1: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ 81db-cb93) 2024/06/02(日) 20:51:06 ID:POCS.r/g00
第一話 すみれと塩らーめん


可可(ワタシは唐可可。中国は上海からスクールアイドルになりたくて、東京の結ヶ丘に留学した高校生デス)

可可(学校に通いながらアパートで絶賛独り暮らし中なのデス)

ガチャ

可可「……」

バタン

可可「……ハァ」

可可(かのんたちと違い、どんなにキツイ練習のあとでも、ひとりで家事をしないといけない)

可可(デモ、なんだか体がダルくてやる気が出ない。毎日最近そんな感じ……)

グゥウウ

可可「……餓了」

可可(おなかがすきまシタ。とはいっても、ここにあるのはインスタントラーメン、レトルトくらい)

可可(仕方ないデス……ククは料理があまり得意じゃないし、片付けも面倒くさいし)

可可(それに、ひとりのゴハンは何だか寂しい)

可可「……我想吃和姐姐做的飯菜」ポツリ



ピンポーン


可可「ハーイ、誰デスカ?」タッタッ


ガチャ


すみれ「来てやったら来てやったわよ」

2: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ 81db-cb93) 2024/06/02(日) 20:52:41 ID:POCS.r/g00

可可「……なんだ、グソクムシですカ」


ゴチン


可可「あぅー!ゲンコツ痛いデス!」

すみれ「とにかく、お邪魔するわよ」

可可「邪魔するなら帰るデスー!」

すみれ「はいはい」クツヌギ

可可「普通に入ってきた……」

すみれ「で、いま何をしていたの?」

可可「なにって、ご飯つくるとこデスガ?」

すみれ「そう。で、なにをつくるつもりだったの」

可可「いつものレトルトですヨ」ゴソゴソ

すみれ「またレトルト?昨日もレトルト食べたって言ってなかった?」

可可「でも今日は牛丼デスよ!」スッ

すみれ「同じレトルトじゃない!」

3: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ 81db-cb93) 2024/06/02(日) 20:54:49 ID:POCS.r/g00

すみれ「アンタ、他はなに食べてるの……?」ハァ

可可「インスタントラーメンデス!」

すみれ「その二種類をローテーションしてるってわけ!?それじゃ偏るわよ」

可可「でも美味しいし、片付けとかも楽デス」

すみれ「毎日こればっかりだと体の調子がおかしくなっちゃうわ。野菜を取り入れたバランスよい食生活を心掛けないとダメじゃない」

可可「……牛丼も野菜入ってマスヨ?」

すみれ「それは玉ねぎの欠片ったら欠片よ!入ってるうちに入らないわよ!」

すみれ「すさんだ食生活だと、体の調子が悪くなるわよ?疲れやすくなるし……」

すみれ「……だから最近、ダンスのキレが落ちてるし、ランニングですぐバテてるのね」

すみれ「スクールアイドルならもっと気をつかわないとダメよ。気になって部屋に来てみたら……思った通りだったじゃない」

可可「……」ムカッ

4: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ 81db-cb93) 2024/06/02(日) 20:56:03 ID:POCS.r/g00

可可「……すみれのせいデス」

すみれ「はぁ?」

可可(いつもこう。すみれはいつもいつも正論を言って、ククの逃げ場を封じてくる……だから、つい反抗してしまう)

可可「すみれのせいデス!そんなにククのこと気にするなら、ククのために何かご飯作りやがれ、デス!」ビシッ

すみれ「つくってやるったらつくってやるわよ」

可可「あぇ?なじぇ言い返さないデス?」

すみれ「そのつもりで来たんだから、いいでしょ」

可可「あぇ……マア、いいですガ……すみれも一緒にククと食べるデス」モジモジ

すみれ「いいの?じゃあ頂くわ」

可可「……」コクリ

すみれ「さ、作りましょっか!」

すみれ「この時間からだと買い出しは遅いから……今日はあるものだけでバランスのいいもの作らないといけないわね……」

すみれ「冷蔵庫、開けていい?」

可可「アッハイ」

5: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ 81db-cb93) 2024/06/02(日) 20:57:39 ID:POCS.r/g00

ガチャ

すみれ「中身ガラガラじゃない!入っているのはジュースだけって……」

可可「し、仕方ないデス!普段料理しないから!」

すみれ「アンタねぇ、せめて肉や卵くらいあってもいいじゃない。あとはバターだけって……」ハァ

可可「トーストにつけて食べる用デス」

すみれ「……冷凍庫はアイスクリームだけ、ね」

可可「日本のアイスクリームとっても美味しいデス」

すみれ「はいはい。で、野菜室は……あ、ピーマンだけあるわね。しかも三つ」

可可「ソレ、おとといスーパーいったとき、お買い得だからとりあえず買いまシタ」

すみれ「とりあえず買いは食材を無駄にするわよ……」ハァ

すみれ「よし、ピーマンを全部使いましょう」パッパッ

バタン

すみれ「さて、調理器具はどんなものが……って、これ」

可可「?」

すみれ「ギャラクシーな北京鍋があるじゃない!しかもいい感じに育ってる!」

可可「育つ?その鍋は上海で使ってたもののお下がりデス」

すみれ「ますます腕が鳴るわね。でも今日は……」

すみれ「このラーメンにしましょう」スッ

サッポロ一番塩らーめん

6: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ 81db-cb93) 2024/06/02(日) 20:58:41 ID:POCS.r/g00

可可「これ袋のインスタントラーメンデスよ?」

すみれ「そうよ。今あるものにちょい足しで野菜を取り入れて、少しでも栄養バランスを整えるの」

すみれ「まず鍋でお湯を沸かしてちょうだい。私はピーマンの下ごしらえをするわ」

可可「ハーイ」

すみれ「洗ったピーマンのヘタとタネを取り除いて、二個は形に沿って短冊切り」トントン

すみれ「もう一個は横にして繊維を断つように切って……」ザッザッ

可可「すみれは手際がいいデスね」

すみれ「ふっふっふ、ショウビジネスやってれば当然よ!」ドヤッ

可可「グッソクムシダンスがデスカー?」ニヤッ

すみれ「う、うるさいわね!この!」ムキー

可可「包丁、包丁!実際危ないデス!」ヒィッ

7: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ 81db-cb93) 2024/06/02(日) 21:03:03 ID:POCS.r/g00

すみれ「とにかくアンタはこの北京鍋でお湯を沸かしておきなさい。これはラーメンのスープにするから」

可可「ハイデス」

すみれ「短冊切りピーマンを耐熱容器に入れて、レンジで50秒加熱」

チーン

すみれ「あったかいうちにしょう油、ゴマ油、塩をちょっと……」パッパッ

すみれ「しっかり箸でかき混ぜて、味見……うん、いいんじゃない」

可可「ククもするデス!」アーン

すみれ「はいはい」ヒョイ

可可「太好吃!美味しいデス!」

すみれ「出来たものは冷まして……次はラーメンよ。まず、めんをゆでるわ」

可可「ククがほぐします!」

すみれ「任せた。じゃあ、めんをゆでてる間にスープ鍋にピーマンを入れるわ」サッ

可可「すみれ、このピーマンだけなぜ違う形に切ったデス……?」

すみれ「食べたらわかるったらわかるわよ」

8: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ 81db-cb93) 2024/06/02(日) 21:04:37 ID:POCS.r/g00

可可「めんがほぐれまシタ!お湯を切るデスよ」

すみれ「頼むわ。湯切りしたら麺をどんぶりによそってちょうだい」

可可「ハイデス」

すみれ「ピーマンを軽く煮たら火を止めて、北京鍋にスープの粉を……」パッパッ

すみれ「で、二つのどんぶりにスープを入れ、仕上げは具を盛り付けて、最後にゴマを振る」

すみれ「そして粗熱をとったピーマン和えを小皿に取り分けたら」

すみれ「ピーマン塩ラーメンと、ピーマンのナムルの出来上がりよ!」

可可「パチパチパチー!」

すみれ「さ、食べましょう!」

可可「ハイ!」


「いただきまーす」

9: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ 81db-cb93) 2024/06/02(日) 21:05:33 ID:POCS.r/g00

すみれ「……」スルスル

可可「……」スルスル

可可「ラーメンの具にピーマンって珍しいデスね」モグモグ

可可「……美味しいデス!イイ感じにピーマンがやわらかくてスープがしみてマス!」

すみれ「いけるったらいけるでしょ」

可可「ハイ!」

可可「ナムルは……シャキシャキしてて好吃デス!」シャクシャク

可可「同じピーマンでも歯ごたえと味が違いマスね」

すみれ「でしょ?同じ野菜でも切り方ひとつでこんなに変わるの、だから──」

すみれ「──料理って楽しいのよ」

可可「!」

可可「……まぁ、すみれが誇れる唯一の特技デスからね」

すみれ「相変わらず一言余計なんだから……」ヒョイ

すみれ「……」マゼマゼ

可可「すみれ、いまラーメンに何いれたデス?」

10: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ 81db-cb93) 2024/06/02(日) 21:08:36 ID:POCS.r/g00

すみれ「冷蔵庫にあったバターよ」

すみれ「味変するとさらに美味しいのよねー」スルスル

すみれ「んー、ギャラクシィ!」

可可「……」

可可「ずるいデスヨすみれ!ククも入れマス」ヒョイ

可可「……」スルスル

可可「スープにコクが出て美味しいデス!スープの塩味とピーマンの苦味をいい感じに包み込んで!」

すみれ「ただのインスタントラーメンもアレンジすると楽しいでしょ?」

可可「そうデスね」

すみれ「あ、そうそう。次のライブの衣装なんだけど……」

可可「それでしたら、かのんに──」


可可(このあとすみれとおしゃべりして、久しぶりに賑やかな美味しい晩ご飯を過ごしまシタ)

11: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ 81db-cb93) 2024/06/02(日) 21:09:28 ID:POCS.r/g00

玄関

すみれ「……洗い物も終わったし、じゃあ帰るわね」

可可「気を付けて帰るデスよ」

すみれ「分かってるったら分かってるわよ」クルッ

可可「あ、しゅみれ……」モジモジ

すみれ「?」

可可「その、ご飯、ありがとうございまシタ……」

すみれ「ふふっ、どういたしまして。じゃあ明日ね」ガチャ

可可「アッ……」

可可「すみれ!」グイッ

すみれ「ん、なに?」クルッ

12: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ 81db-cb93) 2024/06/02(日) 21:10:40 ID:POCS.r/g00

可可「エト、あの……もしよかったらデスが……」モジモジ

可可「ときどきククと晩ご飯作って食べまセンか?」

可可「た、たまにでいいデス!妹ちゃんもいるから!」

可可「だ……ダメ、デスカ?」

すみれ「別にいいわよ?うちの親が妹の面倒みれるとき、そっちに行くわね」

可可「そうデスか!謝謝、すみれ!」パァッ

すみれ「ふふ、どういたしまして」

すみれ「でも……その前にスーパーで食材を買いに行かないとダメね」

すみれ「明日、練習終わりに行きましょう」

可可「はいデス!」

すみれ「じゃ、お休み」


バタン


可可(こうして、ときどきすみれがククに晩ご飯を作ってくれることになりまシタ)

すみれと塩らーめん 終

13: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ 81db-cb93) 2024/06/02(日) 21:11:26 ID:POCS.r/g00
次回、すみれと海南鶏飯

23: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ 5d50-dc04) 2024/06/04(火) 22:38:31 ID:kHdEyawg00
第二話 すみれと海南鶏飯

千砂都「ワン、ツー、スリー、でラスト!」

千砂都「……うん、今日はここまで!!」

かのん「あぁー疲れた!ちぃちゃんいつもハードなんだから……」

恋「ライブが近いですから、仕方ないです」

可可「……パタリ」グデー

千砂都「そろそろ暑くなってきたから、水分補給はしっかりねー!」

すみれ「ほら、可可、立ちなさい。今日は一緒に行くんでしょ?」

可可「そうデシタね……すみれ、手を貸すデス」

すみれ「はいはい」ヒョイ

可可「謝謝」メセンソラシ

かのん「……!」

すみれ「可可と私は先にあがるわね。みんな、おつかれ」

恋「はい!また明日!」

千砂都「おつかれー!」

かのん「……」

恋「どうしました?かのんさん?」


かのん「……あのふたり、なーんかあるなぁ……」ジー

24: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ 5d50-dc04) 2024/06/04(火) 22:40:06 ID:kHdEyawg00

可可(すみれと着替えを済ませ、学校を出たククは一緒にスーパーへ)

すみれ「アンタはカートおしてなさい」

可可「はいデス」ガララ

すみれ「まずは三種の野菜ね」

すみれ「あ、新玉ねぎがあるじゃない」ポイッ

可可「三種……人参、じゃがいも、玉ねぎ、デスか?」

すみれ「そうよ。この三つがあれば組み合わせ次第で色んな料理ができるのよ。しかも保存がきくし」

可可「そうなんデスか?知らなかったデス」

すみれ「アンタねぇ……少しは身に着けないとダメじゃない」

可可「んなっ……!べ、別にイイデスよ!すみれにゴハン作ってもらうから、必要ありまセン!」

すみれ「はいはい。で、今日はなに食べるの?」

可可「ナポリタンが食べたいデス!」

すみれ「それ、今日のお昼だったじゃない!コンビニの!」

可可「あぇ……ソウデスカ?」

25: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ 5d50-dc04) 2024/06/04(火) 22:41:37 ID:kHdEyawg00

すみれ「いくら好物でも昼も夜も麺ってのはあまりバランスが良くないわよ」

すみれ「ナポリタンはまたの機会ね」

可可「ハァイ……」シュン

すみれ「そんな顔しないの。いつか特別なの作ってあげるから」

可可「やった!」ピョンピョン

すみれ「とりあえず野菜は……あ、きゅうりとトマトが安いわね、サラダにしようかしら?」ポイッ

すみれ「あとニンニク、しょうがの香味野菜も買っておきましょう」ポイッポイッ

すみれ「きょうの晩ご飯、主食は米にするとして……」

可可「すみれ!すみれ!」タッタッ

可可「今日は鶏肉が特売らしいデスよ」

すみれ「でかしたわ、行きましょう!」

26: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ 5d50-dc04) 2024/06/04(火) 22:42:38 ID:kHdEyawg00

