2: ◆C2VTzcV58A 2016/08/28(日) 13:39:42.34 ID:79CA/rehO
ミーンミンミンミン……


P「暑い……」

凛「暑いね……」

光「あづい。あづい……」

菜々「みなさん、暑いと思うから暑いんですよ。まずは暑いというワードを出さないように……ナナが一番暑いって言ってますね」

茄子「ありえない……私が日常的に通う場所でエアコンが壊れるなんて……天地がひっくり返ってもありえない事象なのに……」

P「なっちゃん、時々めちゃくちゃ傲慢になるよな」

3: ◆C2VTzcV58A 2016/08/28(日) 13:40:36.14 ID:79CA/rehO
凛「茄子さんがエアコン叩いたら直ったりしないの? 幸運的ななにかで」

光「おおー、なんかヒーローの超能力みたいでかっこいい」

菜々「さすがは茄子さんですねっ」

茄子「P君大変です。なんだか勝手にハードルを上げられています」

P「神様仏様鷹富士様に期待してるぞ」

茄子「恋人も敵でした……孤立無援です」

P「実際暑くてかなわないから、なんでもいいから頼りたくなるみんなの気持ちもわかる」

光「茄子さん」

凛「茄子さん」

菜々「茄子さんっ」

茄子「む、むむむ……や、やってみます」

4: ◆C2VTzcV58A 2016/08/28(日) 13:42:55.63 ID:79CA/rehO

茄子「ほわたぁっ!」ペシッ

エアコン「………」

P「直ってないな」

凛「ダメか……まあ、当たり前だよね」

光「茄子さんの幸運も敵わないのか……」

菜々「ほんの少しだけ期待してましたけど、茄子さんも人の子ですもんね」

茄子「P君大変です。私の神性が、幸運の女神としての神秘性が下がっています」

P「そんなもの元からあったか?」

茄子「P君に向こう一年ガリガリ君のあたりがでない呪いをかけました」

P「微妙すぎるだろ」

茄子「微妙とはなんですか。ガリガリ君を買う時の『ああ、70円でアイスが2本食べられるなんて幸せ……』という気持ちが味わえなくなるんですよ」

凛「100パーセントあたりが出る前提で話してない?」

5: ◆C2VTzcV58A 2016/08/28(日) 13:43:57.79 ID:79CA/rehO
P「だいたい、毎度毎度2本も食べられるとは限らないしな。むしろ1本で十分なときのほうが多いぞ、ガリガリ君」

茄子「そういう時は隣にいるP君に押しつければいいです」

菜々「いつもPくんが隣にいる前提で話してますね」

P「俺はガリガリ君とかよりもう少しリッチなアイスが好きだから」

茄子「高いって、ハーゲンダッツとかですか?」

P「いや、126円アイス」

茄子「うわあ……それをリッチと表現するんだ」

P「いいだろ別に! パルムとかガリガリ君よりリッチな味するだろ!」

茄子「あーっ、ガリガリ君をバカにしましたね! 一生パルムのあたりが出ない呪いかけますよ!」

P「パルムにあたりは存在しない!」


6: ◆C2VTzcV58A 2016/08/28(日) 13:44:43.31 ID:79CA/rehO
光「なんか喧嘩になっちゃったぞ。ふたりとも、仲良くしないと」

凛「いいんだよ、放っておいて」

光「でも」

菜々「光ちゃんもそろそろわかってきたんじゃないですか? あれは喧嘩というよりも」




茄子「じゃあ今度、お互いの好きなアイスを食べさせあうってことでいいですね」

P「望むところだ。俺のセンスのほうが上だと思い知らせてやる」

茄子「ふふふ、楽しみです♪」

P「俺もだ、ククク」



菜々「イチャついてるだけです」

凛「うん」

光「んー……よくわからないけど、確かに雰囲気が悪くなってるわけじゃなさそうだなあ」


7: ◆C2VTzcV58A 2016/08/28(日) 13:45:57.23 ID:79CA/rehO
ちひろ「みなさん、扇風機を出してきましたよ」

光「扇風機!」ガタッ

菜々「これで少しは涼しくなりますねぇ」

凛「……っし」←無言のガッツポーズ

P「ありがとうございます、ちひろさん」

ちひろ「いえいえ」

P「そういえば、もう一台くらいどっかに余ってたような気がするな。扇風機」

ちひろ「あら、そうでしたっけ。どの部屋でしょう」

P「俺が探しに行くので大丈夫です。ちひろさんは涼んでいてください」

ちひろ「そうですか? では、お言葉に甘えて」

茄子「私も手伝いましょうか?」

P「ひとりで十分だよ。なっちゃんも涼んでてくれ」

P「あ、でも扇風機の真正面を占領しちゃだめだぞ」

茄子「はい♪」

8: ◆C2VTzcV58A 2016/08/28(日) 13:47:36.43 ID:79CA/rehO
光「わーれーわーれーはー、うーちゅーうーじーんーだー」

