1: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 01:26:13.444 ID:wYk1D2v+0.net
―定食屋―
男「……」モグモグ
同僚「お前ってご飯をキレイに食べるよなぁ」
男「俺はご飯を食べる時は米粒を残さない主義なんだ」
同僚「うわぁ~……なんて立派なんだ……!」
同僚女「信じらんない! こんな素晴らしい人が同じ課にいたなんて……!」
同僚「俺なんてほら、意識しないとどうしても茶碗に米粒が残っちまう。コツがあるのか?」
男「箸を正しく使うことかな」
同僚女「あなた箸の使い方、パーフェクトだもんね~。YouTubeにアップしたら1000万再生いくよ!」
男「ありがとう」
同僚「米農家の方々も今は高齢化が進んでるらしいが、きっとお喜びになるだろうぜ!」
男「どうも」
同僚女「ホント、痺れちゃう! 抱いて!」
男「抱かないよ」
男「……」モグモグ
同僚「お前ってご飯をキレイに食べるよなぁ」
男「俺はご飯を食べる時は米粒を残さない主義なんだ」
同僚「うわぁ~……なんて立派なんだ……!」
同僚女「信じらんない! こんな素晴らしい人が同じ課にいたなんて……!」
同僚「俺なんてほら、意識しないとどうしても茶碗に米粒が残っちまう。コツがあるのか?」
男「箸を正しく使うことかな」
同僚女「あなた箸の使い方、パーフェクトだもんね~。YouTubeにアップしたら1000万再生いくよ!」
男「ありがとう」
同僚「米農家の方々も今は高齢化が進んでるらしいが、きっとお喜びになるだろうぜ!」
男「どうも」
同僚女「ホント、痺れちゃう! 抱いて!」
男「抱かないよ」
8: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 01:30:19.788 ID:wYk1D2v+0.net
同僚「あれ? だけど一粒だけ残ってるぜ」
同僚女「ホントだ! 珍しい!」
男「!」
男「しまった……俺としたことが……」スッ
米粒「食われてたまるか!!!」ピョーンッ
男「!?」
同僚女「ホントだ! 珍しい!」
男「!」
男「しまった……俺としたことが……」スッ
米粒「食われてたまるか!!!」ピョーンッ
男「!?」
13: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 01:33:32.446 ID:wYk1D2v+0.net
米粒「あばよーっ!」
ピョンッ ピョンッ ピョンッ…
同僚「逃げたな……」
同僚女「逃げたね……」
同僚「まあ、あれは米粒が逃げちゃったんだからノーカウントってことで!」
同僚女「そうそう!」
男「逃がすか……」
同僚&同僚女「え?」
ピョンッ ピョンッ ピョンッ…
同僚「逃げたな……」
同僚女「逃げたね……」
同僚「まあ、あれは米粒が逃げちゃったんだからノーカウントってことで!」
同僚女「そうそう!」
男「逃がすか……」
同僚&同僚女「え?」
17: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 01:36:30.584 ID:wYk1D2v+0.net
男「俺は生まれてから一度たりとも、米粒を残したことはないんだ……!」
男「それは俺の誇りであり、思想であり、存在意義だったんだ……!」
男「逃がしてたまるかァァァッ!!!」グワッ
タタタタタッ
男「店員さん、お勘定!」サッ
店員「あれま、万札!」
男「それは俺の誇りであり、思想であり、存在意義だったんだ……!」
男「逃がしてたまるかァァァッ!!!」グワッ
タタタタタッ
男「店員さん、お勘定!」サッ
店員「あれま、万札!」
20: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 01:39:07.707 ID:wYk1D2v+0.net
外に出て――
男「待てぇ~っ!!!」タタタタタッ
米粒「!?」
米粒「マジかよ……追いかけてきやがった!」
男「残してたまるか……!」
米粒「へ……?」
男「一粒たりとも残してたまるかぁぁぁぁぁっ!!!」
米粒「ひ、ひいいいっ!」
男「待てぇ~っ!!!」タタタタタッ
米粒「!?」