すみれ「もも肉が安いじゃない!買いましょう」ポイッポイッ

可可「ふたつも買うデスか?」

すみれ「もも肉は和食も中華もイタリアン……なんにでも使えるの」

すみれ「可可の冷蔵庫にない調味料も買っておきましょう。あ、スイートチリ安いじゃない」

すみれ「オイスターソースも……」ポイッ

すみれ「……あれ、可可?」キョロキョロ


すみれ「どこいったのよ……」


可可「すみれ!すみれ!」タッタッ

すみれ「どこにいってたのよ、ってそれ」

可可「アルフォートのチョコバナナ味デス!買っていいデスか!?」キラキラ

すみれ「いいんじゃない?アンタの支払いだし」

可可「あぇぇ……」

31: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ f717-e74d) 2024/06/05(水) 22:29:40 ID:kGaJg/jo00
アパート

可可「ただいまデスー」

すみれ「お邪魔するわよ」

可可「邪魔するなら帰──」

すみれ「はいはい、袋重いからさっさと入りなさい」グイグイ

可可「押すなデス!」

すみれ「ふぅ……運ぶの大変だったわね」

すみれ「さ、テーブルに広げるわよ」

ドサッ

すみれ「いっぱい買ったわね……さて、晩ご飯は米と決めたわけで」

すみれ「鶏もも肉がふたつあるし、炊飯器で出来る簡単なものにしましょう!」

可可「すみれ、なに作るデスか?」

すみれ「出来てからのお楽しみ。ヒントはギャラクシィーなシンガポールチキンライスよ!」

可可「シンガポール、デスカ??」

すみれ「さ、つくりましょう!」

32: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ f717-e74d) 2024/06/05(水) 22:30:55 ID:kGaJg/jo00

すみれ「まず炊飯器の釜に米を二合いれてちょうだい」

可可「はいデス」

すみれ「軽く研いで」ジャッジャッ

すみれ「研いだ水を捨てて、きれいな水を注ぐ」

すみれ「水の量は二合の線よりちょっと少なめに」

可可「なぜデスか?」

すみれ「この料理はご飯が少しパラッとしたほうが美味しいの。本当は細長い米で炊くんだけど、いまあるお米でも美味しくできるのよ」

すみれ「釜を炊飯器にセットして、三十分待つ」

すみれ「その待ち時間を活用して、下ごしらえをするわよ」

すみれ「可可は今からいう調味料を用意しておいて」

可可「ハイ!」

33: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ f717-e74d) 2024/06/05(水) 22:32:49 ID:kGaJg/jo00

可可「用意したデスよ」

すみれ「ありがとう」

すみれ「それじゃ、ニンニクとショウガの皮をむいて……」

すみれ「すりおろす」ザッザッ

可可「すみれ、どうしてチューブのを買わなかったデス?手間かかるデスよ?」

すみれ「香りが大事なの。チューブだと、どうしても香りが落ちるのよね」

可可「そういうものデスか……?」ウーン

すみれ「答えはあとでわかるわよ」

すみれ「さて、次は鶏肉の下ごしらえったら下ごしらえよ」

可可「はいデス」

34: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ f717-e74d) 2024/06/05(水) 22:33:39 ID:kGaJg/jo00

すみれ「……包丁でもも肉の端にある白いヒモのような筋を切って」

すみれ「余計な皮と肉についてる白い脂身、血合いを取り除く」スッスッ

すみれ「もうひとつも同じようにやったら……可可」

可可「ハイ」

すみれ「フォークで肉の方に軽く刺しておいて。味を染みやすくしましょう」

可可「はいデス!」プスプス

可可「……やったデスよ」

すみれ「できた肉をビニール袋に入れて……塩、砂糖、酒を入れたら」

すみれ「軽くもんでちょうだい」

可可「もむデスよ、すみれ」モミモミ

すみれ「これくらいでいいわ。あとは少し寝かせておきましょう」

35: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ f717-e74d) 2024/06/05(水) 22:35:12 ID:kGaJg/jo00

可可「次はなにするデス?」

すみれ「新玉ねぎを買ったから、ニンジンを入れて卵スープにするわ」

可可「雞蛋湯!」

すみれ「?」

可可「卵スープのことデスよ」

すみれ「へぇ、スープって湯っていうのね」

可可「そうデス。ラーメンのパイタン、チータンは中国語デスよ」

すみれ「そうなのね……さて、ようやくこの北京鍋の出番ね」ヒョイ

すみれ「やっぱり、ますますいい鍋じゃない!打ち出し式だし」

可可「?」

すみれ「とにかく、使うったら使うわよ」

可可「どうぞデス」

すみれ「腕が鳴るわね……まずは」

すみれ「ニンジンと玉ねぎを細く切って」スッスッ

すみれ「別の器で水溶き片栗粉を作って、なじませる」

すみれ「あ、そろそろご飯の準備しないと……」

36: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ f717-e74d) 2024/06/05(水) 22:37:21 ID:kGaJg/jo00
ガチャ

すみれ「吸水させた釜の米に、鶏がらスープの素、すりおろしたしょうが、ニンニクを入れる」パッパッ

すみれ「しゃもじでしっかりかき混ぜて……可可」

可可「なんデスか?」

すみれ「さっきもみこんだ鶏肉もってきて」

可可「はいデス」スッ

すみれ「……きれいに広げた鶏肉をのせて、袋の中のエキスも全部釜にいれて」

すみれ「フタをして、スイッチオンよ」

ピッ

すみれ「あとは炊きあがるまで待つったら待つのよ」

可可「もも肉ふたつ、とっても贅沢デス!」

すみれ「今日はいっぱい体動かしたから、お肉いっぱい食べましょう。余っても明日の弁当のオカズになるしね」

可可「ククのお弁当のことも考えていたんデスか?すみれは優しいデス!」

すみれ「ま、まあね……」モミアゲイジイジ

37: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ f717-e74d) 2024/06/05(水) 22:38:40 ID:kGaJg/jo00

すみれ「炊きあがる時間に合わせて、卵スープを作るわよ」

すみれ「北京鍋に水を入れて、鶏がらスープの素を入れて溶かしてから……」

すみれ「さっき切った野菜を入れて、火にかける」ボッ

可可「すみれ、なじぇ沸騰してから入れないのデスか?ラーメンのピーマンは沸騰してから入れたのに」

すみれ「いい質問ね。答えは、野菜の美味しい煮方に合わせてるの」

可可「煮方、デスか?」

すみれ「そうよ。野菜の、土から上にできる野菜……キャベツやピーマン、葉野菜は沸騰してから煮る」

すみれ「逆に、土から下の野菜……ニンジンや玉ねぎとかは水の状態から火にかけて煮るの」

すみれ「これを守ると美味しくできるったらできるのよ」

可可「はぇー」

すみれ「ま、ショウビジネスに関わっていたら当然の常識よ!」ドヤッ

可可「ホントデスカァ……?」ジトッ

39: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ f717-e74d) 2024/06/05(水) 22:41:37 ID:kGaJg/jo00
ゴポポ

すみれ「鍋が煮立ってきたわね……可可、卵をかき混ぜておいてちょうだい」

可可「はいデス」カチャカチャ

すみれ「で、塩を入れる……すこし薄めにしましょう」パッ

すみれ「味見して……うん、大丈夫ね」

スッ

すみれ「火を弱火にして、円を描くように中身をお玉で混ぜながら、片栗粉を入れる」

すみれ「トロみがついてきたら、卵ちょうだい」

可可「ハイ!」スッ

すみれ「ありがと……糸を垂らすように卵を入れて、少し火を通す」

すみれ「最後の仕上げにゆっくりかき混ぜたら、香りづけにゴマ油」タラー

すみれ「──新玉ねぎとニンジンの中華卵スープの出来上がりよ!」

可可「パチパチパチ、デス!」

40: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ f717-e74d) 2024/06/05(水) 22:44:06 ID:kGaJg/jo00
ピーピー

すみれ「ちょうどご飯も出来たわね!」

可可「さっきからショウガとニンニクのイイ匂いが……お腹が餓餓了デスよ、すみれ!」

すみれ「じゃあ、炊飯器のご開帳ったらご開帳よ」ポチ

パカッ

可可「……真っ白なお肉がきれいデスね!美味しそう!」

すみれ「うーん、いい香りじゃない!この瞬間が一番楽しいのよね」

すみれ「鶏肉を取り出して、熱を冷ましている間……」

すみれ「しゃもじで素早くかき混ぜる!可可、皿を用意して!」サッサッ

可可「ハイ!」スッ

すみれ「ご飯をいったん茶碗に盛ってカタをとったら、皿にインよ」カポッ

すみれ「茶碗をとったら……」

可可「ステキナドームノカタチー!」

すみれ「ドーム状のお米に添えるようにスライスした鶏肉を並べ、カットしたトマトと薄切りきゅうりを盛り付けたら……」

すみれ「──シンガポール料理、海南鶏飯(ハイナンチーファン)の出来上がりよ!」

すみれ「スイートチリソースと、ニンニクしょう油を用意したわ。肉につけて食べましょう」

可可「はいデス!」


「いただきまーす」

41: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ f717-e74d) 2024/06/05(水) 22:45:37 ID:kGaJg/jo00

可可「まずはお肉デス!チリソースで!」パクッ

可可「好好吃!しょうがとニンニクが香る肉が柔らかくて最高デス!」

すみれ「私はニンニクしょう油で……」パクッ

すみれ「うーん、ギャラクシィ!余分な油が落ちてアッサリ味のお肉と、しょう油の相性は抜群ね!」

可可「ご飯はお肉のダシがしみてて、こっちも美味しいデス!」モグモグ

すみれ「こういう炊き込みご飯もいいでしょ?」

可可「はいデス!あ、スープも飲むデス」ススッ

可可「アジワタルシミー!」

すみれ「なによそれ」

可可「……スープもふわトロでいいデスね!」

すみれ「玉ねぎ入れてるから甘味もあるし、なめらかで美味しいわね」

すみれ「……さて、と」スッ

可可「すみれ、なにするデスか?」

42: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ f717-e74d) 2024/06/05(水) 22:47:37 ID:kGaJg/jo00
すみれ「なにって……米をスプーンですくって、そのうえに肉をのせてチリソースをたっぷりかけるのよ」

すみれ「で、それを一気に口の中に放る!」ヒョイ

可可「あぇぇ……ゲヒンデスよ、すみれ」

すみれ「うん、うん……」モグモグ

すみれ「……大口を開けるし、ちょっと下品かもだけど美味しいわよ?」

すみれ「米と肉を一度に食べる。なんかお寿司って感じで……アンタもやってみたら?」

可可「イエ、ククはすみれと違いマスから!」

すみれ「あ、そう」スッ

すみれ「今度はニンニクしょう油で……」ヒョイ

すみれ「……」モグモグ

可可「……」

すみれ「やっぱり美味しいったら美味しいじゃない!」

可可「……」ウズウズ

可可「す、すみれのせいデスよ……ククもやってみるデス……」パクッ

可可「美味しいデス……」

すみれ「ふふっ、でしょ?」

可可「なっ、何ニヤニヤしてるデスか!」プンプン

すみれ「別にー?」


可可(こうして、すみれとククは口の中で広がるシンガポールを楽しみマシタ)

43: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ f717-e74d) 2024/06/05(水) 22:49:22 ID:kGaJg/jo00
玄関

すみれ「帰るわね」

可可「ハイ、ごちそうさまでシタ」

すみれ「おそまつさまでした」

可可「すみれ、言われた通り今日の残りは明日のお弁当にするデス」

すみれ「ちょっとニンニクのにおいがするから、食後のケアはしっかりするのよ?」

すみれ「スクールアイドルがニンニク臭なんて言語道断なんだから」

可可「わかってマス!おくちクチュクチュするデス」

すみれ「ならよし」

可可「気を付けて帰るデスよ」

すみれ「わかってるわ……じゃあ、お休み」

可可「ハイ!」

バタン



すみれ「今度は何をつくってあげようかしら……」スタスタ


「……」


かのん「みーちゃった……!」




すみれと海南鶏飯 終

44: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ f717-e74d) 2024/06/05(水) 22:49:58 ID:kGaJg/jo00
次回、すみれとかのんとハンバーグナポリタン

51: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ f717-e74d) 2024/06/08(土) 22:53:57 ID:2/xz/Sao00
すみれとかのんとハンバーグナポリタン

かのん「ちぃちゃん、恋ちゃん!あのね、あのね!」

かのん「この前みちゃったんだけど──」

恋「本当ですか!すみれさんと可可さんがデキて……」

千砂都「ストーップ!」バッ

千砂都「決めつけるのは早いと思うけどなー」

かのん「そうかな?あれは絶対そうだと思うんだよね。だって、あとで気になって調べたけど……」スッ

かのん「すみれちゃん、数日おきに可可ちゃんのアパートに出入りしてるんだ」ペラッ

かのん「滞在時間は二時間以上。一緒に帰ったついでのおしゃべりにしては長すぎるんだよね」ペラッペラッ

千砂都「わざわざ手帳につけてるんだ……」

かのん「これは間違いなく交際関係だよ!普段は口ゲンカばっかりと見せかけて実は……」

恋「スクールアイドル同士の交際、Liella!のスキャンダルです……!」アワワ

千砂都「本当にそうなのかなぁ?」ウーン

恋「いけません、いけません……すみれさんが土日に可可さんのアパートに寄ってWeekendLover、破廉恥すぎます!禁断のセカイですっ!」

かのん「れ、恋ちゃん……?」

千砂都「変なスイッチ入っちゃった」

千砂都「とにかく落ち着こうよ、ね?」ユサユサ

恋「ハッ……そうですね。失礼いたしました」

かのん「ねえ、そこでみんなに提案なんだけど──」

52: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ f717-e74d) 2024/06/08(土) 22:58:34 ID:2/xz/Sao00
土曜日 表参道

可可「すみれ!すみれ!」ピョンピョン

すみれ「ふふっ、そんなに嬉しいの?」

可可「だって今日は──」

ワイワイ

かのん「……」ジー

かのん(結局、私ひとりで尾行……)

かのん(よりにもよって、ちぃちゃんはタコ焼きのバイト。恋ちゃんはチビを動物病院に連れて行く日と被ちゃったとは)

かのん(デートを尾行して、いい感じでアパートに入る瞬間、みんなで真偽を確かめるために直撃しようと思ったのに……)

かのん「ううん!例えひとりでもLiella!のリーダーとしてやり遂げなきゃ!不純同性交遊はスキャンダルだよ、って」グッ

すみれ「……ん?」クルッ

かのん(やばっ!)バサッ

すみれ「……」ジッ

可可「すみれ、なんデス?」

すみれ「……気のせいったら気のせいね」クルッ

かのん「……」ホッ

かのん(あぶなかった!フード付きパーカーを着ててよかったぁ……)

53: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ f717-e74d) 2024/06/08(土) 23:00:51 ID:2/xz/Sao00

かのん(今日のふたりは、服を見たあとなにか買い物するみたい)

すみれ「紀ノ国屋に行きましょう。あそこならイタリアのいいものがあるわよ」スタスタ

可可「やった!楽しみデス」スタスタ

かのん「……」スタスタ

かのん(イタリア?いったい何を買うんだろ?)

