1: 名無しで叶える物語(王都中央区)@\(^o^)/ 2016/12/24(土) 10:37:10.14 ID:shIO95Bj.net
女「わぁー、素敵なお部屋。家具もオシャレなのばかりだし、さすが桜内先輩ですね!」

梨子「もう、あんまりじろじろ見ないでよ。なんだか恥ずかしいわ」

女「ごめんなさい。でも本当に嬉しいです。憧れの桜内先輩のお部屋にお邪魔できて。私いま凄く幸せ!」

梨子「大袈裟ね」

2: 名無しで叶える物語(王都中央区)@\(^o^)/ 2016/12/24(土) 10:46:51.23 ID:shIO95Bj.net
女「ほら、私ケーキとかチキンとか色々買ってきたんですよ。飾り付けの用意も。今夜は二人でいっぱい楽しみましょうね♡」

梨子「……ええ」


数時間後

女「ああ……本当に夢みたい。この日に桜内先輩の家で二人きりでこんな風に過ごせるなんて」

梨子「だから大袈裟だってば」

女「大袈裟なんかじゃないです! だって今日は特別な日だしそれを桜内先輩と……」

7: 名無しで叶える物語(中部地方)@\(^o^)/ 2016/12/24(土) 10:56:35.73 ID:shIO95Bj.net
梨子「ちょ、ちょっと落ち着いて」

女「あ……ごめんなさい。私ったらつい……。でも私、前からずっと先輩の事憧れてて……だから今日付き合っていただけると
お願いを聴いて貰えた時からずっと楽しみにしててそれで……」

梨子「貴女……」

女「ごめんなさい。私なんかにそんな事言われても嬉しくないですよね。それに先輩の優しさに甘えてこんな風に
図々しく家にお邪魔しちゃって……やっぱり迷惑……でしたか?」

梨子「そんな事ないわよ。貴女みたいな可愛い女の子にそんな風に思って貰えるなんて嬉しいわ」

女「……! 桜内先輩!

9: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/12/24(土) 11:08:30.32 ID:9kNK6P/v.net
梨子「……」

女「先輩……今日、このままずっと一緒に居ていいですか?」

梨子「え……」

女「私……先輩と……」

梨子「……っ」

11: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/12/24(土) 11:16:41.45 ID:9kNK6P/v.net
ピロリロリ-ン

梨子(メール……? こんな時間に誰から……)

梨子「ご、ごめんね。ちょっと待って」イソイソ

女「あっ……」

梨子「…………っ!?」

女「桜内先輩? どうかしました?」

12: 名無しで叶える物語(中部地方)@\(^o^)/ 2016/12/24(土) 11:26:00.49 ID:shIO95Bj.net
梨子「……って」

女「え?」

梨子「ゴメン、急用が出来たの! だから今日はもう帰って!!」

女「え? え? だって……」

梨子「ほんとゴメン! 今度必ず埋め合わせするから! だから帰って! 急いで! 早く!!」グイグイグイ

15: 名無しで叶える物語(中部地方)@\(^o^)/ 2016/12/24(土) 11:34:54.20 ID:shIO95Bj.net
女「え? え? え?」

ガチャ,グイグイ

梨子「ほんとゴメンなさい! それじゃまたね! 気をつけて帰って!」

女「えっ、あの、先ぱ…」

ギィ-,バタン

女「……追い出されちゃった」

女「なんなのよーもーーー!!!」

17: 名無しで叶える物語(中部地方)@\(^o^)/ 2016/12/24(土) 11:44:27.36 ID:shIO95Bj.net
ーーー

ピンポ-ン
 
梨子「はーい」ガチャ

善子「こんばんわ~リリー♡」

梨子「う……よっちゃん。飲んでるの?」

善子「全然飲んでませんよ~」ケラケラケラ

20: 名無しで叶える物語(公衆)@\(^o^)/ 2016/12/24(土) 11:57:25.73 ID:ctRYjl/4.net
梨子「ハァ……。とりあえず早く中に入って。 そんなテンションで外にいられたら隣近所に迷惑だわ」

善子「は~い。 お邪魔しま~す♡」


善子「あー寒かった。でも、雪の予報だだったのにまだ降ってこなかったわね」

梨子「全くもう。 なんでこんな時間に行きなりくるのよ」

善子「だって~。急にリリーに会いたくなったんだもん~」

21: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/12/24(土) 12:08:53.21 ID:nKcllIm6.net
梨子「……とりあえずこれ。飲んで」

