------数十分後(五限)、塔学校・職員室------



ガラーーーーーーーー!!!

ティガ&冥ラギア「失礼しァーーーーす!!」ゼェ、ゼェ……

シーーーーーン……

シャガル「……なんだ?!お前たち……!!」

冥ラギア「シャガル先生!」

ティガ「あれっ?!他の先生達は?!」

シャガル「授業中だ!……主任たちは休憩だ!」

ティガ「へ!昼休み以外にも休憩あんのかよ!」

冥ラギア「シャガル先生はなぜここに?」

シャガル「古龍科は自習だ。主任たちがいない間の警備も兼ねているんだが……」

シャガル「……ティガレックス!!お前、どうしたんだ。レウス先生がボヤいていたぞ!」

シャガル「お前が学校に来ないせいでクラス中が大騒ぎだと!」

ティガ「えっ……俺ったら人望ある……//」テレテレ

シャガル「……バカめ!そして冥ラギアクルスはどうした?元気そうだ。子供はどうだ?」

冥ラギア「元気です!お陰様で……」

ティガ「じゃないじゃない、シャガル先生、落ち着いて聞いてください!」

シャガル「なんだって言うんだ……?」

冥ラギア「先生には、かなりショックなことかと思いますが……」

ティガ「ラオシャンロンが死んだんだ」

シャガル「…………何だと?」

184: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:22:26 ID:8WO
>>182 書き溜めです。

185: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:23:50 ID:8WO
ティガ「本当に!……コレ」スッ

シャガル「……どうしたんだ、これは……!ら、ラオシャンロンの外殻ではないか!」

冥ラギア「亡くなったんです。……ハンターたちによって」

シャガル「……し、信じられない……!」

シャガル「嘘だろう?!死んだなど……!私の生徒だったラオシャンロンが……!」

シャガル「……ハンターめ……」

冥ラギア「ハンターたちにとっても苦肉の策だったのでしょう」

冥ラギア「ラオ君が街に進行したが故に、襲撃と捉えられてしまい、街を破壊されまいとしてハンターは戦った……」

シャガル「なぜ、ニンゲンの街に進行を……?」

ティガ「逃げるため!」

冥ラギア「教科書にも載っている『終焉』の詩!そしてニンゲンの書物に残った伝説」

冥ラギア「『巨大龍の絶命により、伝説は蘇る』!」

冥ラギア「二つは同じ存在を謳っている。フィクションでもなんでもない、明確な歴史!世界を終わらせる存在から、巨大龍……つまりラオ君は逃げ、そして絶命し、いま伝説が甦ろうとしている!」

冥ラギア「ラオ君の死は、前兆なんです!」

シャガル「…………」

シャガル「……そんなバカな話があるか、と思うが……」

ティガ「冥のアニキが言うんだ!信じてください!!」

ティガ「(それに……ニャンターさんも言っていた!)」

186: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:25:18 ID:8WO
シャガル「……この外殻。ラオシャンロンが死んだのは事実だろう。そして冥ラギアクルス、お前ほどの優等生が言うことは」

シャガル「嘘だとは考えにくいな……」

冥ラギア「……ティガ君は今朝、ハンターに捕まりニンゲンの街へ行きました。そこでアイルーの狩人に言われたそうです」

冥ラギア「『ラオシャンロン進行の本当の意味を探せ』と」

冥ラギア「そしてその狩人は実際にラオ君の死に直面し、彼の『学校のみんなに知らせなくては』との言葉も聞いているそうです」

シャガル「……その者に学校の存在が知られたのか?!」

ティガ「そのアイルー……ニャンターさんと俺の関係は、話せば長い」

ティガ「でも先生、あいつは俺に教えてくれたんだ!!」

ティガ「ラオシャンロンは確かに何かから逃げ、ひどく怯えていた、って!」

ティガ「そしてニンゲンだろうがモンスターだろうが関係ない、全てにとっての敵がいるって!そいつのせいで世界が終わっちまうかもしれない!!」

シャガル「…………」

シャガル「………わかった」

シャガル「頭の整理が追いつかない……だが、とにかくこのことは職員会議で発表する」

シャガル「あまり口外するな。ラオシャンロンの死についてもだ」

187: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:26:29 ID:8WO
ティガ「…………それだけですか?」

シャガル「ああ、それだけだ」

冥ラギア「……わかりました。よろしくお願いします」ペコッ

シャガル「…………」


ガラッ………パタン


ティガ「本当に世界は終わるんスかね……」

冥ラギア「……どうだろう。終わってみないと、断言できないね」

冥ラギア「僕たちにできることはなにもない。もしあの存在が本物ならば、僕たちが個人的に動いたところで、どうにもならない」

ティガ「…………」

ティガ「今日は、ありがとうございました……」

冥ラギア「いや。僕のほうこそ、重要なことを教えてくれてありがとう」

キーンコーン……
ザワザワ……

冥ラギア「……授業終わったね。教室に行くだろう?」

ティガ「……そッスね。でもその前に寄るところが……」

冥ラギア「?」

188: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:27:54 ID:8WO
------数秒後、塔学校・雑魚科1組------



ガラッ!!

クラス一同「!!」

ティガ「…………」ドス、ドス……

アプケロス「……うお……」ビクビク……

リノプロス「ビッ、ビビった……」ビクビク

ティガ「………おい」

ポポ「………!」ビクッ

ティガ「………お前さぁ、俺のことハンターに伝えた?」

ポポ「……………」ガタガタ……

ティガ「どーなんだよ」

ムーファ「(ぼそっ)ポポ君……大丈夫……?」

ティガ「………」

ポポ「…………」コクン……

ティガ「……は、マジかよ」

ティガ「随分ナメた真似してくれんじゃん……」

ティガ「おかげでエライ目に遭ったわ」

ティガ「……どーいうつもり?」ジリッ……

ポポ「…………」

ケルビ「……(ひそっ)ポポ、ほんとにリークしたのかよ……」

モス「(ひそっ)そうみたいだな……」

189: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:28:42 ID:8WO
ポポ「………ぼっ、僕、は……」ボソボソ……

ティガ「……あ?お前声出るのかよ」

ポポ「……僕は、きっ、君みたいな……」ゴニョゴニョ……

ティガ「聞こえねーーーよ!!」

クラス一同「!」ビクッ……

ポポ「ぼ、僕は君みたいな怖い人たちに、おっお金取られたりとか……」

ポポ「しゅっ、宿題やらされたりとか、い、嫌だった」

ティガ「…………」

ポポ「いっ、嫌でっ、すごく嫌でっ……」

ポポ「ぼぼ、僕が弱そう……だからって……いっ、良いようにつかって」

ティガ「…………」

ポポ「でも、でもっ……まっ、真っ向から歯向かっても、勝てない、しっ」

ポポ「……はっ、ハンターに、リークするっていう、手段もあるって、ききき気付いて……」

ティガ「やり方がセコイんだよ!!」

ポポ「……ヒッ……」

ポポ「せっ、セコくなんかない、き、き、君たちの方がセコい」

ティガ「……あァ?」

ポポ「う、生まれつき怖い見た目だからって……そっ、その性質にかまけて、僕をいじめた」

ポポ「ぼっ、僕には僕の、や……やり方がある。な、何もセコくない」

190: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:30:08 ID:8WO
ティガ「……一人じゃ力で勝てねェからって……」

ポポ「な、何が悪いんだ!!僕は君に仕返しがしたかった!!!」

ポポ「僕みたいな草食モンスターが、ずっ、ずっと黙ってると思ったら大間違いなんだよーーーーっっ!!!」ドスッ!!

ティガ「うおっ、おい……!牙刺すな……」

ドスン、ドスンッ!!

ティガ「おい止めろ!!」

ポポ「草食モンスターだって、やるときはやるんだーーーーー!!!」ドス、ドスッ!

ティガ「やめろ!!」

アプトノス「……そうだぞ!!」ガバッ!!

ズワロポス「みんな、お前らみたいな強い奴らに抑圧されて……!!」ドスッ!!

リノプロス「嫌気がさしてたんだ!!!」ドスッ!!

ティガ「クソ、一斉に……!!」

クラス一同「……みんな、かかれーーーー!!!」

ワアァァァァァァァ………

ティガ「クソッ!!てめぇら……!!」

ティガ「いてーーーっつの!!」ブン!!

ポポ「………!!」ドサッ

ポポ「………まだ!!」ドスッ

191: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:30:54 ID:8WO
ティガ「(畜生!!こいつらが野良だったら瞬殺だっつーのに……!!)」

ティガ「やめろーーーー!!」スゥーーーーッ……

ガァァァァァアアアァァァァァァッッ!!!

クラス一同「!!」ビリビリ……

ガウシカ「ま、負けるなーーー!!」

ウオオオオオオ………



リモセトス「何事ですか?!!この騒ぎは……!!」ガラッ!

クラス一同「!」

リモセトス「!!……みなさん何をしているんですか?!下がって!!」

クラス一同「…………」ササーーッ

ティガ「………ゲホッ」

リモセトス「……ティ、ティガレックス君……!!」

ティガ「………リモ先生……こいつらなんとかして……」ヨロッ

192: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:32:09 ID:8WO
------数分後(六限)、塔学校・職員室------



リオレウス「……やっと学校に来たかと思えば」

リオレウス「何やってんだお前は」

ティガ「………」ムスッ

リモセトス「本当すみません……!私の生徒が……!!」ペコペコ

リオレウス「あー、いいんですよ、生徒間の問題ですから……」

リオレウス「えーとですね、それで……一応主犯格ってことになってるポポ君は……?」

リモセトス「アカム副教頭と一緒に、校長室で校長を待っていて……あっ、すみません。いま私も呼ばれました……」

リモセトス「ちょっと校長室に行って参ります……失礼します……」ドスドス……

リオレウス「……あ、はい……」ペコッ

リオレウス「で、なんだお前は」

リオレウス「何したんだ」

ティガ「………」ブッスー

リオレウス「なんて顔してんだ!」

ティガ「……ギャクシュウってやつですよ」

リオレウス「逆襲?……ったくもう……構いすぎたんだろ?」

ティガ「……そーみたい!」

リオレウス「……クラス全員だろ?あれだけの人数にやられてよく手を出さなかったな」

ティガ「……退学になりたくないんで」

リオレウス「そうだよな。そこはまだ良かったよ……」

リオレウス「ケガは?」

ティガ「……大したのは、ねーっす」

193: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:33:06 ID:8WO
リオレウス「そうか。……あのな、雑魚科は3組まであるが……少し特別なの、わかるだろ?」

ティガ「……」

リオレウス「お前のいるメインモンス科や、古龍科や飛竜科などとは違うんだ」

リオレウス「体も小さい者が多い。……ハッキリ言って、弱者なんだ。お前らとは全然違う」

リオレウス「俺はこんな差別的なこと言いたくない。でも事実だ」

リオレウス「彼らが学校に通う理由は一つ、群れのためだ」

リオレウス「彼らはみんな、それぞれの群れの長だ。学校に通うことで、少なくとも彼らの治める群れは、学校の生徒に捕食されることはない」

リオレウス「その辺を理解できないとダメだ。彼らは守るべき存在なんだよ」

リオレウス「例えばラギアクルスとかライゼクスにするように、お前がじゃれているつもりだとしてもな。彼らがどう捉えるかわからない」

リオレウス「悪いことは言わない。……もうあまり構ってやるな」

ティガ「………ほーーい……」



ウカム「……レウス先生」ひそっ

リオレウス「はい?……はい……」

194: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:33:51 ID:8WO
ウカム「……×××……××………」ゴニョゴニョ……

リオレウス「……はい、すみません。ありがとうございます……」ペコッ

リオレウス「お前はお咎めなしだ」

ティガ「……そーっすか」

リオレウス「お前は手を出さなかったからな。良かったな」

ティガ「……はい。さーせんした」

リオレウス「今後も気をつけろよ。……もうほとんど時間ないけど教室行け。自習ってことになってるから」

ティガ「はい」ドスドス……

リオレウス「……もしケガが痛むようなら、医務室行けよ」

ティガ「…………」ドスドス……

リオレウス「…………」

195: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:35:09 ID:8WO
------更に数分後、校長室(古塔近くの砂丘)------



リモセトス「……じゃあ、ポポ君。そういうことだから……」

ポポ「………」

リモセトス「……良かったわね、退学にならなくて」

ポポ「…………」

リモセトス「自宅謹慎といっても、たった一週間だから。試験勉強でもして……また元気に学校来て?」

ポポ「…………」

ポポ「……ど、どうして退学にならないんですか……?」

リモセトス「……え?」

ポポ「……ぼ、僕は、学校の生徒に襲いかかったのに、どうして、じっ自宅謹慎なんかで……」

リモセトス「それは……あなたの普段の行いが良いから……」

ポポ「……違う!!」

リモセトス「……」

ポポ「こ、校則では、学校関係者を捕食しない、ってあって」

ポポ「ほっ捕食しないまでも、その危険性がある場合は、そっ、速攻で退学になるはず」

ポポ「なのに退学に、なら、ならないのは……ぼ、僕が弱いから……弱いから、ティガ君を捕食なんかできっこないって」

ポポ「僕は、大型モンスターに歯向かったところで……よ、弱いからって、相手にされない」

ポポ「……僕は……ち、ちがう、僕たちは……」

ポポ「……僕たちは、いつだって弱者だ!!!!!」

リモセトス「ポ……ポポ君………」

196: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:36:13 ID:8WO
------同時刻、塔学校・メインモンス科------



ガラッ……

ラギア「クソ野郎ーーーーーーーー!!!!」ガバーーーッ!!

ライゼクス「バカ野郎ーーーーーーー!!!!」ガバーーーッ!!

ティガ「うおおおお?!!」ドサッ

ラギア「お前!!!!!!なにやってたんだよバカーーーー!!!」

ライゼクス「ちょー心配したんだぞ!!!!」



ガムート「よ、良かった……ティガ、来た……」ホッ

ミツネ「……ほんと、よかったね。さすがに心配したよ……」



ナルガ「ホラな!!生きてたろ!!お前ら騒ぎすぎ!!」

蒼レウス「でも拙者ちょっと心配だったでござる~よかったよかった」

197: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:36:59 ID:8WO
ゴマ「………フフフ……ティガ殿……生命力強い……フフフ……小生、嬉しや……」

クシャル「……(まあ死にはしないだろ……)」



ジンオウガ「本当に心配して、授業にならなかったんだよ~」

ブラキ「矢文も全部返ってきちまって……どこ行ってたんだよ!!」

ティガ「エーーーット……秘境で寝てた……?」

ライゼクス「バカだーーー!!!でも良かったーーーー!!」

ラギア「放課後、世界中を捜すかって話してたんだぜーーー!」



ミツネ「(ひそっ)きっと嘘だ。秘境なんかで寝てたなんて」

ガムート「(ひそっ)えっ、そう思う?」

ミツネ「(ひそっ)放課後、早速集まろう!!」

198: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:37:57 ID:8WO
------放課後、渓流・タマミツネの巣------



ライゼクス「……実に珍しいですね!」ズズズ…

ラギア「ミツネ様がわざわざ巣にご招待してくれるなんて!」ズズズ……ゴクッ

ティガ「腹減った~」ズズズ……

ミツネ「マイカップを僕の巣に置いておくくらいには通い詰めてるのにね、君たち」

ガムート「本当、初めてじゃないかな?ミツネっちのほうから巣に呼ぶなんて」

ミツネ「学校じゃ周りの目もあるし、まともに話せないと思ったからね!」

ミツネ「……本題に入ろう。ティガ君、今日はどうして……」



ティガ「おお!見ろよこの写真立て……」

ライゼクス「白ラギアちゃんとのツーショットが!」

ラギア「めっちゃシャレオツじゃん!!!」



ミツネ「聞けーーーー!!!」

199: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:39:19 ID:8WO
------数分後、同場所------



ラギア&ライゼクス&ガムート「……リーク?」

ティガ「そーですーー」もぐもぐ

ミツネ「僕と同じだ。僕と白ラギアさんも、アグナコトルとイャンガルルガにリークされて、危うく狩られそうになった」

ガムート「みっ、ミツネっちまでー?!」

ミツネ「そう」

ライゼクス「まあみんな生きてたから良かったけどよ……!」

ラギア「こえーな、雑魚科のギャクシュウか」

ティガ「……まーな。びびった、あいつらがあんな気合の入った奴らだとは思わなかった」もぐもぐ

ミツネ「……大変だったねティガ君。ケガが大したことなくて本当に良かった」

ミツネ「そして、重大なことがあったね」

ミツネ「その……ニャンター君?は、本当にラオ君の言葉を聞いたのかな」

ティガ「……そう言ってた。もしあの状況でニャンターさんが嘘ついたのなら……ドン引きだね、俺は。ドン引き」

ライゼクス「そーだな……」

ラギア「つまりラオシャンロンは、何かおっそろしい存在から逃げてて、その存在を学校のみんなに知らせろって言って息絶えたんだな」

ライゼクス「漢らしい最期だよな!!」

ミツネ「そうだね。そしてその存在っていうのは、冥ラギアさん曰く『終焉』の詩に謳われている存在ってことだ」

ガムート「……世界を終わらせる存在なんだよね……?お、終わっちゃうのかな……」

ミツネ「……なんとも言えない。でも冥ラギアさんが言うんだ。終わる可能性は高いかも」

ラギア「………笑えねぇ」

200: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:40:26 ID:8WO
ライゼクス「……なんか、わかんねーの?」

ライゼクス「その、世界を終わらせる存在、ってのが……どんな名前とか、どんな見た目とか」

ミツネ「………」

ミツネ「……冥ラギアさんが解読したニンゲンの古文書のタイトルは、『黒龍伝説』」

ラギア「黒龍!!」

ライゼクス「……いかにも、って感じだな」

ガムート「その黒龍さんが、世界を終わらせちゃうんだね……」

ティガ「………モンスターだろ?ただの」

ティガ「俺らと同じじゃん……」

ミツネ「……本当に存在しているなら、ただのモンスターじゃないだろうね。神、って表現したほうがいいかもね」

ラギア「神か……ますます俺ら、成す術ねぇじゃん」

ミツネ「……僕たちなんかじゃ、到底渡り合えない」

ガムート「………!!ミツネっち、あの先生は?」

ミツネ「あの先生?」

201: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:41:15 ID:8WO
ガムート「500年前にオストガロアを追放した、すっごい先生!!な、名前わかんないけど……」

ミツネ「あーーー……あの先生……」

ライゼクス「そーいやいたな、そんなスーパーティーチャーが」

ティガ「学校内で唯一、オストガロアに食われなかったんだよな」

ミツネ「いやあ……そりゃあ、黒龍にも渡り合えるかもしれないよ。すごい先生だったみたいだから」

ミツネ「でも、今も生きているのかハッキリわかんないし……生きているとしても、居場所は『天空山の近く』としかわかんないよ……」

ミツネ「それに、僕たちがいきなり行って、『黒龍を倒してください!』って頼んでも」

ミツネ「話をちゃんと聞いてくれるかもわかんないし」

ミツネ「……現実的じゃないよ」

ガムート「……そっかぁ……そうだよね」

ラギア「俺たちみたいな小せえ存在は、ただ世界が終わるのを待つしかねぇのか」

ティガ「………また、なにもできねェのか。俺らは」

202: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:42:16 ID:8WO
------ほぼ同時刻、塔学校・会議室------



アカム「それでは各クラス、報告を……」

シャガル「……失礼、少々!」

一同「?」

シャガル「大切な話が……発言してもよろしいでしょうか?」

アカム「……次の試験の結果による、各クラスの評価よりも大切な話なんです?」

シャガル「……はい」

アカム「雑魚科の生徒がメインモンス科の生徒を集団でリンチしたことよりも、大切です?」

リモセトス「…………」

シャガル「……恐らく」

アカム「じゃあ、いいですよ。まずシャガル先生どうぞ」

リオレウス「………?」

シャガル「ありがとうございます……」ガタッ

シャガル「……私のクラスの生徒だった者に、ラオシャンロンという者がいます」

シャガル「彼は、何かから逃げ……怯えながら死んだそうです」

一同「…………」

203: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:43:39 ID:8WO
シャガル「先生方、授業をやったことのある方なら、ご存知だと思います。『終焉』という詩を」

