璃奈「おねがい、かすみちゃん！」

かすみ「でも璃奈ちゃん困ってなさそうですしー」

璃奈「困ってるの！」

かすみ「うーん、じゃあこうしましょう」

かすみ「璃奈ちゃんが笑ってくれたら返してあげますね」

璃奈「うっ……」

かすみ「どうしたの？ 笑うだけだよ？」ｸｽｸｽ

璃奈「み、みても笑わないでほしいの……」

かすみ「うん」

かすみ（まあ、笑うと思うけど）

かすみ（さぁ、ぎこちないかすみに笑顔を見せて）ﾜｸﾜｸ

璃奈「え、えへへ」ﾆｺｯ

かすみ「……かわいいかよ！」ﾜｼｬﾜｼｬ

璃奈「えぇっ！？」

――

かすみ「かすみ、さっきのいたずらで気付きました。璃奈ちゃんはきっとかすみがスクールアイドル目指す上で大きな障害になる……」

かすみ「なんといっても璃奈ちゃんかわいいし」

かすみ「彼女はここで潰さなければなりませんね……！」

かすみ「以前から準備していたあれをやるしか――」ｿﾞｸｿﾞｸ

かすみ「ひ、怯んでなんていられません、これはかすみの未来のために！」

かすみ「璃奈ちゃん、恨むなら自分自身を恨んでくださいね……」

かすみ「確か、璃奈ちゃんの靴箱は、あ、ありました！」

かすみ「身長が小さいだけあって靴も小さいですね……」

かすみ「……」ｽﾝｽﾝ

かすみ「おお、なんというかわいらしい匂いー―」

かすみ「って変態か！ かすみはこんなことをするためにここにきたんじゃない！」

かすみ「そう、この靴に恐ろしいことをしてあげます……」

かすみ「くふふ、なんとこのコッペパンをこっそり入れてあげるのです！」

かすみ「履こうとしたら中にコッペパン、これは恐怖でしかありませんよ！ かすみなら間違いなくびっくりするし」

かすみ「さて璃奈ちゃんの靴にコッペパンを――」ﾊｯ

かすみ「り、璃奈ちゃんの靴が小さくてコッペパンが入らない！？」ｶﾞｰﾝ

かすみ「これは予想外です……！」

かすみ「しかし、こんなところであきらめるかすみではありません！」

かすみ「コッペパンは食べ物、つまり入らなければ食べて小さくすればいい！」

かすみ「くふふ、かすみあったまいー！」

かすみ「この靴に入るくらいの大きさに、ぱくっ」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

かすみ「コロッケパンの方が上ですが、コッペパンもなかなか」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

かすみ「ふぅおいしかった――」

かすみ「って、全部食べてどうするんですか！？」

かすみ「……こんな時のためにもう1個用意しておいてよかった」

かすみ「まったく、かすみに2個目を使わせるなんて璃奈ちゃんはとんだタヌキですね……」

かすみ「今度は全部食べないように、よしっ」

かすみ「これを璃奈ちゃんの靴に入れて」

かすみ「よし、これで璃奈ちゃんがどういう反応するか物陰から見ていましょう」ｸﾌﾌ

かすみ「きっとコッペパンが入っていることに恐れおののいて履かずに帰ることに――」ｸﾌﾌ

璃奈「」ﾃｸﾃｸ

かすみ「おお、来ましたね璃奈ちゃん」

璃奈「……」

かすみ「靴を手に取って固まってますね」

璃奈「コッペパン？」

かすみ「くふふ、驚いてる驚いてる」

璃奈「」ｽｯ

かすみ「な、なんの躊躇いもなく取り出した！？」

璃奈「もったいないけど……」ｽｯ

かすみ「ちょ、ちょっとまったー！」

璃奈「かすみちゃん？」

かすみ「璃奈ちゃん何しようとしてるの！？」

璃奈「誰かが私の靴に食べかけのコッペパン入れてたからもったいないけど捨てようとしてたの」

かすみ「捨てるなんてもったいない！ かすみが食べます！」

璃奈「え？」

璃奈「わ、私の靴に入ってたんだよ？」

かすみ「？ 何の問題が？」

璃奈「汚いと思うの」

かすみ「璃奈ちゃんの靴いい匂いだから平気ですよー」ﾊﾟｸｯ

かすみ「んー、おいしい♡」

璃奈「……かすみちゃんなんで私の靴の匂い知ってるの？」

かすみ「……。あっ」

璃奈「いつ嗅いだの？」

かすみ「え、えっと……。ほら、ライバルの情報は集めないと！」

璃奈「靴のにおいまで？」

かすみ「あーえっと……」

璃奈「じーっ」

かすみ「コッペパンごちそうさま！」ﾀﾞｯ

璃奈「あっ、かすみちゃん！」

――

かすみ「くふふ、靴のにおいを嗅いだことはばれましたがコッペパンをつめたのがかすみということには気付いていませんね」

かすみ「今度は璃奈ちゃんをスクールアイドルとして終わらせてあげちゃいます」

かすみ「璃奈ちゃんはかすみにとって最大のライバル足りえます……」

かすみ「何よりちっちゃくてかわいいし！」

かすみ「そこで璃奈ちゃんにおいしいお菓子をたっくさんプレゼントしてお腹ぽっこりにさせちゃいますよ」

かすみ「くふふ、お腹ぽっこりでまんまるな璃奈ちゃんもかわいいんでしょうけどスクールアイドルとしては失格！」

かすみ「かすみを本気にさせた罰です……！」

かすみ「りーなーちゃん！」

璃奈「かすみちゃん？」

かすみ「お菓子買いすぎちゃったからあげるね」

璃奈「え？ いいの？」

かすみ「うん、璃奈ちゃんはかすみの大好きなお友達だから」

璃奈「ありがとうかすみちゃん」(^-^)

