ヴィーネ「ガヴ、なんか勘違いしてるようだけど、魔界では大きなスコップをシャベルって呼んでるのよ」

ガヴ「へぇ。あとママさんダンプとかジョンバとかゆるくないってどういう意味なんだよ」

ヴィーネ「ママさんダンプは大型の、ジョンバは中型の雪かきの道具よ。ゆるくないっていうのは楽じゃないって意味。あと雪なげっていうのは魔界弁で雪かきって意味。里帰りしたばっかりだから方言出ちゃったのね」

ガヴ「捨てる事を投げるっていうのは知ってたけど、魔界って北海道なの？」

サターニャ「そんなわけないっしょ！！」

ヴィーネ「サターニャ、魔界でも普段『○○っしょ』なんて使わないのに」

サターニャ「///　別にいいじゃないの！！」

ガヴ「なぁ、今日一日サターニャについて行っていいか？　もっと北海道弁について知りたい」

サターニャ「北海道弁じゃないわよ！！　魔界弁よ！！　魔界弁！！」

ヴィーネ「なら、私も行くわ。分からない言葉があったら説明するわね」

ｶﾞﾁｬﾝｶﾞﾁｬﾝ

サターニャ「私の上履き入れ古いからなかなか開かないわね」

ガヴ「上履き？　上履きは普通なんだな」

ヴィーネ「え？　私の所では上靴って呼んでるわよ」

ガヴ「今、スマホで調べてみたけど北海道では上靴が主流らしいぞ。サターニャは北海道のどこに住んでるんだよ」

サターニャ「北海道じゃないわよ！！　魔界よ！　魔界！！」

ｶﾞﾁｬﾝ

サターニャ「開いたっ」

サターニャ「ふぅ、寒い。でも、魔界の寒さに比べたらどうって事ないけどね」

ヴィーネ「サターニャ、また話盛ってるわ。寒いの苦手で家ではストーブガンガン炊いて暖かくしてるのにね」

サターニャ「///　ガヴリールも寒いでしょ！！！　ほら、予備の手袋持ってるから履きなさい。ヴィネットには貸してあげない！！」

ガヴ「履く？」

ヴィーネ「魔界では手袋は『はめる』じゃなくて『履く』って言うのよ」

ガヴ「へぇ」

サターニャ「冬はしばれるから嫌よね。やっぱり夏こそが私の季節よ！！」

ガヴ「しばれる？」

ヴィーネ「寒いって意味」

ガヴ「サターニャ訛り過ぎだぞ。魔界ではいつもこうなのか？」

サターニャ「違うわよ！！！」

ヴィーネ「割とそうよ。同じ魔界に住んでる私でも、訛ってるなーって思うことよくあるの」

サターニャ「嘘！？　もう私方言出さない！！　我慢してやるわ！！！！！」

ガヴ「そんなー。つまらないぞ」

サターニャ「ほら、今鍵開けるから。ちょっと待ってなさい。あ！」

ガヴ「どうした？」

サターニャ「じょ……。朝鍵かけるの忘れてたわ！！！」

ガヴ「不用心だな。気を付けろよ」

ヴィーネ「サターニャ、今じょっぴんかるって言おうとしたでしょ。じょっぴんかるなんて今時お年寄りでも言わないわよ」

サターニャ「言おうとなんてしてないわよ！！！　ほら、早く中に入りなさい」

サターニャ「ほら、椅子にでもよしかかってなさい」

ガヴ「よしかかる？」

ヴィーネ「ガヴ、よしかかるは標準語でしょ」

ガヴ「違うだろ」

サターニャ「こうする事よっ」ｷﾞｨｷﾞｨ

ガヴ「それはよりかかるだ」

ヴィーネ「嘘……」

ｽｯｽｯｽｯｽｯ

ガヴ「スマホで調べてみたらよしかかるは北海道弁らしいぞ」

サターニャ「知らなかったわ」

ガヴ「二人そろって訛ってるな」

サターニャ「訛ってないって言ってるでしょ！！！！」

ガヴ「なぁ、サターニャの家族ってどんな感じなんだ」

サターニャ「今、お米うるかしてくるから、それから話すわ」

ガヴ「うるかす？」

ヴィーネ「サターニャ、うるかすは標準語じゃないわよ」

サターニャ「そうなの！？　えーと……えーとお米を水に入れてくるわ！！」

ガヴ「早く行ってこい」

ヴィーネ「サターニャの家族は弟以外みんなサターニャみたいな性格なのよ」

ガヴ「へぇ。写真とかある？」

ヴィーネ「私は持ってないけど、サターニャに見せてもらいましょう」

サターニャ「これが私の家族よ！！」

ガヴ「へぇ。ザ・サターニャの家族って気がする」

サターニャ「特に私の使い魔のアレキサンダーめんこ……可愛いでしょ」

ガヴ「ああ。めんこい」

サターニャ「せっかく、言い直したのに！！　」

ガヴ「でも、本当に可愛いな。サターニャのペット」

サターニャ「あら？　動物好きだったの？」

ガヴ「確かに動物は……何言わせるんだよ///！！！！」

サターニャ「今度連れてきてあげようか？」

ガヴ「いい///」

サターニャ「ねぇ、次はいつ遊ぶ？」

ガヴ「明日はネトゲイベントがあるから無理」

ヴィーネ「明後日私もちょっと用事あるのよね」

サターニャ「なら、あしたあさってね」

ヴィーネ「え？」

ガヴ「あしたあさってってどういう意味だ？」

ヴィーネ「明後日って意味よ。サターニャ、あしたあさっては明々後日って意味じゃないわよ！」

サターニャ「……え？　あしたあさってって方言なの？　三日後って意味じゃないの？」

ガヴ「方言以前にサターニャの勘違いかよ、つまらないな。サターニャ、なんか面白い話ないのか？」

サターニャ「面白い話？　あ！　ねぇこれ見て！！　この前カブトムシのメス捕まえたのよ！！」

ｶｻｶｻｶｻ

ガヴ「え？　ぎゃあ！！　それゴキブリじゃないか！！　ゴキブリ見た事ないってやっぱり魔界って北海道だろ！！」

ヴィーネ「違うわよ！！　ガヴだって地上で初めて見たじゃない！！　魔界にもゴキブリはいないわ！！」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

サターニャ「なんだ。つまらないの。ほら、早くお外に帰りなさい」ﾎﾟｲ

ガヴ「よくそんなの掴めるな」

ヴィーネ「あ……あ……。手、洗った方が良いわよ」

サターニャ「そうね」ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

ガヴ「あ、サターニャ。腕蚊に食われてる」

サターニャ「本当ね」ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

ガヴ「あんまかじるなよ。もっと痒くなるぞ」

サターニャ「え？」

ヴィーネ「え？」

ガヴ「え？　私何か変な事言ったか？」

注）かじるは静岡弁で引っ掻くという意味。

完