1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 03:17:53.186 ID:lhMDMRUA0.net
ラフィエル「ですから……選んでください。堕天するか、それとも……死ぬか」

ガヴリール「な、何言ってんだ……?何の冗談だよ……?」

ラフィエル「ふふ、本当はわかってるんじゃないですか」

ガヴリール「わかるわけが!」

ラフィエル「……白羽家はあなたも知ってるでしょうがとても大きな、天界で一番の名家です。私は長女として様々な教育を受けました」

ラフィエル「それは……楽だったとは言えない……辛い、辛い日々でした」

3: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 03:21:28.832 ID:lhMDMRUA0.net
ラフィエル「すべての天使を統べるため……全てにおいて優れた天使になるため。私は白羽家の歴史の中でもまれに見る才覚を発揮していたそうです」

ラフィエル「それは……首席卒業は当たり前だろうと持て囃される程度には」

ガヴリール「あ……」

ラフィエル「そうです。しかし結果は次席……そのうえなんということですか。首席は天真家とかいう無名の庶民。私は誰も知らないような庶民に敗北したのです」

ラフィエル「あの日から……あなたに対する憎悪の感情を抱かなかった日はありません。今も……この手で絞め殺したいほどです」

ガヴリール「ラフィ……」

ラフィエル「それに……あなたという存在がいる時点で私は常に庶民と比較され続けるのです。それは……とてもつらかった……」

5: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 03:24:32.826 ID:lhMDMRUA0.net
ラフィエル「あなたみたいな天使さえいなければ――――お願いします。天界から消えてもらえませんか。もう二度と……私と関わらないでもらえませんか」

ガヴリール「ほ、本心……なのか?それが……お前の……」

ラフィエル「元々おかしかったと思いませんか。白羽家という名家の娘と友達?あなたのような庶民が?そんなことありえるわけないでしょう。庶民は庶民だけで絡むもの。私とあなたは文字通り住む世界が違うんですよ」

ガヴリール「……でも」

ラフィエル「……いい加減理解してください。もう二度と……私の前に現れないでください。できることならば――天界にも帰ってこないでください。あなたと同じ空気を吸っているだけで虫酸が走るので」

ガヴリール「……ッ!」ダッ

6: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 03:28:13.139 ID:lhMDMRUA0.net
ガヴリール(なんで……なんでだよ……!?)タッタッタッ

ガヴリール(私達……昨日まで仲のいい友達だったじゃないか……!)タッタッタッ

ガヴリール(なんで……いきなりっいきなりこんなっ……!もしかしてラフィと友達だと思ってたのは私だけ――)

ドンッ

ガヴリール「っつつ……!」

ヴィーネ「ちょっとガヴ……前も見ないで走って……どうしたのよ」

ガヴリール「ヴィーネ……ヴィーネぇ……!」ポロポロ

ヴィーネ「!?」

10: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 03:30:41.115 ID:lhMDMRUA0.net
ガヴリール「……というわけで、ラフィエルの奴に絶交されてっ……」ポロポロ

ヴィーネ(おかしいわね……私もラフィとは仲良くできてたと思ってた。ラフィと二人きりのときだって陰口とか聞いたことないし)

ヴィーネ「あ!もしかしたらエイプリルフールじゃないかしら!?」

ガヴリール「……まだ4月じゃないぞ」

ヴィーネ「で、でもほらっ帰省しちゃうから早めに、みたいな!」

ガヴリール「そんなことあるか……もしそうだとしても言っていい嘘と悪い嘘があるだろ……」

ヴィーネ「そう、よね……ごめん……」

15: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 03:32:06.925 ID:lhMDMRUA0.net
ガヴリール「そ、そうだっ!サターニャにならなにか口走ってるかもしれない!」

ヴィーネ「たしかにっ」

ガヴリール「とりあえず……明日学校で何が遭ったか聞いてみよう。サターニャにも……ラフィにも」

ヴィーネ「そうね……」

ギュッ

ヴィーネ「ガヴ……?」

ガヴリール「ラフィに嫌われるのは……いやだ……」ポロポロ

ヴィーネ「大丈夫……大丈夫だから……」ナデナデ

16: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 03:34:42.455 ID:lhMDMRUA0.net
翌日

ガヴリール「ラフィは……?」

サターニャ「まだ来てない……それどころか今日まだ会ってない……」

ヴィーネ「サターニャに絡んでないなんて……」

ザワザワ...ザワザワ...