シャガル「それと同じような内容のものが、ニンゲンの世界にもあり、それは『巨大龍の絶命』が、『伝説が蘇る』ことの前兆であると記してあるそうです」

シャガル「ラギアクルス希少種が、そう言いました」


ダレン・モーラン「……うーーーーーむ……」

ダレン「黒龍伝説、の……事かね……」

シャガル「……!そこまではわかりませんが……」

シャガル「ダレン校長、何かご存知で……?」

ジエン・モーラン「ぬーーーーーん……ご存知も何も……我々にとっては、周知の事実」

シャガル「……えっ……?」

ダレン「……うむ………黒龍、確かに存在していた……1000年前、旧大陸の遥か西の国、シュレイド王国を滅ぼした」

ジエン「いかにも……で……黒龍が、どうしたと言うのかぬ……ズズズッ」

リオレウス「(……やっぱり湯呑みがでかい……)」

205: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:46:27 ID:8WO
シャガル「それならば、話は早いです!」

シャガル「ラオシャンロンの死によって、その黒龍の復活が予想されます!」

一同「…………」

ダレン「………復活したら、なんだというのかぬ……?」

シャガル「?!」

シャガル「……校長、良くお考えに!!」

シャガル「世界を滅ぼすほどの力を持つ黒龍が復活したら、どうなるのかなど容易に想像つくはずでは?!」

アカム「シャガル先生、言葉に気を付けてください」

ジエン「もちろん……ぬーーーーーん……世界は滅びるだろうぬ……」

ダレン「それは、誰にも逆らえないんだぬ……何をどうしたいのだ?シャガル先生」

シャガル「……決まっています、阻止しなくては!!」

ダレン「……阻止……フォッフォッ、阻止!!」

ジエン「無理だぬ、シャガル先生……神には誰も逆らえぬん……」

シャガル「わかりません!!わ、我々が束となって立ち向かえば、ひょっとしたら……!」

ダレン「現実を……受け入れたほうが良い………」

シャガル「そんな……!!我々の生徒だった者が、その命をもって黒龍の復活を示したのに!!」

206: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:47:28 ID:8WO
ジエン「……ラオシャンロンはもう、退学した生徒だ……学校を出た後のことまで、我々は構っていられぬ」

ダレン「あの種族の宿命だぬ……1000年前と……同じだぬ……」

シャガル「……まただ、またあなた方は!!」

シャガル「オストガロアの時のように、大きな脅威から逃げ!!」

シャガル「見て見ぬ振りをするのですか?!」

リオレウス「………」

アカム「シャガル先生、言葉に気を付けてください」

シャガル「あの時も、あなた方が力をお貸ししてくれたなら……アマツ先生は、死ぬことなどなかった!!!」

シャガル「イビルジョーの襲撃にもアマツ先生一人で対応させ、オストガロアとの決戦も『我関せず』と!!今回も既に死者が出ているのに、まだ見て見ぬ振りをするおつもりで?!」

207: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:48:48 ID:8WO
ダレン「アマツ先生は、一人で決着をつけることを望んだ……それだけだぬ」

ジエン「そもそもあの件に関しての責任者は、アマツ先生だ……」

シャガル「……そんな取るに足らないことを!!!あまりにも馬鹿げて……」

ジエン「シャガル先生。……我々はまだ怒っていない」

ダレン「……口を慎みたまえ……そうでなければ、君の首が飛ぶぞ」

ダレン「もちろん、物理的にな」

シャガル「…………!」

シャガル「……も………」

シャガル「申し訳……ございません……」ストン

シャガル「………」

アカム「……報告を再開します。では順番にどうぞ。レウス先生」

リオレウス「は、はい……」ガタッ

リオレウス「本日、生徒のティガレックスが……」チラッ

シャガル「…………」

リオレウス「(……シャガル先生……)」

208: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:49:56 ID:8WO
------数時間後・夜、人間居住地域(新大陸)・ギルド総本部------



ギルドスタッフ「降りろ」

ニャンター「…………」ピョン

ギルドスタッフ「………」ぐいっ

ニャンター「………」ペタ、ペタ……

ニャンター「ギルドマスター……申し訳ニャい、貴方まで来させてしまったニャ……」ボソッ

ギルドマスター「いや……儂は、あの大闘技場の責任者だからな。来るのが当たり前だ」

ニャンター「……申し訳ニャい……」

ギルドマスター「……いいや」


ペタ、ペタ、ペタ……


コンコン!

ギルドスタッフ「……件のアイルー、お連れ致しました!!」

ギルド総本部役員「……ああ、通してくれ」

ギィィィ……

総本部役員「君が、モンスターと会話をする恐ろしいアイルーだね」

ニャンター「………」

総本部役員「君に黙秘権はない。答えたまえ」

ニャンター「……ハイ」

総本部役員「よかろう」

総本部役員「君は特定のギルドに所属しない、フリーのハンターだそうだが」

総本部役員「何が目的だ?なぜギルドに所属しないのだ」

ニャンター「……ギルドを転々としたほうが、都合が良いからニャ」

209: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:51:26 ID:8WO
総本部役員「ほう!どう都合が良いのかね」

ニャンター「オレは、アイルーであるために、人間と全く同じ扱いはされニャいのニャ」

ニャンター「門前払いされることも多い……ニャから、その都度ギルドを転々としてきたのニャ」

総本部役員「そりゃあそうだろうね!君はアイルーだ」

総本部役員「人間よりも弱い。同じ扱いなどされるわけなかろう」

ニャンター「………」

総本部役員「ましてや生まれた時から人間の街にいたのに、モンスターと繋がっていたなんてね。……何を企んでいる?ラオシャンロンは君が呼んだの?」

総本部役員「フリーの権利を使って各地のギルドを巡り、全てラオシャンロンに襲撃させて壊すつもりだったのか?」

ニャンター「それは違うニャ!……オレは、何も企んでいニャい。ラオシャンロンも、呼んでニャどいニャい」

ニャンター「たまたま滞在した街にたまたまラオシャンロンが襲撃し、たまたま出撃要請が出たのニャ」

総本部役員「……出撃要請を出したのは本当かね?」

ギルドマスター「間違いねぇです……。彼はラオシャンロン襲撃の時、積極的に迎撃に向かってくれた」

ギルドマスター「ラオシャンロンを呼んだというのは、さすがに濡れ衣ではねぇかと思いますが……」

総本部役員「うん、もういい。喋り過ぎだ君は」

ギルドマスター「…………」

総本部役員「モンスターと会話ができるのは事実だ。真相がどうであれ、濡れ衣を着せられても仕方ないだろう」

ニャンター「…………」

210: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:52:44 ID:8WO
総本部役員「なぜモンスターの言葉がわかる?」

ニャンター「生まれつきニャ」

総本部役員「ハ!……生まれつきねぇ。あーそう」

総本部役員「モンスターの言葉がわかることが知れたら、大変なことになるとは思わなかったのか?」

総本部役員「なぜ件の闘技大会でティガレックスと会話をした?」

ニャンター「……モンスターの言葉がわかることが知れてでも、あの轟竜に伝えニャくてはいけニャいことがあった」

総本部役員「なんだそれ!愛の言葉か?そのティガレックスはメスだったのか?」

ニャンター「………違うニャ」

総本部役員「俺のジョークに真面目に返すな!」

ニャンター「…………」

ニャンター「………実は本日の……」

総本部役員「おいおい待て!なぜ口を開く?聞かれたことにだけ答えろ!」

ニャンター「…………」

総本部役員「とにかく君はおっかない。何をしでかすかわからない」

総本部役員「俺にムカついた君が、モンスターの援軍を呼び、ここを攻めて俺を殺すかも」

ニャンター「……そんニャこと、しニャいニャ……」

総本部役員「俺はめちゃくちゃ偉い。世界中のギルドの中で二番目に偉い」

ニャンター「………」

211: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:53:57 ID:8WO
総本部役員「……ギルド総本部の役員として君に処分を下す」

総本部役員「ハンター資格を永久に剥奪する。もちろんオトモアイルーの資格もだ」

総本部役員「再受験の資格すらもない。君は一生、人間の街からは出るな」

ニャンター「…………」

ギルドマスター「………」

総本部役員「君の経歴を調べた。元々はキッチンアイルーだったそうだね」

総本部役員「だから、キッチンアイルーに戻りたまえ」

総本部役員「喜べ!就職先は決まっている」

総本部役員「刑務所で受刑者たちの食事を作れ」

ニャンター「……刑務所……」

総本部役員「そう!……おっかないことをやらかした悪党どもの集う薄暗い刑務所で、死ぬまで食事を作り続けろ」

総本部役員「君が愛の言葉を伝えたであろうティガレックスのことを、夜な夜な思い悶えながらな」

ニャンター「…………」

ギルドマスター「いくらなんでも、刑務所とは……!」

ギルドマスター「儂のギルドの食堂に置くことはできませんで……?」

総本部役員「黙れ!地方の小規模ギルドの長に過ぎぬ君に決定権はない!」

ニャンター「……オレはそれで構わニャい」

総本部役員「そう!なら良かった!穏便に済んで安心した。君はいい子だね」

ニャンター「…………」

総本部役員「出て行っていい」

ニャンター「………」

ギルドマスター「………」

212: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/16(木)22:55:12 ID:8WO
------数分後、同場所・廊下------



ギルドマスター「すまねぇ、ニャンター君……何も出来ずに」

ニャンター「貴方はオレの上司ではニャい。何も気に病むことはニャい」

ギルドマスター「……ラオシャンロン襲撃の時、他のハンターたちが不満を垂らしながら迎撃態勢についている中」

ギルドマスター「君はただ一人、真摯に迎撃に加わってくれた」

ギルドマスター「たったそれだけかと思うかも知れないが……儂は、ひどく心を打たれた」

ギルドマスター「忘れはしないよ、君のことを」

ニャンター「……そんな言葉が頂けるニャど、おこがましいニャ。オレはただ、やるべきことをやっただけニャ」

ギルドマスター「………」

ニャンター「オレと対等に接してくれて、礼を言うニャ。かばってくれようとしたことも、オレにとっては何よりも嬉しい」

ニャンター「……申し訳ニャい。オレが闘技大会に出たばかりに迷惑をかけた」


職員「君、早くこちらに来なさい。休眠したあと、早速職に就いてもらう」


ニャンター「……行かねば。それでは、元気でいてくれニャ」ペタ、ペタ

ギルドマスター「……ああ、君もな……」

216: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:17:29 ID:kl9
------翌日午前、霊峰------



サァァァァァァァ……


シャガル「………」

シャガル「アマツ先生………」ボソッ

シャガル「………」


『”空を見よ”
我らが大いなる師
嵐龍 アマツマガツチ
ここへ眠る』



シャガル「(私一人では、なんて無力)」

シャガル「(貴女を尊敬し、貴女に憧れた……)」

シャガル「(しかし私は、貴女のようにたった一人で……世界を破壊する脅威に立ち向かうことができるのでしょうか……)」

シャガル「アマツ先生……いま私にできることは……」



バサッ、バサッ……

ドスン……

リオレウス「……シャガル先生!」

シャガル「……!レウス先生……」

リオレウス「先日のアマツ先生の月命日は、忙しくて来れなかったもので……」ドス、ドス

リオレウス「今日やっと、彼女に似合う花を持ってきたところです」

シャガル「……そうでしたか」

リオレウス「シャガル先生もですか?」

シャガル「ああ、私は……月命日にも来ましたが、今日はただ理由もなく……」

シャガル「……アマツ先生と、話がしたくて」

217: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:18:49 ID:kl9
リオレウス「…………」

リオレウス「アマツ先生は、厳しかったが……信念の強い、良い先生でした」

リオレウス「しかしあの学校は……そんな先生ばかりではない」

シャガル「…………」

リオレウス「……教科書に載ったあの詩、私はずっとお伽話だと思っていました」

リオレウス「世界など終わりはしない……そんな悪夢は、あのオストガロアで充分だと」

シャガル「……オストガロアなど目ではない。校長たちのあの言い分といい……文字通り、天と地を砕き世界を破壊する存在でしょう」

リオレウス「だとしたらシャガル先生、私は貴方に助力致します」

リオレウス「もう脅威から逃げず、真っ向から立ち向かうべきだと思うのです」

シャガル「………心強いです、レウス先生」

リオレウス「…………」

シャガル「……しかし、我々も愚かではない。校長たちの言うように、もはや神に等しい存在にひとりふたりで立ち向かったところで、結果は見えている」

シャガル「結局、成す術なく……黒龍の復活と世界の崩壊を待つのみ」

リオレウス「……校長たちのお力添えすらもないままでは……」

シャガル&リオレウス「………」


『”空を見よ”
我らが大いなる師
嵐龍 アマツマガツチ
ここへ眠る』


リオレウス「『空を見よ』……か」

リオレウス「アマツ先生の口癖でした」

218: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:19:30 ID:kl9
シャガル「空を支配するアマツ先生の存在を常に思え……ということでしたね」

シャガル「しかしもう、そのアマツ先生はいない……」

リオレウス「………」

シャガル「…………」

シャガル「………いや」

リオレウス「??」

シャガル「もっと上空……?」

リオレウス「……?……シャガル先生?」

シャガル「れ、レウス先生!!我々にはまだ、頼るべき存在があります!!」

リオレウス「えっ、どうしました、突然」

シャガル「空ではない!!そのもっと上!!宇宙です!!」

リオレウス「宇宙………?」

リオレウス「……えっ、まさか?!」

シャガル「そうです!!共に行きましょう、今から!」

リオレウス「今から?!」

シャガル「はい!」

シャガル「宇宙の力をも利する、『千の剣』に会いに行きましょう!!」

シャガル「………『千剣山』へ!!」

219: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:20:19 ID:kl9
------数時間後、雪山------



ガムート「……えい!!」パスッ

ティガ「あっお前……石入れたな?!」

ガムート「ちょっとだけ!」

ティガ「くっそー」パスッ

ガムート「あ痛!……ふふっ」


ティガ「なんか……少し休まね?」

ガムート「……そうだねー」


ティガ「…………」

ガムート「…………」


ティガ&ガムート「(なんでこんな時に雪合戦なんてしているのだろう……)」

ティガ「…………」

ガムート「………//」

220: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:20:49 ID:kl9
ティガ「……なんか……平和だよな」

ガムート「うん……黒龍さんなんか、絶対こなさそう」

ティガ「………」

ティガ「……でもきっと、来る」

ガムート「………」

ティガ「…………今日来るかもわかんねぇ」

ガムート「……怖い……すごく怖い」

ティガ「……俺も、こえーよ。成す術がないなんて、信じたくねぇ」

ティガ「……ラギア達、どうしてるかな」

ガムート「んーー、みんなそれぞれの彼女と過ごしてるんじゃない?」

ティガ「くそっ、世界中でいちゃついているのか!!」

ガムート「ふふふ……」

221: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:21:19 ID:kl9
------同時刻、孤島------



キリン「……ぐすっ、ごめんね……雷……」バチッ、バチッ

ラギア「大丈夫。好きなだけ落としていいから」ぎゅっ

キリン「ラオ君、本当に……死んじゃったの……?」

ラギア「……うん。そうだって……」

キリン「わああああん……」バチバチバチッ!

ラギア「辛いよな。……でも、ラオシャンロンの死は、意味のある死だ」

キリン「……ぐすっ……意味って……?」

ラギア「……今から話すこと、笑わないで聞いてくれよ……」

222: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:21:49 ID:kl9
------同時刻、森丘------



桜レイア「チョーー天気いいね!!休日に相応しいってかんじー?」

ライゼクス「桜ちんは太陽が似合うね?」

桜レイア「いやん?クスクスったら?」

ライゼクス「……俺、桜ちんのこと宇宙一好き!!」

桜レイア「バカ?知ってる?」

ライゼクス「…………」

ライゼクス「……桜ちん、あのさ……」

223: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:22:24 ID:kl9
------同時刻、渓流------



ミツネ「あっけなく終わるもんだね、世界は」

白ラギア「まだ終わってないでしょー」

ミツネ「……でも、終わりそうだよ」

白ラギア「まあ、まだわかんないって!古文書とか詩なんて、ただのフィクションかも」

白ラギア「ラオシャンロン君が死んじゃったのは……たまたまとかで」

ミツネ「だと良いんだけどね」

ミツネ「……白ちゃん、昨日あのあと教室に戻って大丈夫だった?」

白ラギア「うん!みどちとは会話してないけど……ヴォルガノス君とか、ドスガレオス君が一緒にご飯食べてくれた」

ミツネ「新しいお友達だね。覚えておくよ」

白ラギア「うん……それよりミッくん、白ちゃんって……」

ミツネ「………えっ」

白ラギア「まっ、前まで『白ラギアさん』だったのに、いきなり変えてどうしたの……?」

ミツネ「い、いやならやめるよ!」

白ラギア「嫌じゃないよっ!……嬉しいよ」

ミツネ「………なら突っ込まないで!」

白ラギア「ミッくん……」

ミツネ「………//」

224: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:29:09 ID:kl9
------数分後、千剣山------



シャガル「着きました」バサッ

リオレウス「よ、良かった……。遠かったですね……」バサッ

シャガル「高度が高過ぎましたね」

リオレウス「しかし……あのお方、本当におられるのでしょうか?」

シャガル「……わかりません。私も直接お会いしたことはございませんから」

リオレウス「(…………嘘だろ……)」ヘロヘロ……

シャガル「……突然の訪問、お許しください!!どうかお姿を現してはくれませんでしょうか?!」


シーーーーーン………


シャガル「……いらっしゃらない……?」

225: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:30:09 ID:kl9
リオレウス「……散歩に出ているだけだといいですね……」


グラ、グラ……


シャガル&リオレウス「!!」


グラ、グラ……

ズズズズ……ズルズルズルズル……


シャガル「いらっしゃった……!!?」

リオレウス「…………!!」

リオレウス「登ってくる……!!」


ズルズル……ズルズルズルズルズルズルズルズルッッ!!!


???「訪問者とは……実に久しい」


リオレウス「………おっ、お……おおおおうっ!!」

リオレウス「(千剣山とほぼ同じ大きさ……!?)」

シャガル「…………!!」

???「………初めて見る顔だ」

シャガル「はい……!我々は、塔学校で教師をさせていただいている者で……」

シャガル「シャガルマガラと、リオレウスと申します」

リオレウス「……!………!」ペコペコ

???「なるほど……ふむ、精悍な顔つきだ」

シャガル「貴方様は……ダラ・アマデュラ様でお間違いないですね?!」

226: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:31:51 ID:kl9
???(アマデュラ)「……いかにも。ダラ・アマデュラとは私の名だ」

アマデュラ「遠い地より、よくぞ参った」

リオレウス「あ、ああアマデュラ様……!!ほ、本当に……!(ちびりそう!)」ペコペコ

アマデュラ「何も驚くことはない。そう緊張するな」

シャガル「アマデュラ様……まず貴方様にお伝えしたいことが……」

アマデュラ「ふむ?」

シャガル「貴方様の教え子であり、塔学校の副教頭だったアマツマガツチ様は……4ヶ月前に亡くなりました」

アマデュラ「……うむ、やはりそうか」

アマデュラ「微睡みの中で……遠い空に嵐が生まれ、そして消えたのを感じた」

アマデュラ「教え子に先立たれるなど、私としては非常に残念だ」

シャガル「……心中、お察し致します……」

アマデュラ「アマツマガツチ……可哀想な子だ」

アマデュラ「嵐の中で生まれ、嵐の中で死んだ……」

アマデュラ「あと1000年は生きられた」

アマデュラ「……死んだ原因もわかる。私が追放したはずのオストガロアが、猛威を奮ったからだろう?」

シャガル「……はい」

アマデュラ「……悪いことをした。私を恨んでいるだろう」

シャガル「……アマツ先生の本意は、分かりかねますが……」

アマデュラ「そうだな、すまない。余計なことを言った」

シャガル「い、いえ!そんなつもりは……」

アマデュラ「構わぬ。……それで、今回はどういった経緯でここにやって来たのだ」

227: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:32:45 ID:kl9
シャガル「はい、塔学校の元生徒が死に、それは伝説の『黒龍』が蘇る前兆であると聞き……」

アマデュラ「……黒龍……何処でその名を?」

シャガル「ダレン・モーラン校長たちより、聞きました」

アマデュラ「……1000年間、隠してきた存在だ」

リオレウス「我々は黒龍に立ち向かうべきだと考えています。しかし、我々二人だけではどうにもできません……」

シャガル「校長たちのお力をいただきたかった……しかし、神に逆らっても無意味と言われてしまい……」

シャガル「……ただ世界の崩壊を待て、と」

アマデュラ「……黒龍に立ち向かうとは……私ですらも諦めていたことだ」

アマデュラ「……しかし、心強いな。貴殿らの力があれば、世界の崩壊を阻止することができるやもしれぬ」

リオレウス「で、ではアマデュラ様……貴方様のお力添えを頂けるのでしょうか?」

アマデュラ「無論である、力を添えて貰うのはむしろ私のほうだ。感謝を致す」

シャガル「いいえ、そんな……!」

アマデュラ「ダレン・モーランも、私も……年老い、消極的であった。考えに若さが足りなかった」

シャガル「……黒龍とは、本当に神なのでしょうか……?」

アマデュラ「そのようなことはない」

アマデュラ「……確かに強い。私も若い頃、彼奴に痛めつけられたものだ」

アマデュラ「だが命の底の存在する、一介のモンスターに過ぎぬ」

リオレウス「……!」

アマデュラ「己を神と呼ぶ、実に愚かな者だ」

アマデュラ「世に神など存在しない。この私も等しく、神などにはなれやしないのだ」

シャガル「………では、大きな力が集まれば……黒龍の討伐も、現実的ということですね?!」

228: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:33:25 ID:kl9
アマデュラ「いかにも。貴殿……シャガルマガラと言ったか」

アマデュラ「貴殿の心を理解した。若き教師よ、ダレン・モーランたちの考えも改めさせ……共に黒龍を討とう」

リオレウス「(やった!)な、なんと礼を申したらよいでしょうか……!」

アマデュラ「礼など不要。では私の背中の剣に掴まるがよい」

シャガル「!」ガシッ

リオレウス「掴まる……?」ガシッ

アマデュラ「振り落とされるでないぞ」


ブワッ!!!

