1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/07/31(月) 22:32:42.786 ID:7Zjg1Wibd.net
先進的な蟻さんが

文明を築いた

あかりちゃんの机の中で飼われるだけの

哀れな子羊をやめたのだった

2: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/07/31(月) 22:33:37.677 ID:7Zjg1Wibd.net
航空宇宙網を築いて蟻さんは

あかりちゃんの机の中から脱出した

夏の夕暮れでの出来事だった

3: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/07/31(月) 22:35:29.371 ID:7Zjg1Wibd.net
あかり「あかりの蟻さんがいないよぉ!」

マンハッタンに勝る摩天楼を築いていた蟻さんたちがいないことに

月曜日のあかりちゃんは気付いた

その頃蟻さんは既に太平洋の小さな島を占拠して武装防衛を施していた

4: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/07/31(月) 22:36:51.542 ID:7Zjg1Wibd.net
蟻さんは得意の穴堀で

地下に数千発の核兵器を搭載した

弾道ミサイルを備えていた

来るべき決戦は近かった

5: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/07/31(月) 22:38:03.746 ID:7Zjg1Wibd.net
アリシニョフという蟻さんが

ロシアを内部から崩壊させた

彼は大統領秘書のふりをした

蟻だったのだ

6: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/07/31(月) 22:39:52.244 ID:7Zjg1Wibd.net
ロシア崩壊に合わせて数千発の核弾道が

ユーラシア北部に満遍なく降り注いだ

爆撃範囲が緻密に計算された

世界史上もっとも効果的で速やかな殲滅だった

7: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/07/31(月) 22:41:18.006 ID:7Zjg1Wibd.net
ロシア人がいなくなって

地球はウォッカの供給が断たれた

それによりアルコール中毒者は

世界中の至るところで暴れだした

これこそが蟻さんの作戦だった

8: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/07/31(月) 22:42:21.565 ID:7Zjg1Wibd.net
アルコール中毒者によって社会は荒廃し

文明は失われた

あかりちゃんもまた

この失った世界の

被害者となってしまったのだ

9: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/07/31(月) 22:43:30.171 ID:7Zjg1Wibd.net
あかり「あかり生きる希望をなくしたよぉ」

家も学校もなくなってあかりちゃんは

泣きながら旅をすることになった

目的地は火星だった

そこは地球の最後の文明が残ってるという噂だった

10: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/07/31(月) 22:44:40.070 ID:7Zjg1Wibd.net
蟻さんはこの世の春を謳歌していた

いたるところに巣をつくり

女王蟻は左団扇を三本の足で三つも扇いでいた

まさにこの世の支配者だった

11: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/07/31(月) 22:45:28.443 ID:7Zjg1Wibd.net
人々は新天地を目指して旅をした

ときおりアルコール中毒者に遭遇しては

殴られないように隠れて

恐怖の旅となっていた

12: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/07/31(月) 22:47:46.050 ID:7Zjg1Wibd.net
蟻さんは次なる目標を定めていた

さらに巣を作ろうというのだ

蟻さんが新たに巣をつくり始めたのは

次元の壁だった

地面と次元が似てた次元にしたのだった

14: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/07/31(月) 22:49:39.977 ID:7Zjg1Wibd.net
場が数式の次元を蟻さんたちは掘り始めた

干渉が可能になったのは幾多のトライアンドエラーで

次元に阻まれ続けた末の成果だった

干渉公式を駆使して蟻さんたちは次元のさらに奥へと

進んでいった

15: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/07/31(月) 22:52:54.475 ID:7Zjg1Wibd.net
ある到達点で蟻さんたちは

違和感を覚えた

次元を掘り続けていくうちに予想される数式場に

齟齬が発生しているのだ

数学の巨人と称される蟻さんたちが集まって話し合った結果

これは明らかなる攻撃だと結論づけたのだった

16: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/07/31(月) 22:54:05.959 ID:7Zjg1Wibd.net
外部勢力からの

