ー部室ー

ｶﾞﾁｬ

千歌｢んーっ！ 練習疲れたぁ。今日のメニューキツすぎだよ～……｣ﾉﾋﾞｰ

曜｢そう？｣

果南｢そうでもなくない？｣

善子｢あなた達魔界からの使者か何か？｣

花丸(何言ってるんだろ善子ちゃん)

ダイヤ｢お二人の言う通り……ですわ……千歌さん。これくらいしなくてはラブライブ出場なんて……夢のまた夢……ですわ｣

梨子｢すごい疲れてるように見えるんですけど大丈夫ですか｣

ルビィ(ん？)

果南｢あんまり無理しない方がいいよー？ ダイヤ｣

ダイヤ｢ですが……｣

千歌｢もー……ダイヤさん！ 練習しすぎはよくないですよ！ 穂乃果ちゃんだって頑張りすぎて倒れちゃったんですから！ なんかのインタビューで見ました！｣

ダイヤ｢……！ 私もその話は知っていますわ……！ そうですわね……確かに怪我などで出られなくなっては本末転倒……明日からいつものメニューに戻しましょう｣

千歌｢やったー！！｣

ダイヤ｢……まさかそれが目的で？｣

千歌｢え？ はは……いやだなダイヤさん……そんなわけないじゃないですか｣

ルビィ｢……っ｣ｶﾞﾀｰﾝ

｢｢｢！？｣｣｣

ダイヤ｢ルビィ！？｣

ルビィ｢ぅ……お姉ちゃん……｣ｼｭｳｳｳ

花丸｢ｼｭｳｳｳ……って！ これもしかして！｣

善子｢マリーの薬！？｣

鞠莉｢呼んだー？｣

ダイヤ｢っ！ 鞠莉さん！？ これっ……これはあなたがやったのですか？ ルビィに何をしたの！！？｣

鞠莉｢……｣

鞠莉｢……｣

鞠莉｢……☆｣ｳｨﾝｸ

ダイヤ｢ｳｨﾝｸ、じゃないですわ！！！｣

千歌｢ルビィちゃんも体が小さく……！？｣

鞠莉｢ノンノンノン、ルビィが食べたのは『反抗期になる薬』よ｣

曜｢食べた、って……｣

鞠莉｢机の上に薬の入ったcandyを置いておいたのよ♡｣

ダイヤ｢何をしてるんですかあなた！ 理事長の仕事があると言って練習を休んでおきながら……こんなことを！｣

鞠莉｢失礼ね。ちゃーんと全部終わらせて、丁度さっき来たのよ？｣

ダイヤ｢っ……ルビィは大丈夫なんですわよね？｣

鞠莉｢別に害はないわ。むしろ健康になるらしいわよ？ 千歌っちどう？｣

千歌｢そ、そうなんですか！？ ……そういえばあれから1週間、いつもより元気な気が……｣

梨子(これ、プラシーボ効果ってやつじゃ……)

ルビィ｢ん……｣

ダイヤ｢あっ、ルビィ！ 大丈夫ですの？｣ﾅﾃﾞ

ルビィ｢……触んないでよ｣ﾊﾟｼｯ

ダイヤ｢｣

ルビィ｢さっきからギャーギャーうるさいんだよね……別に何ともないから、離れて。うざい｣

ダイヤ｢｣

曜｢な、何ともありすぎる……｣

花丸｢というより異常しかないずら……｣

ダイヤ｢あ……ぁ……｣ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

ダイヤ｢っ｣ｷﾘｯ

善子(錯乱しそうなのをどうにか持ちこたえたわね)

