1: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ 261d-bc4d) 2024/04/15(月) 22:18:23 ID:I/v5ap1A00
花帆「梢センパ~イ!」ダキッ

梢「あら。どうしたの花帆」ニコッ

花帆「あのあの! 屋上の花壇の花が綺麗に咲いてたんですよ! 一緒に見に行きませんか?」

梢「そうなの。素敵ね。それじゃあ一緒に行きましょうか」

花帆「はい! 善は急げです!」グイッ

梢「ふふっ。焦らずともそう簡単に花は枯れないわ。お喋りでもしながらゆっくり行きましょう?」

花帆「そう、ですね! 色々喋りたい話題いっぱいなんですよ! えっと例えば──」

吟子「……」ムスッ

2: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ 261d-bc4d) 2024/04/15(月) 22:19:35 ID:I/v5ap1A00
※スリーズブーケに入部後の話です

3: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ 261d-bc4d) 2024/04/15(月) 22:20:10 ID:I/v5ap1A00


吟子「こんにちは」

花帆「あ、吟子ちゃん。こんにちは」

吟子「……」ムスッ

花帆「……? どうかした?」

吟子「どうかって、何が?」ジッ…

花帆「えと……。仕草がいつもより乱暴だし、目線がちょっとキツいかなー? って」

吟子「ふぅん? 気付いてるんだ。なら、心当たりを探ったらどうですか?」

花帆「えっ、あたし何かしちゃった?」

吟子「さぁ。胸に手を当てて考えてみたらどうですか?」

4: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ 261d-bc4d) 2024/04/15(月) 22:20:49 ID:I/v5ap1A00
花帆「んー……」ポクポクポク…

花帆「あっ!」ポン

吟子「何か分かりました?」

花帆「うん! あたしね、吟子ちゃんの目元がとっても好き!」

吟子「……は?」ポカーン

花帆「あったかさを感じる眉と、おっきくて可愛いお目目! でも横目で見られると涼し気でね! 印象が一転する感じがすっごく好きで──」

吟子「な、何言ってんの!? 恥ずいじゃん!」ガバッ

花帆「もががっ!」

吟子「はー……この先輩。どうしてこう……はあ」

花帆「ふぅ……。今年度はよく口を塞がれるなぁ。そういう年度なのかなぁ」

吟子「……それでいて呑気。楽観主義。日和見主義。もう……なんなん、まじ……」ハァ…

花帆「あ、方言」

吟子「一々指摘せんといて」

5: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ 261d-bc4d) 2024/04/15(月) 22:21:32 ID:I/v5ap1A00
花帆「可愛いなぁ、吟子ちゃん」ニコニコ

吟子「あー、もうっ! こっちのペース狂いまくりだわ……」

花帆「ふふっ。嬉しいなぁ。吟子ちゃんとお喋りできて、嬉しい嬉しい~」ニコニコ

花帆「しかも、今は正式にスリーズブーケの一員だもん。会話も弾むってものだよね~」

吟子「……そこ」ピシッ

花帆「ん、なにが?」

吟子「そこだよ、花帆先輩」

花帆「そこって、どこ?」

吟子「スリーズブーケの一員ってとこ」

花帆「え? え?」

吟子「……ほんっと鈍感。ねぇ、花帆先輩。一つお話しよっか」

花帆「うん。吟子ちゃんといっぱいお喋りしたい!」ムンッ

吟子「うっ……。ふぅ……落ち着け、私……」スーハー

6: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ 261d-bc4d) 2024/04/15(月) 22:22:03 ID:I/v5ap1A00
吟子「あのね先輩、ここに一匹の猫がいます。その猫は、先輩の好みの猫種で、毛先だってふわふわです」

花帆「ふんふん。手触り良さそう」

吟子「先輩はどうにか気に入られようと色々試します。とにかく褒め称えたり、餌をあげたり、そりゃあ色々と」

花帆「ふんふん。もふもふしたい」

吟子「その熱烈なラブコールに、猫は遂に折れます。あなたのものになってあげるよって言う代わりに、足に頬ずりするんです」

花帆「ふんふん。やったね!」

吟子「ですが、猫は花帆先輩と過ごす内に、徐々に不満を持つようになります」

花帆「え。あたし、何かしちゃったのかな……」

吟子「いえ、その逆です。花帆先輩は〝何もしなかった〟んです」

花帆「ん……?」コテン

7: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ 261d-bc4d) 2024/04/15(月) 22:22:44 ID:I/v5ap1A00
吟子「ねぇ先輩、それって酷いと思わない? 勧誘する時は熱烈なアプローチをしてきた癖に、達成された瞬間その狂熱はどこへやら。他の女のとこに行って自分が尻尾を振ってるんだもん」

