2: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 08:19:55.66 ID:k48FTNHT.net
沼津駅周辺 車内

鞠莉「…」

運転手「お嬢様、まもなく到着します」

鞠莉「ええ」

運転手「そのメガネ、とてもよくお似合いですよ」

鞠莉「ふふ、そう言ってもらえると嬉しいわ。お気に入りなの」

運転手「それはそれは。天気予報によると、今日は良く晴れるみたいですが、冷え込むそうです」

運転手「お体を冷やさないよう、気をつけてくださいね」

鞠莉「ん、わかった。まさにカイロの日和ってわけね」

運転手「海路?今日は船にも乗るんですか?」

3: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 08:21:25.62 ID:k48FTNHT.net
鞠莉「そういうわけじゃないわ。もっとも、今日一緒する相手は、将来は船長さんかもしれないけどね」クスッ

運転手「ああ、えっと…」

鞠莉「ふふっ。ごめんなさい。こっちの話なの」

運転手(…お嬢様、とても嬉しそうです)ニコ

運転手「…っと、着きました。なにかありましたら、ご連絡ください」

鞠莉「ありがとう。それじゃ、行ってくるわね」

運転手「ええ、お気をつけて」

バタム ブロロロロ…

鞠莉(待ちに待った、曜と2人で遊びに行く日)

鞠莉(曜の言葉を借りれば『おそろいメガネでデート』の日、だ)

4: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 08:23:37.73 ID:k48FTNHT.net
鞠莉(そもそものきっかけは、曜の気まぐれで。曜が、メガネをかけた私を見たいと言い出して)

曜『鞠莉ちゃんには、絶対メガネが似合うって思ったんだ!』

鞠莉(私は赤いフレームの、曜は青いフレームのメガネをかけて)

曜『へへ、おそろいだよー!』

鞠莉(写真を取ったりして盛り上がるうちに、メガネをかけて2人で出かけることになって)

曜『いよいよ明日だよ!おそろいメガネでデート、楽しみだね!』

鞠莉(おそろい、デート、かぁ…)

曜『目一杯楽しんじゃおうね!』

鞠莉(曜ってば、あんなに嬉しそうにしちゃって)クスクス

6: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 08:24:38.18 ID:k48FTNHT.net
沼津駅前

鞠莉(確かにいい天気だけど、風が冷たいなぁ。えっと、時間は…)

鞠莉(約束の時間まであと30分。少し早すぎたかしら)

鞠莉(ま、この寒い中、あの寒がりさんを待たせちゃうよりはいいかな)

鞠莉「っと、いまのうちに…」スマホ セルフィーモード

鞠莉(髪型よし、メガネよし。スマイルもオーケー…うん、大丈夫!)

鞠莉(ふふ、早く来ないかなぁ)



「うー、さむさむ…あ!」

7: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 08:26:08.38 ID:k48FTNHT.net
「まーりちゃん!」

ハグッ

鞠莉「ひゃあっ!?」ビクッ

「へへっ。だーれだ」ギュ

鞠莉「び、びっくりした…曜?」

曜「おお、ご名答でありますっ!」パッ

鞠莉「もう、いきなり脅かさないでよ。変な声出ちゃったじゃないの」

曜「ごめんごめん。待ってる鞠莉ちゃんを見つけたら、つい体が動いちゃって!」

8: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 08:28:19.57 ID:k48FTNHT.net
鞠莉「まったく…それに、ハグじゃ全然『だーれだ』になってないじゃない。『だーれだ』って、普通は後ろから目隠しするものでしょう?」

