千歌｢お邪魔します｣ｶﾞﾗﾗ…

千歌｢……｣ｷｮﾛｷｮﾛ

千歌｢当たり前ですが一昨日遊びに来た時とほぼ変わりませーん……｣

千歌｢ん！？｣

千歌｢これは……｣

千歌｢枕元に本が散らばっています｣

千歌｢『壁ドン』……『壁クイ』……読みながら寝ちゃったみたいですね｣

千歌｢一冊持ったまま寝ています。お気に入りでしょうか｣

千歌｢……？ 枕の下から何かはみ出て……あ、『床ドン』ですねこれは。新しいジャンルにも手を出しているみたいです｣

千歌｢んー……今日も朝練あるし特にめぼしいものもないのでもう起こしちゃいますか｣

千歌｢添い寝して……｣

千歌｢……｣

千歌｢おはようございまーす｣

梨子｢ん……？ んぅ……｣ﾓｿﾞﾓｿﾞ

梨子｢……千歌ちゃん？｣

千歌｢そうだよー｣

子｢なんで千歌ちゃんが……隣に……？｣

千歌｢寝起きドッキリだよ｣

梨子｢ん～……夢かぁ……｣

千歌｢え？ いや違くて……｣

梨子(……あっ。自分の意思で体を動かせる！ 喋れる！ これって……明晰夢ってやつ！？)

梨子(わぁ～♡ 枕元に写真とか本とか置くとその夢が見られるって聞いてやってみたけど……)

梨子(明晰夢なんてラッキーだなぁ。じ、自分でやれるってことだよね！？ それも千歌ちゃんに！)

梨子｢よ、よし……｣

千歌｢よしって何……うわぁ！？｣ｸﾞﾙﾝ

ﾄﾞﾝｯ

千歌｢え、え……えっ？｣

千歌(何が起きたの！？ 一瞬で梨子ちゃんに……ひっくり返されて……これって床ドン！？)

梨子｢ふふ……♡｣

千歌(うわなんか……わっるい顔してる……)

梨子｢夢なんだから……何してもいいよね……｣ﾍﾟﾛｯ

千歌(！？ まだ夢だと思って……っ！？)

千歌｢曜ちゃんどうしよう！？｣

曜｢カメラマンは介入しませーん｣

千歌｢えええええ｣

千歌｢待ってよ曜ちゃん！ 何か面白がってない？｣

曜｢正直夢の中で千歌ちゃんに会った梨子ちゃんが何をするのか見てみたいっていうのはある｣

梨子｢ねぇ……千歌ちゃんの今目の前にいるのは私だよ？ 曜ちゃん、なんて言わないで｣

千歌(えええ曜ちゃんは見えてないの？)

千歌｢いや梨子ちゃん、あそこ！ あそこにいるでしょ曜ちゃんが！｣

梨子｢いない｣

千歌(駄目だそっちを向こうとすらしてない)

梨子｢千歌ちゃんはそんなに曜ちゃんのことが好きなの？ 私よりも｣

千歌｢えー、2人とも好きだよ……？｣

梨子｢いやよ、私だけを好きでいて｣

千歌｢……は？｣

梨子｢だから……｣ｸｲｯ

曜(おっ、顎クイいただきました！)

梨子｢私はあなたが好きなの。だから千歌ちゃんも他の誰かを好きでいないで。私だけを見て｣

千歌｢っ！？ え……///｣

曜(こっ……告白来たぁぁぁぁぁ！！！)

梨子｢ねぇ｣ｽﾞｲ

千歌｢ちょっ、待って梨子ちゃん……！｣

曜(おっ？ おぉ……？)

梨子｢ん♡｣

千歌｢……///！！？｣

曜(キスしたぁぁぁぁぁぁあああ！！！)

梨子(ふわぁぁぁ……夢の中とはいえ千歌ちゃんにキスしちゃったぁ……♡)

梨子(……なんか妙にリアルな感触があったなぁ？)

ﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟ…

梨子｢あ、もう朝かぁ……｣

梨子(もっとあの夢の中にいたかったなぁ)

梨子(……)

梨子(……何、この体制？)

千歌｢////｣

梨子(なんで千歌ちゃんが私の下に……)

梨子(……私が床ドンしてるからだ……)

梨子(夢の中と全く同じ……)

