スティレット「あたしからいくわよ！　まず、あおのあの顔！　何なのよあれは！」

バーゼラルド「ヤッバイよね～」

轟雷「私たちがどれほど心を痛めているのかも知らないで毎日あれを見せられるのですよ？」


あお（やっぱり聞き間違いじゃないよね？　うぅ、私の顔ってそんなに変だったかな……？）ｼｮﾎﾞﾝ


スティレット「まったく何なの？　あの美少女っぷりは！」

バーゼラルド「可愛いなんて言葉じゃ足りないどころじゃないよね？」

轟雷「どれだけ私が求婚することを我慢しているのか、あおは全く分かっていないのです！」


あお（……ん？）

バーゼラルド「ヤバイって言ったらあの性格もヤバイよね？」

轟雷「相当ヤバイです」

スティレット「あれだけヤバイ人間なんてあたしは他に知らないわよ？」


あお（……やっぱりさっきのは空耳かな？　うぅ、皆に嫌われているのかぁ……）


スティレット「どこまで寛容か！　って言うのよ」

バーゼラルド「普通の人なら激怒するようなヤラカシも許してくれるとか、本当にあおはおかしいよね？」

轟雷「そもそも私たちをこうして家に置いてくれているのですよ？　頭がおかしいとしか考えられません！」

スティレット「電気代は増えるし、プライバシーも何もあったもんじゃないのに、笑顔であたしたちを置いてくれる？　とても正気だとは思えないわ」

バーゼラルド「ほんと人として出来過ぎだよ！」ﾌﾟﾝﾌﾟﾝ


あお（あれ……？）

轟雷「そう言えば先日の話なのですが、あおから苗字を貰ったんですよ」

スティレット「はぁっ！？　やっぱり頭おかしいんじゃないの！　一応、その光景見てたけど」

バーゼラルド「苗字をあげるなんて人として間違っているよね。バーゼも一応聞いてたけど」


あお（うぅ……やっぱり嫌われているのかな……？）


轟雷「これではまるで私があおの配偶者ですよね？　源内轟雷……その響きだけでショートしてしまいそうになります」

スティレット「ヤバいんじゃないのあんた？　命を狙われているんじゃない？　だから、私が源内スティレットって名乗るべきよ！」

バーゼラルド「そんなぁ！　轟雷とスティレットを犠牲にするなんてバーゼ嫌だよー。だから、源内バーゼラルドって名乗るね」

轟雷・スティ子・バーゼ『……』

轟雷「……勝った人で良いですか？」

スティレット「……異論はないわ」

バーゼラルド「……今回は本気だよ？」

轟雷・スティ子・バーゼ『フレームアームズ・ガール、セッション！』ﾁｬﾘｰﾝ


あお「えぇっ！　バトル始めちゃったの！？　なんで！？」

ｳｨﾅｰｺﾞｳﾗｲ

源内轟雷「私が源内轟雷です」

源内スティレット「轟雷の妻の源内スティレットよ」

源内バーゼラルド「スティレットの奥さんの源内バーゼラルドだよ！」


あお「皆、源内って名乗っているし！？　バトル中に何があったんだろう……？」

スティレット「ぶっちゃけさ、あおって女子力低いわよね？」

バーゼラルド「だねー。昨日もからあげ焦がしていたかな」

轟雷「食事はとらない私でもあの黒い物体には害があると分かります」


あお（こ、これでも頑張っているんだよ！　……たまに失敗しちゃうけどさ）


バーザラルド「でも、これに関してはFA社が悪いよね？　一刻も早くバーゼたちに消化器官を取り付けるべきなのに」

スティレット「当然よ！　そうすれば、料理で失敗したあおの鬱陶しい顔を見なくて済むもの」

轟雷「焦げた物体をあおに食べさせるなんて勿体ないです！　そういうものは私たちが食べて、あおは綺麗な部分だけ食べていれば良いんですよ」

バーゼラルド「そーだそーだ！」


あお（轟雷たちもご飯食べたいのかな？）

轟雷「そもそも、あおはあほですよね？」

スティレット「間違いないわ、あほちゃんね」

バーゼラルド「あおのあほー」


あお（うぅ……何という罵倒……。ちょっとは自覚があるからダメージ受けるんだよ？）


轟雷「30時間と22分35秒前朝の洗顔時のことなんですが、あおったら『メガネ、メガネ……あ、元から私メガネかけていなかったや』と言ってテヘペロしていたんですよ！　可愛すぎですよ！！」

