1: 名無しで叶える物語 2017/11/25(土) 00:02:52.14 ID:0msLoQBA.net
梨子「ど、どうかな……まだ途中なんだけど」

曜「……いい感じだと思う! なんかすごく良い曲になりそうな予感!」

梨子「ほ、本当……?」

曜「うん! やっぱり梨子ちゃんの作る曲は最高だよ!」

曜「梨子ちゃんがAqoursにいてくれ本当に良かったよ!」

梨子「えへへ……ありがと、曜ちゃん」


千歌「…………」


ルビィ「曜ちゃんっ、こ、こんな感じで大丈夫ですか……?」

曜「うんっ、完璧完璧! いや~ルビィちゃんが手伝ってくれると本当に助かるよ!」

曜「これからも手伝ってくれると嬉しいなぁ」

ルビィ「ル、ルビィ、曜ちゃんの為に頑張りますっ!」


千歌「……むぅ」

3: 名無しで叶える物語 2017/11/25(土) 00:08:14.54 ID:0msLoQBA.net
曜「よしっ、じゃあ一緒に帰ろうか善子ちゃん」

善子「だからヨハネ! ……ま、まぁ一緒に帰るのはやぶさかではないけど……」

曜「帰りにちょっと寄りたいところあるんだけど、付き合ってもらってもいいかな、善子ちゃん」

善子「だからヨハネだってば……まぁ買い物くらいならいいけど?」

曜「やったー! 善子ちゃんの何だかんだ付き合いのいいところが好きー」

善子「な、何言ってんのよ! さ、さっさと行きましょ!」


千歌「…………むぅ」

鞠莉「ちかっちどうしたの? 難しい顔しちゃって」

千歌「……別に何でもないけど」

鞠莉「……ふぅん、なるほどね」

千歌「え、何がなるほどなの?」

鞠莉「べっつにぃ~……ふふふ」

千歌「……?」

5: 名無しで叶える物語 2017/11/25(土) 00:13:04.17 ID:0msLoQBA.net
千歌(うーん……なんだろ、最近感じるこの違和感……)

千歌(何か足りないというか……あー、なんかモヤモヤする!)

千歌(……とりあえず梨子ちゃんにでも相談してみようかな)


千歌「おーい、梨子ちゃ~ん」

梨子宅「――デネ、アハハー」

千歌「ん? 誰かと電話中かな?」

梨子「――ごめん、それじゃまた明日、おやすみなさい」

『うん、おやすみー』

プツッ

梨子「お待たせー、千歌ちゃん」

千歌「いや、別に大丈夫だけど……今の電話の相手ってさ……」

梨子「ん?」

千歌「……曜ちゃん?」

6: 名無しで叶える物語 2017/11/25(土) 00:18:04.32 ID:0msLoQBA.net
梨子「うん、そうだけど……よくわかったね」

千歌「ちょっと声が聞こえたから……それにしても最近梨子ちゃんさ、曜ちゃんと仲いいよね」

梨子「そうかな? まぁ同じAqoursだし、二年生だし、普通だよ」

千歌「また曲の相談?」

梨子「うん、まぁそんなところ」

千歌「ふぅん……」

千歌(……まただ……またこの違和感……さっきより強くなってる……)

梨子「それで、呼び出したのはなんで? また悩み事?」

千歌「うん……なんか最近、変なんだ」

梨子「変って……具体的に何が変なの?」

千歌「……よくわかんない」

梨子「……はぁ?」

千歌「よくわかんないけど……なんか変なの。こう、胸の奥がモヤモヤってするというか、ムカムカっとするっていうか……」

梨子「う、ううーん……精神的な悩みってことかな……?」

8: 名無しで叶える物語 2017/11/25(土) 00:29:05.46 ID:0msLoQBA.net
梨子「まぁ千歌ちゃん、最近色々あったんだし、疲れてるんじゃないのかな?」