ダイヤ｢る、ルビィ！ いい？ こうなったのはあなたが悪いんですのよ！｣

ルビィ｢『こうなったのは』……って、別に私なんの害も受けてないんだけど｣

ダイヤ｢～～～ッ、大体、そこらへんにあるものを勝手に食べるとは何事ですの！？｣

ルビィ｢姉ちゃんの鞄のところにあったから食べていいかと思った｣

ダイヤ｢私のものは食べていいと認識してますの！！？｣

ダイヤ｢鞠莉さん、 というかこれ反抗期ってよりもはやスケバンですわ！ 破廉恥ですわ！！｣

果南｢スケバンて｣

鞠莉｢古いしなんか違うわねぇ｣

花丸｢ルビィちゃん大丈夫？｣

ルビィ｢うん、大丈夫だよ｣

ダイヤ｢……は？？？｣

鞠莉｢そう、これこそが『反抗期』たる所以……｣

鞠莉｢この薬は、『その人の家族にのみ辛辣な態度をとる』薬……あ、恋人にも効果があるらしいわよ？｣

ダイヤ｢完全に私に対しての嫌がらせですわね！！？！？｣ﾑｷｰ

善子｢なんか反抗期の意味からも少しずれてないそれ？｣

鞠莉｢ま、開発した人は最近デレしかない自分の恋人に辛辣な態度とってもらいたかったから作ったらしいから。名前は便宜上なんとなく付けただけよ｣

曜｢変態だね開発者さん｣

鞠莉｢ちなみにこの間の薬と同じ人よ｣

梨子｢体が小さくなる薬に反抗期になる薬……危ない性癖の持ち主か何かなのかしらその人｣

千歌｢ルビィちゃーん……元気？｣

ルビィ｢元気ですっ！｣ﾌﾝｽ

千歌｢おおっ！ いつものルビィちゃんだぁ｣

千歌｢ノーマルなルビィちゃん！ すなわちノーマルビィ！｣

花丸｢え……｣

果南｢……｣

千歌｢……ごめんなさい｣

ダイヤ｢と、に、か、く！ 早く治す薬を渡して下さい｣

鞠莉｢無いけど｣

ダイヤ｢……｣

ダイヤ｢はい？｣

鞠莉｢無いよ、そんなの｣

ダイヤ｢……｣

ダイヤ｢……｣ﾌﾟﾂﾝ

果南｢やばいダイヤの中の何かが切れた！｣ｶﾞｼｨ

ダイヤ｢鞠ぁぁあ莉さぁぁぁぁああぁあん……？｣ｺﾞｺﾞｺﾞ

鞠莉｢待って！ 落ち着いてダイヤ！ 薬は無いけど方法はあるのよ！？｣

ダイヤ｢早く言いなさい｣

鞠莉｢寝させることよ！｣

ダイヤ｢寝させる？｣

鞠莉｢そう！ 1時間睡眠状態が持続すれば元のルビィに戻るわ！｣

ダイヤ｢ではルビィ。寝てください｣

曜｢ここで！？｣

梨子｢部室だし帰宅時間過ぎてますよ！？｣

ダイヤ｢構いません｣

ルビィ｢構いなよ。姉ちゃん生徒会長でしょ？ それなのにルール守れなくてどうするの？｣

ダイヤ｢うっ……｣

ルビィ｢前から思ってたんだけどさ、姉ちゃんって結構適当だよね？ 仕事ためたりプール掃除遅れたりさ｣

ダイヤ｢いや、それはスクールアイドルの活動が……後者は鞠莉さんが！｣

ルビィ｢スクールアイドルを言い訳にするの？ 最低だね……挙句人のせいにするなんて｣

ダイヤ｢……っ……仰る……通りですわ……｣

ルビィ｢仕事はさ……みんなで手伝うって、言ったよね？ 言いなよ……ちゃんと手伝ってあげるから｣

ダイヤ｢え？ あ、はい……分かりましたわ｣

果南｢なんかちょっと優しかったね今｣

鞠莉｢反抗期ながら時々以前のあの子の面影がふと見えるって、良いよね……｣

善子｢なんでそんな母親目線なのマリー｣

ルビィ｢……ふん｣ｶﾞｻ