曜「まぁ、本当だったらそうするんだろうけど、今日はお互いメガネかけてるからさ」

曜「レンズを手で覆うわけにもいかないので、思い切ってサプライズハグにしてみました!」

曜「驚く鞠莉ちゃんが見れたし、作戦は大成功だったねー!」

鞠莉「ふふっ。今日もシャイニーしてるね。メガネ、似合ってるよ」

曜「いやいや、鞠莉ちゃんにはとても敵わないかなー、なんて」ニシシ

鞠莉「なら、お互いの輝きを讃え合うということで。改めて、おはよう、曜」

曜「おはヨーソロー、鞠莉ちゃん!」

9: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 08:30:27.38 ID:k48FTNHT.net
曜「随分早かったんだね、寒い中待たせちゃった?」

鞠莉「来たばかりだから大丈夫。それに、早いのは曜もでしょ」

曜「楽しみで待ちきれなくって、つい早く家を出ちゃったんだ!ひょっとして、鞠莉ちゃんも同じだったり?」

鞠莉「んー。まぁ、そんなところかな」

曜「えー。そこは『そうね、私もワクワクが抑えきれなくて、早く来ちゃった』って言う所でしょ」

鞠莉「じゃあ、そういう事にしておいて」

曜「私が言ったんじゃダメなの、鞠莉ちゃんの口から聞きたいんだよー」

鞠莉「ふふ。私も曜と遊びに行くのが楽しみで、早く来ないかなーって待ってました。これでいい?」

曜「うん!合格、大合格だよ!」

鞠莉「ふふっ」ニコ

10: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 08:32:11.76 ID:k48FTNHT.net
曜「とまあ、鞠莉ちゃんも無事合格できたことだし。そろそろ移動しようか」

鞠莉「そうね。今日はどこにいくの?」

曜「んー、行きたいところはいくつかあるんだけど、とりあえずは適当に見て回る感じでどうかな」

鞠莉「流れに任せるってわけね」

曜「うん!なにがあるかわからない方がきっと楽しいよ!」

曜「鞠莉ちゃんもリクエストがあれば遠慮なく言ってね!」

鞠莉「ええ。それじゃあ」

曜「メガネデート、スタートだよ!」

11: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 08:40:58.74 ID:k48FTNHT.net
曜「とりあえず、あっちの方見てみようか」

鞠莉「ん、わかった」

曜「…」ジー

鞠莉「ん、なぁに?」

曜「鞠莉ちゃんって、おしゃれだよね」

鞠莉「そうかなぁ、どの辺が?」

曜「全体的にかな。例えば、今かけてもらってる赤いフレームのメガネって、実は結構難しくてさ。かける人や合わせる服を選んじゃう所があるけど」

曜「今日の鞠莉ちゃん、とっても素敵なんだもん。可愛いんだけど、ちょっと大人なコーデっていうか。メガネがさらに良さを際立たせてるっていうか…言いたい事伝わるかなぁ?」

鞠莉「ふふ、Aqoursのスタイリストにそう言って貰えると光栄ね。曜も青いメガネが素敵よ、よく似合ってる」

曜「本当?鞠莉ちゃんの横に並んでても、変じゃない?」

鞠莉「もちろん。変どころか相性バッチリって感じよ」

鞠莉「なにせ善子いわく、私たちは宇宙時代を生き抜ける2人らしいからね」クスッ

12: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 08:43:05.10 ID:k48FTNHT.net
曜「ふふ、言ってたね。その例え、実は密かに気に入ってるんだ。どんなことでも乗り切れちゃう、元気一杯な2人って感じがして」

鞠莉「私も嫌いじゃないわ。けど、善子のセンスにしては妙に未来的っていうか、SFみたいな感じよね」

曜「千歌ちゃんと果南ちゃんが言ってた、宇宙世紀ってやつに対抗したのかな?」

鞠莉「なんでも、私たちのメガネが、レッドフレームとブルーフレームだからとかなんとか言ってたけど…」

曜「謎だねぇ」

鞠莉「ま、由来はさておき。名前負けしないように、今日は明るく楽しいシャイニーな一日にしましょうね」

曜「そうだね!」

13: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 08:44:19.94 ID:k48FTNHT.net
曜「早くもクリスマスって感じだね」