攻撃に晒されていることに

蟻さんたちは気付いた

そのため蟻さんたち急遽次元への干渉をとめたのだった

17: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/07/31(月) 22:55:46.598 ID:7Zjg1Wibd.net
しかし場の数式は

どんどんと齟齬が大きくなり

やがて円周率が3よりも小さくなっていることが証明された

時は既に遅かったのだ

外部勢力からの攻撃はやむことはなく

蟻さんたちは明らかな敵対勢力とみなされていたのだ

18: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/07/31(月) 22:58:44.884 ID:7Zjg1Wibd.net
あかり「最近時計の数字が83まで増えたよぉ」

あかりちゃんも腕時計を見てその違和感に気付いていた

火星へ行くには中東のロケット打ち上げ場しか

最早この惑星にはないと知って

旅をしている最中だった

20: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/07/31(月) 23:05:22.382 ID:7Zjg1Wibd.net
蟻さんたちはこの敵対勢力を通称コード・ロスチャイルドと名付けて

反撃を決意した

次元からの干渉を分析するに

コードRSは次元そのものを媒体にしているなにかだと

いうことが判明したのだ

蟻さんたちは次元に対する攻撃を敢行した

21: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/07/31(月) 23:09:15.674 ID:7Zjg1Wibd.net
攻勢干渉公式は通常の次元干渉と違い

あらゆる数式の結合を解くためだけの

破滅的兵器だった

コードRSは予期せぬ反撃により占有領域4分の3を失うはめになった

これは次元のほとんどを奪われたも同然だった

22: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/07/31(月) 23:11:34.446 ID:7Zjg1Wibd.net
代償に世界の空間次元と時間次元と破滅的な

被害を被った

干渉していた次元の変化は我々のいる次元に有意に作用されていた

蟻さんたちは核シェルターに集まり始めた

23: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/07/31(月) 23:13:00.512 ID:7Zjg1Wibd.net
あかりちゃんはロケットに乗り込めた

今後地球がどうなるのか一抹の不安を抱えた

ロケットは飛び立った

蟻や核や次元戦争を地球に残して

2: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/01(火) 23:09:29.307 ID:ecj1SfjAd.net
攻勢干渉公式は主に時間次元への作用が大きかった

その理由の一つは空間次元が三つの次元から構成されてるのと違い

時間次元は一つの次元から成り立ってるため

脆弱性が空間次元より大きかったからだ

4: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/01(火) 23:13:09.070 ID:ecj1SfjAd.net
また空間次元はある程度その領域を変化させることに長けたが

時間次元のみは相対性を用いて理論を作る事が出来ても

基本的に柔軟性がない次元のため

干渉による大規模な崩壊の要因となったのだ

あかり「まだ火星につかないよぉ」

既にあかりちゃんがロケットに乗ってから1300年が経っていた

5: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/01(火) 23:15:23.284 ID:ecj1SfjAd.net
あかりちゃんの腕時計は2871と3万8549分の1単位で

時を刻んでいた

あかりちゃんはとんでもない腕時計だと思って

直そうと叩くと分割が5万9000ほど増えた

あかりちゃんは「あっかりーん」とショックを受けた

6: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/01(火) 23:17:41.717 ID:ecj1SfjAd.net
蟻さんたちはなおも

敵対勢力に対して核シェルターから

次元に攻勢をかけていた

幾多の数学の天才蟻たちが伝説的次元干渉公式を書き上げて

英雄的な戦果をあげていた

蟻さんたちが逃げ込んだ核シェルターは

防御機構を兼ね備え

地球唯一の知の宝庫となっていた

7: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/01(火) 23:18:55.162 ID:ecj1SfjAd.net
蟻さんは次元のほとんどを

掌握していた

敵対勢力を追い詰める過程で

幾つもの次元を崩壊させて

多次元の生命体を

絶滅においやった

蟻さんたちは情け容赦がなかった

8: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/01(火) 23:19:55.614 ID:ecj1SfjAd.net
あかりちゃんは

