1: 矢橋P 24/06/07(金) 09:47:01 ID:HO7g
このSSも某BBSに投稿したものと同じになります
昴「……怪奇ハタ人間?」の続編で前編から約1ヶ月後の物語です
前編を俺達の戦いはこれからだ!……といったままで止めておくのも不憫と思いこちらも投稿します

?注意?
・このSSは パワポケ×怪奇ハタ人間のSS 

昴「……怪奇ハタ人間?」   の続編です

・プロデューサーは登場しません
・登場キャラクターはミリオンメインですがパワポケからも登場します

連投稿お見苦しいですがよろしくお願いします

2: 矢橋P 24/06/07(金) 09:49:16 ID:HO7g
前作のあらすじ 

東京湾に浮かぶ人工島パライソタウンで人々がハタ人間なっていくハタ現象が発生する。
封鎖された島でハタ人間がハタ人間を生み住人が次々とハタ人間化していくなか、ごく普通の女子中学生永吉昴率いる少数の子供達とそれに付き添う大人達は何とか島から脱出を図ろうとする。

脱出鍵を握る人物箱崎星梨花を探すことになるがその渦中、同じく箱崎星梨花を欲するハタ警備兵率いる防衛局と対峙することになる。
最終的にそのリーダーである局長曽根村を撃退するも裏で糸を引いていたギャスビゴー星人が現れ、彼らこそが黒幕だと判明した。
ギャスビゴー星人によって曽根村は亡くなり防衛局もギャスビゴー星人とは決別した。それを見送りつつ昴達は箱崎星梨花と共に日本政府に救助を要請したのだが…………
 

3: 矢橋P 24/06/07(金) 09:49:58 ID:HO7g
用語集

パライソタウン
政府が多額の費用をかけて作った人工島。教育機関や研究施設が連なり日本でも一番の学問所になっている。
……のは表向きで裏では政府公認の表は出せない非合法的な研究所がありパライソタウン自体巨大な実験場だった。
狭い人工島の中に日本中から有数の学生及び研究者を寄せ集め、データ採取を行っていたようだ。
ハタ現象が起きた際、島の閉鎖がスムーズだったのも元々バイオハザード等が起きた際の対応が想定済みだったからである。

防衛局
日本で質、数共に一番の研究施設を備えるパライソタウンに何かがあると損失は計り知れない。ということでパライソタウン独自に立ち上げた警察や自衛隊とは異なる防衛組織。
……というのも表向きで本当はパライソタウンの裏の顔を守秘するのが本来の仕事。
そのためなら隠蔽工作等もいとわない。

警備隊
防衛局に含まれている戦闘部隊。総司令官のヘルガが指揮を執っている。

4: 矢橋P 24/06/07(金) 09:50:37 ID:HO7g
ハタ現象&ハタ侵略
今回の怪異の総称

ハタ人間
ギャスビゴー星人が開発した特別なハタを付けられた人間のなれの果て。
思考力が低下しひたすらハタが付いて無い人間にハタを付けたがるようになる。
また権限というものがあるようで、それを持つものには逆らえない。
頭のハタは立てられると脳に根ざしてしまいハタを引っこ抜いたり切ってしまうと死んでしまう。
現状ではハタ人間を元に戻す方法は無い。

ギャスビゴー星人
今回の元凶。地球より遠い宇宙からやってきた。
地球の環境にはまだ慣れていなかったため侵略を防衛局に任せ傍観していたがいよいよ本格的に動き出した。
自分達を知的生命体だと自称し地球人を見下している。

5: 矢橋P 24/06/07(金) 09:52:34 ID:HO7g
サイボーグ及びサイボーグ化
人間を改造し様々な強化を施せる技術。
人によって適合率が異なり適合率によって改造出来る範囲が異なる。
世代というものもあり作中で登場しているサイボーグはほぼ第二世代のようだ。
現在判明しているサイボーグは 真壁瑞希 灰原 曽根村だが彼らでさえ適合率は
真壁24% 灰原32% 曽根村8% である。
現在日本において改造及びメンテナンスはパライソタウンでしか行えない。

ハピネスP(パワー)
パライソタウンで開発された怪しい薬。
飲めば超人的な能力に目覚めるらしいがとんでもない副作用が1時間以上も続く。
そのくせ薬の効き目は30分ぐらいと少なくリスクとリターンが見合っていない欠陥品。
……のはずだったがハタ人間には副作用が無いことが判明した。

ワークボット&UFO
どちらも地球の技術では開発不可能な宇宙人の兵器。
遠隔操作可能で中に乗車する必要はない。

では本編に入ります

6: 矢橋P 24/06/07(金) 09:56:26 ID:HO7g
8月20日 12:00 東京湾 某港

恵美「ふぅ、着いた。確かにうっすら……とパライソタウンが見えるね……」


恵美(アタシは所恵美、18歳。今どきの女子高生だ)

恵美(学校は夏休み中。今本来であればこんな港じゃなく友達でも誘ってファミレスに行きたい所だけど……)

恵美(こうして水平線に見える島を睨み付けているのは理由がある)


恵美「待っていていて琴葉、エレナ。私も必ずそっちに行く!」

7: 矢橋P 24/06/07(金) 11:45:56 ID:93AU
恵美(事の始まりは今から約1ヶ月前パライソタウンが全面封鎖されたのが始まり)

恵美(島の唯一の出入り口北ゲートと東ゲートが内部から封鎖され出入り出来なくなり、電話等による通信も一切出来なくなった)

恵美(突然のことでこの島を管理していた政府すらも把握はしていなかったらしい)

8: 矢橋P 24/06/07(金) 11:47:25 ID:93AU
恵美(島の住民は元より、島で働いていた教職員や研究員。そして島の学校に通う生徒達)

恵美(全部合わせて1万人以上の人達が安否不明になった)

恵美(島の内部を探ろうにも黒い霧のようなものが島を覆い衛星写真やドローンによる調査も行えず)

恵美(多くの報道機関が混乱する中、5日経った頃に内部から通信があったと政府が発表した)

9: 矢橋P 24/06/07(金) 11:50:01 ID:93AU
恵美(それは……信じられない内容だった。今回の事件は宇宙人による地球侵略が原因らしい)

恵美(彼らは"ハタ"を使って島の人間を操っている。既に島の8割以上ははハタ人間にされてしまった。ということ)

恵美(にわかには信じられなかったが政府は直ぐさま残りの生き残りの救助を決定したみたい)

恵美(救助には自衛隊の輸送機4機に警戒機2機自衛隊50名そして政府秘蔵の特殊部隊AS(アサルトスターズ)まで動員するという力の入れようで政府の対応の早さに世間も驚いた)

10: 矢橋P 24/06/07(金) 11:52:10 ID:93AU


恵美(だけど……結果的にその救助作戦は失敗した)

恵美(パライソタウンに突入してから救助チームから連絡が一切取れなくなった。もちろん救助チームは島の中では普電波による通信が出来ないことは把握済みだったのは想定済みの上で……)

恵美(救出作戦か、今日に至るまで半月経つけど何一つ音沙汰なかった。政府は救助チームが全滅した……という見解を発表した)

11: 矢橋P 24/06/07(金) 11:55:17 ID:93AU
恵美(それ以後政府はこの件については深く触れないようになった。実際あれだけの戦力でもどうにもならなかったわけだし、もう日本の力だけじゃ手に負える事態じゃない。でも外国に助けを求めることもしないみたい)

恵美(政府曰くパライソタウンは日本の重要な機密もあり機密漏洩の為に外国の介入はおいそれと許可出来ないらしい。まあ宇宙人が攻めてきた、助けてくれ~。なんて他の国に言っても信じてもらえないかもね)

恵美(それで封鎖から約1ヶ月、救出作戦決行からは半月あまり経った今でも事態は全く好転していない。今、日本中は大混乱だ)

12: 矢橋P 24/06/07(金) 11:57:26 ID:93AU
恵美(でもアタシにとってそんなことはどうでもいい。アタシにとって大事なのはパライソタウンの高校に琴葉が通っていたこと)

恵美(琴葉とエレナは私と同い年の大親友。中学までは三人共一緒だったけど琴葉は演劇の道に進みたいからと一人パライソ高校に入学した。アタシとエレナは地元に残ったけど喜んで琴葉を見送った)

恵美(学校は別になったけど休日には三人で会うことも出来たから別に寂しくはなかった。エレナとよくパライソタウンに遊びに行ったっけ)

13: 矢橋P 24/06/07(金) 11:59:16 ID:93AU
恵美(このニュースを聞いた時アタシはめちゃくちゃ動揺した。急いで琴葉に電話しても繋がらず、お母さんに電話したらお母さんは泣いていた……)

恵美(そしてさらに悪寒が頭をよぎった。確かエレナは夏休み入って直ぐにパライソタウンに遊びに行くと言っていたからだ。アタシは用事があって一緒には行けなかったが1日遅れて追っかける予定だった)

恵美(……悪い予感は的中した。それからエレナとも連絡はつかなくった)

14: 矢橋P 24/06/07(金) 12:01:37 ID:93AU
恵美(もうどうしていいかわからなくてアタシはずっと自分の部屋に塞ぎ込んでいた。夏休み中で学校に行かなくてもよかったのは不幸中の幸いだったかもしれない)




恵美「でも……散々泣いたし、もう下を向くのは辞めにするよ。決めたんだ、待っていてもしょうがない。アタシの方から二人に会いに行く!」



正直、あの時のアタシは二人に会えるならばたとえ死んだとして構わない……なんて思ってた。

これはそんな危なっかしいアタシの物語

15: 矢橋P 24/06/07(金) 12:21:48 ID:93AU


    プロローグ

16: 矢橋P 24/06/07(金) 12:22:58 ID:93AU



恵美「……当然だけど島に入るゲートは封鎖されてるし島に入れないよね。どうしょっかな……」

恵美(一応色々準備してきたけど中に入るプランはノープラン)

恵美(最初はここに来て水平線の向こうのパライソタウンを見たら踏ん切りがついて諦めれるかな……って思ってたけど)

恵美(あの海の向こうに琴葉とエレナが居ると思うと、ますます行かなきゃって気になってきた)

恵美「まずは周りを探索してみるかな……」

17: 矢橋P 24/06/07(金) 12:25:24 ID:93AU
恵美「まずは周りを探索してみるかな……」





「私の子供を返してー」

「政府は何やってるんだー」

「夫が……夫がまだ島の中に居るんです……」


恵美(島の橋の前でデモ隊が抗議してる)

恵美(悲しい思いをしているのはアタシだけじゃないよね……)

18: 矢橋P 24/06/07(金) 12:27:06 ID:93AU

環「………………」



恵美(あんな小さな子供まで……)

恵美(……離れよう)
 

19: 矢橋P 24/06/07(金) 12:28:59 ID:93AU
恵美(色々聞き込みしてみたけど橋を渡って島の入り口にあるゲートはどうやら島の中側からじゃないと開かないらしい。どうしたらいいんだろ……)




椿「よお、お嬢ちゃん」

恵美「……アタシのこと?」

椿「そう怪訝そうな顔すんなよ。別にナンパのつもりじゃねぇ」

20: 矢橋P 24/06/07(金) 12:30:15 ID:93AU
恵美(そう突然話しかけてきたのは青いコートに青い帽子を被った中年の男。ひげもぼさぼさだし風来坊……っていうか不審者っぽい)


恵美「じゃあ何の用ですか」

椿「あんた、あの島に行きたいんだろ」

恵美「!」

21: 矢橋P 24/06/07(金) 12:31:28 ID:93AU
恵美「……確かにそうだけど」

椿「実はな、俺もなんだ。目的が同じならここは一つ協力しないかってね」

恵美(確かに島に行くあてが無いし協力し合うのもありだけど……)

恵美「オジサンのこと信用出来ないうちは、うんって言えないかな」

22: 矢橋P 24/06/07(金) 12:32:36 ID:93AU
椿「おー、初印象は最悪みたいだな」

椿「まあ俺も島に入る方法が見つかるまではここに居るから気が向いたら声かけてくれ」



恵美(そう言って変なオジサンは去っていった)

恵美「変なオジサンだったね」

23: 矢橋P 24/06/07(金) 12:33:50 ID:93AU



環「…………うみみ」

恵美(あれ、さっきの子供……)

恵美「どうしたの君。迷子?お母さんどっかに行っちゃった?」

環「迷子じゃないぞ。たまき一人で来たもん」

恵美「そっかあ。でもなんでここに?」

24: 矢橋P 24/06/07(金) 18:07:10 ID:93AU

環「うみみが……うみみがあそこに……」

恵美(そう言って子供はパライソタウンに指を差した)

恵美(そっか、この子もアタシと同じなんだ)
 

25: 矢橋P 24/06/07(金) 18:09:31 ID:93AU
恵美「ねえ、君の名前は?」

環「たまきの名前は大神環、12歳だぞ」

恵美「アタシは所恵美って言うんだ。うみみって環のお友達?」

環「そうだぞ。このクリアワルザーで遊ぶ約束したんだ」

恵美「あっそれCMでやってた水鉄砲だ。それで遊んだら楽しそうだね。でも一人じゃ寂しいでしょ?
お姉さんと一緒に行かない?」

環「うん!」

恵美(こんな小さな子をあの島には連れて行くつもりはないけど)

恵美(なんだかこの環って子を放っておけなかった)

26: 矢橋P 24/06/07(金) 18:11:32 ID:93AU






「わーい、わーい♪」


恵美「ん?」

麗花「到着~」

27: 矢橋P 24/06/07(金) 18:14:30 ID:93AU
恵美(今度は誰?でもさっきまで周りにはアタシ達二人しか居なかったはずだったけど)

麗花「ん~?そこのお二人さん缶蹴りやるなら私も混ぜてほしいな」

恵美「何で?別に缶蹴りしようと思ってたわけじゃないよ!」

環「たまき缶蹴り得意だぞ」

恵美「環も乗らないの」

28: 矢橋P 24/06/07(金) 18:16:13 ID:93AU
麗花「缶蹴り楽しいのに……あれ?」

麗花「それってクリアワルザー……なるほど」

麗花「パライソタウンに行きたいのかな?」

恵美「えっ、どうしてわかったの」

29: 矢橋P 24/06/07(金) 18:18:04 ID:93AU
麗花「明日の2時」

恵美「2時?」

麗花「そう、昼間じゃないよ。草木も眠る丑三つ時~にここに来れば島に入れるかもね」

恵美「それってどういうことさ」

麗花「喋り過ぎちゃったかな。それじゃ」ピュー

30: 矢橋P 24/06/07(金) 18:20:22 ID:93AU
恵美「あ、待って…………行っちゃった」

恵美「夜中の2時って本気で言ってるの……」

環「たまきはあのお姉さんが嘘言ってるようには思えなかったぞ」

恵美「そうなの?」

恵美(他に手がかりなかったら考えてみよう)







椿「へぇー。なるほどな」
 

31: 矢橋P 24/06/07(金) 18:22:11 ID:93AU


8月21日 AM2:00 東京湾 某港前



恵美(本当に来ちゃったよ……)ハァ

 

32: 矢橋P 24/06/07(金) 18:24:02 ID:93AU
恵美(あれから手がかりらしい手がかりはなくて、仕方ないから環って子と遊んで過ごした)

恵美(それは楽しかったけど心にもやもやしたのは残ったままだ)

恵美(環は家に帰して近くのネットカフェで今まで時間を潰してきたってわけ)

恵美(泊まりがけにはなるかもしれないと思って、親には友達の家にしばらくお泊まりするって言ってあって正確だったかな)

33: 矢橋P 24/06/07(金) 18:26:09 ID:93AU

恵美「と言っても流石に眉唾物だよね……こんな時間に何があるっていうのさ」

恵美「……あのお姉さんが言った言葉の意味を確かめに来ただけ。確かめたら即帰ろう」

恵美「でも夏でよかった。真夜中でも寒くないや」


<プップー


恵美「こんな真夜中でクラクション!?」


椿「こっちだ」軽トラ

34: 矢橋P 24/06/07(金) 18:27:37 ID:93AU







恵美「アタシ達の会話を盗み聞きしていたんだ。せこいオジサンだね」

椿「そう言うなって、一応感謝しているんだぜ」

椿「ほれ、あれを見な」

35: 矢橋P 24/06/07(金) 18:28:55 ID:93AU
恵美(あれは……運送トラック)

椿「こんなところでエンジンは付いているのにライトも付けないなんて怪しいだろ?それで運転席をこれでよく見な」


恵美「これは小さな望遠鏡。運転席がどうしたのさ…………あっ」

恵美(運転席と助手席に乗ってる二人の人間の頭には"ハタ"が付いていた)

恵美(これが、ハタ人間!)