米粒「マジかよ……追いかけてきやがった!」
男「残してたまるか……!」
米粒「へ……?」
男「一粒たりとも残してたまるかぁぁぁぁぁっ!!!」
米粒「ひ、ひいいいっ!」
22: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 01:42:49.282 ID:wYk1D2v+0.net
ブロロロ… ブロロロロロ…
米粒「お、交差点だ!」
男「!」
米粒「赤信号だから人間は渡れねえが、小さい俺はなんの問題もなく渡れる!」
米粒「あーばよっ!」ピョンピョンピョン
男「……!」
米粒「お、交差点だ!」
男「!」
米粒「赤信号だから人間は渡れねえが、小さい俺はなんの問題もなく渡れる!」
米粒「あーばよっ!」ピョンピョンピョン
男「……!」
24: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 01:45:22.429 ID:wYk1D2v+0.net
男「……」タッタッタ…
通行人「あいつ何する気だ?」
男「……」タッタッタッタッタ…
通行人「ま、まさか!? 助走をつけて――」
男「……」グッ
通行人「箸を棒高跳びの棒代わりにして、道路を飛び越えようというのかぁっ!?」
通行人「あいつ何する気だ?」
男「……」タッタッタッタッタ…
通行人「ま、まさか!? 助走をつけて――」
男「……」グッ
通行人「箸を棒高跳びの棒代わりにして、道路を飛び越えようというのかぁっ!?」
29: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 01:47:21.186 ID:wYk1D2v+0.net
男「はぁっ!」ガッ
ピョーンッ!
シュザッ
通行人「飛び越えやがった……!」
通行人(そうか……人間、その気になれば、飛び越えられない壁なんてないんだ……!)
後にこの通行人は世界屈指の偉人となるが、それはまた別の話。
ピョーンッ!
シュザッ
通行人「飛び越えやがった……!」
通行人(そうか……人間、その気になれば、飛び越えられない壁なんてないんだ……!)
後にこの通行人は世界屈指の偉人となるが、それはまた別の話。
32: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 01:51:22.894 ID:wYk1D2v+0.net
米粒「ぬっ!?」
男「追いついたぞ」タッタッタ…
米粒「な、なんて奴だ! 赤信号を突っ切ってきたのか!」
男「飛び越えたんだ」
米粒「似たようなもんだろ!」
男「さあ食われろ! 食わせろ!!!」
米粒「食われてたまるかよぉ!!!」
タッタッタッタッタ…
男「追いついたぞ」タッタッタ…
米粒「な、なんて奴だ! 赤信号を突っ切ってきたのか!」
男「飛び越えたんだ」
米粒「似たようなもんだろ!」
男「さあ食われろ! 食わせろ!!!」
米粒「食われてたまるかよぉ!!!」
タッタッタッタッタ…
33: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 01:55:05.925 ID:wYk1D2v+0.net
―銀行―
強盗「金を出せ! 金を出さないと撃っちまうぞ!」
銀行員「ひいぃぃぃ……出します出します!」
米粒「……」ピョンピョンピョン
男「……」タタタタタッ
米粒「おい、ちょっと寄っていくか」
男「そうしよう」
強盗「金を出せ! 金を出さないと撃っちまうぞ!」
銀行員「ひいぃぃぃ……出します出します!」
米粒「……」ピョンピョンピョン
男「……」タタタタタッ
米粒「おい、ちょっと寄っていくか」
男「そうしよう」
36: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 01:59:43.371 ID:wYk1D2v+0.net
強盗「なんだてめぇらは!?」バキュンッ
男「おっと」パシッ
強盗「えええ!? 箸で弾丸を!?」
男「箸を正しく使えばこの程度は造作もないこと」ポイッ
強盗「無理だと思う!」
米粒「とりゃぁぁぁっ!」ピョーンッ
強盗「ギャッ!? なんか細かいのが目に入ったっ!」
銀行員「今だ、取り押さえろーっ!」
ワァァァ……! ワァァァ……!