千歌「そうなのかなぁ……」

梨子「私も千歌ちゃんに負担かけてるかもしれないけど……」

千歌「ううん、そんなことないよ! ごめんね、変な話して……」

梨子「ううん、また何かあればいつでも相談してね」

千歌「うん、ありがとう、梨子ちゃん……」


千歌(……結局よく分かんなかったなぁ。何なんだろ、このモヤモヤ)

千歌(……曜ちゃんにも、相談してみようかな)

千歌(……いや、やっぱやめとこ……)

千歌(今日はもう……寝よう……)

10: 名無しで叶える物語 2017/11/25(土) 00:45:46.53 ID:0msLoQBA.net
???「あ、あのっ!」

曜「は、はいっ?」

???「あの……Aqoursの渡辺曜さんですか?」

曜「そ、そうだけど……」

???「あ、あの……私ファンなんです! これに、サインくださいっ!」

曜「え、ええーっ、サイン? 私の?」

ファン「は、はいっ!」


ルビィ「曜ちゃんすごぉ~い。サイン書いてる!」

善子「最近多いわよね、曜のファン」

花丸「さすが曜ちゃんずら。マルも、サイン求められたりしてみたいずら……」


梨子「曜ちゃんすごいね、ファンが付いてるみたい」

千歌「……」

梨子「……千歌ちゃん?」

千歌「ふぇ? ご、ごめん、ボーッとしてた……」

梨子「……?」

鞠莉「ちかっち~、昨日からどうしたの?」

千歌「ええっ? わ、私なんか変、かな……?」

鞠莉「……相談に乗るわよ、ちかっち。話してみて」

千歌「……うん」

鞠莉「……ちょっと二人きりになりましょうか」

11: 名無しで叶える物語 2017/11/25(土) 00:53:35.43 ID:0msLoQBA.net
鞠莉「それで? 最近のちかっちは何かお悩み中?」

千歌「う~ん……自分でもよくわかんなくて……」

鞠莉「もしかしてだけど……曜のことかしら?」

千歌「え……なんで……?」

鞠莉「だってちかっち、気づいたら曜のことばっかり見て、不機嫌そうな顔してるんだもの。何か曜とあった?」

千歌「そういうわけじゃないんだけど……」

鞠莉「……素直に話してみたら? 今の曜のこと、何か考えてるんでしょ?」

千歌「……あのね、変な話かもしれないんだけど……」

鞠莉「……?」

千歌「……最近ね、曜ちゃんが……遠くへ行っちゃった気がするんだ……」

12: 名無しで叶える物語 2017/11/25(土) 01:03:23.93 ID:0msLoQBA.net
鞠莉「WHY? 遠くに? どういうこと?」

千歌「うん……言葉にするのは難しいんだけど……最近、曜ちゃんが色んな人と仲良くなってて……ファンの子もついて……」

千歌「曜ちゃん、昔からみんなと仲良くしてるのは当たり前だったんだけど……何故か、今は違和感があるんだ……」

千歌「なんか……最近一緒にいる時間が減ったというか……あんまり話せてないなぁって」

鞠莉「ふむふむ……」

千歌「昔はね! 千歌が一番曜ちゃんと遊んでたの! いっつもいっつも遊んで、たまに遅くまで遊びすぎてお姉ちゃんに怒られたりしたこともあった。それぐらい、ずっと一緒にいたのに……」