36: 矢橋P 24/06/07(金) 18:30:13 ID:93AU
椿「パライソタウンから一番近いところとはいえハタ人間が堂々と居るんだぜ。どうなっているんだろうな」

恵美「早く警察に知らせないと」

椿「馬鹿いえ、こんな真夜中にハタ人間見ました。なんて通報しても信じてもらえねぇよ」

椿「それに奴らこれから島に帰る気だ。こっそり後を付ければ俺達も島の中に入れるぜ」

恵美(あ……そっか)

37: 矢橋P 24/06/07(金) 18:32:10 ID:93AU
椿「あのお姉ちゃんはそのこと言ってたんだな。あのお姉ちゃんも何者何だか」

椿「だがあのトラックの後を追うには車じゃないと無理だぞ?あんたのおかげで情報が手に入ったんだ、あんたに声をかけるのが筋だと思ってな」


恵美「……アタシに乗れってこと」

椿「言ったろ。お互い同じ目的同士、協力しないか。ってな」

恵美「オジサンと相乗りかぁ、嬉しくないけど仕方ないね」

恵美「女子高校生だからって変なことしたら痛い目みるからね」

椿「心配しなくてもガキには興味ねぇよ」

38: 矢橋P 24/06/07(金) 18:35:12 ID:93AU








???「………………」コソコソ
 

39: 矢橋P 24/06/07(金) 18:37:41 ID:93AU


AM 2:30


?男「………………」ブロロ




椿「お、ようやく出発みたいだぜ」

恵美「いよいよだね」シュッ

40: 矢橋P 24/06/07(金) 18:39:58 ID:93AU
椿「おっと、シートベルトはしなくていい。追尾するのにスピードは出さないし」

椿「いざって時にシートベルトしていると脱出が遅れるぜ」

恵美「脱出って……」

椿「万が一だよ。何かあったら俺なんか見捨ててさっさと逃げろよ」

恵美(なんだ、このオジサンもそういうところあるんじゃん)

41: 矢橋P 24/06/07(金) 18:45:19 ID:93AU
恵美「でもあのハタ人間が運転しているトラック何を積んでいるのかな……」

椿「案外人間だったりしてな」

恵美「……え」

椿「ただの推測だけどな……裏でこそこそ仲間を増やしているかもしれないぜ」

椿「ああやって気付かれないよう少しずつ人間を拉致してるのかもしれん」

恵美(確かにあり得ない話しじゃない)

42: 矢橋P 24/06/07(金) 18:47:04 ID:93AU
椿「おー。見ろよ開いてないはずのゲートが車一台分通れる隙間だけ開いてやがるぜ。あのトラックもゲートが開くのを待っていたんだな」

椿「トラックが入ったらゲートは閉まるだろうな。その前に突入すっぞ」

恵美(いよいよ中に入るんだ。もう後戻り出来ない)

43: 矢橋P 24/06/07(金) 18:48:22 ID:93AU


そうしてアタシは何とかパライソタウンに入ることが出来た

……そこはアタシの知るパライソタウンとはまるで違った……
 

44: 矢橋P 24/06/07(金) 18:52:16 ID:93AU

パライソタウン 北ゲート前



椿「なんだここは、暗れーぞ。見通し悪りい」

恵美「テレビで島全体を黒い靄が覆ってるって言ってた。それのせいじゃないかな」

椿「ちっ、前のトラックはよくライトも付けないで走れるな……」

45: 矢橋P 24/06/07(金) 18:53:37 ID:93AU

キキイ


恵美「どうしたの」

椿「前のトラックを見失なった……」

恵美「えーーっ」

46: 矢橋P 24/06/07(金) 18:55:24 ID:93AU
椿「まあこの島に入れたなら別に後付ける必要はねぇな」

椿「それでまずどこに行くかね」

恵美「オジサンこの島のこと知らないんでしょ。アタシは何度も来たことあるからだいたいわかるよ」

椿「そうかい、じゃまず……」



ワークボッド「ガガガ……」

47: 矢橋P 24/06/07(金) 18:57:17 ID:93AU
椿「なんだあれは……」

恵美「戦車……のように見えなくはないね」

椿「逃げるぞ。捕まってろ」ハンドルグイー

恵美「うわっ」



ワークボッド「ガガガッ!」


恵美「追っかけてくるよ!」

椿「そこの路上に入る」ギュー

恵美「うわー」

48: 矢橋P 24/06/07(金) 18:59:05 ID:93AU






椿「何とか巻いたか……」

恵美「この軽トラもボロボロだね……」

49: 矢橋P 24/06/07(金) 19:00:20 ID:93AU

?宇宙魔獣1「グルル」

?宇宙魔獣2「グルル」



椿「今度は犬、いや熊……でもねぇな。地球上にはいねえ生物だ」

恵美「次から次へなんなの……」

50: 矢橋P 24/06/07(金) 19:02:12 ID:93AU
恵美(大きさは2メートルぐらいか、熊に近いけど顔は犬にも似ている。そんな四足歩行の生物が唸り声を上げていた)

恵美(狭い路上でアタシ達を挟むように前後に2匹。これじゃ逃げられない)


恵美「オジサンどうしょう!」

椿「………………」

椿「車のドアを開けろ」ガチャ

恵美「う、うん」ガチャ

51: 矢橋P 24/06/07(金) 19:04:32 ID:93AU

ドカッ


恵美「えっ、えーーっ」ドスン

恵美(一瞬理解が出来なかった。ドアを開けた瞬間あのオジサンはアタシを突き飛ばした)

恵美("シートベルトをしていなかった"アタシは簡単に外に投げ出された)


椿「悪く思うなお嬢ちゃん。こっちも必死なんだ」バタン、カギガチャ

恵美「まさか最初からこのために!」

52: 矢橋P 24/06/07(金) 19:06:32 ID:93AU
?宇宙魔獣1「グルルゥ」

?宇宙魔獣2「グルルゥ」


恵美「……ああ」

恵美(あの化け物達はアタシに一斉に視線を向けた。そして軽トラはその隙を突いて化け物の包囲網から抜け出した)


???「!!!」ダッ

椿「……じゃあな」ブロロ

恵美「このクソ野郎ーーーーーー!」

53: 矢橋P 24/06/07(金) 19:08:03 ID:93AU
恵美(アタシは見捨てられた。あのオジサン最初からそのつもりでいたんだ)


環「めぐみ、だいじょうぶ!」

恵美「環!?なぜ、どうしてここに居るの!?」

環「環もうみみを探しにここに来たかったけどめぐみに言ったら止められると思って、こっそり付いてきたんだぞ」

54: 矢橋P 24/06/07(金) 19:10:05 ID:93AU
恵美(そんな……アタシがあの時あのお姉さんから話しを聞いちゃったからこんな子まで巻き込んじゃった)

恵美「ばか、バカ。何で付いてきたの。せめてそのまま荷台に乗ってなさいよ、アタシのために降りることないじゃん」

環「めぐみ……」

55: 矢橋P 24/06/07(金) 19:12:28 ID:93AU
?宇宙魔獣1「グルルルル」

?宇宙魔獣2「グルルルル」

恵美(せめてこの子だけでも……)

56: 矢橋P 24/06/07(金) 19:14:18 ID:93AU
麗花「あらあら大変、ピンチですね」

恵美「あんたは……」

環「あの時のお姉さん」


麗花「二人共、逃げるからしっかり捕まって!」

恵美「どういうことおぉぉぉぉぉっ!?」

環「飛んでる!お姉さんすごいぞ!」

麗花「あまり時間が残っていないから急ぐよ~」ピョーンピョーン
 

57: 矢橋P 24/06/07(金) 19:15:36 ID:93AU





58: 矢橋P 24/06/07(金) 19:17:50 ID:93AU

AM 3:00 パライソタウン 倉庫街



恵美「はぁ……はぁ。寿命縮んだ……」

環「お姉さんありがと。ねー、どうやったら空飛べるの?」

麗花「それはね……」ボウシズリッ

?麗花「あっ」

59: 矢橋P 24/06/07(金) 20:08:34 ID:93AU
環「あれ、お姉さんハタ付けてるの?」

恵美「あんたも……なんだね」

恵美「あんたもアタシ達を裏切るつもりなんだ」

?麗花「えー、違うよ」

恵美「環、行くよ」ダッ

環「あ、めぐみ!」ダッ





?麗花「……しょうがないなあ。瑞希ちゃんに報告しよっと」

60: 矢橋P 24/06/07(金) 20:54:22 ID:HO7g



環「めぐみ、あのお姉さんはそんな悪い人じゃなかったと思うぞ」

恵美「……環の言う通りだね、ごめん」

恵美(あの人には悪いことをしちゃったな。命まで助けてもらったのに)

恵美(でも……ちょっと人を信じるのが怖くなっちゃって)

恵美(でも環はアタシのために危険構わずトラックの荷台から飛び降りたんだよね……)

恵美(あんなクソ野郎のために環やあのお姉さんの好意を無下にするなんて間違ってるよね)

61: 矢橋P 24/06/07(金) 20:56:39 ID:HO7g
恵美「冷静にならないと……っ」ゾクゾク

恵美(さっきまで気が動揺して気づかなかったけど)

恵美(何この島の雰囲気。……まるでお化け屋敷にいるような感覚)

恵美(車内だと感じなかったけど、おどろおどろしいというか……ただならぬ雰囲気を肌で感じる)

恵美(ここは本当に同じ日本なの!?)

62: 矢橋P 24/06/07(金) 20:58:47 ID:HO7g
環「めぐみ、なんかこわい……」

恵美「大丈夫だよ、まずはどこかに隠れれるところでも探そっか」

恵美(幸いこの倉庫街は身を隠せそうなところは多そうだ)

恵美「あの車両コンテナの中がいいかな」

 

63: 矢橋P 24/06/07(金) 21:00:18 ID:HO7g







恵美(このコンテナ何故か開いてる。罠とかないといいんだけど……)

???「あら、新入りさんかしら」

恵美「誰ですか!?」

莉緒「そんなに驚かないの。私は百瀬莉緒、貴方達この島に入ったばかりでしょ」

64: 矢橋P 24/06/07(金) 21:02:31 ID:HO7g
恵美「……そうです」

莉緒「ここの住民の生き残りならそんな"綺麗な格好"はあり得ないもの」

莉緒「それじゃ先輩のお姉さんからア・ド・バ・イ・ス」

莉緒「この島で夜の時間にうろつくは辞めておきなさい。夜は魔獣から戦車にUFOと盛りだくさん。……とても危険よ」

莉緒「朝と昼間は戦車とUFOはいないわ。魔獣は少しいるけど夜よりは少ないしから。ハタ人間はたくさん出てくるけどね」

65: 矢橋P 24/06/07(金) 21:05:04 ID:HO7g
恵美(戦車、魔獣、UFO?と思ったけどさっき自分達も遭遇したばかりだと気付く)

恵美(実物を見なかったら信じていかった)

恵美「戦車にUFO……。いったいこの島はどうなっているんですか」

莉緒「さあ?私だってこの島に来て数日しか経ってないの、そこまではわからないわ。ただ一つ言えることは……」


莉緒「ここは地獄よ、パライソタウンという名のね」

66: 矢橋P 24/06/07(金) 21:09:38 ID:HO7g
プロローグは終わりです
また日付ごとに区切っていきます

前作から主人公が変わりましたね。雰囲気も少し変えています
前作の敵は防衛局だったので 人間VS人間 でしたが
敵がギャスビゴー星人となりいよいよ人外が増えていきますし容赦が無くなっていきます

67: 矢橋P 24/06/08(土) 06:25:22 ID:5NaL

8月21日 AM 9:30 パライソタウン 倉庫街



恵美「ん…………朝かぁ……」

恵美(まぶたを開くと無機質なコンテナの壁が写って嫌でも現実を実感してしまう)

恵美(アタシは今パライソタウンのコンテナの中で寝泊まりしているんだよね……)

環「むにゃむにゃ……」

恵美(アタシの隣にある環の寝顔だけが唯一の癒しかな)

68: 矢橋P 24/06/08(土) 06:50:22 ID:NL0W
恵美(莉緒さん……は居ないか。昨日協力を申し出てみたけど、残念だけど子守りをしている余裕はないの~ って言われちゃったし)

恵美(その後アタシ達は急な眠気に襲われて直ぐ寝ちゃった。時間も3時半を回っていたし当然か……)

恵美(あれ、アタシ達にかかっている革ジャン……アタシ達が寝ている時に莉緒さんが自分のをかけてくれたんだ……)

恵美(……今度会ったら返さないとね)ギュッ



環「うーん……めぐみ、おはよう」

恵美「うん、おはよう」

69: 矢橋P 24/06/08(土) 07:04:34 ID:NL0W



環「たまきお腹空いたぞー」

恵美「にゃはは……環は元気だね。こんな時でも食欲あるんだ」

環「こんな時だからこそだぞ。どこか食べ物探しにいこ~」

恵美「それもそっか。まずは食料でも探しに行かないとね」

環「この町を探検するぞー」タタタッ

恵美「もー、待ちなよ。まず倉庫街から出ないとね」

70: 矢橋P 24/06/08(土) 07:19:38 ID:NL0W


AM 10:00 パライソタウン中心街



恵美(食料探すなら倉庫街を彷徨っていても仕方ない。この島の中心街でまずはコンビニかデパート辺りでも探そうと思ったんだけど……)
 

71: 矢橋P 24/06/08(土) 07:30:59 ID:NL0W

?ハタ人間「…………………………」スタスタ
?ハタ人間「…………………………」スタスタ
?ハタ人間「…………………………」スタスタ
?ハタ人間「…………………………」スタスタ



恵美(ハタ人間多過ぎ!夜には居なかったくせに)

恵美(莉緒さんのいう通り昼間はハタ人間だらけになるみたいだね)

72: 矢橋P 24/06/08(土) 07:37:43 ID:NL0W
環「これ……みんなこの島の人達なの?」

恵美「そうだね。1万人の安否不明だった人々はこうしてハタ人間としてここに居るみたい」

恵美(亡くなっているよりはましかもしれないけど……)


この子が探している海美って人がもしかしたらこの中に……そして琴葉や、エレナも同じように……って頭によぎる考えを必死に押さえつけていた
多分環もそう思っているだろう

73: 矢橋P 24/06/08(土) 07:40:22 ID:NL0W
恵美(でもこのハタ人間達、ただ当てもなくぶらぶらしているってわけじゃなさそう。動き方に規律がある……)


?ハタ人間「………………」スッ
?ハタ人間「………………」スッ
?ハタ人間「………………」スッ


恵美(あそこのハタ人間なんかは列を作って並んでる。先頭でなんか受け取っているようだけど……)

恵美(気にしてもしょうがないね。行動パターンを把握すれば何とか避けて進めるかも)

74: 矢橋P 24/06/08(土) 07:43:04 ID:NL0W
恵美「ハタ人間に見つからないように進もっか」

環「う、うん」ブルブル

恵美「……ハタ人間が怖いの?」

環「たまき、あんなにぼーっとした目の人みたことないぞ。それもこんなたくさん……」ブルブル

恵美「……アタシもだよ」ギュッ

恵美(環は純粋だ。だから人の感情にも敏感なのかもしれない)

75: 矢橋P 24/06/08(土) 07:45:32 ID:NL0W




76: 矢橋P 24/06/08(土) 07:47:15 ID:NL0W



環「めぐみー、こっちも無いぞ」

恵美「アタシの方も。あはは、困ったね……」

恵美(これで3軒目のコンビニだけど生活用品や食料品は一切無かった)

恵美「どおりで店内にハタ人間が居ないわけだね」

77: 矢橋P 24/06/08(土) 07:49:17 ID:NL0W
恵美(この島が封鎖されて1ヶ月。当然商品の補充なんてないはず)

恵美(生鮮食品は腐っているだろうし残った保存食料も生き残りに奪い合いになっただろう)

恵美「簡単にゲット出来るって思ったのが間違いかぁ」ハァ

78: 矢橋P 24/06/08(土) 07:51:14 ID:NL0W
環「たまき、なんだかお腹戻っちゃった。しばらく食べなくてもだいじょうぶだぞ!」

恵美「こら、強がってウソ言わないの」ナデナデ

恵美(仕方ない。あまり行きたくなかったけど……)チラ

79: 矢橋P 24/06/08(土) 07:53:08 ID:NL0W


パライソ中心街 パライソデパート前



環「わぁ、大きなデパート!」

恵美「何回か来たことあってね。ここで服とか買ったんだ」

恵美(正直こんな広い建物に入るのはリスクが高いけどそうも言ってられない)

恵美(コンビニと違ってすでに何人かハタ人間が入るのを見ている。けど行くしかない)

恵美「行くよ、環」

環「うん」

80: 矢橋P 24/06/08(土) 07:55:21 ID:NL0W





?ハタ人間「………………」スタスタ


恵美(よし、あっち行った)コソコソ

環(チャンスだぞ)コソコソ

恵美(ここは1階の紳士、婦人の洋服コーナー)

恵美(こうして洋服の影に隠れながら店内を進んでいるけど……)

恵美(思ったよりハタ人間が少ない。何かあったんだろうか)

81: 矢橋P 24/06/08(土) 07:56:56 ID:NL0W


?守衛1「居たぞ!ハタ無しだ!」



環「!」ビクッ

恵美(えっ、バレた!?)

82: 矢橋P 24/06/08(土) 07:58:12 ID:NL0W


?守衛1「そっちに逃げたぞ。追え!」


恵美(いや、これは見付かったのはアタシ達じゃない)


カンタ「………………」ダダダッ


恵美(あの子供だ)

83: 矢橋P 24/06/08(土) 08:00:32 ID:NL0W

カンタ「痛っ」バタン

?守衛2「いい加減逃げるんじゃない。このガキ」ガシッ



環「!」ダッ

恵美「あっ、環」

84: 矢橋P 24/06/08(土) 08:05:01 ID:NL0W

環「子供ひとりに大人ふたりがかりでひきょうだぞ」チャキ

恵美「環!水鉄砲じゃ脅しにもならないよ」


?守衛1「……新たなハタ無しか」

カンタ「ハタでやんす。ハタに向かって撃って!」
 

85: 矢橋P 24/06/08(土) 12:53:03 ID:NL0W
環「わかったぞ!」バシュッバシュッ

?守衛2「うげぇ……」バタン


恵美「あ……れ?」

環「本当だ。やっつけた!」

?守衛1「ちぃ、こいつもクリアワルザー持っているのか」

86: 矢橋P 24/06/08(土) 12:55:10 ID:NL0W
環「じゃあもう一人もやっつけるぞ」バシュッバシュッ

カンタ「だめ、闇雲にやっても……」




カシュカシュ

環「あ……弾切れ……」

87: 矢橋P 24/06/08(土) 12:57:06 ID:NL0W
?守衛1「それで終わりみたいだな」
?守衛3「……ハタ無しはここか?」
?守衛4「……早くハタ付けろ」


恵美(まずい他のハタ人間も集まって来た)

環「うう……」タジタジ

88: 矢橋P 24/06/08(土) 12:59:09 ID:NL0W
カンタ「もーしょうがないでやんすね」

恵美(そう言ってあの子供はすぐそこにあった婦人用の毛糸の帽子を掴む)


カンタ「キミ、背中借りるよ」

環「ん?よくわかんないけどいいぞ」

恵美(環の背中を借りて跳びあがりハタ人間の一人に毛糸の帽子を被せちゃった)

89: 矢橋P 24/06/08(土) 13:01:11 ID:NL0W
?守衛1「何のつもりだ……」


?守衛3「……ハタ無し」ガシッ

?守衛4「……ハタ無し」ガシッ

?守衛1「待て待て。俺はハタ無しじゃない!」ジタバタ


カンタ「お姉ちゃん今のうちに」ダダダッ

環「あんな一瞬で、キミすごいぞ」ダダダッ

恵美(確かにあの一瞬で……。これがこの環境を生き延びてきた子供……)ダダダッ

90: 矢橋P 24/06/08(土) 13:03:14 ID:NL0W




91: 矢橋P 24/06/08(土) 15:55:55 ID:NL0W

パライソ中心街 路地



カンタ「お姉ちゃん達のおかげで逃げることが出来たよ」

環「こちらこそだぞ」グーッ

環「あ……」

92: 矢橋P 24/06/08(土) 15:57:54 ID:NL0W
恵美「もータイミング良いんだか悪いんだか」

カンタ「お姉ちゃん達お腹空いてるの?」

カンタ「じゃあとりあえず、これ」ゴソゴソ

恵美(子供が取り出したのは包装されたステックバーみたいなものだ)

93: 矢橋P 24/06/08(土) 15:59:22 ID:NL0W
恵美「これは?」

カンタ「ハタ人間は毎日これ食べているんだよ。ぼく何度か盗んでくるんだ」

環「食べていいの?ありがとう!」

恵美(なるほどね。あんな数のハタ人間の食料はどうしているのかと思っていたけど配給みたいなものがあるんだ)

94: 矢橋P 24/06/08(土) 16:01:28 ID:NL0W
環「いただきまーす・・・・」

恵美(早速かぶりついた環が口に入れた瞬間なんともいえない顔をしてる)

環「へ、変な味~」モグモグ

カンタ「そのうちなれるよ。味は変でも栄養はあるみたいだよ」モグモグ

恵美「うわっ、確かに変な味だね」モグモグ

95: 矢橋P 24/06/08(土) 16:03:04 ID:NL0W

?補足?
わかる人だけの補足をしておきます
恵美達が食べたものは"佃煮""ひもの"ジュース"スナック菓子"ではありません!
あれとは全く別なものです!
 

