1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/17(水) 10:37:32.599 ID:3KD2myyS0.net
「本当に仕方ないわね、ガヴは」
2: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/17(水) 10:37:52.493 ID:3KD2myyS0.net
つい最近、彼女がこう呟くようになった
そんなこと、自分でも分かってる
友達に、自分の世話をさせる天使なんてどうしようもないことくらい
そんなこと、自分でも分かってる
友達に、自分の世話をさせる天使なんてどうしようもないことくらい
4: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/17(水) 10:38:26.119 ID:3KD2myyS0.net
でも、そんな天使にもついてきてくれる人がいる
それにしても、どうして彼女はこうまで私の世話を焼いてくれるのだろう
……分からない
でも、いつまでもそんな日常が続く
……そう私は思っていた
それにしても、どうして彼女はこうまで私の世話を焼いてくれるのだろう
……分からない
でも、いつまでもそんな日常が続く
……そう私は思っていた
6: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/17(水) 10:39:03.925 ID:3KD2myyS0.net
それはある日のこと
「ほら!起きなさい!ガヴリール!」
「んー、眠い~!起きたくない!」
「だめよ!起きなさい!」
「しんどい!学校休む~」
「ほら、着替えて着替えて」
「やだ!休む!」
「もう、ワガママばっかり言わないで!」
「休むっていったら休むんだ!」
「そんなワガママばっかり言ってると……」
「ほら!起きなさい!ガヴリール!」
「んー、眠い~!起きたくない!」
「だめよ!起きなさい!」
「しんどい!学校休む~」
「ほら、着替えて着替えて」
「やだ!休む!」
「もう、ワガママばっかり言わないで!」
「休むっていったら休むんだ!」
「そんなワガママばっかり言ってると……」
7: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/17(水) 10:39:27.337 ID:3KD2myyS0.net
「いつか見放されちゃうわよ?」
8: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/17(水) 10:40:01.495 ID:3KD2myyS0.net
……見放される?
私が?ヴィーネに?
……嫌だ
それだけは……絶対に嫌だ
私が?ヴィーネに?
……嫌だ
それだけは……絶対に嫌だ
9: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/17(水) 10:40:24.287 ID:3KD2myyS0.net
「だから早く着替え……」
サッサッ
「あら?」
「よ、よし、着替えたぞ。じゃあ学校いこうか」
「えらいじゃない!いいこいいこ!」ナデナデ
「……うん、いい子だから、いい子にするから……さ」
「ん?」
「……なんでもない」
サッサッ
「あら?」
「よ、よし、着替えたぞ。じゃあ学校いこうか」
「えらいじゃない!いいこいいこ!」ナデナデ
「……うん、いい子だから、いい子にするから……さ」
「ん?」
「……なんでもない」
10: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/17(水) 10:41:01.096 ID:3KD2myyS0.net
その日から私は「いい子」を心がけた
……かつて、私が演じたように
……かつて、私が演じたように
11: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/17(水) 10:41:28.542 ID:3KD2myyS0.net
「ガヴ、起きなさい……ってもう起きてる!」
「おう、おはよう」
「槍でも降るんじゃないかしら……」
「何言ってんだよ、これくらい普通だろ?」
「……そうね、普通よね?……これからもその調子で頼むわよ!」
この調子なら、きっと……
「おう、おはよう」
「槍でも降るんじゃないかしら……」
「何言ってんだよ、これくらい普通だろ?」
「……そうね、普通よね?……これからもその調子で頼むわよ!」
この調子なら、きっと……
12: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/17(水) 10:41:49.401 ID:3KD2myyS0.net
「……ちょっと掃除した」
「えっ!あのガヴが!?けっこう綺麗になってるじゃない!えらいえらい!」
「……へへ」
「ご飯も作ったよ、ヴィーネも食べる?」
「えっ……うん!おいしいおいしい!」
「えっ!あのガヴが!?けっこう綺麗になってるじゃない!えらいえらい!」
「……へへ」
「ご飯も作ったよ、ヴィーネも食べる?」
「えっ……うん!おいしいおいしい!」
13: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/17(水) 10:42:07.340 ID:3KD2myyS0.net
私が「いい子」を演じている時、彼女は嬉しそうにしていた
だから私は「いい子」を演じ続ける
全ては彼女に見放されないために
ずっと彼女のそばにいたかったから
……だが
だから私は「いい子」を演じ続ける
全ては彼女に見放されないために
ずっと彼女のそばにいたかったから
……だが
14: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/17(水) 10:42:43.875 ID:3KD2myyS0.net
「ガヴ~、起きて~」
「もう起きてるよ」
「あっ、もう着替えてるのね、じゃあ行きましょうか……」
「……」
「……」
「ガヴ、最近ちゃんとご飯たべてる?」
「当たり前じゃん?三食きちんと食べてるよ。コンビニ飯とかじゃなくてちゃんと自分で作って」
「……そう」
「……うん」
……なんだろうこの胸のもやもやは
「もう起きてるよ」
「あっ、もう着替えてるのね、じゃあ行きましょうか……」
「……」
「……」
「ガヴ、最近ちゃんとご飯たべてる?」
「当たり前じゃん?三食きちんと食べてるよ。コンビニ飯とかじゃなくてちゃんと自分で作って」
「……そう」
「……うん」
……なんだろうこの胸のもやもやは
15: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/17(水) 10:43:17.531 ID:3KD2myyS0.net
「いい子」を演じているのに、どうして彼女は嬉しそうにしなくなったのか
……それに、なぜか以前より距離が遠くなった気がする
なんで?どうして?
