千歌「ひぇ～あっついよ～…曜ちゃんは暑くないの？」ｳﾍｰ

曜「そりゃぁまだまだかなり濡れてるからね、むしろ日差しがありがたいよ」

千歌「でもあまりに暑いから溶け始めてるよ、ほら」

曜「おぉっと！」ﾎﾟﾀｯ


並んで帰る私とチカちゃんの手にはオレンジシャーベット

チカちゃんのお手製、部室の冷蔵庫で凍らせておいたんだ

この味は、昔から私とチカちゃんだけしか知らない味、ではないけれど

一緒に並んで歩きながら食べる味は私しか知らない、はず。

千歌「私はもう汗ダクダクだよ…やっぱり冷房に慣れると駄目だねぇ…」

曜「じゃあプールサイドに見学にでも来ればいいのに」

千歌「邪魔になるといけないし…それに曜ちゃんはプールに入ってるから涼しいだろうけどさ…」

曜「アハハ…」

千歌「だから私は冷房の効いた図書室で本を読んでいるんだ。作詞の勉強にもなるし！」

千歌「マルちゃんが色んな本を『この本読んでラブソングなんてどうズラ？"』って薦めてくるんだよ！」

何それ、初めて聞いたよ　ちょっと花丸ちゃんに妬けちゃうなぁ…

千歌「おかげでマルちゃんとの共通の話のタネがいっぱいできて嬉しいよ？」

そう言いながらチカちゃんは制服のシャツのボタンを1つ外す。

汗だくになって　　が透けて何だかいやらしいけれど

それ以上にチカちゃんの珠の様な汗が滲んでいる鎖骨が妙に色っぽい

チカちゃんは一見幼いようだけれど日に日にオンナらしくなっている…気がする

それは、Aqoursを結成した頃から加速的に…


私と一緒にいる時は、安心しているのかチカちゃんは無防備だけれども、

もう大人なんだって事もう少し自覚して欲しいな

まぁここには私とチカちゃんだけしか居ないからいいけれど…

曜「はぁ～…」

千歌「…？どうしたの？」

曜「チカちゃんは、さ…」

千歌「うん…」

曜「その…花丸ちゃんの事、どう思ってるの？」

千歌「え？」

曜「いやさ、最近は図書室にいる事が多いから花丸ちゃんとよく二人きりなんでしょ？」

千歌「いや、ルビィちゃんと3人だよ？」


な～んだ良かった良かった　そりゃそうだよ

花丸ちゃんとルビィちゃんはいつも一緒に決まってるじゃん、何心配してるんだか

千歌「一体どうしたの？花丸ちゃんは本好き仲間だよ！で、ルビィちゃんはμ'sファン仲間！」

千歌「花丸ちゃんは凛ちゃん、ルビィちゃんは花陽ちゃんが好きなんだってね～…
　　　思ったんだけどさ、花丸ちゃんとルビィちゃんって凛ちゃんと花陽ちゃんみたいじゃない？」