96: 矢橋P 24/06/08(土) 16:05:20 ID:NL0W
カンタ「ぼくの名前は権田カンタ。お姉ちゃん達は?」

恵美「アタシは所恵美」

環「たまきは大神環12歳だぞ」

カンタ「ぼくは7歳だから5つ上だね」

97: 矢橋P 24/06/08(土) 16:11:10 ID:NL0W
恵美「カンタ君はこの島に住んでたの?」

カンタ「そうだよ」

恵美「……ずっとこんな生活しているの、つらくなかった?」

カンタ「大変だけどお父さんが帰ってくるまでだから辛くないでやんす」

環「お父さん?」

カンタ「ぼくのお父さんは警察官なんだ。強いんだよ」

カンタ「お母さんは……今は病気で入院していてこの島に居ないんだって。お父さんが言ってた」

カンタ「今お父さんはやる事があるみたいで居ないけど、帰ってきたらあんな奴らやっつけちゃうもん」

恵美(…………)

98: 矢橋P 24/06/08(土) 16:13:17 ID:NL0W
環「そうだ、クリアワルザーでハタ人間やっつけれたぞ。あれってどういうこと」

カンタ「えー、知らないの。ハタ人間はハタが弱点なんだよ」

恵美「にゃはは……アタシ達この島に今日来たばかりなんだ」


カクカクシカジカフローズンワード
 

99: 矢橋P 24/06/08(土) 16:15:25 ID:NL0W
カンタ「そっか、お姉ちゃん達は友達を探しにこの島に来たんだ」

カンタ「でも、そのお姉ちゃん達の友達は見てないよ」

環「そうなのか……」ガッカリ

恵美(そう簡単に手がかりはみつかんないよね)

100: 矢橋P 24/06/08(土) 16:17:07 ID:NL0W




???「ヂュイ!」

恵美(ん……?)

環「わぁ。ハムスターだ!」

101: 矢橋P 24/06/08(土) 16:19:16 ID:NL0W
ハムスター「ヂュイヂュイ」バッ


カンタ「あ、ぼくの保存食を……」

ハムスター「ヂュイヂュイ」ピュー

カンタ「許せないでやんす」ダダダッ

環「カンター待ってー」ダダダッ

恵美「そんなステックバー1本くらいで……」ダダダッ

恵美(でもこの島にハムスターなんて居たかな?ハタは立ってないようだけど)

102: 矢橋P 24/06/08(土) 16:21:15 ID:NL0W

PM13:00 パライソ中心街 とある建物前




恵美「ハムスターはここに向かって行ったけど」

ハムスター「ヂュイヂュイ」

カンタ「いた!かんねんするでやんす」
 

103: 矢橋P 24/06/08(土) 16:23:46 ID:NL0W
環「待って。何か伝えたいみたいだぞ」

恵美「ハムスターの気持ちがわかるの環?」

環「……なんとなくわかる。ここの扉開けてほしいみたい」

ハムスター「ヂュイヂュイ」コクコク

104: 矢橋P 24/06/08(土) 16:26:39 ID:NL0W
カンタ「なんだか必死みたいでやんすね。おしおきは扉を開けてからにしてあげる」ガチャ

ハムスター「ヂュイ!」スッ

恵美「急いで中に入って行った……よっぽどの何かあるんだろうね」

環「何か気になるぞ」スッ

カンタ「ステックバーのお礼、まだしてないでやんす」スッ

恵美「もう、二人共勝手に動いたら危ないよ」スッ 


バタン

ガチャリ

105: 矢橋P 24/06/08(土) 16:28:39 ID:NL0W
恵美「え、ドア閉めた瞬間鍵が……」

パッ


?宇宙魔獣1「グルル」
?宇宙魔獣2「グルル」


カンタ「これは罠でやんす!」

106: 矢橋P 24/06/08(土) 16:30:04 ID:NL0W
恵美「ハムスターは!?」

環「あそこ!」



ハムスター「ヂュイヂュイ」スルスル

恵美(アタシ達をこんなところに招待したハムスターは壁のパイプをよじ登りダクトの中に入っていった)

恵美(またはめられた……)

107: 矢橋P 24/06/08(土) 16:33:18 ID:NL0W
恵美(ここは何かの倉庫かガレージなのだろうか。何も置いてない広い空間に夜出会ったあの化け物が2匹奥から出てきた)

恵美(他の扉もあるがこの分だと鍵が掛かっているだろう)


カンタ「お姉ちゃん達、こうなったらアイツらを倒すしかない」

カンタ「アイツらはハタ魔獣。ハタ人間と同じで環お姉ちゃんが持ってるクリアワルザーでハタに水を当てれば倒せるよ」

108: 矢橋P 24/06/08(土) 16:36:49 ID:NL0W
環「でも……クリアワルザーの水が弾切れで……」

カンタ「あそこに水道の蛇口があるから環お姉ちゃんはそれで補充して。その間……」

恵美「囮はアタシ達でやるってことね。お互い一人一匹ずつだね」

環「めぐみ、カンタ……頼んだぞ!」

恵美(そうだ、不運への嘆きも、ハムスターに対しての恨みごとも言ってらんない)

恵美(カンタ君がそういう強さを持ってよかった。アタシも見習うよ)

109: 矢橋P 24/06/08(土) 16:39:49 ID:NL0W
恵美「こっちこっち!」ダダダッ

カンタ「あっかんべー、お前の母ちゃんでべそー」ダダダッ


?宇宙魔獣1「グルルゥ」
?宇宙魔獣2「グルルゥ」

 

110: 矢橋P 24/06/08(土) 16:41:07 ID:NL0W
恵美(あの化け物はお互い目を合わせるとアタシとカンタ君に一匹ずつ向かってくる)

恵美(どうやら奴らも一匹一人と決めたみたい)

恵美(それに動きもなんかゆっくりだ。彼らにとってはアタシ達は暇潰しのおもちゃかなんかなのだろう)

恵美(でもそれはアタシ達にとって好都合だ)

111: 矢橋P 24/06/08(土) 16:42:38 ID:NL0W

環「めぐみ、カンタ頑張って……」ダダダッ

環「蛇口の前に来た。今のうちに……」ジャー

環「よし、水を補充したぞ!」
 

112: 矢橋P 24/06/08(土) 17:12:01 ID:NL0W
環「今度は失敗しない」バシュッバシュッバシュッ

?宇宙魔獣1「グルルルル?」ヒュンヒュン


?宇宙魔獣1「グルルゥ!」バシュッ

環「よし、当たったぞ」

113: 矢橋P 24/06/08(土) 17:16:31 ID:NL0W

?宇宙魔獣1「グルル……」ピクピク

カンタ「ハタ人間と違って1発じゃ倒せないよ」

環「そうなのか。面倒だぞ」バシュッバシュッ


?宇宙魔獣1「グル……」バタン

114: 矢橋P 24/06/08(土) 17:18:28 ID:NL0W
恵美「やった。一匹やっつけた」ゼエゼエ

環「すぐに水を補充しないと」ジャー



?宇宙魔獣2「ガゥ!」


恵美(やばい、残った一匹がアタシ達を無視して環に向かっていった)

恵美(しかも早い。奴らも本気だ)

115: 矢橋P 24/06/08(土) 17:20:11 ID:NL0W
環「この!」チャキ

恵美「駄目、逃げて」


?宇宙魔獣2「ガルル」ドン

環「うわっ」ポイー


カンタ「環お姉ちゃんのクリアワルザーが」

恵美(化け物の体当たりで環の手からクリアワルザーが離れた)

環「く……」

恵美「たまき!」

116: 矢橋P 24/06/08(土) 17:22:02 ID:NL0W
バタン!


???「よく頑張ったぞ3人とも」

ハム蔵「ヂュイ!」


恵美「ハムスターと……パイロット?」

恵美(奥の扉から突然現れたのは浅葱色のパイロットスーツのようなものを来た女性だった)

117: 矢橋P 24/06/08(土) 17:23:48 ID:NL0W

響「自分、AS(アサルトスターズ)の我那覇響だぞ。3人のことはハム蔵から聞いたぞ」

恵美「ASってあの政府特殊部隊の……」

響「ハム蔵が自分を助けるまでの時間を稼いでくれてありがとね。あとは自分に任せて!」
 

118: 矢橋P 24/06/08(土) 17:24:53 ID:NL0W

?宇宙魔獣2「ガルル?」


響「うーん、やっぱり"自分の能力"はハタが付いてると効かないかー」

?宇宙魔獣2「ガルル!」


響「まあ能力が効かなくても大丈夫だけどね、自分能力無くても強いから!」

119: 矢橋P 24/06/08(土) 17:26:37 ID:NL0W
恵美(化け物も響さんから何か感じとったのだろうか。環を無視して響さんに向かっていったが)

恵美(響さんは華麗に避けて化け物にキックを食らわせた)

?宇宙魔獣2「ギャン!」

カンタ「環お姉ちゃん今のうちに」

環「うん!」ガシッ

環「今度こそ食らえ」バシュッバシュッバシュッ


?宇宙魔獣2「ギャ…………ン」バタン
 

120: 矢橋P 24/06/08(土) 17:27:44 ID:NL0W
ガチャ


恵美(え、化け物を倒した瞬間鍵が開いた)

恵美(ゲームじゃないんだからさ……)ヘナヘナ
 



121: 矢橋P 24/06/08(土) 17:29:06 ID:NL0W

PM 16:30 パライソ中心街 路地




環「響強いんだね。あのキックすごかったぞ」

響「当然だぞ。自分、あの有名なASの一人だもん」

122: 矢橋P 24/06/08(土) 17:30:48 ID:NL0W
カンタ「アサルトスターズ?何でやんすか」

響「日本政府の切り札。13人しかいない特殊部隊なんだぞ。さらに……これは秘密なんだけど」

響「自分達13人は全員超能力者なんだ。本当は機密事項なんだけど君たちは恩人だから特別に教えるさ」

響「例えば自分の能力は全ての動物達と会話出来て、仲良くなれるんだぞ」エッヘン

123: 矢橋P 24/06/08(土) 17:32:52 ID:NL0W

恵美(超能力……か。最近一般人にも認知されて来たことで1000万分の1ぐらいの確立で人類は何らかの超能力に目覚めるらしい)

恵美(昔は解明されずに超能力者は差別される時代もあったらしいけど今は研究が進んで普通に認知されるようになった)
 

124: 矢橋P 24/06/08(土) 17:34:05 ID:NL0W
カンタ「でもあの魔獣には効いて無かったでやんす」

響「うがー、ハタが付いた動物には効かないみたいなんだ」

恵美「で、そんな特殊部隊がどうしてやられて捕まっているのさ」

恵美「テレビで聞いた情報だとこの島に入った後、全滅したことになっているけど」

125: 矢橋P 24/06/08(土) 17:36:05 ID:NL0W
響「あ、あの作戦の時はASが自分含めて5人しかいなかったからだぞ。13人集まればなんくるないさー」

恵美「……本当に?」

響「……いやちょっと調子にのったかも。宇宙人達は油断ならないし特にあの2体は異常さ……」

恵美(あの2体?)

126: 矢橋P 24/06/08(土) 17:38:12 ID:NL0W
響「とにかく本土で待機している9人のメンバーに連絡を……いやその前に捕まっている残り4人を助けないと!」

カンタ「響お姉ちゃん、急ぐのはわかるけどほら」腕時計

恵美「もう夕方だね」

カンタ「これから奇妙ヶ刻が始まるよ」

環「奇妙ヶ刻?」

127: 矢橋P 24/06/08(土) 17:40:10 ID:NL0W
カンタ「うん、ぼくはそう呼んでいる。ぼく達は絶対外に出ちゃいけない時間」

カンタ「今はどこかに避難しないと」


カンタ君がのいう通りそれから18:00過ぎてから元々薄暗かった島がさらに真っ暗に
そしてその夜を照らすのは月灯りではなく幻妖な光で飛び回るUFO
ハタ人間達は一斉にどこかに消え、代わりに闊歩するのは
ワークボット(あの戦車はワークボットというらしい)と宇宙魔獣(あの化け物もそういう名前みたい)
あっという間に奇妙ヶ刻が完成していた…………

128: 矢橋P 24/06/08(土) 17:41:10 ID:NL0W






129: 矢橋P 24/06/08(土) 18:54:39 ID:5NaL

PM19:00 パライソ倉庫街



響「確かにこの車両コンテナの中なら大丈夫そうだぞ」

響「でもどうしてここに?」

恵美「……ジャケット返したくてさ」

響「?」

130: 矢橋P 24/06/08(土) 18:59:23 ID:5NaL
恵美(莉緒さん帰ってこないね。他のところに行ったのかな……)

環「そう言えばひびきは捕まった時ハタ付けられなかったの?」

響「それが……宇宙人達がハタ人間はもう充分だからこいつらはハタ付けないでおびき寄せる餌にするって言ってたぞ」

カンタ「はーあ。やっぱりあれは罠だったでやんすね」

恵美(そういうことなら琴葉やエレナもまだハタ付けられてないかもしれない)

とても都合の良すぎる考えかもしれない。でもアタシはまだ希望を捨てられない

131: 矢橋P 24/06/08(土) 19:03:42 ID:5NaL
恵美「今日はここで過ごすとして……みんな、明日はどうするの?」


響「自分はまず本土に連絡取りたいんだ。けど……」

響「この島で唯一通信出来る場所があるらしいんだけど、自分その場所知らないぞー」ウギャー

カンタ「頼りにならないでやんすね……」

響「大体今回の任務、政府からの説明が不十分すぎるぞ」

響「関わるのは救助だけであと余計なことは詮索するなって、感じだったし」

響「島に着くなりあんな反撃に遭うのも誰も想定してなかったぞ」モー

132: 矢橋P 24/06/08(土) 19:05:25 ID:5NaL
響「恵美と環は政府の人間じゃないよね。どうしてここに?」

恵美「アタシと環はこの島で行方不明になった友人を探しに来たの」

カンタ「ぼくは元々この島に住んでて今日このお姉ちゃん達と知り合ったんだ」

133: 矢橋P 24/06/08(土) 19:07:50 ID:5NaL
響「そうか。心配しなくてもいいぞ。自分の任務はこの島の生き残った人々の救出さ」

響「三人が脱出するまでの面倒は自分が見るぞ」フンス

恵美「捕まっていたのを助けて貰ったのに?」ニヤニヤ

響「うぎゃー。それは言わないでー」

134: 矢橋P 24/06/08(土) 19:09:29 ID:5NaL


ハム蔵「ヂュイヂュイ」

響「あ、ごめん無視してないぞ。ハム蔵も頼りにしているからね」

環「そのハムスターってひびきのペット?」

響「そう、自分の家族だぞ。他の家族もいるんだけど今回連れてこれたのはハム蔵だけさー」

ハム蔵「ヂュイヂュイ」

響「みんなよろしく! だって」

カンタ「まあステックバーのことは許してやるでやんす」

恵美「まだ根に持っていたんだ……」

135: 矢橋P 24/06/08(土) 19:11:46 ID:5NaL
響「それで明日は二人の友人を探そうか」

響「そうしてるうちに他のASのメンバーにも会えるさー」

恵美「仲間の救出を後回しにしてもいいの、仲間でしょ?」

響「他のメンバーも自分と同じぐらい強いからね。信頼しているから心配なんかしてないさー」

響「すでに拘束から抜け出してるかもしれないしね」

恵美「だったら好意に甘える感じになってしまうけど…まず、パライソ高校に行っていい?」

136: 矢橋P 24/06/08(土) 19:15:25 ID:5NaL
恵美「そこにアタシの友人が通っていたんだ」

響「自分は構わないぞ」

カンタ「ぼくもだいじょうぶだよ」

環「みんなで行くの楽しそう」

恵美「ふふ、みんなありがと」
 

137: 矢橋P 24/06/08(土) 19:18:16 ID:5NaL
恵美(こうして奇々怪々な島で過ごす初日が終わった)

恵美(ハタ人間のことも少し分かってきて、頼もしい味方も出来て)

恵美(琴葉とエレナにちょっとずつ近づけているのだろうか)
 

138: 矢橋P 24/06/08(土) 19:22:34 ID:5NaL
1日目終わりです

前作の時点でASの設定は考えていました。だから前作にASは一人も登場しなかったんですね
サイボーグに続き超能力者まで登場しました。まあパワポケではめずらしいことではないですが

139: 矢橋P 24/06/09(日) 06:00:25 ID:MClh

8月22日 AM 6:30 パライソ倉庫街 とあるコンテナの中




環「めぐみ~朝だぞ~」

カンタ「二人とも~起きるでやんす~」

恵美「あーー、よく寝た」

環「くふふ、めぐみおじさんくさいぞ~」

恵美「もー、そんなことないよ」

140: 矢橋P 24/06/09(日) 06:02:52 ID:MClh
カンタ「ほら、響お姉ちゃんも起きなよ」


響「うーん……子供は元気でいいな」

響「でも自分はもうちょっと寝るぞ……」

カンタ「もー」

環「お姉ちゃん達の方が案外だらしないぞ。ね、カンタ」

カンタ「ほんとでやんす」

恵美「あはは……」

141: 矢橋P 24/06/09(日) 06:06:26 ID:MClh
恵美(実を言うと昨日は寝不足だったんだ)

恵美(コンテナの中なんて慣れない環境の中で不安たっぷりでさ)

恵美(それをごまかすように眠気で無理やり意識をシャットダウンさせたんだけど)

恵美(体は正直で起きた時全然寝た気がしなかった)

恵美(でも昨日は……ぐっすり寝られた)

恵美(そもそも最近は家のベッドの中だって気持ちよく寝られなかった。琴葉やエレナのことを考えるとどうしてもすっきりしなかった)

恵美(それが昨日は1番良く寝れたと思う。みんなのおかげだね)

142: 矢橋P 24/06/09(日) 06:09:20 ID:MClh

環「今日の朝ご飯もあのステックバー?気が乗らないぞ……」

響「自分も捕まっている時はずっとそれだったさー」

恵美「あれ、もう少し美味しくてもいいのにね」

響「こういう非常食はあえて美味しくなく作るんだって。美味しかったら余分に食べちゃうでしょ?」

カンタ「そういうものでやんすか……あ、そうだ」

カンタ「もしかしたら何とかなるかもしれない」

環「ほんとに!」

143: 矢橋P 24/06/09(日) 06:11:23 ID:MClh



カンタ「この車両コンテナ、多分食料が入っているでやんす」

カンタ「子供のぼくには開けれなかったんだ」

恵美「本当だ緊急食品って書いてある。でも鍵掛かってるよ」ガチャガチャ

カンタ「なんだ、がっかり……」

144: 矢橋P 24/06/09(日) 06:13:32 ID:MClh
響「ふっふっふ~。ハム蔵お願い」

ハム蔵「ヂュイ」

恵美(ハム蔵が僅かにあったコンテナの隙間に入っていった)