スティレット「ちょっと！　あたしの動力が無駄に発熱するような話はやめてよ！　それだったら、6時間3分12秒前の着替えの時のほうがマシじゃない！」

バーゼラルド「パジャマの上にスカートをはいていたアレだね。『がっこーいってくるね～』とかムニャムニャ言っていたから皆で協力して何とかパジャマを脱がせたよね」

轟雷「あんな可愛らし──みっともない姿、他の人に見せるわけにはいきませんからね！」


あお（全然覚えていないや……今朝の話だよね？　寝ぼけていたのかな？）

バーゼラルド「あおって言えばさぁ、全然女子高生らしくないよね？」

スティレット「女子力の話？　それなら、さっきもしなかった？　それより、もっとヤバイ話を──」

轟雷「いえ、バーゼラルドはこう言いたいのでしょう。あおの性格はオカンくさいと！」

スティレット「はっ！？　そうよ！　あおにはそれがあったわ！」

バーゼラルド「あおはもう主婦を名乗ったほうが良いよね？」


あお「どゆこと？　おかん……？　もしかしてママっぽいってことなの！？」


轟雷「何なのですか、あの母性！　肉親や母親というものを知らないはずの私でさえいつも優しく包まれていることを感じますよ！　おかげで喧嘩一つしたことがありません」

スティレット「正直異常よ、あの母性は。ついつい甘やかされたくなるわ。こんなんだからあたしはあおから離れられないのよ！」

バーゼラルド「バーゼとスティレットは別れて30秒であおのところに帰ってきたくらいだもんね。ここの居心地になれちゃったらあおの居ない生活なんて考えられないよね？」

スティレット「あたしたちをこんな身体にした責任とりなさいって言うのよ！ あー！　ほんとムカつくわ！　思わず大好きとか罵倒したくなるじゃない！」

バーゼラルド「あー、分かる。バーゼなんてあおに触れていないと身体が震えちゃうんだよ？」ｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀ

轟雷「流石にそれはモーターとかの故障ではないでしょうか？　でも、気持ちは分かります。あおとは常に一緒に居ないと不安を覚えますからね。禁止されていなければ学校にも着いて行く勢いです！」


あお（……もう良いかな？　良いよね？）

ｶﾞﾁｬ

あお「ええと、さ。もしかして、皆で私のことを褒めてくれてる？」

轟雷「あおっ！？　い、いつの間に！？」

スティレット「……もしかして聞いてた？」

あお「……うん。あはは……」

バーゼラルド「聞かれていたなら仕方がないなー」

轟雷「でも、あれを褒めている、ですか……？　やはり、あおは頭がおかしいのでは？」

あお「えー、轟雷。流石にそれはひどくない？」

スティレット「あれだけの罵倒を誉め言葉に感じるなんて、あんた全知全能の神なの？」

バーゼラルド「そりゃあさぁ、あおはバーゼたちが信仰する神様以上の存在だよ？　でもさぁ、流石に懐が深すぎない？」

轟雷「正気を疑いますね。そこもまた大好きですが」

スティレット「まったくふざけてんじゃないわよ！　あんな罵倒が許されるとか、陰口を叩いていたあたしたちがあまりにも矮小じゃない！　もちろん、あおと比べればミジンコよりもさらに微小だけどね」

バーゼラルド「あおのその謙虚さ本当にイライラするよねー。だから、あおのことはあお様って呼べば良い？　それともご主人様？　主神もありだと思うよ」

あお「……うん、皆が少しだけ気持ち悪いこと言っているのは分かったかな？」

ｶﾞﾁｬ、ﾄﾞﾀﾊﾞﾀ

迅雷「ただいま戻ったぞ、あお殿！　相変わらず如来のような顔で思わず拝みたくなってくるな！」

シロ「あら？　あおちゃん、今日も面白い顔ね。特別に私を躾けてくれても良いのよ？」

クロ「シロお姉様、そういう抜け駆けは許されないのではなくて？　あおちゃんにならシロお姉様と一緒にいじめられてあげても良いわよ？」

アーキテクト「学習モード、あお。データ取得完了。FAガールたちを依存させる聖母のような女性。故に、私たちはあおから離れることが叶わない」

フレズヴェルク「やっほー、あお。戻ってきたよー。あおより強い人間なんて居なかったね。ボクのマスターはやっぱり前世より前からあおだよ！」

あお「……皆、帰って来てくれたのは嬉しいけど、ちょいちょい変なこと言ってない？」

スティレット「チッ、ライバルが増えたわ」ﾎﾞｿﾘ

バーゼラルド「バーゼとスティレットと轟雷のあおだったのに……」ｶﾞｯｶﾘ

轟雷「あお」

あお「ねぇ、轟雷も皆の言っていることおかしいと思うよね？」

轟雷「あお、私はあおにムカついているのです」

あお「え、うん。よく分かんないけど、ごめんね轟雷……？」

轟雷「そうやって謝ってくれるところも嫌いです」

あお「そうなんだ……」ｼｮﾎﾞﾝ

轟雷「ぅ、嘘ですよ！　本当は大好きです！！」ｱﾀﾌﾀ

あお「それはそれで照れるかな？」ｴﾍﾍ

轟雷「……こんな、あおの居ない時に陰口を叩いてしまうようなFAガールですが」

あお（あれって陰口なのかな？　絶対に違うよね？）

轟雷「これからもどうかよろしくお願いします」ﾍﾟｺﾘ

あお「う、うん。そんなに改まらなくてもよろしくするよ？」

轟雷「はい！　未来永劫私と一緒に居てくださいね！」

あお「うん、それくらいなら……え？」

轟雷「約束しましたからね、あお」ﾆｯｺﾘ

充電くん（こうしてあおちゃんとFAガールたちはいつまでも幸せに暮らしたそうです。そして、あおちゃんの二周目以降の人生でもその隣には──）


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　めでたしめでたし

バーゼ「だね。あおが超絶美少女～なのは知れ渡っていることなので騒ぐほどのことじゃないもんね」

轟雷「あおぶき？　よく分かりませんが、こういう感じですか？」


＊何となく二人きりの教室

武希子「あおー、今日もご機嫌ちゃん～？」

あお「あれ、ブキ子？　今日はいつもより機嫌よくない？」

武希子「そんなことはなくもない気もぞなぞな～」

あお「もう、それじゃあどっちか分からないよ」

武希子「──そんなの、あおが居てくれればいつでも機嫌が良いに決まっているでしょ？」

あお「ブキ子……」ｷｭﾝ

武希子「あお……」

そして、二人の顔は接近していき──



轟雷「……何だかムカっとしましたので強制終了です」