善子「あ、お水。 ありがとうリリー。 ちょうど喉が渇いてたのよ。気が効くわね。流石、私のリトルデーモンね」

梨子「はいはい」


善子「あ、そうだコレ」

梨子「ケーキ?」

善子「そうよ。 来るときに買ってきたの。 一緒に食べましょう。 あとシャンパンもあるのよ。乾杯しましょう乾杯 」

梨子「まだ飲む気なの!?」

24: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/12/24(土) 12:16:19.16 ID:nKcllIm6.net
善子「まだってなによ。 全然飲んで無いってば。ほらリリー。グラス用意してよ」

梨子「お酒弱いくせにまったくもう……」

善子「あとコレ。キャンドルも持ってきたんだから。 部屋の明かり消してコレを点けましょうよ。
えっと、ライターライター……あっ」ポロッ.カチャ

梨子「手がおぼついてないじゃない」

32: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/12/24(土) 14:38:37.12 ID:rFTAy123.net
善子「ちょっと手が滑っただけよ。 よっ」フラッ

梨子「あ~もうフラついてるじゃない。私が拾うからよっちゃんはそのまま椅子に座ってて」カガミ

善子「悪いわね」

梨子「まったくもう…」チラッ

梨子(……! よっちゃんの太ももが///)ドキッ

33: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/12/24(土) 14:43:48.96 ID:rFTAy123.net
善子「……? どうしたのリリー」

梨子「え!? な、なんでもないのよなんでも! ハイ、ライター」

善子「ありがと」

梨子(……もう、なにちょっと喜んでるのよ! 私のバカバカ!///)ドキドキ

34: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/12/24(土) 14:51:57.12 ID:rFTAy123.net
~~

電気を消した部屋をキャンドルの灯りだけが照らす

善子「フフフ……なかなか雰囲気が出てきたわね。漆黒の闇の中で怪しく揺れる灯火。堕天使の宴の始まりに相応しいわ」

梨子「……なに言ってるのよ。久しぶりだけど、相変わらずだねその堕天使キャラ」

善子「……流石にもうリリーの前くらいでしかこんな事やらないわよ」ボソッ

35: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/12/24(土) 15:04:27.03 ID:rFTAy123.net
梨子「え? なにか言った?」

善子「ううん、なんでもないわ。それよりグラスもって。シャンパン注いであげる」

梨子「ん。ありがとう」

善子「準備も出来たところでそろそろ乾杯しましょうか。それじゃあ」


「「メリークリスマス」」

41: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/12/24(土) 19:03:20.17 ID:rFTAy123.net
善子「ん。このシャンパン美味しっ♡」

梨子「あんまり飲みすぎないでよ」

善子「大丈夫よこれくらい」

梨子「ほんとにぃ?」

善子「ケーキもコンビニの安売りにしては中々ね。リリーももっと食べなさいよ」

42: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/12/24(土) 19:07:24.16 ID:rFTAy123.net
梨子「う、うん……でも私はあんまりお腹は空いてないかな」

善子「もうゴハン済ませてた? そっかこんな時間だものね。でも甘い物は別腹でしょう?」

梨子「そんな事より今日はどうしたの?」

善子「どうしたのってなによ。さっきも言ったでしょ。急にリリーに会いたく

梨子「嘘ね。それでこんな時間に急に来るなんて不自然でしょ。それもこんな日に。お酒弱いクセにそんなに酔って。そう言えば前にあった時に税理士か
なんかの人と付き合い始めたみたいな話してたわよね? その人はどうしたの? 何かあった?」

善子「う……鋭いわね。実は……」

46: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/12/24(土) 21:51:40.97 ID:uU+Ef+mw.net
~~

善子「それでさ。その時も私がせっかくオススメした最高の激辛料理に文句言うしさ」

梨子「はぁ……」

善子「だいたい今日だっていきなり仕事が入ったとかいって約束すっぽかして! この私との契約を破るなんてとんでもない事だわ……ねぇリリー!
聞いてるの!?」

梨子「はいはい、聞いてるわよ……」

梨子(まったく、なんでこんな時間にこんな愚痴を聞かされてるのかしら。イミがワカラナイわ。……まあ、問い詰めたの私だけど)