ガリガリガリ・・・

ガチャ

145: 矢橋P 24/06/09(日) 06:15:47 ID:MClh

響「よし開いたぞ」


カンタ「すっごーーい」

響「ハム蔵は潜入任務とかでも大活躍なんだぞ」フンス

146: 矢橋P 24/06/09(日) 06:17:54 ID:MClh
恵美「早速開けてみるよ」ガチャ

恵美(コンテナの中にはレトルト食品やカップラーメンがたくさん入ってた。おそらく有事の際の非常食品だろう)

恵美(アタシ達は急いでお湯を沸かせる道具や電子レンジ等を探した)

恵美(幸いこの倉庫街の事務所のようなところから見つけることが出来た)
 

147: 矢橋P 24/06/09(日) 06:23:05 ID:MClh



恵美「それじゃー」

「「「「いただきまーす」」」」


響「美味しい美味しい美味しーーい」パクパク

カンタ「やんすやんすやんすー」ガッガツ

恵美「そんな、ちょっと大げさじゃない。ただのレトルトカレーだよ?」

カンタ「ぼく、ここ2週間はまともなもの食べれなかったの!」ガッガツ

響「自分も同じくだぞ!」パクパク

148: 矢橋P 24/06/09(日) 06:26:59 ID:MClh
環「たまきもあのステックバー食べるよりぜんぜんいいぞ」モグモグ

恵美「そっか。食料問題はしばらく何とかなりそうで良かったね」

カンタ「ハム蔵にはぼくのとっておきのクッキーあげるね」

ハム蔵「ヂュイヂュイ」カリカリカリカリ

恵美(みんなが嬉しそうでなんだかアタシも嬉しいや)
 

149: 矢橋P 24/06/09(日) 06:28:58 ID:MClh

恵美(ご飯を食べてお腹も心も満たしたアタシ達は昨日の打ち合わせ通りパライソ高校に向かった)

恵美(朝になるとハタ人間の数は相変わらず多くなってくる。それらをくぐり抜けアタシ達は無事パライソ高校に到着した)
 
 

150: 矢橋P 24/06/09(日) 06:31:58 ID:MClh

AM10:00 パライソ高校



恵美「着いたよ。ここがパライソ高校、アタシの親友が通っていたところだよ」

カンタ「……何だかひっそりしてるね」

環「ハタ人間もスルーしているみたいだぞ」

環(めぐみの表情がかたい……)

響「とりあえず中に入ろうか」

151: 矢橋P 24/06/09(日) 06:35:25 ID:MClh

パライソ高校玄関


カンタ「中もシーンとしているね。ハタ人間は居なさそうだけど……」

響「生存者も誰も居ないと思うぞ……」

恵美「……そうだね。人は居なさそう」

環(めぐみ……)

恵美「でも手掛かりがあるかもしれない」

恵美「ごめん。アタシはちょっと中を探索してくる」

152: 矢橋P 24/06/09(日) 06:37:09 ID:MClh
環「たまきも着いて行くぞ」

響「……わかった。自分はカンタと一緒に入り口で待ってるさー」

恵美「……ありがとう」ダダッ

環「あ、待ってめぐみ」ダッ



カンタ「二人で行かせてよかったの?」

響「今は恵美の好きにさせておいた方がよいさー……」

153: 矢橋P 24/06/09(日) 06:40:21 ID:MClh
恵美(その後校内を見回ったけど)

恵美(人がいる気配も住んでいそうな痕跡も全くなかった)

恵美(琴葉が通ってたから何らかの手掛かりはあるかもしれない)

恵美(……なんて普通に考えてもそんな甘い展開があるわけがない)

恵美(そんなことはとっくにわかってた。でも……)

154: 矢橋P 24/06/09(日) 06:42:48 ID:MClh
恵美(この学校には去年、学校祭やるからって琴葉に誘われてエレナと一緒に来たんだ)

恵美(こうして校舎を見てると三人で回ったあの時を思い出すな)

恵美(もしかしたらアタシ、その時を思い出して哀愁に駆られたかっただけだったかもしれない)



恵美(ん、この教室のドア開いてる。誰か閉め忘れたのかな……)ヒョイ

155: 矢橋P 24/06/09(日) 06:45:07 ID:MClh


ヘルガ「………………」っ本


恵美「あっ」

ヘルガ「………………」チラ

恵美(何だろう。この人綺麗な女性だけど近寄り難い何かがある)



恵美「し、失礼しちゃったかなー」ソソクサ

ヘルガ「……待て」

156: 矢橋P 24/06/09(日) 07:03:34 ID:U0es
ヘルガ「お前のその目……彼女に似てるな」

恵美「彼女?」

ヘルガ「いや……あの彼女とは少し違うか。彼女はどんな状況でも曲がらない素直で真っ直ぐな目だったが」

ヘルガ「お前はどんなことがあろうが諦めない決意の目だ」

恵美「!!」

ヘルガ「何かを決意してわざわざこの島に来たのだろう?」

ヘルガ「まあ、あいつが見たなら気に入らない目だってぼやくだろうが」

157: 矢橋P 24/06/09(日) 07:05:08 ID:U0es
恵美「その彼女……って」

ヘルガ「私はあの彼女の目が好きだった。けど振られてしまったよ。あれから1ヶ月か、彼女は今どうしているんだろうな」

恵美「……そうなんだ」

恵美(恋人だったのかな)

158: 矢橋P 24/06/09(日) 07:08:38 ID:U0es
ヘルガ「今すぐこの建物から立ち去れ」

恵美「えっ」

ヘルガ「この建物から出ろって言っているんだ」

ヘルガ「この建物は危険だ。すぐに離れた方がいい」

恵美「は、はい」
 

159: 矢橋P 24/06/09(日) 07:13:35 ID:U0es



恵美(あの女性の言ってることよくわかんないけど冗談言ってるようには感じなかった)

恵美「環、いったん下に降りるよ……ってあれ」

恵美(環が居ない。アタシが探索に没頭しすぎて目を離しちゃった!?) 

160: 矢橋P 24/06/09(日) 07:15:09 ID:U0es
恵美(先に下に降りたのかもしれない。ひとまずアタシも下に降りよう)ダダダッ

恵美(もし下に居なかったら玄関にいる響さんに声かけて……)





「……」ススス


恵美(居た!)

161: 矢橋P 24/06/09(日) 07:17:49 ID:U0es
恵美「ごめん環。アタシちょっと集中し過ぎたみたい……」
 


ギャスビゴー星人「ン?」デデン

環「……」キゼツチュウ



恵美「あっ」

162: 矢橋P 24/06/09(日) 07:23:04 ID:U0es
ギャスビゴー星人「何ダ他ニモイタノカ」ビビビ-


恵美「うあ…………」

恵美「…………………」バタン



ギャスビゴー星人「ちょうどイイ、コイツラもアレに参加サセルカ」

163: 矢橋P 24/06/09(日) 07:29:53 ID:U0es





164: 矢橋P 24/06/09(日) 11:33:02 ID:U0es
恵美「……うーん。あれ?アタシいったい……」

恵美(目が覚めるとどこかの倉庫……いやこれは体育館の天井が見えた)

莉緒「あら、起きたかしら?」

恵美「莉緒さん!」ガバッ

165: 矢橋P 24/06/09(日) 11:33:38 ID:U0es
莉緒「恵美ちゃんは宇宙人によってここに連れてこられたのよ。連れの環ちゃんも一緒よ」

恵美「宇宙人……あれがそうだったんだ」

恵美(テレビでもいってた宇宙人。直に見たのは初めてだった)



恵美「莉緒さんも宇宙人に連れられてここに?」

莉緒「昨日からずっとね。閉じ込められて出られないままよ」

166: 矢橋P 24/06/09(日) 11:38:55 ID:U0es
莉緒「同じ境遇の人が私達以外にも二人いるわ」

恵美「二人も……」チラ



椿「………………」メソラシ

恵美「あーーーっ」

167: 矢橋P 24/06/09(日) 11:40:40 ID:U0es
莉緒「あら、知り合いだったかしら?」

恵美「知り合いなんかじゃないです!アタシあのオジサンに裏切られたんだよ!」

恵美(最低。こんなところであのオジサンに再開するなんて……)

168: 矢橋P 24/06/09(日) 11:42:15 ID:U0es
椿「まあ……なんだ。俺もあの時は悪かったと思っているんだ」

恵美「今さら取り繕っても遅いよ!口も聞きたくない!」ツーン

莉緒「あらあら、そうだったのね。私なら恵美ちゃんみたいなかわいい子見捨てないけど」

169: 矢橋P 24/06/09(日) 11:45:00 ID:U0es
伊織「もー、あなたたちうるさいわね。揉め事ならよそでやりなさい」


恵美(そう言ったのはピンクのパイロットスーツのようなものを着た女性。もしかして……)

恵美「もしかしてあなたもAS!」

伊織「そうよ、ASのスーパー隊員伊織ちゃんよ」キラン

170: 矢橋P 24/06/09(日) 11:48:41 ID:U0es
椿「そのスーパー隊員がボロボロじゃ世話ないな」ボソ

伊織「何よ、こっそり言っても聞こえてる……ゴホッゴホッ!」

恵美「大丈夫!?」

伊織「大丈夫よ……それよりあんたさっき"あなたも"って言ったわね。あたし以外のASに会ったの?」

171: 矢橋P 24/06/09(日) 11:52:00 ID:U0es
恵美「響さんに会って一緒に行動してるよ」

伊織「響か……。一人でも生き残ってこの島の現状を外に伝えな……ゴホッゴホッ!」

伊織「……あたしはおそらく"次"はもう生き残れないわ」

恵美「そんな、みんなで生き残ろうよ!」

172: 矢橋P 24/06/09(日) 11:59:46 ID:U0es
莉緒「ねぇ……私達協力し合わない?」

莉緒「この周囲、私なりに調べたんだけど一人じゃ脱出なんて無理よ」

椿「あんたが言うなら間違いないな。噂には聞いてるぜ、凄腕スパイ百瀬莉緒さんよ」

莉緒「あーら、そういうあなたは金さえもらえれば何でもやる豪腕傭兵の椿さんじゃない?」

椿「けっ、さすがに国際的スパイの耳には届いていたか」


恵美「スパイに傭兵……」

伊織「この島にわざわざ来る物好きがまともな連中なわけないでしょ……」

173: 矢橋P 24/06/09(日) 12:01:45 ID:U0es
莉緒「じゃあ隠しても意味なさそうね。私はとある国の依頼を受けてこのパライソタウンの機密情報を盗みに来たの。依頼主は言えないけど」

莉緒「ほら、私も言ったんだからあんたも言いなさい」

椿「ちっ、俺は箱崎星梨花をこの島から脱出させるように頼まれたんだ。俺も依頼主は言わないけどな」

174: 矢橋P 24/06/09(日) 12:05:41 ID:U0es
恵美「これアタシも言う流れだよね」

恵美「アタシと環は友達を探しにこの島に来たんだよ」


椿「はっ、そんな理由でこんなところに来たのか……うげっ」バキッ

莉緒「恵美ちゃんと環ちゃん立派よ。お姉さん感心しちゃったわ」

椿「この女……」



環「うーん、ここどこ?」

莉緒「環ちゃんも起きたのね」

175: 矢橋P 24/06/09(日) 12:16:33 ID:U0es

シャッター<ガガガガガ




恵美・莉緒・椿・伊織「!?」

176: 矢橋P 24/06/09(日) 12:23:23 ID:U0es
<全員起キタヨウダナ

<コレヨリ第二回サバイバルゲームヲ行ウ



恵美「サバイバルゲーム?」

伊織「……やっぱり、ね」

177: 矢橋P 24/06/09(日) 19:29:16 ID:MClh
<ルールハ簡単。最後ノ一人にナルマデ生き残れバイイ

<生き残っタヤツハマタ第三に参加ダ

恵美「それってたとえ生き残っても永遠に終わらないってことじゃん」

<ナニヲカクソウソコノピンクハ前回ノ生き残リダ

<前回ハ20人グライイタカナ?

<ハタ人間ヲ1000人イッキ二ケシカケテナ。中々楽シイ見世物ダッタ


伊織「……この外道」ギリギリ

178: 矢橋P 24/06/09(日) 19:36:22 ID:MClh

<今回ハハタ人間ジャナク別ナ趣向ヲ用意シタンダ



恵美(シャッターの開いた先はパライソ高校のグラウンドで)

恵美(グラウンドの周りにはバリアー?みたいな壁が展開されていて抜け出せそうもない)

恵美(そしてグラウンドの中央には6メートルぐらいの巨人に頭にハタが立っていた)

179: 矢橋P 24/06/09(日) 19:40:33 ID:MClh

?ギガントス「ゴグググルゥ」





<今回ノ相手ハコイツダ

<戦ウモヨシ、逃ゲ惑ウモヨシ、先ニ自分以外ノメンバーヲ蹴落トスノモヨシダ

180: 矢橋P 24/06/09(日) 19:52:53 ID:MClh




カンタ「響お姉ちゃん、恵美お姉ちゃん達が大変だよ!」ダダダッ

響「わかってるよ。くそっ宇宙人め」ダダダッ

響(まさかこんなところに宇宙人が居るとは思わなかった)

響(宇宙人は校内放送でアナウンスしてた。なら放送室に居るはず)ダダダッ

181: 矢橋P 24/06/09(日) 20:01:03 ID:U0es

宇宙人傭兵×4「……………………」デデン




カンタ「なんだか強そうなやつが出てきた!」

響「くっ、さすがに武器も無しでこんなやつら相手はきついぞ……」

182: 矢橋P 24/06/09(日) 20:05:36 ID:U0es

?ギガントス「ゴグググルゥ」



莉緒「あれはギガントスね」

椿「知ってんのか」

莉緒「聞いたことあるわ。幸せ草から作ったドーピング剤で極限まで強化した肉体をサイボーグの技術で制御する計画」

莉緒「ただ、成功したって話は聞かないけど」

莉緒「あれはおそらくパライソタウンで生まれたそれの失敗作。それをハタ付けて無理やり操るなんてエグいことするわね」

183: 矢橋P 24/06/09(日) 20:13:12 ID:U0es
椿「ハタ人間が可愛く思えてくるな。で、俺はあんたの言ったみんなで協力ってのに賛成なんだが」

恵美「そう言って途中で裏切る気でしょ!」

椿「やつらを倒さないことにはたとえ生き残ったとしても未来はねからな。流石に足引っ張り合いしている場合じゃねえだろ」

莉緒「そういうこと。まあ今度恵美ちゃんを困らせたら……私が始末してあげる」

環「りお……意外に怖いぞ」

184: 矢橋P 24/06/09(日) 20:15:16 ID:U0es


恵美「……わかったよ」スタスタ


パチーン

恵美「あの時のことはこれでチャラにしてあげる」


椿「……痛って」ヒリヒリ

185: 矢橋P 24/06/09(日) 20:18:17 ID:U0es
伊織「……あんた達、あたしのこと構わなくていいわよ。自分の身のことだけ考えなさい」

椿「おー、さすが政府直結のスーパー部隊だ。自分の身より他人優先か」

椿「恵美……だったな。あのスーパー隊員を守ってやってくれ。一人じゃ、まともに動くことも出来ないようだからな」

椿「あいつにいきなり踏み潰されても目障りだからよ」

伊織「なっ、あんた……」ピキピキ

186: 矢橋P 24/06/09(日) 20:21:57 ID:U0es
莉緒「ええ、あのデカブツは私達で何とかしてあげる」

莉緒「でもどうしょうかしら。私あんな大型獣用の武器なんて持ってないわよ」

椿「そもそもアレに普通の武器通じるのか疑問だな。操られてるんだから痛覚とかないだろ」

187: 矢橋P 24/06/09(日) 21:22:44 ID:U0es
環「たまきあいつの倒し方わかったぞ!」

莉緒「環ちゃん本当?」

環「あいつも頭にハタ立ってる。ってことはハタにこのクリアワルザーで水をかければ倒せるぞ!」

椿「そうなのか?」

188: 矢橋P 24/06/09(日) 21:28:34 ID:U0es
恵美「うん、それは間違いないと思う。問題は……ここは水を補給出来ないから弾は6発までしかないこと」

恵美「ハタ魔獣は倒すのに2発必要だった。あいつぐらいになると最低3発以上は当てないと駄目だと思う」

莉緒「それにあの巨体。足元から撃っても頭のハタには届きそうもないわね……よし」

189: 矢橋P 24/06/09(日) 21:39:46 ID:U0es
莉緒「私が環ちゃんを担いであいつに近づくわ。環ちゃんは何も気にせずハタを狙い撃ってちょうだい。椿のオジサンは……」

椿「囮役だろ、わかってる」

莉緒「あなたの役が一番危険よ。いやに素直じゃない。罪滅ぼしのつもりかしら?」

椿「はっ、そんなこと考えたこともねえ。効率的に判断しただけだ」

190: 矢橋P 24/06/09(日) 21:42:51 ID:MClh

椿「しかし傭兵にスパイに特殊部隊の混合チームか。アベンジャーズにでもなった気分だな」

莉緒「私は好きだけどねこういうの。燃えてこない?」

環「なんだかみんなかっこいいぞ」

191: 矢橋P 24/06/09(日) 21:44:27 ID:MClh

?ギガントス「ゴグアァァァッ」



恵美「あいつしびれを切らしたみたいだよ」

椿「始めんぞ。なるべく早く決めろよ!」

恵美(そう言って椿のオジサンは服の下からサブマシンガンを取り出した)

192: 矢橋P 24/06/09(日) 21:45:09 ID:MClh
椿「オラ、鉛玉でもくらいやがれ」ズダダダダ

?ギガントス「ゴググァァァッ」ズドドド

椿「ちっ、怯みもしねえか」


莉緒「けど目線はオジサンの方に向いたわ。それじゃ環ちゃん行くわよ」

環「うん!」

恵美(莉緒さんはワイヤーガンみたいなものでグラウンドのフェンスにワイヤーを引っ掛けると)

恵美(環を抱えてそのままフェンスの上まで登っていった)

193: 矢橋P 24/06/09(日) 21:48:08 ID:MClh


恵美「すごい……」

伊織「あんた、あたしを背負いなさい」ヨロヨロ

恵美「でも……」

伊織「あんた達だけに任せっきりじゃ、この伊織ちゃんの名が傷付くの!」

伊織「……お願い、あいつの近くまで」

恵美「わかったよ。アタシだってじっとはしてられないしね」
 

194: 矢橋P 24/06/09(日) 21:52:14 ID:MClh

莉緒「あとはオジサン次第よ。もう少し足止め出来ないかしら」

椿「といってもよ、サブマシンガンじゃ蚊に刺された程にも感じてないようだしな」ダダダッ

椿「仕方ねぇ傭兵の腕を見せてやるか」ガチャン
 

195: 矢橋P 24/06/09(日) 21:53:10 ID:MClh

?ギガントス「ゴグルゥ?」

椿「そこだ」


ドシューーー     \ドゴーン/


莉緒「へぇ、あの巨人に逃げながらあのグレネードランチャーを片手で操って一発で命中させるなんてやるじゃない」

196: 矢橋P 24/06/09(日) 21:59:29 ID:MClh
?ギガントス「グググゥ」プスプス


椿「おい、怯んだぞ。これでちっとは大丈夫だろ」

莉緒「わかってるわよ。環ちゃんしっかり掴まって」

環「りお、ターザンみたいだぞ」

恵美(莉緒さんは向こう側のフェンスにもワイヤーを張らせてワイヤーアクションの要領で巨人に近づいた)