ヴィーネ「隣のクラスがやけに騒がしいわね……?」

「聞いたか?白羽さんが転校するらしい!」「他校と生徒を一時交換するやつ?」「違う違う!地元に帰るんだと!」

ガヴリール「なん……だと……?」

17: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 03:36:58.540 ID:lhMDMRUA0.net
休み時間

ガヴリール「ラフィ!」

ヴィーネ「ちょっとどういうことなの!?私何も聞いてないわ!」

サターニャ「そうよ!いきなり転校なんて……!」

ラフィエル「……今は忙しいので。放課後にお話してあげますから後にしてもらえます?」

ガヴリール「……っ」

ヴィーネ「わ、わかったわ……放課後に、また」

サターニャ「に、逃げたら承知しないわよ!」

19: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 03:38:53.802 ID:lhMDMRUA0.net
放課後

ガヴリール「ラフィ……」

ラフィエル「いい加減愛称で呼ぶのやめてもらえませんか……」

ガヴリール「ッ」

ヴィーネ「ちょっとラフィ!どうしたのよ!?いきなり転校だなんて……!」

サターニャ「そうよ……私達昨日まで仲良くやってたじゃない!」

ラフィエル「天真さんにある程度聞いてるのでは?」

ヴィーネ「そ、それは」

20: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 03:41:35.672 ID:lhMDMRUA0.net
ラフィエル「何を飾る言葉なんてありません。私は元から天真さんのことが大嫌いでした。もう我慢の限界です」

ラフィエル「ですから天界に帰ります。それだけです」

ガヴリール「……」ポロポロ

サターニャ「ほ、本当なの……?ねえ、本気で言ってるの!?」

ラフィエル「そうですよ。ですからもう二度と私に顔を見せないでください。天界に帰ってこないでください」

ヴィーネ「嘘よ……絶対嘘……!」

ラフィエル「この際ですからお教えしましょう。ガヴちゃんが駄天した元凶は私だと……」

ガヴリール「は……?」

22: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 03:44:37.732 ID:lhMDMRUA0.net
ラフィエル「学校生活が始まって間もない頃……私はあなたが駄目な天使になるために人間界の娯楽に目をつけました」

ラフィエル「あなたの家に忍び込み、ネットゲームに触れさせた。天界には人間界の娯楽物はありません。特に庶民の家では尚更です」

ヴィーネ「そんなこと……」

ラフィエル「簡単ですよ。神足通を使えば鍵なんて無いに等しいですし……現にこうして駄天使ができあがったじゃないですか」

ラフィエル「でも……それでも私はまだあなたと比べられ続けられる……結局問題は解決しませんでしたし……」

ラフィエル「この際本当に堕天して悪魔三人で仲良くやったらどうでしょう」ニコニコ

23: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 03:47:21.530 ID:lhMDMRUA0.net
ヴィーネ「ラフィ……」

ラフィエル「お話は以上ですか?」

ガヴリール「ま、待って……」

ラフィエル「みたいですね。では私は帰ります」

ガヴリール「待ってラフィ!!」

ラフィエル「……うざいですね」ボソッ

ガヴリール「ラフィ……!ラフィエルぅ……」ポロポロ

25: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 03:50:56.848 ID:lhMDMRUA0.net
ヴィーネ宅