善子「だいたい、あの子とは趣味も全然合わないし……そう言えば前に付き合ってた相手も最低だったわ。私って女運ないのかしら。
やっぱり不幸だわ。どこかに私の事をちゃんと理解してくれる人っていないのかしら……」ブツブツ

47: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/12/24(土) 21:55:16.77 ID:uU+Ef+mw.net
梨子(でもよっちゃん……。今、彼女さんとケンカ中なんだ。どうも今までもあんまり上手くいってないみたいだし。
もしかしたらこれってチャンスなんじゃ……)

梨子(……っ! あぶないアブナイ! 私ったらなに考えてるのよ!? そうだとしたって私なんかがそんな事しても……)


善子「そう言えばリリーこそどうなの? 今夜一緒に過ごす約束してる人とか居ないの?」

50: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/12/24(土) 23:40:23.60 ID:uU+Ef+mw.net
梨子「えぇ……? 行きなり来ておいて今さらそれ言う?」

善子「だってリリーならクリスマスに誘ってくる女の一人や二人はいるでしょう?」

梨子「い、いないわよそんな人」

善子「ウソ? 本当に?」

梨子「ほ、本当よ……」

善子「そう? じゃあ安心して今日はリリーに甘えられるわね」

梨子「え、え?」

善子「私の事慰めてよ。リリー」

善子は梨子の隣に座り、梨子に肩を寄せる。

51: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/12/24(土) 23:48:41.03 ID:uU+Ef+mw.net
梨子「ええっ!?」

善子「あら?」

梨子「ど、どうしたの?」

善子「その胸元のネックレスってもしかして」

梨子「ああ、これ? うん、昔よっちゃんから貰った十字架よ。リトルデーモンの契約の証って言って」

善子「まだ持ってたの?」

梨子「う、うん……なんか愛着もあるし。なによ悪い?」

善子「ううん、大切にしてくれて嬉しい」

梨子「よっちゃん……」

52: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/12/24(土) 23:58:35.89 ID:uU+Ef+mw.net
善子「私もね」ゴソゴソ 
 
善子は胸元からペンダントトップを取り出す。

善子「ずっと着けてたのよコレ」

梨子「そう……なんだ」

善子「主の命をずっと忠実に守り続けるなんて本当に優秀なリトルデーモンねリリーは」

梨子「またリトルデーモンて……」

53: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/12/25(日) 00:09:53.78 ID:RqFcVTDx.net
ぽすっ

善子は梨子の肩に顔を埋める様に頭を預ける

梨子「ちょ……行きなりどうしたのよっちゃん!?」

善子「リリーは昔から変わらないわね。安心する」

梨子「よっちゃん……」

55: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/12/25(日) 00:25:28.83 ID:RqFcVTDx.net
フワッ

梨子(あ……よっちゃんの香りが……///)クラッ

善子「この髪も相変わらず綺麗よね。とってもサラサラしてるし」サワサワ

梨子「あっ……///」

善子「顔も……高校生の頃から美人だし」

梨子「ちょ、ちょっと!……もう……からかわないでよ///」

善子は顔を上げ、梨子の瞳を見つめながら続ける

善子「綺麗な瞳……まるで宝石みたい……」

57: 名無しで叶える物語(中部地方)@\(^o^)/ 2016/12/25(日) 00:40:46.41 ID:3IXqei0e.net
梨子「も、もうやめてったら!///」

梨子(こんな時にそんな事言うなんて……ズルいよ///なによ……まさか私を誘ってるの?)ドキドキ

梨子「そ、それだったらよっちゃんの方こそ! 肌も白くて綺麗だし、長い黒髪も輝いてる! 鼻だってスラッと
高くて……よっちゃんの方がよっぽど美人だわ!」

善子「……え?」

梨子「ほんっと、こんな素敵な子をクリスマスにほっとくなんて信じられない! 最低よねよっちゃんの彼女!」

善子「リリー……」

梨子「も、もし私がよっちゃんの彼女なら絶対によっちゃんの事、大切にするのに! ……な、な~んて」

梨子(わ、私ったら勢いに任せてとんでもない事言ってる様な……)

58: 名無しで叶える物語(中部地方)@\(^o^)/ 2016/12/25(日) 00:49:37.95 ID:3IXqei0e.net
ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ

鳴り響く、鐘の音の様に梨子の心臓は激しく波打つ

梨子(ど、どうしよう! こんなの……よっちゃんに聴こえちゃうよ!)