男「おっと」パシッ
強盗「えええ!? 箸で弾丸を!?」
男「箸を正しく使えばこの程度は造作もないこと」ポイッ
強盗「無理だと思う!」
米粒「とりゃぁぁぁっ!」ピョーンッ
強盗「ギャッ!? なんか細かいのが目に入ったっ!」
銀行員「今だ、取り押さえろーっ!」
ワァァァ……! ワァァァ……!
38: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 02:03:22.646 ID:wYk1D2v+0.net
銀行員「アルゼンチン・バックブリーカー!」
強盗「ぎええええ!」バキボキベキ
銀行員「ありがとうございました! おかげで強盗を捕まえることができました!」
男「ふう……」チラッ
米粒「ふう……」チラッ
男「……」ニヤッ
米粒「……」ニヤッ
男「やったな!」グッ
米粒「おうよ!」グッ
強盗「ぎええええ!」バキボキベキ
銀行員「ありがとうございました! おかげで強盗を捕まえることができました!」
男「ふう……」チラッ
米粒「ふう……」チラッ
男「……」ニヤッ
米粒「……」ニヤッ
男「やったな!」グッ
米粒「おうよ!」グッ
40: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 02:05:15.713 ID:wYk1D2v+0.net
米粒「だが、俺たちは追う追われるの宿命……馴れ合うことはできない。追いかけっこ再開だ!」
男「ああ!」
タタタタタッ
銀行員「なんだったんだあの人達は……」
男「ああ!」
タタタタタッ
銀行員「なんだったんだあの人達は……」
42: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 02:10:34.846 ID:wYk1D2v+0.net
―米倉庫―
男「ここは……」
米粒≪ふっふっふ、ここは米倉庫≫
男「!」
米粒≪この通り、米だらけだ!≫
米粒≪木を隠すなら森というように、米を隠すなら米倉庫というわけだよ≫
米粒≪さぁ、俺を見つけられるかな?≫
男「……」
男「ここは……」
米粒≪ふっふっふ、ここは米倉庫≫
男「!」
米粒≪この通り、米だらけだ!≫
米粒≪木を隠すなら森というように、米を隠すなら米倉庫というわけだよ≫
米粒≪さぁ、俺を見つけられるかな?≫
男「……」
43: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 02:13:16.913 ID:wYk1D2v+0.net
男「……」クンクン…
米粒(匂いをかいでる!?)
男「……」クンクンクン…
米粒(まさか……あんなので見つかるわけがない。警察犬じゃあるまいし)
男「……」
米粒(諦めたみたいだな。そりゃそうだ)
米粒(匂いをかいでる!?)
男「……」クンクンクン…
米粒(まさか……あんなので見つかるわけがない。警察犬じゃあるまいし)
男「……」
米粒(諦めたみたいだな。そりゃそうだ)
46: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 02:15:07.137 ID:wYk1D2v+0.net
男「……」ズンズンズン
米粒(ま、まさか……!? まっすぐこっちに向かってくる!?)
男「見ィ~つけた」ニッコリ
米粒「いやぁぁぁぁぁっ!!!」
米粒(ま、まさか……!? まっすぐこっちに向かってくる!?)
男「見ィ~つけた」ニッコリ
米粒「いやぁぁぁぁぁっ!!!」
49: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 02:20:11.111 ID:wYk1D2v+0.net
―公衆トイレ―
米粒「ハァ、ハァ、ハァ……」
男「追い詰めたぞ……」
米粒「こうなったら最終手段だ!」
男「!」
米粒「便器に入る!」ザブンッ
米粒「これでもう食えまい!」
男「関係ないね」ヌウッ
米粒(こいつ、便器に落ちた俺を食おうというのか!? なんて揺るがない精神力だッ!)