ガヴリール「……」

サターニャ「私は……あいつが理由もなしにあんなことするとは思えない」

ヴィーネ「それはそうなんだけど……」

サターニャ「もしかしたら……駄天使になったガヴリールを見放した……とか?」

ガヴリール「……それは」

ヴィーネ「い、いやいやいやっ!でもそのぐらいで……」

ガヴリール「いや……元は首席だったんだ。それがこれだ……幻滅してもおかしくない」

サターニャ「ガヴリール……」

ヴィーネ「が、ガヴ……」

27: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 03:54:07.025 ID:lhMDMRUA0.net
ガヴリール(それから数日が経った。あれからラフィエルに会うことはなく、皆が電話をしても出ることはなかった)

ガヴリール「ラフィエル……」

ヴィーネ「ラフィがいなくなってから……本当に静かになったわね……」

サターニャ「うぅ……なんで……どうして……?」

ガヴリール「やっぱり……原因は私にある……と思う」

ヴィーネ「ガヴ……」

28: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 03:58:32.344 ID:lhMDMRUA0.net
ガヴリール「あいつは私のことが嫌いっつっても……天使学校に通ってた頃は仲良くやってたと思う。思ってる」

ガヴリール「だから駄天が原因じゃないかなって……」

ガヴリール「それに今の私に出来ることと言ったら……優等生の頃に戻ることぐらいだ」

サターニャ「ガヴリール……」

ガヴリール「また……また4人で遊ぶためなら……そのくらいの努力よろこんでしてやるさ」

30: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 04:01:58.859 ID:lhMDMRUA0.net
ガヴリール「夏休みに……一人で旅に出ようと思う」

サターニャ「旅……?」

ガヴリール「ああ……ここにいたらみんなに甘えてしまう。それにここは娯楽が多すぎる。昔の私に戻るために……一人で見知らぬ土地で暮らしたい」

ヴィーネ「でも……」

ガヴリール「夏休みの間だけだよ……本当だ」

32: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 04:04:07.754 ID:lhMDMRUA0.net
サターニャ「嘘じゃないわよね……?」

ガヴリール「ああ。戻ってきたら……またみんなで遊ぼう」

ヴィーネ「もちろんよ!」

サターニャ「絶対よ!絶対だからね!」

ガヴリール「ああ――」

…………
……

33: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 04:07:56.600 ID:lhMDMRUA0.net
夏休み 日本某所

ガヴリール(はぁ……二人に嘘をついてしまった)

ガヴリール(元の私に戻りたいというのはあくまで目的の一つ……建前でしかない)

ガヴリール(本音は……居たたまれなくなったんだ。ラフィに嫌われてしまったという現実が、関係を壊した原因が私だという現実が……)

ガヴリール(逃げたくなったなんて……言えるわけがない。はぁ……私……駄目な天使だなぁ……)

ガヴリール(さてと着いたな。駅の名前は……どうでもいいか。とにかくここにはヴィーネもサターニャもラフィエルもいない)

ガヴリール(ここで新しい人生が始まるんだ……)

35: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 04:13:00.807 ID:lhMDMRUA0.net
ガヴリール「さて……適当に電車を乗り継いできたがここはどこだか。まあいいか……」

ガヴリール「適当に練り歩くか。いやその前に宿を探しておこうか」

ガヴリール「ネカフェ……いやいや。パソコンがあるだろ。駄天直せないっての。それ以前に私は高校生、泊まれるわけがない」

ガヴリール「あー私としたことが……どうするかな」

ドンッ

ガヴリール「いっつつ……?」

「あいたたた……」

ガヴリール「すみません前見てなくてー……」

ガヴリール(ん……こいつ……)

36: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 04:16:52.524 ID:lhMDMRUA0.net
「いえこちらこそー……って」

ガヴリール「ええと……もしかしてあなたは悪魔……?」

「まさかお前は天使か……!」

ガヴリール(こんなところで悪魔と出会うとはな……)

「ここで出会ったが百年目!私は魔界を統べる――」

ガヴリール(悪魔ってみんなこうなのか……?まるでサターニャみたいだな)