善子「……本当?」

梨子「え?」

善子「本当にリリーなら私の事を大切にしてくれる?」スリッ

梨子「ちょ……よっちゃんっ……」

梨子(な、何コレ!? よっちゃんが身体をすり寄せて……!! どうする!? このまま勇気を出して抱きしめちゃう!?
いやいや、ダメよ! そんなのはただの私の欲望……。 一応、まだよっちゃんにはちゃんとした彼女さんがいるんだし…… しっかり自制心を保って私!
……でもでもでも。これは完全にOKのサインよね!? このまま行っちゃっていいのよね!? いやいやいやちょっとまって! あーもう、
どうしたらいいのー!? よっちゃんのばかばかばかーー!!!)

善子「リリー……」

59: 名無しで叶える物語(中部地方)@\(^o^)/ 2016/12/25(日) 00:57:47.36 ID:3IXqei0e.net
梨子(うぅ……もうダメ。やっばりもう我慢できない。このまま抱きしめてしまおう。その後どうなったっていいかr

善子「なーんちゃって」

梨子「……え?」

善子「プッ……ククッ……アーッハッハ! 冗談よ冗談! 何よリリーったらその顔! クフフフフフ 」

梨子「……。もーーー!! よっちゃん!!?」

善子「フフフフフッ。ゴメンなさいリリー。慰めてくれてありがとうリリー。貴女って本当に良い人ね」

梨子「まったく!!……」





梨子(『イイヒト』……か)ズキッ

60: 名無しで叶える物語(中部地方)@\(^o^)/ 2016/12/25(日) 01:07:13.22 ID:3IXqei0e.net
善子「あー、笑ったらなんか喉が渇いちゃった。ちょっとお水貰うわね」フラフラ

梨子「ええ……ハッ!? 待ってよっちゃん! そっちは……」

水を求めフラフラと台所に入る善子。そこで目に入った物はとりあえずとシンクに入れられた使用済みの食器やグラスだった。

二人分の。

善子「リリー……もしかして」

梨子「よっちゃん……」

善子「そっか、そりゃそうよね。ゴメンね、私ったらお邪魔しちゃったみたいで」

梨子「ち、違うの! その子はただの会社の後輩で! ずっと食事とか誘われてて、でも、ずっと断ってて!
でも……あんまりにも何度も真剣にお願いしてくるから、その、断り続けるのも悪い気がして……
でも、本当にそんな関係じゃなくて」

善子「リ、リリー? ちょっと落ち着いて」

梨子「私は……私は……」ウルッ

善子「だから落ち着きなさいって! ……お互い今日はちょっと飲み過ぎちゃったみたいね。リリーの分のお水も入れてあげるわ。ソファに座って飲みましょう」

梨子「……うん」

61: 名無しで叶える物語(中部地方)@\(^o^)/ 2016/12/25(日) 01:39:25.77 ID:3IXqei0e.net
~~

二人掛けのソファ。

善子と梨子はそこに並んで座っている。


善子「落ち着いたみたいね」

梨子「うん……ゴメンねよっちゃん。なんか取り乱しちゃって」

善子「良いわよ別に。でもどうしちゃったのいきなり?」

梨子「それは……」

言葉を詰まらせて梨子は顔を伏せる。

善子はそれ以上は何も聞かなかった。

コクッ

善子が水の入ったグラスを口元で傾けると梨子はその音に反応する様に少しだけ顔を上げ、善子の横顔をじっと見つめた。

(やっぱり綺麗……いつからだっけ。私がこの堕天使に心惹かれてしまったのは。ずっと見てきた。貴女が……叶わぬ恋と思いながら、それでもあのひとの事を
想い見続けていた綺麗な横顔も。私は……ずっと見ているだけだった)

62: 名無しで叶える物語(中部地方)@\(^o^)/ 2016/12/25(日) 02:29:36.86 ID:3IXqei0e.net
善子「どうしたのリリー? 私の顔になにか付いてる?」

梨子「え? う、ううん、なんでもない!」

梨子(うぅ~しまった。思わずじっと見とれてしまった……///)

