タプリス「あの……黒奈さん？　これは何ですか？」

黒奈「何って……首輪」

タプリス「それは見ればわかりますよ！　なんでプレゼントが首輪なんですか！？」

タプリス「はっ！？　まさか私を服従させようと…！？　駄目です！！　私は悪魔なんかには…！！」

黒奈「千咲……首が無防備だと恥ずかしいって言ってた……」

タプリス「えっ？　確かに言いましたけど……」

黒奈「……これをつければもっと防御力が上がる」ﾌﾝｽｯ

タプリス「そんな理由で！？」

黒奈「つけないの…？」

タプリス「つけませんよ！！　私にそんな趣味はありません！！」

黒奈「そう……」

タプリス（…はっ！？）

タプリス（形はどうあれこれは私のために選んでくれたもの……それを受け取らずに返すというのは天使として……）

タプリス（それに掃除の件を考えると黒奈さんは意外と傷つきやすい…？）

黒奈「…？」

タプリス（だとしたらこれを受け取らなかったらショックを受けるのでは……？　いやでも首輪……）ﾓﾝﾓﾝ

黒奈「千咲？」ﾁｮﾝﾁｮﾝ

タプリス「ひゃわあ！？　なんですか！？」

黒奈「それ……要らないなら……持って帰る」

タプリス「えっ！？　でも私のために選んだって……」

黒奈「気に入らないなら……仕方ない」

タプリス「うぐっ！！」

タプリス「……」

黒奈「千咲？」

タプリス「……ええい！！」ﾊﾞｻｧ ｶﾁｬｶﾁｬ

タプリス「つけましたよ！！　どうです似合います！？」

黒奈「千咲……つけてくれて嬉しい」

タプリス（まあマフラーで隠せば大丈夫でしょう……）

放課後　ヴィーネ宅

ｻﾞｧｻﾞｧ

タプリス「うう……にわか雨に降られるなんて……月乃瀬先輩すいません……」

ヴィーネ「いいのよ気にしないで？　それよりだいぶ濡れちゃったわね」

ヴィーネ「風邪引くといけないから良かったらシャワー浴びてって」ﾆｺｯ

タプリス「すいません……そうさせてもらいます……」

ヴィーネ「あ、マフラーはこっちに干しておくわよ」

タプリス「何から何まで申し訳ないです……」ｼｭﾙｼｭﾙ

タプリス（ん？　何か忘れてるような……？）ﾊﾟｻｧ

ヴィーネ「じゃあマフラーを…！？」

ヴィーネ「タプちゃん！？　そ、その首輪は……」

タプリス（あっ！！あああああああああああああああああ！！）

タプリス（つけたままだったの忘れてましたああああああああああ！！）

ヴィーネ「タプちゃん……そんな趣味が……」

タプリス「違うんです先輩！！　これは私じゃなくて友達の趣味で…！！」

ヴィーネ「友達！？　友達とそんなことを！？」

タプリス「へっ！？　あっ！？　そういう意味ではなくてですね！！」

タプリス「えーっと、えーっと……」ｵﾛｵﾛ

ヴィーネ「タプちゃん……いいのよ、天使も性格は様々だもんね」

タプリス「えっ！？」

ヴィーネ「ただ…何か悩んでることとかあったらいつでも相談に乗るからね」ﾆｺｯ

タプリス（月乃瀬先輩……なんて慈愛に溢れた眼差し……じゃなくて！！）

タプリス「誤解です先輩！！信じて下さい！！」

翌日

タプリス「うう……誤解を解くのは大変でした……」

黒奈「千咲……これあげる」

タプリス「またですか！？」

黒奈「今度は首輪じゃない……これ」

タプリス「これは……マフラー！！」

黒奈「やっぱり千咲にはこれが一番似合う……」

タプリス「黒奈さん……」

黒奈「……受け取ってほしい」ｽｯ

タプリス「はい！ぜひとも！」ﾎﾟｽｯ

ｽﾞｼｯ

タプリス「！？」ｸﾞﾗｯ

ｽﾞﾄﾞｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫﾝ

タプリス「……黒奈さん？　なんでこのマフラーこんなに重いんですか？」

黒奈「……これで千咲の首はさらに防御力が上がる」ﾌﾝｽｯ

タプリス「なんでそんなに防御力を上げたがるんですか！？」

黒奈「つけないの…？」

タプリス「つけませんよ！！　というかつけられませんよ！！」

黒奈「そう……」

タプリス（…はっ！？　また！！）

黒奈「要らないなら……」

タプリス「うおおおおおおお！！」ｸﾞｲｯ ﾎﾞｽﾝｯ

タプリス「はぁはぁ……何とかつけられました……」ｸﾞﾗｸﾞﾗ

黒奈「千咲……たくましい……」

黒奈「これで千咲の首が守れる……」

タプリス（うう……思いやりが色んな意味で重いです……）

数日後

サターニャ「ふっふっふ……これぞ魔界通販で手に入れたデビルパイソンWtwinMk-Ⅱsecond……これでガヴリールを……」

「胡桃沢先輩！！　あなたを天真先輩のところにはいかせません！！」

サターニャ（この声は…私にコテンパンにやられた天使ね！！）

サターニャ「なーはっはっは！！　あなたごときがこの大悪魔胡桃沢……」ｸﾙｯ

ムキリス「今度こそあなたに勝って天真先輩を取り戻します！！」ﾕｰﾊｼｮｰｯｸ!!