197: 矢橋P 24/06/09(日) 22:13:37 ID:MClh
?ギガントス「ゴグルァ!」ブン


莉緒「これは……」

バシン


椿「まさか、グレネード弾が直撃しても全くこたえないってか!」

莉緒「ううっ」

環「りおーー」

198: 矢橋P 24/06/09(日) 22:18:14 ID:MClh
恵美(あの巨人は滑空してきた莉緒さんと環を腕ではね除けて……)

?ギガントス「ゴグゥ!」ゲシッ

椿「ぐはっ」ドコッ

恵美(椿オジサンを蹴り飛ばした)

199: 矢橋P 24/06/09(日) 22:21:07 ID:MClh
恵美「まずいよ!」

伊織「いいから!あいつにもっと近づいて」

恵美「う、うん」

伊織「あんた達、やっぱり伊織ちゃんの力も必要みたい……ね!」ピカッ

恵美(アタシに背負われながらも伊織さんが右手を突き出した瞬間。手のひらからビームが発射された)

200: 矢橋P 24/06/09(日) 22:25:59 ID:MClh

?ギガントス「ゴグルァ」ジュー



椿「なんだありゃ……。あれが噂のASの超能力か」

椿「だがグレネード弾でも効きやしないやつにあれ程度じゃ……」

201: 矢橋P 24/06/09(日) 22:28:03 ID:MClh

?ギガントス「ゴグググルゥ!」




恵美「こっちに来るよ!」

伊織「それでいいのよ。みんなーーーっ、目を瞑りなさーーい!」

椿「まさかあいつ………」

伊織「フラッシュ!」ピッカーーーーッ

202: 矢橋P 24/06/09(日) 22:31:23 ID:MClh

  \ピカーーーーーーーッ/



?ギガントス「ゴガァァァァ!」

恵美(伊織さんに言われて目を瞑ったから見えないけど)

恵美(おそらく相当すごい光が発せられたのだろう、あの化け物はもろに光を直視してしまったようで膝をついて目をさすっている)

203: 矢橋P 24/06/09(日) 22:34:00 ID:MClh
環「ここだぞ!環、木登りなら得意だもん」

恵美(環はその隙にうずくまる巨人の背中を伝って巨人の頭上に登っていた)

環「この位置なら外さないぞ!」バシュバシュバシュバシュ


?ギガントス「ゴガァゴガァゴガァ!」ブンブン


環「うわっ」

恵美「環危ない!」

恵美(4発ぐらい当てたところで環は振り落とされた)

恵美(幸い莉緒さんがキャッチしたからケガはないみたいだけど)

204: 矢橋P 24/06/09(日) 22:37:30 ID:MClh
?ギガントス「ゴガァ……ゴガァ……」ピクピク


莉緒「でも効いてる。やつの限界も近いわ」


恵美「っ、と」グレネードパシィ

椿「それでとどめを刺せ。ハタに向かって当てれば弱ってる今なら効くだろ」

椿「俺は撃てそうにねえ……」

205: 矢橋P 24/06/09(日) 22:40:03 ID:MClh
恵美「でもアタシ、グレネードなんて使ったこと無いよ」

伊織「貸しなさい。あたしが撃つ」フラフラ

伊織「………………」プルプル

恵美(あ………)

伊織「……やっぱり、恵美あなたが撃ちなさい」

伊織「大丈夫よ。あたしが支えてあげるから」

206: 矢橋P 24/06/09(日) 22:47:32 ID:MClh
恵美「わかったよ。……こうかな?」

伊織「そうよ。いい筋してるじゃない。じゃ……」

恵美・伊織「いっけーーーー」
 

207: 矢橋P 24/06/09(日) 22:50:48 ID:MClh


ドシューーーーーー


?ギガントス「ゴガァ…………」


   \ドゴーン/

208: 矢橋P 24/06/09(日) 22:53:44 ID:MClh

?ギガントス「ゴ……ガ……」


バターーン


恵美「やった……」

 

209: 矢橋P 24/06/09(日) 22:58:33 ID:MClh




ギャスビゴー星人1「オイオイ、アノサンプルガヤラレタゾ」

ギャスビゴー星人2「面白クナッテキタナ。今度ハドウスル?」

ギャスビゴー星人1「最初ノ案通リ、ワークボッド8台を解キ放ッテ暴走サセテミルカ?」

ギャスビゴー星人2「ソレハイイ。面白イ追イカケッコガ見レルゾ」



バタン

ヘルガ「相変わらず悪趣味な連中だな」

210: 矢橋P 24/06/09(日) 23:00:49 ID:MClh
ギャスビゴー星人1「キサマライツノ間二ココヘ!」

ギャスビゴー星人2「警備ノ者ハ何ヤッテイル!」


ズバッ


ギャスビゴー星人2「エ……」バタン

灰原「…………答えたぞ」

211: 矢橋P 24/06/09(日) 23:02:33 ID:MClh
ギャスビゴー星人1「クソッ」チャキ

ヘルガ「…………」パァン

ギャスビゴー星人1「ウギャーーッ」バタン



ヘルガ「人類がお前達に遊ばれてるだけだと思うな」

ヘルガ「……制圧完了だな」

212: 矢橋P 24/06/09(日) 23:06:30 ID:MClh
ガチャ


ブラッド「総司令官、下にあったワークボッドは全て抑えたぜ」

ヘルガ「ご苦労。これでアンテナを付ければこの右手で操ることが出来る」

ヘルガ「我々の本来の目的は達したが……宇宙人まで速やかに始末出来たのはそこの彼女達のおかげだろうな」

ヘルガ「彼女達を解放させてやれ」

213: 矢橋P 24/06/09(日) 23:13:30 ID:MClh
ブラッド「へい。しかし曽根村局長殿が亡くなって、何時までこんなゲリラまがいのこと続けるんだか」

灰原「…………」

ヘルガ「……減らず口叩くようなら名前をNo.11に戻すぞブラッド」キッ

ブラッド「り、了解」

ヘルガ「あっちの方も終わっている頃だな」

灰原「心配は……無用だろう」

214: 矢橋P 24/06/09(日) 23:16:49 ID:MClh

シューーーーン



恵美「あれ、バリアーみたいのが消えたよ」

伊織「やつらがあれくらいで逃がしてくれるわけがない。誰かがやってくれたのね……」

215: 矢橋P 24/06/09(日) 23:18:12 ID:MClh


響「伊織、大丈夫か!」

伊織「……響が解除してくれたの?やるじゃない」

響「いや、防衛局の人達に助けてもらったんだ」

カンタ「すごかったでやんすよ。あのおじちゃん宇宙人達をばったばった斬りふせてたでやんす」

216: 矢橋P 24/06/09(日) 23:21:06 ID:MClh
伊織「防衛局が?聞いた話と違うけど……ゴホゴホッ!」

響「伊織どうしたんだ、何かされたのか?」

伊織「やつらにちょっとね……それより千早と真と真美には会った?」

響「あれから会えてないさー……」

217: 矢橋P 24/06/09(日) 23:23:45 ID:MClh
伊織「なら最悪あんただけでも脱出しなさいよ」

響「本当にどうしたんだ。いつも強気の伊織らしくないぞ!」

伊織「……やつらに宇宙ウイルスとかいうのを打たれたわ。あっ、心配しないで。空気や接触による感染はしないようだから」

伊織「でも体が弱ってこのザマよ。これじゃ足手まといにしかならない……」

218: 矢橋P 24/06/09(日) 23:25:17 ID:MClh
響「でも治療すればいいじゃないか!」

伊織「打たれからもう10日も経つけど一向に良くならないのよ。それに宇宙人の奴らが言ってた。これは殺すのが目的のウイルスじゃなくて感染者をひたすら弱らせるのが目的だって」

伊織「二次感染症で死ぬ場合はあるらしいけどね……そして他に感染しない代わりに宿主に相当長い間残り続けるらしいわ」

恵美(あくまで捕虜とかに使うのだろう。そんな兵器を使ってくるなんて……)

219: 矢橋P 24/06/09(日) 23:26:39 ID:MClh
莉緒「それならいい方法があるのだけど、ASさん」

響「誰!?」

カンタ「大人のお姉さんでやんす」

伊織「国際的スパイの百瀬莉緒よ。響も聞いたことあるでしょ」

莉緒「その子の病気の話しだけど……ウイルスによるものなら何とかなるかもしれないわ」

響「本当か!」

220: 矢橋P 24/06/09(日) 23:28:37 ID:MClh
莉緒「ええ、このパライソタウンの極秘の研究所で万能ワクチンを開発したみたいなの」

莉緒「それを使えば何とかなるかも」

恵美「そんなの、もし本当なら……」

莉緒「世界中がひっくり返るでしょうね。でも公には発表されてない」

莉緒「ごく少数しか作れなくて、ごく一部の権力者の手にしか渡らせないようにしたいためか……」

莉緒「製造方法がとんでもなくヤバいか。私は後者だと思うわ」

莉緒「それで私の調査だとパライソ総合病院の地下に研究所があってそこに万能ワクチンがある」

221: 矢橋P 24/06/09(日) 23:30:31 ID:MClh
伊織「その情報は確かなの?」

莉緒「確かよ。実はそのワクチンのサンプルを入手するのがこの島での私の本当のミッションってわけだけど」

莉緒「どうせならあなた達も一緒に行かないかって誘っているわけ。お互い理由があるでしょ?」

伊織「何故あたし達を誘うの?そもそもこれ一般人の前で話す内容じゃないでしょ」

222: 矢橋P 24/06/09(日) 23:32:45 ID:MClh
莉緒「だって~。私、恵美ちゃんと環ちゃんが大好きになっちゃったんだもん」ギュー

環「りおにさっきから抱きつかれてばっかだぞ」ムギュー

響「そ、そうなのか」

恵美「アタシも伊織さんに元気になってほしいし莉緒さんは信頼出来るからいいと思うよ」

伊織「……わかったわ。選択肢もないしそれでいきましょ」

莉緒「やったー。環ちゃん今夜は一緒ね」

恵美(そういえば椿オジサンはいつの間にか居なくなってるね)

223: 矢橋P 24/06/09(日) 23:35:14 ID:MClh





パライソタウン某所


瑞希「これで最後です」バチチ

?ハタ人間「………………」バタン

海美「みずきん。こっちも片付いたよ」

瑞希「それではそろそろ退却しましょう。長居してもよくありませんし」

海美「そうだね。……ねえいつまでこんなことしなきゃいけないのかな」

224: 矢橋P 24/06/09(日) 23:37:01 ID:MClh
瑞希「……少なくても永吉さんと七尾さんの体調が良くならないと私達も脱出出来ません」

瑞希「二人の容体が良くなるまで我慢です」


海美(すばるん、あれから1カ月だよ。まだあの薬の副作用が残ってるの?)

海美(ロコロコやゆりりんも待ってるよ。早く会いたいよ……)

225: 矢橋P 24/06/09(日) 23:39:02 ID:MClh

PM19:00 パライソタウン倉庫街


莉緒「こんなに食料が残っていたなんて、恵美ちゃん達に着いて来て良かったわ」

恵美「何度も言うけどこれレトルトだからね」

伊織「ううっ……今回の任務でレトルト食品の有り難さがわかったわ」グスッ

響「自分もレトルト食品に足を向けて寝られないぞ」パクパク

カンタ「ぼくも一生馬鹿にしたりしないでやんす」モグモグ

226: 矢橋P 24/06/09(日) 23:41:03 ID:MClh
莉緒「……今日の戦いの時に伊織ちゃん光を出してたけどあれが伊織ちゃんの超能力なのかしら?」

伊織「秘密にしなきゃいけないんだけど。もうばれてるしいいわ」

伊織「伊織ちゃんの能力は光を体に溜めておいて溜めた光は自在に操れるのよ」

伊織「チャージ量次第で鉄板を溶かせる程のビームだって出せるわ」フフン

227: 矢橋P 24/06/09(日) 23:43:32 ID:MClh
莉緒「超能力はうらやましいわ。私だって欲しいもの」

莉緒「何でも無理やり超能力に目覚める薬があるらしいけど……」

カンタ「それぼくもほしいー」

響「あ、それ使うの辞めた方がいいらしいぞ。中にはそれを使って廃人になった人もいるんだって」

カンタ「やっぱり要らないでやんす……」

伊織「超能力と言っても普通の人よりちょっとだけ便利になるくらいよ。無理して欲しがることはないわ」

228: 矢橋P 24/06/09(日) 23:45:09 ID:MClh



恵美(今日は初めて宇宙人に出会った)

恵美(初めて会った宇宙人は……思っていたよりも狡猾で凶悪な連中だった)

恵美(今日も手掛かりなかったな。琴葉、エレナ……)

恵美(いけないいけない。悪いことばかりじゃないんだ。莉緒さんや伊織さんにも出会えたし)

恵美(明日はみんなでワクチンを取りに行く。……研究所ってどんなところだろう)

229: 矢橋P 24/06/09(日) 23:46:54 ID:MClh





230: 矢橋P 24/06/09(日) 23:55:16 ID:U0es



ギャスビゴー星人3「アソコノ狩リ場ガヤラレタラシイゾ」

ギャスビゴー星人4「クソッ、ヤツラメ…………」

マゼンタ「やあ、なかなか大変みたいだね」

ギャスビゴー星人3「マゼンタ!今マデドコニ行ッテタ」

231: 矢橋P 24/06/10(月) 00:03:51 ID:D8Ok
マゼンタ「君達のUFOを借りて南米までね」

マゼンタ「いやー、君達のUFOはすごいね。あの距離をひとっ飛びだしレーダーに引っかからないときた」

マゼンタ「それより留守の間なかなか楽しいことになってるじゃないか」

マゼンタ「ちょうど彼女の力を試したいと思っていたんだ。ボクの好きにやらせてもらうよ」

232: 矢橋P 24/06/10(月) 00:05:37 ID:D8Ok
2日目終わりです
そろそろプロフィールも上げておきます

233: 矢橋P 24/06/10(月) 00:20:53 ID:D8Ok
所恵美         女子高生主人公

パライソタウンとは別な高校に通うごく普通の女子高生生……普通?
やると決めたことはとことんやる性格で気負い過ぎるところもある点を友人二人に心配されている。……本当に心配だヨ
最近ミリタリー女子高生になりつつある自分に葛藤している
そろそろお気に入りのコスメも崩れてきてるし何故か筋力を付いてアタシだんだんワイルドに……

234: 矢橋P 24/06/10(月) 00:22:41 ID:D8Ok
大神環         小さな相棒

とても元気な小学生。高坂海美を追って島まで来た
海美とは6歳の頃からの付き合いであり、スポーツ推薦で海美がパライソ中学に入学して地元を離れても海美との友好は続いている
シューターとしては海美や杏奈より命中率が低く本人も気にしている様子
だが彼女がクリアワルザーを持っていなかったら恵美もカンタも響もどうなっていたかわからない
人の表情に敏感で恵美の感情の変化に一番最初に気付くことが多い

235: 矢橋P 24/06/10(月) 00:25:42 ID:D8Ok
権田カンタ       地元の小学生

権田正男の息子で7歳小学2年生
元々弱虫な性格だったが恵美達と出会う1ヶ月間でパライソタウンの地獄を生き抜きたくましく成長した
まだませてないようで恵美達にこれといった感情はないらしい……実にうらやましい
母親の名前は権田奈津姫
実は権田正男の実の息子ではなく夫を若くして亡くした奈津姫と権田正男が再婚した際の奈津姫の連れ子であるが息子を混乱させないようにするため
双方の意向で正男の息子ということになっている

236: 矢橋P 24/06/10(月) 00:31:53 ID:D8Ok
我那覇響     動物を愛するAS隊員

日本政府のお抱え特殊部隊AS(アサルトスターズ)の隊員の一人
ASは超能力者を訓練させ切り札にすべく作り出された部隊で超能力者であれば経歴等は不問である
……何故か隊員が全員女性であるが特に意味があるわけではない。ただの作品の都合
彼女の能力は動物対話(アニマル・トーキング)
能力抜きでも身体能力が高くASの中では上位に入る

237: 矢橋P 24/06/10(月) 00:34:30 ID:D8Ok
水瀬伊織      ASのスーパー隊員

ASの一人。光をチャージして思い通りに使用出来る光吸収・放出 能力(フォトアブソプション)を持つ
彼女の緻密な努力で光の制御は懐中電灯ぐらいの明るさから極大ビームまで自由自在である。停電時とかには重宝されるとか
彼女に限らずASはあらゆる事態を想定した訓練を受けているので緊急時状況判断や一般人に対しての対応、指示等が完璧である
彼女らは超能力だけの部隊ではないのである
作中では明言されていないがASは外見は変わらないけど一部除いて全員成人している設定
いやだって超能力者だとかいって子供をあんな風に働かせるの作者の主義に反するので……

238: 矢橋P 24/06/10(月) 00:36:04 ID:D8Ok
百瀬莉緒        国際スパイ

国を又に駆ける凄腕スパイ。特定の国に所属しているわけではなくフリーな存在である
不要な殺しはやらない主義で主に潜入捜査が多い
その名はASや椿の耳にも入っていたほど裏では広く知れ渡っていたようだ
特筆した特技はないが何でもそつなくこなせる器用さがある
荒廃したスパイ家業の身にあってか純粋でかわいいものが大好きでつい手を貸してしまう

239: 矢橋P 24/06/10(月) 09:40:38 ID:D8Ok

8月23日 AM 4:00 パライソタウン倉庫街のとあるコンテナの中





恵美「………………はっ!」ガバッ

恵美(何だろう……突然目が覚めた)

恵美(変な予感というか……今起きなきゃダメだ……って感じがした)

240: 矢橋P 24/06/10(月) 09:42:17 ID:D8Ok
カンタ「……」グーグー

環「……」スヤスヤ

響・伊織「……」スースー

恵美(まだみんな寝てるよね…………って莉緒さんは?)