善子「クスっ……やっぱり今日のリリーはちょっと変ね。なにかあった?」

梨子「べ……別に……」

善子「……そういえばさ。あの時もリリーは私を慰めてくれたわよね」

梨子「え?」

善子「私が……失恋したあの日。あの二人が正式に付き合い始めて……分かっていたはずなのに。あの二人の間に私が割り込む隙なんて無いって。
それでも諦めきれなくて……散々泣いて。あの時もリリーが慰めてくれたのよね」

梨子「そ、そんな事もあったかな……」

善子「あの時、リリーがそばに居てくれなかったら私はどうなってたか……貴女には本当に感謝しているのよ」

63: 名無しで叶える物語(中部地方)@\(^o^)/ 2016/12/25(日) 02:40:14.41 ID:3IXqei0e.net
梨子「そんな……」

善子「リリーは優しい……その……私の大切な親友……なんだから。だからその……なにかあったのなら私に相談してよ?」


梨子(親友……か。そうよね、それで良かったの。貴女が私を必要としてくれるなら。貴女の側に居られるならそれで……)

善子「ねえリリー?」

梨子「別になんにも無いってば!」

ガッ

カチャン

少し取り乱した梨子の足がテーブルにぶつかり、水の入ったグラスが倒れた。

「「あ」」

同時にグラスに手を伸ばす二人。その手が卓上で重なった。

梨子「っ……!」

重なったその手を……梨子は思わず握りしめる。

64: 名無しで叶える物語(中部地方)@\(^o^)/ 2016/12/25(日) 02:45:05.59 ID:3IXqei0e.net
梨子「よっちゃん……」

善子「リ、リリー……? どうしたの?」

突然、手を握られて驚き善子は梨子の顔を見る。

梨子も善子の顔を見つめ、二人の視線が強くぶつかる。

梨子「私……私……」

梨子(やっぱり無理だ……友達のままなんて。これ以上……このままこの想いを隠し続けて我慢するなんて……私は……もう……)

65: 名無しで叶える物語(中部地方)@\(^o^)/ 2016/12/25(日) 02:51:03.37 ID:3IXqei0e.net
善子「リリー?」

その瞬間……彼女の中の何かが弾け、燃え盛る熱い炎が彼女の心に広がった。

(天使でも堕天使でも良い!! この想いが罪だと言うのなら罰してくれて構わない! だから、今この瞬間だけでも!
私に……奇跡を……)

梨子「よっちゃん……私……ずっと……ずっと前から……貴女の事が……」

善子「えっ……」

不意を突く様に梨子は善子の唇を奪う。

……外では夜の闇を白く染めるように雪が降り始めていた。




~Burnin' X'mas~

66: 名無しで叶える物語(中部地方)@\(^o^)/ 2016/12/25(日) 03:31:44.10 ID:3IXqei0e.net
~~

善子「……リリー」

梨子「……」プイッ

善子「あの、リリー?」

梨子「忘れて!」

善子「え?」

梨子「さっきの事……お願い! 忘れて!」

善子「ちょっとまって! 何を言って」

梨子「伝えるつもりなんてなかった……こんな……想いなんて。よっちゃんは私の大切な親友で……その関係を壊したくなくて……
それで良いって……それだけでも充分だって……それなのに……あんな事まで……私……」グスッ

善子「リリー……」

梨子「ゴメン……本当にゴメンねよっちゃん……私ったら勝手な事ばっかり……でも……だから……忘れてくれた方が……私……」

善子「嫌よ」

梨子「えっ……」

67: 名無しで叶える物語(中部地方)@\(^o^)/ 2016/12/25(日) 03:40:00.56 ID:3IXqei0e.net
善子「あのね、リリー。こっちを向いてちゃんと聴いて! 私はね、嬉しかったの! さっきのリリーの行動が! 想いが!!」

梨子「よっちゃん……」

善子「そりゃ突然あんな事されたからびっくりしたけど……。でも、そう言う事だから……忘れるなんて絶対に嫌よ」

梨子「うそ……」

善子「嘘じゃないってば!……もう、ほらこれ。涙を拭いて」

梨子「う、うん……ありがとう」


善子「……どういたしまして」

70: 名無しで叶える物語(中部地方)@\(^o^)/ 2016/12/25(日) 08:21:24.18 ID:3IXqei0e.net
梨子「でも、よっちゃん……」

