1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 14:52:43.354 ID:XC7JIzWv0.net
――――――――――

それは、毎日の日課の散歩をさせるために使い魔の犬を外に出した時の事だったわね

いつも通り犬はリールを嫌がって1人で…いや、犬だから1匹ね

とにかく何処かへと走っていっちゃったのよ

もちろん私は追いかけたわ

でも、追いついた時には手遅れだったの

2: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 14:53:19.263 ID:XC7JIzWv0.net
犬は…車に轢かれて無残な姿へと変えていたわ


それを最初に見た時、私はこう思ったの

『リールをつけなかったんだし、1人で飛び出したんだから当たり前よね』

ってね

あ、また間違えた…1匹だったわね

……………

………


3: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 14:53:44.011 ID:XC7JIzWv0.net
私の使い魔が亡くなったことを知った時、みんなはとても悲しそうな顔をしていたわ

私はそれがおかしくって、でもみんなの悲しむ顔は見たくないから励ますことにしたわ

「なんでそんなしょぼくれてんのよ、元気だしなさいよあんた達!」

私が元気いっぱいにそう言った時、みんな驚いた顔をしていたわ

何か変なこと言ったかしら?

4: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 14:54:08.964 ID:XC7JIzWv0.net
「サターニャさんは悲しくないんですか?辛く、ないんですか…?」

なんで私が悲しくなったり辛くなるのよ?よくわからないわね…

「当たり前じゃない、私は大悪魔よ?」

私ほどの大悪魔になると使い魔の死も想定内なの

え?大悪魔なら死なないようにしろ?

無理よ、だってあいつが私の命令に逆らったんですもの

5: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 14:54:32.811 ID:XC7JIzWv0.net
「サターニャさんは、強いんですね……」

涙ぐんだ顔でラフィエルはそう言ったわ

何故私が強いかどうかの話になるのかはわからないけど、褒められるのは嫌な気分じゃないわね

それにしてもラフィエルったら…

犬がたかが1匹亡くなっただけで泣くなんて大袈裟ね………

それとも私の偉大さに感動しているのかしら?

…なんてね、大悪魔はジョークもS級なの

6: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 14:54:55.997 ID:XC7JIzWv0.net
――――――――――

私の使い魔の葬式をすることになったわ

私はそこまでする必要は無いと思うんだけど、ラフィエルがこういうのはちゃんとした方がいいっていうの

これには珍しくガヴリールも賛同していたわ、意外ね

まぁラフィエルがお金を出してくれるらしいし、私はなにも反対する理由はないんだけどね

それに、使い魔のためにここまでしてくれるなんて、主として誇らしいわ!

8: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 14:55:21.442 ID:XC7JIzWv0.net
でも私の使い魔にここまでお金を出す余裕があるなら、私にメロンパンを買ってくれたっていいんじゃないかしら

そんなことを口に出した時

「サターニャさん…そういった冗談は控えてください」

なんて怒られちゃったわ

冗談で言ったつもりはなかったんだけど……

「まぁあんまり気にしないでやってくれ」

「あいつもあの犬とは親しかったからな、思うところがあるんだろ」

なるほど、そういうことだったのね

10: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 14:55:48.289 ID:XC7JIzWv0.net
――――――――――

やっと葬式が終わった、とても退屈な時間だったわ

ガヴリールとヴィネットは涙目だし、ラフィエルなんて泣いてるじゃない

何がそんなに悲しいのかしら?

それとも葬式に感動した?…ないわね

でもみんなのこういった顔を見る機会はなかなか無いかも

…あいつの泣いてる姿が見れただけでも葬式はしたかいがあったわね

12: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 14:56:18.660 ID:XC7JIzWv0.net
「…やっぱり強いんですね、サターニャさんは」

さっきも言われたけどなんのことかしら

…わからないから聞いてみることにしたわ

「なにがよ」

「いえ、なんでもありません」

そう言ってラフィエルは微笑んだわ

「ちょっと、どういうことよ!」

「サターニャさんは大悪魔ってことですよ!」

わ、わけがわからない………!

13: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 14:56:49.266 ID:XC7JIzWv0.net
ラフィエルの言いたいことがわからないからガヴリールに聞くことにしたわ

あいつは天使としてはダメダメなやつだけど、ライバルとしては認めているの

「ラフィエルは何を言いたかったのかしら?」

「うーん、わからなくていいんじゃないか?」

「知ってるなら教えなさいよ!」

「お前はずっとそのままでいいってことだよ」

更にわけがわからなくなったわ、聞くんじゃなかった

14: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 14:57:23.387 ID:XC7JIzWv0.net
――――――――――

ガヴリールとラフィエルが帰った後、私はヴィネットを引き止めたわ

最後にヴィネットに聞いてみることにしたってわけ

「ラフィエルが私のこと強いって言うんだけど、どういうことなのかしら?」

「うーん、多分だけど…」

「サターニャは犬を飼ってたわけだし、一番悲しい立場にいるわけじゃない?」

「そんなサターニャが悲しんだ素振りをみんなの前で見せなかったから、ラフィはサターニャのことを強いって言ったんじゃないかしら…?」

「そうなのね……」

15: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 14:57:46.893 ID:XC7JIzWv0.net
あれ、でも私は『悲しい』だなんて少しも思ってないわよ?

でもみんなは悲しんでいたわ

それにヴィネットの言い方だと私が一番悲しくないとおかしいんじゃないかしら…

おかしい

お か し い



私が…おかしい………?

16: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 14:58:11.203 ID:XC7JIzWv0.net
「…よく、わからないわ」

「…サターニャらしいわね」

「ねぇ、ヴィネット…私が悲しくないとおかしいのかしら………?」

「え? うーん、どうなのかしら……」

…あれ?

「ガヴリールとラフィエルはすごく悲しんでいたわ、でも私にはこれがよくわからないの」

「ヴィネットは、どう思う?」

「うーん、ガヴ達の反応が普通なんじゃないかしら…?」

17: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 14:58:39.741 ID:XC7JIzWv0.net
なにか違和感があるわね…

「……質問を変えるわ、『ヴィネットはどう思った?』」

「うーん………」

「………笑わない?」

「笑わないわ、これは真剣な質問なの」

「そう、そうよね…じゃあ言うわ」

18: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 14:59:02.223 ID:XC7JIzWv0.net
「正直、何も思わなかったの」

20: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 14:59:22.432 ID:XC7JIzWv0.net
「…え?」

「で、でもほら!ガヴとラフィは凄く悲しんでいたでしょ?だから悲しむのが普通なのかなーって…」

「…ぷふっ」

「あー!笑わないって言ったのに!」

「ご、ごめんなさいヴィネット…でも、おかしくて………ぷくくっ」

私は吹き出してしまったわ

なんとも真面目なヴィネットらしいというかなんというか…

21: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 14:59:50.080 ID:XC7JIzWv0.net
「もー!そういうサターニャはどうなのよ!」

「実は内心すごく悲しかったりするんじゃない?」

「そんなわけないじゃない、使い魔が1匹死んだどころでなんになるって言うのよ」

「それもそうよね…」

「全く…ヴィネットは周りに流されすぎよ……」

「あはは…涙ぐんで損しちゃった」

気楽な声でヴィネットはそう言ったわ

なーんだ…

22: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 15:00:11.674 ID:XC7JIzWv0.net
私がおかしいわけじゃなかったのね



おわり

引用元: サターニャ「使い魔の犬が死んだわ」