吟子「自分の物になった瞬間興味を失うってさ、最低な行為だって私は思うんだけど。先輩はどう思う?」

花帆「えと……それってもしかして、あたしが吟子ちゃんにそうしてるって言いたいの?」

吟子「さぁ。どうだか。猫は人語を解さないし、望んだ答えが返ってくるなんて思わない方がいいよ」

吟子「ふんっ」プイッ

花帆「あわわ……」

吟子「……梢先輩にはさ」ボソッ

花帆「え?」

吟子「梢先輩にはさ、すーぐ抱き着きに行くよね。飼い主を見つけた猫みたいに、颯爽と」

吟子「梢先輩も緩んだ顔してさ、満足そうにおてて繋いで一緒に歩いてる」

吟子「それってさ、なに? 新参の私は、それを指咥えて待ってろって言うわけ? 尻尾はぶんぶん振って、だらしなく涎なんて垂らしながら、『せんぱーい、構ってよー』なんて、一々アピールしなきゃなんないの?」

吟子「それともやっぱり、私との関係は義務的なものだったの? 先輩」ジッ…

花帆「……」

8: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ 261d-bc4d) 2024/04/15(月) 22:23:21 ID:I/v5ap1A00
吟子「……」プイッ

花帆「……」カタッ

花帆「……」タッタッタ

花帆「……吟子ちゃん」ピタッ

吟子「なに? 私の真ん前に来て」

花帆「ごめんね」ギュッ…

吟子「……何が? ちゃんと言ってくんなきゃ分かんないし」

花帆「……あたしね、やっとの思いで吟子ちゃんがスリーズブーケに入ってくれて、本当に嬉しかったの」

花帆「それで舞い上がっちゃって、一区切りついた気になって、吟子ちゃんとの時間をおろそかにしちゃってた」

花帆「本当は、ここから始まるのにね。あたしと吟子ちゃんの、スリーズブーケは」

吟子「……この、だら」ボソッ

花帆「ごめんね。許してくれる?」

9: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ 261d-bc4d) 2024/04/15(月) 22:23:58 ID:I/v5ap1A00
吟子「……」

吟子「……頭」ボソッ

花帆「頭? あ、なるほど」ナデナデ

吟子「……」

吟子「……もっと優しく、梳くみたいにして」

花帆「うんうん」スゥ~…

吟子「……先輩」

花帆「なにかな」

吟子「ごめん。私、面倒くさかったよね」

花帆「そんなことないよ」

吟子「嘘言わないで。私だって分かってる。距離感のヘンな先輩に甘えて、距離感が分からない自分が勝手に混乱した。だから、私が悪い。それがわかんないほど、頭悪くないし」

花帆「気にしなくていいのに」

吟子「気にする」

花帆「そっか……。んー……こんな時梢センパイなら……うぅん、そうじゃなくて」ボソッ

吟子「?」

10: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ 261d-bc4d) 2024/04/15(月) 22:24:38 ID:I/v5ap1A00
花帆「あのね、距離感がまだ掴みにくいなら、さっきみたいにちょっと嫌な空気になることも必要だって思うな」

吟子「……嫌な空気には、したくない」

花帆「でも、互いの距離感とか、考えてることとか、して欲しいこととか、そうやってすれ違いながら埋めていくしかないと思う」

吟子「……」

花帆「大丈夫だよ。吟子ちゃんとはこれから、二年間も一緒なんだから。ちょっとずつすれ違って、その後はいっぱい仲良くなれるよ!」ニコッ

吟子「……こんなうちでも、二年間一緒にいてくれるん?」チラッ

花帆「もちろん!」

吟子「勝手に嫉妬心拗らせる面倒くさい女やけど……それでもええの?」

花帆「えへへ。そこも含めて吟子ちゃんの可愛いとこじゃん!」

吟子「……っ、だらぶち」ボソッ

花帆「?」

吟子「……止まってる」

花帆「え?」

吟子「手、止まってる」

花帆「あ、そうだった。えへへ……」ナデナデ

11: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ 261d-bc4d) 2024/04/15(月) 22:25:09 ID:I/v5ap1A00
吟子「はぁ、何がそんな楽しいの?」

花帆「え~? 楽しいよ~。可愛くて大好きな後輩とお話できるんだもん!」

吟子「……ほんと、口が減らないね」

花帆「えへへ。そういう人なので」

吟子「……次は何で口を塞いでやろうかな」

花帆「え?」

吟子「何でもない。さ、そろそろ練習に行こっか、先輩」タッ

花帆「あ、うん。もういいの?」

吟子「……何のこと?」

花帆「え……? あっ、うん。なんでもないなんでもない」

吟子「そっか」

花帆「うんうん。えと、今日の練習メニューは鬼みたいに厳しいから覚悟してね!」

吟子「ふふっ、先にへばるのはどっちですかね」

花帆「わっ。生意気な後輩だ! あたしも先輩になったんだなぁ……」シミジミ

吟子「どこに感慨を覚えてるん……」

花帆「あ、方言。ねね、あたしも金沢弁使いたいからさ、色々教えてよ!」

吟子「は!?」

花帆「いーじゃん! もったいぶらず教えてよ!」ガシッ

吟子「あーっ! もう! しがみつかないで! やっぱこの人ヘン! めっちゃヘンな人やわ!!!」

おしまい

引用元: 【SS】百生吟子はめんどくさい