241: 矢橋P 24/06/10(月) 09:44:18 ID:D8Ok








莉緒「…………」

恵美「莉緒さん」

242: 矢橋P 24/06/10(月) 09:46:13 ID:D8Ok
莉緒「……あら。まだ寝てて良かったのに。若いうちはよく寝ないと駄目よ?」

恵美「アタシ達が寝てる間、見張りをしてくれてたんだね」

莉緒「響ちゃんと伊織ちゃんと交代でね。全く寝てないわけじゃないし気を使わなくていいわよ」

243: 矢橋P 24/06/10(月) 09:48:41 ID:D8Ok
恵美「気を遣って貰ってるのはこちらの方だよ。カンタと環は小学生だけどアタシは高校生だから……」

莉緒「子供であることには変わらないわよ。大人は子供の世話を焼きたがるも・の・な・の」

恵美「それはわかっているよ。でもしてもらってばっかなままでいいのかな、って思っちゃう」

244: 矢橋P 24/06/10(月) 09:51:36 ID:D8Ok
莉緒「恵美ちゃんはよくやってるわ、女子高校生とは思えないもの……そうだ!」

莉緒「恵美ちゃんに銃の撃ち方教えてあげるわ。いずれ必要になると思うわ」

恵美「ええー、アタシが銃を撃つの?女子高生だよ、おかしくない?」

莉緒「昨日グレネードランチャー撃ったじゃない。今さら気にしても意味ないわよ」

恵美「グレネードランチャーに比べたらそうなるけどさ……」

莉緒「かわいい子に教えるの初めてだもの。ちょっと楽しみ!」

恵美(莉緒さんの本音はそれじゃないのかなぁ)
 

245: 矢橋P 24/06/10(月) 09:54:00 ID:D8Ok

AM 6:50


恵美「ど、どうかな」

莉緒「上出来よ。伊織ちゃんのいう通り筋がいいわね」

莉緒「こっちの才能あるんじゃない」

恵美「にゃはは……。女子高校生には要らない才能だけど」

246: 矢橋P 24/06/10(月) 09:57:16 ID:D8Ok
莉緒「さて、この拳銃は返してもらうわね。女子高校生が持つには物騒だもの」

恵美「拳銃持ってないのに撃ち方覚えた意味あったかな?」

莉緒「いつか然るべき時に渡してあげるわよ。その時は来るかしらね~」

莉緒「さー、そろそろみんなが起きる頃だし戻りましょうか」

恵美(なんだかはぐらかされた気がするなぁ)
 

247: 矢橋P 24/06/10(月) 10:49:52 ID:D8Ok

恵美(二人きりの秘密の特訓を終えコンテナに戻るとみんな起きていて)

恵美(みんなで朝食を取ったらいよいよパライソ総合病院に向かうことになった)
 

248: 矢橋P 24/06/10(月) 11:45:41 ID:D8Ok
恵美「ワクチンがある研究所はパライソ総合病院の地下って話しだけど」

恵美「パライソ総合病院は中心街のはずれにあるから中心街に向かうことになるね」

カンタ「中心街は特にハタ人間が多いから気をつけていかなきゃ」

伊織「あたしも一緒に行くわ。自分のことだもの行かないわけにはいかないわよ……」ゴホゴホ

響「自分は止めたいけどこうなった伊織は聞かないからなー。仕方ないから自分が背負っていくさー」

莉緒「それにワクチンを入手したとしてワクチンを打ったり処置したりするのも研究所内でやった方がいいでしょうね。接種後に何かあった場合でも研究所なら何かしらの処置が出来るわ」

249: 矢橋P 24/06/10(月) 11:52:00 ID:D8Ok
環「ねー、いおり。たまき、こないだ遊んでいたら転んで足をケガしちゃったんだけど」

環「その時足がものすごーくはれて痛かったんだ」

環「でもお医者さんにばい菌をやっつけるクスリを注射してもらったらすぐ治ったんだぞ」

環「いおりの病気もそれで治らないの?」

250: 矢橋P 24/06/10(月) 11:54:17 ID:D8Ok
恵美「ばい菌をやっつける薬?それって抗生物質のことかな」

環「そーそれ!」

恵美「環、残念だけど抗生物質はウイルスには効かないんだ」

環「そうなの。でも何で?」

恵美「何でって……何でだろ?」

251: 矢橋P 24/06/10(月) 11:56:08 ID:D8Ok
莉緒「環ちゃん。ばい菌とウイルスの違いって何かわかる?」

環「んー?わかんないぞ」

響「自分はわかるぞ。細菌は単細胞生物だけどウイルスは細胞を持たないんだ。だから他の細胞に寄生して増殖するんだぞ」

環「???」

252: 矢橋P 24/06/10(月) 11:59:01 ID:D8Ok
莉緒「……ちょっと環ちゃんには難しかったわね。簡潔に言うと」

莉緒「抗生物質ってお薬はペニシリンって成分が元なの。その成分は"細胞壁"を破壊する働きがあるのよ」

莉緒「その細胞壁というものは細菌にはあるけど私達人間(の細胞)にはないの。だから私達の体に入れても大丈夫だけど細菌にとっては猛毒なの」

環「だからばい菌はやられちゃうのか」

253: 矢橋P 24/06/10(月) 12:09:57 ID:D8Ok
莉緒「そう。そしてウイルスは細胞すらないから抗生物質は全く効かないってわけ」

恵美「アタシも知らなかった。だから抗生物質って体に直接注入出来るんだね。消毒液や殺菌剤なんて体に注入するの無理だもん」
 

254: 矢橋P 24/06/10(月) 12:15:07 ID:D8Ok

莉緒(……そう、だからウイルスだけを殺す薬なんて存在しない。本来ワクチンというのは体に免疫力を与えるだけのものなはず)

莉緒(だから万能ワクチンなんてありえない。……おそらく私達が取りに行く万能ワクチンというのはワクチンという皮を被ったワクチンとは別物の何か)

莉緒(はたして鬼が出るか蛇が出るか……ってところね。でも、もしかしたら)

莉緒(そのワクチンはこのパライソタウンというパンドラの箱の奥にある希望になるかもしれない)
 

255: 矢橋P 24/06/10(月) 12:34:19 ID:D8Ok





256: 矢橋P 24/06/10(月) 12:36:14 ID:D8Ok

AM 9:30 パライソ総合病院


恵美(何とかハタ人間を避け続けアタシ達はパライソ総合病院に到着した)

莉緒「さて正面に入り口はあるけどそれはスルーして」

莉緒「裏口に行くわよ。そこに研究所の入り口があるから」

環「りお、何でも知ってるね」

莉緒「事前に調べていたしこの数日間ずっと調査していたから当然よ。入るためのカードキーも入手済みだしね」

響「準備が良すぎて逆に怖いぞ……」

伊織「そこは一流スパイの手腕ってことかしらね」ゴホゴホ

257: 矢橋P 24/06/10(月) 12:38:13 ID:D8Ok

パライソ総合病院内 研究所入り口前




莉緒「これは……なるほど……」

恵美「でかいシャッターが閉まっているね」

カンタ「シャッターってレベルじゃないよ。もはやシェルターかなんかでやんす」

環「まるで映画みたいだぞー」

258: 矢橋P 24/06/10(月) 12:40:04 ID:D8Ok
響「研究所はこの中なのか。……中に入れるよね?」

莉緒「心配しないで。このカードキーがあればこのシャッターは開閉出来る」ピポピポ



莉緒「……むしろラッキーかもしれない。今表示されたけどこのシャッターが最後に開閉したのは7月26日、約1ヶ月前ね」

莉緒「おそらくだけど5日間何も施設に更新が無かった場合自動でシャッターが閉まる仕組みね。安全確保と機密保持のために」

259: 矢橋P 24/06/10(月) 12:49:00 ID:D8Ok
伊織「じゃあ今研究所は1ヶ月ぐらい手付かずってこと?」ゴホゴホ

莉緒「電源が生きている以上、中の設備は問題ないでしょうけどそうなるわね。ハタ人間や宇宙人も中に入ってこれなかったみたい」ピーツ


ガゴン

ウィーーーン
 

260: 矢橋P 24/06/10(月) 12:51:17 ID:D8Ok
莉緒「ほら、開いた」

莉緒「さっきも言ったけどハタ人間や宇宙人は居ないでしょうけど油断はしちゃ駄目よ」




恵美(さっきまでただの病院の中だったのに、SF映画を思い出させるシャッターが今目の前で開いている)

恵美(ハタ人間や宇宙人を見てきたんだ今さら驚かない。……けど何だかこれから行くところは)

恵美(さっきまでいたパライソタウンとは別世界なような気がした)

261: 矢橋P 24/06/10(月) 12:53:10 ID:D8Ok

パライソ極秘第2研究所 薬品練 入り口




莉緒「一応マナーは守りましょうか。入る前に消毒と洗浄よ」

響「まず手を洗って……」ジャー

伊織「持ち物や服はこのコロコロを使って汚れを取るのよね」コロコロ

カンタ「このベルトコンベアーみたいなのにも乗るのー?」

恵美「それで靴の裏の汚れを取るんだよ」ガタガタ

莉緒「本来はここでキャップと防護服を着る必要があるエリアもあるみたいだけど、私達はそこまではしなくてもいいと思う」

莉緒「最後はそこのエアーシャワーを浴びて終わりよ」

環「このエアーシャワーっていうの面白いぞー。扇風機みたいー」ブォー
 

262: 矢橋P 24/06/10(月) 12:55:12 ID:D8Ok
恵美(そうして消毒等終えたアタシ達は研究所の探索を開始した)

莉緒「本当は手分けして探したいところだけど何があるかわからないからね。カンタくんと環ちゃんもお姉さん達から離れちゃ駄目よ?」

環「はーい」

カンタ「でも何だか普通の工場みたいな感じでやんすね」

環「環ももっとおそろしいところだと思ってたぞ。水槽にばけものが入っていてこっちをにらんだりしてくるとか」

伊織「漫画の見過ぎよ。それにここ薬品関連の研究所らしいから普通の工場と変わらなくても不思議じゃないわ」

263: 矢橋P 24/06/10(月) 12:57:42 ID:D8Ok
環「あ、見て見て。あそこのガラスの向こう。花が咲いてる」

莉緒「!」

恵美「本当だ。プランターで育ててるみたいだけど、スミレじゃないかな」

カンタ「クスリの材料に使うのかな」

恵美「1ヶ月以上手付かずなのに枯れてないし機械によって自動で栽培されているみたいだね」
 

264: 矢橋P 24/06/10(月) 12:59:06 ID:D8Ok


伊織「ねえ響。もしかしてあれ……」ヒソヒソ

響「ああ……間違いないぞ」ヒソヒソ

莉緒「ちょっとカンタくん、環ちゃんに恵美ちゃんあの部屋調べてきて」

莉緒「私達は伊織ちゃんの容態見なきゃいけないの」

環「んー?そうなの」

恵美「二人ともなんかあるみたいだし行こうか」

265: 矢橋P 24/06/10(月) 13:01:38 ID:D8Ok

バタン


伊織「あの子達を人払いさせるってことは間違いないのね」

莉緒「ええ。あれはしあわせ草よ」

響「そんな、しあわせ草は日本国内じゃ輸入すら禁止なはずだぞ!」

伊織「それがこの研究所じゃ堂々と栽培されているのね……」

莉緒「あの子達を連れて来たのは失敗だったかしら」ハァ

莉緒「この研究所はパライソ研究所じゃ"比較的まともな方"だと思っていたのだけど……」

266: 矢橋P 24/06/10(月) 13:03:21 ID:D8Ok


環「りお!いおり!ひびき!」バタン

莉緒「どうしたのかしら環ちゃん」

環「そこの部屋でこんなカプセル発見したぞ。これワクチンかな」

恵美「環、ワクチンはそんな錠剤じゃないよ

267: 矢橋P 24/06/10(月) 13:05:29 ID:D8Ok
莉緒「環ちゃん!それ戻してきて!」

環「り、りお」ビクッ

莉緒「あ、ごめんなさい」

莉緒「環ちゃんの気持ちは嬉しいのよ。でもそれは……」

伊織「莉緒、もう隠すのは無理だわ。あんたが責任持って全部話しなさい」

268: 矢橋P 24/06/10(月) 13:07:02 ID:D8Ok
莉緒「……そうね」

莉緒「まず環ちゃん恵美ちゃんカンタくん。この研究所に来たことは絶対口外しちゃ駄目よ」

恵美「なんかヤバいわけ?」

莉緒「この研究所、政府の闇だわ」

269: 矢橋P 24/06/10(月) 13:09:06 ID:D8Ok
莉緒「さっき花が栽培されてたでしょ?あれはしあわせ草という植物なの」

環「しあわせ草?」

カンタ「聞いたことないでやんす」

莉緒「しあわせ草はとある南国の島で見つかった植物でね。生物の潜在能力を引き上げる成分があるの」

270: 矢橋P 24/06/10(月) 13:10:51 ID:D8Ok
莉緒「始めはドーピング剤に使われていた。けど近代になって服用しているとごく稀に超能力を目覚めさせることが出来ることが判明したらそちらの方に注目がいったわ」

莉緒「そして研究の末に生まれたのがハピネスXという薬。飲めば従来の数十倍もの確率で超能力に目覚めることが出来たらしいわ」

伊織「しかもたちが悪いことにあたし達、先天性の超能力者よりハピネスXで超能力に目覚めた後天性超能力者の方が強力な能力を目覚めることの方が多かったのよね」

莉緒「それをとあるテロリスト集団が大量に入手して大騒ぎになったわ。表沙汰にはなってないけど」

271: 矢橋P 24/06/10(月) 13:12:45 ID:D8Ok
恵美「それってかなりマズいんじゃ……」

莉緒「実際恐ろしいことになったの。ハピネスXを得たテロリスト達によって大量に超能力者が増産され、全員が超能力者になったテロリスト集団に誰も手出し出来なくなった」

莉緒「ところがね、ハピネスXには強力な副作用があった。依存性が極めて高くハピネスXを定期的に接種しないと、のたうち苦しみ1年以内に必ず死亡する」

莉緒「テロリスト達がその事に気付いた頃には……ハピネスXを製造していた工場、そして研究データから全部を廃却された後だった」

莉緒「ハピネスXがこの世から存在しなくなりハピネスXを接種出来なくなったテロリスト集団も自然に滅んでいったと言われているわ」

カンタ「良かったでやんす……」

272: 矢橋P 24/06/10(月) 23:40:40 ID:J5LX

莉緒「そんなことで日本はしあわせ草は輸入禁止。所持していただけで捕まるわ」

恵美「そんなものを栽培までしてるの。この研究所」
 

273: 矢橋P 24/06/10(月) 23:45:27 ID:J5LX
莉緒「環ちゃんが持ってた薬はおそらくハピネスP。この研究所で生み出された薬よ」

響「ハピネスXの後釜を狙った薬さー。副作用を抑えるのに注力したみたいだけど副作用を完全になくすことは出来ず、肝心の超能力の発現率も弱まった失敗作だって」

環「よくわからないけど恐ろしいクスリなんだね。たまき戻してくるぞ」

莉緒「ええ、環ちゃんお願い」

恵美(莉緒さんの顔が暗い。ここはただの研究所じゃないみたいだ)
 

274: 矢橋P 24/06/11(火) 00:16:52 ID:4zXE
ーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーーー
ーー

275: 矢橋P 24/06/11(火) 00:20:16 ID:4zXE


カンタ「この部屋、保管室って書いてるでやんす」

恵美「本当だ。ワクチンもここにあるかも」

莉緒「いえ……。巨大な冷凍カプセルが置いてある。その大きさから推測するに保存している物はワクチンとは違う物ね」
 

276: 矢橋P 24/06/11(火) 00:21:55 ID:4zXE
ハム蔵「ヂュイ?」キョロキョロ

響「どうしたんだハム蔵?」

ハム蔵「ヂュイ!」ピョン

響「あ、待つんだハム蔵ー」

環「行っちゃったぞ。何か探しているみたいだったけど」

277: 矢橋P 24/06/11(火) 00:25:54 ID:4zXE
響「もー。まあハム蔵は優秀だから自分で戻ってくるさー」

恵美「あれ、あそこ特別治療室って書いてある。ならワクチンあるかも」

伊織「響もあたしを背負いっぱなしで疲れたでしょ。中にベッドがあれば少し横になるわ」ゴホゴホ

莉緒「そうねついでに休憩しましょうか」

278: 矢橋P 24/06/11(火) 00:27:42 ID:4zXE

パライソ極秘第2研究所 特別治療室



恵美「ねえ、この怪しい冷蔵庫。もしかして……」

莉緒「カードキーじゃないと開かないみたいだし当たりかも」ピーツ

ガチャ


 ワクチン ズラーリ
 

279: 矢橋P 24/06/11(火) 00:29:12 ID:4zXE
響「やったぞー。これワクチンだよね」

莉緒「そうね。しかもここなら医療道具も揃ってるわ」

莉緒「改めて、伊織ちゃん。このワクチンの実態はよくわかっていない……それでも打つ?」

伊織「今さら確認取らないでよ。悩んでいたってあたしの体は良くなるわけじゃないし」ゴホゴホ

伊織「覚悟は出来てる。早く打ちなさい」

280: 矢橋P 24/06/11(火) 00:30:22 ID:4zXE
莉緒「わかった。それじゃ打つわ。ガーゼに消毒済みの注射器は……っと」

環「りおはお医者さんも出来るの?」

莉緒「スパイに薬剤師のスキルは必要よ。睡眠薬を食事に混ぜたこともあるし……」

カンタ「……なんか毒殺とかもやってそうで怖いでやんす」
 

281: 矢橋P 24/06/11(火) 00:31:59 ID:4zXE





莉緒「これで完了。体に異常は無いかしら」

伊織「今のところはね。でも副作用がすぐ来るわけじゃないでしょ」

282: 矢橋P 24/06/11(火) 00:33:10 ID:4zXE
莉緒「1時間は様子を見なきゃダメかしらね。それまでそこのベッドで楽になってた方がいいわ」

恵美「でも良かった。ひとまずは安心だね」

カンタ「ここで1時間も待つの?退屈でやんす」

響「自分はそれまでハム蔵を探してくるかな」バタン

伊織「響、あまり離れるんじゃないわよ」

283: 矢橋P 24/06/11(火) 00:36:12 ID:4zXE
莉緒「それじゃ私は自分のミッションのために残りのワクチン回収しょうかしら」

恵美「思ったよりあったね。50本ぐらいあるよ」

莉緒「あらかじめ用意していたケースに入れてっと。このケースは保冷機能付きよ」ゴソゴソ

恵美「ぜ、全部入れちゃうの。少しは残した方がいいんじゃない」

莉緒「どうせ私達が離れてシャッター閉まったら私以外この研究所に誰も入れないわよ」

莉緒「それに他にも宇宙ウイルスに悩まされてる人がいるかもしれないし多いに越したことないわ」

恵美「そっか、そうだね」

284: 矢橋P 24/06/11(火) 00:41:21 ID:4zXE
莉緒「それで……このケースは恵美ちゃんに持ってもらおうかしら」

莉緒「ちょっと重いけどショルダーストラップも付いているから肩にでも背負ってちょうだい」

恵美「本当だ重たっ。莉緒さんにはお世話になってるから持つぐらい別にいいけど……」

恵美(莉緒さんにとって重要な物アタシが預かっていいのかな)

285: 矢橋P 24/06/11(火) 00:42:48 ID:4zXE
響「戻ったぞー」バタン

ハム蔵「ヂュイヂュイ!」

カンタ「もーどこ行ってたのハム蔵」チョンチョン

ハム蔵「ヂュイ?」
 

286: 矢橋P 24/06/11(火) 00:45:57 ID:4zXE
莉緒「ちょうど良かった……響ちゃんこの子達の面倒見てくれる?」

響「ん、莉緒も何か用事あるのか?」

莉緒「まあ……ね。本業が絡むことだから言えないわ。それじゃ」バタン

カンタ「他のデータでも欲しいのでやんすかね」

響「まあ伊織の様子が落ち着くまで待つさ」

287: 矢橋P 24/06/11(火) 00:47:28 ID:4zXE








保管室

莉緒「……さて。ここに保管されている物はワクチンではないとすれば……」カチャカチャ

莉緒(私の予想が正しいならおそらく……)ピーツ

288: 矢橋P 24/06/11(火) 00:53:13 ID:4zXE

冷蔵庫カプセル<プシューッ


冷蔵庫カプセル<ガコン



莉緒「……やっぱりね」

莉緒(これで全てが繋がった!)