米粒「ハァ、ハァ、ハァ……」
男「追い詰めたぞ……」
米粒「こうなったら最終手段だ!」
男「!」
米粒「便器に入る!」ザブンッ
米粒「これでもう食えまい!」
男「関係ないね」ヌウッ
米粒(こいつ、便器に落ちた俺を食おうというのか!? なんて揺るがない精神力だッ!)
51: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 02:23:25.153 ID:wYk1D2v+0.net
米粒(こうなったら……本当の最終手段だ!)
米粒「清掃員のおっちゃん!」
清掃員「ん?」
米粒「俺を流せ!」
清掃員「えええ!?」
米粒「早くしろーっ!!!」
清掃員「わ、分かった!」グイッ
米粒「清掃員のおっちゃん!」
清掃員「ん?」
米粒「俺を流せ!」
清掃員「えええ!?」
米粒「早くしろーっ!!!」
清掃員「わ、分かった!」グイッ
53: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 02:26:22.554 ID:wYk1D2v+0.net
ジャァァァァァ……!
米粒「あばよ~っ! 二度と会うことはないだろう!」
米粒「アーッハッハッハッハッハッハ!!!」
ジャアァァァァァ…
男「……!」
清掃員「なんか……悪いことしちゃったか?」
男「いえ……なんの問題もありません」
米粒「あばよ~っ! 二度と会うことはないだろう!」
米粒「アーッハッハッハッハッハッハ!!!」
ジャアァァァァァ…
男「……!」
清掃員「なんか……悪いことしちゃったか?」
男「いえ……なんの問題もありません」
55: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 02:29:40.174 ID:wYk1D2v+0.net
―下水処理場―
ザブ…
米粒「ふぅ~、すっかり浄化されたぜ」
米粒「ここまで来れば、さすがの奴も追ってこれまい。我ながらナイスアイディアだった」
職員「あ、米粒様ですね」
米粒「ええ、そうですが」
職員「お客様がお見えになってますよ。応接室でお待ちです」
米粒「客? 誰だろ」
ザブ…
米粒「ふぅ~、すっかり浄化されたぜ」
米粒「ここまで来れば、さすがの奴も追ってこれまい。我ながらナイスアイディアだった」
職員「あ、米粒様ですね」
米粒「ええ、そうですが」
職員「お客様がお見えになってますよ。応接室でお待ちです」
米粒「客? 誰だろ」
57: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 02:32:50.903 ID:wYk1D2v+0.net
米粒「失礼いたします」ガチャ
男「よう」
米粒「!?」
米粒「な、なんで……!? なんでここに……!?」
男「トイレに流れるのは下策だったな。先回りして下さいといってるようなもんだ」
米粒「ああああ……」
米粒(俺は舐めていたッ! こいつの米粒を残さないことへの執念ッ!)
男「よう」
米粒「!?」
米粒「な、なんで……!? なんでここに……!?」
男「トイレに流れるのは下策だったな。先回りして下さいといってるようなもんだ」
米粒「ああああ……」
米粒(俺は舐めていたッ! こいつの米粒を残さないことへの執念ッ!)
