ｶﾞﾁｬ

琴葉「おはようございます……ッ！？」

エレナ「ヤッホーコトハ♪」

琴葉「エエエエエエレナ！？！？ どうしたの！？！」

エレナ「ン？ なにが？」

琴葉「どうして服を着てないの！？ 何してるの！？」

エレナ「ンー、だって暑いし」

琴葉「暑いって言ったって、そんな、そんな！」

エレナ「ブラジルではこれが普通だヨー」

琴葉「昨日まではちゃんと服を着てたのに！」

エレナ「今日は劇場にプロデューサーいないしネー」

琴葉「だからって！そんな、はしたない！」

エレナ「だからコトハも脱いじゃいなヨー、涼しいヨ？」

琴葉「いやっ、わたしは……」

琴葉（ハッ！！ この状況！！）ﾋﾟｰﾝ

琴葉（このありえない状況、エレナのあまりにも平然とした態度）

琴葉（これ絶対ドッキリだ……！）

琴葉（きっとどこかにカメラがあって、私が狼狽えてるのを見てるんだ！ どうしよう、なにか上手くリアクションしないと……！）

エレナ「ネー、コトハも脱ぎなヨー」

琴葉「エ、エレナ。とりあえず何か羽織りなさい。私が目のやり場に困るから」

エレナ「暑いからヤダー」

琴葉（くっ、こんなのはきっと求められている反応ではないはず……！）

エレナ「ホラホラ、脱いじゃえばハッピーになれるヨ」

琴葉（きっと放送時はエレナの身体にもモザイクがかけられているはず。そしてきっとその画が面白くてスタジオで笑っている。となると私に求められるのは……）

琴葉「ソ、ソウダネー。ワタシも脱いじゃおっかナー」

エレナ「ゴーゴー♪」

琴葉（いやちょっと待って！？ さすがに裸は放映されないとしても、スタッフの人には私の裸が見られるってことにならない！？）

琴葉（でも中途半端に脱いでも面白くならないし、今日は薄着だからすぐに見えちゃいけないところが見えちゃうし）

エレナ「コトハ？」

琴葉「……」

琴葉（エレナがこんなに身体を張ってくれてるのに、私だけ中途半端に済まそうだなんて、私のアイドルへの覚悟はそんなものだったの……？）

琴葉（でも……でも……）

琴葉「……か」

エレナ「か？」

琴葉「勘弁してください……。すみません……」

エレナ「わぁっ！ どうして急に土下座するの！？」

琴葉「あとエレナにも服を着せてあげてください……お願いします……」

エレナ「誰に言ってるノ！？」

琴葉（こうすればきっと、このタイミングで……！）

ｶﾞﾁｬ

琴葉（来た……！）

恵美「っはよー。って何、エレナ裸じゃん」

エレナ「ハーイ♪ おはよーメグミ♪」

琴葉「あ、あれ……？ 看板は……？」

恵美「看板？ 何言ってんの？ ていうか琴葉はなんで正座してんの？ どういう状況？」

琴葉「だって恵美がドアの向こうで待機してて……」

恵美「ちょっと友達からの電話待ってたんだー」

琴葉「おっきな荷物も持ってて……」

恵美「アタシ今日外でロケなんだよね。言ってなかった？」

琴葉「なぜかエレナが裸で……」

エレナ「ワタシはいつも通りだヨー」

恵美「服着なよ」

琴葉「だから私、これドッキリなんじゃないかって思っちゃって……」

琴葉「私、二人のこと全然分かってない……！」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

エレナ「ワッ！ コトハ泣かないで～！」

恵美「え！え、なんで泣くの琴葉！」

琴葉「仲良くなったような気になって、エレナがそんなことするわけないって決めつけて……！」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

恵美「あーもう琴葉！ごめん！これドッキリだから！ドッキリ！」

琴葉「えっ、ドッキリ……？」

恵美「ほら看板！ ごめん、引っ張りすぎちゃったね」

琴葉「ドッキリ、だったの……？」

エレナ「ワタシも流石に下着くらいは着けるヨ」

恵美「服も着なよ」

琴葉「ドッキリ……」

琴葉「うぅ……」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

恵美「えぇっ！？ なんでまだ泣くの！？ ほらドッキリ！ ドッキリ大成功だよーって、にゃはは」

琴葉「だって、エレナがこんなに身体を張ってるのに、私は全部中途半端で……！」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

エレナ「実際暑かったしネー」

恵美「エレナはもっと恥じらいなよ」

琴葉「こんな、友達にばっかり身を切らせて……！」

琴葉「お詫びに、脱ぎます……！」ｽﾙｯ

恵美「わーー！！！ もう終わったから！！ 脱がなくていいから！」

エレナ「涼しいヨ？」

恵美「服着て？」


おわり