梨子｢……え？ まだ夢なの？｣

曜｢ところがどっこい夢じゃありません！ 現実だよー！｣

梨子｢曜ちゃん！！？｣ﾊﾞｯ

千歌｢や、やっとやめてくれた……///｣ﾊｧ

梨子｢え？ え？ ゆ、夢じゃないんだよね？ ど、どどどどういうこと！！？｣

曜｢千歌ちゃんと私で梨子ちゃんに寝起きドッキリを仕掛けにきて、梨子ちゃんがそれを夢だと勘違いして、それであとは梨子ちゃんの知っている通りであります！！｣

梨子｢｣

梨子｢えー……と。確認していいかな？｣

曜｢どうぞ｣

梨子｢私、さっき何て言ってた？｣

曜｢ちょっと待っててね｣ﾋﾟｯ ﾋﾟｯﾋﾟｯ

梨子『私だけを好きでいて』

梨子｢｣

曜｢ご所望なら次のも……｣

梨子｢いや、いいです……｣

千歌｢はぁう……///｣

梨子｢千歌ちゃん｣

千歌｢な、なにぃ……？｣

梨子｢あの……その……えっと……///｣

曜(往生際が悪いなぁ)

梨子｢さっきのっ……本当、だから｣

千歌｢……｣

千歌｢……私も、だよ｣

千歌｢私も、梨子ちゃんが好き｣

梨子｢えぇっ……！？｣

梨子｢え、じゃああの……つき合ってください｣

千歌｢うん……いいよ｣

曜｢ヨーソロー！！｣ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

ちかりこ｢｢！？｣｣

曜｢感無量だよ……やっとか！ って感じ！！｣

梨子｢やっと！？｣

曜｢うん。だって傍から見てたら完全に両想いだったもん｣

千歌｢えええええ！！？｣

曜｢みんな早くくっつけよって思ってたよ。ルビィちゃんなんか『えっ！？ つき合ってないんですか！？』って驚いてたよ｣

梨子｢そうだったの……？｣

曜｢なんか流れで告白した感じだったけど……うん、良かったね2人とも！ お幸せにね！｣

千歌｢あ、ありがとう｣

曜｢いやぁまさか寝起きドッキリからこんなハッピーエンドになるとはね……何があるか分からないよね、人生って｣

梨子｢本当に｣

千歌｢あはは……｣

梨子母｢梨子ぉー！ 今日朝練あるんじゃないのー？ 遅れるよ！！｣

ようちかりこ｢｢｢やばい忘れてた！！！｣｣｣

ーその日の放課後ー

ルビィ｢うわぁ……｣

花丸｢大胆ずらぁ……｣

梨子｢お待たせー……みんな何見てるの？｣

千歌｢なになに？ 面白いもの？｣

梨子『私はあなたが好きなの』

善子｢ヒューッ、かっこいいじゃないリリー｣ﾆﾔﾆﾔ

梨子｢ちょっ……/// 本当に何見てるの！？｣

曜｢寝起きドッキリ｣

梨子｢寝起きドッキリじゃないよこれはもう！！｣

果南｢まぁまぁ落ち着いて……｣

千歌｢でもさ……梨子ちゃんって本当に私のことが好きなの？｣

梨子｢えっ、そう言ったじゃない｣

千歌｢……だって、梨子ちゃん、夢だと思ってる時しか、好きって言ってくれてないし……｣ﾌﾞｽｰ

梨子｢そ、それは……｣

千歌｢……｣ｼﾞｰｯ…

梨子｢っ///……好きですっ！｣

千歌｢……えへへぇ。うん……私もぉ……///｣

鞠莉｢オォウ……もうバカップルねぇ……｣

ダイヤ｢全く。ほどほどにするんですわよ？｣

ちかりこ｢｢はぁーい｣｣

ーーーーー

千歌｢じゃあ梨子ちゃん、また明日ねー｣

梨子｢うん。また明日｣

梨子｢……｣

梨子｢待って｣ｽﾀｽﾀｽﾀ

千歌｢？ 何……｣

梨子｢ん｣

千歌｢ん……///！？｣

梨子｢ふぅ……、その……キスも夢の中でしかしてなかったから……///｣

千歌｢……///｣

梨子｢これから、よろしく♡｣

千歌｢……うんっ///｣

終わり

寝起きドッキリ要素がほとんど無かったことをここにお詫びします