＜法律事務所＞

貧乏娘「ここがｱﾃﾞｨｨｨｨｨﾚ法律事務所ね」

貧乏娘「弁護士さんに会うなんて初めてだけど……勇気を出して入ってみよう！」

貧乏娘「お邪魔します！」ｷﾞｨｨ…

男「ようこそ、ｱﾃﾞｨｨｨｨｨﾚ法律事務所へ」

男「私が所長です。弁護士をしております」

≪男　ｱﾃﾞｨｨｨｨｨﾚ法律事務所所長≫

貧乏娘「こ、こんにちは！」

男「本日はどのようなご用件で？」

貧乏娘「えーと……私にも過払い金はないかな、と思いまして」

男「なるほどなるほど。ま、こちらへおかけ下さい」

男「まずは、ｱﾃﾞｨｨｨｨｨﾚ法律事務所のメンバーをご紹介します」


男「こいつは私のポケモンです。弁護士たる者、法律を味方につけねばなりませんから」

法律「ﾎｳﾘｯﾁｭｰ!」

≪法律　ポケモン≫

貧乏娘「まぁ、可愛い！」


男「こちらは六番隊副隊長、過払い恋次」

恋次「咆えろ……蛇尾丸！」

≪過払い恋次　ｱﾃﾞｨｨｨｨｨﾚ法律事務所六番隊副隊長≫

貧乏娘「強そうな人ですね」

男「じゃあさっそく、君に過払い金があるか調べさせてもらうよ」

貧乏娘「どうやって調べるんですか？」

男「昔は金融会社から取引記録を取り寄せたりしなきゃならなかったんだけど……」

男「今はこのスカウターを使えば、一発で分かる！」

貧乏娘「わぁっ、便利！」

男「じゃ、計測させてもらうよ」ｶﾁｯ ﾋﾟﾋﾟﾋﾟ…

男「1万……10万……20万……100万……」ﾋﾟﾋﾟﾋﾟ…

男「200万……250万……300万……」ﾋﾟﾋﾟﾋﾟ…

男「400万……500万……ま、まだ上がるのか！」

貧乏娘「そんなにすごいんですか！？」

法律「ﾎｳﾘｯﾁｭｰ!」

恋次「咆えろ……蛇尾丸ゥ！！！」

男「1000万……！？」

男「3社で1000万円の過払い金がある！　いくらなんでも払いすぎ！」

貧乏娘「1000万も……！」

男「そりゃ貧乏になるわけだよ」

法律「ﾎｳﾘﾁｭ!」

恋次「咆えろ、蛇尾丸！！！」

貧乏娘「ぐすっ……」

貧乏娘「私っていつもそう……」

貧乏娘「月3千円の給食費をうっかり3万円払ったり……」

貧乏娘「お賽銭に間違えて財布投げ込んじゃったり……」

貧乏娘「ワリカンなのに全部払っちゃったり……」

貧乏娘「完済した借金だって、元々は私の借金じゃなかったのに……」

貧乏娘「どうして私って、いつもこうなんだろう……」ﾎﾟﾛｯ…

男「……」

男「お嬢さん、可愛い顔に涙は似合わないぜ」

貧乏娘「！」

男「この私に任せなさい」


男「1000万円の過払い金……必ず取り戻してあげよう！」


貧乏娘「ありがとうございます！」

貧乏娘「過払い金の請求ってどうやるんですか？」

男「やり方は色々あるが……」

男「私の場合は、直接金融会社に出向いて――ゴネる！」

男「これが一番手っ取り早い」

男「さあ、出発だ」

法律「ﾎｳﾘｯﾁｭｰ!」

恋次「咆えろッ！　蛇尾丸ッ！」

＜A社＞

男「……というわけで、このお嬢さんはこちらの会社に50万円ほど過払いしているんです」

男「返していただきたい」

A社員「わ、分かりました！」

A社員「今すぐ返しましょう……！」

男「過払い金、ゲットだぜ！」

貧乏娘（まさか、こんなにあっさり返してもらえるなんて……）

男「ほら、50万」ﾎﾟｲｯ

貧乏娘「ありがとうございます！」

法律「ﾎｳﾘｯﾁｭｰ!」

恋次「咆えろ、蛇尾丸ゥゥゥ！」