289: 矢橋P 24/06/11(火) 22:50:21 ID:4zXE







恵美「莉緒さん遅いね」

環「あれから40分ぐらい経つぞ」

伊織「元々スパイなんだから色々あるんでしょ」

伊織(ワクチンのサンプルを入手して彼女の目的は果たされたはず。自分一人だけなら脱出も出来そうだし)

伊織(ここを出たら……お別れなのかしら)

290: 矢橋P 24/06/11(火) 22:52:44 ID:4zXE
響「そう言えば伊織、咳が止まっているぞ」

伊織「本当だ……効いているわ、あのワクチン」

伊織「さすがに下がった体力までは回復しないけど」ヒョイ

伊織「これなら一人でも歩けるわ」

291: 矢橋P 24/06/11(火) 22:54:39 ID:4zXE
響「やったぞ伊織ー」ダキッ

伊織「ちょっとあたしまだ病み上がりなのよ。抱きつくなー」




ビーーービーーービーーービーー


恵美・環・伊織・響「!!??」

292: 矢橋P 24/06/11(火) 22:56:07 ID:4zXE
恵美「何、何か異常でも発生したわけ!?」


莉緒「みんなちょっと来て!」バタン

伊織「これあんたの仕業?」

莉緒「緊急事態、話しは後よ」

莉緒(随分来るのがお早いじゃない。でも奴らの焦りようはやっぱり……)

293: 矢橋P 24/06/11(火) 22:58:01 ID:4zXE


パライソ極秘第2研究所 セキュリティ室



莉緒「あの後この部屋に来てこの研究所に何者かが無理矢理侵入して来たらアラートが鳴るように設定しておいたの」

響「いつの間に……っていうことは宇宙人が来たのか!」

莉緒「それが、そこの監視カメラの映像で見られるんだけど……」

294: 矢橋P 24/06/11(火) 22:59:33 ID:4zXE
監視カメラの映像


マゼンタ「やあ、ハッピーハロウィーン」

マゼンタ「黒いコートを着た怪人が不吉を届けに来たよ」
 

295: 矢橋P 24/06/11(火) 23:01:24 ID:4zXE
響・伊織「マゼンタ!!!」

恵美「知ってるの」

環「へんなかっこう……体にほうたいぐるぐる巻いて黒いコート着てる。なんだか怖いぞ……」

カンタ「ミイラ男とドラキュラをくっつけたみたいなやつだね」

296: 矢橋P 24/06/11(火) 23:04:18 ID:4zXE
伊織「あたし達が救出作戦を達成出来なかったのはあいつのせいよ」

響「あの時居たAS5人と自衛隊の援護があってしても切り崩せなかった怪物」

恵美「そんな……そんな奴がこっちに向かってくるの?」

伊織「あいつと戦っても無駄よ。5人でも駄目だったのに今のメンバーじゃ……確実に殺される。逃げるしかないわ」

297: 矢橋P 24/06/11(火) 23:08:17 ID:4zXE
カンタ「じゃあ早く逃げようよ」

莉緒「落ち着きなさい。奴は入り口からこっちに向かって来てる。この研究所は基本一方通行だから普通に出ようとしても鉢合わせよ」

環「あいつが通りすぎるまで隠れてみる?」

響「5人全員がばれないように隠れるのはさすがに無理だぞ」

298: 矢橋P 24/06/11(火) 23:12:32 ID:4zXE
莉緒「……この研究所の防火シャッターを使いましょうか。上手くいけばばあいつを閉じ込めれる」

伊織「あいつに何処まで通じるかわからないけど時間稼ぎにはなりそうね」

莉緒「問題は防火シャッターの手動での操作はここでしか行えないこと」

恵美「このセキュリティ室は入り口から大分遠い位置にあるんだよそれじゃあ……」

莉緒「……誰かがここに残る必要があるわ」

299: 矢橋P 24/06/11(火) 23:14:41 ID:4zXE






マゼンタ「さーて。破壊活動は後にするとして……」

マゼンタ「子猫ちゃん達はど~こかな?」


<カタカタ

300: 矢橋P 24/06/11(火) 23:19:49 ID:4zXE
マゼンタ「ん?そこかな」チャキ


ズバッ



マゼンタ「んー?誰もいない。確かに物音を感じたんだけど」



<カタカタ

301: 矢橋P 24/06/11(火) 23:23:51 ID:4zXE
ドコッ


マゼンタ「またまた不発かな。これは偶然じゃない、意図的だね」

マゼンタ(おそらく糸か何かで遠隔操作しているんだろう)


<ゴトッ

<ガタッ


マゼンタ(だとすれば仕掛けを操っている奴は近くに居るはず。物音に惑われずに元を辿れば……)チラ

302: 矢橋P 24/06/11(火) 23:26:12 ID:4zXE
ガタガタ


マゼンタ「見~つけた」ガバッ


ハツカネズミ<チュー

マゼンタ(これは……この施設の実験用のマウスか!)

303: 矢橋P 24/06/11(火) 23:29:27 ID:4zXE
伊織「今よ、みんな!」ダダッ

環「うん!」ダダッ



マゼンタ(こいつら、ネズミに気を取られた隙に)

マゼンタ「逃がすと思ってるの?」チャキ

304: 矢橋P 24/06/11(火) 23:31:32 ID:4zXE
伊織「フラッシュ!」


\ピカーーーッ/


マゼンタ「悪いけどそれはボクには効かないなあ」

伊織「く……足止めにもならないか」

莉緒「援護するわ」ドンドン

マゼンタ「それも効かない。目障りなだけだよ」キーンキーン

恵美(目眩ましも効かず拳銃の弾が当たっているのにまるで応えてない。あれが怪人マゼンタ)

305: 矢橋P 24/06/11(火) 23:34:12 ID:4zXE
マゼンタ「楽しい楽しい追いかけっこといこうじゃないか。追いつかれた人は……」

マゼンタ「ボクの剣の染みになるよ」チャキ

カンタ「コートの下から二本の剣が!」

恵美(あれがあいつの得物ってわけね)

306: 矢橋P 24/06/11(火) 23:42:01 ID:4zXE
マゼンタ「まずはそこの子供から……」


伊織「響、今よ」

響「ハム蔵お願い!」

ハム蔵「ヂュイ!」


ガッーーシャーーーン

307: 矢橋P 24/06/11(火) 23:43:05 ID:4zXE


マゼンタ「……何故防火シャッターが勝手に降りて来たんだ」

マゼンタ「まあいいさ。このまま逃がすと思うなよ」
 

308: 矢橋P 24/06/11(火) 23:51:47 ID:4zXE
環「ネズミさん達ありがとね-」ブンブン

響「ハム蔵がネズミ達を見つけてくれたおかげさー」ダダダダッ

ハム蔵「ヂュイ!」


恵美(囮にセキュリティ室での遠隔操作。全部この研究所で飼われていたハツカネズミ達に響さんが頼んだことだ)

恵美(何でも1ヶ月以上も放置されていて、餌や水やりは施設の機械が自動でやっててくれたもののストックが切れていて後少しで餓死してしまうところだったらしい)

恵美(そのSOSをハム蔵は感じ取ったらしい。その後響さんがハツカネズミ達を何とかしてあげたんだ)
 

309: 矢橋P 24/06/11(火) 23:54:11 ID:4zXE

パライソ極秘第2研究所 入り口前



莉緒「みんな、あと少しで出口よ」ダダダダッ


ギャスビゴー星人3「お前達ヲ外ニ出スワケニハイカナイ」

ギャスビゴー星人4「コノ研究所モロトモ消エテモラウ」

310: 矢橋P 24/06/11(火) 23:58:22 ID:4zXE
恵美「また宇宙人!さすがにしつこいよ」

莉緒「そこを退きなさい」ドンドン


ギャスビゴー星人3「シールドダ。ソウ簡単ニ破れンゾ」キーンキーン


莉緒「こんな奴らに手間どってる暇は無いのに」

恵美「こいつら、時間稼ぎのつもりだね」

311: 矢橋P 24/06/12(水) 00:00:28 ID:Schk
伊織「こうなったら」ミョンミョンミョン

伊織「最大出力ビーム!」ピカーーッ

ギャスビゴー星人3・4「ウワーーッ」ドッカーン

響「やった倒したぞ。伊織も本調子に戻ってきたんじゃないか?」


莉緒「よし、後は……」カチカチ ピッピッ

312: 矢橋P 24/06/12(水) 00:01:58 ID:Schk



マゼンタ「間~に合った」


カンタ「もう追いついて来たの!」

マゼンタ「結構無理したんだよ?あの防火シャッターを壊して追いかけるのは、さ!」チャキ

313: 矢橋P 24/06/12(水) 00:10:22 ID:Schk

<ガガガガガ



莉緒「みんな、入り口のシャッターを閉めるわ。それで今度こそこいつを閉じ込るから早く出て!」

マゼンタ「あん?ボクがみすみす閉じ込められるとでも思って……」シュルシュル

莉緒「あら、あなたは私とここに残るのよ」ギリギリ

314: 矢橋P 24/06/12(水) 00:13:54 ID:Schk
恵美「莉緒さん!?」

恵美(莉緒さんはいつか使ってたワイヤーをマゼンタに絡み付けていた)

伊織「莉緒、何してるのよ!」

莉緒「こうでもしないとこいつから逃げれないでしょ。いいから私に構わないで」

マゼンタ「こいつ……」ギリギリ

315: 矢橋P 24/06/12(水) 00:30:03 ID:Schk
莉緒「私の体重を乗せても切れない強度のワイヤーよ。あなたでも簡単には切れないわ」

恵美「そんな、駄目だよ。莉緒さんも一緒に……」

莉緒「……私ね、そんなに良い人じゃないのよ。色んな悪事に荷担してきた。でも最後の最後で恵美ちゃん達に出会えて良かった」

莉緒「恵美ちゃんに預けたケースの中に拳銃入れておいたから使って。ワクチンだって必ず役に立つ時がくるわ」

莉緒「希望は託したわ。だから……絶対生き残りなさい!」

316: 矢橋P 24/06/12(水) 00:37:00 ID:Schk
ガゴーーン


恵美「莉緒さーーーん!」

環「りおーーー!」

カンタ「莉緒お姉さん……」

響「ぐっ……」

恵美(そうして莉緒さんはマゼンタと一緒にシャッターの中へ消えていった)

恵美(悲しんでいる間はなかった。莉緒さんの覚悟を無駄にしないためにアタシ達はその場を離れるしかなかったのだから……)

317: 矢橋P 24/06/12(水) 00:42:48 ID:Schk




マゼンタ「………………」ブチブチ

マゼンタ「やれやれ、やってくれたね」ハァ

莉緒「それにしては随分余裕があるみたいだけど」

318: 矢橋P 24/06/12(水) 00:45:18 ID:Schk
マゼンタ「どのみちこの研究所は跡形もなく破壊するする予定だからね。脱出はその後でいいし」

マゼンタ「逃した奴らだって後でゆっくり始末すればいいさ。どうせこの島から出られないんだ」

マゼンタ「それにこのイライラする気持ちはキミで晴らすつもりだからね」チャキ

319: 矢橋P 24/06/12(水) 00:49:17 ID:Schk
マゼンタ「ボクは宇宙人達みたいに甘くないよ?ハタを付けて生け捕りに……何てそんな面倒なことはしない。すぐ殺すだけからね」

莉緒「そうしてくれた方が嬉しいわ。ハタ人間になってあの子達の敵になるよりずっとましだもの」

マゼンタ「へぇ……、キミのことは宇宙人から聞いたよ。スパイなんだって?聞いてたより人情味あるじゃないか」

マゼンタ「そんなにワクチンが欲しかったのかい?依頼のことなんか考えないでこそこそしてればもう少しは長生き出来たのに」

莉緒「実をいうと私の本当のミッションはワクチンじゃなくて"サイボーグ技術のデータを手に入れること"だったの。ミッションは関係ないわ、私の意思よ」

マゼンタ「なんだ……それじゃキミがここに来たのは慈善事業かい。馬鹿だなぁ」

320: 矢橋P 24/06/12(水) 00:52:08 ID:Schk
莉緒「あんたにはわからないわよ」

莉緒(恵美ちゃん達に希望を渡すことが出来た。満足よ)

莉緒「それじゃマゼンタ。最後にダンスに付き合ってくれるかしら」チャキ

マゼンタ「エスコートするつもりは無いよ。少しでも長く踊り続けれるよう足掻くことだね」チャキ

321: 矢橋P 24/06/12(水) 00:59:53 ID:Schk





322: 矢橋P 24/06/12(水) 01:01:33 ID:Schk
PM 21:00 パライソ倉庫街 とあるコンテナの中

恵美(あの後いくら待っても莉緒さんが帰ってくることはなかった)

恵美(………あっ)

恵美(莉緒さんの革ジャン……結局返せなかったな)

恵美(その日はみんな無言のまま就寝した)

恵美(琴葉、エレナ。もちろん二人のことは忘れてないよ)

恵美(でも今日は……莉緒さんを偲ばせて)

323: 矢橋P 24/06/12(水) 01:04:23 ID:Schk
3日目終わりです

324: 矢橋P 24/06/12(水) 19:59:37 ID:Schk

8月24日 AM 9:00 パライソ倉庫街とあるコンテナの中



環「めぐみ……ごはん食べないの?」

恵美「今はいい……」
 

325: 矢橋P 24/06/12(水) 20:02:55 ID:Schk
カンタ「そんなこと言ってたらボクが食べちゃうよー?」


響(カンタは意外と元気だね)ヒソヒソ

伊織(あたし達よりずっとハタ侵略されたこの島に居るのよ。……別れを経験するのが初めてじゃないんでしょうね)ヒソヒソ

326: 矢橋P 24/06/12(水) 20:08:29 ID:Schk

伊織「……そのままでいいから聞いてちょうだい」

伊織「今日は夜に活動するわ。だから昼間は何もしない」

カンタ「伊織お姉ちゃん、奇妙ヶ刻で動くの危ないよ」

伊織「危険は承知の上よ」

響「伊織の体調が戻ったからな。緊急事態時のプランBを決行するさ」

327: 矢橋P 24/06/12(水) 20:13:54 ID:Schk
カンタ「プランB?」

伊織「あたし達ASは救出作戦が失敗した場合連絡を取るのにいくつかの方法を打ち出していたわ」

響「この島じゃまともな手段で連絡取れないのはわかっていたからな」

伊織「その一つがあたしの能力でモールス信号を発信して本土と連絡を取ること」

伊織「この救出作戦にあたしが抜擢された理由よ」

328: 矢橋P 24/06/12(水) 20:18:18 ID:Schk
響「本来は救出作戦が失敗した時点ですぐに出来れば良かったんだけどね」

響「救出作戦から半月経っちゃったけどやるだけやってみるさー。まずは現状を外に伝えないと」

伊織「それに向けてあたしは光をチャージしなきゃならない」

伊織「昼間は寝るなりして体を休めなさい」

伊織「……どのみちその様子じゃ何も出来ないでしょ」

恵美「……うん。そうだね」

329: 矢橋P 24/06/12(水) 20:23:20 ID:Schk

伊織(莉緒の事、引きずるなって方が無理か。あたし達は覚悟が出来てるけど恵美達はただの一般人だものね)

伊織「今回の夜に行う作戦はあたしと響が居れば問題ないわ。あんた達は寝てていいからね」

恵美「……考えておくよ」

 

330: 矢橋P 24/06/12(水) 20:25:41 ID:Schk

AM10:00



環「めぐみー、たまきと遊ぼ?」ユサユサ

恵美「うん、後でね……」

環「…………」

331: 矢橋P 24/06/12(水) 20:27:35 ID:Schk
環「たまき、今すぐじゃなきゃやだ!」

恵美「ど、どうしたのさ」

カンタ「それならボクが……」

環「カンタは黙ってて」キッ

カンタ「えーーっ」

332: 矢橋P 24/06/12(水) 20:29:43 ID:Schk

恵美「わかったよ。何をしたらいいの?」

環「石投げ!そこの港でやろ~」


恵美(この倉庫街の東の奥は港になっている。というより船で運んだ荷物を直ぐに倉庫に保存出来るようにするために港の傍に倉庫街を作ったのだろう)

恵美(当然今は湾口(港の入口)は封鎖されて船は入れないけど)

恵美「わかった。ちょっとだけだからね」
 
 

333: 矢橋P 24/06/12(水) 21:29:37 ID:Schk

パライソ倉庫街 コンテナヤード


ヒューーン       \ボチャッ/



環「おーっ。さっきより飛んだぞ」

恵美「そうだね」

334: 矢橋P 24/06/12(水) 21:40:20 ID:Schk
恵美(環と二人きりだけど周りにハタ人間は居ないみたいだし、とりあえず安心かな……)

恵美(……そういえば昨日の秘密の特訓もここでやったんだっけ)

恵美(莉緒さん……)

環「今度はめぐみの番だぞ」

恵美「……アタシはいいよ」

環「…………」

335: 矢橋P 24/06/12(水) 21:43:37 ID:Schk

環「……めぐみ、たまきね。りおにぎゅーーとされるの好きだったんだ」

環「もう……りおに会えないのかなぁ……」グスッ

恵美(環……)
 

336: 矢橋P 24/06/12(水) 21:46:39 ID:Schk

ギュッ

恵美「大丈夫。これからはアタシが代わりにぎゅーーってするから」

環「……うん」

恵美(つらいのはアタシだけじゃないんだ)

恵美(……こんなことは……もう二度と絶対起こさない)
 

337: 矢橋P 24/06/12(水) 21:48:31 ID:Schk




???「…………」ジーッ

???「…………」サッ


恵美(あれ、今の…………)

338: 矢橋P 24/06/12(水) 21:55:58 ID:Schk

パライソ倉庫街 コンテナの中


恵美(帰って来たら伊織さんも響さんもカンタも居ない。出かけたのかな)

恵美「…………」ドン

環「それってりおがめぐみに渡してくれたケースだよね」

恵美「うん、向き合わなきゃ。莉緒さんが残してくれた物に」

339: 矢橋P 24/06/12(水) 21:58:35 ID:Schk
ガチャ

恵美(中には大量のワクチンに保冷剤)

恵美(それとやっぱり……)カチャ

環「それってピストル?」

恵美「そうだよ……ってあれ?……拳銃がもう一つある。変な形だけど」

340: 矢橋P 24/06/12(水) 22:00:20 ID:Schk
環「そっちはりおが使っていたワイヤーを飛ばすやつじゃない?」

恵美「そうかも……と思ったらこれ弾もワイヤーも入ってない」カチャカチャ

恵美(でも何かを飛ばすように出来てる。これはこれで何かに役に立ちそうだね)カチャカチャ

恵美(ん?二つの拳銃の下に何かが……)

恵美(これは莉緒さんの手帳!)
 