鞠莉「ちょっと前まではハロウィン一色だったのにね」

曜「ねー…っくしゅん!」

鞠莉「あら、大丈夫?」

曜「んん…やっぱ少し冷えるね」

鞠莉「風が冷たいからね。でも、今日は曜のために、良いものを持って来たよ」

曜「おっ、なになに?」

鞠莉「ふっふっふ。それは、これっ!」スッ

曜「あ、カイロ!」

鞠莉「寒がり屋さんの必須アイテムかなって思ってね。さ、使って」

曜「ありがと!でも、んー」

14: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 08:47:36.17 ID:k48FTNHT.net
鞠莉「あら、必要なかった?」

曜「うーん…確かに嬉しいけどさ」

ハグッ

鞠莉「!」

曜「こっちの方が、もっと嬉しいかなって」

鞠莉「ちょ、ちょっと」

曜「んふふ、鞠莉ちゃんあったかいなぁ」スリスリ

鞠莉(…かわいい)ポー

曜「えへへ…あれ?ほっぺが赤いよ?」

鞠莉「へ?」

15: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 08:49:33.79 ID:k48FTNHT.net
曜「ほっぺが赤くて、冬の顔してる。やっぱり待たせて寒くさせちゃった?」

鞠莉「そ、そんなことないから大丈夫」

曜「ダメだよ、これから大事な時期なんだから我慢したら。ほら、もっと寄って」ギュ

鞠莉「わっ」

曜「カイロを使うにしても、あったかくなるまで時間かかっちゃうしさ。それまではこのままね」

曜「私も、あったかいし…へへっ」

鞠莉「…仕方ないなぁ。今日は特別に、暖を取らせてあげます」

曜「やったぁ!」

鞠莉(…カイロ、あったまらなきゃいいのに)

曜「~♪」ギュー

16: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 08:50:56.92 ID:k48FTNHT.net
メガネ屋

曜「ここはメガネ屋さんだね。私たちのメガネもここで買ったんだ」

鞠莉「メガネ屋さんって初めて来たけど、随分といろんな種類があるのね」

曜「フォーマルな仕事用から遊びが入ったおしゃれ用まで。フレームも選り取りみどりだね」

鞠莉「機能だけじゃなくて、気分に合わせて選べるってわけね」

曜「そうだねー。おっ、金縁のメガネがある」

鞠莉「前から思ってたんだけど、これってどういう人がかけるのかしら」

曜「あんまり見ないよね。金だけに、ゴージャスな人かな。お値段もゴージャスだし」

鞠莉「いずれにせよ、上級者向けアイテムって感じねぇ」

曜「あ、金縁といえば…」

17: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 08:52:16.92 ID:k48FTNHT.net
先日 部室

善子『ダイヤさんって、ゴールドのフレームが似合いそうよね』

花丸『え、そうかなぁ』

ルビィ『金縁メガネのお姉ちゃん…あんまりイメージできないよ』

曜『ダイヤさんならゴージャスなのも似合いそうだけど、流石に系統が違いすぎるっていうか。どうしてゴールドなの?』

善子『いいのよ、いろいろあるの』

鞠莉『いろいろ?』

善子『そう、いろいろ。ダイヤさんにはゴールドフレームがきっと似合う。うん』

ようまりまるるび『?』ハテ



曜(あれは何だったんだろう。ゴールドフレームがどうとか言ってたけど…)

鞠莉「むー…」

18: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 08:53:53.80 ID:k48FTNHT.net
鞠莉「えいっ」ギュ

曜「わっ」

鞠莉「なにぼーっとしてるの。私が一緒にいるっていうのに」ギュ

曜「あ…」

鞠莉「今日はせっかくのお出かけなんだもの。考え事なんてしてたら勿体無いよ。ね?」

曜「あはは、ごめんごめん。どうしてもこのメガネのことが気になっちゃってさ」

鞠莉「まぁ、それはわかるけど」

曜「これ、試しにかけてみない?鞠莉ちゃんなら意外と似合っちゃったりして」

鞠莉「お断りしマース!」

曜「あーあ、断られちゃった」クスクス

鞠莉(…もっと私のことを気にしてほしい。なんて、私らしくないワガママなのかな)