60: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 02:36:09.593 ID:wYk1D2v+0.net
男「さ、諦めろ」
米粒「ううう……」ジリ…
男「俺に食われるんだ……」
米粒「い、いやだっ!」
男「……」
男「なぜだ? 米粒であるお前が、どうして食われることを拒む?」
米粒「実は……」
米粒「ううう……」ジリ…
男「俺に食われるんだ……」
米粒「い、いやだっ!」
男「……」
男「なぜだ? 米粒であるお前が、どうして食われることを拒む?」
米粒「実は……」
61: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 02:40:06.460 ID:wYk1D2v+0.net
米粒「メシの時にお前たちが話してただろう」
同僚『農家の方々も今は高齢化が進んでるらしいが、きっとお喜びになるだろうぜ!』
米粒「あれで思い出したんだ……」
男「なにを?」
米粒「俺を収穫してくれたばあちゃん、元気かなって……だから顔を見たくなって……」
男「……」
男「行こう」
米粒「えっ!?」
男「君を収穫したおばあさんのところに!」
同僚『農家の方々も今は高齢化が進んでるらしいが、きっとお喜びになるだろうぜ!』
米粒「あれで思い出したんだ……」
男「なにを?」
米粒「俺を収穫してくれたばあちゃん、元気かなって……だから顔を見たくなって……」
男「……」
男「行こう」
米粒「えっ!?」
男「君を収穫したおばあさんのところに!」
64: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 02:43:23.805 ID:wYk1D2v+0.net
―駅―
男「新幹線の切符ください。大人一枚、お米一枚」
受付「はいはい」
受付「どうぞ~」
米粒「すまねえな、領収書だって下りないだろうに。恩に着るぜ」
男「いいってことよ」
男「新幹線の切符ください。大人一枚、お米一枚」
受付「はいはい」
受付「どうぞ~」
米粒「すまねえな、領収書だって下りないだろうに。恩に着るぜ」
男「いいってことよ」
66: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 02:46:18.315 ID:wYk1D2v+0.net
―新幹線―
ゴォォォォォッ!
米粒「ばあちゃん、元気にしてるかな~」
男「きっと元気にしてるさ……」
男(しかし……しかし、なにか嫌な予感がする……。不吉な予感がする……)
男(ただの杞憂ならいいのだが……)
ゴォォォォォッ!
米粒「ばあちゃん、元気にしてるかな~」
男「きっと元気にしてるさ……」
男(しかし……しかし、なにか嫌な予感がする……。不吉な予感がする……)
男(ただの杞憂ならいいのだが……)
67: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 02:50:21.784 ID:wYk1D2v+0.net
―田舎―
米粒「ばあちゃーん!」ピョンピョン
老婆「おめえは! あたしが収穫した米でねえか!」
米粒「よかった……元気そうだな」
老婆「おかげさまでねえ」
老婆「風邪はひかないし、100mは10秒台で走り、FXで大儲けしたし、ソシャゲ開発にも携わってるし」
老婆「昨日はフルマラソンを完走したよ」
男「杞憂にも程があった」
米粒「ばあちゃーん!」ピョンピョン
老婆「おめえは! あたしが収穫した米でねえか!」
米粒「よかった……元気そうだな」
老婆「おかげさまでねえ」
老婆「風邪はひかないし、100mは10秒台で走り、FXで大儲けしたし、ソシャゲ開発にも携わってるし」
老婆「昨日はフルマラソンを完走したよ」
男「杞憂にも程があった」
69: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 02:55:06.239 ID:wYk1D2v+0.net
老婆「米粒をここまで連れてきてくれたのは、あんただってねえ?」
男「はい」
老婆「せめてものお礼だ。さ、新米をたーんと食べてくれ」
男「いただきまーす!」
男「ん~、新米はやっぱり美味いなぁ!」モグモグ
老婆「そうじゃろう、そうじゃろう」
男「お前は食わないのか?」
米粒「バカ、共食いになっちまうだろ」
男「あ、そっか」
男「はい」
老婆「せめてものお礼だ。さ、新米をたーんと食べてくれ」
男「いただきまーす!」
男「ん~、新米はやっぱり美味いなぁ!」モグモグ
老婆「そうじゃろう、そうじゃろう」
男「お前は食わないのか?」
米粒「バカ、共食いになっちまうだろ」
男「あ、そっか」
70: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 02:58:12.485 ID:wYk1D2v+0.net