「話を聞け!!!」

ガヴリール「あ、ごめんなさい……。私は忙しいので……。あなたの邪魔をするつもりはありませんので。これにて……」

37: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 04:20:17.919 ID:lhMDMRUA0.net
「ちょっ待って!!」

ガヴリール「なんでしょう……」

「なにか悩み事してないか?」

ガヴリール「……」

「このあたりで天使なんて見たことない。どっかから来たんだろう。わかった!宿がないんだな!」

ガヴリール「それは、そうですが……」

ガヴリール(まあ、それだけじゃないんだがな)

「ふっ……私は慈悲深い悪魔だからな……特別に家で寝泊まりさせてやってもいいぞ!」

ガヴリール「はい……?」

39: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 04:23:28.751 ID:lhMDMRUA0.net
「ち、違うぞ!?妹達がしばらく出かけてて寂しいからとか、そんなんじゃないぞ!?」

ガヴリール「あのう……悪魔が初対面の天使を泊めるのはどうかと……」

「でも宿に困ってるでしょ!」

ガヴリール「ホテル探しますので……」

「いーからいーから!お前は信用に値する!泊まっていけ!」

ガヴリール「はぁ……」

ガヴリール(まあいいか……どうせ行く宛なんてないんだ。ならどうにでもなれ……)

40: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 04:26:38.618 ID:lhMDMRUA0.net
「それにしてもお前は不思議な天使だな」

ガヴリール「はあ」

「礼儀正しいかと思えばどこか抜けてるところがある……靴揃えてなかったり、腕まくってたり」

ガヴリール(やべ、直さないとな……)

「まあ気にしたりするわけじゃないけど」

ガヴリール「あなたも……変わった悪魔さんですね。悪いことをしようとしてないような」

「うぐ……でも世界を……」

ガヴリール(ほんと、サターニャみたいだなこいつ……)

41: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 04:31:43.828 ID:lhMDMRUA0.net
「ところでお前はどうしてここに来たんだ?」

ガヴリール「ここに来たのは……一度今までの関係をきっぱり切り捨ててやり直すために……自分探しみたいなものでしょうか」

「結構深刻だった……」

ガヴリール(あれ……切り捨てて……でいいのか?よくないだろ……私はまたみんなと……)

ガヴリール(どうしてだろう。なぜか戻りたくないと感じてしまう。ここで新しい人生を歩めば昔の関係なんてなかったことにできる)

ガヴリール(いやそれともいっその事本当に堕天してしまおうか……?それでラフィエル抜きで……)

「どうした?」

ガヴリール「はっ!?ご、ごめんなさい!」

ガヴリール(それはだめだろ……なんのためにここに来たんだ。私は……あれ、優等生の頃の私に戻るためだよな……?それでラフィエルとまた友だちになって……)

ガヴリール(逃げるためじゃ……ないよな……)

…………
……

42: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 04:35:31.468 ID:lhMDMRUA0.net
「ここが私の根城よ!」

ガヴリール(根城て)

ガヴリール「いいところですね」

「当然だ!じいやも出払ってるけど気にしなくていいぞ!」

ガヴリール「はあ」

「早速晩御飯にするぞ!!ガヴリールの胃袋を征服してやる!」

ガヴリール「どうも」

ガヴリール(まあ小腹空いてるし……いいか)

43: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 04:39:26.113 ID:lhMDMRUA0.net
ガヴリール「あ、危ないですね……!包丁の持ち方はこうです……!」

「別に切れればいいだろ」

ガヴリール「駄目です!!」

「ふぬぬぬぬ……!」

ガヴリール「付けるんじゃなくて引くんです!」

「ふんっ!」

ドゴッ

ガヴリール「お゛ふ……!」

ガヴリール(こいつぅ……!)

45: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 04:44:32.132 ID:lhMDMRUA0.net
「何はともあれ無事に完成したな!」

ガヴリール(なんでカレー作るだけで5発ほどエルボー食らわされなきゃならんのだ……!)