善子「なによ?」

梨子「今の話、本当に本当なの? 嬉しかったって」

善子「~~っ/// ホントにホントだってば! なに!? 文句あるの!? それとも嘘だった方が良かった!?」

梨子「い、嫌です! 本当が良いです! ……で、でも」

善子「あ~もう! どうしたら信じるのよ!」

梨子「だってだって! 」


善子「わ、私も貴女の事が好きだったからよ! ずっとずっ~~と前からね!」




梨子「えええええ~~~~~っ!?」

71: 名無しで叶える物語(中部地方)@\(^o^)/ 2016/12/25(日) 08:28:44.98 ID:3IXqei0e.net
梨子「うそうそうそ~~!」

善子「だから嘘じゃないってば!!……でも、そうね。今日の話にひとつ大きな嘘があったわ」

梨子「え!? や、やっぱり……」

善子「違うわよ!! ……嘘ってのは彼女から約束をすっぽかされたって事! 約束なんて最初からなかったの! だって……
あの子とはと~~っくの昔に別れたんだから!!」

梨子「はぁ~~~っ!?」

善子「熱心に迫られて……最初は断り続けてたんだけどね。あんまりにも何度もアタックしてくるもんだから……。とりあえずお試しでって事で。
でも私、ほら。今は外ではこう……普通にしてるでしょ? だから……誰かと付き合っても本当の自分を見せられないって言うか……
ちょっとでも見せようとしても、なんとなく分かるのよね。ああ、これ以上地を見せるとドン引きするんだろうなって。だからそれが凄くストレスになって……
結局、一か月も持たずに別れたわ。これまでだってずっとそう」

梨子「そう……だったんだ」

72: 名無しで叶える物語(中部地方)@\(^o^)/ 2016/12/25(日) 08:37:02.01 ID:3IXqei0e.net
善子「……実はね。この前、見ちゃったの。夜にリリーが知らない女の子と街を歩いてる所を」

梨子「え? なんだろう。帰りにあの子と駅まで一緒に行った時かな?」

善子「多分そうね。二人で駅まで向かってたし」


善子「でも私は彼女の顔を見てすぐに分かったの。ああ、あの子はリリーの事が凄く好きなんだろうなって。
それで今日……もしかしたらリリーはあの子と過ごすのかもって思ったらなんだか寂しくて……。お酒でも飲んで
紛らわそうって思ったんだけど……逆にますます寂しさが膨らんじゃって……居ても立っても居られなくなって。
思わず家を飛び出してリリーにメールしちゃったの」

梨子「よっちゃん……」

善子「ごめんなさい。気持ち悪いわよねこんな……。彼女でもないのに嫉妬してこんな風に押しかけたりして」

梨子「ううん、そんな事ないよ! 私は今……よっちゃんの気持ちが聴けてとっても嬉しいよ」ギュウ

善子「リリー……」

73: 名無しで叶える物語(中部地方)@\(^o^)/ 2016/12/25(日) 08:49:42.94 ID:3IXqei0e.net
梨子「私も一緒だよ。本当にあの子とはなんでもなくて。本当に今日は断り切れなくて一緒にちょっとしたパーティしただけで、その後は……」

善子「わかってるわよ。私はリリーを信じるわ」

梨子「ゴメンね、よっちゃん」

善子「フフ、なんで謝るのよ」

梨子「だって……」

善子「謝るなら私じゃなくてあの子にでしょ」

梨子「そ、そうよね! 後輩ちゃんには本当に悪い事しちゃったなぁ」シュン

善子「まったく、あんなに可愛い後輩を惑わして振り回すなんて。流石はこのヨハネのリトルデーモンね」

梨子「よっちゃんたら! こんな時にまでもう!」

74: 名無しで叶える物語(中部地方)@\(^o^)/ 2016/12/25(日) 09:01:03.72 ID:3IXqei0e.net
梨子「でもいつから?」

善子「なにがよ?」

梨子「よっちゃんがその……私の事を好きになったって事」

善子「え? そんな事いま聴くの!?」

梨子「だ、だって~」

善子「わ、わかったわよ。そうね、あの時くらいからよ。あの二人が付き合い出して私の想いが知られる事なく打ち砕かれて。それで、貴女が慰めてくれて、
貴女の優しに触れていく内にだんだんと……」

