上野駅13番ホーム……

ﾌﾟｼｭｯ

にこ「んっ……んっ」ｸﾞﾋﾞｰ

にこ「ぷっはー！朝から飲むアンバササワーホワイトは最高ね！」

にこ「さてと……ちび達はママに任せたし、受験も大会も終わったし」

にこ「ぽっかり空いた、卒業までの一時……ひとりで旅行ってのもオツよね」ｳﾝｳﾝ

にこ「ところで、上野駅13番ホームで検索をしたら“トイレ”ってワードが出てきたわ」

にこ「深くは追究しない方がよさそうね」

宇都宮行き列車内……

ｶﾞﾀﾝｺﾞｰ

にこ「♪」ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

にこ「柿ピーに笹かま、それにサラミ」

にこ「我ながら色気のないチョイスね」

にこ「宇宙No.1アイドルとして、ちょっと自覚が足りないかしら」

にこ「……ま、たまにはいいわよね」

にこ「念のため、マスクとサングラスで完全防備してるし」



>>1期1話にこ参照

にこ「旅はやっぱりボックスシートよね。風景をすごく間近に感じる」

にこ「東京の薄汚れた街並みを離れ、人気絶頂のスクールアイドルは人里離れた田舎へ」ｳﾝｳﾝ

にこ「沿線に咲く早春の花、永遠に訪れることがない小さな商店……」

にこ「……やだ、これじゃあポエマーの海未じゃない」ｸｽｸｽ

ﾌﾞｰﾝﾌﾞﾌﾞｯ

にこ「……ん？LINEだわ」

にこ「あら、噂をすればなんとやらね」



海未：旅行を楽しんできてくださいね。あちらは寒いので、風邪など引かぬように。

にこ「ありがと、今度9人で旅行したいわね……っと」

にこ「送信」

にこ「さて、せっかくの一人旅ですもの。読書でもしましょ」

にこ「絵里が勧めてくれたこの小説、ちょっと厚すぎるけど面白そうね」

にこ「あの子、ミステリなんて読むのね」

にこ「てっきり、トルストイとかドストエフスキーとか勧めてくると思ったんだけど」

ﾌﾞｰﾝﾌﾞﾌﾞｯ

にこ「ん？またLINEだわ」

穂乃果っち：お土産期待してるね！


にこ「……」

にこ「そんなお金ないわよ……っと」

にこ「送信」

にこ「……東北のお土産って、何があるのかしら。赤べことか？」

ﾌﾞｰﾝﾌﾞﾌﾞｯ

にこ「あら？まただわ」

のぞみん：牛タン、期待してるよ


にこ「……」

にこ「図々しいわね！」

にこ「そんな高級なもの、人数分買えるわけないじゃない！ったく……」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