サターニャ「あんた誰！？」

ムキリス「敗者の顔は覚えるまでもないということですか…！！」ﾑｷﾑｷ

サターニャ「いやこんな筋肉ダルマ会ってたらさすがに忘れないわよ！！」

ムキリス「勝負です胡桃沢先輩！！　今度こそ勝ってみせます！！」ﾑｷｨｨｨｨｲ

サターニャ「この大悪魔サタニキア様に挑もうなんて100年早……」

ムキリス「ずあっ！！！」

ﾊﾞｷｨｨｨｨｨｨｲ！！

サターニャ「」

サターニャ（え…？　何あれ……何もしてないのにあいつの周りの地面が抉れて……）

ムキリス「はああああああああああああああああ！！！！」ｼｭｲﾝｼｭｲﾝ

ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗ

サターニャ（今度は瓦礫が舞い上がってる……！！）

ムキリス「はぁ！！！」ﾌﾞﾜｯ

サターニャ（今度は突風！？　あ…これ吹き飛ばされ……）

サターニャ「わああああああああああああああああああ！！」ﾋﾞｭｳｳｳｳｳｳｳｳｳ

ムキリス「さあ準備運動は終わりました！！今度は7ならべで勝負……」

ムキリス「あれ居ない…？　逃げられましたか……」

………

サターニャ（木の上）「ｷｭｳ……」ｸﾞﾙｸﾞﾙ

数日後

タプリス「何とか元の状態に戻れました……」

黒奈「千咲……これあげる」

タプリス「防御力なら要りませんよ！？」

黒奈「違う……今度はこれ」ｽｯ

タプリス「何ですかこれ？　随分と大きいですね……」

黒奈「開けてみてほしい」

タプリス「どれどれ……」ﾊﾟｶｯ

なんか禍々しい剣「」ｽﾞｫｵｵｵｵｵｵｵ

タプリス「」

タプリス「何ですかこれ！？」

黒奈「これは……魔界に封印されし……魔剣バルムンク」

タプリス「魔剣バルムンク！？」

黒奈「防御力がいらないなら……攻撃あるのみ」

タプリス「いや防御力が要らないってそういう意味じゃ……」

黒奈「これを常に持ち歩いておけばいつでも戦える」

タプリス「銃刀法違反！！」

黒奈「……受け取ってほしい」

タプリス「いや流石に受け取れませんよこれは！！」

黒奈「……なんで？」ｷｮﾄﾝ

タプリス「だってなんかすっごい邪悪なオーラ纏ってますし！！　天使が持ったらマズそうなビジュアルしてますし！！」

ガヴリール「あれ？　タプリスこんなところで何してんの？」

タプリス「あっ！！　天真先輩それがですね……」

ガヴリール「って！！　うおおおお！！　すげぇ！！」

ガヴリール「これ魔剣バルムンクじゃん！！」ﾋｮｲ

タプリス「！？　天真先輩！？　そんな禍々しいものに触れては…！！」

ガヴリール「タプリス、これレプリカだぞ？」

タプリス「へっ？　だってこんな禍々しいオーラが……」

黒奈「……私の術で演出してみた」

タプリス「紛らわしいことしないでください！！」