光「人間を愛する、M78星雲からやってきたうーちゅーうーじーんーだー」

茄子「さすが光ちゃん。定番の『扇風機の前で宇宙人ごっこ』もヒーローテイストですね♪」

菜々「はぁ~。この後マストレさんのダンスレッスンですよね……あっちの部屋は冷房が効いているとはいえ、この猛暑日にしごきを受けると思うと気分が」

凛「でも、サボるわけにもいかないしね。毎日少しずつやって、少しずつ前に進んでいかないと」

凛「私達、まだ甘くはない青い果実だからね」

光「お、ネクサス!」

凛「ふふっ」

茄子「そして、凛ちゃんは光ちゃんのヒーローテイストに染まりつつありますね♪」

菜々「ナナ、いまだにリコちゃんの絵のシーンはひとりじゃ見られません……」ブルブル


9: ◆C2VTzcV58A 2016/08/28(日) 13:48:48.91 ID:79CA/rehO
光「次は凛さんが涼む番!」

凛「ローテーションで扇風機の前に移動するの、案外悪くないかも」

ちひろ「ひとりひとりが一気に風を浴びられますからね」

茄子「年齢の若い順で並んでいますから、次は」

凛「茄子さ……あ、菜々さんか」

菜々「凛ちゃ~ん……」ジトーー

凛「わ、わざとじゃないから」

菜々「それはわかってますけど……うーん、もっと自然に17歳だという意識を刷り込ませないと」ブツブツ

光「? 菜々さん、どうしたんだ?」

茄子「いろいろあるんですよ」

茄子「ところで凛ちゃん。凛ちゃんは宇宙人ごっこしないんですか?」

凛「え? しないけど」

茄子「えー」

凛「なに、その反応……しないよ」

凛「さ、そろそろ交代かな。菜々さん、涼んでいいよ」

菜々「あ、はーい」

10: ◆C2VTzcV58A 2016/08/28(日) 13:50:27.82 ID:79CA/rehO
菜々「わーれーわーれーはー、うーさーみーんーせーいーじーんーだー」