19: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 08:55:29.31 ID:k48FTNHT.net
カフェ前

鞠莉「カフェがあるわ。結構歩いたし、ここでお茶するってのはどう?」

曜「いいね。ちょうど温かいものが飲みたかったんだ」

鞠莉「決まりね。入りましょう」ウィーン

もわっ

鞠莉「きゃっ!?」

曜「え、どうしたの――」もわっ

曜「わ、曇った!」

鞠莉「メガネが白くなって…な、なにも見えない!」

曜「寒い所から温かい所に入ると、温度差でこうなっちゃうんだよね」

鞠莉「ど、どうしたらいいの!?」

曜「えっと、外せばいいんじゃないかな?」

鞠莉「あ、そっか…」

曜「ふふっ」ニコニコ

鞠莉「うぅ…」

20: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 08:56:41.95 ID:k48FTNHT.net
鞠莉「びっくりした。メガネが曇るって、こういうことなんだ」

曜「慌てる鞠莉ちゃんも可愛かったよー」

鞠莉「そうやって、からかわないの」

曜「でも、鞠莉ちゃんがココア頼むとは思わなかったなー。コーヒーじゃなくてよかったの?」

鞠莉「寒い時には、温かいココアが一番だからね。曜こそコーヒーでよかったの?」

曜「最近やっと慣れてきたから、お店のを試してみたくて」

鞠莉「それはいい傾向ね…わっ」マッシロ

曜「あー。ココア飲もうとして、また曇ってる」

鞠莉「慣れてないんだから、笑わないでよ」

曜「ごめんごめん。私もおそろいにするからさ。ほら!」マッシロ

鞠莉「ふふっ、なにそれ…ん、おいしい」

21: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 08:58:55.94 ID:k48FTNHT.net
曜「へへ、じゃあ私もいただきます…んぐっ…!?」

鞠莉「苦い?」

曜「うん…いけるかなって思ったけど、お店のコーヒーは、やっぱり苦かった…」

鞠莉「だと思ったわ。さ、こっちを飲んで」

曜「えっ」

鞠莉「曜のことだから、つい背伸びして頑張っちゃうんだろうなって思ってね」

鞠莉「こうなることも見越して、マリーはココアを注文しておいたのです」

曜「わぁ、さすが鞠莉ちゃん!」

鞠莉「さ、交換しよう」

22: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 09:02:09.61 ID:k48FTNHT.net
曜「あ、だけど、私お砂糖結構入れちゃったから…鞠莉ちゃんの好みじゃないかも」

鞠莉「コーヒーには変わりないわ。いいから、曜のちょうだい」

曜「…ありがと!じゃあ、いただきます」

鞠莉「どうぞ。じゃ、私も」ゴク

鞠莉「…んっ!?」ビクッ

鞠莉(あ、あまい…!頭が痺れるくらい、強烈に甘い…)

鞠莉(口直しにブラックコーヒーが必要なレベルじゃない。どこをどうすれば、コーヒーがこんな刺激的な甘さに…)

曜「んー、ココアおいしー!体が芯からあったまるよー!」

曜「ありがとね、鞠莉ちゃん!」ニコッ

鞠莉(…ま、この笑顔が見れたから、いいか)ゴク

鞠莉(あまっ!)