ルビィ｢……｣ﾊﾟｸ

ダイヤ｢！｣

ダイヤ｢な……な……そ、それは！！？｣

ルビィ｢……ふぅー……｣

ダイヤ｢煙草！？！！？！｣

花丸｢そ、そんなはずないずら！ ルビィちゃんが煙草を持ってるなんてそんな……！｣

ダイヤ｢やめなさいルビィ！ そんなもの百害あって一利なしですわ！！｣

ルビィ｢うるさい！ 私の勝手でしょ！！｣

ダイヤ｢ぁ……｣ﾋﾞｸｯ

ダイヤ｢……｣ｼﾞﾜ

千歌｢だ、大丈夫ですかダイヤさん……｣

ダイヤ｢何とも……ありませんわ……｣

ダイヤ｢そんな、妹に初めて怒鳴られたからって、泣きそうに、なって、なんか……｣ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

曜｢……あ｣

曜｢違いますダイヤさん！ よく見てください！！｣

ダイヤ｢え……｣

ダイヤ｢──！｣

曜｢そうですあれは……！｣

ダイヤ｢……ココア……シガレット……｣

梨子｢……そんなもの見間違えるわけ……んっ！？｣

果南｢梨子……それ以上いけない｣ｸﾁﾌｻｷﾞ

梨子｢ふぁい｣

善子｢それよりなんでココアシガレット常備よ？｣

ーーーーー

ダイヤ(何とか一緒に家に帰って来ましたが……道中一言も口を聞いてくれませんでしたわ……。こう……心に来るものがありますわね)

ダイヤ｢ただいま帰りました｣

ｼｰﾝ…

ルビィ｢……今日は何かの会合があっていないんじゃないの｣

ダイヤ｢はっ。そ……そうでしたわね！｣

ダイヤ(いけませんわ……ルビィのことで気が動転して……)

ダイヤ｢では、夕飯は私が作りますわね。部屋に戻っていて構いませんわ｣

ルビィ｢……｣ｽﾀｽﾀ

ダイヤ(返事もしない……これが反抗期……)

ダイヤ(思えばルビィには反抗期らしい反抗期はありませんでしたわね……かく言う私にも、ですが)

ダイヤ(……さて、ちゃっちゃっと作ってしまいましょう)

ーーーーー

ダイヤ｢はい、どうぞ｣ｺﾄ

ルビィ｢……親子丼？｣

ダイヤ｢ええ｣ｶﾀﾝ

ダイヤ｢いただきます｣

ルビィ｢……いただきます｣

ｶﾁｬｶﾁｬ

ﾊﾟｸｯ

ﾓｸﾞ

ｺﾞｸ

ﾓｸﾞﾓｸﾞ

ダイヤ｢……｣ﾓｸﾞﾓｸﾞ

ダイヤ(し、静かですわね……もしかして好みじゃない……！？)ﾁﾗ


ダイヤ(……！)

ルビィ｢……♪｣ﾎﾜｧ

ダイヤ(あ……顔が綻んでますわ……良かった)

ダイヤ(これも反抗期の所為……ですか)ｺﾞｸ

ダイヤ(……私、お水の用意などしましたっけ？)

ルビィ｢……｣ﾓｸﾞﾓｸﾞ

ダイヤ(……ふふ)

ーーーーー

ルビィ｢ごちそうさま……｣ｶﾞﾀｯ

ダイヤ｢待ちなさい｣

ルビィ｢何｣

ダイヤ｢今日はお母様もお父様もいないことですし……ラブライブのDVDでも見ませんこと？｣

ルビィ｢……！｣

ルビィ｢い、いいの……？｣

ルビィ｢はっ｣

ルビィ｢い、いいよ。私はもう寝るから。姉ちゃんと一緒にテレビなんて……｣

ダイヤ｢花陽さんが出ているものですわよ｣

ルビィ｢花陽……ちゃん……｣

ダイヤ｢どうします？｣ﾆｺﾆｺ

ーーーーー

~♪

ルビィ｢……｣ｷﾗｷﾗ

ダイヤ(やはり……当たり前と言えば当たり前ですが、根本的なところはいつものルビィですわね)