貧乏娘「残り2社もこの調子でいけば……！」

男「いや……そう簡単にはいかないだろうな」

貧乏娘「え？」

＜B社＞

B社員「過払い金？」

B社員「借金を返し終えてから、今更そんなこといわれましてもねェ……」

貧乏娘「ですが、50万円ほど過払いしてしまったのは確かなんです！」

B社員「しかしねェ……こっちにも都合ってもんがあるし……」

男「やはりな」

男「金融会社の中には、過払い金の返済を渋るところも多いのさ」

男「場合によっちゃ、裁判にまで発展するケースもある」

貧乏娘「ど、どうしましょう！？」

男「こうなったら仕方ない」

男「やれ」

恋次「咆えろ……蛇尾丸ゥッ！」ﾌﾞｵﾝｯ

ズガァァァァンッ！！！



B社員「うわぁぁぁぁぁっ！！？」

B社員「貴様……ふざけるなよ！　こんなの立派な器物破損だ！」

男「法律、頼む」

法律「ﾎｳﾘｯﾁｭｳｳｳｳｳ！」ﾊﾞﾁﾊﾞﾁﾊﾞﾁｯ

B社員「な、なにをした！？」

男「一時的に法律を変えさせてもらったのさ」

男「“過払い金請求のためなら、どんな破壊行為も許される”とね」

B社員「なんだってェェェェェ！？」

男「恋次、罪に問われることはないから、どんどん壊していいぞ」



恋次「咆えろ……蛇尾丸ゥゥゥゥゥ！！！」

ズガァァァァァンッ！　ドゴォォォォォンッ！　バゴォォォォォンッ！

B社員「わ、分かった……返すよ！　返せばいいんだろ！」

男「過払い金、ゲットだぜ！」



男「法律、法律を戻してくれ」

法律「ﾎｳﾘﾁｭ!」ﾊﾞﾁﾊﾞﾁｯ

貧乏娘「す、すごい……！」

貧乏娘「あの……副隊長の恋次さんでもあれだけ強いってことは、隊長さんはもっと強いんですか？」

男「隊長？　隊長なんかいないよ」

貧乏娘「え？」

貧乏娘「じゃ、じゃあ……一番隊から五番隊までの人は……？」

男「なにをいってるんだ？　うちには六番隊しかないよ」

貧乏娘（どういうことなの……）

男「さて、ここまでは序の口だ」

男「A社もB社もテレビCMもやってる、まともな金融会社だからな」

男「だが、次のC社は……いわゆる“闇金”だ」

貧乏娘「闇金……！」

男「まず、まともな話し合いはできないだろう。ハナから叩き潰すつもりでいくぞ」

法律「ﾎｳﾘｯﾁｭｰ!」

恋次「咆えろォッ！　蛇尾丸ゥッ！」

＜C社＞

闇金業者「――ハァ？　過払い金？　んなもん返すわけねェだろ？」

貧乏娘「だけど900万円も過払いしちゃったんですよ！？」

貧乏娘「このままじゃ私、一生貧乏のままです！」

闇金業者「知るかンなこと！　てめえが払いすぎたのが悪ィんだろうが！」

闇金業者「相手が弁護士だろうと警察だろうと関係ねえ！　絶対払わねえからな！」

貧乏娘「ううう……」

男「ま、こうなることは分かってたがな」

男「やれ、法律、恋次」



法律「ﾎｳﾘｯﾁｭｰ!」ﾊﾞﾁﾊﾞﾁｯ

恋次「咆えろォ！　蛇尾丸ゥゥゥゥゥ！！！」

ズガァァァァァンッ！　ドゴォォォォォンッ！　バゴォォォォォンッ！

闇金業者「ぐ……こいつらただの弁護士じゃねえ！」

男「とっとと返さないと、このビル崩壊しちまうぜ？」

闇金業者「ちくしょう……！　手本にしたいくらい強引な取り立てだぜ……！」

闇金業者「こうなったら……あの有名な“ウ”のつく闇金の達人を呼んでやる！」

男「“ウ”のつく闇金の達人！？」

男「それってまさか……！」ﾜｸﾜｸ