341: 矢橋P 24/06/12(水) 22:03:07 ID:Schk





パライソタウン 某所


ギャスビゴー星人3「マゼンタヨ、マンマト逃ゲラレタ奴ラノ始末ハドウスルツモリダ」

マゼンタ「知らないね、ボクはパーティーの準備で忙しいんだ」

ギャスビゴー星人4「シカシ、奴らハ野放シニハ出来ンゾ」

マゼンタ「大丈夫、ちゃ~んと手は打ってあるさ」

342: 矢橋P 24/06/12(水) 22:06:47 ID:Schk
ギャスビゴー星人4「ソレナラ良イガ……ソレト」

ギャスビゴー星人4「"ハームレス”ガドコカヘ行ッタ。知ラナイカ」

マゼンタ「ヘぇ……最近大人しいと思っていたけど」

マゼンタ「アレが暴走したらこのボクでも手がつけられないからね。早く探し出したほうがいいんじゃない?」

マゼンタ「ボクはパーティーの準備に戻るよ。あ~楽しみだなぁ」

ギャスビゴー星人3「クソッ。ドイツモ問題児ダラケダ」
 

343: 矢橋P 24/06/13(木) 07:59:10 ID:Rpwd






PM 19:30



伊織「それじゃ行って来るわ」

恵美「うん、アタシはここに残って環とカンタを見てるよ」

344: 矢橋P 24/06/13(木) 08:00:14 ID:Rpwd
カンタ「ボク達はお留守番なんだね」

響「外は危ないからね。三人ともよい子にしてるんだぞ」

カンタ「伊織お姉ちゃんと響お姉ちゃんも気をつけて。絶対帰って来てね」

伊織「何言ってるのよ。ASスーパー隊員の響と伊織ちゃんなのよ?」

伊織「ちゃんと帰って来るわ。心配しないで」

345: 矢橋P 24/06/13(木) 08:01:26 ID:Rpwd
響「恵美、莉緒の代わりに二人を頼んだぞ」

恵美「任せてよ」

響(恵美、朝と顔が全然違うぞ。吹っ切ることが出来たのかな……)
 

346: 矢橋P 24/06/13(木) 14:06:24 ID:Rpwd






カンタ「お姉ちゃん達行っちゃったね」

カンタ「じゃあお姉ちゃん達が帰ってくるまで何しようか」

恵美「……ごめんカンタ、アタシやることがあるんだ。ちょっと外出る」

347: 矢橋P 24/06/13(木) 14:23:28 ID:Rpwd
カンタ「ええっ!危ないって響お姉ちゃんも言ってたでしょ」

恵美「環、後はお願い」バッ

環「うん!………その、りおのジャケット着ていくの?」

恵美「うん。何だかこの革ジャンも莉緒さんから託された気がしてさ」

恵美「大丈夫。アタシも絶対帰って来るよ」バタン

カンタ「もー、みんな勝手だよ……」

環「カンタ。お姉ちゃん達を信じようよ」
 

348: 矢橋P 24/06/13(木) 14:28:02 ID:Rpwd

パライソ倉庫街 コンテナヤード





恵美(ここら辺か……)


恵美「居るんでしょ、椿のオジサン」
 

354: 矢橋P 24/06/13(木) 22:46:15 ID:hljU
椿「よく気づいたな」スッ

恵美「たまたまだけどね。その青いコート、尾行には向いてないんじゃない?」

椿「この前まで学校に通ってたようなガキに勘付かれるとは、俺もいよいよだな」ケッ

椿「まあいい。俺もお前さんに話したいことがあったんだ」

恵美「何さ」

355: 矢橋P 24/06/13(木) 22:48:43 ID:hljU
椿「俺は…………ハタ側に付くことにした」

恵美「……そう」

椿「驚かないんだな。この前みたいにギャーギャー喚くもんだと思ったぜ」

恵美「アタシの方も色々あってさ。そんなことじゃ驚く気になれないし」

恵美「それに仲間になったふりして不意打ちしてこないだけ、オジサンにしては成長したんじゃない?」

356: 矢橋P 24/06/13(木) 22:50:59 ID:hljU
椿「酷いなそりゃ、俺だって流儀ってもんはあるんだぜ」

椿「……マゼンタってやつからな、お前達の首を取ってくれば俺と箱崎星梨花はこの島から脱出されてくれるって取引を持ちかけられたんだ」

恵美「……マゼンタに会ったんだ。断れば命は無かった……ってところでしょ?」

椿「……それにこの状況。俺と箱崎星梨花、両方無事に脱出。なんて無理じゃねえかって思ってきてな」

椿「……聞いたぜ。莉緒のやつ殺られちまったんだってな」

恵美「!!」

357: 矢橋P 24/06/13(木) 22:54:00 ID:hljU
椿「もうこの件は俺らの手には負えねえ。なら少しでも可能性の多い方に付く。それだけだ」

恵美(……オジサンはもう諦めてしまったんだね)

恵美「オジサンの気持ちは分かったよ……だけど」

恵美「アタシも黙ってやられるわけにいかない。託されたものがあるから」チャキ

358: 矢橋P 24/06/13(木) 22:57:27 ID:hljU
椿「それは莉緒の拳銃か。いいぜスマートにいこう」

椿「お互い1対1の決闘だ。恨みっこはなしな」

椿「俺も今回はこいつを使わねえ。あくまでお前と同じ拳銃でやるからよ」サブマシンガンポイー

恵美「へー、優しいじゃん。ハンディキャップってわけ?」
 

359: 矢橋P 24/06/13(木) 22:59:58 ID:hljU
椿「うるせえ、それじゃ開始だ」チャキ

恵美「……っ」ダダダツ






椿「……コンテナの影に隠れたか」

360: 矢橋P 24/06/13(木) 23:03:03 ID:hljU
恵美(今は深夜、ここの裏の路地は外灯が無くて真っ暗だ。お互い相手のの位置を簡単には捕捉出来ない)ハアハア

恵美(だから暗視スコープでも使わない限り遠くから狙撃されることはないはず)

恵美(莉緒さんにちょっと教わったぐらいのアタシじゃ、射撃勝負になったら絶対負ける)

恵美(だから撃てば絶対当たるぐらいの状況に持ち込みたいけど……そんなこと出来るの?)

恵美(……あー駄目だ。勝てる方法が何も思い浮かばない)

恵美(とにかく今は物陰に隠れて機会を待つしか……)

361: 矢橋P 24/06/13(木) 23:04:51 ID:hljU

ドシューーー


恵美(この音は……聞いたことある)

362: 矢橋P 24/06/13(木) 23:09:04 ID:hljU

\ドッカーーン/



恵美(やっぱり。グレネード弾の音だ)

恵美(でも狙いがてんでデタラメ。位置がばれてないのが幸いして当たる気配はないけど……)

363: 矢橋P 24/06/13(木) 23:12:06 ID:hljU

ドシューーー


\ドッカーーン/


恵美(まただ。広範囲を攻撃してアタシをあぶり出すつもりかな……)

<ブスブス

恵美(落ち着けアタシ。慌てて下手に飛び出したりたら相手の思い通り……)

364: 矢橋P 24/06/13(木) 23:15:24 ID:hljU
<ボッ

<メラメラ

恵美(え、急に明るく……)

恵美(まさか、オジサンの狙いは木のパレットの山に爆風で火を点けてアタシの周りを明るくすること!?)



椿「ようやく見つけたぜ」ガチャッ

365: 矢橋P 24/06/13(木) 23:18:49 ID:hljU

ドシューーーッ


恵美「やば……」


\ドッカーーン/

 

366: 矢橋P 24/06/13(木) 23:22:00 ID:hljU



恵美「うう…………」ウツブセ

椿「爆風で吹っ飛ばすくらいの位置に撃ったんだ。当たってねえよな」

椿「爆発でバラバラになっちまったら殺したのがお嬢ちゃんだと証明出来なくなるだろ?」
 

367: 矢橋P 24/06/13(木) 23:24:16 ID:hljU
恵美「……拳銃しか使わないって言ったくせに。最後までセコいオジサンだね……」

椿「何とでも言え。これが俺なんだよ」

恵美(あとちょっと近づいてくれば……)

椿「さよならだ」チャキ

恵美(あ……)

368: 矢橋P 24/06/13(木) 23:25:45 ID:hljU
ドン ドン ドン


恵美「…………」ガクッ


椿「……顔は勘弁してやった」スッ

椿「さて、後はASか。あいつらはどうするか」

椿「…………」

369: 矢橋P 24/06/13(木) 23:36:18 ID:hljU
パーーン



椿「な……んだと」

恵美「ようやく……油断したね。オジサン」プルプル

椿「なぜだ…………」バタン

恵美(背中がすっごく痛い。けどそれで済んだだけマシだよね)

370: 矢橋P 24/06/13(木) 23:40:26 ID:hljU
椿「素人に負けるとはな……。これが因果応報ってやつか」

恵美「オジサンが顔を狙わないでくれたからだよ。……無意識に手抜いてたんじゃないの?」

椿「……そんな優しい性格じゃねえよ。顔面に傷あったら……証明するのに……困るじゃねえか」

椿「……なあ。弾は間違いなく命中した……はずだ、しかも3発も。何でお前さんは……無事なんだ」

371: 矢橋P 24/06/13(木) 23:48:26 ID:hljU
恵美「無事ってほどでもないけどね」イテテ

恵美「この莉緒さんの革ジャケットのおかげだよ。防弾仕様だったみたい」

椿「は、はははっ。なんだよあいつ」

椿「しっかりお前に託すもの託してるんじゃねえか」

恵美「…………」

372: 矢橋P 24/06/13(木) 23:53:59 ID:hljU
椿「羨ましいねぇ。この死に際にあっても……俺には頭に浮かぶ人間は……居やしねえ」

恵美「……ごめん」

椿「お前さんは……気にすることじゃねえ。決闘の結果だ、お前が俺を殺らなきゃ……俺がお前を殺ってたんだ」

椿「…………まだ、遅くないか。俺のグレネードランチャーよ……受け取ってくれねえか。撃ち方はもうわかんだろ」スッ

椿「俺にも最後に……お前に託させてくれよ」

373: 矢橋P 24/06/13(木) 23:58:13 ID:hljU
恵美「……うわっ、重っ」ガシッ

椿「まあ、お嬢ちゃんには重たい……だろうな。無理なら置いていけ」

恵美「えい」ヒョイ

椿「……おっ」

恵美「背負う、アタシに託された物は全部背負うよ」

374: 矢橋P 24/06/14(金) 00:01:43 ID:2wK2
椿「……だったらもう一つ背負ってくんねえか」

椿「……俺の知り合いに牧村って奴がいてな。親友ってわけでもなかったが同じ釜の飯を食った仲さ」

椿「そいつが最後まで身を挺して守った箱崎星梨花だけでも脱出させてやってくれないか」

375: 矢橋P 24/06/14(金) 00:03:55 ID:2wK2
恵美「それは……しない」

椿「……そうかい」

恵美「アタシは親友を助けるためにここに来た」

恵美「でも今は……親友だけじゃない生き残った全ての人達を救うって決めたよ」

恵美「もちろん箱崎星梨花って子もね。だからその子だけ、なんてけち臭さいことはしない!」

恵美「だから……安心していいよ」

376: 矢橋P 24/06/14(金) 00:06:50 ID:2wK2
椿「……じゃ……そろそろ休ませて貰う……か」

椿「負けんじゃ……ねえ……ぞ」

椿「……莉緒に会ったら……お前のこと伝えておく……ぜ」ガクッ

恵美「………………」ギュッ

377: 矢橋P 24/06/14(金) 00:10:18 ID:2wK2



PM 21:00 パライソ倉庫街 とあるコンテナの中




恵美「……ただいま」

環「めぐみ、お帰り」ギュー

378: 矢橋P 24/06/14(金) 00:13:28 ID:2wK2
伊織「ちょっと、あんたどこ行って来たのよ!」

伊織「……ってあんたそれ、椿のグレネードランチャーじゃない」

恵美「……決着つけてきたんだ」

響「……そうか。椿のおっちゃんはどうしたんだ」

恵美「アタシを激励してくれたよ。負けるなってさ」

379: 矢橋P 24/06/14(金) 00:24:15 ID:2wK2


恵美「そうだ。モールス信号でのSOS。うまくいったの?」

響「一応は成功したぞ。ただ……誰かが受け取ってくれないと意味ないけどね」

伊織「やらないだけマシって状況ね。まあ、それより意外な収穫があって……」

380: 矢橋P 24/06/14(金) 00:26:53 ID:2wK2

<ババーン


真美「やーやー、我こそは天下に名を轟かせるAS隊員の一人……真美だよー!よろよろ~」

恵美「う、うん。よろしく」

恵美(こんな子供がAS隊員!?)

381: 矢橋P 24/06/14(金) 00:29:11 ID:2wK2
響「一応形式上はAS隊員見習いなんだけどな」

真美「それは真美と亜美が未成年だからでしょ?こうして任務に参加しているわけだし、もう一人前と言ってもいいっしょ~?」

伊織「あんたはまだあたし達の預かりの身でしょ。調子乗らないの」

真美「も~、久しぶりに会ってもいおりんは変わらないですなぁ。お主しばらく見ぬ間に腑抜けたな くらい言わせてよ」


伊織「……ということよ。緊急時プランBの決行している時に真美に合流出来たの」

382: 矢橋P 24/06/14(金) 00:38:32 ID:2wK2
恵美「そーなんだ……」

真美「君がめぐちんだね。いおりんやひびきんから話しは聞いたよ」

真美「真美が来たからにはぐんかんに乗ったつもりでいたまえ~」

恵美(軍艦じゃなくて大船じゃないかな……)

真美「そしてたまきちとカンボー……」

環「なに~?」

カンタ(カンボーってぼくのこと!?)

383: 矢橋P 24/06/14(金) 00:40:43 ID:2wK2
真美「これより真美と遊ぶにーんむを命ずる。二人とも、今日は寝かさないよ~」

環「遊びならたまき、大歓迎だぞ」

伊織「さっそく調子に乗ってんじゃない。もう夜遅いのよ」

環「いおり、たまき昼間寝てたからまだ眠くないぞ」

384: 矢橋P 24/06/14(金) 00:44:05 ID:2wK2
カンタ「遊ぶのはいいけど……何して遊ぶの?ここにはおもちゃも無いんだよ」

真美「んっふっふ~。遊びにかけては真美と亜美に適う者はいないっぽいよ?」

恵美(そう言って真美はヨーヨー、ビー玉、スーパーボール、おはじき等を取り出した)

恵美(そして……それらが勝手に動き出した)

真美「真美はいおりんやひびきんといっしょでチョー能力者ってやつなのだよ。真美の場合はテレキネシス!まあサイコキネシスって言った方がわかりやすいかもね~。亜美も同じだよ」

385: 矢橋P 24/06/14(金) 00:48:35 ID:2wK2
恵美「さっきから話しに出てる亜美って真美の姉妹なのかな?」

伊織「真美は双子の姉で亜美は妹なのよ。当然同じASの見習いよ」

環「そうか、まみは双子だったんだな」

真美「そう、だからチョー能力もおんなじ~って思ってもらっても困るっしょ。我ら双海姉妹、力の亜美に技の真美!」

386: 矢橋P 24/06/14(金) 00:53:15 ID:2wK2
恵美「どゆこと?」

響「亜美と真美は同じテレキネシスなんだけど亜美の方はその力が強いんだ。車だって持ち上げれるし鉄骨だってへし折ることも出来る」

真美「ただーし、操作出来る範囲がせまい。真美は亜美ほど強くはないけど複数の物を操れれるし細かい操作が可能なのであ~る」

真美「無機物しか操れないってのは亜美も真美も同じだけどね~」

真美「だ・か・ら!真美にかかれば紙飛行機はラジコンに、板とスーパーボールでピンボールに、人形やプラモデルで寸劇だって出来ちゃうかんね!」

387: 矢橋P 24/06/14(金) 00:55:19 ID:2wK2
伊織「またあんたは超能力を遊びに使って……」

響「まあ伊織。今回だけは真美の好きにさせてあげようよ」

響「この半月の間まともに遊ぶことなんて出来なかっただろうし」

響「それにさっきから必要以上に亜美の名前を呼んでる。……おそらく会えなくて寂しいんだよ」

伊織「……しょうがないわね」
 

388: 矢橋P 24/06/14(金) 00:57:11 ID:2wK2

PM 23:30



環「……」スヤスヤ

カンタ「……」グーグー

真美「むにゃむにゃ~」


恵美「遊び疲れて寝ちゃったね」

伊織「というか真美が最初にダウンしていたわね」

響「いくら強がってもまだ子供だもん、仕方ないさー」

389: 矢橋P 24/06/14(金) 00:59:38 ID:2wK2
恵美「見習いって言ってたけど、その……わけとかあるの」

伊織「……あんた鋭くなったわね。莉緒の影響?」

恵美「そんなつもりはないけど」

390: 矢橋P 24/06/14(金) 01:01:33 ID:2wK2
伊織「亜美と真美の能力は強力よ。あたしや響の能力よりずっとね。使い方を間違えると恐ろしいことになるわ」

響「だから未成年だろうともASに組み込むことで政府の手元に置いて監視兼管理をしてる……ってところだぞ。表向きはだけどね」

伊織「あたし達は亜美と真美そんな風に扱ってはいない。亜美と真美には超能力に振り回されない強い意志と精神力を養ってもらいたい。それがあたし達の共通の願い」

響「他のみんなも同じような理由でASに所属しているようなものさ。だから同じ境遇の仲間達なんだぞ」

恵美「そっか」

恵美(ちょっと、うらやましいかも)

391: 矢橋P 24/06/14(金) 01:05:15 ID:2wK2





恵美(伊織さんや響さんには真美達のような仲間がいる)

恵美(でもアタシにだって……親友がいるんだ)

恵美(アタシは前に進む。今度こそ立ち止まらないよ。莉緒さんや椿のオジサンの分まで)