すみれ「……!」クルッ

かのん「!!」サッ

すみれ「……」ジー

可可「すみれ?」

すみれ「……あのフード被ったの、さっきからずっとついてきてるわ」

可可「す、ストーカーデスか!?」

すみれ「わからない……確かめてみるったらみるわよ」スタスタ

可可「はいデス」スタスタ

かのん(動き出した……よし)スッ

54: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ f717-e74d) 2024/06/08(土) 23:04:12 ID:2/xz/Sao00

すみれ「……」スッ

可可「……」スッ

かのん「あれ?大通りから細い路地に入った」

かのん「……ここら辺は入り組んでるから、見失っちゃう!」ダッ

かのん(この路地を左に)クイッ

かのん「あっ……!」ピタッ


可可「アナタ、なぜついてくるデスか?」


かのん(可可ちゃんひとりだけ!?ってことは……)クルッ

すみれ「いくら私のファンでも、あまりしつこいと警察呼ぶわよ」スッ

かのん(背後にすみれちゃん!?さっきから気づいてたの!?)


すみれ「さあ、そこのフード!顔を見せなさい!」ビシッ


かのん(うぅ……もうだめだぁ)

かのん「バレちゃった……アハハァ……」バサッ

可可「かのん!?」

すみれ「なんでアンタがここに!?」

かのん「えっと、その、実は──」

59: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ f717-e74d) 2024/06/10(月) 07:30:48 ID:5yC525Bo00

すみれ「なんですってぇ!?私と可可がっ……!」

可可「ななな、何いってるデスか!?」

すみれ「わわわ、私が可可のこと好きなわけないったらないじゃない!」

可可「ソウデスよ、誰がこんなグソクムシなんか……!」

すみれ「誰がグソクムシですってぇー!」ギロッ

可可「事実デスよ、すみれ!」クワッ

かのん「あ、あの……ケンカはよくないと思う、よ?」アワワ

すみれ「アンタのせいでしょ!」

可可「デス!!」

かのん「ひぃいい!ごめんなさーい!」ビエエ

60: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ f717-e74d) 2024/06/10(月) 07:33:11 ID:5yC525Bo00

かのん「……なーんだ、可可ちゃんのためにご飯つくってたんだね!」

すみれ「まったく、はなはだしい勘違いったら勘違いよ!」

可可「そうデス、そうデス!尾行なんて、ありがた迷惑デスよ!」

かのん「意味あってるかな、それ……」アハハ

かのん「だから最近、可可ちゃん元気になってダンスもキレが良くなったんだ!」

可可「ふふん、まあ……すみれのご飯は栄養がありマスから」

すみれ「これもLiella!のためだと思って、ね」

かのん「ふーん、そっかぁ……すみれちゃんLiella!のために料理つくってくれるんだー」

すみれ「な、なによ?」

かのん「ううん、なんでもないよ!」フリフリ

グウウ

かのん「あっ……えーっと、アハハァ……」

すみれ「もしかして──」

可可「──お腹すいてるデスか?」

かのん「……はい」

61: 「キャップ取得方法★」スレをご確認ください (ワッチョイ f717-e74d) 2024/06/10(月) 07:38:23 ID:5yC525Bo00

かのん「実は……お昼からずっと二人を尾行してて、ご飯もおやつも食べてないんだ」アハハ

すみれ「アンタねぇ……」ハァ

可可「だめデスよ、かのん!ちゃんと食べないといけまセン!」ビシッ

かのん「そこで、すみれちゃんにお願い!何かご飯つくってくださいっ!」

すみれ「い、いきなりね……」

かのん「可可ちゃんばかりズルいよ!私もすみれちゃんの料理また食べたい!」

かのん「ね、ね、いいでしょお?Liella!のためだと思ってさ!」クネクネ

すみれ「かのんのためでしょ!!」

可可「マァ、いいんじゃないデスか、すみれ」

すみれ「いいの……?」

可可「いいデスよ。すみれが誰かと食べるご飯はもっと美味しいことを教えてくれたデスから」

かのん「いいの!?やったー!」パァッ

かのん「さすが一緒にユニット組んだ間柄!クーカーだけに、ツーカーだね!!」

すみれ「しょうがないわねー、じゃあ買い物に行くわよ」

かのん「ありがとう!すみれちゃん!」

すみれ「ただし今日の買い出しはアンタの支払いよ、あらぬ疑いをかけられたし」

かのん「え゛っ゛!?」タラー

66: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ eb20-e412) 2024/06/12(水) 22:12:59 ID:wbJMc6fQ00
紀ノ国屋

すみれ「かのん、カートを押す係ね」

かのん「はーい」

かのん「ねー、すみれちゃん今日は何をつくるの?」

すみれ「ナポリタンよ……あ、ピーマン買っておいて」

可可「はいデス」ポイッ

かのん「ナポリタンは可可ちゃんの好物だもんねー、そうだよねー」

すみれ「……?そうね」

かのん「……」

すみれ「あ、玉ねぎも補充しましょう」

可可「はいデス!」ポイッ

かのん「ところで、私の好物って知ってるー?カフェオレ、焼きリンゴ──」

すみれ「──トマトでしょ?知ってるわよ、だいすきって歌ってたじゃない」

すみれ「……サラダにトマトを使いましょう」ポイッ

かのん「ねねね、あとひとつは?」ソワソワ

すみれ「それだけでしょ?」

かのん「すみれちゃんひどいっ!あとひとつあるのに!!」ガーン

すみれ「冗談、ハンバーグでしょ?みんなの好物はちゃんと把握してるったらしてるわよ」

67: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ eb20-e412) 2024/06/12(水) 22:14:39 ID:wbJMc6fQ00

かのん「ということはー?」ワクワク

すみれ「かのんもいるし……ファミレスのワンプレートっぽく、ハンバーグナポリタン作るわ」

かのん「本当!?やったー!」

かのん「ハンバーグもいい~♪フゥー!」

可可「いきなり歌うデスね」

すみれ「……家の古いフライパンを可可の部屋に持ち込んでてよかったわ」

すみれ「たまにはボリューム満点なものもいいかもね、ダイエットとか気にせずに」

可可「楽しみデス!」

すみれ「腕が鳴るわ……じゃあ合挽きミンチ、国産ベーコンを買いましょう」ポイッポイッ

すみれ「あれ?かのんは……」キョロキョロ

かのん「すみれちゃん、これでしょ!イタリアのスパゲッティ」スッ

すみれ「それ、買いたかったものよ。よくわかったわね?」

かのん「さっきの会話を盗み聞きしてて、覚えてたんだ!」ドヤッ

すみれ「まったくアンタは……」

可可「すみれ!すみれ!」

すみれ「今度はなに?」

可可「チョコバナナジャムを見つけまシタ!」スッ

すみれ「ほんとに好きねチョコバナナ……てか、あるのね」

68: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ eb20-e412) 2024/06/12(水) 22:15:41 ID:wbJMc6fQ00
アパート

可可「ただいまデス!」

かのん「お邪魔しまーす」

可可「ドウゾ!」

すみれ「いつもの言わないのね……」ボソ

かのん「すみれちゃんお腹すいた!」

可可「ペコペコデスよ、すみれ!」

すみれ「わかってるったらわかってるわよ。さあ、つくりましょう」

かのん「任せた!」

すみれ「かのんも手伝いなさいったら手伝いなさい!」クワッ

69: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ eb20-e412) 2024/06/12(水) 22:17:31 ID:wbJMc6fQ00

すみれ「まずはハンバーグの準備からね。かのん、玉ねぎをみじん切りできる?」

かのん「できるよ!」ザクザク

可可「手際いいデスね」

すみれ「さすが喫茶店の娘……」

かのん「でも、これ以外料理はほとんどお母さんがやってるけどね。私はドリンクメインかな」アハハ

かのん「……よし、できたよ!」

すみれ「じゃあ玉ねぎ炒めるわよ。熱したフライパンのバターが溶けたら、玉ねぎ投入っと」

ジュー

すみれ「ふたりで色が茶色っぽくなるまで炒めるのよ?あ、焦がしたら苦くなるから気をつけて」

可可「はいデス!」

かのん「了解!」

十分後

かのん「すみれちゃんできたよ」サッ

すみれ「わかった……うん、いい色ね」

すみれ「早く冷ますために金属のボウルに入れましょう」パッ

すみれ「可可、パン粉に牛乳をかけておいて」

可可「はいデス」

70: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ eb20-e412) 2024/06/12(水) 22:18:37 ID:wbJMc6fQ00

すみれ「玉ねぎがさまったら、そこにひき肉、牛乳入りのパン粉、卵、塩コショウそして」

すみれ「ナツメグ少々……と」パッパッ

すみれ「これを素手でよく混ぜるんだけど……」チラッ

かのん「?」

可可「どしたデス」

すみれ「混ぜるの、じゃんけんで決めましょう!じゃーんけん」

三人「ポン!」

かのん「やった!」パァ

可可「勝ったデス!」パァ

すみれ「ギャラクシィー!なんでったらなんでよ!」グー

可可「グソクムシは相変わらず運が悪いデスねー」

かのん「最初はパァだよ、サニーパッションの悠奈さん伝授のじゃんけん必勝法なんだ!」ドヤッ

すみれ「ぐぬぬ……まぁ、いいわ。混ぜるからそのフライパン洗ってなさい」

71: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ eb20-e412) 2024/06/12(水) 22:20:14 ID:wbJMc6fQ00

すみれ「……ひき肉が赤から白っぽいピンクになるまで」ニチニチ

すみれ「手全体をしっかり使って練る」ニチニチ

かのん「なんか音がヤラしいー」

可可「怪しい指使いのグソクムシデス」

すみれ「なっ……ふっくら仕上げるのに必要ったら必要なのよ!」ムキー

かのん「あはは、ごめんって」

すみれ「まったく……しっかり肉を練り上げたら、両手で形成よ」ペチペチ

可可「きれいなダエンケイのハンバーグになっていくデス」

かのん「もし、ちぃちゃんがここにいたら……」



千砂都「全然マルじゃない!!バツだよ!!」



かのん「……って、言いそう」

可可「デスね」

すみれ(言いそうどころか、確実に言うでしょうね……)

すみれ「できたわ……さあ、焼くったら焼くわよ!」

75: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ eb20-e412) 2024/06/13(木) 21:24:38 ID:6B6YGABA00

すみれ「かのん、熱したフライパンに油をしいてくれない?」

かのん「わかった」タラー

すみれ「ゆっくりハンバーグを入れて、焼く」

ジュー

かのん「うーん、いい音だぁ……!」

すみれ「それぞれ中心から離れた端に寄せて、ヘラで形を整えつつ……」

すみれ「裏表に焼き色を付けていくわよ」ジュー

かのん「すみれちゃん!それ、やらせてよ!」

すみれ「いいわよ、はい」ヒョイ

かのん「大好きさ、ルルル~♪」チョイチョイ

すみれ「……かのんに焼きを任せてる間、パスタをゆでるお湯を沸かしましょう」ドン

可可「ついにデスね、すみれ!」

すみれ「で、ナポリタンの具材を用意するわ」

可可「手伝いマス!」

76: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ eb20-e412) 2024/06/13(木) 21:26:19 ID:6B6YGABA00

かのん「すみれちゃーん、焼き色ついたよ」

すみれ「見せてみなさい……」ヒョイ

すみれ「うん、裏も表もいい感じ。こんがり、こんがLiella!ね」フッ

かのん「……!」

可可「いまナンテ……」

すみれ「な、なんでもないわよ!?火を弱めたら、フタをしてじっくり蒸し焼きで中まで火を通すわ」

かのん「さっき、こんがリエラって言ったよね?」ジト

可可「いったデス」ジトッ

すみれ「そ、空耳じゃない……?あ!ほら、お湯が沸いたわ!」

可可「目が泳いでマスよ、すみれ」

すみれ「さあ、お湯に塩をいれて」パッパッ

すみれ「よし!パスタをゆでるったらゆでるわよ!」バラッ

すみれ「あー、ギャラクシィに忙しいったら忙しい!!」

可可「ごまかした」

かのん「ごまかしたね……」

77: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ eb20-e412) 2024/06/13(木) 22:07:11 ID:6B6YGABA00

すみれ「ときどきフライパンのフタを開けて、ハンバーグの様子を見る……」パカッ

すみれ「で、ひっくり返して均等に熱を通す」ヒョイヒョイ

ジュー

かのん「んんー、とってもいいにおい!お腹すいたー!」

すみれ「まだ中は生よ」

かのん「ええ……まだなの!?」

すみれ「このハンバーグは特別。もう少し焼くの」カポッ

かのん「特別?」

すみれ「そうよ。肉汁が外に逃げないようにパン粉を多めにして、厚めにしてるわ」

かのん「確かに……普通のハンバーグって焼いてるとジュワーって出るけど、すみれちゃんのはほとんど出てないね」

すみれ「でしょ?ナポリタンと一緒にするから、できるだけ味が混ざらないようにしたかったのよ」

かのん「へえー、楽しみったら楽しみ!い゛た゛っ゛」ベシッ

すみれ「真似しないでったら真似しないで」

ピピピ

可可「すみれ!パスタがゆであがったデスよ」

78: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ eb20-e412) 2024/06/13(木) 22:40:45 ID:6B6YGABA00