ﾌﾞｰﾝﾌﾞﾌﾞｯ

ﾌﾞｰﾝﾌﾞﾌﾞｯ

にこ「……まただわ」

凛：凛は喜多方ラーメンがいいにゃ～

花陽：ひとめぼれが食べたいです



にこ「……」

ﾎﾟｲｯ

にこ「ふー」

にこ「さて、読書読書」

にこ「……」ﾍﾟﾗ

にこ「ふぅ」ﾉﾋﾞｰ

にこ「！」

にこ「読書に夢中で、気がつかなかったわ……風景が全然違う」

にこ「瓦屋根の家々、そして防風林」

にこ「なんか……こういうのもいいわね！」

宇都宮駅……


にこ「んーっ」ﾉﾋﾞｰ

にこ「宇都宮といえば餃子、是非とも食べておきたいけど……」

にこ「黒磯（栃木と福島の境）行きの列車がすぐ出発なのよねー」ﾊｧ

にこ「それにしても……せっかくの旅行なのに、目的地に早く着くことばっかり考えて」

にこ「にこってやっぱり東京人だわ。悪い意味で」

にこ「……まあいいわ。ゆとりがあったら、帰りに寄ることにしましょ」

黒磯行き列車内……

にこ「……」ﾓｿﾞｯ

にこ「やだ、おトイレ行きたくなっちゃった」

にこ「しようがないわね、電車のおトイレ借りましょう」

にこ「次の黒磯駅で乗り換え時間が短かったら困るし……」

ｶﾞﾀﾝｺﾞｰ

ｸﾞﾗｸﾞﾗｶﾞﾀｶﾞﾀ



にこ（落ち着いてできない……）

黒磯駅……

にこ「福島行きまでだいぶ時間あるわね」

にこ「こんなことなら、駅のトイレ借りればよかったわね」

にこ「さて……どうしようかしら」

ﾌﾞｰﾝ、ﾌﾞｰﾝ、ﾌﾞｰﾝ

にこ「あら？電話だわ。ことりから……」

ﾋﾟｯ

ことり『もしもし、にこちゃん？』

にこ「ことり、どうかしたの？」

ことり『今どの辺り？』

にこ「黒磯に着いたところよ」

ことり『どこまで行くか、決めた？』

にこ「とりあえず、今日は宮城あたりで宿が取りたいわね。どうして？」

ことり『花陽ちゃんがね、にこちゃんに是非チェックしてほしいものがあるんだって♪』

にこ「何よ？」

ことり『……えーと、ウォーランドガールズだっけ？それともウォーレンガールズだっけ』

にこ「はぁ？」

ことり『えっと、えっと、確か仙台を中心に活動してるアイドルグループで……』ｱｾｱｾ

にこ「……あー、だいたい察したわ。仙台を本拠地にしてるローカルアイドルでしょ？」

ことり『そうそう！さすがにこちゃん！』

にこ「ふふん、このくらい余裕よ」

にこ「オーケー、花陽に伝えておいて。一応チェックしておくわ……ただ」

ことり『ただ？』

にこ「その……あんまり関わらない方がいい気がするのよね、なんとなく」

ことり『ウィーラーガールズって、そんなに怖いグループなの？』

にこ「いや、なんていうか……荒れそうなのよ」

にこ「ま、ともかくすっかり失念してたわ！教えてくれてありがと！そろそろ失礼するわね」

ことり『楽しんできてね♪』

ﾋﾟｯ

にこ「さて、お昼にしましょ」

ﾋﾞｭｩｳｳｳ

にこ「……うー、風が冷たい」

にこ「黒磯って、有名な温泉地なのよね……ちょっとあったまっていきたいわ」

にこ「……ううん、我慢よ、我慢！」

ｺﾞｫｵｵｵｵ

にこ「……新幹線って、うるさいわね」

福島行き列車内……

にこ「♪」ﾓｯﾓｯ

にこ「あったかい……生き返るわ」

にこ「海未へのお土産、これにすればよかったわね」

にこ「穂むら信者のあの子も、これにはイチコロよ」

にこ「でも、温泉まんじゅうってやっぱり出来立ての熱々に限るわよね」

にこ「さて……いよいよ東北ね」

にこ「……」ﾍﾟﾗ

にこ「……ふぅ」

にこ「さすがに本を読むのも疲れたわね。お腹もすいてきちゃった」

にこ「やっぱり温泉まんじゅうがお昼ご飯がわり、ってのは無理があったわね」

にこ「黒磯って商店街は風情があるけど、食べ物屋さんがあんまりないんだもの」

にこ「……風景、北関東とはやっぱり違うわね」

にこ「栃木はまだ家が主役で、田畑はバックダンサーって感じだったけど」

にこ「こっちは完全に田畑が主役ね」

にこ「さすがに田園風景にも飽きたわ」

にこ「次は海でも見ながら、と言いたいけど」

にこ「常磐線……いつか全線復旧するといいわね……」

福島駅にて……

にこ「うぅ、おソバでも食べたい気分だけど……」

にこ「もう仙台行きの列車が出ちゃうのよね」ﾊｧ

にこ「降りたい駅、行きたいところがどんどん増えていくわ」