梨子「そ、そんな前からだったんだ……。私はあの後もずっとよっちゃんはあの子の事を想っているんだとおもってた」

善子「そ、そりゃちょっとはね! でも貴女のおかげでだんだんとそれも薄れて行って」

梨子「だったらなんで私じゃなくて他の女の子と付き合ったりしてたのよ!? それも一人や二人じゃないし!」

75: 名無しで叶える物語(中部地方)@\(^o^)/ 2016/12/25(日) 09:10:16.14 ID:3IXqei0e.net
善子「し、仕方ないじゃない! 私だって怖かったのよ! リリーとの関係が壊れる事が。ただでさえ、リリーには私があの子の事を想ってるのを
知られてた訳だし……。リリーはそんな想いも、傷ついた気持ちも全部ひっくるめてあくまでも友達として慰めて
くれてるんだと思ってた。だから尚更……。でも、やっぱり一人でいるのは寂しくて……ついつい私に好意を寄せてくれる子と関係を持っちゃって……」

善子「でもね!? 深い関係にまでなった人は誰一人としていないのよ!? やっぱり他の人じゃダメで……アレどころか……キ、キスだってまだ
誰ともした事無かったんだからね!!///」

梨子「え!? 本当に!?」

善子「……本当よ! それなのに……」

梨子「ご、ごめんなさい……私ったらなんて事を……」

善子「そ、それは別に……良いのよ謝らなくても……相手が貴女だったんだから///」

梨子「よ、よっちゃん……///」

77: 名無しで叶える物語(中部地方)@\(^o^)/ 2016/12/25(日) 09:19:02.88 ID:3IXqei0e.net
善子「そ、それよりもリリー! 貴女の方こそどうなのよ!? 一体、いつから私のことを!?」

梨子「私は……もっとずっと前からよ。それは最初はなんだか凄く変な人だな~って。正直、あんまり関わりたくないかもって思ったりもしたけど」

善子「ひ、非道い……」

梨子「でも、でも! よっちゃんの生き生きとした姿を見て、不運にも負けない前向きな強さを見て、いつの間にか……貴女があの子の事を
好きなんだって知った時だってもう……」

善子「そう……なんだ。 それは……貴女には辛い想いをさせちゃってたのね」

梨子「まったくよ、もう」プイッ 

…………

「「プッ。アハハハハハハハっ」」

78: 名無しで叶える物語(中部地方)@\(^o^)/ 2016/12/25(日) 09:29:58.86 ID:3IXqei0e.net
梨子「ねぇ、よっちゃん」

善子「なに?」

梨子「ひょっとして……よっちゃん、私の家のお金が目当てなんじゃない?」

善子「な……なによそれ!」

梨子「だってぇ」

善子「ちがうわよ! そんな訳ないでしょ!」

梨子「本当かなぁ?」

善子「本当よ!」


梨子「ふぅん、そう? でも私、激辛料理も全然食べられないよ? よっちゃんには合わないかも」

善子「そんなの別にいいわよ! うう……なんなのよもう……」

梨子「うふふ。ちょっと意地悪してみたの。今まで散々、切ない想いをさせられたお返しにね?」

善子「ううぅ……いじわる」

梨子「ゴメンゴメン。でも仕方ないじゃない。私ってばよっちゃんの小悪魔なんだから」ニコニコ

79: 名無しで叶える物語(中部地方)@\(^o^)/ 2016/12/25(日) 09:40:05.07 ID:3IXqei0e.net
梨子「……ねぇ、よっちゃん。私は貴女の事が好きです。これからもずっと貴女の一番近くに居たいです」

善子「私だって。リリーの事を心から愛してるわ」

梨子「あぁ、幸せ。夢じゃないわよね。こんなに幸せなんて信じられない」

善子「あら、リリー。こんな幸せなんかに気を抜いているようじゃダメよ」

梨子「え?」

善子「なんたって貴女はこの堕天使ヨハネの結ばれるのよ? この先どんな不幸に見舞われるかもしれないわ。貴女にはその覚悟があるの?」

梨子「まったく……いいわ。貴女とならたとえ何処まで堕ちる事になろうとも一緒にいてあげる。この十字架に誓ってね」

善子「リリー……」

梨子「よっちゃん……」

小さな灯火が暖かく彼女達を包み込む中で


二人の唇は優しく重なった

引用元: 女「お邪魔します、桜内先輩♡」梨子「ええ、いらっしゃい」