すみれ「ちょっと味見……うん、いいわね」

すみれ「ゆで汁を少し器に入れておいて」チョイチョイ

可可「なじぇ?」

すみれ「……あとでわかるわよ。で、パスタをザルにうつして湯切り」

ダバー

すみれ「くっつかないように軽く油をまぶして、おいておく」パッパッ

可可「ちょっとつまみ食い!」ヒョイパク

すみれ「あ、こら」

可可「……あぇ?やわらかいデスね、パスタはかためのアルデンテが基本と聞きマスが」モグモグ

かのん「それ、なんでか知ってるよ!」

かのん「ナポリタンがある喫茶店では、ゆで置きしたやわらかいパスタと具を炒めてつくってたんだ」

かのん「それがナポリタンだーって、新聞や小説家が紹介したことで定着したんだって!」

すみれ「さすが喫茶店の娘ね。そう、正統なナポリタンはそうやって作るのよ」

可可「そうなんデスか!初めて知りまシタ」

かのん「やった!すみれちゃんが褒めてくれた」フフン

80: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ eb20-e412) 2024/06/15(土) 19:09:30 ID:hR9cZd0s00

すみれ「さあ、次はこの北京鍋の出番よ!」スッ

すみれ「鍋を強火にかけて、バターを溶かす」ポイッ

すみれ「切った玉ねぎを入れて炒めるったら炒める」ジャッジャッ

かのん「すみれちゃん!ハンバーグどう?焼けてるかな?」

すみれ「一個、この竹串で真ん中まで刺してみなさい」

かのん「わかった」プス

かのん「……なんか透明な汁が出てきたよ!」

すみれ「焼きあがりよ。皿にうつして」

かのん「うん!」

可可「かのん、この皿をつかうデス」サッ

かのん「おっ、可可ちゃん気がきくー!」

可可「ずっとすみれのお手伝いをしてて身についたデス」

すみれ「可可、角切りベーコン」

可可「はいデス」サッ

すみれ「ベーコンしっかり焼くわよ」ジュー

81: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ eb20-e412) 2024/06/15(土) 19:10:25 ID:hR9cZd0s00

すみれ「かのん、ハンバーグのフライパンでそのままソースを作ってちょうだい。作り方はさっき伝えた通りよ」

かのん「わかった」

かのん「えっと、ハンバーグの油が残った状態のままで火にかけたら、みりんを入れて」

ジャー

かのん「沸騰させたら、ケチャップ、ソース、しょう油だよね?」

すみれ「そうよ。あとはヘラで混ぜてちょうだい。フライパンをきれいに洗う感じでね」

かのん「わかった!」

すみれ「サッと火を通すだけでいいわ。できたら、ハンバーグにかけて」

かのん「うん!」

82: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ eb20-e412) 2024/06/15(土) 19:14:51 ID:hR9cZd0s00
ジュー

すみれ「さて、ベーコンが焼けてきたわね」

可可「とってもいいにおいデス!!」

すみれ「ここにマッシュルームを入れて、さらに炒めるわ」パッパッ

可可「すみれ、なぜナポリタンにいつも入ってるデスか?」

すみれ「油で炒めるとうま味がたくさんでるの。とくに新鮮なナマはね」

すみれ「今日はいい物が買えたわ、かのんのおかげよ」

かのん「えっ!?なになに!!」ニョキ

すみれ「……マッシュルームをよく炒めたら、ケチャップを入れて」

かのん「ねえ!ねえ!なに!?」

すみれ「まんべんなく混ぜる」ザッザッ

かのん「わぁ鍋振りすごい!で、なに!」

すみれ「パスタのゆで汁をケチャップと同じ量を加え……」

かのん「ねねねね!いま褒めたよね!」

すみれ「ソースのように仕上げたら、中火にして……」

すみれ「隠し味にマヨネーズをちょっと」ポイッ

かのん「それだけでも美味しそう!ねぇ、なんだったの!?」

すみれ「うるさいったらうるさーい!」クワッ

83: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ eb20-e412) 2024/06/15(土) 19:16:06 ID:hR9cZd0s00

すみれ「……最後にピーマンを入れて、シャキシャキ感を残すために軽く炒めたら」

すみれ「可可、パスタちょうだい」

可可「はいデス!」スッ

すみれ「しっかり炒めたら、ナポリタンの完成!」

可可「パチパチデスー」

すみれ「さ、盛り付けよ!大きめの皿に渦を描くように」

すみれ「最後にソースのかかったハンバーグをパスタの上にのせて……!」

すみれ「カロリー度外視、ハンバーグナポリタンの出来上がりよ!」

かのん「やったー!」

可可「もう待ちきれないデスよ、すみれ!」

すみれ「角切りトマトときゅうりのサラダもつけて」

三人「いただきまーす!」

84: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ eb20-e412) 2024/06/15(土) 19:19:57 ID:hR9cZd0s00

かのん「まずはハンバーグから」パクッ

かのん「……美味しい!」ニヘラ

かのん「中身がぎっしりだけど、ふっくら柔らかくてジューシーだよ!」

可可「このソースと一緒に食べるともっと美味しいデス!」

すみれ「ふふっ、よかったわ」

可可「次はナポリタンデス!フォークでクルクルっと……」パクッ

可可「好好吃ー!!」パタパタ

かのん「うっすらバターのいい香りと、ケチャップの酸味がモチモチのパスタといい感じに絡みあってる!」モグモグ

可可「ところで、このまったりとシタ味は……すみれ?」

すみれ「隠し味のマヨネーズよ、コクがでるの。ケチャップとの相性もいいから使ったわ」

かのん「へえー!お母さんはお店のナポリタンの隠し味にバターを入れるんだ」

すみれ「それ、教えちゃって大丈夫なの?レシピは店の命でしょ」

かのん「その代わり、すみれちゃんの秘密のレシピを目で盗んじゃったからね!おあいこだよ」

すみれ「ふふっ、なによそれ」

ワイワイ

可可(ハンバーグナポリタン、ボリューム満点でとっても美味しかったデス)

85: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ eb20-e412) 2024/06/15(土) 19:22:03 ID:hR9cZd0s00
玄関


すみれ「洗い物も終わったし、帰るわね」

かのん「可可ちゃん、またねー」フリフリ

可可「ハイ!気をつけて帰るデスよ」

かのん「わかってるって!」

すみれ「それにしても食べたわね。明日の体重が怖いったら怖いわ」

かのん「もし、ちぃちゃんに今日のことバレたら……」

すみれ「……グラウンド五十分走かもね」ボソッ

かのん「ひぃいい!」ワナワナ

可可「アイヤー!」

すみれ「だから今日のことは三人の秘密ったら秘密よ!」

かのん「うん!わたしはクチが堅いからね、安心して」

すみれ「アンタが一番信用できないのよ!!」

かのん「ひどーい!」ガーン



アハハハ



三話 すみれとかのんとハンバーグナポリタン 終

86: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ eb20-e412) 2024/06/15(土) 19:23:49 ID:hR9cZd0s00
まだこのSSに需要があるのでしたら…

次回、すみれと千砂都とマルい揚げもの

92: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ f717-e74d) 2024/06/16(日) 22:59:33 ID:l2o.aEN200
第四話 すみれと千砂都とマルい揚げもの

95: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ eb20-e412) 2024/06/17(月) 06:20:51 ID:jJ.3I5oY00
 
キャットストリート

可可(すっかり日も落ちた学校帰り。今日すみれはおうちの手伝いなので、ククは久しぶりにお外でご飯デス)

可可(かのんのお店でお茶した帰り、ちょっとコバラを満たしたいときは──)

千砂都「可可ちゃん、うぃーっす!」

可可「うぃーっす、千砂都!」

可可(千砂都がバイトしているタコ焼き屋に行くデス)

千砂都「いま帰り?」

可可「ハイ!ちょっとかのんのお店に寄って、次のライブ衣装について意見を聞いてきまシタ。その帰りデス!」

千砂都「おおっ、精が出るねー」

可可「セイ、とはなんデスか?」

千砂都「一生懸命に頑張ってるってことだよ」

可可「それほどデモー」テレテレ

千砂都「さ、お客様!ご注文はなにします?今なら出来立てをつくれるYO!」

可可「今日はさっぱり……ねぎポンズ!」

千砂都「かしこまり!」

94: 名無しで叶える物語 (ワッチョイ f717-e74d) 2024/06/16(日) 23:03:54 ID:l2o.aEN200

可可(千砂都はタコ焼き名人デス)

千砂都「……」ジャー

可可(十分にあっためた丸い穴のある金型に、シャバシャバした白い生地をたっぷり流して)

千砂都「……」パッパッ

可可(リズミカルに均等な分量のぶつ切りタコを穴に入れて、ねぎ、天かす、紅しょうがをまんべんなく散らす)

千砂都「……」カチャカチャ

可可(生地から湯気がほんのり出たタイミングで、素早くアイスピックのような針で裏返す)

可可「きれいな丸デスね!」

可可(黄色い焼き目のついた半球が顔をだす)

千砂都「……」スッスッ

可可(その球体をなでるように裏返し、何度か針を動かして焼き目を全体につけていけば)

可可(こんがりきつね色ボールの完成デス)

千砂都「……」ヒョイ

可可(仕上げは金型からすくい上げ、パックにのせて、たっぷりのねぎとポン酢をかけて……)

千砂都「はい、おまちどう!ねぎポン酢だYO!」

可可「美味しそうデス!!デハ、いただきマス!」

98: 名無しで叶える物語◆UNLkscCE★ 2024/06/20(木) 18:38:02 ID:???00

可可「はむっ……アチッ……」モグモグ

可可「好好吃ー!」

可可(カリッとした表面を嚙みしめると、熱々のトロリとしたうま味たっぷりの中身あふれて、プリプリのタコの食感がたまらないデス)

可可(ソースとマヨネーズたっぷり濃厚な味付けもいいケド、この香ばしくあっさりとしたポン酢の良さも最近わかってきまシタ)

可可「千砂都のタコ焼きはいつも美味しいデス!」

千砂都「……えっ?あ、うん……よかった!」

可可「あぇ?どしたデスか」

千砂都「あっ、ごめん!ちょっと考え事してた!なんでもないよ」アハハ

可可「ソデスカ……ン?」

可可「……」ジッ

可可「……千砂都、なにか悩みがありマスね。集中力を欠くくらいの」

99: 名無しで叶える物語◆UNLkscCE★ 2024/06/20(木) 18:40:20 ID:???00
千砂都「えっ」

可可「ホラ、このタコ焼き──」ヒョイ

可可「──六つのうち、ひとつがしぼんでしまってマス。いつもの千砂都なら、すべて完璧なマルのはず」

千砂都「あっ、ホントだ……焼きがほんの少し甘かった、かな?」エヘヘ

千砂都「ごめんね可可ちゃん!」ペコッ

可可「いえ、構いまセンが……」

可可「ククでは頼りないかもデスが、同じLiella!の仲間として相談に乗りマスよ!よかったら、話してくだサイ」

千砂都「実は──」




すみれ「──で、なんで私がふたりに呼ばれたのかしら?」

101: 名無しで叶える物語◆UNLkscCE★ 2024/06/22(土) 21:07:54 ID:???00
翌日 結ヶ丘中庭

可可「食べ物に詳しいすみれならいいアイデアをもらえると思ったからデス」

すみれ「別に詳しいってほどじゃ……で、どうしたの?」

千砂都「実は、お店の仕入れ先からサービスで生青のりをもらったんだけど……」

千砂都「タコ焼きにつかう青のりは乾燥してる専用のものだから、店長が全部私にくれたんだよね」

すみれ「へえ、生青のりなんて珍しいじゃない」

可可「それ、珍しいのデスか?」

すみれ「そうよ。生青のりは香りが良くて料理につかうと最高の食材ったら食材よ」

千砂都「それで、もらった青のりを家で磯辺揚げにしたり、和え物や味噌汁にしたんだけど、まだあまってるんだ」

千砂都「家族も青のりづくしに飽きちゃってて……」

千砂都「そこですみれちゃん、青のりをたくさん使えて美味しい斬新な料理ってないかな?」

可可「すみれ、教えろデス」

すみれ「なんでアンタが偉そうなのよ……」

102: 名無しで叶える物語◆UNLkscCE★ 2024/06/22(土) 21:09:01 ID:???00

すみれ「そうね……千砂都が食べたのは全部和食だから一回、和食から離れてみましょう」

可可「すみれ、残念ながら中華にのりを使う料理はありまセン」

千砂都「確か日本と韓国だけなんだっけ?のりを食べてもおなかを壊さないのって」

可可「そうデス。あの伝説のμ'sのロシア人もプロフィールに苦手な食べ物としてのりをあげてマス」

千砂都「そっちの国の人は体質でのりが食べられないってことは、和食以外だと韓国料理しか……」ウーン

すみれ「まちなさい。そうとも限らないわ」

可可「?」

千砂都「それはどこ料理なの?」

すみれ「イタリアよ、イタリアにのりを使う料理があるわ」

可可「ほんとデスか?」

千砂都「全然イメージないけど……」

すみれ「あるったらあるのよ。しかも千砂都が喜びそうな料理がね」

千砂都「ホント!?」

すみれ「ええ。期待してていいわ」ギャラッ




可可(こうして、千砂都がバイト休みの日にククの家でご飯をつくることになりまシタ)