「うんっ上手い!」

ガヴリール(でも……なんか安心するな。この感じ……)

「どうした?私直々にカレーを作ってやったんだぞ!」

ガヴリール「……そこそこ美味しいです」

「そこそこってなんだ!」

ガヴリール(悪くないな……)

46: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 04:48:19.047 ID:lhMDMRUA0.net
ガヴリール「あ、メール来てる……初日からご苦労なこって」

ガヴリール「私は大丈夫だ……っと。ちゃんと宿も見つかったから……」

コンコンッ

ガヴリール「っ!はーい」

「いいか?」

ガヴリール「なんでしょう」

「せっかくだから天使の話でも聞きたくてな。一緒に寝てもいいか?」

ガヴリール「……私でよければ」

47: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 04:51:22.973 ID:lhMDMRUA0.net
ガヴリール(それからいろいろな話をした。私が修行として人間界に紛れ込んでいること。この夏休みを利用して一人旅をしていること)

ガヴリール(この悪魔が世界征服をしようとしていたこと。でも失敗したポンコツ悪魔であったこと)

ガヴリール(私の友達の話……そしてこいつの友達の話)

ガヴリール(こいつにもこいつなりにいい友達がいるようだ。なんとしても守りたいと思える友達が)

ガヴリール(私は……どうなんだ。友達から逃げてる私は……?)

「……zzz」

ガヴリール「寝た……か。私も寝よう……」

48: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 04:53:58.086 ID:lhMDMRUA0.net
ガヴリール(そしてそれからしばらく経った。私は新しい悪魔の友達と過ごすようになった)

ガヴリール(その日々は悪くはなかった。むしろ……楽しいと思えた。いや、それに没頭してやっぱり逃げているのかもしれない……)

ガヴリール(ここに来てからある程度ヴィーネ達とメールのやりとりをしていたが……もうしばらくもやりとりしてない。メールすら開いてない)

ガヴリール(みんなのことを忘れようとしてる……)

ガヴリール(心配してるだろうなぁ……)

コンコン

ガヴリール「……」

「ちょっといいか?」

51: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 04:56:51.604 ID:lhMDMRUA0.net
ガヴリール「どうかしましたか」

「ちょっとな。ガヴリールと話したくなってな」

ガヴリール「そうですか……。で、お話とは」

「最近元気ないだろ」

ガヴリール「そんなこと……」

「ある」

ガヴリール「……」

52: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 05:00:22.558 ID:lhMDMRUA0.net
「なんというか……今のガヴリールって昔の私にちょっと重なるところがあるというか……」

ガヴリール「といいますと……」

「何か解決しないといけない問題があるんじゃないのか?そのことで悩んでいる」

ガヴリール「……」

「私も昔……重大な決断を迫られたことがあるんだ。どうすればいいか解らず逃げようとしたことも」

ガヴリール「……」

「でも私は決断を下したぞ。まあ、一人じゃできなかったけど……な」

ガヴリール「何がいいたいんですか」

「話して欲しい。ガヴリールのこと……全部」

53: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 05:04:07.242 ID:lhMDMRUA0.net
ガヴリール「……友達に嫌われたんです。それで、逃げてきました」

ガヴリール「また昔のような関係に戻りたい……だけど……」

「だけど……?」

ガヴリール「戻れるのかわからなくて……その努力が無駄になっちゃうと思うと……もっと嫌われちゃうと思うと……」

ガヴリール「それならこのまま新しい人生を歩むのもあり……って」

「本当にそれでいいのか?本当に友達を切り捨てていいのか?」

ガヴリール「……それは」

「……やらないこととできないことって似てると思う。すぐどっちがどっちかわからなくなる」

「ガヴリールは……どっちなんだ?」

ガヴリール「私は……」

54: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 05:07:13.472 ID:lhMDMRUA0.net
ガヴリール(私は……どっちなんだ?天界にいた頃の私に戻りたいのか?戻りたくないのか?戻れないのか?)