ルビィ｢……｣ﾁﾗ

ルビィ｢何見てんの？｣ｷﾞﾗ

ダイヤ(……)

ーーーーー

ﾋｶﾘﾉﾅｶﾃﾞｳﾀｳﾝﾀﾞｾｰﾝｾｰｼｮｰﾝ

ダイヤ(あぁ……エリーチカはいつ見ても美しいですわぁ……)

ダイヤ(しかも生徒会長をやっていながらこの完成度……素晴らしい……あ、この頃はやっていないんでしたわね)

ダイヤ(まぁ……有能な副会長の希さんがいたおかげらしいですが……)

ダイヤ(有能な助っ人……)

ダイヤ(……果南さん……鞠莉さん……)

ダイヤ(駄目そうですわね)

ダイヤ(それにしてもルビィ、随分食い入るように見て……ん？)

ルビィ｢すぅ……すぅ……｣

ダイヤ(なっ)

ダイヤ(寝っ……寝ている！？ まさか……あのルビィが……μ'sのパフォーマンスを前にし、就寝！？)

ダイヤ(これもまた反抗期……？ いやいや、それは違いますわ……)

ダイヤ(……疲れたのでしょう)

ダイヤ(確かに今日は少し詰め込みすぎでしたわね)

ダイヤ(ふぁあ……そう考えたら私も眠く……)

ダイヤ｢……すぅ……すぅ……｣

ー翌朝ー

ﾄﾝﾄﾝ

ダイヤ｢んぅ……？｣

ルビィ｢お、お姉ちゃん……おはよう……｣

ダイヤ｢！ ルビィ……！ 元のルビィですわ！！ 良かった……｣ﾀﾞｷｯ

ルビィ｢わっぷ……！ お姉ちゃん、それより、後ろ……！｣

ダイヤ｢後ろ？｣ｸﾙｯ

黒澤母｢……説明してくれます？ ダイヤさん｣

ダイヤ｢え……｣

ダイヤ(あ)

ダイヤ(電気……つけたまま！ テレビも……つけたまま！ DVDケース……開いたまま！)

ダイヤ｢……｣

ダイヤ｢ご……｣

ダイヤルビィ｢｢ごめんなさぁぁぁい！！！｣｣

ー放課後ー

ルビィ｢……で、怒られちゃって。罰として一週間テレビ禁止って言われちゃいました｣

千歌｢良いなぁ～μ'sの出てるラブライブのDVD！ そんな前のやつ録画してないっていうか出来ないよー｣

曜｢え、そこなの今の話で一番食いつくの｣

ルビィ｢今度貸しましょうか？｣

千歌｢えっ！？ 良いのー！？｣

梨子｢良かったね千歌ちゃん｣

花丸｢すっかりルビィちゃんが元に戻って良かったずらぁ～。ほっとしたからパンが美味しいっ！｣ﾊﾑｯ

善子｢何その謎の理論。大体いつも食べてるじゃない美味しそうに｣

梨子｢ところで、昨日言ったことってルビィちゃん覚えてるの？｣

ルビィ｢は、はい……一応｣

曜｢へぇー！ ねぇねぇ、あれって本当に前から思ってたの？ ダイヤさんのものは取っていいとか、適当とか｣

ルビィ｢あ……そ、それは……｣

ﾊﾞｧｰﾝｯ!

ルビィ｢ぴぎぃ！？｣

ダイヤ｢ルビィ……｣

ルビィ｢えっと……何？ お姉ちゃん……｣

ダイヤ｢聞きましたわよ鞠莉さんから。あの薬を飲んでも考え方は変わらないと｣ﾆｺﾆｺ

ルビィ｢……！｣ﾀﾞﾗﾀﾞﾗ

ダイヤ｢……｣ﾆｺｯ

ルビィ｢は、ははは……｣

ダイヤ｢ル、ビ、ィ～～～！！？｣

ルビィ｢ごっ……｣

ルビィ｢ごめんなさいお姉ちゃぁぁぁああん！！！｣

終わり

煙草のくだりをやりたかっただけ