梨子「ノーブランドガールズ？」

千歌「そう！　μ'sの代表曲の一つ、ノーブランドガールズを縮めて『ノーブラ』！」

梨子「なんだ、そういうことだったの……」

梨子「でもその略し方は正直どうかと思うわ」

千歌「えー、でもみんなもそう呼んでるし」

梨子「そうなの？　でも私たちはまだいいけどルビィちゃんとかは恥ずか」

ルビィ「千歌さんの言う通りです！」

梨子「ルビィちゃん！？」

ルビィ「確かにちょっと恥ずかしい言い方かもですけど……」

ルビィ「アイドルたるもの、ファンのみんながつけてくれた愛称は大切にしないといけません」

ルビィ「それに『ノーブラ』は名曲です！」

ダイヤ「ルビィ！　千歌さん！　あなたたちは最高です！」

善子「うわっ、なんかテンション高い人がいる」

鞠莉「ダイヤったらビッグヴォイスね」

ダイヤ「雨が降っているから練習ができない？　それが一体なんだというのです」

ダイヤ「あのμ'sは雨が降りしきる中でもライブを行っていたのです、私たちも見習わななければ」

千歌「ダイヤさん……！」

千歌「そうですよね、ダイヤさん。こんな雨の日だからこそ！」

曜「あはは、すっかり意気投合だね」

ダイヤ「では、そうと決まればさっそく屋上へ行きますわよ」

果南「ちょっ、ちょっと正気？　ふりも強くなってきたし、風邪ひいちゃうよ？」

ダイヤ「そうでないと練習になりませんわ」

ダイヤ「それに果南さん、あなたいつも水の中に潜ってるのに雨は苦手ですの？」

果南「海ではウェットスーツ着てるしぜんぜん別物だよ！」

鞠莉「果南は水タイプだけど寒さには弱いのよね」

花丸「大丈夫ずらっ☆」


　ざああああああああああああああ


花丸「あああああ雨粒が痛いずらあぁ！」

善子「なにやってるのよずら丸」


千歌「雨やめええええええ！」


　ざああああああああああああああああああああああ


千歌「うーん、やっぱり穂乃果さんみたいにはいかないかぁ」

梨子「なにやってるの、あなたたち」

ダイヤ「はい、ここで腕を振り上げます！」

ダイヤ「ワン！　ツー！　スリー！　フォー！」

千歌「ハイ！　ハイ！　ハイッ！」

曜「ハイ！　ハイ！　ハイッ！」

梨子「ハイ！　ハイ！　ハ……っくちゅん！」

梨子「ううぅ、寒い……」

鞠莉「リコだいじょうぶ？　ゲットコールドしてない？」

善子「まったく、なんでこんなことになってるのよ」

ルビィ「ごめんね善子ちゃん。もうちょっとお姉ちゃんと千歌さんに付き合ってあげて」

善子「そういうわりには、あんたもちょっと楽しそうだけど」

ルビィ「えへへ、なんかμ'sみたいで楽しいなって」

ダイヤ「せめてサビくらいみんなで合わせますわよ！」

千歌「りょーかいです！」

ダイヤ「ちなみに私はエリーチカのポジションで」

千歌「はいはいはい！　じゃあ千歌は穂乃果さんで！」

ルビィ「あ、ルビィは花陽ちゃんがいいです！」

梨子「なんでもいいから早く終わって欲しい……」

果南「まあここはサクっと終わらせて中に入ろっか」

花丸「あ、まるは凛ちゃんがいいずら」

善子「あんたさり気なく主張するのね。別に誰だっていいじゃない」

ダイヤ「では善子さんはキャラ作り繋がりで矢澤にこ役で」

善子「ぬわぁんでよ！」

曜「結局、フリ全部覚えちゃったね」

果南「雨も降り続いているし」

梨子「もう指先の感覚がない……」

鞠莉「ダイヤ、そろそろみんな限界よ。ラスト通しでやって終わりにしましょう」

ダイヤ「そそそそうですわね、そろそろ……」

善子「言い出しっぺが震えてるじゃない！」

ルビィ「むしろそれくらいのほうが穂乃果さんの気持ちが分かるよね」

ルビィ「さっすがお姉ちゃん！」

ダイヤ「えっ……？　ええ、その通りですわ！」

果南「後で寝込んでも知らないからね」

千歌「いくよー！　ミュージック、スタート！」


　デレッテッテー　テッテッテー


全員「オーイェィ！　オーイェィ！」

全員「一進一跳！」


千歌「ほらっ　負けないよね！」

鞠莉「悔しいなまだノーブランド！」