千歌「でも今は……曜ちゃんがほかの皆と仲良くする時間が増えて、ファンがついて本当にアイドルみたいになって……どんどん遠くに行っちゃうように感じるんだ……」

千歌「何でだろう、やっぱり変だよね……こんな風にかんじるのって」

鞠莉「はは~ん……なるほどねぇ……ふふっ」

鞠莉「やっぱりあなた達、似た者同士なのね」

千歌「……え?」

13: 名無しで叶える物語 2017/11/25(土) 01:17:01.31 ID:0msLoQBA.net
鞠莉「ふふっ、きっと寂しいのね、ちかっちは」

千歌「寂しい? 寂しいってこと、なのかな……?」

鞠莉「そう、今までずっと一緒にいた人が遠くに行ってしまいそうで、もどかしい感覚……曜のこと、離したくないのね」

千歌「そう、なのかな……」

鞠莉「あとはちかっちがそれだけ曜のこと、大好きってことね」

千歌「そ、そりゃあ曜ちゃんのことは大好きだよ? 今までずーっと一緒にいたわけだし」

鞠莉「ふふ、そういう”好き”じゃなくて……”ラブ”の方よ?」

千歌「……どういうこと?」

鞠莉「そのうちちかっちにも分かるわよ。それよりも、二人の時間が作りたいのなら、作ればいいんじゃないかしら?」

千歌「え? どうやって?」

鞠莉「そんなの簡単、ノープロブレム!」

鞠莉「デートに誘えばいいのでーす!」

14: 名無しで叶える物語 2017/11/25(土) 01:33:38.98 ID:0msLoQBA.net
千歌「……はぁ」

千歌(鞠莉ちゃんのアドバイスで曜ちゃんをデート……というかお出かけに誘ったけど……)

千歌(何かめっちゃ緊張する! 今までこんなことなかったのに……)

曜「おーい、千歌ちゃーん!」

千歌「あっ……よ、曜ちゃん!」

曜「ごめん、待たせちゃった?」

千歌「ううん、そんなことないよ。私もついさっき来たところ」

曜「本当? よかったぁ」

千歌(本当は緊張して1時間前には来ちゃってたんだけどね……)

曜「いやぁ久々に2人で遊びたいなんて言うからさ、私もすっごい楽しみにしてたんだ!」

千歌(あ、曜ちゃん嬉しいそう……誘ってよかったかも……)

曜「それで、どこに行くかは決まってる?」

千歌「じ、実は……」

曜「……?」

千歌「……な、なにも考えてない、です」

曜「……ええ?」

16: 名無しで叶える物語 2017/11/25(土) 01:43:12.57 ID:0msLoQBA.net
曜「あははっ! 行く場所考えてなかったのかぁ」

千歌「ははは、なんかごめん……」

千歌(誘うことばっかりで当日のことなんて何も考えてなかったよ……)

曜「でもそれも千歌ちゃんらしくていいね! なんか楽しいよ、こういうの久しぶりで!」

千歌「うん……いつもふら~っと集まって、どこかで適当に遊んでたよね」

曜「うんうん! こういう感じで適当に集まって……えへへ、なんか昔のこと思い出しちゃった……」

曜「そうだ! まずはみとしーからでもいかない? ……って行っても、もう行き過ぎて見飽きたかもしれないけど……」

千歌「う、ううん! 全然! みとしー行きたい! 行こ、曜ちゃん!」

曜「うん、じゃあ行こっか! 全速前進ヨーソロー!」

千歌「……くすっ、曜ちゃん元気だなぁ」

曜「あ……やっと笑ってくれた」

千歌「……え?」

17: 名無しで叶える物語 2017/11/25(土) 01:47:00.86 ID:0msLoQBA.net
曜「なんか最近、千歌ちゃん元気なさそうだったらから……今日はちょっとでも元気、戻ってくれればなって……」

千歌「曜ちゃん……」

千歌(……私、ばかちかだ……誘ったのに何も考えてなくて、しかも曜ちゃんに変な心配させちゃって……)

千歌(でも曜ちゃん、私のこと気にしてくれたのかな……ちゃんと私のこと、見ててくれたのかな……)

曜「……千歌ちゃん?」

千歌「今日は……いっぱい遊ぼ、曜ちゃん! 久しぶりに遊びまくろう!」

曜「……うんっ!」

ギュッ

千歌(あ……手……)

