ラフィエル「なんの話をされてるんですか？」ﾆｮｷ

ヴィーネ「あ、ラフィ。今日はスイカの日だからウチでスイカを食べるのよ。ラフィも来てね」

ラフィエル「あらー、いいですねぇ。では私は手頃なバットを用意しますね」

ヴィーネ「いやいや、スイカ割りはしないから！」

ラフィエル「そうなんですか。残念ですー」

ヴィーネ「部屋の中が大惨事になるわよ……」

サターニャ「ちょっと！　なに私抜きで話を進めてるのよ！」

ガヴリール「なんだ、いたのか」

サターニャ「同じクラスなんだからいて当然でしょ！」

ヴィーネ「もちろんサターニャも誘おうと思ってたのよ」

ラフィエル「そうですよ。主役が来ないと盛り上がりませんからね」

サターニャ「私が主役！？　ふふふ、ようやく私の偉大さに気付いたようね？」

ラフィエル「はい♪　サターニャさんの頭なら遠慮なくフルスイングできますからね♪」

サターニャ「ひぃっ！？」

ガヴリール「それは面白そうだな」

ヴィーネ「サターニャ割りもしません！！」

ーヴィーネの家ー

ラフィエル「ふむふむ。なるほどー」

ガヴリール「どうしたんだラフィエル？」

ラフィエル「いえ、スイカの歴史を調べてみたんですが、なかなか面白くて」

ガヴリール「どんなことが書いてあるんだ？」

ラフィエル「はい。スイカの原産地はアフリカの砂漠地帯だったそうです」

サターニャ「ふうん。元は暑い国の果物だから日本では夏にスイカが出回るのね」

ラフィエル「エジプトでは4000年前から栽培されていたそうです」

ヴィーネ「水分が多いから重宝されてたのね」

ラフィエル「江戸時代の頃は、スイカの中身が赤いことから「生首を想像させる」という事で、当初はあまり好まれていなかったみたいです」

ガヴリール「うげ、想像しちゃったよ。食べたくなくなってきた……」

サターニャ「くくく、血の様に真っ赤な食べ物だなんて、とっても悪魔的だわ！」

ヴィーネ「さて、スイカのお勉強が終わったところで、いよいよ食べるわよ！」

ﾄﾞｽﾝ

ガヴリール「でかっ！　大玉を丸々一個買ってきたのか」

ヴィーネ「冷蔵庫で一晩冷やしてあるから冷たくて美味しいはずよ！」

ラフィエル「いいですねー。夏って感じがしますね」

サターニャ「早く切り分けなさいよー！　待ちきれないわ！」

ヴィーネ「いくわよ！　よいしょ、よいしょ……」

ｻﾞｸｻﾞｸ

サターニャ「さあ、血の様に真っ赤な姿を見せなさい！」

ｺﾞﾄﾝ

サターニャ「……ふぇ？」

ガヴリール「……んあ？」

ラフィエル「……あら～？」

ヴィーネ「残念！　実は黄色でした！　てへっ♪」

サターニャ「散々期待させておいて酷いじゃない！　ヴィネット！」

ヴィーネ「ごめんね。スーパーで見つけて面白そうだから買っちゃったの」

ガヴリール「確かに面白いな。黄色いスイカなんて初めて見たよ」

ラフィエル「まさかのサプライズでしたねー。遊び心があっていいじゃないですか♪」

サターニャ「そ、それもそうね。許してあげるわ！」

ヴィーネ「じゃあ切り分けるわね」

サターニャ「ガヴリール！　私と勝負しなさい！」

ガヴリール「何言ってんだこいつ」

サターニャ「どちらがスイカを早く食べられるか競争よ！」

ガヴリール「はあ？　お前一人でやってろよ」

サターニャ「ははーん？　さては負けるのが怖いのね？」

ガヴリール「はぁ、面倒くさい。分かったよ。じゃあお前が先に食べろよ。タイムを計ってやるから」

サターニャ「ふふふ、見てなさい。私の早食いを見て恐怖するがいいわ！」

ガヴリール「いくぞ。用意……スタート」

サターニャ「はむはむはむはむはむはむはむはむはむ……」

ﾋﾞﾁｮﾋﾞﾁｮ

ヴィーネ「あーもうっ！　床にこぼしてるじゃない！」

サターニャ「うっぷ……ま、参りました……」

ガヴリール「何がしたかったんだお前？」

サターニャ「うぅ……だって、前にテレビで見たオジサンが物凄いスピードで食べてるのを見て……」

ラフィエル「ああー、あの有名なコメディアンの方ですね」

サターニャ「これなら私にもできると思ったんだもん……ｸﾞｽﾝ」

ヴィーネ「サターニャ。あれはね、前もってスイカに仕掛けが……」

ラフィエル「ヴィーネさん、夢を壊さないであげてください」ﾎﾞｿｯ

ガヴリール「ヴィーネ。それ以上言ったら消されるぞ？」ﾎﾞｿｯ

ヴィーネ「誰によ！？」

ラフィエル「はい、サターニャさん。まだありますから今度はゆっくり食べましょうね」

サターニャ「うん、そうするわ……」

ガヴリール「ちゃんと甘いんだな。黄色いからしょっぱいのかと思ってた」

ヴィーネ「そんな、たくあんじゃないんだから……」

ラフィエル「しょっぱいといえば、スイカにお塩をかけると甘味が増すらしいですよ」

サターニャ「ほんと？　ヴィネット、塩をちょうだい」

ヴィーネ「はいはい」

ガヴリール「サターニャ。塩は「し(４)お(０)」で、４０回かけると美味しくなるらしいぞ」

サターニャ「なにそれすごい！　１、２、３、４、５、６、７、８……」

ヴィーネ「やめなさああああい！」

ガヴリールドロップアウト

『この後サターニャがおいしく頂きました』

ー完ー