かすみ（璃奈ちゃんボードでにっこりする璃奈ちゃんかわいい）

かすみ「トッポと、ポッキーと、アルフォートに、璃奈ちゃんはたけのこだよね？ あとはマシュマロと――」

璃奈「こ、こんなに！？」Σ(ﾟдﾟ )

かすみ「どうぞ、召し上がれ♡」

璃奈「こんなに食べられないよ」(＞＜)

璃奈「あ、そうだ、かすみちゃんも一緒に食べよ？」

かすみ「か、かすみはいいですよ！」

璃奈「かすみちゃん、あーん」

かすみ「あーん。おいしい♡」ﾊﾟｸｯ

璃奈「こっちもあーん」

かすみ「あーん、んー、こっちもおいしいです♡」

璃奈「じゃあこっちも――」

かすみ「ってなんでかすみばっかり食べてるんですか！？」

璃奈「あ、美味しそうに食べるからつい」

かすみ（もしや、璃奈ちゃんもかすみを太らせようと！？）ｶﾞｰﾝ

かすみ「……」ｼﾞｯ

璃奈「？」ﾊﾟｸﾊﾟｸ

かすみ（かわいい）

璃奈「かすみちゃん？」

かすみ「か、かすみ負けませんからねっ！」

璃奈「何に！？」

――

かすみ「まったく油断も隙もありませんね……」

かすみ「今度は直接対決です」

かすみ「校舎裏に呼んで話をつけてやります！」

かすみ「かすみの下につくというのであれば許してあげないこともないですけどね」

かすみ「璃奈ちゃんかわいいし」

かすみ「とりあえずかすみは校舎裏の茂みに隠れてスタンバイは完了です」

璃奈「……」ﾃｸﾃｸ

かすみ「お、璃奈ちゃんきましたね。飛んで火に入る夏の美少女です」

かすみ「すぐには出て行かず何が起きるか怯えているであろう璃奈ちゃんを観察しましょう」

璃奈「………」ｿﾜｿﾜ

かすみ「くふふ、あまりの恐怖に震えていますね」

かすみ「そろそろ出て行きましょう」

かすみ「天王寺璃奈ぁ！」ﾊﾞｯ

璃奈「あ、かすみちゃん遅いよー」(＞＜)

かすみ「え？ かすみが来るのわかってたの？」

璃奈「え？ だって名前書いてあったの」

かすみ「……あ」

璃奈「そ、それで、話ってなに？」ﾓｼﾞﾓｼﾞ

かすみ（最初からかすみがくるのがばれていたのは予想外でしたが、やることにかわりはありません！）

かすみ「璃奈ちゃん、かすみのものになりなさい！」

璃奈「っ！」

かすみ「くふふ、そうすれば許してあげないこともないですよ？」

璃奈「や、やっぱりそうだったんだ……」

かすみ「ん？ 気付いてたの？」

璃奈「ちょっとだけ」

璃奈「最近やたらちょっかい出してくるし、靴の匂い知ってるし、いっぱいお菓子くれるし、おかしいなとは思ってたの」

かすみ「なら話は早い！ かすみのものになりなさい！」

璃奈「私でいいの？」

かすみ「？ えぇ、璃奈ちゃんがいいというか」

かすみ（璃奈ちゃんが当面の脅威ですし）

璃奈「ふ、ふつつかものですがよろしくお付き合いください」ﾍﾟｺｯ

かすみ「くふふ、璃奈ちゃんがかすみの軍門に――え？」

かすみ「り、璃奈ちゃん、お付き合いって？」

璃奈「かすみちゃん、私のこと好きなんでしょ？」

かすみ「ち、違いますよ！ なんでそんな――あっ」

かすみ（確かに今のかすみ、好きな子にちょっかいかけているように見えなくもない……！）

璃奈「好きじゃないの？」(´･ω･`)

かすみ（……恋人にしちゃえば無力化したも同然！）ﾊｯ

かすみ（それに璃奈ちゃんかわいいしこれは願ってもない機会！）

かすみ「いえ、大好きですよ、璃奈ちゃん」ﾆｺｯ

璃奈「っ！」

璃奈「じゃあ、恋人だね」(*´∀｀*)

かすみ「……ていっ」ﾊﾞｯ

璃奈「あ、璃奈ちゃんボード返して」

かすみ「恋人の顔くらいじっくり見せてください」ｼﾞｯ

璃奈「あ、あう……」

かすみ「んちゅっ♡」

璃奈「！？」

かすみ「これで璃奈ちゃんはかすみのものですよ？」ﾆｺｯ

璃奈「も、もうかすみちゃん！」

かすみ（素顔の璃奈ちゃんのぎこちない感じもやっぱりかわいい♡）

おわり