茄子「わーれーわーれーはーうーちゅーうーじーんーかーもー」


ちひろ「みーぎーにーおーなーじーです♪」


光「へっへっへ~、しーんーぱーいーすーるーこーとーはーなーいー」


茄子「はい凛ちゃん」

菜々「どうぞ」

ちひろ「みんなやったので」

光「楽しいよ?」

凛「外堀全部埋められた気分……」


11: ◆C2VTzcV58A 2016/08/28(日) 13:50:57.62 ID:79CA/rehO
P「ただいまー。2台目の扇風機持ってきたぞ」

『おかえりなさーい』


凛「………おかえり」

P「? 凛、顔が赤いけどどうかしたのか」

凛「なんでもない……みんなの団結力に負けただけ」

P「?」

12: ◆C2VTzcV58A 2016/08/28(日) 13:52:24.00 ID:79CA/rehO
夕方


光「じゃあ、また明日!」

凛「お疲れさま」

菜々「暑い日が続きますから、みなさん無理をしないように!」

凛「先生モード?」


ガチャ、バタン



P「なっちゃん、まだ帰らないのか?」

茄子「んー……P君は?」

P「俺はもう少しかかるかな。7時までにはやること全部終わると思うけど」

茄子「そうですか。なら、それまで待ちますから、晩御飯一緒に食べませんか」

茄子「私は大学の課題でもやってます」

P「ああ、いいぞ」

茄子「やった♪」

P「どこ行くんだ? たまにはちょっと洒落たところにでも」

茄子「カレー、カレー食べに行きましょう!」

P「はは、りょーかい」

茄子「夏野菜カレーが食べたいです。ナスが多めに入ってるような」

P「共食い?」

茄子「ふふふ、ナス界隈は弱肉強食です。私より弱いナスは食われる運命」ククク

P「おお、乗ってきた」

茄子「乗ってあげました♪」

P「『ナスじゃなくてカコですよ~』って返されるかと思った」

茄子「声真似気持ち悪いです」

P「すんません」

13: ◆C2VTzcV58A 2016/08/28(日) 13:53:46.43 ID:79CA/rehO
P「………」

P「ふう」

P「あー……よくないな。だんだん集中力が切れてきた」

茄子「大丈夫ですか?」

P「なっちゃんが応援してくれたら頑張れるかもしれない」

茄子「なるほど……ではでは」

茄子「がんばれ♡ がんばれ♡」ニコニコ

P「おお、気力が回復してきた」

茄子「がんばれぇ♡♡♡ がんばれぇんっ♡♡♡♡」

P「なんでそんなに艶めかしい声出すの」

茄子「P君の車の中にあった雑誌」

茄子「その中の漫画の部分で、こういうハートマークがいっぱいのセリフがたくさんあったので」

P「」ビクッ

茄子「ああ、P君はこういう   本が好きなんだなあと思ったので、再現してあげました♪」ニコニコ

P「い、いつの間に巧妙に隠された俺のお宝本を……」

茄子「知りたいですか?」

P「う、うん」

茄子「まあなんかアレですよ幸運的なアレ」

P「雑すぎだろ!」

14: ◆C2VTzcV58A 2016/08/28(日) 13:55:04.00 ID:79CA/rehO
P「はあ……マジかあ。いつの間にか  本が見つかってたのは恥ずかしい」

茄子「大丈夫ですよ。男の人がそういうの好きなこと、私はちゃんと理解してますし♪」

P「なっちゃん……」

茄子「だから気にしなくていいですよ、H君」

P「名前変わってる!?」

茄子「あら? S君でしたっけ、M君でしたっけ」

P「100パーセント悪意しかない間違え方だ……」



茄子「ふふっ♪ なんだか不思議ですね。P君相手だと、ついついはしゃいでからかっちゃいます♪」

茄子「自分でも子どもっぽいなあと思うんですけど、楽しくて」

P「確かに、俺相手とそれ以外じゃ結構態度が違うよな。時々毒吐いてくるし」

茄子「ちなみにP君は、大人っぽい女性が好みですか? それとも子どもっぽいほうが好みですか?」

P「大人っぽいほうが好みだと答えると、どうなるんだ」

茄子「私の態度がもっと子どもっぽくなります」

P「本当に子どもみたいだな」

茄子「いやですか?」

P「いや、面白いからいい」

茄子「ふふ♪」


15: ◆C2VTzcV58A 2016/08/28(日) 13:56:52.72 ID:79CA/rehO
P「………」カタカタカタ

P「よーし、終わったぞ」

P「さっさと帰ろう……って」



茄子「……すぅ……すぅ」スヤスヤ

P「いつの間にかソファーですやすやしてるし……途中からやけに静かだと思ったんだよ」

P「おーい、なっちゃん起きろ」

茄子「……んぅ……」モゾモゾ

P「起きないとめくれかけのスカートを完全にめくりあげるぞー」

茄子「……すぅ……はっ倒します……すぅ」

P「物騒な寝言だ……ていうか起きてるだろう、なっちゃん」

茄子「P君……すき……むにゃむにゃ」

P「どさくさに紛れて告白するな。ほら、いい加減起きて帰るぞ」

茄子「む~。バレましたか」ムクリ

P「バレないと思うほうがおかしい」

茄子「寝言に紛れてこっそり愛をささやく作戦、失敗です」

P「次はもっと自然にやってみるんだな」

16: ◆C2VTzcV58A 2016/08/28(日) 13:57:59.44 ID:79CA/rehO
P「荷物片づけたら帰るから、そっちも準備しておいてくれ」

茄子「はーい」

茄子「あ、そうだ。ねえP君」

P「ん?」

茄子「好きです」

P「………」

茄子「好きー、好きー♪」

P「………」

P「うるさい、好き」

茄子「知らないです、好き」

P「早く荷物まとめなさい、好き」

茄子「そうですね、好き」

P「俺もさっさと帰りたいからな、好き」

茄子「りょーかいです、好き」

P「………」

茄子「………」


P「はははっ! なんだこれ」

茄子「あははっ……まるでバカップルみたいですね、私達♪」

17: ◆C2VTzcV58A 2016/08/28(日) 13:58:55.24 ID:79CA/rehO
茄子「片づけ、終わりました」

P「よし。じゃあ帰るか。電気消すぞ」

茄子「はい」

茄子「……また明日、会いましょう」ペコリ

P「部屋に挨拶してるのか」

茄子「毎日通ううちに、すっかり愛着が湧いてしまいましたから♪」

P「なるほど。俺もたまには挨拶しておくか」

P「お疲れさま。また明日もよろしく」

茄子「お疲れさまでした♪」

18: ◆C2VTzcV58A 2016/08/28(日) 14:00:21.92 ID:79CA/rehO
茄子「カレーを食べに行くこと、覚えてますよね?」

P「もちろん。どこの店行こうか」

茄子「歩きながら考えましょう♪」

P「そうだな」

茄子「私、P君と並んで歩くの好きなんです♪」

P「俺もまあまあ好き」

茄子「むむ、まあまあですか。これは大好きになってもらうしかありませんね」

P「頑張れ」

茄子「頑張ります♪」

茄子「とりあえず、今日のカレーは――」



おしまい

引用元: モバP「なっちゃんと夏の事務所」