1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/21(月) 21:27:06.017 ID:6FI75IzT0.net
被験者「具体的にどういった幸せな夢が見れるんですか?」

科学者「服用者の幸せだと思う事、願望を夢の中で体験できるのだ
素晴らしいだろう?」

被験者「ええ、とても」

科学者「これによって君が悪夢に苛まれる事がなくなる事を切に願うよ」

被験者「そうだと良いんですけど」

科学者「では早速治験を始めよう」

被験者「はい」

2: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/21(月) 21:31:15.277 ID:6FI75IzT0.net
科学者「この錠剤を飲んでくれたまえ」

被験者「禍々しい色をしてますね…」

科学者「マウスに試してみたが害はなかった、安心していい」

被験者「…いただきます」ゴクッ

科学者「遅くても30分程で眠気が来るはずだ
さあ、ベッドに横になって」

3: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/21(月) 21:37:43.148 ID:6FI75IzT0.net
翌日

被験者「う、ううん…」

科学者「どうだったかね」

被験者「夢の内容は思い出せませんが…何だか心地よい感じで眠れました」

科学者「それは良かった
君の睡眠時の脳波もリラックスした状態を常に示していた
この状態を服薬時に常にキープできれば実験は成功と言える
あと二週間ばかり、付き合ってくれ」

4: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/21(月) 21:42:50.536 ID:6FI75IzT0.net
被験者「はい…」

被験者(不快感なく眠れたのはとても良かったのだけれど
幸せであったであろう夢の内容が思い出せない)

被験者「あの…この薬が願望を体験させてくれると言うのなら、また同じ夢を見る事はできますか?」

科学者「それはどうかな…
君の願望が一つだけであればそれは可能かもしれないが、人間は欲が深い生き物だからね
もしかしたら無理かもしれない」

被験者「それは残念だなあ…」

科学者「夢の内容が気になるのかね」

被験者「折角幸せな体験が擬似的にでもできるなら覚えてないのは勿体無いと思います、僕は」

5: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/21(月) 21:47:43.041 ID:6FI75IzT0.net
科学者「ふむ、元々睡眠時の不快感を取り除く事を目的とした薬だから、覚醒時に記憶に残らせるという事を想定してはなかったな」

科学者「次に改良する時は、それも念頭に置いておこう」

被験者「ありがとうございます」

6: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/21(月) 21:55:00.840 ID:6FI75IzT0.net
翌日も、翌々日そのまた次も、次の日も、被験者は幸せな夢の内容を覚えている事ができなかった

科学者「おはよう被験者君」

被験者「え、あっ!ああああ…また…」

科学者「ああ、駄目だよ君
良い状態を示していたのに覚醒時に一気に数値が乱れた」

被験者「どうしても…覚えている事ができないんです」

科学者「ぐっすり眠れたのにそんなに不満なのか」

被験者「不満ってもんじゃないです
頭がおかしくなりそうだ」

8: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/21(月) 22:01:25.536 ID:6FI75IzT0.net
被験者「毎日毎日、極上の幸せを与えられて、目が覚めると嫌になる現実に引き戻されて、その余韻に浸ることも出来ない!」

被験者「ここ一週間ばかりずっとそれが繰り返される!」

被験者「この状態がずっと続くなら、僕はまだ悪夢を見ていた方が良かった!」

9: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/21(月) 22:06:19.633 ID:6FI75IzT0.net
科学者「そうか…君の考えは解った
でもこちらも仕事なんでね、残り一週間は続けさせてもらうよ」

被験者「もう辞めさせてください…」

科学者「後一週間だけ、我慢してくれ
でないと報酬も半減だ
君も生活がかかってるんだろう?」

被験者「……」

12: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/21(月) 22:13:25.169 ID:6FI75IzT0.net
被験者「もう無理だ…」

被験者「……さっさと終わらせましょうこんな治験」ガッ

科学者「何を…大量に薬を掴んで何をする気だ」

被験者「これを飲んで死んでやる!」ザラララ

科学者「やめなさい!」

被験者「うぐっ」ゴクッゴクッ

科学者「ああ…」

13: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/21(月) 22:16:42.033 ID:6FI75IzT0.net
被験者「ハァ…全部飲んたぞ…これで幸せな夢が見れる」

科学者「君はその選択を選んだんだな…」

被験者「どういう事ですか」

科学者「最後に教えてあげよう…この治験のチラシを見せてくれたのは誰だった?」

被験者「それは…家のポストに入ってて」

科学者「投函したのはご両親だ」

被験者「は…?」

17: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/21(月) 22:23:18.740 ID:6FI75IzT0.net
科学者「薬が効いてきたのか、思考力が鈍ってきてるようだな」

被験者「両親があのチラシを…それが何を」

科学者「表向き病院だがここは治験と見せかけて穀潰しを処理する施設でね」

被験者「は…え……?」

科学者「ここまで言えばわかるだろう
これは君に与えられた最後のチャンスだったんだ」

被験者「僕は両親に…嵌められたのか」

科学者「いや君が選択したんだよ、最終的にね」

18: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/21(月) 22:30:35.891 ID:6FI75IzT0.net
科学者「この薬を与えられた物は君みたいに生を放棄するものが大半だ」

被験者「非人道的な事を…よくも平気で」

科学者「私共は常日頃から死んだような目で生活を送り、死を願って生きているような人間の手助けをしているんだよ」

被験者「あ…あ……」

科学者「通常は精神安定剤…眠剤を大量服薬しても死ぬ事までは出来ないが
この薬は死ねる」

科学者「どうぞ幸せな夢を」

19: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/21(月) 22:30:55.668 ID:6FI75IzT0.net
終わり

引用元: 科学者「悪夢を見る人々の為に幸せな夢を見れる薬を開発した」被験者「それは凄い」