貧乏娘「ウソ……こんなところで会えるなんて……」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

闇金業者「ウミウシジマ君、こいつらやっちまってくれ！」

ウミウシジマ「過払い金なんか返さねーぜ」ｸﾞﾆｭｸﾞﾆｭ





男「ウミウシじゃねーか！！！」

恋次「咆えろ蛇尾丸！！！」ｽﾞｶﾞｧｧｧｧｧﾝ

ウミウシジマ「うぜェ……ブッ潰す」ｸﾞﾆｭｸﾞﾆｭ

ズガァァァァァンッ！　ｸﾞﾆｭｸﾞﾆｭｯ　ドゴォォォォォンッ！　ｸﾞﾆｭｸﾞﾆｭｯ





貧乏娘「なかなか見応えのあるパチモン対決だわ……」

ウミウシジマ「オラァッ！」ｸﾞﾆｭﾘｯ

ボゴォッ！

恋次「ほえっ！」



男「恋次ィ！」

男（恋次がタイマンでやられるなんて初めてだ！）

貧乏娘「ウミウシジマ君……ウミウシだけど実力はホンモノだわ！」

男「こうなったら……法律！　お前の必殺技、六法全書ボルトで――」

闇金業者「法律にも……穴はあるんだよなァ……」ｸﾞﾘｸﾞﾘ…

法律「ﾎｳﾘｯﾁｭ…ﾁｭ…ﾁｭ…」ﾋﾞｸﾝﾋﾞｸﾝ



男「ダメだ！　法律も穴を責められてリタイアだ！」

貧乏娘「そんな……！」

男（さすが闇金業者……法律の穴を突くのはお手の物ってわけか！）

闇金業者「これで、てめえらの兵隊は二人とも潰した」

闇金業者「覚悟してもらうぜ、弁護士さんよ」

ウミウシジマ「てめェらには地獄を見せてやンよ」ｸﾞﾆｭｸﾞﾆｭ



男「ここまでか……」

貧乏娘「恋次さんや法律ちゃんがやられちゃうなんて……」

男（くそっ、せめて貧乏娘ちゃんだけは逃がさねば……！）

貧乏娘「みんな……諦めないで！」

男「！」

貧乏娘「私だって、返しすぎちゃったとはいえ、ちゃんと借金返済できたし……」

貧乏娘「みんなだって挽回できるわ！」

男（挽回！？）

男（――そうか、その手があったか！）

男「恋次、お前の奥の手を見せてやれ！！！」

恋次「　卍　解　」

　　狒　　狒　　王　　蛇　　尾　　丸






闇金業者「うぎゃああああああああああっ！！！！！」

ウミウシジマ「ぐおおおおおおおおおおっ！！！！！」

……

…………

男「恋次の卍解で、ビルが倒壊しちまった」

男「みんな……大丈夫か？」

貧乏娘「ええ、なんとか……」

法律「ﾎｳﾘﾁｭ!」

恋次「咆えろ……蛇尾丸……！」

男「みんな無事でなによりだ」

男「――お、闇金の奴らもどうやら生きてるみたいだな。悪運の強い奴らだ」

男「お前ら、とっとと900万円返しやがれ！」

闇金業者「か、返します……」

ウミウシジマ「海に帰るわ……」ｸﾞﾆｭｸﾞﾆｭ

男「過払い金、ゲットだぜ！」

法律「ﾘｯﾁｭｰ!」

恋次「咆えろ……！　――蛇尾丸ゥ！！！」

貧乏娘（こうして私たちの過払い金請求の旅は終わりを告げた――）

貧乏娘「男さん、法律ちゃん、恋次さん、本当にありがとうございました」

貧乏娘「おかげさまで1000万円の過払い金を取り戻すことができました」

男「いいってことよ。それが私たちの仕事だからな」

法律「ﾎｳﾘｯﾁｭｰ!」

恋次「咆えろ……！　蛇尾丸ッ！」

男「ちとスリリングだったが、なかなか楽しい一日だったよ」

貧乏娘「私もです！　だから、最後に……」

貧乏娘「私のキス……あげます」ﾁｭｯ

男「やれやれ……報酬まで過払いなお嬢さんだぜ」


法律「ﾎｳﾘｯﾁｭｰ!」

恋次「咆えろォ！　蛇尾丸ゥゥゥゥゥ！！！」







＜終わり＞