ヒュルルルルルルルルルル!!!!


リオレウス「お、落ちてるーーーーー?!」ビュウウ……

アマデュラ「如何にも。私には翼などない!ただ落ちて行くのみ」

ビュオオオオオオオオ!!

シャガル「完全に自由落下だ……しかし、何よりも早い!そのお身体の大きさと力では……!」

リオレウス「(自分で降下するより怖いーーー!!)」


ビュオオオオオオオオオオオオ………

229: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:34:53 ID:kl9
------更に数分後、塔学校・校長室(古塔近くの砂丘)------



ダレン「……うーーーーーーーーーーーむ……」

ダレン「………また、ババを………ゲフッ、ゲフンッ」

ジエン「フォッフォッ、いつまでもババ抜きは弱いぬ……」

ジエン「ゲフンッ、ゲフンッ!……ズズズ……」



……ズドォォォォォォォォォォォオオオオン!!
ギャー……



ダレン「?!………何だぬ?!」

ジエン「何か聞こえたかぬ……?ぬーーーーん。それより……次は7を並べよう……カードを切れ」


アマデュラ「随分、愉快な様子だな」

ダレン「……!!!ゲ、ゲフッ!!ゲフゲフ!!あ、アマデュラ様???!」

ジエン「んぬーー……アマデュラ様……???」くるっ

ジエン「……フォーーーーー?!!ゲフンッ!!アマデュラ様……!!」


シャガル「レウス先生。しっかりなさってください」ズルズル……

リオレウス「……衝撃が強く……こんな移動の仕方は初めてで……」フラフラ


アマデュラ「その者たちから話を聞いた。貴様らも私も、実に消極的であったな」

ダレン「は、はっ……黒龍の……ことでございましょうか……?」

アマデュラ「如何にも。我々に必要なのは、恐れを知らない心だとは思わぬか?」

ジエン「ぬぅん、ご冗談を……アマデュラ様ですら……完全なる勝利を収めることのできなかった相手を……」

ジエン「恐れるなというのは……無理難題ですぬ……」

アマデュラ「…………」

230: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:35:51 ID:kl9
シャガル「……『完全なる勝利』……?」

リオレウス「ひ、引き分けということでございましょうか」

アマデュラ「………うむ……そう表現すれば、聞こえはいいな」

アマデュラ「黒龍の唯一の目的は、世界の破壊と再生だ」

アマデュラ「1000年前……彼奴は世界の生物の醜さに耐え兼ね、世界を破壊しようと企てた」

アマデュラ「再び、己の支配できる世界を創ろうと……」

アマデュラ「まず西の果ての地に降り立ち、破壊を開始し、多くの生物がその破壊を嘆き、阻止しようとした……」

アマデュラ「私も彼奴に対抗する立場であった。しかし……彼奴の力は甚だしい。彼奴を完全に鎮めることはできなかった」

リオレウス「それほどの力を持つ、黒龍……」

アマデュラ「彼奴は言った。『1000年待つ』と」

アマデュラ「1000年間、生物の醜さが消えぬのなら、再び天より降り立ち、世界を破壊させるという思惑だ」

リオレウス「……その、『生物の醜さ』とは、具体的にはどのようなもので……?」

アマデュラ「欲だ」

アマデュラ「……全ての生物に共通するものは、己の欲求を満たそうとする本能だ」

アマデュラ「……例えば人間には高度な知能があり、理性というものによって本能を抑えることが可能」

アマデュラ「しかしそれ以外の生物に理性などほとんど無い。……人間にすらも、理性の薄い者がいることもある」

アマデュラ「それが、黒龍にとっての『生物の醜さ』である」

231: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:36:48 ID:kl9
シャガル「(……ラージャン、イビルジョー、オストガロア……)」

シャガル「……もう、その日より1000年が経ち……黒龍の求める世界にはならなかったが故に、復活するということでございますね……?」

アマデュラ「そうであろう。私は復活を阻止すべく、理性もつ者たちの学校を設立した」

アマデュラ「だが……到底及ばなかった。いつしか黒龍を討とうという心も薄れ、ただ諦めてしまっていた」

ダレン「…………」

ジエン「…………」

アマデュラ「……黒龍の言い分も全く理解出来なくはない。欲とは、醜さだ。しかし、この世界から醜さが消えることはない」

アマデュラ「全ての欲は、見方を変えればこの世を生き抜くために必要なものだ。……私から見れば黒龍ですらも、己の理想の世界を創るという、あまりにも子供じみた傲慢な欲にまみれた醜い生物」

アマデュラ「……彼奴はこの世にとっての毒だ」

アマデュラ「モーランの兄弟よ。この2名の若き教師が、黒龍に立ち向かおうとしている」

アマデュラ「その熱き思いに応えようではないか」

ダレン「………うーーーーむ……我が師よ……貴方様の言葉には……逆らえませぬ」

ジエン「……ぬん……しかし……我々5名のみで……?」

232: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:37:34 ID:kl9
シャガル「いえ………兵を出しましょう」

一同「!」

シャガル「力強い友がいる」

シャガル「……私どもの生徒たちも、必ず立ち上がってくれることでしょう」

リオレウス「そ!……そうですね……!!私の生徒……メインモンス科の者たちも!!」

アマデュラ「……メインモンスター……強き者の称号……」

シャガル「……生徒たちに出撃要請をさせてくださいませんか!!」

シャガル「そのためには……あなた方の許可が必要なのです!!」

シャガル「責任は、全て私が取ります!!」

ダレン「む、むう……しかし……」



???「私の生徒たちも……必ず立ち上がってくださいます!!」


一同「??!!!」


シャガル「リ………!!」

リオレウス「リモ先生………?!」


???(リモセトス)「……雑魚科の生徒も、やるときはやるのであります!!!」

233: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:38:13 ID:kl9
------ほぼ同時刻、古代林・ディノバルドの巣------



冥ラギア「………うーーん……これがなァ……」

ディノバルド「………難解ですね」

冥ラギア「でも、もう少しなんだよな……」

ディノバルド「どう解釈すべきか、言葉が難しい」

冥ラギア「は、始まり……かな?」

ディノバルド「始まりというのも、どうも……」

ディノバルド「源、とかがいいかもしれません」

冥ラギア「うーん確かに……『終焉』の詩は、新たな生命を世界の再生の原動力にする……みたいなことも書いてあるしね」

ディノバルド「……全ての、源……始祖?」

冥ラギア「……うん!いいね」

冥ラギア「……そ……祖龍……?」

234: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:39:00 ID:kl9
------ほぼ同時刻、ギルド総本部・刑務所厨房------



料理長「新入り。休憩ニャ」

料理長「少し遅いが昼メシにしよう」

ニャンター「…………」


カチャカチャ……コトッ


料理長「この厨房にいるのは、俺以外は人間だからニャ」

料理長「アイルーの新人が入ってきて嬉しいニャ」

ニャンター「………」パクパク……

料理長「それにしても、しくじったニャ~、お前」

料理長「せっかくモンスターの言葉が話せるのに、ギルドにバレちまうニャんて」

料理長「アイルー史上初ニャ、バレたのは」

ニャンター「……料理長は、話せニャいのニャ……?」

料理長「話せるわけニャいニャ!話せたら、こんニャ場所に就職してニャい」

料理長「百万人に一人の天性の才能であるのに……それを商売にしニャいニャんて、もったいニャいニャ~~」パクパク

料理長「モンスターの言葉が話せるのにオトモやハンターをやる奴ニャんて、お前くらいニャ」

ニャンター「……商売?」

料理長「例えば翻訳の仕事は儲かるニャ~。ただ、人間にモンスターの言葉が話せることがバレたら大変ニャ」

料理長「かなりグレーな仕事ニャ~~でも儲かるニャ~~」

ニャンター「……何故オレは、処刑も逮捕もされニャいニャ……?」

料理長「決まってるニャ!!お前の友達からの報復が怖いし……」

料理長「イザというときに、使えるかもしれニャいからニャ~~」

ニャンター「イザ……」

ニャンター「……どんな時ニャろう」

235: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:39:41 ID:kl9
------戻って、塔学校・校長室------



リモセトス「私は、自分の生徒たちが心のうちにフラストレーションを抱えていることを自覚しました」

リモセトス「ただの弱者ではない、必要な時が来れば戦うこともできるのです!!」

リモセトス「今がその時……昨日の職員会議で話された黒龍の復活について考え、雑魚科の他の先生方と相談し、今日ここへやって参りました」

リモセトス「……ですよね?」

大雷光虫「間違イ無イデス」フヨフヨ

ガーグァ「クコケェーーーー!!そーーーーーーです!」


アマデュラ「ふむ……なんと尊い決意であろうか」

ダレン「うむ……そ、そこまで言われては仕方あるまい」

ダレン「アマデュラ様……黒龍の復活とは、もう……近いので?」

アマデュラ「近い。今この瞬間に復活したとしてもおかしくない」

リオレウス「……今復活しようがしまいが、早いうちに黒龍を討ったほうが良いですよね!」

大雷光虫「ソウ思イマス」フヨフヨ

シャガル「急がねば……!生徒たちに矢文を送ります!!」

236: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:40:13 ID:kl9
------数分後、雪山------



ティガ「いやもうちょっと、ラギアは鼻の穴がでかい」

ティガ「貸してみ!俺が描く」カリカリ

ガムート「ラギア君の顔、難しいね。ライゼクス君の顔は上手く描けたのに」

ティガ「ライゼクスはもっと吊り目!」カリカリ

ガムート「(……なんで今度は雪にみんなの似顔絵を描いているのかな……)」

ガムート「(楽しいけどっ!!)」ドキドキ……


矢文アイルー(緑)「ティガレックス様~、ガムート様~」ピョコピョコ

ティガ&ガムート「?」

矢文アイルー(緑)「学校から矢文ですニャ!」

237: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:40:44 ID:kl9
------ほぼ同時刻、孤島------



ラギア「キリンちゃんにも来たね?」パサッ

キリン「学校お休みなのに、なんで矢文が……」パサッ

ラギア&キリン「…………」

ラギア「………アツイ展開来た!!!」

キリン「どっ、どうしよう!!これ、ラギア君がさっき言ってたことだよね……?すぐ行かなきゃ!!」


ブラキ「おーーい!!ラギアーーーー!!」ドドド……

238: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:41:50 ID:kl9
------ほぼ同時刻、未知の樹海------



ゴマ「フーーフフフフフッフッフ、黒き龍の降臨とな」パサッ……

ゴマ「小生、そういうの好きです……」

ゴマ「しかし一人では、正直かなり心細い」

ゴマ「友を……フッフッフッ、お呼びいたしますか……」

ゴマ「……『視力と性別に捉われぬ者の集い』のメンバーも連れていくのです!」カッ!!


ギギネブラ「ゴマっちにも矢文来たの?なんか自分のところにもグラビ先生から矢文来たよ」ペタンペタン

ゴマ「……ギギネブラ殿、遊びに来ていたのですね」

ギギネブラ「フルフル閣下もだよ」

フルフル「こんにちは、ゴマさんの巣。しかしすぐにさようならですね」フゴフゴ

フルフル「わたくしの元にも矢文、来ました」

239: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:42:29 ID:kl9
------ほぼ同時刻、森丘の上空------



ライゼクス「レウス先生と黒グラビ先生が呼んでる!!!」バサッ

桜レイア「チョーーヤダ!!クスクス、ホントに行くの?!」バサッ

ライゼクス「俺は行くぜ!!男前だからな!!」

桜レイア「確かに男前?」


蒼レウス「ライゼクス氏ーー!!拙者も同行するでござる~~」バサッ、バサッ

ライゼクス「おーー蒼レウス!!お前も男前だな!!」

桜レイア「ど・こ・が!!ジャマしないでよ!!キック!」バサッ!!

蒼レウス「なら桜は帰ればいいでござる!!拙者をジャマ者扱いしないで欲しいでござる!!キック返し!」バサッ!!

ギャーギャー……

240: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:43:51 ID:kl9
------ほぼ同時刻、渓流------



ミツネ「何も味方は僕たちだけじゃなかった」パタパタ……

白ラギア「そうだね……!学校が直々に、戦う意思を表明してくれた!!」パタパタ…

ミツネ「最低でも、メインモンス科と魚海竜科か……心強いね」パタパタ



ジンオウガ「大丈夫だって~絶対いるよ!俺にも来たんだし」ドドッ、ドドッ

獄オウガ「そうかな?!ラギアパイセンに会ったらどうしよう!!」ドドッ、ドドッ

獄オウガ「兄ちゃん!!ラギアパイセンって死ぬほどかっこいいよな!!」

ジンオウガ「獄もじゅーぶん、かっこいいよ~」


ミツネ「ジンオウガ君!」

ジンオウガ「あっ、ミツネーー!なんかヤバそうだね~」ニコニコ

ジンオウガ「わっ、白ラギアさんだ……」

獄オウガ「ミツネパイセンと……ラギアパイセンのイトコさん!!」

白ラギア「よく知ってるね……あなたたちも行くの?」

ジンオウガ「俺たち二人とも矢文来てね~ヤバそうですごく怖いんだ~」

ミツネ「獣牙竜科にもか……これはもしかすると……生徒全員に、招集かな……」

241: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:45:04 ID:kl9
------ほぼ同時刻、密林------



クシャル「なるほど」パサッ

クシャル「……行くか。試験勉強どころではない」バサッ、バサッ……

クシャル「(脱皮しない方が良かったな……)」バサッ、バサッ……



翠トトス「なんなの、この矢文!」

ガノトトス「よくわからないが、ハプル先生が呼んでいるんだ」

ガノトトス「俺たちも行こう」

翠トトス「兄貴だけ行けば!ウチ、こんなの知らないからっ……あら?」

翠トトス「あの飛んでる人も、塔学校の人かしら……?」

ガノトトス「ああ。あれはクシャルダオラだ、メインモンス科の強い奴」

翠トトス「……ちょーーーイケメンじゃん!!ウチも行く!!」

242: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:45:40 ID:kl9
------同時刻、樹海------



ナルガ「ベイビー、君の美しさで俺の尻尾は最大に伸びたよ」

ナルガ「……違うな」

ナルガ「ベイビー、君はいつでも俺を見つけられる。赤く光る瞳を道標にね……」

ナルガ「……いいかも。ベイb」

緑ナルガ「あんちゃーーーーーん!!矢文ーーー!!!」

ナルガ「なんだよ!!ナンパの練習してんだから邪魔すんじゃねーー!!」

緑ナルガ「もうナンパなんてできないかもよ!!」ずいっ

ナルガ「?」パサッ……

ナルガ「………確かにもうできないかも」

243: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:46:35 ID:kl9
------ほぼ同時刻、地底火山------



ガルルガ「ベストフレンドーーーーッ!!アグナーー!!」バサバサ……

アグナ「おーガルルガ……お前にも担任から矢文きたのか」

ガルルガ「そう!!スーパーレディ・青クックから来たんだよ!」

アグナ「学校がわざわざ生徒を招集して、この……伝説の黒い龍?と戦うなんて、何考えてんだ」

ガルルガ「だよな!でもオレっちたち、ここのところスーパーダサいじゃん?!」

アグナ「……」

ガルルガ「だからここで大活躍して、パープル・ガールのハートを再び射止めたい!!」

アグナ「……そう簡単に行くかー?」

ガルルガ「大丈夫!!オレっちたちには、ディノバルドが商人アイルーから仕入れたという最強兵器があるだろ?!」

アグナ「……ああ……リークしたときに、商人アイルーから一応買っておいたアレか」

ガルルガ「神の『フライパン』!!」

ガルルガ「ディノバルドがコレでイビルジョーを瞬殺したっていう、サイキョーの兵器だぜ!!だから大丈夫!!」

アグナ「……そうだな!!俺らの汚名を挽回してやるか!!!」

244: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:47:11 ID:kl9
------戻って雪山・麓------



ポポ「…………」パサッ

ポポ「………………」

ガウシカ「ポポ!これ……どういうことだろう」

ガウシカ「俺たち、ただの雑魚科なのに……先生からいきなり招集って」

ガウシカ「……どう思う?!矢文に書いてある黒龍とやらが来るなら、俺たちの出る幕なんてないんじゃ……」

ポポ「…………」くるっ

ドス、ドス、ドス……

ガウシカ「お、おーーい!ポポ、お前学校行くの?!」

ポポ「……………うん……」ドス、ドス……

245: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:48:53 ID:kl9
------約90分後、塔学校・校庭(塔を挟んで校長室の反対側)------



ザワザワ……ザワザワ……
ギャーギャー……
ザワザワ……


シャガル「……お、驚いた……!まさかこれほどの人数が集まるとは……」

リオレウス「リモ先生のように、他の先生方も各自で考えて行動してくださったなんて……」

グラビ「当然です!!やはり昨日の校長たちの意見には賛成しかねますから」

黒グラビ「(……俺は、兄上たちに説得されてほぼ無理矢理やらされたみたいなものですけどね……)」

青クック「(ひそっ)アカム副教頭たちは……?」

リオレイア「(ひそっ)何もしないですよ……ヤマツカミ理事長も何もしないわ。校長と教頭が動いたのに……」

青クック「(ひそっ)あらぁ~~……」


リオレウス「メインモンス科と古龍科は全員……」

グラビ「飛竜科は6名中5名、飛竜亜種科は9名中7名!」

ハプルボッカ「魚海竜科は11名中~~、7名来てくれたわ~」

宝纏「すいません……獣牙竜科は7名中3名です……」

シェンガオレン「3名もいるだけいいよォ~うちなんか1名だけ!」

紅兜「さすがに全員とは行きませんでしたが、全校生徒の6割ほど集まってくれていますね……」

246: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:49:30 ID:kl9
------同時刻、塔学校・校長室------



ダレン「先生方が……まさか全員やってくるとは……うーーーむ……予想外……」

ジエン「いかにも……」

アマデュラ「素晴らしい。全て教師陣の信頼の賜物だ。これほどまでに力強い生徒たちがいたなど」



アマデュラ「…………!!」バッ

ダレン「アマデュラ様……どうされたので……?」

アマデュラ「…………時か」

247: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:50:09 ID:kl9
------旧大陸、西の地------





ゴゴゴ……ゴゴゴゴ……


黒龍「………」ユラ……

黒龍「死と生」

黒龍「静と動……」

黒龍「……破壊と創造」



黒龍「……余は、神である」


ゴゴゴゴ………

248: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:51:06 ID:kl9
------数十分後・人間居住地域、ギルド総本部------



総本部役員「君はお茶汲み係の新人かね?」ズズズ……

総本部役員「見目麗しいね~。明日からおやつも持ってきてよ!」



バタバタバタバタ………

総本部スタッフ「非常事態です!!非常事態ですーーーー!!!」バァン!!バタバタ……

総本部役員「何だ!!」

総本部スタッフ「ひ、ひ、東の、旧シュレイド城に異変です!!」

総本部役員「あの廃墟がなんだ!!」

総本部スタッフ「信じられません……!!!しかし、どう考えても、アレは、アレです!!!!」

総本部役員「簡潔に言いたまえ!!クビにするぞ!!」

総本部スタッフ「み、ミラボレアス!!!黒龍ミラボレアスが出現致しました!!」

総本部スタッフ「シュレイド地方の上空には、暗雲が立ち込め……巨大な龍の姿が確認されます!!」

249: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:51:56 ID:kl9
総本部役員「ミラ……?!本当にあの黒龍か?!よく確認しろ!!」

総本部スタッフ「致しました!何度も確認した上で断定致します!!間違いございません、黒龍ミラボレアスです!!」

総本部役員「そんな……!あいつは1000年間大人しくしてたんだぞ!!」

総本部役員「1000年間、隠し続けてきた!!……何名が、あいつの出現を知った?!」

総本部スタッフ「観測員や総本部の上層、私と貴方様を含め18名です!!」

総本部役員「……君、いまの話は聞こえたかね?」

お茶汲み係「何も聞こえていません」

総本部役員「……18名だな!……今すぐ全世界に非常事態宣言だ!!避難勧告を出せ!!」

総本部役員「ハンター……G級ハンターを呼べ!!腕の立つ奴だ!出来るだけ少人数にしろ!!」

総本部スタッフ「はい、すぐに!!……あ、あとミラボレアスの他にも……」

総本部役員「他にも、なんだ!!!!」

総本部スタッフ「ガブラスの大群です!!」

総本部スタッフ「……軽く見積もっても一万匹はいるかと!」

250: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:52:53 ID:kl9
------約五分後、ギルド総本部・刑務所厨房------




ウゥーーーー……ウゥーーーー……

料理長「ニャッ?!さ、サイレン?!」

料理人たち「?!」

ニャンター「………?」


『ギルド総本部より、非常事態宣言を発令致します』

『当地域に、未確認モンスターの襲来が予想されます』


ザワッ!!