曜「じゃあ行くよ千歌ちゃん! 早くしないと置いてっちゃうからね」

千歌「ま、待ってよ曜ちゃ~ん」


ギュッ……

19: 名無しで叶える物語 2017/11/25(土) 02:11:34.79 ID:0msLoQBA.net
曜「ねぇ見て見て千歌ちゃん、この魚かわいい……」

千歌「ホントだー……ちょっと曜ちゃんに似てる?」

曜「ええーそうかなぁ?」

千歌「……えへへ、なんか懐かしいなぁ」

曜「そう? この間ここでお手伝いしたばっかりだと思うけど……」

千歌「そうじゃなくて、こうやって2人でみとしー来るの、懐かしいなって……」

曜「あーそういうことか。最近、そんな時間もなかったしね……」

千歌「うん……だから、なんか嬉しい。こうして曜ちゃんと、またこうやって来れて……」

曜「千歌ちゃん……あっ、そうだ! アシカショー見に行こうよ! よく子供の頃も見てたよね」

千歌「うん、そうだね! 久々に見たい!」

曜「よし、じゃあ行こ行こ! えーっと、始まる時間はと……」

千歌「よ、曜ちゃん……」

曜「……ん?」

千歌「また手……つないでもいい、かな?」

曜「……うん、いいよ」

千歌「……ありがと、曜ちゃん」

20: 名無しで叶える物語 2017/11/25(土) 02:12:04.60 ID:0msLoQBA.net
とりあえず一旦休憩
需要あれば続けます

31: 名無しで叶える物語 2017/11/25(土) 10:41:16.03 ID:0msLoQBA.net
曜「――あははっ! それにしても盛大に濡れちゃったねー」

千歌「まさかアシカさんが思いっきり水かけてくるとはね……」

曜「飼育員さん、めっちゃ謝ってお詫びに食事券くれたけど……そんなに気にしなくてもいいのにね」

千歌「まぁ、おかげでこうしておいしいお昼ごはんを食べられるし、いいんじゃない?」

曜「……ふふっ」

千歌「……?」

曜「いや、ごめん……こうやって千歌ちゃんとお昼食べるのも、なんか懐かしいなって思って」

千歌「うん……そだね。こういうの、久しぶりって感じがする」

曜「……そういえば、今日はなんで誘ってくれたの?」

千歌「え? え、えーっと、それは……」

曜「……?」

33: 名無しで叶える物語 2017/11/25(土) 11:01:11.79 ID:0msLoQBA.net
千歌「……最近、あんまり一緒の時間、作れなくなっちゃったでしょ? だから、たまにはこういうのもいいかなぁって思って……」

曜「……確かに、Aqoursの活動が始まって、あんまりこういう時間、なかったもんね」

千歌「うん……嫌、だったかな?」

曜「そんな! むしろ千歌ちゃんとこうして一緒に遊べて……私、すっごい嬉しいよ!」

千歌「曜ちゃん……うん、私も嬉しい!」

曜「よーし、じゃあ今日はもう1日中遊び倒そうよ! もう疲れて動けないー、ってくらい」

千歌「ふふっ、疲れて動けなかったら帰れないよ、曜ちゃん」

曜「……むしろ、帰りたくないかも」ボソッ

千歌「……え?」

曜「ううん、何でもない! それぐらいの勢いで楽しもうよ、ってこと!」

千歌「ああ、そういうことね」

曜「それよりも早くお昼食べよ、冷めちゃうよ?」

千歌「へ? あ、うん……」

曜「ほら千歌ちゃん、あ~ん」

千歌「!?!?!」

34: 名無しで叶える物語 2017/11/25(土) 11:08:33.84 ID:0msLoQBA.net
千歌「ちょ、ちょっと曜ちゃん! 恥ずかしいよ……周りの人見てる……」

曜「ええーいいじゃん、むしろ見せつけちゃおうよ」

千歌「み、見せつけるって、そんな……」


キャー、あの子たちかわいいー!
仲良しでもあそこまでやらないよね。
もしかして……付き合ってたりするのかな?