ガヴリール(いや、駄天使だった頃の私に戻りたいのか?戻りたくないのか?戻れないのか?)

ガヴリール「……あなたは、その決断で後悔してますか」

「そればかりは相談も答え合わせもなしだ。何も言えない。ガヴリールだけで考えるべきだ……と思う」」

ガヴリール(それもそうだ……これで選択して後悔したらこいつに責任を擦り付けるところだった。まだ逃げようとしてるな……私は……)

…………
……

55: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 05:10:28.226 ID:lhMDMRUA0.net
ガヴリール(私はどうしたい?)

ガヴリール(ラフィエルにあんなことを言われてどう思った?絶交を受け入れたいと思ったか?)

ガヴリール(違う。じゃあなんでこんなところに来たんだ。ヴィーネもサターニャもいない場所に……)

ガヴリール(優等生だった頃の私に戻りたかったから?いや……それも違うだろ)

ガヴリール(私は……ただ逃げたかっただけだ。ラフィエルに酷いことを言われて……ヴィーネやサターニャと一緒にいることすら辛くなって)

ガヴリール(でも……逃げ続けたいか?本当にすべてを投げ捨ててしまってもいいのか?)

ガヴリール(そんなの元から決まってるだろ……私が本当にしたいこと……また4人で一緒に遊びたい……!)

ガヴリール(なんでこんな簡単なことで悩んでたんだ。私は馬鹿か)

ガヴリール「戻ろう」

56: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 05:14:43.448 ID:lhMDMRUA0.net
翌日

ガヴリール「よっ」

「な、なんだそのぼさぼさな髪は!?ほ、本当にガヴリールか!?」

ガヴリール「ああ。お礼を言いに来たんだ」

「……答えが出たのか?」

ガヴリール「ああ。そういえばお前は最初私を不思議な天使だと言ったな。それはな……」

ガヴリール「私が救いようのない駄目天使、略して駄天使だからさ!」

「ぷっ……なんだそれ」

ガヴリール「お前のおかげで目が覚めた。本当に感謝してもしきれない」

57: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 05:18:37.475 ID:lhMDMRUA0.net
「ガヴリール……やっぱり不思議だな。天使のくせに今のほうがしっくりくる」

ガヴリール「だろうな」ニコッ

「行くのか……?」

ガヴリール「ああ、世話になったな……ルーチェ。今度私の大切な友達を連れてくるよ。お前も紹介してくれよな」

「もちろんだ!ひかげや春風もきっと……」

シュンッ

「消えた……!?便利な力だな!」

「あれは神足通ですね。初めてみました」

「おねーしゃま。まさかピコがいない間に天使と仲良くしてたんでしゅか?」

「なっ!お前たちいつからそこに……」

…………
……

59: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 05:23:23.704 ID:lhMDMRUA0.net
ガヴリール「ただいま。心配かけてすまんかった」

ヴィーネ「どんだけ心配したと思ってるのよ!!!」

サターニャ「そうよ!!ラフィエルだけじゃなくてガヴリールまでいなくなっちゃうって……どんだけ心配させるのよぉ……!!」

ガヴリール「ごめん……殴るなら気の済むまで殴れ」

サターニャ「結局駄天使のままだし……覚悟」ググッ

ガヴリール「ごめん、やっぱ殴るのは無しで」

サターニャ「……」ズコー

ヴィーネ「あはっ……あはははっ!やっぱりガヴはダメダメなままが一番ね」

62: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 05:26:10.839 ID:lhMDMRUA0.net
ガヴリール「決心が着いたんだ。ラフィエルの本心を聞きに行く。天界にいくよ」