ガヴリール「しかしいい出来だなこれ……これゲームに出てきたやつだろ？」

黒奈「……知ってるの？」

ガヴリール「私も今プレイしてるんだよそのゲーム、面白いよな」

黒奈「私も……あのゲーム好き」

ガヴリール「おっ、マジか！　……まあこんなの持ってるんだから当たり前だよな」

ﾜｲﾜｲ

タプリス（あの天真先輩があんなに……楽しそうに話して……）

タプリス（いいなぁ……でも私はゲームの話分からないですし……）

黒奈「……」

翌日

黒奈「千咲……これあげる……」

タプリス「今度はなんですか！！　戦闘力なら……」

タプリス「ってあれ？　いなくなってます……」

タプリス「ん？　これは……ゲームソフト？」

タプリス「もしかして……昨日話してたゲーム……」

………

タプリス「というわけでついに普通に喜べるプレゼントをもらってしまったんですよ！！」

ラフィ「良かったですねタプちゃん」

ラフィ「……それで、相談というのは？」

タプリス「その……貰ってばっかりだったので私からも何かあげた方がいいのかと思いまして……」

タプリス「でも……相手は悪魔で……天使の私がこんなに仲良くしていいのかと……」

ラフィ「……タプちゃん、タプちゃんはどうしたいですか？」

タプリス「私……ですか？」

ラフィ「その子と仲良くしたいんですよね？」

タプリス「……悪い方ではないと思うので……できれば」

ラフィ「誰かと仲良くしたい……その想いは、たとえ相手が悪魔であろうと否定すべきではありませんよ」ﾆｺｯ

タプリス「！！　白羽先輩……ありがとうございます！！」ﾍﾟｺﾘ

翌日

タプリス「黒奈さん！！　これあげます！！」

黒奈「これ……カチューシャ？」

タプリス「私がもらってばっかりというのも申し訳ないですからね！！　お返しです！！」

黒奈「千咲……」

黒奈「嬉しい……ありがとう」ﾆｺｯ

タプリス「！！」ﾄﾞｷｯ

タプリス（なんだ……普通に笑えるんじゃないですか……）

タプリス「それと……この間貰ったゲームなんですが……」

黒奈「……？」

タプリス「遊んでみたのですが……その……」

タプリス「私には難しいところが多くて……」ﾓｼﾞﾓｼﾞ

黒奈「千咲……？」

タプリス「良かったら……一緒にやってくれませんか？」ﾆｺｯ

黒奈「……うん、いいよ」

タプリス宅

テレビ「ｹﾞｰﾑｵｰﾊﾞｰ」

タプリス「……」

黒奈「……千咲、弱い……」

タプリス「なっ！？　もう一回！もう一回です！」

黒奈「これで残りライフ5……最初に99貯めておいたのに……」

タプリス「あーもう！！　こうなったらこのステージだけでも……」

タプリス「コンティニューしてでもクリアしますよ！！　黒奈さん！！」

黒奈（千咲……やっぱり見てて楽しい……）

END