23: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 09:03:59.88 ID:k48FTNHT.net
お昼時

曜「いい時間だし、そろそろお昼にしようか」

鞠莉「そうね。曜は何食べたい?」

曜「えっと、その…パスタとか」

鞠莉「わかったわ。ハンバーグね」

曜「うんっ!って、違うよ!私はパスタって」

鞠莉「顔に書いてあるよ。本当はハンバーグが食べたいですって」

曜「でも…」

鞠莉「せっかくのお出かけなんですもの。食べたいものを食べる方が、絶対いいよ」

鞠莉「私も喜んでる曜が見たいし、ね」

曜「鞠莉ちゃん…!」

鞠莉「ふふ。さ、行こう」ギュ

曜「うん!」

24: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 09:06:34.35 ID:k48FTNHT.net
「チーズオンハンバーグの方、お待たせしました」コト

曜「わぁ…!」

鞠莉「わお、なかなかいい感じね」

曜「なかなか、なんてもんじゃないよ!熱々のハンバーグと、蕩けてきらきらと輝くチーズ…この世で最も美しい光景のひとつだね!」

鞠莉「これはまた、随分とオーバーねぇ」

「お待たせしました、和風たらこクリームパスタです」

鞠莉「はーい。んー!こっちも負けないくらい美味しそう」

曜「鞠莉ちゃん、たらこスパ好きだよね。えっと、和と洋のハイグリッドだっけ?」

鞠莉「それを言うならハイブリッド、よ」

曜「そう、それ!ハイブリッド、ハイブリッド。うん、覚えた!」

鞠莉「このやり取りも3回目くらいだよ」クスクス

25: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 09:11:26.04 ID:k48FTNHT.net
鞠莉「さ、冷めないうちにいただきましょう」

曜「うん、いただきまーす!」

鞠莉「いただきます」

曜「んっ!お、美味しすぎる…!」

鞠莉「気に入ってもらえたみたいね。ん、おいしい」

曜「ふふ、なんか幸せだなぁ」

鞠莉「そうだね。美味しいものを食べてると、満たされるっていうか」

曜「それもそうだけどさ。食事って『何を食べるか』だけじゃなくて『誰と食べるか』が大切なんだなって思って」

鞠莉「!」

曜「鞠莉ちゃんと一緒だからかなー、って。へへっ」

鞠莉「まぁ。曜ったら、また腕をあげたね?」

曜「おだててるわけじゃなくて、本心からそう思うんだよー」

鞠莉「ふふ。そういう感性、好きだよ?」

曜「よかった!…んー!おいっしー!」

鞠莉(…私と、同じこと思ってくれてたんだ)

27: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 09:35:02.91 ID:k48FTNHT.net
ゲームセンター

曜「こういうところには、あまり来ない?」

鞠莉「そうでもないよ。果南たちと前はちょくちょく来ていたし、今でもたまには、ね」

曜「へー、どんなゲームするの?」

鞠莉「クレーンゲームとか、エアホッケーとか、太鼓のやつとかかな」

曜「ふむふむ。王道だね」

鞠莉「あとは、変わったところだとガンシューティングかな」

曜「えっ、銃で撃つやつ?」

鞠莉「そうね」

曜「あれって結構難しくない?ずっと構えてなきゃいけないから、腕も疲れるし」

鞠莉「初めは難しいけど、一度体で覚えればそうでもないわ」

曜「全面クリアとかできるの?」

鞠莉「調子が良ければね」

曜「すごいじゃん!見たい見たい、やってみてよ!」

鞠莉「いいけど、一度始めると結構時間かかるから。その間退屈しちゃうわよ?」

曜「しないしない、しないからお願い!」

鞠莉「ん。そこまで言うなら、今日は私の華麗なるガンテクニックを披露しちゃおうかな」

曜「わー!」

鞠莉「ただし、せっかくだから曜も一緒にプレイすること。2人でクリアを目指しましょう!」

曜「おー!」

28: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 09:36:36.15 ID:k48FTNHT.net
鞠莉(楽しい時間はあっという間というけれど、本当にその通りだと思う)

鞠莉(日が落ち始めて、気温がさらに低くなる。夜が出番を待ちかねて、我慢できずに忍び寄ってくる…そんな気さえするほどに)

鞠莉(日が短い冬の季節であることを、今日ほど恨めしく思ったことはないかもしれない…)