千歌「……」カァーッ

曜「……あれ~、どうしたのかな、千歌ちゃん?」

千歌「むぅ~……ぱくっ!」

曜「あ、やっと食べた。どう、おいしい?」

千歌(……恥ずかしすぎて、味わかんないよ……こうなったら――)

千歌「……よ、曜ちゃんも、あ、あ~ん」

曜「!? ち、千歌ちゃん!?」

千歌「さ、さっきのお返しだもん! どれだけ恥ずかしいことなのか、思い知るがいいよ!」

曜「や、やるね千歌ちゃん……で、でも私も負けないもんね!」

千歌「い、いつまでその強気が続くかな……!」

36: 名無しで叶える物語 2017/11/25(土) 11:19:32.43 ID:0msLoQBA.net
千歌(……結局、あれからずっとあ~んしまくりでめちゃくちゃ恥ずかしかった……)

曜「いや~おいしかったね!」

千歌「う、うん……」

千歌(結局最後まであんまり食べた気がしなかったけどね……)

曜「ふっふっふ、それにしても照れてる千歌ちゃんはかわいかったな~」

千歌「よ、曜ちゃんだって! すっごい恥ずかしがってたじゃん! 顔真っ赤だったよ!」

曜「そ、そんなことないよ! 私は、千歌ちゃんほどは恥ずかしいって思ってなかったよ~だ」

千歌「ええ~、嘘だぁ~」

曜「……ぷっ、あははっ、なんか変な会話~」

千歌「……へへっ、ほんと、変なの~」

千歌(でも……こんなくだらない感じの会話……すごく楽しい。曜ちゃんとの時間が……こんなに楽しいものだったなんて……)

千歌「もっともっと……この時間が続けばいいのにな……」

曜「……千歌ちゃん?」

千歌「あっ、その……今日はすごい楽しいな、って思って、その……」

曜「……千歌ちゃん、今日はまだ始まったばっかりだよ?」

曜「これからもっと楽しくなる……なんか、そんな気がするんだぁ」

千歌「……うん、私もそんな気がする」

曜「じゃあ次はあそこ、行こうか?」

千歌「……うん! いこ、行こう!」

ギュッ

千歌「……えへへ」

37: 名無しで叶える物語 2017/11/25(土) 11:19:55.32 ID:0msLoQBA.net
仕事が邪魔をする
また夜に再開

43: 名無しで叶える物語 2017/11/25(土) 20:24:45.26 ID:0msLoQBA.net
夜・海辺にて

曜「ふぅ……今日はたくさん遊んだね。もうすっかり夜になっちゃった」

千歌「うん……そうだね……」

曜「えへへ、いっぱい買い物しちゃったね……ちょっとまずいかも……」

千歌「私も……今月乗り切れるかな……」

曜「まぁ……たまにはこういうお金の使い方も、いいよね」

千歌「えへへ、何それー」

曜「ふふっ、今日は本当に楽しかったよ千歌ちゃん。誘ってくれてありがとう!」

千歌「そ、そんなお礼言われるほどじゃ……」

曜「えへへ……でも、今日ももう終わりかぁ。もっと遊びたかったなぁ」

千歌「うん……そうだね……」

千歌(……もっと、遊んでいたかったな……もっと……曜ちゃんと2人でいたかったな……)

