゃん。
「委員長。この先の学園生活で僕を守ってくれるなら……こいつの近くに居てもいいよ」
どのみちボディガードは必要だ。卒業するまでに孕まされたら困る。だから委員長が身代わりになってくれたらいい。卒業するまで。
「でも卒業したら……返してね」
「さて……約束は出来かねるな」
まあ、そういうものだろう。約束なんて当てにならない。破られるのが怖いから、僕はこれからも悪役貴族とは距離を置いて過ごす。
【僕は今宵、悪役貴族に恋をする】
FIN
引用元: ・僕は今宵、悪役貴族に恋をする
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