妹「兄、大丈夫か？」

兄「......苦しい。下痢と腹痛と熱が酷い」

妹「(サルモネラか、よしよし)大変だねー」

妹「ほら、出せよ」

兄「......何を？」

妹「今週末に彼女をデートに誘うために金はたいた人気バンドのプレミアチケット。その状態じゃ使えないだろ？」

兄「......」

妹「ほら、はやく」

兄「やっとデートに誘えたんだ！プレミアチケットで最前列真中、バイトして12万も使ったんだぞ！！」

妹「はよ！はよよこせ！」

兄「治す、明日には絶対治す」

妹「ライブとか、曲中にたてないだろ！あと休憩は混みまくってトイレいけないだろ！漏らして彼女とあそぶの？」

兄「......」

妹「......なんて強情な。12万はさすがに譲りづらいか」

兄「高一の夏休みほぼ潰したんだぞ！高三は受験があるから実質二年。一番楽しい休みの時間の半分を捧げててに入れたんだぞ！！」

妹「......(もう少し弱らせるか)」

台所

妹「これ行くか」

エナジードリンク×36

妹「致死量は1時間以内に24本か。なら22本くらいだな......」

妹「蒸留して濃度を上げてホットケーキミックスと混ぜ合わせて完成！」

兄「ｳｰﾝｳｰﾝ」

妹「兄よ、昼御飯だ。ホットケーキを焼いたぞ！」

兄「......ｳﾌﾟ、熱があるからか味が変に感じる」

妹「そうか。どんどん食べろ」

兄「もういい」

妹「(半分だと？全然足りてない！！)......体に悪いから全部食べよう？」

兄「......パク。ｳﾌﾟ」

ニーズなしか

兄「......」

妹「おい、どうした？」

兄「......(青ざめて白目で涎ダラーー)」

妹「やばい！！！」

兄「......」

妹「しっかり、しっかりしろ！うわ、手冷た！！」

兄「......」

妹「脈はあるし目は虚ろだが死にはしないか。おい、きこえるか？」

兄「コクリ」

妹「はやく、意識があるうちにライブチケットをよこせ！」

兄「......」

妹「はやく、意識が飛ぶとこまるだろ！！」

妹「ゲットしたった！！」

兄「......」

妹「ありがとな？本当に良いんだな？もう返さないからな？」

兄「(コク)」



当日

妹「......いってくるな？」

兄「(コク)」

妹「なんだか不気味なくらい優しいな」



妹友「すごいプレミアチケットじゃんいいの？」

妹「いいって貰いものだし」

妹友「ありがとう！」

妹「まだ開場まで時間あるな。映画でも見に行く？妹友ちゃんのおごりで！」

妹友「......うん」

映画

妹友「動物って死ぬ前に狩場や巣、自分の宝を家族に譲るんだね」

妹「......」

妹友「さぁ、見に行こうか」

妹「そ、そうだな！」





兄「おかえり、楽しかったか？」

妹「ただいま。生きてるじゃないか」

兄「ライブの席良かったろ？」

妹「......気になって途中で帰ってきた」

兄「......」

妹「元気になったならなったで連絡入れろカス！！！」

兄「ありがとな」

妹「ｸﾞｽｸﾞｽ......まぁ元気になったならいいか」

兄「......それより、俺が買い込んでたエナジードリンク。22本消えてるんだが知らないか？」

妹「......ｼﾗﾅｲ」



fin