やっと火星に到達した

あかり「一面の砂漠だよぉ」

そこに地球文明の名残はないかのように思えた

京子「おーい!そこにいるのはあかりかー!」

あかり「京子ちゃん!」

9: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/01(火) 23:21:44.912 ID:ecj1SfjAd.net
京子「地球から数万年ぶりに人工体が飛翔してきたから驚いたぞ」

あかり「わわ!もうそんなに時間が経ってたのかよぉ!」

京子「といっても乱れた時間次元の話だけどな。こっちおいで。みんないるよ」

あかり「わぁ!結衣ちゃんやちなつちゃんにまた会えるんだねぇ!」

10: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/01(火) 23:23:16.659 ID:ecj1SfjAd.net
火星の地下では文明が保たれていた

というよりも街がそのまま造り上げられていた

京子「ここには蟻さんもいないしアルコール中毒者もいないんだよ」

あかり「まるでユートピアだよぉ!」

京子「あかり、こっちにみんながいるぞ」

あかり「わぁい!」

11: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/01(火) 23:24:39.897 ID:ecj1SfjAd.net
京子ちゃんは街の最深部へと

あかりちゃんを連れていく

やがて赤色灯で照らされた

空洞の中を通っていって

あかりちゃんは少しの不安を抱えてしまった

12: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/01(火) 23:28:12.009 ID:ecj1SfjAd.net
あかり「結衣ちゃんたちはこの奥で何をしてるのぉ」

京子「取り戻そうとしてるんだよ」

あかり「なにをだよぉ」

その答えを京子ちゃんはあるドアの前で立ち止まって

あかりちゃんを振り返って言った

京子「私たちの時間だ」

開かれたドアの向こうでは無数の機器が

数値やグラフをリアルタイムで表示し

軍服姿の職員が絶えず往来する施設があった

13: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/01(火) 23:32:25.531 ID:ecj1SfjAd.net
京子「ここで蟻さんの攻勢を食い止める研究をしてるんだ」

あかり「ぶっひぇーすごいよぉ」

京子「既に研究成果によって蟻さんたちの攻勢を留めてもいるんだよ」

あかり「とんでもないお話だよぉ」

結衣「あかりじゃないか!」

あかり「結衣ちゃん!」

14: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/01(火) 23:35:27.992 ID:ecj1SfjAd.net
結衣「あかりも火星に辿り着いたんだね」

あかり「地球からは最後の便だったよぉ」

結衣「あかりがそれに乗れて良かった。地球はもうアルコール中毒者によって崩壊したからな」

あかり「まったくもって悲惨な状況だよぉ」

結衣「今はここから蟻さんたちを食い止めて私たちの時間を取り戻そうとしてるんだよ」

あかり「結衣ちゃんは頭良かったものねぇ尊敬するよぉ」

15: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/01(火) 23:40:11.908 ID:ecj1SfjAd.net
蟻さんたちは突如として介入してきた

妨害干渉に対して怪訝な面持ちとなった

特に高位な干渉公式ではない

蟻さんたちと敵対勢力は既に第38世代の攻勢数式を使って戦っており

第39世代完成も目前だったのだ

しかし妨害干渉はたった8世代型の

旧型公式でしかなかった

16: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/01(火) 23:46:33.788 ID:ecj1SfjAd.net
蟻さんたちは適当に封じ込めの干渉を行った

あくまで主敵は次元生命体だったのだ

しかしその封じ込めは10-^23秒で覆された

妨害干渉のレベルが一度に跳ね上がったのだ

蟻さんは急遽そのレベルがどの世代に相当するか解析を始めた

攻勢干渉を受け持つ蟻さんはおおよそ18~最悪20世代後半にも及ぶと

想定した

そうなると封じ込めは片手間ではすまなくなる

17: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/01(火) 23:52:38.489 ID:ecj1SfjAd.net
京子「わずか10秒で我々は49世代相当まで理論を跳ね上がることができた」