曜「知られてないよノーブランド！」

善子「なにもかもこれから～　熱い　気分！」

全員「ハイ！　ハイ！　ハイッ！　壊せるものさ」


梨子（あれ、結構楽しいかも）


全員「ハイ！　ハイ！　ハイッ！　倒せるものさ」


善子（こういうのも悪くないわね）


全員「自分からもっと、チカラを出してよ～」


千歌（そして最後はチカラ強く……！）

千歌「あうっ！」


　どさっ――


千歌「ううぅ……」

梨子「千歌ちゃん！」

曜「千歌ちゃん、どうしたの！？」

果南「千歌！？　滑って転んだ？　頭打ってない！？」

ダイヤ「――穂乃果！」

善子「……え？」

花丸「ずら？」

ダイヤ「穂乃果、大丈夫！？　っ、凄い熱……」

鞠莉「えーと、ダイヤ？　頭でもクラッシュしたの？」

ダイヤ「していませんわ。そういうことではなくてですね」

千歌「うーん……」

曜「あっ、千歌ちゃん、気がついた？」

梨子「千歌ちゃん！　大丈夫？」

千歌「うーん、大丈夫っていうか、特になんともないけど」

梨子「そう、ならよかった……」

千歌「えー、全然良くないよー」

果南「？？？　千歌、どういうこと？」

千歌「もう、ちゃんとノッてくれるのがダイヤさんしかいないんだもん」

千歌「せっかくの『ノーブラ』ごっこなのに」

千歌「曜ちゃんも梨子ちゃんも、今は私を穂乃果さんとして見てくれないと」

鞠莉「チカっち、みんなに分かるように説明してくれる？」

曜「……つまり前に『ノーブラ』をライブで披露した直後に穂乃果さんが倒れちゃったんだね」

曜「そして千歌ちゃんとダイヤさんはそこまで再現していたと」

ダイヤ「もっちろんですわ。ナイスな倒れっぷりでしたわ、千歌さん」

千歌「ダイヤさんもうまく合わせてくれて、ナイスだよっ！」

梨子「へぇ……そうなの」

花丸「まずい予感がするずら」

ルビィ「あの、梨子さん、あんまり怒らな」

梨子「千歌ちゃんのばか！　本気で心配したんだから！」

千歌「り、梨子ちゃん！？」

曜「梨子ちゃんの言う通りだよ、千歌ちゃん。さすがに心配するよ」

千歌「ご、ごめんなさい……」

善子「あー、やっと終わった。早く暖かいシャワーでも浴びましょ」

花丸「でも面白かったずら。またやってもいいかなぁ」

善子「あんた以外とタフね。ていうか服までびしょ濡れだから洗わな……」

善子「xxx」

花丸「善子ちゃん、なにか言ったずら？」

善子「いや、なんでもないわ」

ルビィ「善子ちゃん、視線で言いたいことまるわかりだよ」



果南「ダイヤ、こういうことは今回限りにしたほうがいいよ」

鞠莉「そうよ、ダイヤ。平和なジョークならいいけど、いきすぎはNGなんだから」

ダイヤ「わわわわかりましたわ……」

果南「ダイヤってだいたい優秀だけど、以外と体力ないよねぇ」

梨子（はぁ、千歌ちゃんに怒ったままシャワー室に逃げてきちゃった）

梨子（どうしよう、怒りっぽい子だと思われたかな）

梨子（部室に戻ったら、千歌ちゃんと普通に話せるといいんだけど）

梨子（そうだ。『ノーブラ』のこともっと調べて、それを話題にして……）

梨子（あ、この動画たくさんコメントついてるけど、これって？）



千歌「うう、梨子ちゃんチカのこと嫌いになっちゃったかなぁ」

曜「今回はさすがにね。怒るのも無理ないよ」

千歌「そうだよねぇ。ちゃんと謝らないとだよね」

千歌「あ、梨子ちゃん……」

梨子「……」

千歌「あのね、さっきはごめんなさい。心配かけちゃったよね。やりすぎたよね」

梨子「……」

梨子「お題、ライブで一番盛り上がる曲といえば」

千歌「えっ？」

曜「梨子ちゃん？　そのスケッチブックは」


　きゅっきゅ　きゅーっきゅ


梨子「できました。せーの、どん」

梨子「『スノーハレーション』」

千歌「ぶふっ！」

梨子「ふふふっ……」

曜「あ、梨子ちゃんが笑ってる」

梨子「ごめんね、ちょっとびっくりさせたくて。怒ってないよ」

千歌「もぉ、いきなりそれは卑怯だよ～」

曜「一件落着かなっ」


おしまい