曜「……最近さ、気になってたんだけどさ」

千歌「……ん?」

曜「千歌ちゃん、なんか悩み事、隠してない?」

44: 名無しで叶える物語 2017/11/25(土) 20:33:26.93 ID:0msLoQBA.net
千歌「え……どうして?」

曜「うーん、それはね……幼馴染の勘、ってやつかな?」

千歌「勘?」

曜「そう。最近、なんか考え事が多いように見えたし、今日も私だけ誘われて何でかなー? ってちょっと思った。いつもだったら皆を誘うじゃない?」

曜「でも私だけで……もしかして、何か話を聞いてほしいのかなぁって」

曜「千歌ちゃん、実は結構悩み事とか多いタイプだしね」

千歌「……実は余計」

曜「へへ、ごめん……」

千歌「はぁ……曜ちゃんは私のこと、何でも知ってるんだね」

曜「そりゃあ、ずーっと一緒にいるんだもん。わかっちゃうよ」

千歌「……私はね、最近曜ちゃんのことが分かんなくなってきた」

曜「ええ?! ど、どういうこと?」

千歌「でも、今なら曜ちゃんにちゃんとお話しできると思う。……聞いてもらっても、いいかな?」

曜「……もちろん、千歌ちゃんの話、聞きたいから」

千歌「……うん」

45: 名無しで叶える物語 2017/11/25(土) 20:43:30.67 ID:0msLoQBA.net
千歌「あのね……私と曜ちゃんって、もうずーっと一緒に過ごしてきたじゃない?」

曜「うん、もう十年以上かな……」

千歌「うん……でもね、Aqoursの活動が始まって、皆と過ごす時間が増えたでしょ?」

曜「……うん?」

千歌「だからね、その……曜ちゃんと過ごす時間が、ちょっと減った気がしたの」

曜「なんで? Aqoursで一緒にいるから、そんなことないんじゃない?」

千歌「そうじゃなくて……今みたいな、2人の時間。今までずーっと、”2人”で過ごしてきたでしょ?」

曜「うん……確かにそうだね。今と比べたら、2人でいる時間は昔の方が多かったよね」

千歌「Aqoursの皆と活動して、私の知らない曜ちゃんがたくさん見えてきた……ずーっと一緒だったのに、私の知らない曜ちゃんがそこにいるのがなんか悔しくて……」

千歌「ファンもついてて、曜ちゃんはすごいなぁって感じた……でも、なんか曜ちゃんが遠くに行っちゃうような気がしたの」

曜「私が……遠くに」

千歌「うん……曜ちゃんがどんどん凄い人になっていって、もう私の手が届かないところに行っちゃうんじゃないかっていう……ぼんやりだけど、そう感じて、寂しいなって」

曜「千歌ちゃん……」

千歌「今日誘ったのも……それが原因、なのかな。いつ届かなくなっちゃうか、不安で、不安で……」ポロポロ

千歌「……あれ、私、なんで泣いて――」

曜「千歌ちゃん!」

ギュッ!

47: 名無しで叶える物語 2017/11/25(土) 20:53:26.20 ID:0msLoQBA.net
曜「千歌ちゃん……私はどこにも行かないよ? ずーっと、千歌ちゃんのそばにいるよ?」

千歌「……曜ちゃん?」

曜「私ね……今日は本当に楽しかった! 千歌ちゃんが誘ってくれて、本当に嬉しかったんだ!」

曜「2人で過ごす時間が本当の楽しくて、あっという間で……1日じゃ足りないくらい。本当は、この後帰るのとか考えたくない」

千歌「……」

曜「私が千歌ちゃんを置いて、どこかに行くわけないじゃん……私だって、千歌ちゃんとずっと一緒にいたいって思ってるんだから……だから、行かないよ……」

曜「それとも千歌ちゃんは……そうじゃないの?」

千歌「私も……私も曜ちゃんと一緒にいたい! もっと一緒の時間を過ごしたいよ……」

曜「うん……だからこれからもずーっと、2人で一緒……」

千歌「うん……嬉しい……嬉しいよ、曜ちゃん……」


千歌(――ああ、やっぱりそうなんだ。私、曜ちゃんのこと……)

