2: ◆a5k6MQnQtIgi 2017/08/28(月) 02:03:41.67 ID:lkAFGJYJO
周防桃子には誰にも言えない秘密があった。

特に親友の育や環には、言えない秘密。

「…二人とも、寝てる…よね?」

桃子は、同室になった環と育の様子を、消灯後こっそりと観察していた。

二人とも、すやすやと寝息をたてていた。

二人を起こさないように、こっそり布団から起きた桃子は、自分のカバンをもって、トイレに入った。

「はぁ…」

トイレに入った桃子は、大きなため息をついた。

泊まりの仕事になると、毎回同じ部屋になったアイドルたちが眠ったあとに、こっそりと同じことを行っていた。

カバンをあけると、中にはビニール袋が入っていた。

なるべく音をたてないように、ビニール袋の中身を取り出す。

そして、浴衣の前を開け、パンツを下ろす。

ビニール袋の中身を手に取ると、憂鬱な気分になった。

「やだなぁ…これ穿くの…」

手に持っていたのは、紙おむつだった。


4: ◆a5k6MQnQtIgi 2017/08/28(月) 02:05:22.43 ID:lkAFGJYJO
桃子がおねしょをするようになったのは、両親がよく喧嘩するようになってからだった。

布団に入っても、喧嘩の声からは逃れられなかったことは、桃子にとって苦痛だった。

そしてその頃、仕事もうまくいっているとは言えなかった。

段々とストレスが積み重なっていく日々のなかで、ある日桃子はおねしょをしてしまった。

その時に見せた親の顔は、桃子にとって一種のトラウマになった。

そのことがきっかけかどうかはわからないが、毎日おねしょをするようになってしまった。

765プロに来てからもそれは治らず、寝るときはおむつを着用して眠るのだった。


5: ◆a5k6MQnQtIgi 2017/08/28(月) 02:06:11.37 ID:lkAFGJYJO
桃子はおむつを履いて、こっそりと布団に戻った。

環や育に見られてないかと、不安でなかなか眠れないのを、無理やりにでも目を瞑った。

なん十分かたった頃には、小さな寝息が二つから三つになっていた。



不思議な夢を、桃子は見ていた。

雨の中を、ずぶ濡れになりながら歩いていると、育と環の二人が現れた。

「あっ、ももこだ!おーい」

環は、ずぶ濡れになりながら、桃子の方へ走ってきた。

「わっ、環、ずぶ濡れじゃない。風邪引くよ?」

「くふふ、ももこだって、ずぶ濡れだぞ~」

育は傘をさして、桃子の方に歩いてくると、持っていた傘を差し出した。

「桃子ちゃん、入る?」

「いいよ…桃子、もうずぶ濡れだし…それに、桃子が入ったら育が…」

「だいじょうぶだよ!だから、ね?」

躊躇している桃子に、育が微笑みかけた。

「…しょうがないなぁ…」

そう言って、桃子は照れながら育の傘に入れてもらった。

環は、やはりずぶ濡れになりながら育と桃子の隣を歩いていた。

しばらく歩いていると、雨空がだんだん晴れてきて、太陽が空から顔を覗かせた。

雨足はだんだん弱くなり、いつしか雨はやんでいた。


6: ◆a5k6MQnQtIgi 2017/08/28(月) 02:06:43.25 ID:lkAFGJYJO
部屋にあった目覚まし時計のアラームが、けたたましく鳴る。