鞠莉「…次は、どうする?」

曜「ん…時間的に、次でラストになっちゃうかな」

曜「実はね、最後に行きたいところがあるんだ」

鞠莉(ラスト、最後…)

曜「ちょっと遠いんだけど、付き合ってくれる?」

鞠莉「もちろんよ、どこなの?」

曜「えっとね――」

29: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 09:45:20.57 ID:k48FTNHT.net
びゅうお

曜「よかった、日が落ちる前に到着できて」

鞠莉「懐かしいね。行きたい所って、ここだったんだ」

曜「うん。ここは、私の憧れが生まれた場所だから」

鞠莉「憧れ?」

曜「そう、憧れ。あの日もちょうど、こんな感じだったよね」

曜「太陽が傾いて、街が夕暮れに染まって…ひとりで悩んでいた私を、鞠莉ちゃんがここに連れて来てくれた」

鞠莉「…うん」

曜「あの時、鞠莉ちゃんが話を聞いてくれたから。温かく受け止めてくれたから、今の私がある」

鞠莉『本音でぶつかった方がいいよ』

鞠莉『2年間も無駄にしてしまった私が言うんだもの。間違いありませんっ』

曜「千歌ちゃんや梨子ちゃんとのこと、自分のやりたかったことを、もう一度見つめ直して。改めて、みんなでスクールアイドルを頑張ろうって思えた」

曜「大げさだけど、私の世界を変えてくれたって思ってるんだ」

鞠莉「曜…」

30: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 09:48:36.13 ID:k48FTNHT.net
曜「あの時、私のことを優しく包んでくれて、本当に、本当にありがとう!」

曜「そんな優しい鞠莉ちゃんが、私、大好きだよ!」

鞠莉「!」

曜「悩んだり、騒がしかったりで迷惑かけちゃうと思うし、鞠莉ちゃんの力になれることなんてないと思うけど…」

曜「こんな私だけど、これからも、一緒に居てくれると嬉しいな!」

鞠莉「あ…!」

曜「…へへっ、やっと言えたー。いやー、柄にもなく緊張しちゃったよ」

曜「今日はありがとね、とっても楽しかった!」

鞠莉(…今日が終わる。私は、どうしたいの?)

鞠莉(私は…)

31: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 09:54:20.21 ID:k48FTNHT.net
鞠莉「ねぇ、曜」

曜「ん?」

鞠莉「もしね、もし良ければ、なんだけど、その…」

鞠莉「今日は、うちに泊まりに来ない?」

曜「!」

鞠莉「今日はとっても楽しかった。色んな所に行って、色んな表情の曜が見れて。色んな思い出ができた」

鞠莉「だから、かな。今日を終わりにしたくない。もっと一緒の時間を過ごしていたいなって…」

曜「…」

鞠莉「こんな欲張り、だめかな?」

曜「鞠莉ちゃん!」ハグッ

鞠莉「わっ!」

32: 名無しで叶える物語 2017/11/26(日) 09:57:44.80 ID:k48FTNHT.net
曜「私も!私もね、この楽しい時間がずっと続いて、今日がこのまま終わらなきゃいいのにーって思ってたんだ!」

曜「行く!鞠莉ちゃんの家に行きたい!」

鞠莉「曜…いいの?」

曜「うんっ!おそろいメガネデート改め、鞠莉ちゃんちにお泊まりデートだ!」

鞠莉「…ありがとう」

曜「よっし!そうと決まれば、早速お泊まりセットを取りに戻らないとだね!」

曜「日が落ちる前に帰還して、鞠莉ちゃんちに転進であります!さ、行こう!」

鞠莉「ふふっ…あ、大事なことをやり残してた」

曜「ん、なに?」

鞠莉「へへっ、曜」ハグッ

曜「わっ」

鞠莉「大好きっ!」


終わり

引用元: 曜「鞠莉ちゃんとメガネデート」