絵里｢えっと…これでやるの？｣


にこ｢うん、コントローラーちゃんと握って｣

絵里｢え？これ一人用なのね、にこはどうするの？｣

にこ｢私は隣の部屋でやるわ、でも通話するから話は出来るし｣

絵里｢そう…通話するゲームなのね！｣

にこ｢いい？ちゃんとやるのよ！じゃっ｣ｶﾞﾁｬ

絵里｢えぇ、わかったわ！｣


絵里(最近は、亜里沙にぷよぷよを教えてもらったばっかりなのよ。にこは何を教えてくれるのかしら)ﾜｸﾜｸ

絵里｢…ん？キャラクターを選択する画面になってるわよ？｣

にこ｢そうよ、そこで自分のキャラを選ぶの｣

にこ｢とりあえず全部ダウンロードしてあるから…好きなのにしなさい｣


絵里｢す、好きなのって…いっぱいいて全然わからないわ｣

絵里(男女や人種も様々ね…。みんな何故か周りをキョロキョロしてるのが気になるけど)


にこ｢んまぁ、無難に女キャラにしとけば？｣


絵里｢女の人は…えっと｣


絵里｢あ、この黒人の人にするわ！｣


にこ｢クローデット・モレルね。へぇ、いいんじゃない？｣

絵里｢これ、キャラクターを選択するってことはきっと必殺技とかが違ってくるのね？｣

にこ｢必殺技…？｣


絵里｢少し前に、凛と花陽に誘われてスマブラって奴をやったのよ！｣ﾌﾌﾝ


にこ｢あーなるほど……まぁそんな感じよ｣

にこ｢ちなみにそいつは、怪我した時に自己回復出来るわ。あと怪我した仲間の位置がわかる｣


絵里｢……怪我って？｣


にこ｢ぁ…鬼ごっこゲームなのよこれ｣


絵里(あ…なるほど、走って転んじゃった時に治療できるわけね)

にこ｢じゃあ、ゲームスタート！｣

絵里｢わかったわ！｣ﾎﾟﾁｯ


loading…


にこ｢色々教えてあげるから、まずはゲーム内で会うわよ｣

絵里｢最初は離れ離れなの？｣

にこ｢まぁ、多分。近いこともあるけど｣

絵里｢了解よ！｣ﾆｺ


ﾋﾟｶｰ

絵里｢あ、読み込み終わったみたい！｣


絵里(……ふぇ？や、やけにリアルなグラフィックね…これはトウモロコシ畑かしら？)

にこ｢絵里、どこにいるー？…あ～いや、何が見える？｣


絵里｢この女の人、トウモロコシ畑の中にいるみたいだわ！｣


にこ｢あー…おっけー。その近くに発電機があると思うから、そこ行って。合流するわ｣


絵里｢発電機？？｣


にこ｢その近くに行くと、修理ってなるからボタン押しといて｣


絵里(んーと………あ、あったわ！！これが発電機ってやつなのね)

絵里(修理……修理…)ｶﾞﾁｬ


絵里(…あれ？よく考えれば何で修理する必要があるのかしら？)

ﾀﾀﾀｯ…ﾇｯ


絵里｢ひゃぁっっ！！｣ﾋﾞｸ


にこ｢くくっ？なに情けない声出してんの！にこよ｣

絵里｢あ……あぁ、この女の人がにこなのね！｣

にこ｢これはメグ・トーマス。元陸上選手だから走るの早いのよ｣

絵里｢ハラショー！いいわね、鬼ごっこに有利だわ｣

ﾎﾟｰﾝ


絵里｢へっ？｣


ﾊﾞﾝｯｯ!!

絵里｢に、にににこ！？発電機がピカって光って…！｣


にこ｢あーやばい、教えてなかった！！こっちついてきなさい！｣

絵里｢な、なんなのよぉ…！？｣


にこ｢発電機を修理する時はね、ランダムで丸いゲージが現れるのよ。それを白っぽい範囲内でボタンを押して、止めるの｣

にこ｢それが上手く収まらないと、さっきみたいに大きい音がして光るから！｣


絵里｢そ、そうなの……早く言って欲しかったわ｣


ﾄﾞｸﾝ…ﾄﾞｸﾝ…


絵里｢…に、にこ？なんか…この人の、心音が激しく｣


にこ｢やっばい！こっちから来てた！！｣ﾀﾀﾀｯ…


絵里｢に、にこ？？？ねぇ、にこ？｣

絵里｢ちょっと、何処に行ったの？置いていくなんて酷いわ！｣

ﾄﾞｸﾝ…！ﾄﾞｸﾝ！


絵里｢な……なんなのよぉ…｣ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ


トラッパー｢！！｣ﾊﾞｯ


絵里｢きゃぁぁぁぁぁぁあぁっっ！！！｣


にこ｢あはははっっ！いいわよ、ナイス回避っ！｣


絵里｢な、ななっ…なんで私を追いかけてくるのよぉぉっ！！｣ｳﾙｳﾙ


にこ｢頑張って逃げるのよ～。窓枠乗り越えたり、木の板倒したりして上手く撒きなさい！｣


絵里｢あ、ぁぅぅうっ…！！待って、待ってぇ！｣


にこ(ふふっ！予想以上に面白い反応してくれるじゃない)ﾆﾔﾆﾔ

にこ(暗くて怖いのが嫌いな絵里だもの、こんなホラーゲーム絶対無理だと思ってたわ！)