ニャンター「!!!」

ニャンター「(………来たニャ!!)」

料理長「ニャーーー!!ニャんだ、突然!!ヤバイのニャ?!」


『市民の方は、最寄りのシェルターへの避難を……』


バァン!!


職員たち「全員地下シェルターへ入れ!!我々が誘導する!!」

251: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:53:31 ID:kl9
料理長「シェ、シェルターなんてあったのニャ?!」

料理長「行こう!!新入り、急ぐのニャ!!」ピョコピョコ…

職員たち「お前は避難するな!」

ニャンター「??!」

職員たち「お前にはこれより高速飛行船で、旧大陸のシュレイド地方へ向かってもらう!!」

ニャンター「シュレイド……?!」

料理長「高速飛行船って、各ギルドが1ヶ月に一隻しか出せニャいやつニャ……?」

職員たち「そうだ!!早くしろ!」

ニャンター「ニャにが現れた?!」

職員たち「……黒龍ミラボレアスだ」ボソッ

ニャンター「(『ミラボレアス』……!!)」

252: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:54:48 ID:kl9
------ほぼ同時刻、塔学校・校庭------



ざわ……ざわ……


黒ティガ「……オイ!お前に矢文で言われたカバン、持ってきてやったぞ!」ずいっ

ティガ「黒兄!!……サンキュー」

ラギア「黒ティガさんだーー」

黒ティガ「この騒ぎに、こんなモンがなんだっつーんだよ!」

ティガ「……大事なものが入ってんだ」

黒ティガ「どーでもいいけど、なんでお前のほうが俺よりも前線なんだよ!!ナマイキ!!」

ティガ「しょーがねーだろ!メインモンス科なんだからよ!!」




ナナ・テスカトリ「これで黒龍を仕留めたら、評価が上がるかしら」

テオ・テスカトル「君はもう十分すぎるほどの高評価だよ」

オオナズチ「あ!ガムちゃんだ~~わーい!」ぶんぶん

キリン「古龍科とメインモンス科が、最前衛ってことになってるね」

ナナ「それより、やっぱり学校を辞めてしまったラオ君は来ないのね」

紫キリン「そうだな、彼の力を借りられれば容易いだろうに」

キリン「……(先生、ラオ君のことは隠すつもりなのかな……)……」

253: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:55:51 ID:kl9
紅ガノス「みどち、前の方にミツネ君いるよ」

翠トトス「うん……それよりもあの、少し離れた位置にいるなんとかダオラって人がかっこいい」

白ラギア「(今度はクシャルダオラ君……?)」

ドスガレ「ねぇねぇ、黒龍って高い音とか出すと思う?」



ガルルガ「パープル・ガール!なんて気高いんだ!」

ガルルガ「こんな非常事態にやって来るなんて!」

ガルルガ「オレっちがパープル・ガールを必ず守るからね!」

紫ゲリョス「…………」プイッ!

ガルルガ「オー、クールだね!!」




ポポ「…………」

アプケロス「……俺たち、やっぱ一番後ろか……」

ズワロポス「そりゃそうだろ、むしろなんで呼ばれたんだか……俺たちは弱いのに」

ムーファ「まあ、うちのクラスは半分くらいしか来てないけどね……」

ポポ「………き、きっとリモ先生が」

一同「?」

ポポ「リモ先生が、わかっ、わかってくれた」

ポポ「僕たちも、た、戦えるって………」

254: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:58:05 ID:kl9
ザワ、ザワ……

シャガル「……これより移動を開始する!皆々、静まってくれ!!」

ライゼクス「……移動って、どこに……?」ぼそっ

シャガル「目的地はここから西の地、シュレイド地方だ!!」

ザワッ!!

ミツネ「シュレイド地方……?またえらく遠いね」

ガムート「どうしよう、私走るの速くないのに……」ドキドキ

シャガル「長距離飛行が不可能な生徒・教員には、特殊な手段をもって移動してもらう!」


ティガ「……なんだ?」ぼそっ

ラギア「……打ち上げ花火につかまって飛んでくとかじゃね?」ぼそっ

ジンオウガ「えー俺、熱いの嫌だな……」ぼそっ

255: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)21:59:02 ID:kl9
シャガル「偉大なる協力者を紹介する!」

シャガル「……この度私の言葉を聞き、この場へ来てくださった……我々の恩師!!!」



ブラキ「恩師?」

ナルガ「なんだべ」



シャガル「『蛇王龍ダラ・アマデュラ』様だ!!!」

どよっ!

ざわざわ……


ズズズ……ズルズルズルズル……


アマデュラ「……少し、紹介の仕方が大仰ではないかね……」ヌッ!!


生徒一同「「!!!!!!」」


ミツネ「な………!」

ガムート「あ……!!」

ティガ「う………!!!」

ラギア「ど………!!!!」

ライゼクス「え………!!!!!」


生徒一同「「……ええええええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーー!!!!!!」」

ギャアアアアアアア……

256: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)22:00:26 ID:kl9
ブラキ「なん……?!え?!どーなってんだ?!」

ジンオウガ「こ、校舎を挟んで向こう側の砂丘にいるのに……」

ナルガ「顔がこっちから余裕で見える?!」

蒼レウス「おおおおおお……なんという大きさか!!!拙者史上、最も巨躯でござる!!」

ゴマ「フフフ……小生、泣きそうです……」

ザワザワザワッ!!



アマデュラ「当然ながら、初めて会う者ばかりだな。……貴殿らに礼を述べる!!」

アマデュラ「黒龍を討たんと、この場に集まってくれたことに」


ライゼクス「……ちょっとラギアと顔似てねぇ?」

ラギア「え……そんなこと言われてもどうリアクションすればいいかわかんねーよ……」


シャガル「見ての通りの身体の持ち主でいらっしゃる!!!!よってアマデュラ様の背中の剣に掴まり、移動をしていただく!」


ザワザワッ!!!


ガムート「!!!そ、そんな無茶な移動手段が……」

ミツネ「すごい……あの方が、オストガロアを追放した先生だよ……まさか本当にいらっしゃるなんて」

ガムート「ええ!!あの方が……。……先生たちが呼んだのかな……」


シャガル「メインモンス科から順に背中にお乗りしろ!くれぐれも失礼のないようにな!」


ジンオウガ「背中に乗る時点でめちゃめちゃ失礼な気がする……」

ブラキ「何考えてんだシャガル先生……」

258: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)22:02:10 ID:kl9
リオレウス「聞いた通りだ!速やかに行動しろよ!」

ガムート「私乗って大丈夫かな……おっ、重いのに……」

ミツネ「いやーーー、アマデュラ様からしたら、ガムちゃんなんて紙切れ一枚くらいの軽さじゃないの」

ガムート「やだっ!ミツネっちったらそんなお世辞……//」

ミツネ「別にお世辞のつもりはないよ」


ザワザワ……


ラギア「で、でっけぇーーー……」よじよじ

ジンオウガ「背中広ッ!」よじよじ

ライゼクス「いいなーティガ!背中乗れて!」バサッ、バサッ…

ティガ「俺、長距離には向いてないからな!」よじよじ

ナルガ「俺もだ」よじよじ


ザワザワ……


リオレウス「……全員乗ったか!」バサッ、バサッ

シャガル「長距離飛行が可能な者は我々が先導する!!常に最高速度を保つように!」


蒼レウス「最高速度って……」

ゴマ「……フフフ……小生たち、大変」


アマデュラ「では参ろう」ズズ……

アマデュラ「先に失礼する」

シャガル「はい!早急に追いつきますので!!」

アマデュラ「………」コクッ

259: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)22:03:35 ID:kl9
ガムート「追い付く、って……シャガル先生たちはすぐ出発しないのかな?」ドキドキ

ミツネ「ね。なんでだろ?」

ティガ「おっ!見ろよ、校長たちが砂に潜ったぜ!」

ジンオウガ「校長たちはどーすんのかな?」

ラギア「どーせなんもしねェだろ」


アマデュラ「決して振り落とされることのないようにな!」

ブワッ……

一同「!!!!???」


ブラキ「うお!!ジャンプした……!」


ダレン「…………ゆくか」

ジエン「………ぬーん……」

ギャオオオオオオオオオーーーーーン………
ザッパァーーーーーン!!

ミツネ「校長たちが飛び出してきたっ!」

アマデュラ「……礼を言う!」ガッ!


ブワッ!!


一同「!!!!!!!!!!」

ビュオオオオオオオオ……

ガムート「きゃーーーーーーーーーーーー!!!」ビュウウ……

ラギア「なにこれ!なにこれ!!なにが起きてんの!!」ビュウウ……

260: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)22:05:04 ID:kl9
ミツネ「……アマデュラ様が一回ジャンプして、更に校長たちがアマデュラ様を上に押し上げて……」

ミツネ「そのまま上空まで一気に上がってるんだよ……」ビュウウ……

アマデュラ「如何にも!!私には翼がないため、このような手段を取った!」

アマデュラ「最高高度に達したら、あとは落下していく!!」

ギャアアアアアアア……

ティガ「それ意味ない気がするーーー!!」ビュウウ……

アマデュラ「いや、可能な限り緩やかな放物線を描いて、着地するのはシュレイド地方を予定している!安心されたし!!」

ガムート「よ、予定ーーー?!」

ギャアアアアアアア……

アマデュラ「到着は半刻ほど後だ!」

ミツネ「たしかにこのスピードでは……シャガル先生たちが同時に出発しても到着がズレるわけだ……」

ラギア「30分も落下すんのかよ!!生まれて初めてだーー!!」

ギャアアアアアアア………



シャガル「ボーッとするな!我々も出発するぞ!」バサッ、バサッ!!

ライゼクス「……すっげーの見たな……」バサッ…

蒼レウス「拙者、翼を持っていて良かったと感じるでござる」


バサッ、バサッ、バサッ……

261: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)22:06:37 ID:kl9
------ほぼ同時刻、高速飛行船上------



ゴゥン……ゴゥン………

総本部役員「……まさかミラボレアスが復活したなんてな」

総本部役員「君、もしかして知ってたの?」

ニャンター「……いや、確信には至っていニャかった」

ニャンター「しかしラオシャンロンが街に進行したことの背景には、恐ろしい何かがあるとは感じていたニャ」

総本部役員「……そう」

ニャンター「……どういった理由で、オレはシュレイド地方へ向かうのニャ……?」

総本部役員「決まっている。君に説得していただく」

ニャンター「……説得?!」

総本部役員「もちろん少数精鋭のハンターにも出撃要請を出した。でも、それだけでは不安じゃないか」

総本部役員「モンスターの言葉を理解する君がミラボレアスを必死に説得してくれたら、もしかすると……ね?」

ニャンター「(……フザケた男ニャ……そんな方法、通用するわけニャいニャ!)」

総本部役員「……それに……君は最近までハンター資格があったから、一応戦力としても使えるしね……」

ニャンター「…………」

262: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)22:09:10 ID:kl9
------同時刻、古代林・ディノバルドの巣------



ディノバルド「……黒龍の復活が確定ならば……」

ディノバルド「世界を破壊し尽くしたのちに、その黒龍は『祖龍』となり」

ディノバルド「……生まれたばかりの命を原動力に、新たな世界を創造する」

冥ラギア「……うん、そういうことになる……」

ディノバルド「……具体的に、どう原動力として使うのでしょうか」

冥ラギア「…………」

冥ラギア「……食べる……とか?……」

ディノバルド「………冥さん。……まずいです」

冥ラギア「…………卵……!大ちゃん!!」

263: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)22:10:35 ID:kl9
------数分後、落下中のダラ・アマデュラの背中------


ビュオオオオオオオオ……

ラギア「ちょっと慣れた!」

ガムート「そうだね……相変わらず、すごいスピードだけど」

ミツネ「不思議な安心感すら出てきた気がする」

ティガ「それにしてもデケェよな……すいませーーーん!体長何メートルですかーーー!!」

アマデュラ「うむ、440メートルほどだ」

ナルガ「うわ……」

ラギア「俺が10人並んでも足りねぇ……」

ブラキ「ラギアも相当デカイ……っつーか、長いけどな」

ミツネ「ラギア君は何メートルだっけ?」

ラギア「30メートル」

ティガ「チビ!」

ラギア「うっせー!20メートルも無い奴に言われたくねーよ!」

ジンオウガ「アハハ!アマデュラ様に比べればみんなチビだよ~」

ビュオオオオオオオオ……

264: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)22:12:30 ID:kl9
------数十分後、未知の樹海・冥ラギア家------



子供たち「……zzz」すやすや

大ティガ「みんな良く寝てる……」

大ティガ「(冥たちが解読した、黒龍伝説……)」

大ティガ「(世界を破壊し、再生する『神』)」

大ティガ「(……ラオ君は確かに亡くなったようだけど……黒龍の復活なんて、完全には信じられない……)」

大ティガ「(……子供たちもまだ生まれたばかりなのに、そんなものが復活してしまったら……)」


……………ピシッ……………


大ティガ「?!」

ピシピシッ……ピシッ……

大ティガ「卵!……よかった、最後の一個が……」

大ティガ「やっと孵ったのね……パパは不在だけど、私がママだよーー!!」ドキドキ


クルルルル……

大ティガ「わ、女の子……ティガレックス種だわ」

大ティガ「……可愛いわね……」


……ドスン!!!!


大ティガ「!!」ビクッ……

子供たち「!!!」パチッ

265: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)22:14:18 ID:kl9
黒龍「…………」

ガブラスたち「ギャーーッ!ギャーーッ!」バサバサ……

黒龍「…………」

子供たち「……ギャアアーーーン!!」

大ティガ「……なに?!いきなり近くに来て、驚くじゃない……」

大ティガ「(……龍だ……見たこともない、真っ黒な……)」

大ティガ「(冷たい目……私を見下ろしてる……)」

黒龍「……貴様の赤子か」

大ティガ「………!」ゾクッ!

大ティガ「(なんて恐ろしい声……地響きみたい)」

大ティガ「……そうよ」

大ティガ「(龍の周りを飛ぶ、ガブラスの大群……)」

大ティガ「まさか?!」

黒龍「よい、頂戴する」グワッ!!

子供たち「ウワアァーーーーン!!」

大ティガ「あっ?!や、やめて!!」

266: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)22:16:24 ID:kl9
ガブラスたち「ギャーーッ!ギャーーッ!!」

大ティガ「ちょっと!!!子供たち返して……!!!」

黒龍「……」バサッ、バサッ……

大ティガ「返してーーーーーー!!」


シュン……

大ティガ「消えた……!ど、どうし、どうしようっ」

大ティガ「こっ、子供たち取られちゃった、冥っ、冥ーーーーーーーー!!!」




………バタバタバタバタ………

冥ラギア「………ん……ちゃん………」

バタバタ……

冥ラギア「…………大ちゃん!!!!」

ディノバルド「…………!」バタバタ…

大ティガ「……冥っ!!ごめんなさい!!子供たちがっ!!」

冥ラギア「どうしたの?!」ゼイ、ゼイ……

267: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/17(金)22:17:47 ID:kl9
大ティガ「卵、最後の一個が孵って、そ、そしたらすぐに黒い龍とガブラスの大群が来てっ」

大ティガ「子供たち全員奪って消えちゃったの!!」

冥ラギア「……遅かった!!ごめん、僕が外出していたばっかりに……!」

大ティガ「黒龍だよね?!」

冥ラギア「……黒龍だ、間違いない!!……くそっ、子供たちが……!」

大ティガ「取り返さないと!!……でも消えちゃったし……!どうしよう!!」

冥ラギア「……消えたわけじゃない、い、移動速度が速いだけで……」

大ティガ「どこに行ったの?!」

ディノバルド「……恐らくシュレイド地方だ!……北にまっすぐ!」

冥ラギア「すぐに取り返しに行かないと!!!」

272: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)21:51:39 ID:s6v
------高速飛行船------



ゴゥン……ゴゥン……

総本部スタッフ「……シュレイド地方に入りました!旧シュレイド城まであと10キロです!」

総本部役員「……なんて禍々しい空だ……赤黒く、まるで燃えているみたいに」

職員たち「………」

ニャンター「………」

総本部スタッフ「新しい情報によると、ガブラスの大群はおおよそ3万匹まで増えたとのことです!」

総本部役員「……正面に小さく見えているのが旧シュレイド城か」

総本部役員「1000年前に滅びた、巨大な廃墟」

総本部スタッフ「……そうです。そしてその周囲を覆うのが3万匹のガブラス……」

総本部スタッフ「恐らくガブラスの渦の中心にいるのが、ミッ、ミラボレアスです……」

ニャンター「………」ゾク……

総本部役員「……は……」

総本部役員「ハンターは……何名だ」

総本部スタッフ「……はい。各地ギルドのG級ハンター、計10名です」

ニャンター「……なぜ10名だけニャ?もっと数がいても……」

273: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)21:52:23 ID:s6v
総本部役員「………ミラボレアスが1000年前に現れた時、全世界からハンターを集めた。総勢400名を超える人数だ」

総本部役員「その400名は壊滅状態!!……たった一人を除き、あとは誰も生きては戻らなかった!!」

総本部役員「……怖いよね?そして強い。だからギルド総本部は、奴の存在を1000年間隠してきた。……実在してるなんて知ってる奴はほんの一握りさ」

総本部役員「今回も恐らく……やたらと兵を出しても無駄な死を招くだけだ。総本部としては、世界の精鋭を集めて討伐に当たってもらったほうがいい」

総本部役員「10名中、何名が生き残るだろう……ミラボレアスの存在を口封じするための金も、少なく済む」

ニャンター「…………」

ニャンター「(……轟竜は、仲間にこのことを伝えたのニャろうか……)」

ニャンター「(……どうすることと決めたのか……)」

職員たち「………うわっ!」

総本部スタッフ「!!……あれは?!」

総本部役員「ん……うおっ!!!」

ニャンター「!!!!」

総本部スタッフ「正面の旧シュレイド城よりも更に遠方に、巨大な……へ、蛇でしょうか?!」

総本部スタッフ「蛇のようなものが落下していきます……!!」

総本部役員「蛇だな……なんだアレは?!!」

ニャンター「………」

総本部スタッフ「わかりかねます!……形状は、絞蛇竜ガララアジャラと似通っておりますが……」

総本部スタッフ「大きさが……規格外です!あのような大きさの生物は、確認されたことがございません……!」

ニャンター「…………」

274: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)21:53:39 ID:s6v
------旧シュレイド城近辺------



ドッッッゴオオオオオオオオオオオン……
ヒューーーン……
ギャーーーーーーーー……


アマデュラ「………少し手前だが、上出来だ!!」ズルッ

ティガ「……すげぇよ、確かに……すげぇけど……」ヨロヨロ……

ラギア「………痛ってぇーーー……い、生きてる人ーー?」ヨロッ

ナルガ「………ほーい……」

ジンオウガ「はーーーい……」

ブラキ「おおおおう……」

ミツネ「はい……(着地の反動で、全員投げ出された……)」ヨロヨロ……

ガムート「はいー…………」ヨロッ



キリン「いたたたた、お兄ちゃん、ナズっち……大丈夫……?」

紫キリン「……ああ……」ヨロッ

キリン「あれ?!ナズっち!!どこ?!」

オオナズチ「ゲホッ……ここだよーー……」

キリン「姿、消えちゃってるよー!」

オオナズチ「ごめん……あーびっくりした」シュン!