米粒「ばあちゃん、これからも元気でな!」
老婆「ああ、22世紀まで生きて、ドラえもんに会うよ」
男「あなたなら本当にできそうだから困る」
老婆「さよならー!」
男「さようなら」
米粒「じゃあなー!」
男「お元気そうでよかったな」
米粒「うん」
米粒「……さ、もう未練はない。食ってくれ」
男「!」
老婆「ああ、22世紀まで生きて、ドラえもんに会うよ」
男「あなたなら本当にできそうだから困る」
老婆「さよならー!」
男「さようなら」
米粒「じゃあなー!」
男「お元気そうでよかったな」
米粒「うん」
米粒「……さ、もう未練はない。食ってくれ」
男「!」
72: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 03:02:21.182 ID:wYk1D2v+0.net
男「本当にいいのか?」
男「このまましゃべる米粒として生きる道だって……」
米粒「いや、さっきお前に食べられてる新米を見て思ったんだ」
米粒「やっぱり俺も食われたいって……!」
米粒「お前みたいな好敵手に残されたくないって……」
男「分かった……食うぞ」
米粒「おう!」
男「いただきます」パクッ
モグモグ… ゴクン
男「……ごちそうさま」
男「……うまい」
男(体じゅうに活力が漲ってくる! お前は今までで最高のお米だったよ……ありがとう)
男「このまましゃべる米粒として生きる道だって……」
米粒「いや、さっきお前に食べられてる新米を見て思ったんだ」
米粒「やっぱり俺も食われたいって……!」
米粒「お前みたいな好敵手に残されたくないって……」
男「分かった……食うぞ」
米粒「おう!」
男「いただきます」パクッ
モグモグ… ゴクン
男「……ごちそうさま」
男「……うまい」
男(体じゅうに活力が漲ってくる! お前は今までで最高のお米だったよ……ありがとう)
74: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 03:05:24.109 ID:wYk1D2v+0.net
ブー… ブー…
男「はい」
同僚『お前、今までどこ行ってたんだ!?』
男「あ……」
同僚『米粒を追ったっきり、会社に戻ってこないで……連絡もしないで……』
男「すまない……今は田舎にいる」
同僚『田舎!? なんで!?』
男「色々事情があって……」
同僚『とにかく……課長に替わるぞ』
男(そうか……俺の感じた“嫌な予感”はこういうことだったのか)
男(俺は米粒は残さなかったかわりに、会社に俺の席も残らない、と……)
男(だが、後悔はない……)
男「はい」
同僚『お前、今までどこ行ってたんだ!?』
男「あ……」
同僚『米粒を追ったっきり、会社に戻ってこないで……連絡もしないで……』
男「すまない……今は田舎にいる」
同僚『田舎!? なんで!?』
男「色々事情があって……」
同僚『とにかく……課長に替わるぞ』
男(そうか……俺の感じた“嫌な予感”はこういうことだったのか)
男(俺は米粒は残さなかったかわりに、会社に俺の席も残らない、と……)
男(だが、後悔はない……)
75: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 03:09:56.118 ID:wYk1D2v+0.net
課長『もしもし』
男「課長、申し訳ありませんでした」
課長『事情は同僚から聞いた……米粒を残さないのは立派だが、少しやりすぎたな』
男「はい、しかし後悔はしていません」
課長『そうか、流石だ。さて、会社にお前の席は……』
男「……」
課長『残してある!』
男「!」
男「課長、申し訳ありませんでした」
課長『事情は同僚から聞いた……米粒を残さないのは立派だが、少しやりすぎたな』
男「はい、しかし後悔はしていません」
課長『そうか、流石だ。さて、会社にお前の席は……』
男「……」
課長『残してある!』
男「!」
76: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2017/11/30(木) 03:12:30.341 ID:wYk1D2v+0.net
課長『ただしお前の仕事はだいぶ溜まってしまったからな』
課長『今日はもういいが明日は残業してもらうことになるだろう』
課長『みんなも協力するといっているし、仕事も一粒も残さないように頼むぞ!』
男「はいっ! 最高の米粒を食べた今の俺なら大丈夫です!」
おわり
課長『今日はもういいが明日は残業してもらうことになるだろう』
課長『みんなも協力するといっているし、仕事も一粒も残さないように頼むぞ!』
男「はいっ! 最高の米粒を食べた今の俺なら大丈夫です!」
おわり
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