ヴィーネ「……わかったわ」

サターニャ「今度はちゃんと戻ってくるわよね?」

ガヴリール「当たり前だろ。しかも今度はラフィエル付きだ」

サターニャ「またみんなで遊べる……?」

ガヴリール「当たり前だろ。ラフィエルが嫌嫌いうようならぶん殴ってでも連れてきてやる」

ヴィーネ「あんたは殴られるのは嫌なくせに……」

ガヴリール「ということで……善は急げだ。天界にに行ってくる」

ヴィーネ「いってらっしゃい!」

サターニャ「頑張って!!」

66: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 05:32:52.952 ID:lhMDMRUA0.net
天界 白羽邸

ガヴリール「ラフィエル……」

ピンポーン

マルティエル「おや、あなたは……天真=ガヴリール=ホワイト様」

ガヴリール「ラフィエルの執事の人……だよな?」

マルティエル「お久しぶりですね。会話するのは初めてでしょうか」

ガヴリール「ラフィエルに会いたい。会わせてくれないか」

マルティエル「……」ニコ

マルティエル「あなたからそう言ってくれるとはありがたいです。案内しましょう」

ガヴリール(とりあえず入ったら一発殴ってやろう。それとも胸を握りしめてやろうか)

67: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 05:36:05.755 ID:lhMDMRUA0.net
マルティエル「ここです。今お嬢様は一人ですので……ゆっくりお話でも」

ガヴリール「ありがとう」

ガチャッ

ガヴリール「ラフィエル。久しいな」

ラフィエル「ガヴちゃん……!?どうしてここに……!」

ガヴリール「お前に言いたいことがある。私は――」

ラフィエル「で、でていってください!ここから!早く!!」

68: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 05:39:01.583 ID:lhMDMRUA0.net
ガヴリール「私は!」

パァンッ

ガヴリール「……あ?な、血……?」

ラフィエル「ガヴちゃん……ガヴちゃん……!誰か来てください!ガヴちゃんをっ助けてください……!!」

……

マルティエル「さようなら……ガヴリール様」

72: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 05:42:42.000 ID:lhMDMRUA0.net
ガヴリール「う……ぐ……!」

ラフィエル「ガヴちゃん……ガヴちゃん……!マルティエル……なにをしているんですか!早く助けてください……!」

ラフィエル「そこにいるんでしょう!?早く出てきなさい!なんで……なんで……あなたも……あなたもなんですか……!?」

ラフィエル「ずっと……ずっと信じていたのに……あなただけは此方側だと……どうして……どうして……ぇ……!」

ガヴリール(あーこりゃ死ぬな……ガチで意識なくなってきた……)

ギュッ

ラフィエル「もうこの家は信用できません……私が病院に……!」

ガヴリール「あー……よかった……ラフィに嫌われてるわけじゃなかったんだなー……」

ラフィエル「ガヴちゃん……?あ、諦めないでください……必ず助けてみせますから……!」

73: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 05:48:08.997 ID:lhMDMRUA0.net
ガチャッガチャッ

ラフィエル「開かない……マルティエル……ッ!ふざけないでください……!」

ガヴリール「そうか……そういうことだったんだな……今まで私を守っててくれたんだな……」

ラフィエル「ガヴちゃん!?お願いですから……頑張って……必ず、必ず助けてみせますから……!」

ガヴリール「……ごめん。なんかもう……無理っぽい……」

ラフィエル「そんなことっ……そんなこと……!」

ガヴリール「ラフィ……よかった……最期にお前の本当の気持ちがわかって……」

ガヴリール「何も悔いがないとは言えないけど……ラフィに嫌われてなくて……本当によかった……」ポロポロ

ラフィエル「そんな……私こそ、私こそガヴちゃんに酷いことを言ってしまいました……ごめんなさい……ごめんなさい……」ポロポロ

ラフィエル「本当は大好きですよ……ガヴちゃん……!誰よりも……誰よりもガヴちゃんのことが……大好きですよ……」ポロポロ

ガヴリール「ありがとう……ラフィ……私……も…………」

ラフィエル「ガヴちゃん……?ガヴちゃん!?うぅっ……ゔゔぅぅぅぅううう!!!!」

…………
……

74: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 05:51:37.325 ID:lhMDMRUA0.net
数日後