キリン「わっ、すぐ隣にいたんだね」

275: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)21:54:27 ID:s6v
翠トトス「……離しなさいよ!バカ!熱い!!」

アグナ「おおおーー、いてぇ……」

翠トトス「離せ!!」ゲシゲシゲシゲシッ!!

白ラギア「みどちっ、そんなに蹴らなくても」

紅ヴォル「アグナ君、オトコ前~!みどちのこと庇ったんだ」

ドスガレ「……あれー?アグナ君、なに変なもの持ってるの?鉄のうちわ?」



グラビ「……城まで1キロほど手前ですね……」

黒グラビ「………」キュウ……

グラビ「アマデュラ様!!感謝致します……!」

アマデュラ「礼は不要」

アマデュラ「……匂いがする。人間もいるな」

グラビ「!……やはりニンゲンも、兵を出しましたか」

アマデュラ「そのようだ。……我々が行って、人間たちが混乱しないだろうか」

グラビ「そうですね……我々を敵とみなすでしょう」

グラビ「アマデュラ様、貴方様のお身体の大きさですと、ニンゲンの的になりやすいです。……お隠れになっていたほうがよろしいかと思います」




バサバサバサバサバサバサバサバサッ!!


ジンオウガ「すっごい……ガブラスだ」

ブラキ「まず、ガブラスを倒してからじゃねェとボスに辿り着けないってやつか」

ミツネ「……行こう!!!」


ガブラスたち「ギャーーッ!ギャーーーッ!!」バサバサバサ……

276: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)21:55:23 ID:s6v
------旧シュレイド城------


バサバサバサ……
バサバサバサバサッ……


子供たち「ギャアアーーーン!ギャアアーーーン!!」

黒龍「………騒々しい」

黒龍「……新たなる命とは、こんなにも耳障りなものだったろうか?」

黒龍「醜い、この喧しさは実に醜い!!!」

黒龍「……しかし、余が世界の破壊を終えた後、祖龍へと変貌し世界を再生するために必要なものだ……」

黒龍「滾る。1000年ぶりに始めよう!!!」


ズアァァァァァァァアッ!!

277: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)21:55:58 ID:s6v
------高速飛行船(旧シュレイド城まであと2キロ)------



総本部役員「なんだ?!」

総本部スタッフ「旧シュレイド城の周辺を渦巻いていたガブラスの大群が、天にまで立ち登り……」

総本部スタッフ「……黒い柱のようになりました……」

ニャンター「……まずいニャ!!こちらに向かってくるニャ!!」

総本部役員「!!!!!!」

バサバサバサバサバサバサッ!!!

ガブラスたち「ギャーーッ!ギャーーッ!」

総本部役員「ぎゃあああ!!飛行船が落ちる!!」

総本部役員「君、なんとかしたまえ!!」

ニャンター「………!」ジャキィン!!

278: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)21:56:25 ID:s6v
------旧シュレイド城近辺------



ラギア「くっっそーーー、とんでもねぇ数のガブラスだ!!」バチバチッ!

ミツネ「忌々しい、こんな大群!」ガッ、ガツンッ!!

ティガ「………あっ!!」

ティガ「………あれは!!」シュバッ!

ガムート「えっ、どこに行くの……!」ドゴォン……

ナルガ「なんだ逃げんのかティガ!!」

ガブラスたち「ギャーーッ!ギャーーッ!」

279: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)21:57:21 ID:s6v
------高速飛行船周辺------



ティガ「(一瞬、ガブラスの大群の中に紛れて見えた!)」ビュウウウ……

ティガ「(ニンゲンの乗り物に乗っていたアイルー……)」

ティガ「(絶対、ニャンターさんだ!!)」ビュウウウウウ



バサバサバサッ!!!

グラッ……

総本部役員「ダメだ、気嚢に穴を開けられた……!墜落する!!」

総本部スタッフ「ぎゃあーーーー……」

職員たち「助けてーーーー……」

ニャンター「くそ、ここまでニャ……!!」ブワッ

ヒューーーーー……


ティガ「!!!(ニンゲンが投げ出された!落ちてく!!)」

ティガ「おーーーーーーーーい!!!!」ビュウウウ……

総本部役員「?!」ヒュルルル…

総本部スタッフ「ティ、ティガレックス!!」

ニャンター「!!!!!」


ガッ!!


ティガ「……キャッチ!!やっぱりニャンターさんだ!!!」ビュウウウ

ニャンター「貴様……!」



総本部役員「ずるいーー……」ビュウウウ……

総本部スタッフ「ぎゃーーーー……」ビュウウウ……

280: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)21:58:19 ID:s6v
ニャンター「すまぬ、轟竜!!あの者たちも救ってくれニャいか!」

ティガ「あァ?!……しょうがねーな、降下するから背中に捕まれよ!!」

ニャンター「恩に着る!」


ビュオオオオオオオオオ……

ガッ!!

総本部役員「!!」

総本部スタッフ「うわっ!」

職員たち「??!」

ヒュゥゥゥゥゥゥ……ドサッ

総本部役員「……うううう、助かった……」

総本部スタッフ「ティガレックスが!!……我々を助けた?!」

ニャンター「この轟竜は敵ではニャいぞ!」

総本部役員「バカな……!!モンスターだぞ!」

総本部役員「君の友達か!!件のティガレックスか?!何をしに来たんだ!!」

ニャンター「……貴様、礼も言えニャいのか!!」

総本部役員「モンスター相手に礼なんて言えるか!!きっとミラボレアスの手下だ!!我々をどうする気だ?!」

ギャーギャー……

ティガ「…………(何言ってるかわかんねぇけど……)」

ティガ「……うるせぇな。ニャンターさん、耳塞いで俺の後ろにいて」ボソッ

281: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)21:58:59 ID:s6v
ニャンター「?」ペタッ

ティガ「…………」スゥゥゥゥゥゥ……

総本部役員「何故耳を塞ぐ?!おい何処へ行く、俺の話を……」

ゴガアァァァァァァァァァアアッ!!

……バタンッ


ニャンター「……泡を吹いて倒れたニャ」

ティガ「これで全員、しばらく起き上がんねェだろ。……おい、背中乗れ」

ニャンター「助けることニャかったニャ」よじよじ

ティガ「だな」シュバッ!!



ニャンター「すまない、轟竜。救ってくれて心より感謝するニャ」ビュオオ……

ティガ「いーよ、別に」ビュオオオ……

ニャンター「……もう二度と会うことはニャいと言ったのに、また会ってしまったニャ。格好か付かニャい」

ティガ「気にすんなよ、そんなこと!」

ティガ「……会えると思った。絶対、ニャンターさんも来ると思った」

ニャンター「………貴様の仲間たちには、伝えたのニャ?」

ティガ「ああ。……すげぇぞ、勢ぞろいだ」

282: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)21:59:34 ID:s6v
------旧シュレイド城周辺、モンスターサイド------


バサバサバサバサバサバサッ!!


シャガル「なんだこれは……!!なんて数のガブラスだ!!」バサッ、バサッ

ゴマ「災厄の象徴……」バサッ、バサッ

クシャル「ガブラスとは確か……唯一、学校の生徒だったことがないモンスターだ」

ライゼクス「あーー……それ聞いたことあるかも」バサッ、バサッ

蒼レウス「黒龍は見えるでござるかーー?!」

リオレウス「いや……目視では不可能だ!!ガブラスに遮られて……!!」


ナナ「鬱陶しいわね。私、ガブラス嫌いなのよ」バサッ……

テオ「同意するよ」バサッ

283: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:00:15 ID:s6v
------同場所、ハンターサイド------



G級ランス「なんか……ガブラスがどんどん増えているな」ズガッ

G級ハンマー「どこから湧いてくるんだ……!」ドゴォン

G級太刀「ミラボレアスが全く見えないぞ!本当にいるのか……?!」

バサバサバサッ……

G級ガンス「……ちょっと待て。ガブラスの羽音に紛れて何か聞こえないか?」

G級大剣「……ああ、確かに……鳴き声がするな。……もしかして、ミラボレアス以外のモンスターか……?!」

284: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:01:16 ID:s6v
------モンスターサイド------



バサバサバサバサバサッ……


ラギア「俺60匹いった!!」ドガッ

ナルガ「俺64ーー!!」ズガァン

ミツネ「僕は58」

ガムート「(私、83匹……)」ズシン……

ジンオウガ「あっ!ティガ戻ってきた!」


ドッシュンッ!

ティガ「……スゲェ!!どーなってんだよ……痛っ!」

ブラキ「どんどん増えるばかりだ、ガブラスが!!」


ニャンター「……ニャんということか……!」スタッ

ナルガ「ティガ!なんだよコイツ!!」

ニャンター「……皆、理性を持つモンスターニャのか?!」

ティガ「そう!俺のクラスメイト!!」

ニャンター「こんニャに多くいたニャんて!」

ブラキ「あ?言葉通じるの?」

ジンオウガ「なんかオトモアイルーみたいな格好じゃない?」


シャガル「貴様がアイルーの狩人か?!」バサッ

ミツネ「シャガル先生!」

ニャンター「そうニャが……貴殿、もしや天廻龍ニャ?!」

シャガル「そうだ。ティガレックスより話を聞いた!貴様から、黒龍の復活について示唆されたと!」

ニャンター「(古龍ニャど、生まれて初めて見たニャ……!ニャんと神々しく威厳のある存在ニャろうか……)」

285: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:02:06 ID:s6v
シャガル「……その節については礼を言う。そして貴様はここに何をしに来た?!」

ニャンター「人間のハンターも、少数ニャがら出撃している!その一員として……そして、ミラボレアスを説得しろと言われ、この地に赴いたのニャ!」

シャガル「説得だと?!ニンゲンはまた愚かな考えを起こすものだな!」

ライゼクス「説得なんてできんのーー?!」バサッ

ニャンター「……申し訳ニャいが恐らく不可能ニャ!」

シャガル「だろうな!!我々の話ですら聞かぬであろう!」

ガムート「(ネガティブな内容をハキハキと話すなぁ~……)」ズドン……




リオレウス「アマデュラ様!遅くなり申し訳ございません!」バサッ

アマデュラ「いやご苦労。……注意しろ、人間も来ている」

リオレウス「ニンゲンも……!貴方様も標的にされてしまいます!」

アマデュラ「グラビモスにもそう言われた。よってこのように待機をしている」

リオレウス「黒龍の姿が見えるまでは、そうしたほうが賢明でしょう」

アマデュラ「いかにも。……しかし、1つ問題が生じている」

リオレウス「……どのような問題で?!」

アマデュラ「……退屈なのだ!」

リオレウス「!!!!!」

286: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:03:09 ID:s6v
ムーファ「うわーん!怖いよー!」しくしく

ズワロポス「ガブラス十匹倒すので精一杯だ……!」ドスッ

リノプロス「到底、黒龍までに辿り着けそうにない……」ドゴッ

ポポ「……!」はっ

ポポ「せ、せん、先生、先生!!」

リモセトス「? なんでしょうか!」

ポポ「あれ、あれ!!後ろ……!」

リモセトス「……?」くるっ

リモセトス「!!」

大雷光虫「マズイデス、大変デス」フヨフヨ

ガーグァ「クコケェーーーー!!後ろからもガブラスの大群ですーーーー!!」


バサバサバサバサバサバサバサバサッ!!!


ブルファンゴ「ブルルルル……」ドドドド……

大雷光虫「駄目デス、ブルファンゴ君、一人デ突進ハ危険!!」フヨフヨ

リモセトス「ますます増えていく……!!」

ポポ「こっ、このままじゃ、前のみんなが黒龍に辿り着かない」

ポポ「僕たちが、後ろから来る、がっガブラスの大群を倒そう」

ポポ「そうすれば、前の方にいる、つっ……強いみんなの負担が減る!」

287: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:04:29 ID:s6v
リモセトス「ポポ君……」

ケルビ「俺たちは黒龍を倒すんじゃなくて、雑魚清掃をするってことか」

リノプロス「……いいな。俺たちらしい戦い方だ」

リモセトス「そうですね……!無理に前線に向かうのではなく、後方で援護という形をとりましょう!」


ガララアジャラ「姉貴ーー!!俺たちもやろうぜ!」

水ガララ「家の外では先生と呼びなさいっ!……リモ先生、私たち蛇竜甲虫科もお手伝いします!」




大ティガ「黒!!……どういうことなの、これ!どうしてみんないるの?!」ドシュンッ

黒ティガ「姉ちゃん……!学校から矢文で招集かかったんだよ!!黒龍を倒すって!」ドガッ

冥ラギア「すごい!」

風ベリオ「ティガ君も来ています!もっと前線に!」ドガガ……

大ティガ「前線に……?!」

冥ラギア「大ちゃん、行こう!」ダッ

ディノバルド「(……まさか学校単位で集まるとは……)」ダッ




ニャンター「学び舎の生徒が全員来ているニャと?!」ズバッ

ティガ「いや全員ではねーな!半分くらい!」ドガッ

ニャンター「……きさ……貴殿が呼んだのか?」

ガムート「先生たちが私たちに声をかけたんだよー!」

ニャンター「先生か……。そして轟竜、首から下げているカバンはニャんだ?貴殿だけニャ、そんなものを下げているのは」

ライゼクス「俺もちょっと気になってた!!」

ラギア「黒ティガさんに持ってきてもらったやつ?!」

288: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:05:26 ID:s6v
ティガ「うおっ、スゲー忘れてた!」ゴソゴソ……

ティガ「コレ!」スッ

ニャンター「……!!これは、貴殿に譲り渡したものニャぞ?!」

ティガ「うん!でもやっぱり受け取れねェし、会えると思っ……」


大ティガ「ティガっ!!!」ドシュンッ!

ティガ「!!」

大ティガ「……?!……アイルー……!!」

ニャンター「(大轟竜……!!)」ゾクッ

冥ラギア「……みんな、大丈夫かい?!黒龍は?!」

ジンオウガ「ガブラスの大群がすごくて……!!まだ見えていないんです!」

大ティガ「いないの?!黒龍……!!!」

ティガ「姉ちゃん、なんでここに?!」

冥ラギア「子供たちが奪われたんだ、黒龍に!!」

ディノバルド「詩にあった、世界の再生の原動力となる新たな命に……冥さんたちのお子さんが選ばれたんだ」

ティガ「なんだと………!!!?」

289: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:06:32 ID:s6v
ミツネ「ディノ君……久しぶり。君も来てくれたんだね」

ディノバルド「…………リークの件、申し訳なかった。俺が馬鹿正直に、アグナコトル達に場所を教えたからだ」

ディノバルド「またお前たちに迷惑をかけてしまった……」

ミツネ「……その件、ディノ君は悪くないでしょ。君のせいだなんて、少しも思ってないから」

ディノバルド「……………」


クシャル「………ディノバルドか……?!」

ディノバルド「!……クシャルダオラ……」

クシャル「…………」

ディノバルド「すまん……大変な事が起きていると思って……」

ディノバルド「申し訳ない!過去の一件から、二度と顔を見せないつもりで学校を辞めたのに……!」

ラギア「…………」

クシャル「………なぜ謝る?」

ディノバルド「!」

クシャル「お前は強いからな。……共に、戦おう」

290: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:07:16 ID:s6v
バサッ、バサッ……

シャガル「……アマデュラ様っ!!」

リオレウス「シャガル先生……ガブラスの数が、少しずつ減っていっています!」

アマデュラ「後衛の者が力を尽くしている。……遅れてモーランの兄弟もやってきて……ガブラスの数を減らしているのだ」

シャガル「……ガブラスの渦が晴れてきましたが……未だ黒龍の姿は見えません!」

アマデュラ「一度現れたが、また姿を潜めている。しかし……いますぐに、再び天へ昇るだろう」

291: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:07:43 ID:s6v
------ハンターサイド------



バサバサバサバサバサッ……


G級ヘビィ「……気のせいじゃない。ガブラスの数が減った今、尚聞こえる」

G級弓「あぁ……いくつも聞こえる。他にもモンスターがいる……」

G級チャアク「……城を挟んで向こう側から聞こえるな……」

292: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:10:09 ID:s6v
------モンスターサイド------



アマデュラ「……時だ。城に接近する」ズアッ!

リオレウス「アマデュラ様!……つ、ついに黒龍が……?」

シャガル「………!!」



白ラギア「わ……アマデュラ様が!」

アグナ「オルァ!!コルァァ!!喰らえフライパン……あ?」ドガッ、バキッ!

翠トトス「ハァ……やっぱり来なけりゃ良かったかも……」



ガルルガ「パープル・ガールぅ!!見て!アマデュラ様が動き出した……!」

紫ゲリョス「…………」

ガルルガ「ワァオ!スルーだね!」



ゴゴゴゴ……ゴゴゴゴゴゴ………

ズズズ………



子供たち「ワァァァーーーーン!!」

黒龍「………減らぬか」バサッ……

黒龍「……兵は、減らぬか……」ユラ……

293: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:10:44 ID:s6v
キリン「……!!城の真上に、黒い雲の渦ができた……!!」

オオナズチ「いや~~~~ん」

ナナ「ふぅ……遂に来たみたいですわ」


桜レイア「ちょ!クスクス~~あたし帰りたいーー!!」

黒ディアブロス「……多分聞こえないわよ」

風ベリオ「……姿が見えそう……」

黒ティガ「やべ……ちょっと緊張するかも……」ドキドキ




アマデュラ「……随分ともったいつけたな、黒龍よ!」

ゴゴゴゴゴゴ……ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

294: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:11:15 ID:s6v
------ハンターサイド------



G級双剣「出たっ!!」

G級片手剣「……待て!!ミラボレアスか、あれ?!」

G級弓「……黒くねェな……?」

G級ハンマー「うわっ!!あいつの足元見ろ!」

G級チャアク「!!……城の向こう側にいる!!なんだ?!あの大きさは!!!」

G級ヘビィ「ミラボレアスじゃない!!!見たこともないモンスターだ!!」

295: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:12:02 ID:s6v
------モンスターサイド------



ニャンター「…………!!これは……!!」

ニャンター「飛行船から見えた、巨大な蛇ニャ?!」

ティガ「見えたのか!……すげェ先生だよ、俺たち、あの背中に乗って学校から来たんだ」

ニャンター「ニャんという大きさニャ?!聞いたこともニャいぞ!!」

ラギア「へっへーん、すげーだろ!440メートルもあるんだぜ!!」

ライゼクス「なんでお前が誇らしそうなんだよ」

大ティガ「こ、子供たち……!子供たちは?!」



黒龍「……アマデュラあああああ……!」バサッ!!


塔学校一同「「「!!!!!!!」」」



アマデュラ「黒龍……!!久方ぶりだな!1000年前と変わらぬ姿だ!!」

黒龍「貴様が生きているとはな……余の言った通りだ。1000年経っても世界は変わらぬではないか……」

子供たち「ギャーーーン!!」



ティガ「おっ……!!お知り合い?!」

シャガル「あのお二方は、1000年以上も昔からの相識だ」バサッ

ラギア「仲良しかな?!」

リオレウス「そうだったら、こんなことにはなっていないだろうな」バサッ

296: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:12:57 ID:s6v
大ティガ「ああ!子供たちだ!!」

冥ラギア「みんな無事みたいだ……!」

ライゼクス「揺り籠ごと宙に浮いてる……どういう原理だアレ……」



テオ「……ニンゲン臭いな。何人いる?」

ナナ「ニンゲンも敵かしら?」



パスッ……ズパパパパ……


キリン「ニンゲンが撃ってきてる!!アマデュラ様も標的にしているみたい!!」

オオナズチ「やな感じ!」



ニャンター「ハンターたちニャ!……ガブラスの群れが晴れ、あの大蛇(おおへび)にも攻撃を仕掛け始めたニャ!!」

ニャンター「……止めに入るニャ!!城の向こう側に行く!」

ガムート「城を超えるの?!危ないんじゃないかな……」

ティガ「俺が連れてく!」

ニャンター「駄目ニャ!貴殿も標的にされる!!オレ一人で行くニャ!!」

ティガ「……じゃあ、俺が吹っ飛ばすよ!!」

ミツネ「吹っ飛ば……?!」

ライゼクス「ぜってーあぶねーぞ!!?」

ニャンター「……頼むニャ!!」

ティガ「おう!!……ダテに普段から巨大ミートボール飛ばしてねェんだぜ、俺はーー!!」グワァッ!!