桃子と育の二人は、眠りから覚めて、目を開けた。

環は、一人早めに目が覚めたのだろうか、布団にはいなかった。

桃子の股の辺りは、濡れている感覚はないものの、ひんやりと冷えていた。

どうやら、またおねしょをしてしまったようだった。

「おはよ…育…」

「うん…ふわぁ…おはよ…」

育は大きなあくびをしながら言った。

「ちょっと、トイレに行ってくる…」

そう言って、桃子が布団から起き上がったときだった。

「桃子ちゃん…それ…」

「えっ…」

寝ている間に、浴衣がはだけてしまっていたようで、桃子の穿いていたおむつが丸見えになっていた。

「いやっ!」

急いで桃子はおむつを手で隠す。

一番見られたくない人に、一番見られたくないものを見られた。

そのことに、桃子はショックを受け、育に背を向けて身を縮めこませる。

桃子の頭の中には、おねしょをしたときの親の顔が頭に浮かんでいた。

きっと育にも幻滅された、そう思っていた。


11: ◆a5k6MQnQtIgi 2017/08/28(月) 02:24:30.82 ID:w1dtRMNJo
ないしょ5

「桃子ちゃん…」

「見ないで!」

桃子の背中は、泣いているのか、少し震えていた。

こんなときに、親友になんと言葉をかけたらよいのか、育はすぐには思い浮かばなかった。

ただひとつ、自然と口から出てきた言葉を除いて。

「だいじょうぶだよ…」

育は、優しい口調で、桃子に声をかけた。

「誰にも言わないから、ね?桃子ちゃん…」

その言葉を聞いた桃子が、顔を上げて振り向く。

顔は真っ赤になって、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。

「ほんとに…?」

桃子は、声を震わせながら言った。

「うん、約束。このことは、わたしと、桃子ちゃんだけのないしょ。だから…」

「ほんとの…ほんとに…?」

「うん、ほら、ゆびきり」

夢の中で傘を差し出してくれた時みたいに、育は小指をたてた右手を、桃子に差し出した。

それにたいして、桃子も自身の右手を、小指をたてて差し出す。

「ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのます、っと」

「ぜったい、ぜったいに言わないでよね」

桃子は、浴衣の袖で顔を拭いながら言った。

 


7: ◆a5k6MQnQtIgi 2017/08/28(月) 02:08:21.40 ID:lkAFGJYJO
「うぅ…気になるけど…どうしよう」

環は、トイレの中で、部屋で二人がなにかしているのを聞いていた。

なんとなく出られない雰囲気が漂っていたのもあったが、環もやはり問題を抱えていた。

自身の下ろした下着、普通の下着なのだが、おねしょ対策のためのパッドを貼っていた。

パッドは、小水を吸って膨れ、黄色く染まっていた。

これを剥がして捨てるのだが、ビニール袋を部屋に置きっぱなしにして、捨てる術がなかった。

仕方なく、パッドを貼ったままでパンツを穿き直した。

「ん…なんか、ひんやりしてて…気持ち悪い…」

おむつと違い、おねしょパッドは、子供におねしょをしたと自覚させるために、濡れた感覚がある。

ひんやりと濡れた感覚と、妙に股の間が膨らんだ下着を穿いて、不快感と違和感を我慢しながら、環はトイレを出た。


9: ◆a5k6MQnQtIgi 2017/08/28(月) 02:09:11.19 ID:lkAFGJYJO
環がトイレから出てきたのと入れ替わるように、桃子がトイレに入った。

環は、育に何があったのか聞いてみた。

「ないしょだよ」

そう言って、育は何があったのか環に教えてくれなかった。

「さっ、着替えましょ。朝ごはん食べなきゃ」

トイレでおむつから普通の下着に履き替えた桃子が、何事もなかったかのように言った。

「うん!」

「う、うん…」

どこか普段より元気のない環に、二人はおかしさを感じたが、特に気にせずに浴衣から着替えた。

環は、二人がてきぱき着替えているのをよそ目に、何か見られたくないものでもあるかのように、着替えの時もどこかぎこちなかった。

「環、遅いよ!」

「環ちゃん、早く」

「いく、ももこ~待ってってば~」

秘部が濡れたもので擦れる嫌な感覚に耐えるため、環は内股になって歩いていた。

そのため普段のように走ったりすることができず、次に部屋に戻るまでこの状態で我慢しなければならなかったのだった。


10: ◆a5k6MQnQtIgi 2017/08/28(月) 02:09:40.13 ID:lkAFGJYJO
お わ り

私は犯罪者ではありません


引用元: 【ミリマス】ないしょ