一体何がいけないのか……
まだ「いい子」を演じる努力が足りない?
……それに、なぜか以前より距離が遠くなった気がする
なんで?どうして?
一体何がいけないのか……
まだ「いい子」を演じる努力が足りない?
16: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/17(水) 10:43:39.080 ID:3KD2myyS0.net
「最近バイトを週5に増やしたんだ、マスター大喜びでこっちまで嬉しくなるね」
「ふーん、えらいわね」
「公園の掃除とかしてると自然に子供たちがなついてきちゃってさ、体中が筋肉痛になるくらい遊ばされちゃって……」
「ふーん」
「……ネトゲもやめたんだ」
「……ふーん」
「ふーん、えらいわね」
「公園の掃除とかしてると自然に子供たちがなついてきちゃってさ、体中が筋肉痛になるくらい遊ばされちゃって……」
「ふーん」
「……ネトゲもやめたんだ」
「……ふーん」
17: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/17(水) 10:44:32.760 ID:3KD2myyS0.net
ねぇ、どうしてなにも言ってくれないの?
こんなにがんばってるのに
……もっと私を褒めてよ
……もしかして、もうすでに見放されちゃってるのかな
……嫌だよ、私の所に戻ってきてよ、ヴィーネ……
こんなにがんばってるのに
……もっと私を褒めてよ
……もしかして、もうすでに見放されちゃってるのかな
……嫌だよ、私の所に戻ってきてよ、ヴィーネ……
18: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/17(水) 10:44:58.425 ID:3KD2myyS0.net
「ヴィーネ!」
「私こんなに頑張ってるのに!こんなにいい子にしてるのに!どうして何も言ってくれないの?」
「……ガヴ?」
「私を見放さないでよ!この調子でこれからも頑張るからさぁ……だから、もっと私の事を見てよ!私の事を考えてよ!」ポロポロ
涙と共に溢れる思いがこみあげてくる
……彼女も幻滅したかな
私がこんなに重い女だったなんて
2人の関係も終わりなの……かな
私の心が壊れてしまいそうだ
「私こんなに頑張ってるのに!こんなにいい子にしてるのに!どうして何も言ってくれないの?」
「……ガヴ?」
「私を見放さないでよ!この調子でこれからも頑張るからさぁ……だから、もっと私の事を見てよ!私の事を考えてよ!」ポロポロ
涙と共に溢れる思いがこみあげてくる
……彼女も幻滅したかな
私がこんなに重い女だったなんて
2人の関係も終わりなの……かな
私の心が壊れてしまいそうだ
19: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/17(水) 10:45:34.808 ID:3KD2myyS0.net
「……見捨て……ないで……」
「ガヴ、安心して」
「私はあなたを見捨てたりはしないわ」ダキッ
「え……」
壊れてしまいそうな、私の心
それを柔らかに包む天使の抱擁
「ガヴ、安心して」
「私はあなたを見捨てたりはしないわ」ダキッ
「え……」
壊れてしまいそうな、私の心
それを柔らかに包む天使の抱擁
21: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/17(水) 10:46:25.519 ID:3KD2myyS0.net
「ごめんね、ガヴ。私正直怖かったの」
「以前のようなガヴに戻っちゃうと、もう私のことなんて見てくれないんじゃないか、もう用済みになるんじゃないか……って」
「……ひどいわよね、友達のこと……あんたのこと、信用出来なかったの」
「……」
「幻滅したかしら?」
「ううん、そんなことないよ」
……彼女も私と同じ気持ちだったんだ
私が彼女を求めているのと同じように、彼女も私を求めている
どうしてそれに気付かなかったのか
「以前のようなガヴに戻っちゃうと、もう私のことなんて見てくれないんじゃないか、もう用済みになるんじゃないか……って」
「……ひどいわよね、友達のこと……あんたのこと、信用出来なかったの」
「……」
「幻滅したかしら?」
「ううん、そんなことないよ」
……彼女も私と同じ気持ちだったんだ
私が彼女を求めているのと同じように、彼女も私を求めている
どうしてそれに気付かなかったのか
24: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/17(水) 10:48:28.685 ID:3KD2myyS0.net
「私こそごめんね?こんなに重いグータラ自堕落天使で……」
「……ううん、私はあなたのそういう所が好きなの。好きで世話を焼いてるんだから」
「そっか……ありがとう」
「……だからこれからも、ずっとあなたのお世話をさせてね?」
彼女は以前の自堕落な自分を求めてくれている、欲してくれている
……演技などではない、本当の自分を
「本当にしかたないな、ヴィーネは!」
この日、私は再び「いい子」を演じるのをやめた
おわり
「……ううん、私はあなたのそういう所が好きなの。好きで世話を焼いてるんだから」
「そっか……ありがとう」
「……だからこれからも、ずっとあなたのお世話をさせてね?」
彼女は以前の自堕落な自分を求めてくれている、欲してくれている
……演技などではない、本当の自分を
「本当にしかたないな、ヴィーネは!」
この日、私は再び「いい子」を演じるのをやめた
おわり
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