106: 名無しで叶える物語◆UNLkscCE★ 2024/06/23(日) 12:48:43 ID:???00
アパート

ガチャ

すみれ「お邪魔するわよ」

可可「邪魔するなら帰るデスー」

千砂都「あはは、なにそれ」

すみれ「はいはい」クツヌギ

千砂都「すみれちゃん、うぃーっす!」

すみれ「千砂都、先に来てたのね」

千砂都「すみれちゃんがなに作ってくるのか気になって、ダッシュで来ちゃったんだ!」

千砂都「あ、材料はすみれちゃんがいった通りのものを買ってきたよ」

千砂都「強力粉に薄力粉、白玉粉、白ごま、カシューナッツ!で、家からの生青のり!」

すみれ「私は氏子の和菓子屋からこしあんを買ってきたわ」

可可「で、なに作るデスか、すみれ?」

すみれ「今日はふたつ作るわよ」

すみれ「イタリアはナポリ、青のり香るゼッポリーネと」

すみれ「中華のおやつ、芝麻球をね」

107: 名無しで叶える物語◆UNLkscCE★ 2024/06/23(日) 19:53:05 ID:???00

可可「芝麻球!クク大好きデス!」ピョンピョン

千砂都「チーマーチュウ……?」

可可「ゴマ揚げ団子デス!なかにアンコが入ってるデスよ」

可可「姐姐がときどき作ってくれまシタ!」

千砂都「あー、中華っぽいやつ!あ、団子だからマルだ!」

千砂都「ってことは、青のり使うほうは……」チラッ

すみれ「ゼッポリーネよ」

千砂都「もちろん……」ウキウキ

すみれ「マルよ」

千砂都「やったー!マルだ!」

すみれ「丸い食べ物でよくこんなにはしゃげるわね……」

すみれ「ほら、はやく作るわよ」

ハーイ

108: 名無しで叶える物語◆UNLkscCE★ 2024/06/23(日) 19:54:46 ID:???00

すみれ「まず、ゼッポリーネの生地から作るわよ」

すみれ「ふたつの粉をブレンドしましょう」

可可「強力粉と薄力粉デスか?」

すみれ「そうよ。もっちり感を出すために強力粉の割合は多めにね」

可可「ボウルに入れるデス」サッサッ

すみれ「そこにドライイースト、塩、生青のりを全部」パッ

千砂都「えっ、全部いれちゃうんだ」

すみれ「全部入れないと、青のりの香りを楽しめないからよ」

千砂都「そうなんだ」

すみれ「そこにぬるま湯を入れて、まとまるまでこねるったらこねる」

千砂都「あ、すみれちゃん!私にやらせて!」

千砂都「体力なら自信あるし!」

すみれ「そう、任せたわ」

109: 名無しで叶える物語◆UNLkscCE★ 2024/06/23(日) 20:02:30 ID:???00

千砂都「えいっ……えいっ……!」コネコネ

千砂都「全部まーるくまとまるのをイメージして」コネコネ

可可「さすが千砂都デス。どんどん生地がまとまってきまシタね」

すみれ「飲食バイトやってるから手際いいわね」

千砂都「すみれちゃん!こんな感じ?」ヒョイ

すみれ「ええ、いい感じよ。それにしても、きれいなマルね……」

千砂都「イメージしてたら、いつのまにか出来あがってたんだ」

すみれ「無意識だったの!?」

すみれ「と、とにかくボウルにラップして、一時間おいて発酵させましょう」

可可「まるでパンつくるみたいデスね」

すみれ「ゼッポリーネは海藻入り揚げパンなの。生地の作り方はパンと同じよ」

千砂都「へえー、イタリアでも海藻を食べるんだね」

すみれ「そうみたいね。もとはナポリとかイタリア沿岸部で、余った生地に安くていつもとれる海藻を混ぜたパンがルーツらしいわ」

可可「やっぱりすみれは食べ物に詳しいデスね」

千砂都「色気より食い気ってやつかなー?」

すみれ「ちょっと、聞こえてるわよ」

千砂都「ごめーん」ペロッ

すみれ「まったく……さ、この空き時間を利用して芝麻球を作っていきましょう!」

110: 名無しで叶える物語◆UNLkscCE★ 2024/06/23(日) 20:29:35 ID:???00

すみれ「まず、芝麻球のアンをつくるわよ」

すみれ「可可、ビニール袋にカシューナッツを入れて」

可可「ハイ」スッ

すみれ「それを千砂都、綿棒で叩いて……あ、細かすぎるのはダメよ。食感を楽しみたいから、粗めにったら粗めによ」

千砂都「わかった!」

バンバン

すみれ「さて、ボウルにこしあんをうつして」ポトッ

すみれ「そこにゴマ油をたらす」

可可「すみれ、なじぇアンコに油をいれるデス?」

すみれ「香りを引き立てるためよ。ナッツできた?」

千砂都「はい!」スッ

すみれ「ん、ありがと。ナッツを入れたら、ざっくり混ぜる」

すみれ「あとは適当な大きさに丸めていって……」チラッ

千砂都「……」ウズウズ

すみれ「……千砂都、お願いね」

千砂都「うん!」パァッ

すみれ「手に油を軽く塗ったら、くっつかないわ」

千砂都「わかった」コロコロ

千砂都「なんか子供のころの泥遊びを思い出すね!よく作ったなー泥団子」コロコロ

すみれ「きっと精密機械が作ったくらいのハイレベルな泥団子だったんでしょうね……」

112: 名無しで叶える物語◆UNLkscCE★ 2024/06/23(日) 21:35:48 ID:???00

すみれ「次は生地ね。千砂都にはもっと頑張ってもらうわよ」

千砂都「任せて!」

すみれ「ボウルに白玉粉、砂糖、水を入れたら」

千砂都「混ぜるんだね!」コネコネ

すみれ「きれいにまとまったら、適当な大きさに丸めて……」

千砂都「うん!」コロコロ

可可「バットの上にのせるデスよ、千砂都」スッ

コロコロ

千砂都「うーん、マルがいっぱいだぁ……」

すみれ「悦に浸ってるとこ悪いけど、生地にアンを包んでいくわよ」

可可「すみれ、どうやるデス?」

すみれ「丸めた生地を、綿棒で平たい円形に伸ばして」プチッ

千砂都「ああああ!完璧なマルがあああ!」

すみれ「やりづらいったらやりづらいじゃない!」

千砂都「あ、ごめん!」

すみれ「生地を厚めに伸ばしたら、真ん中にアンコ玉をのせて」ヒョイ

すみれ「ふちを軽く伸ばして包んでいくの」

すみれ「で、再び団子の形に整えて……」コロコロ

千砂都「こんな風に?」スッ

すみれ「そんな感じよ。どんどん包んでいくわよ」

ハーイ!

113: 名無しで叶える物語◆UNLkscCE★ 2024/06/23(日) 21:37:35 ID:???00

すみれ「全部包んだら、可可」

可可「ハイ!バットにゴマをたっぷり敷き詰めまシタ」スッ

すみれ「そこに団子を入れて、外側にしっかりゴマをくっつけて」

千砂都「わかった」

可可「ハイデス」

すみれ「白い皮が見えなくなるくらいゴマをくっつけていいわよ」

千砂都「すみれちゃん、できた!」

可可「こっちもデス」

すみれ「よし、ここから一気に仕上げに入るったら入るわよ!」

可可「すみれ、気合入ってるデスね」

すみれ「当然よ。最後に一番大事な揚げ、なんだから」

すみれ「また北京鍋を使うわよ」

可可「ドウゾ」

114: 名無しで叶える物語◆UNLkscCE★ 2024/06/24(月) 07:47:18 ID:???00

すみれ「揚げは一番大事なところだから私がやるわ」スッ

すみれ「鍋に油をたっぷり入れてちょうだい」

可可「ハイ」ドボドボ

すみれ「これくらいでいいわ。火にかけて油をあっためましょう」カチッ

ボッ

千砂都「揚げる順番はどうするの?」

すみれ「まず芝麻球からよ、で最後にゼッポリーネ」

すみれ「菜箸を入れて……」スッ

コポポ

すみれ「細かい泡が出てきたタイミングでゴマ団子を静かに入れる」ポトッ

すみれ「……あとは浮き上がってくるまで待つったら待つ!」

可可「沈んだままでいいのデスか」

千砂都「鍋底にひっついたりしてない?」

すみれ「大丈夫よ。逆にいじくると、ゴマが落ちたり形が崩れちゃうの」

可可「ヘエー」

115: 名無しで叶える物語◆NkItNcMN★ 2024/06/26(水) 22:17:33 ID:???00

すみれ「低温で揚げるわよ」

ポコッポコッ

千砂都「浮いてきた!」

すみれ「冷めてもしぼまないよう、表面の生地とゴマが黄色くなるまで火を通す」

カリカリカリ

可可「あ、白からきれいな黄色になってきたデス!」

すみれ「……いいわ。引きあげましょう」

すみれ「用意したバットに全部のせて」ヒョイヒョイ

コロコロ

可可「ゴマのいい香りデスー!」

千砂都「うーん、黄色いマルがいっぱい。幸せだぁ……!!」

可可「……」ウズウズ

可可「すみれ!もう我慢できまセン!一個だけ!」ヒョイ

すみれ「あ、こら!まだ……」

可可「哎呀ー!太烫!!」ポロッ

千砂都「大丈夫!?」

すみれ「言わんこっちゃないったらないわ!出来立ては美味しいけど、とっても熱いんだから」

すみれ「でも、手を火傷しないで指を油で汚さずに味わえるギャラクシィーな方法があるわよ」ギャラッ

116: 名無しで叶える物語◆NkItNcMN★ 2024/06/26(水) 22:18:24 ID:???00

すみれ「この油取り紙を手巻き寿司の、のりみたいに巻いて」クルクル

すみれ「出来た真ん中の空いたポケットに芝麻球をのせたら……」

千砂都「あ、なんかアイスクリームの包み紙みたい!おしゃれだね!」

すみれ「……これなら火傷の心配ないわ。ほら、ふたりとも食べなさい」

可可「ハイデス!」

千砂都「わー!とってもきれいなマル!!」パァッ

すみれ「さ、味見しましょう」


いただきまーす!

117: 名無しで叶える物語◆NkItNcMN★ 2024/06/26(水) 22:19:47 ID:???00

可可「はむっ、アチッ……はうぅ……」モグモグ

千砂都「むぐ……あつつ……」モグモグ

すみれ(ふたりとも食べてる姿がほんと、小動物みたいで可愛いのよね)

すみれ「……だから人に料理つくってあげるのが楽しいのよ」ボソッ

可可「……」ゴクン

千砂都「……」ゴクン

すみれ「で、味はどう──」

可可「すっごく好吃デスよ、すみれ!」

千砂都「すみれちゃん美味しいよ、これ!」

可可「ゴマの香りがするカリッもちっの団子の中から!」

千砂都「熱々のあまーいアンコがあって、もうとにかく美味しいよ!」

可可「アンコの中のナッツも香ばしくて食感もイイデス!」

千砂都「きれいなマルなのも最高だよ!」

すみれ「そう、よかったわ。私もひとくち……ん、美味しいわ」モグモグ

可可「もう一個食べちゃうデス!」スッ

バシッ

すみれ「ゼッポリーネが出来上がるまで、待ちなさいったら待ちなさーい!」クワッ

120: 名無しで叶える物語◆YRcsP3P9★ 2024/06/28(金) 21:28:10 ID:???00

すみれ「次はゼッポリーネよ」

すみれ「カスをとった油を高温まであっためたら、箸を入れて……」

すみれ「泡がたくさん出るのを確認……よし」

すみれ「可可、ボウルを持って来て」

可可「ハイデス」スッ

千砂都「わぁ、ふっくらしてるね」

すみれ「発酵してるの、このままオーブンで焼いたらパンになるわ」

サッサッ

すみれ「軽くかき混ぜて発酵ガスを抜く」

すみれ「で、ラップをとったら生地をこのオリーブオイルを塗ったスープ用スプーンで……千砂都」

千砂都「ん、なに?」

すみれ「はい、千砂都の技量が試されるときよ」スッ

すみれ「スプーンで生地を丸くすくって、油に入れてちょうだい」

千砂都「わかった!」

すみれ「あ、油に入れるときはゆっくりったらゆっくりよ。ハネたら危ないから」

121: 名無しで叶える物語◆YRcsP3P9★ 2024/06/28(金) 21:29:14 ID:???00

千砂都「こうかな?」チョイ

千砂都「なんか違うな、こう……曲線が滑らかじゃないと」チョイチョイ

可可「すみれ、これでは生地が乾燥しちゃいマス!」

すみれ「だ、大丈夫よ、たぶん……」

千砂都「あ、このボウルの曲線を利用したら」チョイ

千砂都「……できた!」

千砂都「この状態のまま、慎重に慎重に……」スッ

ポトッ

千砂都「すみれちゃん、できたよ!きれいなマル!」

すみれ「よかったわね。じゃあ、その調子でどんどん入れちゃいなさい」

千砂都「了解だYO!」スッスッスッ

コロコロコロ

可可「……あっという間にお鍋が団子に埋め尽くされまシタ」

すみれ「コツをつかむの早すぎったら早すぎよ!ギャラクシィーに揚げるの忙しくなったじゃない!」チョイチョイ

千砂都「あはは、ごめーん」

122: 名無しで叶える物語◆YRcsP3P9★ 2024/06/28(金) 21:30:33 ID:???00

すみれ「高温で外サクッ中はモチッをイメージして」

すみれ「ほんのり色がついてきたら……すくいあげてバットにうつす!」スッ

千砂都「……青のりのいい香りがする!」

可可「美味しそうデス!」

すみれ「仕上げに、このピンクソルトをまぶして」パッパッ

すみれ「ゼッポリーネの出来上がりよ!」

千砂都「やったー!」

可可「パチパチデスー!」

すみれ「大き目の深皿に、芝麻球と一緒に盛り付けたら、ドリンクは……」

千砂都「やっぱりコーラだよ!!」スッ

すみれ「まって、コップに注ぐ前に……中の氷を洗うわ」

可可「なじぇ?」

すみれ「氷についている細かい粒を洗い落とすの。これをやると、氷が溶けるのが遅くなって、コーラが水っぽくならないわ」

可可「ヘエー」

すみれ「さ、食べましょう!」


いただきまーす!