にこ「……ごめんなさい！また来ます！」

にこ「今度は、μ'sのみんなを連れて！」

にこ「……」

ｸｩｳｳｳ

にこ「あっ……///」

向かいの席のばあちゃん「お嬢ちゃん、お腹すいたの？」

にこ「あっ、いえその」

向かいの席のばあちゃん「ほれ、これ食べんさい」

にこ「あ、あ、ありがとうございます」

向かいの席のばあちゃん「あとこれも
、ほれこれも」

にこ「あ、あの……」

ばあちゃん「気を付けてね」

にこ「ありがとうございます！」ﾍﾟｺﾘ

にこ「……親切な人って、いるもんね」

にこ「さて」

にこ「やっとついたわ！仙台よ！」

駅地下……

にこ「♪～」ﾁｭｩｳ

にこ「おいしいわ、このずんだシェイク」

にこ「海未は萩の月より、ずんだもちの方が喜ぶかしら」

にこ「希はこの牛タンジャーキーでいいわね」

にこ「絵里は……あの子確かイーグルスファンだったわね。レプリカキャップとか？」

にこ「でも、一人だけ食べ物じゃないのは不公平よね」

にこ「……お土産を選ぶのって、楽しいわね♪」

にこ「仙台の商店街って、複雑ね」

にこ「迷子になりそうよ」

にこ「次は、七夕シーズンに来たいわ」

にこ「あっ、すごく歴史のありそうな本屋さん」

にこ「あら、この伊坂幸太郎って……絵里が勧めてくれた小説の作者じゃない」

にこ「……ふーん、この仙台にゆかりのある人なの」

にこ「粋なことしてくれるじゃない、あの子」ｸｽｯ

その晩……

にこ「八木山動物園、楽しかったわ」

にこ「ベニーランドも行きたかったけど……お金が無くなっちゃうわよね」

にこ「本当は鳴子か秋保の温泉宿がとりたかったけど、今夜はこのビジネスホテルで我慢よ」

にこ「さて、このあたりの美味しいお店はどこかしら」

未読：252件

にこ「……あっ！」

にこ「しまった……通知オフにしてたんだった」ﾀﾞﾗﾀﾞﾗ

ﾌﾞｰﾝ ﾌﾞｰﾝ ﾌﾞｰﾝ ﾌﾞｰﾝ

ﾋﾟｯ

にこ「……はい」

真姫『にこちゃん？遅いわよ！いくら電話してもつながらないんだから！』

にこ『ご、ごめん……せっかくの旅行だし、あんまりスマホばっかり見たくなかったから、その』

真姫『言い訳しない！にこちゃんは危なっかしいんだから、連絡はちゃんとしなさい！』ｶﾞﾐｶﾞﾐ

真姫『本当は一人旅なんて反対だったのよ、合宿の時だって……』ｶﾞﾐｶﾞﾐ

にこ「……むー、真姫ちゃん」

にこ「本当は、一緒に来たかったんでしょ」

真姫『なっ……違うわよっ！』

真姫『私はただ、にこちゃんが何かロクでもないことをしないか心配なだけで……』

にこ「大丈夫、わかってるわよ。ごめんね、今度はちゃんと連れてきてあげる」

真姫「だ、だから！」

にこ「――次は、μ'sのみんなで来ましょ！」

にこ「東北って、奥深いわ。仙台以外にも行きたいところが多すぎて、迷っちゃう」

にこ「わんこそばも食べたいし、ねぶただって見たいわ」

にこ「凛には喜多方のラーメンを食べさせてあげたいし……」

にこ「花陽はお米で有名な秋田かしら。あ、さくらんぼで有名な山形もいいわね！フルーツガール的に！」

にこ「希はスピリチュアルな昔話が多い、遠野なんてどうかしら？」

真姫『……そうね』

真姫『にこちゃん達が卒業したって、またみんなで集まれるわよね？……』

にこ「何よ、その反応」

にこ「やっぱり、引きずってたの？」

真姫『べ、別に！』

にこ「もー、しょうがないわね～」

にこ「じゃあ、寂しがり屋の真姫ちゃんのために」

にこ「最新のにこにー画像を送ってあ・げ・る♡」

真姫『はぁ？いらないわよ、ｷﾓﾁﾜﾙｲ』

にこ「実は動物園に行く前に、コスプレする機会があったのよね～」

にこ「じゃあ、いったん切るわね」

真姫『ち、ちょっと！』

ﾋﾟｯ

真姫「……はぁ」

真姫「何が最新のにこにー画像よ！」

真姫「一方的なんだから」

真姫「……」ｶﾐﾉｹｸﾙｸﾙ



真姫「送るなら、早く送りなさいよ」

ﾌﾞｰﾝﾌﾞﾌﾞｯ

真姫「あら、来たわ」

真姫「♪」ｲｿｲｿ

真姫「」

真姫「……ﾅﾆｺﾚ、ｲﾐﾜｶﾝﾅｲ」



おしまい

田舎（東北最大の都市）
ガチの田舎も描きたいけど、調査（資料）不足なのでここまでにします


宮城といえば、移転前の松島水族館が好きでした
あのモノレールはどこに行ってしまったのでしょうね