ズッバアァァァァァァン……

ニャンター「ニャーーーーーー……」ヒュゥゥゥゥゥゥ……

ラギア「……すげーー。黒龍の頭の上、通過してったぞ……」

297: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:13:45 ID:s6v
------ハンターサイド------



G級ヘビィ「遠距離すぎる!さすがにきつい!!」ズパパパパ……

G級弓「やっぱり城の頂上に登った方が良いな……!」シュパパ……

G級ハンマー「ガブラスの群れはほとんどいない!!登れるぞ……!」

ヒュゥゥゥゥゥゥン
シュタッ!

ニャンター「ハァッ……大蛇への攻撃を止めるのニャ!!」

G級チャアク「オッ?!何だ、オトモアイルー?!」

ニャンター「オレはニャンター!!訳あって、モンスターの言語を話す!あの大蛇は敵ではニャい!!攻撃を止めるのニャ!!」

G級太刀「敵ではないって……なんなんだ、あのモンスターは!!」

G級双剣「規格外の大きさだ!!討伐しておいたほうが……」

ニャンター「良く聞け!モンスターも兵を出し、今この城の向こう側で戦っているニャ!!」

G級片手剣「モンスターの兵だと?!そんな馬鹿な話があるか!」

ニャンター「偽りではニャい!……ミラボレアスを討とうと団結しているのニャ!!」

G級大剣「ミラボレアスを討つ?!」

ニャンター「そうニャ!!良く考えろ、敵の敵は味方ニャ!!」

298: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:14:43 ID:s6v
------モンスターサイド------



黒龍「……この醜い群れはなんだ。お主の学校とやらの生徒たちか?」

アマデュラ「醜いという一言で片付けられては困るな」

黒龍「1000年、よくものうのうと生きていたな。お主一人では余に勝てぬからといい、兵を育てたつもりか」

アマデュラ「……結果としてはそうなった」

アマデュラ「1000年前のように、貴様に好き勝手はさせぬ。こうして尊い意志が集結し、今度こそ貴様を殺す!」

黒龍「醜い存在を幾つ集めても無駄だ!……1000年前はシュレイド王国を滅ぼすのみで留めたが……今日は違う」

黒龍「破壊と創造を行う」

スゥゥゥゥゥゥ………
ガキャアアアァァァァァン…………!!

ブワッ


ミツネ「うっ………!なんて咆哮だ……」ズドンッ

ガムート「………!!」ガクッ

ラギア「うお……衝撃波みてぇ……」フラッ

299: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:15:18 ID:s6v
アマデュラ「…………」ガッ!

ブワッ

ブラキ「跳んだ!」

スゥゥゥゥゥゥ……
ゴアアアアアアァァァァン………

ライゼクス「アマデュラ様……口でかっ!!」ビリビリ……

シャガル「ぶ、無礼だぞ!」ビリビリ……



黒龍「!!!!」

バクン……


蒼レウス「………えっ!!!」

ナルガ「アマデュラ様が、黒龍を……」

クシャル「口に含んだ……!!?」

300: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:16:12 ID:s6v
------------



G級双剣「うわ!!あの大蛇、跳んだあとにミラボレアスを食ったぞ!!」

G級大剣「ひ、一口だ!!」

G級ヘビィ「……まずい。下がれ!!!!大蛇が落ちてくる!!!」

ニャンター「大蛇……!」


ヒュゥゥゥゥゥゥ………


G級ガンス「ニャンター、君もだ!!」ぐいっ

G級ハンマー「下がれ下がれーーーー!!!」バタバタ……





ヒュゥゥゥゥゥゥ………

……ドッッゴオオオオオオオオオオン!!
パラ、パラ……



シャガル「あ、アマデュラ様ーーーー!!」バサッ

ティガ「ゲホッ……ど、どーなった?!」


シュー、シュー……


リオレウス「……城が砕けた……?」

301: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:17:20 ID:s6v
ジンオウガ「城に落下かー……城、もしかして全壊した?」むくり

ゴマ「埃臭いです……クシュン!!」

蒼レウス「煙がすごくてよく見えないでござる~」

大ティガ「!!!」シュバッ

子供たち「ギャアイーーーン……」ヒューーーン……

冥ラギア「子供たちが!!」ダッ

ライゼクス「うわーー?!揺り籠が回転しながらめっちゃ飛んでる!!」ぎょっ

ティガ「うおーーー!!あれはヤバイ!!城の向こう側に落ちるーー!!」シュバッ


大ティガ「(間に合って……!!)」ビュウウ……

冥ラギア「あああああ落ちるーー!!!」ズドドド……

子供たち「わーーーーーーん……」グルグルグルグル……


大ティガ「う……!!落ち……」

ティガ「クソッ!!」

冥ラギア「間に合……」


……ガシッ!!


ニャンター「……ゲホッ!!……受け止めたニャ!!」

大ティガ「……………!!」ドシュンッ

冥ラギア「……!!」

ティガ「ニャンターさーーーん!!!!」ドシュンッ

302: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:18:28 ID:s6v
シュー、シュー……

シャガル「……煙が……!!アマデュラ様!アマデュラ様ーー!!」バサッ、バサッ

アマデュラ「…………」

リオレウス「死ん………?!」バサッ!

シャガル「っ!!……頭蓋に穴が……!黒龍を口に含んだ瞬間、口の中から攻撃されたのか……?!!」



ジエン「ぬん………見えたかぬ……兄弟……」

ダレン「うーーーーーむ……アマデュラ様……なんという暴挙を……」

リオレイア「怪我人は?!城の倒壊に巻き込まれた者は?!」バサッ!



G級ヘビィ「……ううっ……みんな、無事か……?」むくっ

G級ランス「無……うおーーーーー!!」ビクッ!!

G級ハンマー「だ、だだだ大轟竜!!!」

G級太刀「冥海竜もいるぞ!!轟竜もだ!!!」

ニャンター「恐れるニャ!!……敵ではニャい!!」

ニャンター「……き……貴女の子らか。……受け止めたニャ」スッ

子供たち「ヒーーン……ヒーーン……」ぐったり

大ティガ「…………あ、あなたは……」

ニャンター「……い、今は……何も言う必要はニャい……」

ニャンター「…………」ドクン、ドクン……

303: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:19:26 ID:s6v
G級片手剣「本当か……?君、本当にモンスターと会話を……」

G級ガンス「………煙が晴れた……見ろよ、あっち……」

G級大剣「……モンスターの大群だ……古龍もいる」



ガムート「アマデュラ様……きゃー!!死んでる!!!」ガラガラ……

ミツネ「わあっ!!し、白目むいてる……」バタバタ…

ラギア「……黒龍は?!口の中に入ったまま?!」バタバタ…



ゴウン……

シャガル「アマデュラ様……!」

ゴウン……

リオレウス「……何の音だ……?」

ゴウン……ゴウン……
ドク、ドク、ドク……

ライゼクス「アマデュラ様の口から、光が漏れてる……」


クククク………
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン……

……ドゴォーーーーーーーン!!


一同「「「!!!!!」」」

シャガル「黒龍!!……あんな高いところまで、一気に……!」



黒龍「……憤ろしいーーーーー!!!」バサッ!!

黒龍「……ふざけた真似を……余を口に含むとは、なんたる屈辱か……」バサッ、バサッ

304: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:20:22 ID:s6v
黒龍「クククク……最早、冷静ではいられぬ」

黒龍「……天地を……砕かん!!!!!」バサッ!!

ガギャアアアアアアン……!!


キリン「おっ、怒っちゃった……」ビリビリ

オオナズチ「……ここから本番かぁ~……」ビリビリ



シャガル「……砕かせはしない!!!!」バサッ

シャガル「世界を守り抜く!!!いまこの時、貴様の命は底を見せるのだ!!!」


スゥゥゥゥゥゥーーッ……
……ゴガァァァァァァァン!!



ハンターたち「!!!!!」ガクン……

ハンターたち「…………」ビリビリ……

G級弓「(何という音量………)」

G級ランス「(モンスター全員の咆哮、この距離でも鼓膜が破れそうだ……)」

ニャンター「………くっ……」ガクガク……

ティガ「ニャンターさん、俺たちと戦おう!!」

ニャンター「………!!」

ティガ「戻るぞ、みんなの所に!!」ガシッ

305: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:21:30 ID:s6v
白ラギア「(ミッくんたち……前線のクラス、大丈夫かな……)」

アグナ「くっそーー!!もう、どのクラスが前線とかカンケーないよな!!おいガルルガー!!」

ガルルガ「よし!!オレっちたちも前線に行こう!!……パープル・ガール!!オレっちのことだけ見てて!!」バサッ!

アグナ「……ミド!!俺、行ってくる!!」

翠トトス「えっ……」



ドシュンッ

ティガ「……俺ら、オストガロアの時、何もできなかった」

ラギア「おォ。……今度こそは、俺たちもちゃんと最後までいよう」

ティガ「今回も、轟の名に恥じねェ活躍をしてやるぜ」

ライゼクス「……俺も、電の名に……」

ラギア「おう!デン!」

ティガ「デーーンww」

ライゼクス「やっぱヤダ!!」

アグナ「……あ!イビルジョーをフライパンで瞬殺したディノバルドさんだ!!」ドタドタ

ディノバルド「?!」

ガムート「えっ!そうだったっけ?」

ディノバルド「………いや、あの時ガムートもいただろう……?」

ミツネ「(一体なにがどうなったら、ディノ君がイビルジョーをフライパンで瞬殺したことになるんだろう……)」

ニャンター「………轟竜。旦那さんの形見の武器を持ってきてくれて礼を言う」

ティガ「礼なんてのは後でな!!……降りてくるぞーー、一斉にかかれ!!」

ワアァァァァァァァ……

306: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:23:07 ID:s6v
------数十分後------



ドゴォーーーーーン……
ズドォン……ドドド…………



リオレイア「……ダメだった……亡くなってる……これで二人目……」

リモセトス「………二人も……」


ガララ「……ふーーっ、ふーーっ……新しい怪我人!!吐血と……多分骨折も!!」ズルズル、ドサッ

ポポ「し、止血剤……!」スッ

桃バサル「ヒューー……ヒューー……」

リオレイア「バサルモス亜種さん……!!」

桃バサル「先生……ヒューッ……」

リオレイア「喋ったらダメ!」

桃バサル「前線……前線のほう……すごいことに……」ガクガク……

リオレイア「………!」




シャガル「ゴア!!だからウイルスは駄目だ、撒くなと言っただろう!!」ドゴッ

ゴマ「……フフフ……癖です……残、酷」ズバァン

キリン「(この人怖いっ!)」バチバチッ……

307: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:23:55 ID:s6v
黒龍「………」ズガァン!!

ティガ「ピンピンしてるな……」

黒ティガ「……コイツ……マジで死ぬのか?」ドゴォ……

冥ラギア「僕たちが負けたら、世界を壊して黒龍は祖龍になる。……なにがなんでも、今のまま殺さないと……」ドゴォンッ



アグナ「強ぇーな、メインモンス科の連中」ガァンッ

ガルルガ「さすがにな!……でもオレっちたちも、フライパンのおかげか貢献できてるぜーー!!」ゴォンッ



ミツネ「(……最前線にいるメンバーも、どんどん負傷して後ろに下がってる……)」

ミツネ「(メインモンス科で残っているのはディノ君と先生含め9人)」

ミツネ「(古龍科は、まだ一応全員残ってるけど……)」

ミツネ「(このまま減ってしまってはダメだ……!!)」ズガァン



ナナ「城が全壊して、視界は開けたけれど……」バサッ

ナナ「ガレキが邪魔で動き辛そう。翼がないお方は大変ですわね」ズガガ……

テオ「そうだな。……しかしよく生き残っているな、メインモンス科の者たちも……」

308: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:24:53 ID:s6v
ニャンター「ハァッ、ハァ……」ズバッ

ニャンター「(攻撃に、大きな隙がニャい……)」

ニャンター「(皆、避けるので精一杯ニャ)」

ニャンター「(小さな攻撃こそできるが大技を撃ち込むのは難しいニャ……!)」ズババ……



子供たち「…………」ボーゼン

大ティガ「(……間違いない……あの子は、あの時のアイルー……)」

大ティガ「(……持っている武器はどう考えても、父さんの素材……)」

大ティガ「(……なにを考えて、ここにいるのかしら……)」



G級ヘビィ「(あの大轟竜、子供たちを匿いながら離れた位置にいるな……)」ドズゥン、ズドォン…

G級ガンス「(ハンターはもう三人も死んだ……!)」ガガガ…

G級弓「(近接は難しいだろうな……一つ一つの攻撃が大きく、そして重すぎる!!)」シュババ…

309: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:26:28 ID:s6v
黒龍「…………」グワッ

ラギア「……どぅおおおおおおおおっ!!」

ライゼクス「……やべーーーーーー!!」

ティガ「……ブ!!」

ミツネ「レ」

ガムート「スッ!!」

アグナ「く!」

ガルルガ「るーーーーーー!!」

クシャル「まずい……!!」


グオオオオオオオオオォォォォ……

一同「「「しぬーーーーーーー!!!!」」」

オオオオオオオオオオォォォォ……


ミツネ「………!!」はっ

ティガ「……あれ?」


アグナ「………おおっ!」

ガルルガ「……イエーーーーーイ!!このフライパン、スゲーー!!」


ディノバルド「……フライパンで、ブレスをガードしたのか……?」むくっ

ライゼクス「う、うそだろーーーー?!!!」バサッ

ミツネ「あの二人……!」

310: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:27:22 ID:s6v
黒龍「…………」ユラッ

アグナ「お」ヒュッ

ガルルガ「あ」ヒュッ


ライゼクス「……尻尾!!!あぶねーーー!!」


……ズパァンンン………!!!


アグナ「………!!!」ヒュー…

ガルルガ「………」ヒュー…



冥ラギア「…………あ、呆気ない……!」

ラギア「尻尾の一振りで、あんなに吹っ飛んだ……」

ミツネ「(……死んだろうな……)」



黒龍「…………」

黒龍「………」

黒龍「………何故、歯向かうのだ」ドゴォオ……


一同「…………」


黒龍「……何故そこまで余の邪魔を……破壊の邪魔をする?」

311: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:28:24 ID:s6v
リオレウス「……聞かなくてはわからないことですかね?」バサッ、バサッ

シャガル「この場の全員、貴様の考えには同調しかねるのだ」バサッ……

黒龍「……ククク……」ドゴォン!


ニャンター「…………」

ニャンター「(旦那さん……!オレは、何もできニャいのか?!)」

ニャンター「………っ」ピョン!

タタタ……

ティガ「!!……ニャンターさん!どこ行くんだよ!」

ガムート「が、ガレキの山を登ってっちゃった……」

ラギア「何する気だ?!」



ニャンター「……黒龍!!!!」シュタッ

黒龍「…………」ゴオオ……

ニャンター「……オレは貴様に問う!……何故そこまで破壊をするのニャ?!!!」

黒龍「…………」スッ


リオレウス「?!……黒龍が、攻撃を中止したぞ……」


黒龍「………気味の悪い生き物め」

ニャンター「…………」ドクン……

312: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:29:26 ID:s6v
黒龍「……人間でもモンスターでも、何者でもない小さき者よ」

黒龍「中立の立場になったつもりか?」

ニャンター「……そんなつもりはニャい!貴様の破壊を止めたいのニャ!!」

黒龍「……………お主は勘違いをしている」

黒龍「余の破壊には意味があるのだ。ただ己の衝動のままに破壊を行う訳ではないのだぞ」

黒龍「この醜き世界を一旦終わらせ、再び新世界を創造する。それの何が気に食わない?」


シャガル「(……やはり根本的に……話の通じる相手ではない……)」ゾクッ


ニャンター「……貴様が何をもってこの世界を醜いと考えるのかは知らニャいが……」

ニャンター「我々には我々なりの生き方がある。それを、ただ醜いという理由だけで壊されることには……賛同しかねるのニャ!!」

黒龍「お主の言う『我々』とは誰か?人間たちか?モンスターたちか?」

ニャンター「………オレはどちらでもニャい!」

313: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:31:19 ID:s6v
黒龍「……全ての生命の意見を代弁しているつもりなのだな。……お主の考えは理解した」

ニャンター「…………」

黒龍「その小ささで、余と話をしようという勇気を汲んでやってもよい」

ニャンター「!!」

シャガル「………?!」


大ティガ「アイルー……」


黒龍「……余は世界の全てを破壊したのち、祖龍へと変わり新世界の創造を開始する。その際、新たなる生命を頂戴し……その力を創造へ利する」

ニャンター「……新たなる生命……」

黒龍「……しかし現在この場で立ち上がっている者のみ、新世界の先導者として迎える」

ニャンター「………?」

黒龍「現在の世界に新世界を上書きする。いま祖龍へと成ろう」

黒龍「…………」ギョロッ


大ティガ「!!!」ゾワッ!

大ティガ「(……まさか……)」


ライゼクス「よ、よく話がわかんねェ……」

ミツネ「……僕にもよくわからない……」

314: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:32:41 ID:s6v
黒龍「あの新しい生命を、今すぐ余に渡せ」


ディノバルド「……なんて……」

冥ラギア「……ここにいる僕たちだけのことは助けてやるから……いま子供たちを渡せってことか……」

黒ティガ「………頭イッてんな……」


黒龍「どう決断する?赤子を差し出す代わりにお主とお主の友人が救われる道か……」

黒龍「このまま限界まで破壊に抵抗し、しかし結局、皆一様に死んでいく道か」

ニャンター「………(大轟竜の子を……差し出す……?!)」ドクン、ドクン……

黒龍「………クク、揺らいだな」

……ブワッ!!

ニャンター「!!!!!!」ゴウッ


ティガ「……ニャンターさん!!!!」シュバッ!!

黒ティガ「あっ、おい……!」

ニャンター「(……オレは……)」ヒュウウ……


ガムート「風圧で飛ばされた……落ちちゃうっ!!」


ニャンター「(……何を考えたのニャ……?)」ヒュウウ……

315: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:34:28 ID:s6v
ティガ「………うおおおおおおお」バッ……

ガッ!

ニャンター「……!」

ティガ「……間に合った!ニャンターさん、またキャッチ!!」




…… ド ス ン …………

冥ラギア「……大ちゃん!!」


大ティガ「………!!」ブルブル…

黒龍「…………」ギロ…

子供たち「……ワァァァーーーーン!!」

黒龍「……必要な犠牲だとは思わないか?」

大ティガ「……全くもって思わないわ……」ガクガク…

黒龍「…………残念だ……」グワッ


冥ラギア「……やめろ、子供たちは……!!」バッ!

黒ティガ「!!!」バッ

ティガ「姉ちゃん!!!!」

ニャンター「…………っ!」


ズガァン!!!


大ティガ「…………」グラ……ドサッ

316: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:35:29 ID:s6v
黒ティガ「………!!姉ちゃん……姉ちゃーーーーん!!!」ユサユサ

ティガ「も……モロ食らったぞ……」

冥ラギア「………そんな……」


黒龍「…………新しい生命を頂戴する。……いま祖龍へと……」ゴゴゴゴ……





…………………………メキッ………………



黒龍「…………?」ピタッ

一同「………………」

317: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:36:28 ID:s6v


バキッ……ベキッ……バキバキッ………



紫キリン「……何の音だ?」

オオナズチ「……なんだろ……?」


シャガル「…………!!……あ」

リオレウス「……アマデュラ様の体が……!!」


ベキベキッ……メキメキメキメキメキッ!!


???「…………」ユラッ……


ラギア「アマデュラ様……?!死んだかと……」

ミツネ「……脱皮……?」

ガムート「な、なんか変だよ……赤いよ……?」

ライゼクス「ああ……白かった身体が……赤くなってる……」


???「…………」


黒龍「……なんの……つもりか……!!」


???「………私が『新しい命』だ」

318: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:37:40 ID:s6v
黒龍「…………ダラ・アマデュラ…………!!」

???「………私はダラ・アマデュラではない」

???「ダラ・アマデュラ亜種として、再び生を受けた……」


リオレウス「亜種……?!」

シャガル「じゃ……『蛇帝龍』!!!」


???(帝アマデュラ)「……この世で最も新しい命だ」

帝アマデュラ「その赤子ではない。新世界の創造には私の命を使うがよい」

黒龍「………」

帝アマデュラ「……貴様に使えるのなら……の、話であるがな」

黒龍「………」ポイッ

ドサッ

子供たち「ギャーーーン!!」

冥ラギア「こ、子供たちを離してくれた……」

黒ティガ「姉ちゃん!!!……死ぬな、姉ちゃん!!」

ニャンター「………大轟竜……」

大ティガ「……う……」

ティガ「!!……姉ちゃん!!」



G級大剣「……どうなってんだ」ブルブル

G級太刀「……………」ガクガク……

319: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:39:12 ID:s6v
黒龍「……お主は面白いな。死んだと思わされた。……騙された」

帝アマデュラ「一度死に、また生まれた……。ただそれだけだ」

黒龍「クククク……結局、一騎打ちとなるのか」

黒龍「実に面白い。お主の命を奪い、祖龍となり……」

黒龍「お主の作った学び舎である古塔に君臨し、新世界を創造しよう!!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴ………
………ドゴォオオオォォォォォォン!!!!