曜「うん！そうだよね～」

千歌「そういえば曜ちゃんそれでどうしたの？？」

曜「別になんでもないよちょっと聞いただけ！」ﾆｺｯ

千歌「私は本も好きだけど、何よりも曜ちゃんの事が好きだな…」ﾎﾟﾄｯ

千歌「うわぁっ！シャツの中にシャーベットが垂れちゃったよ～！」

そう言いながらチカちゃんはシャツの中に手を突っ込む

私はと言うと、チカちゃんがすぐ隣にいるものだから

チカちゃんの肌やおヘソが良く見えるわけで…

桜色の　　もちょっと見えた…気がする

昔からお風呂で散々見てるはずなのに

なんでこういう所で見ると　　　に感じるんだろうな…

チカちゃん…

チカちゃんが私の事好きってのは分かるんだけど…

私はそれからどう応えればいいの…？

チカちゃんには本当…

曜ちゃんは人気者だ

それはもう、小学生の頃から

こんな田舎の街の子が大会でいつも入賞していれば

そりゃもう自然と地元の有名人になるわけで…


だから私は曜ちゃんの友達である事を物凄く誇りに思ってるんだ！

曜ちゃんの事は私が一番知ってるって！

でも、昔は私と曜ちゃんはいつも一番近くに居たはずなのに

今はちょっと遠くに感じるかな…

水泳部なんて実質曜ちゃんファンクラブで…

曜ちゃんが入学した年の水泳部の入部希望者が激増したって、ダイヤさんが言っていたよ

今年は去年からさらに増えたみたい

そりゃ～当然！曜ちゃんすっごくカッコイイもん！誰だって憧れちゃうよ！

だから曜ちゃんはいつも水泳部では誰かしら部員の子と楽しそうにお喋りしているんだ

曜ちゃんとお話している水泳部員の子の瞳…

曜ちゃんが高飛び込みをしている時、それを見つめる部員の瞳、瞳、瞳…

あれは曜ちゃんへの純粋な憧れと恋心が混じっているんだ…私には分かる

曜ちゃんは誰にだって平等に接するとても優しい子、

でも、私にはそれがたまに辛く感じる事がある


そんな思いをするのが辛くて、そしてそんな自分が嫌になって、私はプールサイドに行けなくなったんだ

知ってるよ

曜ちゃんのアドレスに私の知らない女の子の名前がた～くさん！

この間お泊りしている時、曜ちゃんが居ない時に曜ちゃんのスマホ覗いちゃった

ごめんね曜ちゃん。私悪い子だ。

スクールアイドルを初めてからというもの、ファンの子とアドレスの交換を求められている姿をよく目撃しているわけで…

それっていいのかな…μ'sのにこさんなら"アイドルとして意識が低すぎる！"って言いそうだけれど

ここは田舎で暖かい人ばかりだからいいんよね！

でもね、私はそれでいいんだ…

それはね…ライバルが多いほど燃えるんだよ

だって私はずっと昔から貴方の碧い瞳の虜になっていたんだから…

だからね、曜ちゃんの関心を私に向けるために

今日の私は悪い子になる事にしたのです

マルちゃんとの事を言うんだ…

これでちょっとでも曜ちゃんが少しでも妬いてくれないかな…？

結局ヘタレて本当の事言ったけどね

私ね、花丸ちゃんとルビィちゃん、結構好きなんだ、友達として

何と言うか…一緒にいて凄く落ち着けて気軽で…姉妹みたいな？

もし私が1年遅く生まれていたら、もっと仲良くなれてたのかな？

でもそうなったら曜ちゃんとの関係も変わっていただろうから、『今が最高！』なんだけどね

微妙に訂正



私ね、マルちゃんとルビィちゃん、結構好きなんだ、友達として

何と言うか…一緒にいて凄く落ち着けて気軽で…姉妹みたいな？

もし私が1年遅く生まれていたら、もっと仲良くなれてたのかな？

でもそうなったら曜ちゃんとの関係も変わっていただろうから、『今が最高！』なんだけどね

一人でこの想いを胸に抱えているのが辛くて決壊しそうだったから

少し前、遂に自分以外の人…つまりマルちゃんとルビィちゃんに私の気持ちを全部話したんだ

『女の子同士なんておかしいよ』、って軽蔑されるかと怖かったけれど

マルちゃんは『同性愛が異性愛に劣るなんて事は無い、愛に貴賎は無いズラ』って言ってくれて

ルビィちゃんは『μ'sもグループ内恋愛あったって噂だし、スクールアイドル界では普通の事なんじゃないかなぁ？』って言ってくれて

本当に嬉しくて…

それでね、マルちゃんは私の今の気持ちに染みこむような恋愛小説を一杯用意してくれたんだ…

今、実はラブソングを書いているんだ、曜ちゃんにも梨子ちゃんにもナイショで

歌詞を見て曜ちゃんが何か感じてくれないかな～ってちょっと期待している私がいたりして

そういえば穂乃果ちゃんは"Love marginal"や"UNBALANCED LOVE"を作詞したけれど、

あの詞は穂乃果ちゃんがことりちゃんに対する気持ちを書き殴ったように見えるんだ、私には

そんな事を考えつつ溶けかけのシャーベットの汁をわざとシャツの中に落とす

シャツの中の肌を露出しよう　曜ちゃんは反応してくれるだろうか

ここで誘ってもいいんだよ？襲ってもいいんだよ？

でも曜ちゃんは誘いもしないし襲いもしない

当然だよね　そんな事をするのはヘンタイさんだけだよ

でもね、さっきの行動はかな～り勇気出したんだよ？

今日こそは！ってね、誘われた時に備えて、甘い返し方まで考えてきたのに

されないのは残念…

それは…私に魅力が無いのも原因だと思う

どうすれば曜ちゃんがメロメロになるような女の子になれるのかなって

いつも真剣に考えているんだよ？

ま、そんな事考えている私が一番ヘンタイさんだよね…

今の私は24時間ずっと曜ちゃんで一杯です

まだまだ曜ちゃんの銀色の髪は濡れている

そんな曜ちゃんを見て色っぽいな～っていつも思っているし

襲いたいな～みたいな気持ちになる事は時々、ある…

でもそんな事したら、曜ちゃんとの今の関係が崩れちゃいそうで怖いんだ

絶対にできない…


寝ている曜ちゃんの首筋に軽く唇を触れる事が今の私にできる、最大限の行動

でも、いつまでたっても告白する事ができないんだ…言っちゃえば楽になるのにね

だからさ、　　　な事すればなし崩し的に…って思ってるの


そう…だから、ヒキョーな私は曜ちゃんの方から襲ってくるのを待ち続けているんだ…今日も



そんな高2の8月の帰り道

終わり！