124: 名無しで叶える物語◆YRcsP3P9★ 2024/06/29(土) 21:26:15 ID:???00

千砂都「まずはコーラ!」グビグビ

千砂都「……うーん、最高!」プハッ

可可「なんだかオジサンみたいデスよ」

千砂都「みてよこの皿いっぱいの、マルマルマルー!!」

千砂都「うっとりしちゃうなぁ……」コウコツ

すみれ「ほら、揚げたてのゼッポリーネから食べなさい」

千砂都「うん!」パクッ

可可「ハイ!」パクッ

千砂都「美味しいよ!すみれちゃん!」

千砂都「外はカリッとしてて、中は超モッチモチだ!」

可可「青のりと塩味の相性がいいデス!」モグモグ

千砂都「余った青のりでこんなに可愛い料理ができるなんて思わなかったよ」

すみれ「こういう料理もいいでしょ?」

千砂都「うん!しかもコロコロとマルがいっぱいで、なんか嬉しい!」

すみれ「ふふっ、よかったわ。千砂都が満足してくれたみたいで」

126: 名無しで叶える物語◆YRcsP3P9★ 2024/06/29(土) 21:28:30 ID:???00

可可「満足デスよ、すみれ!」ヒョイパク

千砂都「あ、いっぱい食べてる!私も!」ヒョイパク

可可「む……負けまセンよ!」パクッパクッ

千砂都「どっちがたくさん食べるか、勝負だっ!」パクッパクッ


ワイワイ


すみれ「……まったく、色気より食い気なのはどっちなのかしらね」



可可(このあと千砂都と勝負しまシタが……勝敗を決める最後の一個をすみれに食べられたので、引き分けとなりまシタ)




第四話 すみれと千砂都とマルい揚げもの 終

130: 名無しで叶える物語◆YRcsP3P9★ 2024/06/30(日) 17:39:19 ID:???00
第五話 すみれと恋と日本風カレー

昼 結ヶ丘

可可「やった!やった!」タッタッ

可可(お昼休み。授業終了すぐに教室を飛び出して、全速力で購買にいってきまシタ)

可可(体育が苦手なククが一生懸命走ってまで購買に行ったワケは──)

可可「限定ニ十個のプレミアムカレーパン……!!」ピョンピョン

可可(近所のパン屋が結女の生徒向けに販売する特別なパン。中にやわらかい和牛スジ肉がゴロッと入っていて、スパイシーなカレーとの相性が抜群)

可可「その存在を知ってはやイクセイソウ……足が遅いククは煮え湯を飲まされてきまシタ」

可可「しかし!ついに今日!ついにこの手に!」スッ

可可「ありがたやー」ペコペコ

可可(さて、この貴重な貴重な咖喱面包。もし、このまま教室に戻ると──)


かのん「あ!それ限定のやつじゃん!一口ちょうだい!」

千砂都「マルっと一口!」アーン

すみれ「グソクムシー!」イカクノポーズ


可可「……」ブンブン

可可(ダメデス。ククのカレーパンは、あっという間に餌食にされてしまいマス)

可可「こっそり中庭の木のシタで食べちゃいまショウ!」タッタッ

可可「あぇ……あそこにいるのは……レンレン?」

134: 名無しで叶える物語◆YRcsP3P9★ 2024/07/02(火) 22:24:27 ID:???00

恋「はぁ……どうしましょう……」

可可(思いつめた顔で花壇に腰掛けて、ため息をついているデス)

恋「……やっぱり、わたくしがやってみるしか……」

可可「ダメデス!」バッ

恋「わっ!」ビクッ

恋「可可さん!?いつここに!?」

可可「ダメデスよ、レンレン!ひとりで悩んでハ!」

可可「すぐひとりで抱え込む悪いクセがレンレンにはありマス」ビシッ

可可「Liella!のメンバーになった以上、悩みはみんなで共有しなければいけまセン!」

恋「そんな……悩みというほどでは──」

可可「いいカラ!ぶちまけるデス」

恋「わ、わかりました!では……」

可可(コンビニ袋を膝に乗せて座っているレンレンが、悩みを話してくれまシタ)