一同「…………!!」ビリ、ビリ……


クシャル「……なんて光景だ」

ディノバルド「………手なんか……出せねェな……」

キリン「ラギア君……!どうなるの……?」タタッ

ラギア「キリンちゃん、よかった。無事だね……俺も、どうなるかわかんねェ……」

ゴマ「……我を生みし偉大なる者よ……小生たちは、いかに小さき存在なのでしょうね……」

シャガル「……そうだな……」


ドオオオオオオ……
ズオオオオオオオオオオッ……

320: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:40:22 ID:s6v
ライゼクス「……何が起きているのかわかんねーな」

ミツネ「うん…………」

リオレウス「……何か隙ができれば、我々も加担できるが……」


ズドォン……ズドォン……


ガムート「!……何が降ってるの……?」

テオ「………隕石だ。アマデュラ様の力だ……」

ナナ「黒龍を狙って落ちているわ……尚更、近付けない」

ドゴォン……


黒ティガ「……姉ちゃん、血出てっから……動くな」

大ティガ「……子供たちは……?」

冥ラギア「無事だよ」

大ティガ「よかった……」

ニャンター「…………」

ニャンター「(オレは……大轟竜の子を差し出せと言われ、すぐに拒めニャかった)」

ニャンター「(あの大轟竜の子だからという理由で、拒めニャかった……)」

ニャンター「(そして黒龍が大轟竜に攻撃をしようとした時も、すぐに助けようとできニャかった)」

ニャンター「(……オレは、何を考えていた……やはり心の底で、大轟竜への憎しみが燻っているのニャ……)」

ニャンター「(……旦那さん。オレは愚か者ニャ)」ピョン!

321: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:41:28 ID:s6v
ティガ「ニャンターさん!また何かする気か?!」

ニャンター「……オレは身体が小さい」

ニャンター「……あの大蛇の降らす隕石や……黒龍の攻撃を、ニャんとかすり抜けられるかも知れニャい」

ニャンター「……黒龍の体力は確実に落ちている。僅かに疲労が伺える」

ニャンター「隙を見て、弱点をつくニャ」バッ!

ティガ「おい!……死ぬぞ!!」


ピョンピョン……

ニャンター「(死のうが死なぬが関係ニャい……)」ピョンピョン

ニャンター「(オレは、何がしたい)」ピョンピョン


G級チャアク「ニャンター!!何処へ向かっているんだ?!」


ニャンター「(……殺したかった大轟竜……しかしもう、オレはハンターを辞めて……)」ピョンピョン

322: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:42:56 ID:s6v
ニャンター「(憎しみに任せて殺戮を行い、憎しみの連鎖を繋げることはしニャいと思ったのに)」ピョンピョン

ニャンター「(いざ大轟竜が死にそうにニャった時……救う必要がニャいと、一瞬でも考えてしまった)」ピョンピョン


シャガル「……!あのアイルー!!」


ニャンター「(そう考えた自分が情けニャいと思う気持ちと、何も悪くニャいと思う気持ちが入り混じっている)」ピョンピョン


ガムート「ニャンター君っ?!危ない……!」

ミツネ「行ったらダメだ……!」


ニャンター「(……オレが今、黒龍に立ち向かおうとするのは……そんニャ気持ちを、誤魔化すためニャのか……)」ピョンピョン


ティガ「……………戻れェェーーーーーー!!!!」


ニャンター「(旦那さん、オレは……!!)」ピョンッ……!!



”……お前は最高の相棒だよ!”



ジャキン……ブワァッ!!

ズ バ ァ ……… ッ……


ニャンター「……………」


黒龍「………ヴ……………ッ………!!」ヨロッ

323: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:43:47 ID:s6v
ニャンター「………っ」シュタッ

ニャンター「………いったニャ……?」ハァッ


帝アマデュラ「…………!?」

黒龍「う………う!!何奴か!!」ヨロ、ヨロ

黒龍「目を……!!目を抉られた!!!!!」ボタボタ……


クシャル「(……黒龍が正面しか向いていなかった一瞬の隙を狙って……)」

ディノバルド「(……横から飛び上がった瞬間に目だけを攻撃したのか……!!)」

ミツネ「(すごい……大きな隙ができた!!!!)」


シャガル「………今だ!!!!全員、最大限の攻撃を仕掛けろ!!!!」

ハンターたち「今だ!行くぞ!!」ジャキン!


ズッッッッ……ドゴォオオオオオオオオオオン!!!


黒龍「…………!!」グラッ

帝アマデュラ「……美しい」

324: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:44:43 ID:s6v
黒龍「……アマ……デュラ……!!」グラグラ……

黒龍「……ハァーー、ハァーー……帝は……神より偉大だというのか……」グラグラ……

帝アマデュラ「……いいや」ブワッ!

……ドゴォーーーン!!メキメキメキッ!

黒龍「ううううううううううう………!!」メキメキ……ブシャアーーッ……

黒龍「………」ドサッ

帝アマデュラ「神など存在しない」




一同「……………」

シャガル「体が、真っ二つに引き裂かれた……」

リオレウス「………間違いなく、死にました……よね?」

帝アマデュラ「………」くるっ

帝アマデュラ「……死んだ。皆の者の強大な力により、黒龍ミラボレアスは討伐された」

一同「…………」

ガムート「………っ!!」ポロッ

ラギア「良かったーーーーーーー!!!!」

ライゼクス「やったぜーーーーー!!!!」


……ワァァアアアアア………

325: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:45:57 ID:s6v
------約1時間後、同場所------



シャガル「……犠牲者は6名か……尊い命であったのに」

リオレイア「………」コクッ

シャガル「結果として黒龍は死んだが、6名も犠牲者を出してしまった」

シャガル「……私の責任だ。私が、兵を出すなどと言ったからだ」


ランポス「兄さん、兄さん……!」ポロポロ

ドスランポス「…………」

シャガル「……君の兄か。……申し訳ない」

シャガル「世界のために力を尽くしてくれた……しかし、死なせてしまった。申し訳ない……」

ランポス「うっ、う……兄さん……」

シャガル「……申し訳ない……許して貰おうとは思っていないが……」

ランポス「……ぐすっ、兄さんは……俺たちの群れのリーダーで……」

シャガル「………」

ランポス「……む、群れで一番強くて、正義感の強い、うっ……ひとだった」

ランポス「……正義感が強いから……今回も、世界のために戦った」

ランポス「兄さん……俺の誇りだった」

シャガル「………………………」

326: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:46:56 ID:s6v
ポポ「………………」ぬりぬり

ティガ「……おうっ!……しみたぜ……」

ポポ「ごっ、ごめんよ……」ぬりぬり

ティガ「……いや」

ティガ「……お前らすげぇな。あのガブラスの大群、ほとんど倒したんだろ」

ポポ「……ぼ、僕たちは……弱いから……」

ティガ「……弱くねーよ」

ポポ「…………」

ティガ「エラそうで、調子いいって思うかも知れねェけど……あそこまで黒龍を追い詰めることができたのは」

ティガ「後衛のお前らのおかげだ」

ポポ「……」

ティガ「……ケガ人の手当てもして……なんつーか、すげぇよ。……ありがとう」

ポポ「………」

ティガ「……今まで、ごめんな」

ポポ「!」

ティガ「……どう償ったらいいかわかんねーけど……お前から取った金、時間かかってでも全額返すし」

ティガ「もう、馬鹿にしたりもしねぇから」

ポポ「……うん……」

327: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:47:36 ID:s6v
白ラギア「うぇ~~~ん……うぇ~~~~ん……」ぐりぐり

ミツネ「……どうして手当てされている僕じゃなくて、している君が泣くのさ……」

白ラギア「だっで……ううっ、生きでるんだもん……」ぐりぐり

ミツネ「………」

白ラギア「ひっぐ……あだ、あだし、割とすぐ負傷しちゃって、ずっど後ろにいたのぉ……ずびっ」ぐりぐり

ミツネ「そうだね。知ってたよ」

白ラギア「えぇ……どうじで~~?うぇ~~ん…」ぐりぐり

ミツネ「心配だったから……時々、気にして見てた」

白ラギア「………ヴぇーーーーーん!!う、うぞだ~~~~!!ぐすっ」

ミツネ「……心外だな、その反応は……」

白ラギア「ミッぐん……あんな前線にいだのに……ズビッ、あだしのこと気にする余裕なんてないと思うもん……」ぐりぐり

ミツネ「………」

ミツネ「……ふぅっ」

白ラギア「うぇ~~~ん……ミッぐん……うう……」

ミツネ「……僕さ、白ちゃんが好きだよ」

白ラギア「………え?……ズビッ!」

ミツネ「わかりにくくてごめんね。……不安にさせてたね」

白ラギア「……うわぁぁぁぁぁん!!ミッぐんーーー!!」ガバーッ!!

328: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:48:41 ID:s6v
ガムート「……包帯ありがとう、えーっと、フルフル閣下」

フルフル「いいえー。こちらこそありがとう、やっつけてくれて」フゴフゴ

オオナズチ「わー、ガムちゃん……包帯で鼻がぐるぐる巻きだね~~……大丈夫?」

ガムート「大丈夫!ナズっちは、そんなに大した怪我がなくてよかった。さすが古龍だね」

オオナズチ「えへへー」

ディノバルド「……すまん。俺なんかまで治療してもらって」

クシャル「……なぜそんな言い方をする?」

ディノバルド「………後ろめたくてな……」

クシャル「……確かに偉い目に合わされたが、もう許したことだ。学校まで辞めることはなかったんじゃないか?」

ディノバルド「いや……合わせる顔がないと思っていた」

キリン「……気にしすぎだよ……戻ってきたらいいのに……」

ディノバルド「……戻るつもりはない」

キリン「もし、学校そのものが嫌で戻りたくないなら無理にとは言わないけど……私たちに負い目を感じているだけなのなら、気にすることないよ」

ラギア「んーーキリンちゃんの言う通り!!キリンちゃん優しい?」ぎゅうっ

キリン「ら、ラギア君っ!もー、みんなの前ではやめてよっ!」

クシャル「………」フッ

クシャル「(……キリン……幸せそうだ)」

329: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:49:30 ID:s6v
ナルガ「俺たちも頑張ったよなーー最後は負傷して後衛に下がっちゃったけど!!」

蒼レウス「そうでござる~~他のみんなが最後までやってくれてよかったでござる~」

ブラキ「でもちょっと俺たちダサいよな!ハハハ!」

ナルガ「悔しいな!」

ジンオウガ「アマデュラ様が一回死んじゃったときは、ビビったよね~!」

ブラキ「な!いきなり死んだから状況が飲み込めなかったわ!」

ハハハハハハ……

ナルガ「……ところで、あそこで抱き合ったままブッ転がっているのは……」

ジンオウガ「ライゼクスと桜レイアさんだね!」



ライゼクス「……はー、桜ちん……俺生きてるよ……」

桜レイア「良かった、クスクス……ちょーかっこよかったよ」

ライゼクス「だろ?……惚れ直しました?」

桜レイア「一秒間に十万回の割合で惚れ直した?」

ライゼクス「まあ俺は一秒間に千兆回の割合で桜ちんに惚れ直したけどね!」

桜レイア「バカ?」

330: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:51:45 ID:s6v
リオレウス「アマデュラ様!!……ご無事でなにより……!」バサッ

帝アマデュラ「ああ。貴殿もよく戦ってくれた」

リオレウス「一度死なれた時は、驚きました……なぜあのような行動に……?」

帝アマデュラ「……死ぬ必要があった。あの赤子の為だ」

リオレウス「……赤子の……」

帝アマデュラ「……黒龍……その表皮は実に凶悪な味であった。二度と口に含みたくないと感じる!」

リオレウス「!!!!!」



翠トトス「全治20ヶ月」

翠トトス「……だってさ。アンタたち」

アグナ「………」

ガルルガ「………」

紅ガノス「(二人とも、目と口以外は全身包帯で巻かれてるの……笑える~~!!)」ぷぷ……

翠トトス「……頭蓋骨陥没骨折、肋骨複雑骨折」

翠トトス「尾骨粉砕骨折、脳震盪etc」

翠トトス「……良く生きてるわね……」

アグナ「俺もそう思う」

ガルルガ「ケケケッ!ラッキー・ボーイズ!」

翠トトス「本当にものすごい大怪我だけど、時間かければ治るって。よかったね」

翠トトス「(ちょっとカッコいいって思わされたわよ!)」

アグナ「……ミド。お前は全治何ヶ月だ」

翠トトス「大したことない。4ヶ月くらい」

アグナ「……大怪我じゃねぇか」

翠トトス「一人で包帯を100メートルも使ったアンタには言われたくないわよ」

ガルルガ「ブッ、ケケケケ!!100メートルとかスーパーウケるな」

331: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:52:58 ID:s6v
紫ゲリョス「……ガル君……」そろり

ガルルガ「!!!パーーーーーープル・ガァーーーーーール!!!」

紫ゲリョス「大丈夫……?……黒龍のブレスをガードしてたの、凄かった……」

ガルルガ「だよね!!?パープル・ガール、オレっちたちやり直そう!!」

紫ゲリョス「うん……」

ガルルガ「ウワァーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」



ナナ「馬鹿が増えた気がするわ」

テオ「ああ……でも、皆強く、素晴らしかった」

ナナ「……そうね……」

ナナ「……!!……あのお方は……伝説の冥ラギアクルス!!」

冥ラギア「え?僕?」くるっ

子供たち「キャッキャッ」

ナナ「入学から卒業まで、学校トップの座を誰にも譲らなかった……45回連続トップのために、3回も表彰されたお方!」

テオ「……在学期間の被っていた約一年間、ナナが絶対に超えることのできなかった方か……まさか、この場で会えるとは」

ナナ「お会いできて光栄ですわ」

冥ラギア「はっはっはっ、古龍科の子にそんな風に言われるなんてね~!」テレテレ

332: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:54:26 ID:s6v
ゴマ「……悪霊退散!」バッ

翠トトス「はっ?!……なにするの?!」ザラザラーッ…

ゴマ「……怨念……邪悪な怨念……」パサパサ…

翠トトス「ゴホッ、ゴホッ!やめて!変なもの撒かないで……」

ゴマ「……この者たち、腹が暗黒色をしている!」

アグナ「……腹黒ってこと?」

ゴマ「凄まじい怨念……!性悪……!小生が浄化せねば……!」ザラザラ…

翠トトス「……しょっぱい?!なにこれ、塩?!」

紅ガノス「……ぷぷーーーっ!」

紅ガノス「(みどち、性格悪過ぎて塩撒かれてる!笑える~……)」

翠トトス「いや~~!!」


ミツネ「……あの塩、多分ものすごく効くよ」

白ラギア「あんなの大恥だよ……みんなの前でなんて……」

ミツネ「庇いに行くかい?」

白ラギア「んーー……ちょっと、いい気味かも……」

ミツネ「ははは!」

333: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:55:34 ID:s6v
G級大剣「……双剣と、片手剣とハンマーは逝ってしまった……」

G級ヘビィ「……残念だ。しかし……正直、もっと失うと思った」

G級チャアク「モンスターの兵が無ければ、きっと……俺らは全滅していただろうな」

G級ランス「そうだな。……全て、あのモンスター達の兵と……そして、君のおかげだ」

ニャンター「…………」

ニャンター「……違うニャ。この場にいる全ての存在が有ったからニャ……オレは、何もしていない」

G級弓「嘘みたいな光景だ……あのように様々なモンスター達が輪を作り……お互いを労わっているなど」

G級ガンス「……俺たちにも興味を示していないしな……」


……ザッ……

ニャンター「………!」ビクッ!

ハンターたち「?!」

大ティガ「…………」

黒ティガ「…………」

ニャンター「………」ドクン、ドクン……


”あなたも……私の父と母を殺した?”


ニャンター「……大……轟竜……」ドクン、ドクン……

335: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:56:43 ID:s6v
ニャンター「………右目を………どうしたのニャ………?」

大ティガ「……失明したのよ、黒龍の攻撃が当たってね。……むしろ失明だけで済んだのは運が良いの」

大ティガ「……その武器、あのときに私が殺したハンターの装備から作ったのでしょう?」

ニャンター「…………」コクン

黒ティガ「……マジで、親父の素材だ……」

大ティガ「……あなたとティガが接触したことを察した時、驚いたわ」

ニャンター「…………」

大ティガ「……あなたは……私のことをどう思ってる?」

黒ティガ「…………」

ティガ「……姉ちゃん!」ドス、ドス……

ニャンター「………に……」

ニャンター「…………憎くて憎くてたまらニャかった……」

ニャンター「……殺したかったニャ。貴女だけではニャい、貴女の家族も全員殺したかったニャ」

大ティガ「………そうよね」

ティガ「………」

大ティガ「私を殺したいと思うのは、至極当然の心だと思う」

ニャンター「貴女の弟は言った。……貴女らの両親を殺したのはあくまでオレの旦那さんであって、オレではニャい。だから、オレを憎まニャいと」

ニャンター「……よって、オレは……貴女の家族を憎むのは筋違いだと気付いたニャ」

ティガ「……うん」

336: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:57:39 ID:s6v
ニャンター「そして、もう憎しみにより殺戮を行うことは間違っていると思い……貴女を殺すことも考えニャいようにした」

大ティガ「…………」

ニャンター「……しかし、いざ……黒龍に貴女の子らを差し出せと言われた時に、すぐに拒めニャい自分がいた」

ニャンター「更に、黒龍から貴女を救うことにも、一瞬躊躇ってしまったニャ……」

ニャンター「…………」

大ティガ「何もおかしくないわ」

黒ティガ「姉ちゃん……」

大ティガ「何もおかしくない。……私がもし同じ立場で同じ状況なら……そうすると思う」

ニャンター「…………」

大ティガ「私への憎しみを、無理に忘れようとしなくてもいい」

大ティガ「……私も同じだもの。両親を殺したあなたの旦那さんが、憎くて憎くて仕方なかった」

大ティガ「だから、殺した」

ティガ「姉ちゃん……ニャンターさんの旦那さんが親父たちを殺した本人だって、すぐわかったんだな……」

大ティガ「…………」コクッ

大ティガ「もう何年経つかな。まだ学生だったあの日の私は、たまたま……たまたま塔の頂にいた。放課後で、生徒はほとんど残っていなかった」

大ティガ「なんとなく、帰りたくなかった。そんな気持ちで塔の頂にいて……たまたま、塔の麓を覗き込んだら」

大ティガ「あなたと、あなたの旦那さんがいた。……装備を見て、すぐにわかった」

ニャンター「……古塔への人間の接近は禁止されていたのニャが……旦那さんとオレは樹海で迷い、たまたま古塔の側まで行ってしまったのニャ」

ニャンター「頂を見上げると、貴女がいたニャ。オレは旦那さんに言ったニャ、『離れよう』と」

ニャンター「しかし旦那さんは何かに導かれるように……片腕を駆使して塔の外壁を登り、頂へたどり着き……」

ニャンター「そして、死んだニャ」

337: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:58:28 ID:s6v
ニャンター「………………」

大ティガ「…………………」

大ティガ「……私は両親の仇を討った。そして今度はあなたが仇を討つ番」

大ティガ「あなたが私を殺したいなら、なんなりと受け入れるわ」

黒ティガ「おい、姉ちゃん……!まだ子供が生まれたばかりだっつぅのに!!」

大ティガ「……ニャンター君。どうしたい?」

ニャンター「…………」ドクン、ドクン…

ニャンター「…………」ドクン、ドクン…

ニャンター「………今日は……止めておくニャ……」ドクン、ドクン…

大ティガ「………」

ニャンター「……いつか、再び会うことがあったら……その時に、貴女を殺すかを考えさせていただくニャ……」

ティガ「…………」

大ティガ「……そう。わかった、いつあなたと再会してもいいように……心しておくわ」

ニャンター「……………」

大ティガ「一つ、あなたに礼を言うわね」

大ティガ「………揺り籠が落ちたとき、受け止めてくれて……子供たちのことを救ってくれて、ありがとう」くるっ

ドス、ドス……

黒ティガ「……姉ちゃん、待てよ……」ドス、ドス…

339: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)22:59:27 ID:s6v
ニャンター「(……あれは、ただ反射的に受け止めただけニャ……礼を言われることニャどニャいのに……)」

ティガ「………ニャンターさん」

ニャンター「……貴殿も、仲間のところに戻るといいニャ」

ティガ「………ニャンターさん。ありがとう」

ニャンター「……?」

ティガ「……俺たちがいま生きているのは、ニャンターさんのおかげだと思ってる」



ざわ……ざわ……

シャガル「……皆々!………話がある、静粛にしてくれないか」

帝アマデュラ「………」

リオレウス「…………」

一同「…………」

シャガル「……今回、黒龍を討とうという突拍子も無い矢文を送ったにも関わらず……力を貸してくれた生徒たち、教員たち……その全てに、心より感謝している」

シャガル「……黒龍が復活することが判明した理由は、我々の一人の仲間にある」

シャガル「…………」バッ!


