女「あれもってきてよ！　シューってするやつ！」

男「よし」

G「お？」

男「この駆除スプレーを使えば」

ｼｭｰ

G「なんか霧かけられとるｗｗｗｗｗクソワロタｗｗｗｗｗｗｗ」

男「え……」

男「あたらなかったか？」

女「ちょっと、新居の壁汚さないでよ」

男「おかしいな？　効き目薄いのかな？」

女「はやくやっつけてよ～～～」

G「他の餌どこにあるんだろ」ｶｻｶｻ

女「ひぃぃきもいきもいきもい！」

男「ゴキブリがこんなに人から逃げないなんて…」

男「おい、ここは俺たちの念願のマイホームだぞ。ぶっ殺してやる」

男「熱湯わかしてきてくれ」

女「わかったわ」

G「こんなところにも食べ物あったｗｗｗｗｗ」ﾑｼｬﾑｼｬ

女「もってきたわよ」

男「よし、掃除は手間だがしかたない」

男「あれを食ってるうちに…」

ﾄﾞﾊﾞｯ

G「熱すぎワロタｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」

男「よし、さすがに死んだか……」

男「え…？」

女「うそ、今熱湯かかったよね？」

G「体ぽっかぽかでワロタｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」ｶｻｶｻ

男「おい、スリッパ貸せ」

女「いやよ。叩く気！？」

男「いいから早く！」

男「死ねこの野郎が！！」

ﾊﾞｼｰﾝ

G「……」

G「音うるさすぎワロタｗｗｗｗｗｗ」ｶｻｶｻｶｻｶｻ

男「ひっ……」

男「嘘だろ…いま手応えあったぞ…」

女「はやく殺してよ～～～！」

G「じゃあそろそろ食後の運動すっか」

ｶｻｶｻｶｻｶｻｶｻｶｻｶｻｶｻ
ｶｻｶｻｶｻｶｻｶｻｶｻｶｻｶｻ
ｶｻｶｻｶｻｶｻｶｻｶｻｶｻｶｻ

女「いやああああああ！！　きもちわるい！」

男「は、速すぎるッ！」

男「と、とりあえず今日は寝よう」

男「ホイホイもあるし、ブラックキャップも設置してるから」

男「多分そのうち罠にかかって死んでるはず……」

女「うぇぇん、なんでよぉ、新居で最初の夜なのに…」

～真夜中～


G「あー腹いっぱいだ」

G「変なベタベタする箱の中の餌もうまかったな～」

G「でも喉がかわいたんだよなぁ」

G「どっかに水分ないかなぁ」


男「…ｽﾔｽﾔ」

女「…ﾝｺﾞｫｫｫ　ﾝｺﾞｫｫｫ」

G「お、そうだ！」

G「あるじゃ～ん、水のむ所」

ｶｻｶｻｶｻｶｻ

女「……んっ……んんぅ！？」

G「うめぇｗｗｗｗｗ人間の口の中の水分うめぇｗｗｗｗｗ」ｺﾞｸｺﾞｸ

女「ん！？」

女「げほっ、ぺっ……な、何？」

G「ごちそうさまｗｗｗｗｗｗｗｗ」ｶｻｶｻｶｻｶｻ

女「きゃーーーー！！！」

男「な、なんだ！」

女「絶対殺す！　ぶっ殺してやる！」

男「まて、火は止めろ」

女「駆除剤でも熱湯でも叩いても殺せなかったのよ！」

女「焼き殺すしかないじゃない！　キェェェーーー！」


Ｇ「炎熱すぎワロタｗｗｗｗｗｗｗｗ」ｶｻｶｻ

男「や、やめろ！　走りまわるな！！　火がっ…！！」

「○○さんのお宅、全焼ですって」

「うそー、建てたばかりの新居でしょ？かわいそうにねぇ」

「どうやら寝タバコが原因じゃないかって」

「うちも気をつけないと」

「あら？　きゃっ、ゴキブリよ。しかもおっきい…」

「やぁねぇ。最近増えてきたわ」

　　

～その頃　とある研究所～


研究員A「大変だ！　被験体Gがいないぞ」

研究員B「なんだって！？　そんなはずは…」

研究員C「誰かが間違えて処分したんじゃないか？」

研究員A「バカ言え、あんなもの処分できるわけがない」

研究員A「まずいぞ…なんとかして見つけないととんでもないことになる」

研究員C「どういうことですか？」

研究員B「お前は知らないかもしれないが、あのゴキブリは我が製薬会社において特別な被験体でな」

研究員A「薬剤の効能を調べるために特殊な遺伝子操作を行ったゴキブリの子孫なんだ」

研究員C「それがどうしてまずいんです？」

所長「死なんのじゃよ…どうやってもな」

所長「鋼の甲殻、無尽蔵の体力、ありとあらゆる耐性、並外れた飛翔能力」

所長「そして繁殖力」

所長「ワシの６０年の研究の成果じゃ。ふぉふぉ」

研究員A「所長…！　大変です。そのGがいなくなりました」

所長「そうか…それはいたしかたあるまい」

研究員A「所長…？」

研究員B「まさか…」

研究員A「所長がGを解き放ったのですか？」

研究員B「あの部屋を開く権限は所長しかもっていらっしゃらないはず」

所長「……ふぉふぉ」

所長「ワシはもう疲れたのじゃよ」

所長「毎日罪なきたくさんのゴキブリで薬効を試し、命を弄ぶ終わりなき日々にのぅ」

所長「あげくの果てには遺伝子の操作。他社の薬剤に耐性のついたゴキブリを生み出し、世に少しずつ解き放ち」

所長「我が社の薬剤を売りつける、人あらざる悪魔の所業の数々」

所長「その末に生まれたのがGという存在じゃ」

所長「代を経て、やつは不滅の肉体とあらゆる耐性をつけ、神にも等しい究極の生物となった」

所長「そんな存在を、人間ごときの手で管理するなど、おこがましいことじゃとはおもわんかね」

研究員A「では…やはり所長が…」

所長「ワシの生涯に渡る研究はもう終わったのじゃ」

所長「最後に、こんなことにつき合わせた彼を自由にしてやりたかった」

研究員A「しかし…あれが世界中で繁殖したら…人間は…」

研究員A「あんな化物がどんどんを子供をうんだら、駆除できない数になります！！」

研究員A「世界中がゴキブリの棲家になりますよ！」

所長「ふぉふぉ。ゴキブリを忌み嫌い、命を弄んできた人間たちが、ゴキブリに滅ぼされるとなれば」

所長「それも、自然の摂理じゃろうて」

所長「ふぉふぉふぉふぉ！」



TV「ただいま入りましたニュースです」

TV「世界保健機関WHOの発表によりますと、新型ゴキブリの伝染病による死者は全世界でついに８０００万人を越える見通しとなり今後も更に―――――

終