135: 名無しで叶える物語◆YRcsP3P9★ 2024/07/02(火) 22:25:30 ID:???00

恋「実は、サヤさんが入院しているんです……」

可可「あぇ、あのメイドサンいないのデスか?」

恋「はい」

可可「病気デスか!?大丈夫デスか!」オロオロ

恋「大丈夫です。ちょっと風邪をこじらせてしまったようで……数日ほどで退院できるそうです」

可可「よかったデス」ホッ

恋「はい。ですが……わたくしとチビだけだと、広い家がもっと広くなったような気がして何だか寂しい気がして……」

恋「それは少しの辛抱で済むのですが、問題は日々の食事なのです」

可可「ゴハン食べてないのデスか!?ダメデスよ、レンレン!」

恋「いえ、食べてはいるのですが……いつも最寄りのコンビニで済ませていまして」スッ

恋「ええっと……」モジモジ

恋「その、なんていうのでしょう……美味しいは美味しいのですが、その、温かいものが食べたいなって思い始めてきまして……」

可可「その気持ちわかりマスよ、レンレン。ときどき姐姐の手料理が恋しくなるデス」

恋「わかっていただけますか!?嬉しいです……!」パァッ

恋「ですが……」

可可「デスガ?」

136: 名無しで叶える物語◆YRcsP3P9★ 2024/07/02(火) 22:27:50 ID:???00

恋「恥ずかしながら、わたくし一度も料理を作ったことがないんです……」

恋「お母様やサヤさんが危ないからと、キッチンに立たせてもらえなくて」

恋「料理が食べたい、でも作れない……それで悩んでいたのです」

可可「そうだったのデスね」

恋「……可可さんはすごいです」

恋「上海からスクールアイドルになりたくって日本に来て、ひとり暮らしをしながら毎日料理をつくっているのですから」

可可「……まぁ、そ、そうデスよ!ククの手にかかれば、チョチョイのチョイデス!」

可可「よかったらレンレンのために、ナニか料理をつくってやるデスよ」

恋「本当ですか!?ありがとうございます!」パァッ

可可「オオブネに乗ったつもりで任せるデス!」フンス




可可「──と、いう訳なのデスよ、すみれ」

すみれ「なにがという訳ったら訳なのよ……」ハァ

138: 名無しで叶える物語◆YRcsP3P9★ 2024/07/03(水) 08:24:09 ID:???00

可可「レンレンのために料理をつくる、つい勢いで言っちゃいまシタ」

可可「しかし料理は苦手デス!」

可可「でも、中国には面子というものがありマス。約束は守るデス、だから……」

可可「すみれ、助けろデス」

すみれ「なんでそういうロジックになるのよ!」

すみれ「まぁ……恋の気持ちもわからないわけではないわ」

可可「さすがグソクムシ!人の気持ちが分かるデスね!」

すみれ「誰がグソクムシよ!」クワッ

すみれ「でも、変ね……」

可可「?」

139: 名無しで叶える物語◆YRcsP3P9★ 2024/07/03(水) 08:25:39 ID:???00

すみれ「確か恋ってプロフィールの趣味にジャム作りがあったわよね?」

可可「そうデス」

すみれ「ジャムは果物に砂糖を入れて煮詰めるものよ。焦げないように、ヘラで丁寧にかき混ぜながら砂糖を溶かすのが一番大切な手順なの」

可可「ヘエー」

すみれ「母親とメイドがコンロに立たせなかった、と言ってたんでしょ?そこがなんか引っかかるのよ……」ウーン

可可「まぁいいじゃないデスか、そういうのハ」

すみれ「……あっ!コンロを使わずにジャムがつくれる方法があったわね!」ポンッ

すみれ「その方法なら特別に許してもらったのかも」

可可「ナニひとりで納得してるデスか?」

すみれ「こっちのことよ」

可可「で、やるデスか?やるデスよね?」

すみれ「ふふっ、拒否権はないみたいだし……やるったらやるわよ」

141: 名無しで叶える物語◆JQ9MAdR7★ 2024/07/09(火) 21:12:08 ID:???00

すみれ「で、何をつくればいいの?希望とかあった?」

可可「ハイ。お昼休みのとき、レンレンが──」



恋「何が食べたい、ですか?」

可可「そうデス。リクエストがあれば応じマス」ガサガサ

パクッ

可可「んー、好吃!」パタパタ

恋「それは……?」

可可「これデスか?購買で売られている限定のカレーパンデスよ」

恋「カレーパン、ですか……」

可可「あぇ、もしかしてレンレン知らないのデスか!?」

恋「いえ、限定販売されている購買のカレーパンの存在は知っています。中のカレーがとても美味しいと聞いています」

恋「……そういえば、だいぶ前に食べたきりですね、カレー」

可可「本当デスかレンレン!?」ガタッ

恋「はい。なんだか懐かしくなりました!」ニコッ

可可「日本人はカレーをよく食べると聞きマスが、レンレンはそうでないのデスか?」

恋「はい。いつも家では和食と洋食が中心なので……」

可可「あぇぇ……」

恋「あの、可可さん」

可可「ハイ?」

恋「カレーを……カレーをつくって頂けないでしょうか。久しぶりに食べてみたいです!」



可可「──と、いうことになりまシタ」

すみれ「カレーねぇ……」

すみれ「お嬢様の恋にしては、ずいぶん家庭的なものを……あっ!」ハッ

可可「?」

143: 名無しで叶える物語◆GDb4Ozx7★ 2024/07/16(火) 21:27:35 ID:???00

すみれ「……恋は本当にカレーといったのよね?」

可可「……?そうデス」

すみれ「インドとかネパールとか、プーパッポンカリーとかじゃないカレーよね!?」ガシッ

可可「なっ、なんデスカ、そのプーパッポンとかいうのハ……」

すみれ「違うのよね!?そこ大事ったら大事なのよ!」

可可「……しつこいグソクムシデスね。レンレンはカレーパンのカレーを見て頼んできたデス!」

可可「しかも懐かしいって」

すみれ「そうなのね。わかったわ」

可可「なじぇソコを確認するデス?」

すみれ「……本当に家庭のカレーか確かめたかったのよ。本格的なエスニックだと、たぶん恋はガッカリするから」

可可「レンレンが、ガッカリ……?すみれの料理はどれもちゃんと美味しいデスよ」

すみれ「ありがとう。でも、そういうことじゃないの」

144: 名無しで叶える物語◆GDb4Ozx7★ 2024/07/16(火) 21:29:50 ID:???00

可可「?」

すみれ「カレーって、味だけじゃないのよ。日本人それぞれが持つ特別なメニューなの」

すみれ「親しみや安心感というか、信頼というか……あったかい料理なのよ」

可可「……?カレーは煮込み料理だから温かいデスよ?」

すみれ「とにかく、そうと決まれば……」

すみれ「週末、恋のうちでギャラクシィーなカレーパーティーをみんなでするわよ!」ギャラッ

可可「楽しみデスー!」ピョンピョン

可可「!」

可可「って……カレーでパーティ、デスか?」キョトン

すみれ「そうよ」

可可「すみれ、パーティーにしてはカレーは地味すぎマスよ」

すみれ「当日を楽しみにしてなさい、きっと美味しい楽しい時間にしてあげるったらあげるわ」

可可「マァ、お手並み拝見するデス」

すみれ「その前に、あとで可可はかのんと千砂都に声をかけておいてちょうだい。準備してもらうことがあるから」

可可「わかりまシタ!」タッタッ

150: 名無しで叶える物語◆zf5FLxH9★ 2024/08/02(金) 21:33:16 ID:???00
週末 葉月邸


可可「レンレンの家、やっぱり大きいデス……」

すみれ「ちょっと緊張するわね」ポチッ

ピンポーン

恋「はい」

可可「レンレン、来たデスよ」

恋「可可さんですね。すぐ開けます」カチッ

ガチャ

恋「どうぞ、あ、すみれさん……!」

すみれ「可可の手伝いできたわ、いい?」

恋「はい!構いません」

恋「ふふっ……可可さんいるところにすみれさんあり、ですね」

すみれ「ちょっと、それどういう意味──」

可可「ハイハイ!とにかくお邪魔するデスよ」ギュッギュッ

すみれ「押さないったら押さないー!」

151: 名無しで叶える物語◆zf5FLxH9★ 2024/08/02(金) 21:34:18 ID:???00

恋「どうぞこのキッチンを使ってください」

可可「すごいピカピカデス!」

すみれ「タイル張り、大理石の調理台。4つのコンロにオーブン、食洗器……」

すみれ「……さすがお金持ちのキッチンね」

恋「言われた通り食材は用意してあります。ところで……」

恋「かのんさんと千砂都さんはご一緒じゃないのですか?」

すみれ「あとで来るわ。ふたりには別の準備が必要だから、カレーの出来上りに間に合わせるようにね」

可可「それ、ギャラクシィーなカレーパーティーに必要なのデスか?」

すみれ「もちろんったらもちろん!」

恋「カレーでパーティー、ですか?」

すみれ「そうよ」

恋「……なんだかワクワクしてきました」

すみれ「それじゃ、手を洗ったらカレー作るわよ」

恋「はい!」

可可「デス!」

チビ「ワン!」

すみれ「あ、アンタもいたわね……」

恋「チビ、危ないのであっちに行ってください」

153: 名無しで叶える物語◆mwD8jehM★ 2024/08/08(木) 20:28:18 ID:???00

すみれ「今日はごく普通の日本風カレーを作るわ。材料は──」

恋「人参、玉ねぎ、ジャガイモですね」

可可「それに肉!ガッツリ塊肉デス!」

すみれ「今回は豚の肩ロース肉にしたわ。肉の味がしっかり感じられるものを選んだの」

すみれ「で、カレーに欠かせないものといえばこれ!」スッ

可可「なんデスかソレ?」

恋「缶詰のようですが……」

すみれ「通称、赤缶。ようするにカレー粉よ」

恋「カレーの、粉?」

すみれ「そう。これひとつで美味しいカレーができるようになるの」

可可「すみれ、ルーは使わないデスか?」

すみれ「赤缶を使って自分でつくるわ」

すみれ「ひと手間加えるだけで、市販のルーより香りとスパイシーさが際立つプロのカレーになるったらなるのよ!」

恋「わぁ……楽しみです!」

154: 名無しで叶える物語◆mwD8jehM★ 2024/08/08(木) 20:29:28 ID:???00
すみれ「まず、野菜の下ごしらえからね」

恋「はい!」

すみれ「ふたりでジャガイモと人参を洗ってちょうだい」

恋「洗うのですね、わかりました」ジャブジャブ

可可「たくさんありマスね」ジャブジャブ

すみれ「五人分とおかわりの分も計算に入れてるからね。気合を入れなさいったら入れなさい」

可可「ハイ!」

恋「わかりました!」

すみれ「洗ったらこっちにちょうだい」

コロコロ

すみれ「まずジャガイモね……包丁で芽を取り除いて」ホジホジ

可可「なじぇ取るデスか?」

すみれ「……毒があるからよ」ホジホジ

可可「!?」

恋「!?」

155: 名無しで叶える物語◆mwD8jehM★ 2024/08/08(木) 20:30:24 ID:???00

すみれ「……ソラニンっていってね、芽や緑色に変色したジャガイモにある毒なの」ホジホジ

すみれ「もし、そのまま食べちゃうと腹痛を起こして、病院のお世話になるわよ?」ホジホジ

すみれ「むかしジャガイモを食べたイギリスの女王がその毒にあたって、相当苦しんだってお話もあるくらい注意が必要なの」ホジホジ

すみれ「だからちゃんと──」チラッ

可可「」

恋「」

すみれ「どうしたの?固まっちゃって……」

恋「じゃ、ジャガイモにそんな毒があったなんて知りませんでした」ガタガタ

可可「すみれサン許してくだサイ。もうグソクムシっていいまセン、だからジャガイモで暗殺だけハ……!」ガタガタ

すみれ「誰がジャガイモで暗殺するわけ!?極端すぎったら極端すぎよ!」

すみれ「だからこうして取り除いているじゃない……はい、全部とったわ」

可可「……もう大丈夫デスか?」

すみれ「大丈夫よ。変色もしてない上質なジャガイモだから、安心していいわ」

恋「良かったです」ホッ

すみれ「……誰かに料理をつくってあげる以上、こういう危険を取り除く責任感を持つことも大事なのよ?」ドヤッ

可可「すみれ、ちょっと尊敬したデス」

すみれ「ちょっとなのね……まあいいわ」ヤレヤレ

159: 名無しで叶える物語◆VOqr3uep★ 2024/08/14(水) 18:11:15 ID:???00
すみれ「次はこのピーラーで人参とジャガイモの皮むきをお願い」