ヴィーネ「ガヴが……死んだ?」

サターニャ「天界での事故って……そんなわけ……」

ラフィエル「はい……そんなわけありません」

サターニャ「なんで……何が起こってたのよ!吐きなさい!全部!」

ラフィエル「……わかりました。すべてお話します」

ラフィエル「白羽家は……天界でも有数の名家なんです。規模の大きさは天界でも一、ニを争うほどです」

ラフィエル「それ故に後継者争いが絶えない」

ヴィーネ「後継者争い……」

77: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 05:54:44.379 ID:lhMDMRUA0.net
ラフィエル「お父様が伏せられたら長女である私か、次女であるサラちゃんが引き継ぐ予定なのです」

ラフィエル「本来は長女である私が引き継ぐ予定なのですが……少し問題が生じたのです」

ラフィエル「白羽家は天界随一の名家、その当主は何事においても常に頂点……」

ヴィーネ「!」

ラフィエル「そうです。私の代で初の次席……私は白羽家の面子を潰したと評価されてしまいました」

ラフィエル「無名の庶民にすら劣る……素質ではなく肩書でしか評価できない連中は次女派に寝返りました」

ラフィエル「今はともかく、一度でも泥を塗った私に当主になる資格などあるのか、と」

ラフィエル「次女であるサラちゃんを擁立する勢力が大きくなり……後継者争いは更に熾烈をきわめました」

80: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 05:59:17.759 ID:lhMDMRUA0.net
ラフィエル「白羽家だけの問題が、いつの間にかガヴちゃんまで巻き込んでしまっていたのです」

ラフィエル「私としてはサラちゃんに当主の座を渡してもいいと考えているのですが私を推す方々はそれでは納得しませんでした」

ラフィエル「中でも私を擁立する一派の中には過激派と呼ばれる暴力組織と関係を持つものまで存在します。その組織がガヴちゃんとサラちゃんの暗殺を企てたのです」

ラフィエル「候補となる後継者を殺し、そして私より優れた存在を消すことで無理やり私を当主に据えるために……私はそれに巻き込みたくなかった……!」

ラフィエル「だからガヴちゃんを堕天させようと影から働きかけていたのです……悪魔になってしまえば狙われることはなくなりますから……」

ラフィエル「サラちゃんが襲撃され過激派が動き出したことを知った私は猶予はないと判断し……ガヴちゃんが私から離れるようにあんなことを……」

ラフィエル「過激派の動向を常に監視するために天界に戻りましたが……だめでした……」

ラフィエル「それが事の真相です……ごめんなさい……本当にごめんなさい……」

ヴィーネ「……」

サターニャ「……」

83: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/20(月) 06:03:50.484 ID:lhMDMRUA0.net
ラフィエル「そしてもう一つ謝らなければならないことがあります……」

ヴィーネ「え……?」

ラフィエル「私はもう……皆さんの前に現れることはないでしょう」

サターニャ「え、ど、どういう……」

ラフィエル「私は……今の白羽家を破壊します」

ラフィエル「くだらない争いで私の親友の命を奪った愚かな家系は滅びるべきです」

サターニャ「で、でも……」

ラフィエル「止めないでください。私の怒りはもう止めらない……」

ラフィエル「すべてを破壊した後、私はその責任を取ります」

ヴィーネ「だ、だめよ……それはっそれだけは……!」

ラフィエル「さようなら。サターニャさん、ヴィーネさん。とても、楽しい日々でした。ありがとうございました……」

ラフィエル(ごめんなさい……。ガヴちゃんがいないこの世界に……もう用はないんです。この命……復讐のためだけに燃やすこととします)

BAD END J 丁度いいサブタイがないんだが

引用元: ラフィエル「私はあなたが大嫌いですよ」 ガヴリール「え……」