京子「我々の勝利である」

あかり「わぁ!結衣ちゃんの理論が役に立ったんだねぇ!」

結衣「不安定な時間次元を利用しての最短進化」

結衣「おそらく到達可能なレベルの上限値のはずだよ」

あかり「わぁい!あかり結衣ちゃんだぁいすき!」

18: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/01(火) 23:56:08.470 ID:ecj1SfjAd.net
それは虐殺とよぶにふさわしかった

第49世代の数式は速やかに蟻さんの領域を奪取し

蟻さんたちの次元防御機構を打ち破って

時間次元と空間次元を圧縮し

核シェルターごと蟻さんたちを葬った

それは宇宙のインフレーションで起きた奇跡的な出来事の数々よりも

なお速やかな一瞬だった

19: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/02(水) 00:02:05.008 ID:AY03NoXid.net
あかり「時計が12にもどったよぉ」

あかり「蟻さんたちは死んだんだねぇ」

心優しいあかりちゃんは悲しくなった

もとはと言えばあかりちゃんの蟻さんだったのだ

しっかりとしつけておけば

こんなことにはならなかった

蟻さんをこんなにしたのは

蟻さんをあかりちゃんたちが支配することを是とした

社会が悪かったのだ

ブルジョワジーが

人間さんを奴隷にして飼っているのを非難されないために

蟻さんを飼うことを是としたのだ

それは大きな大きな

間違いだったのだ

20: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/02(水) 00:04:19.114 ID:AY03NoXid.net
あかり「あかり蟻さんたちに謝りたいよぉ」

ちなつ「じゃあ謝りにいこうよ、あかりちゃん」

あかり「ちなつちゃん!」

ちなつ「おいで、今時間は逆行も可能な状態なんだよ」

あかり「ちなつちゃん…」

ちなつ「謝ろう、あかりちゃん。そして私たちの時間を取り戻すの。本当の意味で」

あかり「うん!」

21: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/02(水) 00:06:50.255 ID:AY03NoXid.net
ちなつちゃんはあかりちゃんの手を引いて

あかりちゃんと一緒に過去へ飛び立った

向かう先はあの日の教室だった

蟻さんたちがあかりちゃんの机の中で

社会を築き上げていたあの日だった

まだ蟻さんたちがあかりちゃんの机の中から航空技術を開発して脱出する前に

蟻さんたちを自由にすることが

唯一の救いだった

22: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/02(水) 00:14:40.528 ID:AY03NoXid.net
あかり「蟻さんたち、許してくれるかなぁ」

あかりちゃんは不安そうに呟いた

ちなつ「きっと大丈夫よ」

過去へ向かいながらちなつちゃんは励ました

あかり「あかりは取り戻せるかな、あかりたちの時間を」

ちなつ「きっとそれは、あかりちゃん次第ね」

あかり「蟻さんたちが納得してくれるのはあかり次第ってこと?」

ちなつ「ううん。蟻さんたちに許して貰って、次の一歩はあかりちゃん自身が踏み出すんだよ」

ちなつ「その一歩があかりちゃん次第でどうとでも変わってしまうということ」

ちなつ「私たちの未来はこれからだよ」

あかり「うん…そうだよね。あかりはあかりたちの時間を取り戻して大切にするよぉ!」

ちなつ「それでこそ、あかりちゃんだよ」

ちなつちゃんはあかりちゃんの手を引いて過去へと遡る

蟻さんたちはきっと納得してくれるだろう

だけど未来はまたどうなるのかわからない

あかりちゃん次第で良くもなるし悪くもなる

だけど繋いだ手の先にちなつちゃんがいることを思うと

あかりちゃんはきっと良くなると思えた

だからあかりちゃんは決意を固めて過去へと進む

未来を取り戻すために

おわり

引用元: あかり「昼夜問わずだよぉ」