48: 名無しで叶える物語 2017/11/25(土) 21:00:31.45 ID:0msLoQBA.net
曜「……ちょっとは落ち着いた?」

千歌「グズ……うん、ごめん、びっくりさせちゃったね」

曜「えへへ、泣いてる千歌ちゃん、ちょっとかわいかったかも」

千歌「も、もー! からかわないでよ……」

曜「ごめんごめん……じゃあ、もうさすがに遅くなっちゃったし、そろそろ帰ろうか」

千歌「そ、その前に! もう1つ、お話、聞いてくれる?」

曜「んー? なぁに?」

千歌「あのね……今日1日曜ちゃんと一緒にいて、はっきりと分かったことが1つだけあるんだ」

曜「はっきり分かったこと?」

千歌「うん、それはね……私が曜ちゃんのこと、”好きだ”っていうこと」

曜「? 私だって千歌ちゃんのこと、大好きだよ?」

千歌「ううん、そうじゃなくてさ……曜ちゃん、目つぶって?」

曜「こ、こう……?」

チュッ

曜「!?!?」

曜「千歌ちゃん、今、何を……」

千歌「……こういう、”好き”ってことだよ」

49: 名無しで叶える物語 2017/11/25(土) 21:07:42.66 ID:0msLoQBA.net
曜「……」

曜「……」カーッ!

千歌「わっ、曜ちゃん顔真っ赤だよ? 暗いのにはっきり分かっちゃうくらい」

曜「そそそそそりゃ、千歌ちゃんがきききききすすするから……!」

千歌「曜ちゃん動揺しすぎ……」

曜「だだだって、私まだこういうのよく分かんないし……突然すぎるから……」

千歌「驚かせてごめん……でも、ちゃんと曜ちゃんに言っておきたかったし、それに……キス、したくなっちゃったんだもん。しょうがないじゃん」

曜「しょ、しょうがないの!?」

千歌「そうだよ。……それで、お返事はくれる?」

曜「え、えーっと、えええーっとぉ……」

曜「も、もちろん千歌ちゃんのことは好き、好きだよ? で、でもなんかまだ分かんないっていうか、その……」

千歌「ふふっ、ちゃんと分かってからでいいよ、お返事くれるのは。それまでずっと待ってるから」

曜「い、いいのかな? 待ってくれる?」

千歌「ちゃんとお返事来るまで待ってる」

千歌「それに、これからずーっと一緒なんだから……2人、ずっと一緒なんだから……」

曜「……うん、そうだね。それだけは、私もはっきり分かるよ」

千歌「……よし、お話終わり! お母さん心配しちゃうから、早く帰ろ、曜ちゃん!」

曜「あ、ちょっと千歌ちゃん、待ってよぉ~」

50: 名無しで叶える物語 2017/11/25(土) 21:16:35.99 ID:0msLoQBA.net
千歌「あ、梨子ちゃんおはよー!」

梨子「千歌ちゃん、おはよう。……?」

千歌「ん? なぁに?」

梨子「……千歌ちゃん、昨日いいことでもあった?」

千歌「いやー、別にー?」

梨子「……?」

梨子(……まぁ、元気になったなら良かった。悩み事、解決したのかな?)

千歌「あっ! 曜ちゃん、おはよー!」

曜「ああ、千歌ちゃん梨子ちゃん、おはヨーソロー!」

梨子「おはよう曜ちゃ――」

ダキッ

曜・梨子「!?!?」

曜「ちょ、ちょっと千歌ちゃん? どうして抱き着いて……」

梨子「ち、千歌ちゃんどうしたの?」

千歌「ええ~いいじゃ~ん。あれだけ愛を語り合った仲なんだし……」

曜・梨子「!?!?」

梨子「ど、どういうこと、曜ちゃん……」

曜「い、いや、その、何というか、えーと……」

千歌「さ、学校行こ、学校! 2人の愛を見せつけちゃえ~!」

曜「ちょちょちょ、千歌ちゃん!?」

梨子「やっぱり昨日何かあったのね……2人とも、詳しく聞かせなさーい!」



おわり

引用元: 千歌「一緒の時間」