ナナ「……先生、何を手に持っているのかしら……?」


シャガル「古龍科の生徒であったラオシャンロンが、その死をもって黒龍の復活を示唆した!!」

ざわっ

オオナズチ「ええ……!!死って……?!!」

テオ「……どういうことだ……?」

340: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)23:00:16 ID:s6v
シャガル「ラオシャンロンは我々の前から姿を消し、黒龍の復活を恐れ、逃げたのだ。……偶然ニンゲンの街に進行し、それを襲撃だと捉えたハンターたちによって狩られたのだ!!」

どよっ
ざわざわ……

紫キリン「……なんてことだ……!!」

ナナ「ニンゲン……!!」


シャガル「……死にゆくラオシャンロンは……学校の皆々に、恐ろしい存在の復活を知らせるべきだと言った……そしてその言葉を聞いたのが、あのアイルーの狩人だ」



一同「………」くるっ


ニャンター「…………」

G級大剣「……な、なんだ……?みんなこっちを向いたぞ……」

G級太刀「なんか……集会やってんのか……?」


シャガル「あのアイルーは、偶然遭遇した当校の生徒にそのことを伝えた。よって、黒龍の復活が判明した」

シャガル「……仲間を殺したニンゲンを憎む気持ちもあるかもしれない。しかしラオシャンロンの死は……言わば、意味のある死だった」

シャガル「悲しい出来事には違いないが、彼の死はこの世を救うことに繋がったのだ」

シャガル「いま私が手に持つのは、彼の外殻……彼が生きていた証拠だ。唯一残る彼の分身を、今日黒龍の前に散った仲間と共に葬り、共に弔おう」


一同「…………」

342: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)23:01:09 ID:s6v
シャガル「…………………」

シャガル「……そして……今日、散った仲間は6名にもなる」

シャガル「……私たちの呼びかけに応じて力を貸してくれた、尊い仲間だが……」

シャガル「元は、皆々に協力を要請した私に責任がある」

シャガル「……散った者の兄弟や友人たちよ……心より詫びる!!」

シャガル「職は、辞任致す!それだけではなく、檻に閉じ込め追放されることも希望する」

シャガル「……私の命一つでは不足かもしれないが……どんな制裁でも受ける」


ガムート「シャガル先生……なにもそこまで……」

ナルガ「お、おい、ゴマ!どーすんだよ!」

ゴマ「……我を生みし偉大なる者の……言いそうなことです……」

ざわ、ざわ……

帝アマデュラ「…………」

ダレン「…………」

シャガル「…………」


ランポス「……シャガル先生、それは違います」

シャガル「!」

343: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)23:02:38 ID:s6v
ランポス「俺の兄さんは、確かに死んだ。でも名誉の死です」

ランポス「先生たちの招集は、決して必須ではなかった。ここにいる全員、自ら力になることを望み、そして戦ったんです」

ランポス「充分に死を覚悟した状態でこの場に来て……そして散った。先生が負い目を感じることは何もないです」

シャガル「…………」

ウルクスス「……そうですよ、先生」

ウルクスス「親友のラングロトラも、名誉の死を遂げたのだと私は思っています。……それによってみんな救われました!」

ウルクスス「だから……辞めるなんて……追放してくれなんて言わないでください!!」

シャガル「……ウルクスス……」


………………ワーー………ワー……
そうだそうだー……
先生辞めないでーー……
ワーーーーーー………


シャガル「……………!!」

ダレン「……シャガル先生。………誰も……君の辞任を……望んでいない………」

シャガル「……すまない……皆々……!!言葉が見つからない………!」


ワーーーーーー……
先生ーーーー………
ワーーーーーーーーーー………

344: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)23:03:30 ID:s6v
------------


総本部役員「ハァ、ゼェ……ガブラスの死骸がすごい……」ガサガサ……

職員たち「ゼェ……ゼェ……」ガサガサ……

総本部スタッフ「……我々、どのくらい気を失っていたのでしょう……すっかり夜です、ミラボレアスはどうなったのか……」ガサガサ……

総本部役員「ハァ……ダメだ疲れた、おぶってくれ」ヨロヨロ

総本部スタッフ「は、はい……」ぐいっ

総本部役員「……しかし……空はビックリするくらい晴れているな」

総本部役員「星が綺麗に見える……もしかしたら、ミラボレアスは死んだのか……?」

総本部スタッフ「おかしいですね……旧シュレイド城がいつまでも見えて来ません……方角は合っているのに……」ガサガサ……

総本部役員「茂みが深いせいか……?」

総本部スタッフ「それにしては……うわーーー!!」ガサッ!

総本部役員「なんだ、大きい声を……うわーーー!!」

総本部スタッフ「し、城が……崩れて無くなっています……!!」

総本部役員「モ……モンスターが……あんなに………!!ブクブク……」クラッ

総本部スタッフ「わーー!!役員ーーー!!!」

345: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)23:04:49 ID:s6v
------------



ザワザワ……ザワザワ……
ギャハハハ……


帝アマデュラ「……貴殿は、責任の意味を履き違えている」

シャガル「!」

帝アマデュラ「責任を取るということは、簡単なことではない。ただ貴殿が命を投げ出せばいいということではないのだ」

シャガル「……申し訳ございません……!未熟で……」

帝アマデュラ「生徒たちの死を気に病む気持ちは理解できる。しかし、この場合の責任とは……」

帝アマデュラ「皆の者が命をかけて救った世界を、貴殿の命の終わりまで見届けることだ」

帝アマデュラ「そして散っていった者たちの存在を決して忘れることなく、その死を受け入れ、弔うことでもある」

シャガル「……はい……アマデュラ様」

帝アマデュラ「……貴殿のその性格は……良くも悪くも、アマツマガツチと実によく似ている」

シャガル「……アマツ先生……」

帝アマデュラ「さすがは彼女の教え子だ」

346: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)23:05:50 ID:s6v
G級チャアク「迎えの高速飛行船がこちらに向かっていると、先程矢文が来たが……もうそろそろだろうか」

G級ガンス「ふはーー……何はともあれ……」

G級弓「終わったんだな」

G級太刀「人生で一番大きな経験だった……モンスターたちとの共闘なんてな」

ニャンター「そうだニャ……」

G級ランス「……何を言っているのかわからないが……モンスターたちも楽しそうだ」


総本部総帥「………3名もの命を失ったか……」ザッ

ハンターたち「!!」

G級ヘビィ「そ……総帥!!!!」

ニャンター「……?」

G級ガンス「全世界のギルドのトップに立つほどの貴方様が……なぜこんな戦地にまで!!?」

総本部総帥「トップに立つ者だからこそだ」

総本部総帥「……君が、ニャンター君か。話は全て聞いた」

ニャンター「総帥殿……」

総本部総帥「七光りのバカ息子が、君に無礼を働いたようだ。……申し訳ない」

総本部役員「…………」(気絶)

347: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)23:06:41 ID:s6v
総本部総帥「……甘やかしすぎた。ハンターの経験もないまま、今の地位を与えてしまった……帰還したら、やはりハンターの訓練を受けさせよう。役員の地位は一旦預かるか」

総本部役員「…………」(気絶)

総本部スタッフ「………ゼェ……」

総本部総帥「……起きぬか!!バカ息子!!」ボカッ!

総本部役員「?!」ガバッ


総本部総帥「……自然の王よ。……いや、今は帝か」

帝アマデュラ「…………」ズル、ズル……

G級弓「(あの大蛇に話しかけている……?)」

総本部総帥「初めてお会いする。……なんと荘厳な形貌か……」

G級太刀「(こ、こっち来るぞ……でけぇ……)」

ニャンター「…………」

帝アマデュラ「……人間の子よ、萎縮することはない」

総本部役員「?!!!んなっ!!!!人間の言葉を話すのか?!」

348: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)23:07:34 ID:s6v
総本部総帥「……私の生きているうちに、黒龍が復活するとは、思わなんだ」

総本部総帥「あそこにいるモンスター達は、貴方様の学校の生徒であるのか?」

ニャンター「!!」

G級大剣「が、学校っ?!学校って……学校?!」

帝アマデュラ「……如何にも。今回の黒龍の復活の条件は、世界が欲に塗れたままであること」

帝アマデュラ「よって1000年前に、理性持つものを育てようと学校を設立したのだ」

総本部総帥「……それは代々、ギルド総本部の総帥となる者が、ただ一人だけ知っていた極秘事項であり」

総本部総帥「フォンロン地方の古塔が校舎であるが故に、人間の接近を禁じていた」

ニャンター「……オレも実は……モンスターたちの学び舎の存在を思い付き、もしそれが現実とすれば、あの古塔が学び舎ではニャいかと考えていた」

ニャンター「……オレの想像は、全て現実だったのニャ……」

帝アマデュラ「如何にも。1000年前の黒龍の悲劇の際に、私と共に戦い生き残った一人の人間が、狩人の長の先祖にあたる」

G級ヘビィ「総帥のご先祖が……」

349: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)23:08:23 ID:s6v
帝アマデュラ「……狩人の長たちは私の意思を尊重し、古塔への人間の接近を禁じることで、理性持つ者が狩人に狩られる可能性を抑えてくれた」

総本部総帥「……但し、古塔以外の場所での狩猟は特に禁じていない。……理性持つモンスターの存在は、私しか知らないということになっているしな」

G級チャアク「……モンスターの言葉がわからない人間からしたら、モンスターの理性の有無なんて、確認しようがないもんな」

G級大剣「つまり……大蛇の使命は理性を持つモンスターの育成で……そして総帥の使命は、その理性を持つモンスターが狩られる可能性を抑えることか……」

総本部スタッフ「……歴代の総帥と大蛇しか知らない交換条件があったということですね……全て、ミラボレアスの復活を阻止するために」

帝アマデュラ「…………」

総本部総帥「左様。しかし……今回のような非日常においては、種の壁を超えて共闘した我々であるが」

総本部総帥「所詮は、全く別の生き物だ。お互いに狩る者であり狩られる者でしかない。家畜として使われている草食小型モンスターを除き、絶対に相容れることなどないのだ」

ニャンター「………」

総本部総帥「全てが終われば、また我々は元通り相反する関係になる」

帝アマデュラ「……理性の有無に関わらず、モンスターたちはいつでも狩人の狩猟対象となり、狩人や他の人間たちはモンスターの餌食となるのだ」

350: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)23:09:06 ID:s6v
総本部総帥「そういった点において、アイルーという存在は少し特別な見方をされる」

総本部総帥「ニャンター君。きみは、自分自身のことを何者だと思う?」

ニャンター「………」

ニャンター「……オレは……人間でもモンスターでもニャい……自分が何者か、わからニャい……」

総本部総帥「……逆だよ。アイルーは、人間でもありモンスターでもある」

ニャンター「!」

総本部総帥「この世界を生きる者は、全て二つに分かれる。人間側か、モンスター側か」

総本部総帥「人間でもモンスターでもあるアイルーも、一個体として考えれば必ずどちら側かについている」

G級ヘビィ「……確かにそうだ。人間と共に暮らすか、野生で暮らすか……」

351: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)23:09:54 ID:s6v
総本部総帥「君は特に、モンスターの言語を理解する類稀なるアイルーだ。故に悩むこともあったかもしれない」

ニャンター「…………」

総本部総帥「……モンスターの友達もいるようだが……君は、これからどちら側として生きていくんだい?」

ニャンター「…………」



”旦那さん、今日はどんなモンスターを狩ったのニャ?”

”おお!今日はスゲぇぞ~グラビモス二頭だ!”

”旦那さん!すごいニャ~!”
”旦那さんは世界一カッコいい人ニャ!”



ニャンター「……………」

ニャンター「…………人間です」

帝アマデュラ「…………」

352: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)23:10:48 ID:s6v
総本部総帥「………そうかい。それではこれから、どのように生きる?」

総本部総帥「資格の剥奪は撤回する。ハンターを続けたければ、自由にして構わない」

ニャンター「………いや、オレは………」



”俺は、お前を憎いとは思わねーけど”

”ニャンターさん、俺たちと戦おう!”



ニャンター「……もう、狩りはしニャい……人間の街で生きていくニャ」

総本部総帥「……君が万が一、総本部の刑務所のキッチンから解放されたときに、ぜひ自分のもとへ来て欲しいと懇願していた人がいてね」

ニャンター「………?」

総本部総帥「ラオシャンロンに進行された街のギルドの長が、ギルドの食堂で君に料理を作ってほしいそうなんだ」

ニャンター「……ギルドマスターが……?」

総本部総帥「左様。……君を必要としている。行くかい?」

ニャンター「………」

ニャンター「……行くニャ」

総本部役員「……………」

ハンターたち「…………」

353: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)23:12:18 ID:s6v
総本部総帥「…………君の全ての経歴を調べさせて頂いたが……旦那様を失い、長いこと独りでいて辛いこともあっただろう」

ニャンター「………」

総本部総帥「今回世界が救われたのは、君の功績が大きい。……その小さな体で、よくぞここまで戦ってくれた」

ニャンター「………」

総本部総帥「礼を言おう。……ありがとう。君の存在は偉大だ」

ニャンター「………」

総本部総帥「旦那様は、君のことを誇りに思っているだろう」

ニャンター「………」



”お前は最高の相棒だよ!”

”旦那さん、大好きニャ~!”



ニャンター「………」ポロッ

ニャンター「………ニャーン……」ポロポロ……

ニャンター「…………旦那さん……………」ぼろぼろっ

総本部総帥「………」ポンポン…

ニャンター「……………」ポロポロ

354: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)23:13:44 ID:s6v
------翌朝、同場所------


ザワ……ザワ………

リオレウス「……えーー、皆起きているな。昨日は散々恐ろしい経験をしてしまったかとは思うが、今日も恐ろしい話をするぞ」

リオレウス「期末試験の件だ」

生徒たち「ギャーーーーーーーーーーーーー!!」

リオレウス「期末試験は中止するという結論に至った」

生徒たち「イエーーーーーーーーーーーーー!!」



シャガル「……アイルーの狩人よ。貴様の働きには礼を言う」

ニャンター「……礼を言うのはオレの方ニャ」

帝アマデュラ「最後の……生徒たちとハンターたちの一撃は、少しでも欠ければ黒龍の命を削ることはできなかった」

帝アマデュラ「……人間たちは、黒龍の出現はおろか学校の存在など、全て見なかったこととして決して口外しないと約束してくれた」

シャガル「……左様でございますか……では、あの古塔はまだ守られるのですね」

帝アマデュラ「……学校の設立のきっかけである黒龍は死んだが……これから先も、理性持つ者の教育は続けて頂きたい」

シャガル「勿論でございます。……もしいつか、再び黒龍のような大きな脅威が立ちはだかった時に……我々の学校は必要でしょう」

355: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)23:15:45 ID:s6v
ざわ、ざわ……

ガヤ、ガヤ……


総本部総帥「再三言わせて頂くが、全て見なかったことにしてくれ」

総本部総帥「誰も何も知らないままにしておきたい」

総本部総帥「全世界に発令した非常事態宣言も、総本部の誤報ということで片を付ける」

総本部総帥「多くの人々は……ミラボレアスなどという魔物の存在など、知るべきではないのだ」

総本部総帥「人間とモンスターは、明日からはまた、狩る者と狩られる者だ」

職員たち「…………」

G級太刀「ええ、承知しています。断じて口外など致しません」

G級ヘビィ「(報酬金という名の口止め料も……一人100万zも貰っちまったしな!)」

総本部役員「ああ……疲れた、もう帰りたい」

総本部スタッフ「(あなたは帰ったらハンター訓練ですよ……)」

総本部役員「この高速飛行船は……別のギルドから借りたやつか……」

総本部スタッフ「そうですね。……我々の乗っていたものは墜落しましたから……また作らなくてはなりませんね」

総本部役員「仕方ないな……造船所に顔出しでもするかね、どうせヒマだしな」

総本部スタッフ「(いいえ……ハンター訓練が待っているんですよ…)」

356: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)23:17:13 ID:s6v
ニャンター「……ふーー……」むくっ

ニャンター「(オレはもう、人間の街から出ニャい)」

ニャンター「(無論、あの轟竜や……その仲間にも、二度と会うことはニャい……)」



ティガ「………ニャンターさんっ!」ドタドタ…

ニャンター「………!」

ティガ「ニャンターさん、帰るのか……?」

ニャンター「……ああ。朝になったし、飛行船も出せるので帰還するニャ」

ラギア「えーーーこれから一緒にミツネの巣に行こうぜ?!」

ミツネ「えっ」

ガムート「ホントに帰っちゃうの……?」

ライゼクス「つまんないじゃーーーん、仲良くなろーーよ!!?」

ニャンター「…………」

ティガ「………………ニャンターさん、俺、ニャンターさんと知り合えて良かった」

ティガ「変なインネンみたいなのがあるけど……でも、正直ニャンターさんは……友達みたいだと思う」

ニャンター「………」

ニャンター「………オレにとっても、貴殿の存在は大きいニャ」

ニャンター「ニャんとも不思議な感覚であるが……これを友と呼ぶのニャろうか?」

ニャンター「……貴殿のことは永遠に忘れニャい」

ティガ「……また、会えるよな?」

ニャンター「…………」

357: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)23:18:05 ID:s6v
ニャンター「…………きっと、いつかまた会うときがくるかも知れニャいニャ」

ティガ「そっか。……俺も、ニャンターさんのこと忘れねェよ!」

ティガ「その武器も、大切にしてくれよ!」

ニャンター「勿論ニャ。……貴殿の父と、オレの旦那さんの一部で出来た剣ニャ。……何よりの宝ニャ」

ティガ「………じゃあな、ニャンターさん」

ニャンター「…………」

ニャンター「……すまぬ、スタッフ殿。何か書くものがあるニャろうか?」

総本部スタッフ「ああ……どうぞ、メモ帳とペンだ」スッ

ニャンター「かたじけニャい」くるっ

カリカリ……

ラギア「何書いてんのーー?」

ライゼクス「ラブレターかな?!」

ティガ「………?」

358: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)23:18:51 ID:s6v
ニャンター「……これを渡す。オレが帰ったあとに、読んでくれニャいか」パサッ

ティガ「お?……おお、わかった」


職員たち「飛行船の準備が整いました。帰還しましょう」

ハンターたち「うーーーい……」ゾロゾロ…


ニャンター「では、本当に行くニャ」ピョン

ラギア「じゃあな!元気で過ごせよー!」

ライゼクス「バイバイ~~!」

ミツネ「さようなら、ありがとうね」

ガムート「なんだか寂しいね……」


ティガ「ニャンターさん!元気でな!!!」


職員たち「全員乗りましたね。出航致します!」

ガラガラガラガラ……
ゴォン……ゴォン………

ニャンター「…………」コクッ

ティガ「…………」コクッ

359: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)23:20:39 ID:s6v



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ライゼクス「……行っちまったなーーー」

ラギア「なーー。よし、ミツネの巣いくか」

ミツネ「まじですか……」


ティガ「…………」

ガムート「……ティガ君……お手紙読んでみたら?」

ティガ「……ああ、そーだな……」パサッ

ティガ「…………」

ティガ「…………ふは!」

ティガ「……アイツ……」ニヤニヤ

ガムート「???……何が書いてあったの?」

360: ◆nQHPNRFeQI 2017/03/18(土)23:21:20 ID:s6v
ティガ「……あのさぁ、ガムート」ニヤニヤ

ガムート「?」

ティガ「お前、誕生日もうすぐだよな?」

ガムート「えっ!!う、うん……明後日だよ……//」ドキドキ

ガムート「(キャーーーーー!!なんでいきなりっ……)」ドキドキドキドキ

ティガ「そーか。……期待してろよ、めちゃめちゃいいプレゼントやるよ」

ガムート「…………??//」ドキドキ

ティガ「帰ろうぜ!」



『おいしい ケーキの つくりかた
(オレの秘伝レシピニャ)』





------------完------------

引用元: リオレウス「授業始めるぞー教科書開けー」