にこ(まっ、この前にこを半監禁して勉強させたお礼よ！)ﾌﾌﾝ


絵里｢いっ……！！！｣


にこ｢ん？どうし…あ、１回切られたわね｣


絵里｢にこっ……！ひぅっ、にこぉ！｣


にこ｢んー？｣


絵里｢───助けっ……！！｣ﾄﾞｻｯ


にこ｢2回目切られると、這いつくばってしか動けなくなるの。ちなみに1回目は走るのが遅くなって、ゼェゼェ言う吐息が聞こえ…｣


絵里｢……っぐす…うぅぅぅっ……｣ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ


にこ｢な、な、なに泣いてんのよ…！？｣

絵里｢うぐっ……ぐず……｣


にこ｢わ、悪かったわよぉ！！そんな、ゲームだし…本気で怖がると思わないじゃない！｣


絵里｢っぅぅ……にこの馬鹿ぁ…｣ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ


にこ｢……はぁ…ごめんって…｣


絵里｢──ま、待って…この、人っ｣

絵里｢鬼に担がれてるわっ…！！｣


にこ｢…そうよ。で、肩をフックにかけられて…｣


ｷｬｧｧｧｧｧ…!!


絵里｢い、痛い痛い痛いっ…！！！｣


にこ｢あんたがやられてるわけじゃないでしょ…｣

ﾋﾟﾛﾝ♪


絵里｢…ふぇっ……｣ｸｽﾝ


《グループ通話に のんたん が参加しました》


希｢やっほ～えりち｣


絵里｢希…！ねぇ聞いて、にこが…！｣


希｢うち、今えりちの目の前におるよ♪｣


絵里｢え…？？｣


にこ｢…そのトラッパーって殺人鬼、操作してるの希なのよ｣

絵里｢え、えぇぇぇっ…！？！？｣

希｢ふふっ、えりち可愛かったよ♡大丈夫、すぐ終わるからもうちょっと頑張ろな～｣


絵里｢わ、私のことじっと見てるこの人を……希が！？｣


にこ｢そう。で、ホントは絵里を助けたりも出来るんだけど…今回は希が張りついてるから無理ね。他の仲間と発電機直してるわ｣


絵里｢み、見捨てるの！？にこ！｣


にこ｢必要な犠牲よ！大丈夫、あんたの事は忘れないわ｣


希｢え～発電機直してるんかぁ…行こっかなぁ｣


にこ｢来んな！そこで絵里と見つめあってなさい！｣


絵里(そんな……この黒人の人、死んじゃうの…？？)ｸﾞｽﾝ

絵里(彼女……こんなに苦しんでるのに…うぅっ、見てられないわ…)ﾌﾙﾌﾙ


ｸﾞｻｯ!!


絵里｢──あっ…｣


にこ｢…うん、死んだわね。吊るされて体力が尽きるとそうなるのよ｣


希｢えりちお疲れ様～♪ちょっとは楽しめたかな？｣


絵里｢………｣


希｢よーし！次はにこっちを追いかけて追いかけて追いかけまくるで～♪♪｣

にこ｢ちょっ…ぎゃぁぁっ！！！なんで遠くにいたニコの方に来るのよぉっ！｣


ﾜｲﾜｲ ｷｬｯｷｬｯ


絵里｢………｣

～数日後～


凛｢あ、にこちゃんずるいにゃ～！そのアイテム凛が置いたやつ！｣

にこ｢地面に置いてるのは落ちてるってことよ！｣

花陽｢まぁまぁ…2人とも、せっかく一緒にいるなら発電機直そうよ？｣

希｢そやで、今回の殺人鬼がまだ何なのかもわからへんのやから｣

にこ｢ふん。通話してる4人パーティを全滅させられるプレイヤーなんていないわよw｣

花陽｢うーん…こっちには殺人鬼さんいないなぁ…。凛ちゃんの方行ったんじゃない？｣

凛｢えー？そんなわけ………にゃぁぁぁぁっっ！？｣

にこ｢ちょっ…きゃぁぁぁっ！！｣

花陽｢一気に2人も負傷…！この人やります…恐らく、上級者…｣

希｢あーもう、待っとき！うちが今から助けに……えぇ！？こんなとこにトラップが…！｣ｶﾞｼｬﾝ


ﾋﾟﾛﾝ♪《エリーチカさんがグループ通話に参加しました》


絵里｢ふふっ♡さぁ、私から逃げられるかしら！｣

にこ｢え？？は？？｣

希｢嘘やろ…｣


絵里(1人でいっぱい練習したんだから！にこたちをぎゃふんと言わせてあげないとね！)ﾆｺﾆｺ

終わり