可可「ハイ」

恋「わかりました」

恋「……どんどん薄くむけていって、なんだか楽しいです!」スッスッ

可可「ぺらぺらデス」スッスッ

すみれ「むくのは一回でいいわ。はい、それくらいで終わりったら終わり」

恋「あぁ……もう少しやりたかったです……」

すみれ「なに残念がってるの。ほら、お米の準備をしてちょうだい」

可可「レンレン、お米を洗うデスよ」

恋「はい!」

すみれ「恋、洗うからって洗剤とか米に入れないでよ」ニヤッ

恋「なっ……そんなポンコツなことするわけありません!」プンプン

可可「そうデスよすみれ!レンレンはそこまでポンコツではありまセン!」

恋「そこまで……?」

160: 名無しで叶える物語◆VOqr3uep★ 2024/08/14(水) 18:12:11 ID:???00
可可「すみれ、米を炊飯器にセットしたデスよ」

すみれ「さて、こっちは野菜と肉をカットしましょう」

すみれ「野菜はゴロッと食べ応えのあるように乱切りして……」サッサッ

すみれ「玉ねぎは半分をくし切り、残りをみじん切りに」

可可「あぇ……なんでタマネギをふたつに分けたデス?」

すみれ「具と炒め用なの。炒めたみじん切り玉ねぎを入れたカレーは甘味と香ばしさがグッと引き立つのよ」

恋「そうなんですか」

すみれ「……つぎに肩ロースはサイコロ状にカット」スッスッ

すみれ「これで下準備は完了。さあ、鍋で調理するったらするわよ」

すみれ「あ、その前に……フライパンを借りていい?」

恋「はい。構いません」

161: 名無しで叶える物語◆VOqr3uep★ 2024/08/14(水) 18:14:49 ID:???00
すみれ「まずはみじん切り玉ねぎを炒めるわ」

ボッ

すみれ「火にかけた鍋にバターを入れて……」ポイッ

すみれ「溶けてきたら玉ねぎ投入ったら投入よ」ジュー

可可「任せるデスよ、すみれ。前にかのんと一緒に炒めたから出来マス!」

すみれ「わかった。じゃあ恋とお願い」

可可「ハイデス。レンレン、このヘラでアメイロに炒めるデスよ」スッ

恋「はい!」

可可「油となじませたら少し色をつけるデス」ジュー

恋「可可さん、玉ねぎがどんどん白色から透き通ってきました」

可可「イイ感じなのデ……レンレン、コップの水を少し入れるデス」

恋「はい」スッ

ジャー

可可「水分を飛ばすまで炒めマス……これを三回くり返すデスよ」

恋「どうして水を入れるのですか?」

可可「タマネギを焦がさずにアメイロに出来る──」

可可「──と、グソクムシが言ってまシタ」

恋「ふふっ、ちゃんと覚えているのですね」

可可「んなっ……どういう意味デスカ!?」

恋「そういう意味ですよ」ニコニコ

162: 名無しで叶える物語◆VOqr3uep★ 2024/08/14(水) 18:16:09 ID:???00

すみれ「盛り上がってるとこ悪いけど、隣のコンロ使うわよ」スッ

可可「アッハイ」

すみれ「もうひとつのフライパンで肉を焼くわ」

ジュー

すみれ「フライ返しをつかって全面を弱火でサッと焼いたら……」チョイチョイ

すみれ「よし、これでオッケー」

すみれ「あとは火から離して……可可、鍋の玉ねぎはどう?」

可可「ちょうどアメイロデスよ!」

すみれ「じゃあ、野菜を全部鍋に入れてちょうだい」

可可「入れマスよ、すみれ」ポイポイ

すみれ「最後に肉を入れて、十分くらい根気よく炒めるったら炒めるわ」

すみれ「量が多いし、混ぜるの大変だから三交代制でやりましょう」

恋「わかりました!」

可可「加油デス!アッ……」

可可「なじぇ肉を最初にフライパンで焼いたデス?一緒に鍋に入れればよかったノニ」

すみれ「いいとこに気付いたわね。表面をサッと焼くと、肉のうま味を中に閉じ込められるの」

すみれ「あと煮るときにアクが出にくくなるわ」

可可「ヘエー」

恋「悪……それは悪いものですか?」

すみれ「アクよ……まぁ、あまりない方がいいわね」

165: 名無しで叶える物語◆P4RUQZhR★ 2024/08/18(日) 17:37:27 ID:???00
ジュー

可可「すみれ、もうそろそろ良いデスか?」マゼマゼ

すみれ「どれどれ……うん、玉ねぎの外側が透明になってきたからもういいわ」

恋「ふう……意外と炒めるのに力がいりましたね」

すみれ「量が量だからね。鍋に水をいれたら……」スッ

可可「それはなんデス?」

すみれ「コンソメスープの素よ。これを入れたら、うま味を増やしてくれるわ」ポトッ

すみれ「あとは強めの中火で沸騰するまで煮るの」

恋「コンソメ……このままスープにしても美味しそうです!」

可可「コンソメスープは、レンレンの好物でシタね」

恋「はい!あの野菜とうま味たっぷりのスープがなんともいえないのです!」

すみれ「ふふっ、手作りのルーを加えたらもっと美味しくなるのよ?」

すみれ「さ、沸騰するまでのあいだに使った道具を洗うったら洗うわよ」

恋「はい!」

可可「デス!」

166: 名無しで叶える物語◆P4RUQZhR★ 2024/08/18(日) 17:38:13 ID:???00
グツグツ

恋「!」

恋「どうやら沸騰してきたみたいです、すみれさん」

すみれ「……火を弱火にして、お玉でアクをとるったらとるわ」スッ

可可「全部とるデスか?」

すみれ「いいえ、ある程度とったらそのままでいいの」スッスッ

すみれ「無理に全部とったら、うま味と油も一緒に捨ててしまうことになるわ」

恋「過ぎたるは猶及ばざるが如し、ですね」

可可「???」ポカン

すみれ「……うん、これくらいでいいわ」

すみれ「あとは鍋にフタをして、ニ十分くらいコトコト煮ましょう」カポッ

可可「待ってる間、次はなにするデスか」

すみれ「次はカレーに絶対欠かせない……」

すみれ「ルーをつくるったらつくるわよ!」ギャラッ

167: 名無しで叶える物語◆P4RUQZhR★ 2024/08/18(日) 17:39:10 ID:???00

すみれ「今回のルーは、ギャラクシィー贅沢すみれスペシャルよ!」

恋「わぁ……!」パチパチ

可可「名前長すぎデス……ルーに贅沢もビンボーもあるデスか?」ジトッ

すみれ「あるったらあるのよ!」

すみれ「本来ならベースの油はサラダ油だけど、今回は恋の厚意でバターよ!」

すみれ「バターッと倒れるくらい美味しいカレーができるわよ?バターだけにね」

可可「?」ポカン

恋「?」ポカン

すみれ「……さ、フライパンを弱火にかけてバターを溶かしましょう」カチッ

恋「あの、さっきのはどういう……」

すみれ「忘れてちょうだい……虹ヶ咲のコよりはうまいと思ったのに」ボソッ

すみれ「バターが溶けたら、薄力粉を入れて……このヘラで焦がさないよう、弱火で混ぜて炒める」

恋「わたくし、やってみたいです!」

すみれ「はい。あ、焦がしたら全部台無しだから気を付けて」

恋「わわっ、責任重大です……!」カチャカチャ

すみれ「慌てなくていいわ。ジャム作りもそんな感じよ」

168: 名無しで叶える物語◆P4RUQZhR★ 2024/08/18(日) 17:39:57 ID:???00

恋「えっ、そうなんですか?」

すみれ「そうよ。火を使って作る方法では、ね」

恋「そうなんですか!?いつもは……」

すみれ「当ててあげる、電子レンジね」

恋「そうです。よくご存じで……」

可可「はぇ、レンジでジャムがつくれるデスか?」

すみれ「できるわ。レンジと耐熱容器なら火をつかわないで安全にジャムが作れるの」

恋「材料を入れてスイッチを入れれば、ほとんど出来ますから」

すみれ「そうね、でも……」

恋「?」

すみれ「コンロの前に立って、適度な緊張感でつくるジャムもいいものよ?」

恋「挑戦してみます!そのときはいろいろ教えてくださいね」

すみれ「任せなさいったら任せなさい。私も恋から組み合わせとか分量知りたいし、教え合いしましょう」

可可「すみれ!すみれ!」

169: 名無しで叶える物語◆P4RUQZhR★ 2024/08/18(日) 17:40:45 ID:???00

すみれ「どうしたの?」

可可「なんだかフライパンからいい匂いがしてきまシタ!甘くて……」

恋「クッキーやビスケットみたいな香りです!」

すみれ「……炒めた小麦粉に色がついてきたわね。それじゃあ火を止めて、この濡れ布巾の上にフライパンをのせてちょうだい」

恋「はい!」

ジュー

すみれ「温度を下げたら、カレー粉を入れて」パッパッ

すみれ「混ぜるったら混ぜる」スッスッ

ネチョネチョ

可可「カレーのいい香りがしてきまシタ!」

すみれ「はい、これでルーの完成。ちょっと手間かかるけど、市販のより塩分控えめでヘルシーにできるわ」

すみれ「さ、仕上げに入るわよ」

170: 名無しで叶える物語◆P4RUQZhR★ 2024/08/18(日) 17:43:18 ID:???00

すみれ「鍋の煮汁、スープをフライパンに入れて……ゆるいペースト状になるまで溶かす」

すみれ「で、これを鍋に全部入れて混ぜると……」

可可「看起来很好吃的咖哩!」ピョンピョン

恋「具だくさんで美味しそうです……!」

すみれ「あとは沸騰するまで強火にして、沸騰したら弱火で五分煮る」

五分後

すみれ「味をつけていくわ。砂糖と塩を入れる」パッパッ

すみれ「味をなじませるイメージでかき混ぜて……」

すみれ「最後にここ重要よ、恋」スッ

恋「はい?このおちょこは一体……」

すみれ「これで塩加減をみてちょうだい。恋が昔食べたカレーの味に少しでも近づけましょう」

恋「いいのですか?わたくしが決めて……」

可可「いいデスよ、レンレン。みんなレンレンのカレーが食べてみたいデスから」

恋「わかりました……すみれさん、よろしくお願いいたします!」

171: 名無しで叶える物語◆P4RUQZhR★ 2024/08/18(日) 17:44:55 ID:???00

すみれ「……出来たわ、Liella!特製カレーよ!」

恋「わぁ!」パチパチ

可可「やったデス!」

ピーピー

すみれ「ちょうどご飯が炊けたみたいね……そろそろじゃないかしら?」

恋「そろそろ?」

ピンポーン

恋「ちょっと失礼します」スタスタ

恋「はい……あっ、かのんさんに千砂都さん!すぐ開けます!」

ドタドタ

かのん「うーん、カレーのいい香り!もうできたみたいだね!」

千砂都「うぃっすー!玄関からいいにおいしてたよ!もうお腹ペコペコだよー」

すみれ「来たわね。じゃあカレーパーティーの準備をするったらするわよ!」

176: 名無しで叶える物語◆iLW3W7so★ 2024/09/01(日) 21:35:33 ID:???00

すみれ「かのんと千砂都、例のモノは持ってきた?」

かのん「もちろん」

千砂都「かのんちゃんと一緒に作ってきたよ!」

すみれ「見せてちょうだい」

可可「ふたりはナニもってきたデスか?」

かのん「カレーにあうトッピング!私はこれ」スッ

かのん「定番のハンバーグ、ソーセージ、唐揚げ!ちぃちゃんは……」

千砂都「まるーいトッピングを作ってきた!」スッ

千砂都「ゆで卵、オニオンリング、黒オリーブだよ」

すみれ「いいチョイスね。私は」スッ

すみれ「ゆでほうれん草、揚げナス、チーズを家から持ってきたわ」

可可「いつのまにつくってきたデスか」

すみれ「じゃあ、持ち寄ったトッピングを一品ずつ大皿に盛り付けていくわよ」

かのん「うん!」

千砂都「わかった」

すみれ「可可はテーブルの準備をしてちょうだい」

可可「ハイデス」

177: 名無しで叶える物語◆iLW3W7so★ 2024/09/01(日) 21:37:03 ID:???00

すみれ「トッピングをひと皿ずつ調理台に並べてみたわ」

恋「わぁ……!まるでホテルのビュッフェみたいです!」

千砂都「なんかおしゃれだね」

かのん「パーティーの雰囲気でてきたじゃん!」

可可「すみれ、食卓の準備ができたデスよ」

かのん「……あ!このランチョンマット、カラー別じゃん!」

恋「これは……」

可可「ライブの衣装づくりで余った布で作ったデス」フンス

可可「シンボルカラーで分けまシタので、みんなはその席につくデスよ」

すみれ「準備も出来たことだし、ギャラクシィーな──」

すみれ「──おかわり、トッピング自由のカレーパーティーを始めるったら始めるわよ!」ギャラッ

三人「わーい!」パチパチ

かのん「ちょーっと待ったぁ!!」バッ

178: 名無しで叶える物語◆iLW3W7so★ 2024/09/01(日) 21:38:50 ID:???00

可可「かのん……?」

千砂都「どうしたの、かのんちゃん?」

かのん「みんな、食べる前に大事なもの忘れてない?」

恋「大事な物とは……?」

すみれ「あ、わかった。余興に歌でも歌うのね?」ポン

かのん「ちがーう!違うったら違う!」バッバッ

かのん「ドリンクだよ!飲み物!」

千砂都「あー、そっか」

可可「たしかニ」

すみれ「で、飲み物は何を用意するの?」

かのん「やっぱりさ、パーティーするわけだし、雰囲気的にちょっとイイのを作ろうと思うんだ」

かのん「メインはカレーだから……合う飲み物はやっぱり」スッ

かのん「インドのミルクティー、チャイをつくるよ!」

179: 名無しで叶える物語◆iLW3W7so★ 2024/09/01(日) 22:49:04 ID:???00

可可「チャイ?」

千砂都「あー、ちょっと前に流行っていたの!えっと、タピオカの!」

すみれ「……それは台湾のタピオカミルクティーよ」

恋「インドのミルクティー、ですか。一体、どういったものでしょうか」

かのん「ふっふっふ、カレーに合うんだなコレが」

かのん「えーっと、お母さんから教わったレシピは」ゴソゴソ

かのん「……あった!恋ちゃん牛乳と砂糖はある?」

恋「こちらに」スッ

かのん「よーし、さっそく作るね」

ボッ

かのん「まず水を入れた鍋を火にかけて沸騰したら……」

かのん「シナモンスティックを手で割って、ショウガ、カルダモン、クローブと一緒に鍋に入れる」パキッ

すみれ「いい香りがしてきたじゃない」

かのん「香りと水に色がついてきたら、茶葉を投入」パッパッ

かのん「つぎに牛乳と砂糖を入れて、沸騰させないように弱火で煮込んだら……」

かのん「粗熱をとって、出来上がり!」

すみれ「……かのん特製のドリンクも出来たし、じゃあパーティーを始めるったら始めるわよ!」ギャラッ

みんな「おー!」

181: 名無しで叶える物語◆iLW3W7so★ 2024/09/03(火) 20:54:54 ID:???00

すみれ「みんなカレー皿を持ったわね?いくわよ」

可可「ハイデス!」

すみれ「最初にご飯を適当に盛って」

すみれ「次は鍋からカレーをよそう」ヒョイ

かのん「うわ、美味しそー!」

恋「レストランの写真みたいです!」

千砂都「なんかテンションアガってきちゃうね!」

すみれ「盛りつけキレイでしょ?これもショウビジネスの基本よ」ドヤッ

すみれ「黄金比といって、写真広告やデザインで対象を最も美しく魅せる技法なの」ペラッ

すみれ「比率は1に対して1.618……カレーでいえばご飯1に対してカレーがその比率になるわ」ペラペラ

すみれ「しゃもじを器用に使ってきれいな半月状に盛ったご飯に対し、ほんの少しカレーを多く入れることで、美しいカレーライスができるの」ペラペラペラ

すみれ「だから──」チラッ

恋「可可さんはカレーを全体にかける派なのですね」

可可「そうデスよ」

千砂都「トッピングどうするー?」

かのん「あっ!ハンバーグはひとり二個までだよ!」

すみれ「って、最後まで聞きなさいよ!!」

可可「すみれは話が長すぎマス」

183: 名無しで叶える物語◆3u161774★ 2024/09/11(水) 08:11:58 ID:???00

かのん「みんな席についたね、それじゃグラスを持って──」

みんな「かんぱーい!」

かのん「そしてー?」

みんな「いっただきまーす!」

かのん「まずは普通に食べてみよう」パクッ

千砂都「どれどれ」パクッ

可可「ハイ」パクッ

すみれ「今回の味付けは恋がやったのよ」

恋「ど、どうでしょう……葉月家の味を再現したのですが……」

かのん「……美味しいよ!コクとうま味がすごくて」

千砂都「最初は甘口かな、と思ったけど、あとからガーッってしっかりスパイスの辛さがちゃんと来てる!」

可可「お肉も野菜も好好吃デス」

すみれ「……隠し味が斬新だったけど、ちゃんと美味しいわね」モグモグ

恋「よかったです……!みなさんに受け入れてもらえて」パアッ

184: 名無しで叶える物語◆3u161774★ 2024/09/11(水) 08:12:47 ID:???00

かのん「葉月家の隠し味ってなに?ねえ、教えて」

すみれ「あのね……隠してるから隠し味なんでしょうが」ハァ

恋「はい、お教えします。ちょっと失礼して」スクッ

すみれ「いいの?」

恋「はい。皆さんに披露できて、お母様もきっと喜んでくれますから」トコトコ

千砂都「そっか、恋ちゃんのお母さんの味なんだね……」

可可「これがオフクロの味デスか」モグモグ

恋「お待たせしました、こちらです」コトッ

185: 名無しで叶える物語◆3u161774★ 2024/09/11(水) 08:14:56 ID:???00

かのん「これは……ジャム……?」

恋「はい!わたくしが作ったイチゴジャムです」

かのん「へえー!カレーにジャムって珍しくない?ねえ、すみれちゃん!」

すみれ「トマトジュース、すりおろしリンゴ、ソース……隠し味はいろいろあるけどジャムは確かに珍しいったら珍しいわね」

すみれ「でも、インドカレーにチャツネといって、玉ねぎや果物を煮込んだジャムを入れるから決して意外ではないのよ」

すみれ「赤缶カレー粉はちょっとスパイスが効くから、ジャムを入れるといい感じになって、大人も子供も美味しく食べられるカレーになったわ」

可可「ヘエー」

千砂都「確かに。甘すぎず辛すぎず、絶妙な感じで食べ飽きなさそうだね」

すみれ「たぶんあらゆるトッピングに合うかもしれないわ」

かのん「よーし、いっぱい食べちゃおうっと!」

恋「はい!ぜひ召し上がってください!」

すみれ「カレーとご飯はお代わり自由よ」

190: 名無しで叶える物語◆8th6P4qa★ 2024/09/14(土) 23:38:04 ID:???00

恋「そういえば……皆さんトッピングはどれになさったのですか?」

かのん「私は王道の、ハンバーグチーズ!」

かのん「牛100パーセントのひき肉で作った手作りハンバーグとチーズ……でカレーと一緒に食べたら美味しさの三重奏だよ!」

すみれ「カロリー度外視って感じね」

かのん「まぁいいじゃん、いっぱい練習すればいいんだからさ!」

千砂都「じゃあ、かのんちゃん。グラウンドで五十分走、する……?」

かのん「え゛っ゛」

千砂都「アハハ、冗談だよ!」

かのん「ホントかなぁ……?」ビクビク

恋「可可さんは……もしかして全部のせですか」

可可「ハイ!真ん中にゴハンを盛って、カレーを全体にかけたあとのせまシタ」

かのん「見た目が豪快の割にバランスよく盛り付けてる」

千砂都「なんか冷やし中華みたいでキレイ!」

すみれ「真上にあるゆで卵がインパクトあるわ。さすが衣装担当ね、センスいいじゃない」

可可「フフン、もっと褒めるデスよ」ドヤッ

191: 名無しで叶える物語◆8th6P4qa★ 2024/09/14(土) 23:39:27 ID:???00

恋「なるほど。ひと皿で全部味わえる……なんともお得な組み合わせですね」

恋「千砂都さんは……独特な盛り付けですね……」

千砂都「ふぇ?そうかなぁ……」モグモグ

すみれ「まんべんなく散らした輪切りゆで卵とソーセージ、オニオンリング、黒オリーブ……あたり一面マルだらけね」

可可「ミズタマのカレーデス」

かのん「ちぃちゃん相変わらず個性的だなぁ」アハハ

千砂都「まぁーるいトッピングがカレーを丸く包み込んで、さらに輪をかけて美味しいんだYO!」

すみれ「……カレーもマルづくしとは恐れ入ったわ」ヤレヤレ

恋「すみれさん、これは?」

すみれ「ほうれん草チーズよ、本場インドでもギャラクシィーな組み合わせよ。色合いもおしゃれったらおしゃれなの」

可可「グソクムシは何にでもギャラクシーをつけマスね」

すみれ「グソクムシいうな!」

192: 名無しで叶える物語◆8th6P4qa★ 2024/09/14(土) 23:44:48 ID:???00

可可「レンレンは……あぇ、まだ何ものせてないデスよ?」

恋「はい。昔からそのままで食べていましたので……」

恋「同じカレーでも、個性いっぱいな皆さんのカレーを見れるのは新鮮です!」

すみれ「Liella!は変わり者の集まりだからね……」

かのん「それ、すみれちゃんがいう?」フフッ

すみれ「どーいう意味よ」

千砂都「まぁまぁ」

恋「では、お代わりの二杯目には何のトッピングがおすすめでしょうか……?」

かのん「なら、やっぱりハンバーグが一番だよ!」

可可「ナニ言うデス、やはり合理的な全部のせデス」

千砂都「マルだよ、マル!」

すみれ「あのね、白と緑のコントラストが美しいほうれん草チーズに決まっているでしょ」

かのん「ハンバーグ!」

可可「全部!」

千砂都「マル!」

すみれ「ほうれん草チーズ!」

恋「お、落ち着いてください……!」アセアセ

可可(このあとレンレンは、少しずつみんなのおすすめの組み合わせを楽しみまシタ)

193: 名無しで叶える物語◆8th6P4qa★ 2024/09/14(土) 23:47:26 ID:???00

千砂都「ふー、食べた食べた!」

可可「飽腹了……」

すみれ「みんなお代わりしたわね」

恋「とっても美味しかったです!久しぶりのカレーを皆さんと頂けて、嬉しかったです」

恋「……本当にごちそうさまでした」ペコッ

すみれ「また食べたくなったら、いつでも言いなさい。作ってあげるったらあげるわ」

千砂都「いつでも声かけてね……あ、そうだ!次はトッピングにタコ焼き持ってくるよ!」

千砂都「名付けて、タコ焼きカレー!」

可可「タコ焼き、デスか?」

千砂都「マルくて美味しいんだYO!明石焼きみたいにカレーにつけると最高だYO!」

すみれ「……信じがたいわね」

恋「イメージが、なんとも……」

千砂都「あー、そういうんだー?食べてびっくりしても知らないからね」

かのん「……はいはーい!食後のドリンク、充分に冷えたアイスチャイ持ってきたよー」

194: 名無しで叶える物語◆8th6P4qa★ 2024/09/14(土) 23:49:45 ID:???00

すみれ「来たわね。実はちょっと期待してるったらしてるのよ」

かのん「どーぞどーぞ」トンッ

恋「では、いただきます……」

ゴクッ

恋「わぁ……スパイスのいい香りがします!」

千砂都「普通のミルクティーとは違った、ちょっと独特な風味なのが面白いねー」

可可「甘くてクリーミーデス!」

すみれ「カレーの後にデザート感覚で飲むのもいいわね」

かのん「でしょでしょ?うちでもメニューに加えられるか検討してるんだ!」

可可「デモかのんのお店、カレー出してないデスよ?」

かのん「あー、そっか!じゃあ、すみれちゃんにレシピ考案してもらおうっと」

かのん「そういうことで任せた!」

すみれ「ぬわぁんでよ!」

ワイワイ

可可(このあとおしゃべりを楽しんで、みんなで後片付けを楽しくやりまシタ)

195: 名無しで叶える物語◆8th6P4qa★ 2024/09/14(土) 23:51:52 ID:???00



恋「今日はありがとうございました」

かのん「じゃあね、恋ちゃん!」

千砂都「うぃっすー!」

すみれ「それじゃ帰るわよ。またね、恋」

可可「バイバイデス」フリフリ

恋「はい、皆さんお気をつけて」


かのん「……じゃあ、私はちぃちゃんと一緒に向こうだから」

千砂都「またねー」フリフリ

すみれ「学校でね」


可可(……かのんタチと別れ、ついにすみれと二人きりで帰るコトに)

可可(街灯が照らす静寂の歩道。すみれの背を追って歩きまシタ)


すみれ「……」スタスタ

可可「……」トコトコ

可可「……すみれ」グイッ

196: 名無しで叶える物語◆8th6P4qa★ 2024/09/14(土) 23:53:37 ID:???00

すみれ「んっ、どうしたの?」クルッ

可可「すみれが前に言っていた、カレーが特別であったかい料理のワケ、レンレンたちと食べてわかりまシタ」

すみれ「……そう、よかったわ」ニコッ

可可「ハイ!アッ……!」

すみれ「?」


可可「すみれ、明日は何を作ってくれマスか?」


すみれ「そうね……明日は──」




すみれ飯 終

引用元: 【SS】 すみれ飯